説明

止水部材および建具

【課題】止水部材に切り込みを入れて折り曲げて設置する場合でも十分な止水性能を確保することができる止水部材および建具を提供すること。
【解決手段】後付ビード(止水部材)8の主止水片87および副止水片88をガラス板6の屋外側側面に当接させて二重の止水ラインを形成し、これらの間に空間S1を形成するとともに、これらの二重の止水ラインおよび空間S1を折り曲げ部8Cにおいても連続させることで、主止水片87を雨水等が通過した場合であっても副止水片88で阻止し、空間S1から下枠3の内部側へ浸入させないようにできることから止水性能を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水部材および建具に関し、詳しくは、窓枠や障子の框等の枠材にガラスやパネル等の面材を支持するとともに止水性を確保するために枠材と面材との隙間に介挿される止水部材、この止水部材を備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠材と面材との隙間に圧入されて面材を保持する止水部材として、各種のガスケットやビード(先付ビード、後付ビード)、パッキング材などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の止水部材は、当該文献における図面右側に記載された先付ビードおよび当該図面左側に記載された後付ビードであり、それぞれ枠材に取り付けられる取付部と、面材(ガラス板)に密着するように形成された小突条とを有して形成され、これらのビードで両面から挟むことで面材を保持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−29784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、止水部材では、面材の四周端縁を保持するとともに止水性を確保するために、長尺な1本のビードを面材の四周に連続して設置することが望ましく、ビードの末端を上枠の長手方向中間位置に配置するとともに、上下左右の枠材が交差する角位置で折り曲げて枠材間に渡って連続させることが行われている。また、角位置で折り曲げる際には、ビードの外周側(各枠材の見付け方向外側)に切り込みを入れることで、ビードに皺が寄らずに折り曲げやすくするとともに、面材に密着させる突起には切り込みを入れないことで、突起を四周連続させて止水性を確保するように構成されることもある。
しかしながら、前記特許文献1に記載された従来の止水部材、特に当該文献における図面左側に記載された後付ビードでは、角位置において当該ビードの外周側(見付け方向外側)の過半の部分に切り込みを入れてしまうと、面材側には1つの突片のみが残ることになる。このため、従来の止水部材では、角位置において1つの突片が面材に当接するだけとなり、この突片を雨水等が越えた場合には枠材内部に浸入してしまうことから、止水性能が低下するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、止水部材に切り込みを入れて折り曲げて設置する場合でも十分な止水性能を確保することができる止水部材および建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の止水部材は、枠材と面材との隙間に介挿されるとともに、長手方向の途中位置で折り曲げられることで少なくとも2方向の前記枠材に沿って延びる止水部材であって、前記枠材に係止する係止部と、この係止部の見込み方向面材側に対向して設けられて当該面材に当接する当接部と、これらの係止部と当接部との間に設けられる中空部と、前記当接部よりも見付け方向内側に設けられて前記面材に当接する主止水片と、これらの当接部と主止水片との間に設けられて前記面材に当接する副止水片と、を備え、前記枠材と前記面材との隙間に介挿される前の非介挿状態において、前記主止水片が前記副止水片よりも見込み方向面材側に長く延びかつ見付け方向内方に傾斜して形成され、前記枠材と前記面材との隙間に介挿された介挿状態において、前記主止水片が前記面材の表面に当接して撓むとともに、前記主止水片および副止水片と前記面材とで囲まれた空間が形成され、前記副止水片の見込み方向面材側先端部は、前記中空部の見付け方向内端よりも見付け方向内側に位置して設けられ、前記長手方向の途中位置において、前記中空部の見付け方向内端よりも見付け方向外側の前記係止部および当接部に切り込みが形成されて折り曲げられることを特徴とする。
【0007】
以上の本発明によれば、主止水片を面材に当接させるとともに、この主止水片よりも見付け方向外側に設けた副止水片も面材に当接させることで、二重の止水ラインを形成することができ、主止水片を通過した雨水等を副止水片で阻止することができることから止水性能を高めることができる。さらに、当該止水部材を折り曲げる長手方向の途中位置(例えば、枠材の交差する角部)において、中空部の見付け方向内端よりも見付け方向外側の係止部および当接部に切り込みを形成することで、中空部の見付け方向内端で切り込みが停止することから、この切り込み形成領域よりも見付け方向内側に位置する主止水片および副止水片は分断されず、折り曲げ部においても主止水片および副止水片による二重の止水ラインおよび空間を連続させることができ、止水性能を確保することができる。また、副止水片よりも主止水片を見込み方向面材側に長くかつ傾斜させて形成することで、主止水片を強くあるいは広く面材に当接させて止水性能を確保しつつ、主止水片よりも短く副止水片を形成することで、面材との摺接抵抗が大きくなり過ぎることがなく、当該止水部材を枠材と面材との隙間に圧入する場合などにおける作業性の低下を防止することができる。
【0008】
さらに、本発明の止水部材では、前記非介挿状態において、前記当接部が前記副止水片よりも見込み方向面材側に突出して形成され、前記介挿状態において、前記面材に当接して押圧された前記当接部が前記中空部側に弾性変形することで、前記枠材と前記面材との隙間に介挿されることが好ましい。
このような構成によれば、非介挿状態の当接部が副止水片よりも見込み方向面材側に突出し、介挿状態で当接部が中空部側に弾性変形するように形成することで、この当接部を面材に適宜な押圧力で当接させることができ、面材の保持力を確保することができる。さらに、当接部が弾性変形して面材との適宜な押圧力を維持することで、副止水片の変形量を小さくして面材と副止水片との当接状態を適正に維持させることができ、副止水片による止水性能を確保することができる。
【0009】
また、本発明の止水部材では、前記当接部と前記副止水片との間には、前記介挿状態における前記面材の表面よりも見込み方向枠材側に凹んだ凹み部が形成され、この凹み部と前記中空部との間の見込み方向の厚み寸法が前記当接部の厚み寸法よりも小さく形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、当接部と副止水片との間に凹み部を形成することで、当接部が面材に当接して押圧力を受けた際に、この当接部の変形が副止水片に影響を与えにくくでき、副止水片と面材との当接状態を適正に維持して止水性能を確保することができる。さらに、凹み部の厚み寸法を当接部の厚み寸法よりも小さくすることで、当接部が変形した際に、この当接部よりも剛性の小さな凹み部にて変形を吸収することができ、当接部の変形を副止水片側に伝達しにくくできる。
【0010】
さらに、本発明の止水部材では、前記係止部は、前記中空部の見付け方向内端よりも見付け方向内側に位置して前記枠材を係止する係止片を有し、この係止片と前記主止水片の基端部および前記副止水片の基端部とが見込み方向に連続して形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、中空部の見付け方向内端よりも見付け方向内側、すなわち折り曲げ部における切り込み形成領域よりも見付け方向内側に係止片を位置させることで、この係止片が分断されず、枠材との係止状態を良好に維持することができる。さらに、係止片と主止水片および副止水片の基端部とが見込み方向に連続して形成されることから、折り曲げ部において切り込みを形成した際に、切り込みが主止水片、副止水片および係止片に至ることがなく、これらの見付け方向外側で切り込みを確実に停止させることができ、主止水片および副止水片による二重の止水ラインを確実に形成することができる。
【0011】
一方、本発明建具は、枠材と、この枠材に支持される面材と、これらの枠材と面材との隙間に介挿される前記いずれかの止水部材とを備えた建具であって、前記枠材に前記面材を設置した状態において前記隙間に前記止水部材が圧入され、この圧入された止水部材を介して前記面材が前記枠材に支持されることを特徴とする。
このような本発明の建具によれば、前述の止水部材と略同様の効果、すなわち枠材と面材との隙間に圧入した止水部材によって、枠材の直線部分のみならず枠材同士の交差部分で止水部材に切り込みを形成して折り曲げた場合でも、十分な止水性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る建具を示す正面図、縦断面図および横断面図である。
【図2】前記建具の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】前記建具に設けられる止水部材を示す断面図である。
【図4】前記止水部材の取付状態を示す正面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る建具としての嵌め殺し窓1を図面に基づいて説明する。
図1において、嵌め殺し窓1は、それぞれ枠材である上枠2、下枠3および左右の縦枠4を四周枠組みした枠体としての窓枠5と、この窓枠5の内部に支持される面材としてのガラス板6とを備えて構成されている。窓枠5には、見付け方向内方に開口する保持溝2A,3A,4Aが四周に連続して形成され、これらの保持溝2A,3A,4Aには、屋内側の先付ビード7と屋外側の後付ビード8(本発明の止水部材)とが四周連続して設けられ、これらの先付ビード7と後付ビード8との間に周縁部が挟持されることでガラス板6が保持されている。また、下枠3の保持溝3A内部には、セッティングブロック9が設けられ、このセッティングブロック9にガラス板6が載置されて支持されている。
【0014】
下枠3は、図2にも示すように、それぞれアルミ形材製の下枠本体3Bと、この下枠本体3Bに屋外側から取り付けられる押縁3Cとを有して構成されている。下枠本体3Bは、中空状の本体部31と、この本体部31の屋内側上縁から上方に立ち上がるとともに屋外側に折れ曲がる立上片部32と、この立上片部32の屋外側端部に開口する溝状の止水材保持部33と、本体部31の上面から屋外側に延びる押縁係合片部34とを有して形成されている。押縁3Cは、上面部35と、屋外側側面部36と、屋内側側面部37とを有して下向きに開口した断面コ字状に形成され、屋外側側面部36および屋内側側面部37の下端縁がそれぞれ押縁係合片部34に係合されることで、下枠本体3Bに取り付けられている。そして、止水材保持部33と屋内側側面部37との間に保持溝3Aが形成されるとともに、止水材保持部33に先付ビード7が保持され、屋内側側面部37とガラス板6との間に後付ビード8が介挿されている。
【0015】
以上の窓枠5に対するガラス板6の建て込み手順としては、先ず、保持溝2A,3A,4Aに先付ビード7が四周連続して取り付けられた状態において、ガラス板6を設置し、その後、後述するように後付ビード8を保持溝2A,3A,4Aとガラス板6との隙間に圧入して介挿することで、ガラス板6の建て込み作業が完了する。
【0016】
先付ビード7は、比較的硬質な樹脂からなる硬質部71と、この硬質部71の屋外側に位置して比較的軟質な樹脂からなる軟質部72とを有し、これらの硬質部71および軟質部72が二色成形によって一体的に形成されている。そして、先付ビード7には、軟質部72の屋外側の上部(見付け方向内端部)から屋外側かつ上方(見付け方向内方つまりガラス板6の面内方向内部側)に傾斜して延びる止水ヒレ73と、軟質部72の屋外側側面から屋外側に突出する支持突起74とが形成されている。このような先付ビード7は、硬質部71が下枠本体3Bの止水材保持部33に保持されるとともに、止水ヒレ73および支持突起74をガラス板6の屋内側側面に当接させることで、保持溝3Aにおけるガラス板6との屋内側の隙間を塞いで気密性および止水性が確保できるようになっている。
【0017】
後付ビード8は、図3にも示すように、比較的軟質な樹脂から一体成形され、内部に中空部8Aを有して長尺筒状に形成されている。この後付ビード8は、押縁3Cの屋内側側面部37に係止する第1係止片81と、この第1係止片81よりも上方(見付け方向内側)に設けられて押縁3Cの上面部35に係止する第2係止片(係止片)82と、これら第1および第2の係止片81,82間に渡って延びる背面部83と、この背面部83の見込み方向屋内側(面材側)に中空部8Aを挟んで対向してガラス板6の屋外側側面に当接する当接部84と、当接部84の下側(見付け方向外側)から屋外側に傾斜して延びて背面部83および第1係止片81と連続する圧入先端部85と、第2係止片82に連続して屋内側に延びる露出面部86とを有して形成されている。ここで、第1係止片81、第2係止片82および背面部83によって、止水部材の係止部が構成されている。さらに、後付ビード8は、当接部84よりも上側(見付け方向内側)で露出面部86の屋内側に連続して設けられてガラス板6の屋外側側面に当接可能な主止水片87と、この主止水片87の下側(見付け方向外側)で当接部84よりも上側(見付け方向内側)に設けられてガラス板6の屋外側側面に当接可能な副止水片88と、この副止水片88と当接部84との間で見込み方向屋外側(他方側)に凹んだ凹み部89とを有して形成されている。
【0018】
以上の後付ビード8は、保持溝2A,3A,4Aにおけるガラス板6との隙間に介挿されない非介挿状態(図3に示す状態であり、荷重を受けない自然状態)において、主止水片87が副止水片88よりも見込み方向屋内側(面材側)に長く延びかつ見付け方向内側に向かって傾斜して形成されている。すなわち、非介挿状態では、主止水片87の先端位置(図3中、一点鎖線Aで示す位置)が副止水片88の先端位置(図3中、一点鎖線Bで示す位置)よりも見込み方向屋内側まで延びて設けられている。また、非介挿状態において、当接部84の屋内側側面位置(図3中、一点鎖線Cで示す位置)は、副止水片88の先端位置よりも見込み方向屋内側(面材側)に突出するとともに、主止水片87の先端位置よりも見込み方向屋外側(枠材側)に設けられている。また、凹み部89の表面は、非介挿状態において、副止水片88の先端位置よりも見込み方向屋外側(枠材側)に設けられ、すなわち凹み部89と中空部8Aとの間の見込み方向の厚み寸法T1が当接部84と中空部8Aとの間の厚み寸法T2よりも小さく形成されている。さらに、主止水片87の基端部と副止水片88の基端部とで形成される凹部88Aの見込み方向位置は、凹み部89の表面よりも屋外側に後退して設けられている。
【0019】
一方、後付ビード8が保持溝2A,3A,4Aにおけるガラス板6との隙間に介挿された介挿状態(図2、4に示す状態)においては、主止水片87、副止水片88および当接部84は、ガラス板6の屋外側側面に当接することから、各々の先端位置は、同一の見込み位置に設けられることとなる。すなわち、介挿状態において、主止水片87は、見付け方向内側に撓みつつガラス板6の屋外側側面に当接し、当接部84は、ガラス板6に当接して押圧されることで中空部8A側に弾性変形し、この押圧力に対する反発力によってガラス板6を保持するようになっている。一方、介挿状態においても、副止水片88は、非介挿状態と略一定の先端位置(図3中、一点鎖線Bで示す位置)を維持するように、その突出寸法が設定され、すなわち介挿状態においても副止水片88は大きく弾性変形することなく、その先端がガラス板6の屋外側側面に丁度当接する程度の突出寸法に設定されている。また、後付ビード8の圧入に際して、折り曲げ部8Cでは、図3に示すように、後付ビード8の圧入先端部85側に切り込み8D(図3中、白抜き部分)が形成されている。
【0020】
切り込み8Dは、図3に示すように、中空部8Aの見付け方向内端位置(図3中、一点鎖線Dで示す位置)よりも見付け方向外側(図中下側)の圧入先端部85、第1係止片81、背面部83、当接部84および凹み部89を切断することで形成されている。一方、折り曲げ部8Cにおいても、後付ビード8の第2係止片82、露出面部86、主止水片87および副止水片88は、切り込み8Dによって切断されず、後付ビード8の長手方向に連続した状態で残置されている。従って、折り曲げ部8Cでは、図4にも示すように、第2係止片82、露出面部86、主止水片87および副止水片88が見込み方向に沿った軸回りに(つまりガラス板6の面内方向に)折り曲げられ、切り込み8Dの切断面が見付け方向外側に向かって互いに略90°程度開くように、後付ビード8が変形しつつ保持溝2A,3A,4Aにおけるガラス板6との隙間に圧入されることとなる。このような後付ビード8の介挿状態では、主止水片87および副止水片88とガラス板6の屋外側側面とで囲まれた空間S1が形成されるようになっている。また、凹み部89は、非介挿状態と同様に介挿状態においても、副止水片88の先端位置よりも見込み方向屋外側(他方側)に位置し、すなわち凹み部89の表面がガラス板6の屋外側側面に当接せず、ガラス板6との間に空間S2が形成されるようになっている。
【0021】
以上の実施形態によれば、後付ビード8の主止水片87および副止水片88をガラス板6の屋外側側面に当接させて二重の止水ラインを形成し、これらの間に空間S1を形成するとともに、これらの二重の止水ラインおよび空間S1を折り曲げ部8Cにおいても連続させることができ、主止水片87を雨水等が通過した場合であっても副止水片88で阻止し、空間S1から窓枠5(下枠3)の内部側へ浸入させないようにできることから止水性能を高めることができる。また、副止水片88の先端位置(図3中、一点鎖線Bで示す位置)が非介挿状態および介挿状態のいずれでも略一定位置を維持し、副止水片88が大きく弾性変形せずにガラス板6の屋外側側面に当接することで、後付ビード8の圧入に際してガラス板6との摺接抵抗を低減させることができるとともに、折り曲げ部8Cで後付ビード8を折り曲げても副止水片88に皺が寄りにくくできることから、副止水片88による止水ラインを確実に連続させて止水性能を一層向上させることができる。さらに、当接部84と副止水片88との間に凹み部89が形成され、この凹み部89とガラス板6との間に空間S2が形成されるので、さらに水の浸入を防止することができるとともに、当接部84の変形が副止水片88に影響を与えにくくでき、副止水片88とガラス板6との当接状態を適正に維持させることができる。
【0022】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、枠体としての窓枠5に面材としてのガラス板6が支持された嵌め殺し窓1を例示して説明したが、本発明の建具は、窓枠に固定障子が支持された嵌め殺し窓であってもよいし、窓枠に各種開閉形式の可動障子が支持された窓などの建具であってもよい。このように固定障子や可動障子を備えた建具においては、障子の上框、下框および縦框などを枠材とし、このような枠材としての框材に面材としてのガラスパネルや樹脂パネルなどが支持されていればよく、その面材の支持構造として本発明の止水部材が利用可能である。
【0023】
また、前記実施形態では、止水部材としての後付ビード8をガラス板6(面材)の屋外側に介挿したが、これに限らず、本発明の止水部材を屋内側に設けてもよいし、屋内側および屋外側の両方に設けてもよい。さらに、止水部材としては、前記実施形態のような後付ビード8に限らず、先付ビードであってもよいし、全体断面コ字形に形成されて面材の端縁を両面から保持可能なガスケットであってもよい。このようなガスケットの場合には、前記主止水片や副止水片などの各部構造が面材の両面側にそれぞれ設けられてもよいし、いずれか一方側にのみ設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、止水部材としての後付ビード8をガラス板6(面材)の四周に連続させて取り付けたが、これに限らず、止水部材は、少なくとも面材の2辺に沿って途中位置で折れ曲がって取り付けられるものであればよく、例えば、左右の縦枠4の途中位置に止水材の端部が設けられて上枠2側と下枠3側とでそれぞれ正面コ字形に一対で取り付けられてもよい。
また、前記実施形態では、矩形状の面材(ガラス板6)の四周に連続して止水部材を取り付けたが、面材は矩形状に限られることなく、三角形状や五角形状など、その形状は任意なものが採用可能である。
【0024】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0025】
1…嵌め殺し窓(建具)、2…上枠(枠材)、3…下枠(枠材)、4…縦枠(枠材)、6…ガラス板(面材)、8…後付ビード(止水部材)、8A…中空部、8C…折り曲げ部、8D…切り込み、81…第1係止片(係止部)、82…第2係止片(係止片)、83…背面部(係止部)、84…当接部、87…主止水片、88…副止水片、89…凹み部、S1…空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠材と面材との隙間に介挿されるとともに、長手方向の途中位置で折り曲げられることで少なくとも2方向の前記枠材に沿って延びる止水部材であって、
前記枠材に係止する係止部と、この係止部の見込み方向面材側に対向して設けられて当該面材に当接する当接部と、これらの係止部と当接部との間に設けられる中空部と、前記当接部よりも見付け方向内側に設けられて前記面材に当接する主止水片と、これらの当接部と主止水片との間に設けられて前記面材に当接する副止水片と、を備え、
前記枠材と前記面材との隙間に介挿される前の非介挿状態において、前記主止水片が前記副止水片よりも見込み方向面材側に長く延びかつ見付け方向内方に傾斜して形成され、前記枠材と前記面材との隙間に介挿された介挿状態において、前記主止水片が前記面材の表面に当接して撓むとともに、前記主止水片および副止水片と前記面材とで囲まれた空間が形成され、
前記副止水片の見込み方向面材側先端部は、前記中空部の見付け方向内端よりも見付け方向内側に位置して設けられ、前記長手方向の途中位置において、前記中空部の見付け方向内端よりも見付け方向外側の前記係止部および当接部に切り込みが形成されて折り曲げられる止水部材。
【請求項2】
前記非介挿状態において、前記当接部が前記副止水片よりも見込み方向面材側に突出して形成され、前記介挿状態において、前記面材に当接して押圧された前記当接部が前記中空部側に弾性変形することで、前記枠材と前記面材との隙間に介挿される請求項1に記載の止水部材。
【請求項3】
前記当接部と前記副止水片との間には、前記介挿状態における前記面材の表面よりも見込み方向枠材側に凹んだ凹み部が形成され、この凹み部と前記中空部との間の見込み方向の厚み寸法が前記当接部の厚み寸法よりも小さく形成されている請求項1または請求項2に記載の止水部材。
【請求項4】
前記係止部は、前記中空部の見付け方向内端よりも見付け方向内側に位置して前記枠材を係止する係止片を有し、この係止片と前記主止水片の基端部および前記副止水片の基端部とが見込み方向に連続して形成されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の止水部材。
【請求項5】
枠材と、この枠材に支持される面材と、これらの枠材と面材との隙間に介挿される請求項1から請求項4のいずれかに記載の止水部材とを備えた建具であって、
前記枠材に前記面材を設置した状態において前記隙間に前記止水部材が圧入され、この圧入された止水部材を介して前記面材が前記枠材に支持される建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−67504(P2012−67504A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213069(P2010−213069)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】