説明

止瀉効果を有する内服用製剤

【課題】 強力な止瀉効果を有する内服用製剤を提供すること。
【解決手段】 本発明は、(A)オキセサゼインと、(B)アカメガシワ(Mallotus japonicus)およびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを含有する内服用製剤を提供する。本発明はまた、(A)オキセサゼインと、(B)アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを組み合わせてなる内服用製剤を提供する。好ましくは、本発明の内服用製剤は、(A)オキセサゼイン1重量部に対して、(B)アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種の原生薬換算量を0.3〜500重量部とする。本発明の内服用製剤は、下痢を治療および/または予防するために用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強力な止瀉効果を有する内服用製剤に関し、より具体的には、オキセサゼインと、アカメガシワ(Mallotus japonicus)およびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを含有する又は組み合わせてなる内服用製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
下痢は、糞便中の水分量が異常に増加し、水様性状の便を排泄するようになる症状をいい、しばしばガス発生や腹部けいれん、吐き気、嘔吐などの症状を伴うため、QOL(=quality-of-life)の著しい悪化を招く。こうした下痢は、腸管運動の過亢進により便が腸管内を異常に速く通過したり、糞便の水分吸収が上手くいかなかったり、腸管で水分が過剰に分泌されたりすることなどで発生すると考えられているが、そのような状態を招く原因は、食事の内容、薬物、ウイルスや細菌などの感染、腫瘍、ストレスなど多種多様にわたる。
【0003】
過敏性腸症候群(IBSとも称される)は、主にストレスにより引き起こされると考えられている、便通異常を主訴とする疾患であり、症状がひどい場合には、日常生活に支障をきたすほどの苦痛を伴うことで知られる。IBSは大きく分けて、下痢を主訴とする下痢型、下痢と便秘を交互に繰り返す交替型、便秘を主訴とする便秘型の3タイプに分類されている。そして、この下痢型及び交替型における下痢の症状は、主として腸管運動の過亢進によるものではないかと推察されている。
【0004】
下痢は著しいQOLの悪化を招くため、その治療薬/予防薬には高い効き目が要求される。しかし、あまりに強力な止瀉効果を有する治療薬/予防薬であると、その副作用として逆に便秘を招きやすくなるという問題がある。そのため、IBSの下痢症状に用いられる止瀉剤などは、止瀉効果が比較的緩和なものとなっており、強力な効き目はあまり期待できなかった。
【0005】
オキセサゼインは、1957年にアメリカで局所麻酔薬として開発されたアミノ脂肪酸アミド化合物であり、コカインの500倍、プロカインの4000倍の強い麻酔作用を持つとされている。このオキセサゼインは、特に強酸性下でも活性なため、胃粘膜局所麻酔剤として使用されることが多い。オキセサゼインはまた、過敏性大腸症に伴う便意逼迫などの症状に対しても用いられ得るとされている(非特許文献1)。
【0006】
一方、アカメガシワ(Mallotus japonicus)は、温暖な地域に自生するトウダイグサ科の落葉高木であり、春先に紅赤色の若葉を芽吹くことから「赤芽柏」とよばれ、その葉や樹皮などが古くから民間薬として用いられている。これまでに知られているアカメガシワの効能は、腫れもの、痔、胃酸過多、胃潰瘍、胆石症、健胃など多種多様にわたるが、そのうちの一つの効能として、便秘、下痢、または便秘下痢交替(過敏性腸症候群)などの便通異常を改善するためにも用いられ得ることが記載されている(非特許文献2)。
【0007】
しかしこれまで、オキセサゼインとアカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを併用することについては全く教示も示唆もされていなかった。従ってこれまで、この両成分を併用することにより、如何なる効果が奏され得るのかについても、全く知られていなかった。
【0008】
【非特許文献1】第十四改正 日本薬局方解説書2001、廣川書店、C-1051〜C-1054頁
【非特許文献2】「アカメガシワ樹皮エキスの機能性」、FOOD Style21 Vol.9 No.7 (2005)、 77〜81頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
QOLの著しい悪化を招く下痢に対して高い効き目を有する、新規の有用な止瀉剤の開発が望まれている。本発明は、このような従来の問題に鑑み、高い止瀉効果を有する新規の有用な製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、オキセサゼインと、アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを併用して服用することにより、止瀉効果が相乗効果的に著しく高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
従って、本発明は以下を提供する。
(1)(A)オキセサゼインと、(B)アカメガシワ(Mallotus japonicus)およびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを含有する内服用製剤。
(2)(A)オキセサゼインと、(B)アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを組み合わせてなる内服用製剤。
(3)(A)オキセサゼイン1重量部に対して、(B)アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種の原生薬換算量が0.3〜500重量部である、項目(1)または(2)に記載の内服用製剤。
(4)下痢を治療および/または予防するために用いられるものである、項目(1)〜(3)のいずれか一項に記載の内服用製剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、下痢の症状に対して強力な止瀉効果を奏し得る新規の有用な内服用製剤が提供される。さらに、本発明の内服用製剤は、強力な止瀉効果を有しながらも、生体に投与されても便秘を誘発するいった副作用を引き起こさないことが認められている(下記実施例を参照)。従って、本発明の内服用製剤は、下痢症状と便秘症状とを交互に繰り返すような患者の下痢症状に対しても有利に使用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書の全体にわたって、単数形の表現は、特に他に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書中において使用される用語は、特に他に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられていることが理解されるべきである。
【0014】
本発明に用いられるオキセサゼイン(Oxethazaine)は、局所麻酔薬の一種として当該分野で公知の化合物であり、以下の化学式で表わされる。
【化1】

【0015】
またオキセサゼインについては、日本における医薬品公定書の第十四改正日本薬局方にもその記載がある。本発明には、当該日本薬局方に記載のものが最も好適に使用され得る。
【0016】
オキセサゼインは、例えば、米国特許第2780646号公報に記載の方法などによって製造することができる。またオキセサゼインには市販品も利用可能であり、例えば、SUN Pharmaceutical社、エーザイ株式会社などから容易に入手可能である。
【0017】
本発明の製剤を処方する際に用いられるオキセサゼインの総量は、本発明の効果を奏し得る限り特に制限はなく、また適用される被験体の年齢や状態などの種々の要因により適宜変動され得る。しかし生体への投与に問題がない範囲でより高い本願効果を奏するためには、好ましくは、オキセサゼインの総量が0.1〜100mg/1日量、より好ましくは1〜50mg/1日量、さらに好ましくは5〜40mg/1日量となるように処方される。
【0018】
上記の総量を含むように製剤を処方する際の、製剤全体に対するオキセサゼインの割合を例示すると、例えば、0.001〜80重量%、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%となり得る。
【0019】
本発明にはまた、アカメガシワ(Mallotus japonicus)およびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種が必須の成分として用いられる。アカメガシワは、温暖な地域に自生するトウダイグサ科の落葉高木であり、その葉や樹皮などが古くから民間薬として用いられている生薬植物の一種である。本発明では、アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種として、アカメガシワの任意の組織由来物が用いられ得るが、好ましくは、アカメガシワの樹皮由来物が用いられる。アカメガシワ樹皮に含まれる主な成分は、ベルゲニンなどのタンニン系化合物であることが公知である。またアカメガシワ(アカメガシワ樹皮抽出物)については、日本における医薬品公定書の第十四改正日本薬局方にもその記載がある。本発明には、当該日本薬局方に記載のものが最も好適に使用され得る。
【0020】
アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種は、例えば、アカメガシワの樹皮そのものであってもよいし、それを粉砕化して得られる粉末の形態のものであってもよいし、又はアカメガシワの樹皮から水やエタノールなどの溶媒を用いて抽出・精製されるアカメガシワ樹皮抽出物(アカメガシワ樹皮エキスともいう)であってもよい。好ましくは、本発明には、アカメガシワ樹皮抽出物が用いられる。アカメガシワ樹皮抽出物は、抽出液そのままのものであってもよいし、希釈もしくは濃縮したものであってもよいし、または乾燥した後、粉末化もしくはペースト状としたものであってもよい。取り扱いの利便性から、粉末もしくはペースト状のアカメガシワ樹皮抽出物が好ましく、最も好ましくは粉末のアカメガシワ樹皮抽出物である。
【0021】
アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種には市販品も好適に用いられ得、例えば、アカメガシワ樹皮抽出物などは、日本粉末社、小城製薬株式会社、アルプス薬品工業株式会社、日本新薬株式会社などから容易に入手可能である。
【0022】
本発明の製剤を処方する際に用いられるアカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種の総量は、本発明の効果を奏し得る限り特に制限はなく、また適用される被験体の年齢や状態などの種々の要因により適宜変動され得る。しかし生体への投与に問題がない範囲でより高い本願効果を奏するためには、好ましくは、アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種の総量が、原生薬換算量で1〜10000mg/1日量となるように、より好ましくは10〜7000mg/1日量となるように、さらに好ましくは100〜5000mg/1日量、特に好ましくは500〜5000mg/1日量となるように処方される。ここで原生薬換算量とは、その成分量を得るために必要な原生薬の重量(乾燥重量)をいう。従って、アカメガシワ樹皮抽出物の場合には、その抽出物の量を得るために必要な原生薬の乾燥重量が原生薬換算量となり、一方、アカメガシワの樹皮を乾燥させただけのものや、それを粉砕化しただけの粉末アカメガシワの場合には、それら自体の重量=原生薬換算量となる。
【0023】
例えば、アカメガシワ樹皮抽出物のみを用いる場合に原生薬換算量を上記の範囲内とするためには、使用するアカメガシワ樹皮抽出物自体の総量は、その原生薬からの抽出率によって多少変動するが、概ね、乾燥抽出物(乾燥エキス)であっても軟抽出物(軟エキス)であっても、0.1〜3000mg/1日量、より好ましくは1.0〜2000mg/1日量、さらに好ましくは10〜1500mg/1日量となるように処方される。
【0024】
また例えば、アカメガシワの樹皮を乾燥させただけのものや、それを粉砕化しただけの粉末アカメガシワを用いる場合には、使用するそれら自体の総量は、典型的には1〜5000mg/1日量、より典型的には10〜2500mg/1日量、さらに典型的には100〜1500mg/1日量となるように処方され得る。
【0025】
上述のような総量を含むように製剤を処方する際の、製剤全体に対するアカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種の原生薬換算量の割合を例示すると、例えば、0.01〜2800重量%、好ましくは0.1〜2000重量%、より好ましくは1〜1500重量%、さらに好ましくは7〜1400重量%となり得る。本発明において、アカメガシワ樹皮抽出物のみを用いる場合、アカメガシワ樹皮抽出物自体の総量の製剤全体に対する割合は、上記範囲よりもやや少なくてもよく、例えば、0.01〜99.5重量%、好ましくは0.1〜99.0重量%、より好ましくは0.5〜98.5重量%となり得る。
【0026】
本発明の製剤におけるオキセサゼインと、アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種との重量比は、本発明の効果を奏し得る限り特に制限はないが、好ましくは、オキセサゼイン1重量部に対して、アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種の原生薬換算量が0.3〜500重量部、より好ましくは1〜400重量部、さらに好ましくは10〜350重量部である。
【0027】
例えば、アカメガシワ樹皮抽出物のみを用いる場合に原生薬換算量を上記重量比の範囲内とするためには、その原生薬からの抽出率によって多少変動するが、概ね、乾燥抽出物(乾燥エキス)であっても軟抽出物(軟エキス)であっても、オキセサゼインとアカメガシワ樹皮抽出物自体との重量比は、オキセサゼイン1重量部に対して、アカメガシワ樹皮抽出物自体が0.1〜150重量部、より好ましくは0.5〜120重量部、さらに好ましくは1〜90重量部となるように処方される。
【0028】
また例えば、アカメガシワの樹皮を乾燥させただけのものや、それを粉砕化しただけの粉末アカメガシワを用いる場合には、それら自体の重量とオキセサゼインの重量との重量比は、典型的には、オキセサゼイン1重量に対して、それら自体の重量が0.3〜350重量部、より典型的には1〜200重量部、さらに典型的には10〜100重量部となるように処方され得る。
【0029】
本発明の内服用製剤は、必要に応じてさらなる種々の薬効成分を含み得るか、またはそれらと組み合わせて使用され得る。このような成分の種類や総量は特に制限されず、例えば、制酸剤、健胃剤、消化剤、整腸剤、他の止瀉剤、鎮痛鎮痙剤、ビタミン類、アミノ酸、他の生薬類などが例示できる。本発明において好適なさらなる成分としては例えば、次のような成分が例示できる。
【0030】
制酸剤:乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ヒドロタルサイト、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物などのマグネシウム系制酸剤、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウムおよび水酸化カルシウムなどのカルシウム系制酸剤、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等のナトリウム系制酸剤、ポリアミノメチレン樹脂等の陰イオン交換樹脂、ファモチジン、ラニチジンおよびシメチジン等のH2受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬、その他、胃ムチン、烏賊骨、石決明、牡蠣、アミノ酢酸、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、ロートエキスなど。
【0031】
健胃剤:アニス実、アロエ、茴香、鬱金、烏薬、延命草、黄ごん、黄柏、黄連、加工大蒜、ガジュツ、かっ香、キナ、ホミカ、ショウキョウ、カラムス根、乾薑、枳殻、只実、桂皮、ゲンチアナ、コウジン、厚朴、呉茱萸、胡椒、コロンボ、コンズランゴ、山椒、山奈、紫蘇子、縮砂、生姜、ショウズク、青皮、石菖根、センタウリウム草、センブリ、蒼朮、蘇葉、大茴香、大黄、竹節人参、丁字、陳皮、唐辛子、トウヒ、動物胆、ニガキ、ニクズク、人参、薄荷、ヒハツ、白朮、ホップ、ホミカエキス、睡菜葉、木香、益知、竜胆、良姜、クジン、ゴバイシ、サンザシ、ヨウバイヒ、赤芽柏、アセンヤク、ウバイ、ケツメイシ、ゲンノショウコ等の生薬;カルニチン、ネオスチグミン、ベタネコール、カルプロニウム、トラゾリン等の副交感神経興奮剤;メトクロプラミド、ドンペリドン、スルピリド等の抗ドパミン薬;トリメブチン、メントール、グルタミン酸など。
【0032】
消化剤:澱粉消化酵素、蛋白消化酵素、脂肪消化酵素、繊維素消化酵素、ウルソデオキシコール酸、オキシコーラン酸塩酸塩、コール酸、胆汁末、胆汁エキス、デヒドロコール酸、動物胆など。上記酵素としては、例えばジアスターゼ、パンクレアチン、ペプシン、プチアリン、β−ガラクトシダーゼ、アミラーゼ、トリプシン、パパイン、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、パンクレアチンなど。
【0033】
整腸剤:整腸生菌成分、アセンヤク、ウバイ、ケツメイシ、ゲンノショウコなど。
【0034】
他の止瀉剤:アクリノール、塩化ベルベリン、グアヤコール、クレオソート、サリチル酸フェニル、炭酸グアヤコール、タンニン酸ベルベリン、次サリチル酸ビスマス、次硝酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、タンニン酸、タンニン酸アルブミン、メチレンチモールタンニン、カオリン、天然ケイ酸アルミニウム、ヒドロキシナフトエ酸アルミニウム、ペクチン、薬用炭、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、アセンヤク、ウバイ、オウバク、オウレン、クジン、ゲンノショウコ、五倍子、サンザシ、センブリ、ヨウバイヒなど。
【0035】
鎮痛鎮痙剤:塩酸パパベリン、アミノ安息香酸エチル、臭化水素酸スコポラミン、臭化メチルスコポラミン、延胡索、甘草、厚朴、芍薬、臭化チメピジウム、塩酸オキシフェンサイクリミン、塩酸ジサイクロミン、塩酸メチキセン、臭化メチルアトロピン、臭化メチル−l−ヒヨスチアミン、臭化メチルベナクチジウム、ベラドンナエキス、ロートエキス、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、ロート根総アルカノイドクエン酸塩など。
【0036】
ビタミン類:ビタミンA類としては、例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピンおよびその薬理学的に許容される塩(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)など、ビタミンB類としては、例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニックアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトールまたはその薬理学的に許容されるこれらの塩(例えば、塩酸チアミン、硝酸チアミン、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、酪酸リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサールカルシウム、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムなど)など、ビタミンC類としては、例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、その誘導体またはその薬理学的に許容される塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウムなど)など、ビタミンD類としては、例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロールおよびその薬理学的に許容される塩など)など、ビタミンE類としては、例えば、トコフェロールおよびその誘導体、ユビキノン誘導体およびその薬理学的に許容される塩(酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウムなど)など、その他のビタミン類としては、例えば、ヘスペリジン、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリンおよびその薬理学的に許容される塩(塩化カルニチンなど)など。
【0037】
アミノ酸:例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、トレオニン、アラニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン、グルタミン酸、プロリン、チロシン、システイン、ヒスチジン、オルニチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、アミノエチルスルホン酸、並びにそれらの薬学上許容される塩(アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物、塩酸システインなど)など。
【0038】
他の生薬類:加工大蒜、ニンジン、ヨクイニン、カミツレ、ケイヒ、葛根湯、マオウ、ナンテンジツ、オウヒ、オンジ、カンゾウ、キョウニン、シャゼンジ、シャゼンソウ、セキサン、セネガ、トコン、バイモ、アセンヤク、ウイキョウ、オウゴン、カロニン、ケイヒ、ゴオウ、ゴミン、サイシン、シオン、ジャコウ、シャジン、ショウキョウ、ソウハクヒ、ソヨウ、チクセツニンジン、チンピ、ニンジン、バクモンドウ、ハンゲなど。
【0039】
上述のようなさらなる成分の含有量は、所望される効果や適用される被験体の年齢や状態などの種々の要因により適宜変動され得るが、例えば、製剤全体に対して0.001〜80重量%、好ましくは0.001〜30重量%、より好ましくは0.001〜10重量%などであり得る。
【0040】
本発明の内服用製剤の剤形は特に制限されず、通常使用され得る任意の剤形をとることができる。本発明の製剤は通常、固形剤、半固形剤または液剤であり、好ましくは固形剤または液剤(例えば、煎剤や浸剤など)であり、最も好ましくは固形剤である。例えば、本発明の製剤は、錠剤(素錠、糖衣錠、口腔内速崩壊錠、口腔内速溶解錠、チュアブル錠、発泡錠、トローチ剤、ドロップ剤、フィルムコーティング錠などを含む)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤などの剤形であり得、より好ましくは錠剤の剤形であり得、特に好ましくは、下痢の症状を感じたときに水なしでも手軽に服用することのできる口腔内速崩壊錠、口腔内速溶解錠、チュアブル錠などのような剤形、またはオキセサゼインやアカメガシワの不快な味を遮断することができる糖衣錠やフィルムコーティング錠などのような剤形とするのがよい。
【0041】
本発明の内服用製剤は、本発明の効果および製剤的な安定性などを損なわない限り上記成分の他に、用途あるいは剤形などに応じて、医薬品、医薬部外品、食品に通常使用され得る任意の成分を適宜配合しても良い。配合できる成分としては、特に制限されないが、例えば、担体成分または添加剤などが挙げられ、固形剤における担体成分または添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味剤、界面活性剤、可塑剤、甘味剤、着香剤の他、崩壊補助剤、発泡剤、吸着剤、防腐剤、湿潤剤、帯電防止剤などが例示できる。また、液剤における担体成分または添加剤としては、例えば、溶剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、前記界面活性剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、着香剤の他、防腐・抗菌剤、キレート剤、可溶化剤又は溶解補助剤、安定化剤、流動化剤、乳化剤、増粘剤、緩衝剤、等張化剤、分散剤などが例示できる。以下に任意に配合できる成分を具体的に例示するが、これらの成分に限定されるものではない。
【0042】
賦形剤:D−ソルビトール、マンニトール、キシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖、果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、βーシクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、カオリンなど。賦形剤としては、マンニトールやクロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸が好ましいが、特に限定されない。
【0043】
崩壊剤:低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプンなど。
【0044】
結合剤:メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリル酸系高分子、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなど。
【0045】
滑沢剤:ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウ、サラシミツロウなど)。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウムが好ましいが、特に限定されない。
抗酸化剤:ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、クエン酸など。
【0046】
コーティング剤:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタートジエチルアミノアセテート、セラックなど。
【0047】
着色剤:食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用黄色4号金属レーキ、銅クロロフィンナトリウム、リボフラビン、ウコン抽出液、カロチン液など。
矯味剤:アスパルテーム、アスコルビン酸、ステビア、メントール、カンゾウ粗エキス、単シロップなど。
【0048】
界面活性剤:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類、ショ糖脂肪酸エステルなど。
可塑剤:クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、トリアセチン、セタノールなど。
甘味剤:ショ糖、マンニトール、アスパルテームなどの天然又は合成甘味剤。
着香剤:メントール、カンフル、ボルネオール、シンナムアルデヒドなど。
【0049】
溶剤:水、エタノール、イソプロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールなど。
【0050】
pH調整剤:クエン酸、リンゴ酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二カリウムなど。
清涼化剤:l−メントール、ハッカ水など。
懸濁化剤:カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロース、トラガントなど。
消泡剤:ジメチルポリシロキサン、シリコン消泡剤など。
粘稠剤:キサンタンガム、トラガント、メチルセルロース、デキストリンなど。
溶解補助剤:エタノール、ショ糖脂肪酸エステル、マクロゴールなど。
【0051】
本発明の内服用製剤は、当該技術分野における慣用の方法をそのまま又は適宜応用して製造することができる。例えば、錠剤であれば、粉末状の活性成分と製薬上許容される担体成分(賦形剤など)とを混合して直接的にこの混合物を圧縮成形することにより調製でき(直打法)、ドロップ剤は型に注入する方法で調製してもよい。さらに、固形剤のうち顆粒剤などの粉粒剤は、種々の造粒法(押出造粒法、粉砕造粒法、乾式圧密造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、高速攪拌造粒法など)により調製してもよく、また錠剤は、かかる造粒法と打錠法(湿式打錠法など)等を適当に組み合わせても調製できる(間接圧縮法)。さらに、カプセル剤は、慣用の方法により、カプセル(軟質又は硬質カプセル)内に粉粒剤(粉剤、顆粒剤など)を充填することにより調製できる。錠剤は、コーティングを施し、糖衣錠やフィルムコーティング錠としてもよい。さらに、錠剤は単層錠であっても、二層錠などの積層錠であってもよい。液剤は、各成分を担体成分である水性媒体(精製水、熱精製水、エタノール含有精製水など)に溶解又は分散させ、必要により加熱、濾過、布ごし又は滅菌処理し、所定の容器に充填し、滅菌処理することなどにより調製できる。
【0052】
本明細書中において「製剤」とは、例えば、医薬品、医薬部外品、食品などに幅広く利用することができる任意の製剤であり得る。例えば、本発明の製剤は、医薬製剤、医薬部外品製剤、または特定保健用食品、栄養機能食品、老人用食品、特別用途食品、機能性食品、健康補助食品(サプリメント)もしくは製菓錠剤などのような食品用製剤などであり得る。好ましくは、本発明の製剤は、医薬製剤である。
【0053】
後述の実施例に示すように、オキセサゼインとアカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを組み合わせて用いることにより、下痢症状に対する止瀉効果が顕著に高められることが明らかになっており、その効果を利用して本発明の内服用製剤は、下痢の症状を治療および/または予防することができる。従って、本発明の内服用製剤は、下痢を治療および/または予防するために(すなわち、止瀉剤として)用いることができ、好ましくは、下痢を治療するための止瀉剤として用いられ得る。
【0054】
本発明の内服用製剤は、腸管運動の過亢進により便が腸管内を異常に速く通過したり、糞便の水分吸収が上手くいかなかったり、腸管で水分が過剰に分泌されたりすることなど任意の機構によって発生する下痢に対して用いられ得るが、好ましくは、腸管運動の過亢進により便が腸管内を異常に速く通過することで発生する下痢に対して用いられる。
【0055】
多くの疾患や医学的処置・治療などが、腸管運動の過亢進を引き起こすことにより便の急速通過を招き、下痢を発症させることが公知である。そのような疾患としては、例えば、甲状腺機能亢進症やゾリンジャー−エリソン症候群などが挙げられ、またそのような医学的処置・治療としては、胃や小腸や大腸の部分切除、胃潰瘍治療のための迷走神経切断、腸のバイパス手術、マグネシウムを含む制酸薬、プロスタグランジン、セロトニン、カフェインなどの薬の投与などが知られている。また例えば、特定の食物に耐性がなくそれを摂取した後に下痢を起こした患者などでも、このような腸管運動の過亢進により便の急速通過を招いて下痢が起こっていることが多く、特に酸性の食物で、このようなタイプの下痢が起こりやすいとされている。さらに、ストレスや不安などで下痢を起こした患者でも、腸管運動の過亢進により便の急速通過を招いて下痢になっていると考えられている。
【0056】
さらに後述の実施例に示すように、オキセサゼインとアカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを併用して生体に投与された場合、強力な止瀉剤を用いたときによく観察される便秘誘発のような副作用は認められなかったことが明らかとなっている。従って、オキセサゼインとアカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを併用する本発明の内服用製剤は、主として下痢症状に苦しむ患者(例えば、IBSの下痢型における下痢症状など)に対して使用され得ることは当然のことながら、例えばIBSの交替型などにおけるような下痢症状と便秘症状とを交互に繰り返しがちな患者に対しても、便秘を誘発し難いその特性から好適に使用され得る。
【0057】
本発明の内服用製剤は、定期的に連続投与(例えば、その剤形や投与の必要性などに応じて、1日あたり1回から複数回(例えば、2回、3回など)に分けて投与)して用いられてもよいし、または下痢の症状を感じた時に非定期的な応急処置として単回投与して(すなわち、頓服で)用いられてもよい。本発明の内服用製剤では、止瀉効果が著しく増強されているので、比較的少数回の使用であったとしても十分な効果が期待でき、例えば、急激な下痢症状を感じた時に緊急に1回頓服するだけでもかなりの改善効果が期待できる。本発明の内服用製剤は常法に従い、経口投与される。
【0058】
さらに本発明は、オキセサゼインと、アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを組み合わせてなる内服用製剤を提供する。オキセサゼインとアカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを併用することにより強力な止瀉効果が得られるという本願効果を得るために、オキセサゼインと、アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とは、必ずしも単一の製剤中に一緒に含まれている必要はなく、複数の製剤中に各別に含有してそれらを併用するように組み合わせてなる内服用製剤であってもよい。オキセサゼインとアカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを組み合わせてなる本発明の内服用製剤は、併用する複数製剤中の全体として、オキセサゼインとアカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを必須成分として含有する。この併用する複数製剤中の全体における、オキセサゼインや、アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種の総量、割合、重量比などは前述と同様の範囲内であり得、またさらなる他の薬効成分、担体成分、添加剤なども前述と同様のものが用いられ得る。
【0059】
オキセサゼインとアカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを組み合わせてなる本発明の内服用製剤は、オキセサゼインを含有する内服用製剤とアカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する内服用製剤とを一緒に(同時に又はほぼ同時に相前後して)服用する旨の表示物(説明書、添付文書、包装体上の表示等)を付随する。従って、オキセサゼインとアカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを組み合わせてなる本発明の内服用製剤は、オキセサゼインを含有する内服用製剤と、アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する内服用製剤とを含有し、その両製剤を一緒に服用する旨の表示物を付したキットなどの形態であり得る。
【実施例】
【0060】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0061】
実施例1:
下痢マウスモデルを用いた、止瀉効果検定
5週齢のICR系雄性マウス(日本エスエルシー(株)から購入)を1週間馴化飼育し、実験に使用した。馴化および実験期間中を通じて、動物飼育室の飼育条件は、室温23±2℃、湿度55±15%、換気回数は15回/時間、照明時間は1日あたり12時間(7:00〜19:00)とした。固形飼料(CE−2、日本クレア(株)製)および水は、自由に摂取させた。
【0062】
本実施例では、マウスにおいて下痢を誘発するために、プロスタグランジンE2(PGE2)(Cayman社製)を使用した。PGE2は、動物において腸管運動を過亢進することにより下痢を誘発することが公知の成分であり、下痢動物モデルの作製によく使用される成分である。
【0063】
まず、PGE2をEtOHに溶解し、生理食塩水で希釈して、PGE2溶液(5%EtOH/95%生理食塩水に溶解)を作製した。被験薬として用いるオキセサゼイン(SUN Phrmaceutical社製)は、蒸留水に懸濁してオキセサゼイン溶液とした。同じく被験薬として用いるアカメガシワ(日本粉末社製、アカメガシワ樹皮抽出物)も同様に蒸留水に懸濁してアカメガシワ溶液とした。
【0064】
6週齢となった上記マウス(平均体重約29.9g)を、一夜絶食して用いた。まず、28匹のマウスを1群あたり7匹として4つの群に分けた。次いで、これら28匹すべてのマウスに対し、上記PGE2溶液を、PGE2の投与量が0.3mg/kg体重となるように腹腔内投与した。第1群のマウスには、PGE2投与後直ぐに、上記オキセサゼイン溶液を経口投与した(オキセサゼイン単独投与群)。この第1群に対するオキセサゼインの投与量は、15mg/kg体重とした。第2群のマウスには、PGE2投与後直ぐに、上記アカメガシワ溶液を経口投与した(アカメガシワ単独投与群)。この第2群に対するアカメガシワの投与量は、アカメガシワ樹皮抽出物自体の重量で557mg(原生薬換算量4456mg)/kg体重とした。第3群のマウスには、PGE2投与後直ぐに、上記オキセサゼイン溶液及び上記アカメガシワ溶液を一緒に経口投与した(オキセサゼインとアカメガシワの併用群)。この第3群に対するオキセサゼインの投与量は15mg/kg体重とし、アカメガシワの投与量はアカメガシワ樹皮抽出物自体の重量で557mg(原生薬換算量4456mg)/kg体重とした。第4群のマウスには、オキセサゼイン溶液もアカメガシワ溶液も与えず、代わりに蒸留水10ml/kg体重を与えた(コントロール群)。
【0065】
投与後2時間以内に排泄された便の性状を観察した。便性状スコアは、観察時間内に排泄された便それぞれについて、以下の基準に従ってスコア付けした;
・正常(水分含量約40〜60%;形、硬さともに正常):0スコア、
・軟便(水分含量約60〜80%;形は保つが軟らかい状態か、あるいは形が少し崩れるが1箇所に留まる程度の状態):1スコア、
・水様便(水分含量約80%以上;形を保てないほど水分を含んだ状態):2スコア。
【0066】
maxスコアとして、各個体で観察時間内に排泄された便のうち最も性状が悪化したもののスコアをとり、各群においてその平均値を算出した。また、aveスコアとして、各個体で観察時間内に排泄された便それぞれのスコアを合算したものを排便個数で除算した平均スコアを出し、その各群における平均値を算出した。さらに、下痢の割合(%)として、各個体で観察時間内に排泄された便のうち水様便(便性状スコア2)であった便の個数の割合を出し、その各群における平均値を算出した。
【0067】
統計的な処理については、第1〜3群(被験薬投与群)と第4群(コントロール群)との間でDunnett’s testを行い、危険率5%以下(p≦0.05)の場合を有意差ありと判定した(図1〜3において、#はp≦0.05、##はp≦0.01を示す。)。
【0068】
この結果を、図1〜3に示す。図1〜3に示されるように、オキセサゼインとアカメガシワの併用群(第3群)では、3つの評価項目のいずれをとっても、オキセサゼイン単独投与群(第1群)やアカメガシワ単独投与群(第2群)と比較して、著しい数値の低下が認められた。例えば下痢の割合についてみると、オキセサゼインもアカメガシワも投与していないコントロール群(第4群)では、観察時間内に排泄された糞便の約半分(50.61%)が水様の下痢便であり、オキセサゼイン単独投与群(第1群)では47.62%まで、そしてアカメガシワ単独投与群(第2群)では29.08%までしかその割合を抑えることはできなかったが、オキセサゼインとアカメガシワを併用することにより、その割合が驚くべきことに8.44%まで抑えられることが明らかとなった。
【0069】
さらに、オキセサゼインとアカメガシワの併用群(第3群)において、一般に強力な止瀉剤を用いた場合によく観察される便秘の副作用は、特に認められなかった。
【0070】
以下に製剤実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
【0071】
実施例2 (フィルムコーティング錠):
オキセサゼイン 15 重量部
アカメガシワ樹皮抽出物(粉末) 625.0 重量部(原生薬換算量5000重量部)
トウモロコシデンプン 84.85重量部
アビセルPH101 12.8 重量部
アドソリダー101 3.6 重量部
ステアリン酸マグネシウム 3.6 重量部
HPMC 29.6 重量部
酸化チタン 1.85重量部
黄色三二酸化鉄 0.74重量部
マクロゴール 2.96重量部
上記成分を日本薬局方製剤総則「コーティング錠剤」に準じて製し、1錠あたり260mgとなるように製して錠剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として3錠を服用する。
【0072】
実施例3 (錠剤):
オキセサゼイン 15重量部
アカメガシワ樹皮抽出物(粉末) 62.5重量部(原生薬換算量500重量部)
乳糖 210重量部
トウモロコシデンプン 458.75重量部
ステアリン酸マグネシウム 3.75重量部
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり250mgとなるように製して錠剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として3錠を服用する。
【0073】
実施例4 (錠剤):
オキセサゼイン 5重量部
アカメガシワ樹皮抽出物(粉末) 62.5重量部(原生薬換算量500重量部)
還元麦芽糖水アメ 3352.5重量部
ステアリン酸マグネシウム 180重量部
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり1200mgとなるように製して錠剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として3錠を服用する。
【0074】
実施例5 (錠剤):
オキセサゼイン 15.0重量部
アカメガシワ樹皮抽出物(粉末) 558.0重量部(原生薬換算量5000重量部)
マンニトール 372.0重量部
クロスカルメロースナトリウム 52.5重量部
ステアリン酸マグネシウム 52.5重量部
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり350mgとなるように製して錠剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として3錠を服用する。
【0075】
実施例6 (顆粒剤):
オキセサゼイン 40重量部
粉末アカメガシワ 1500重量部
結晶セルロース 150重量部
トウモロコシデンプン 77重量部
カルメロースカルシウム 60重量部
タルク 18重量部
上記成分を日本薬局方製剤総則「顆粒剤」に準じて製し、1包あたり615mgとなるように製して錠剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として3包を服用する。
【0076】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示した。しかし本願発明は、添付の特許請求の範囲の記載によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、それらの内容が具体的に本明細書に記載されているのと同様に、その内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、下痢マウスモデルを用いた止瀉効果検定の結果(maxスコア)を示すグラフである。
【図2】図2は、下痢マウスモデルを用いた止瀉効果検定の結果(aveスコア)を示すグラフである。
【図3】図3は、下痢マウスモデルを用いた止瀉効果検定の結果(下痢の割合)を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)オキセサゼインと、(B)アカメガシワ(Mallotus japonicus)およびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを含有する内服用製剤。
【請求項2】
(A)オキセサゼインと、(B)アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種とを組み合わせてなる内服用製剤。
【請求項3】
(A)オキセサゼイン1重量部に対して、(B)アカメガシワおよびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種の原生薬換算量が0.3〜500重量部である、請求項1または2に記載の内服用製剤。
【請求項4】
下痢を治療および/または予防するために用いられるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内服用製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−145731(P2007−145731A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339489(P2005−339489)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】