説明

止血剤組成物および供給方法

血液凝固タンパク質および血小板に比べて不活性で、非反応性の粘土止血剤を含んでいる止血剤組成物は、盛んに出血する創傷に適用された時、安定した凝血塊の形成を促進することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への索引
本出願は、2006年1月9日に出願された米国仮特許出願第60/757,459号の米国特許法第119条(e)の下の優先権に基づいて、2006年6月15日に出願された米国特許出願第11/453,524号の部分継続出願であり、そして、本出願は、また2007年8月16日に出願された米国仮特許出願第60/964,955号の米国特許法第119条(e)の下の優先権を主張する。これらの開示は、参照によって全体として本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
1.本発明の技術分野
本発明は、止血剤供給組成物およびシステムに関する。組成物は、ヘクトライト粘土および許容可能なキャリア組成物を含む。1つの供給システムは、小袋または容器を持つ供給アセンブリを含み、小袋は、可溶性物質で作られた被覆放出部材と結合する支持部材によって少なくとも部分的に画定されている。さらに具体的には、止血剤供給システムは、止血剤が出血原因に直接供給されるように構築され、そしてそこでは、止血剤が血液凝固を促進し、かつ出血を終了させるために、出血原因に集中され、保持される。
【0003】
別の供給システムは、組成物を収容する注射器または放出器を含む。組成物は、注射器から傷口に直接適用されてもよいし、あるいはカテーテル、チューブなどによって出血箇所内あるいはその付近に向けられてもよい。
【0004】
2.関連技術の説明
過剰な出血をもたらす損傷は、迅速にあるいは適切に処置されなければ、しばしば致命傷になることが昔から知られている。不幸にも、この事実は、時代を通じて数多くの武力紛争の間に集められたデータによってよく支持されている。例えば、ベトナム戦争中に2,500人以上の兵士達が、単に彼らが死亡するまで血を流したという理由で、四肢創傷から死亡したことが報告されている。軍事データは、また、戦闘員犠牲者の約50%が出血から死亡し、かつ大多数が負傷から30分間以内に死亡したことを示している。その50%、約60%が最初の5分間以内に死亡する一方、残りの人たちは適切に処置されなければ1時間以内に死亡することも報告されている。
【0005】
加えて、出血のために毎年7千万以上の緊急治療室への訪問があると推定されている。上記のように、戦闘中に受けた損傷に関して、一般市民の間でも外部創傷性の症例の場合は、出血または急性大量出血が主な死亡原因である。
【0006】
そのように、大量出血の迅速かつ有効な制御が生命を救うことは明らかである。そのような迅速かつ有効な出血制御の必要性に取り組む試みは、出血の迅速制御を促進することを目的とする、多くのいわゆる止血性包帯および他の製品の開発をもたらした。
【0007】
1つのそのような製品は、火山性溶岩から得られるであろう粒状ゼオライト物質を含んでいる。この物質は、出血創傷に入れられ、そこで血液から水分子を吸収し、それによって血液凝固を促進する高血小板凝縮を生み出す。しかしながら、このゼオライトによって影響される吸収プロセスは、ゼオライトの鉄成分との反応に起因する多量の熱を生成する高発熱反応であることが立証されている。より詳しくは、この物質の使用後に90°〜100°Cの範囲の温度が報告されており、イラクにおいて負傷しこの製品で治療された兵士達に第二度熱傷が生じている。この製品を投与するこれらの人々と同様に、この製品を投与する兵員であっても、同様のものを投与することを訓練され、かつ認証されなければならない。
【0008】
この製品のさらなる欠点は、ゼオライト物質が開口傷に対して単に注入するように包装されていることである。しかしながら、主要動脈裂傷によって起こるような重大な大量出血の場合、創傷に現れる血圧が単に物質を散乱させ、それによってそこにおける血液凝固特性の有効性を最小化および/または無効化する。別の欠点は、ゼオライトの効果が血液との最初の接触で使い尽くされ、出血を止めることなしに実際の創傷原因に離れたところに凝血隗が形成されるということである。そのうえ、この製品の他の欠点は、ゼオライト物質はもともと粒状であり、負傷した人が手術室または他の治療施設に一旦運ばれたときには、創傷領域の注水および/または吸水のような通常のやり方で創傷から物質を続いて取り除くことを困難にすることである。
【0009】
他の製品は、甲殻類の外骨格から得られるキトサンでできている。出血制御におけるこの装置の有効性についての報告は、矛盾する。特に、顕著な血液喪失に続くショックから起こるかもしれないような患者の低体温の場合には、その有効性は大幅に減少または消失することが報告されている。加えて、この装置の不適切な適用が報告されている。例えば、装置が傷口に逆さまに配置されることにより、創傷が活性表面によって接触されない。この製品は生体に由来するので、それはその間に利用されるかまたは処分されなければならないきわめて限られた保管期間を持ち、各装置のコストが顕著となる。これは、さらに考えられる欠点である。
【0010】
他のタイプの止血性包帯は、単細胞藻類から製造され、ポリ−N−アセチルグルコサミンを含んでいる。この装置は、四肢外部創傷からの大量出血を迅速かつ有効に制御および/または停止するための最小限の訓練を人々に施すことを可能にする構造を持つ。より詳しくは、物質が血液に接触したときに、それが血小板凝集および、創傷の付近で血管を収縮するように刺激するトロムボクサーネ(tromboxane)の身体からの分泌の活性化を刺激することが報告されている。換言すれば、ポリ−N−アセチルグルコサミン物質は、正常な血液凝固プロセスを活性化する触媒として働き、それによって身体に出血の自己制御を活性化させる。再言すると、この製品は生体に由来するので、それはその間に利用または処分されなければならない限られた保管期間を持つ。さらに、患者が低体温の場合には、上記例におけるように、その有効性は疑わしい。
【0011】
創傷に直接的に適用される、すなわち、注入される構造を持つ他の物質は、ポテトでんぷんから合成される。報道によれば、粒子は、血液凝固を促進するように同じものの周りでゲルを形成するように血液固体を濃縮させることによって自然血液凝固を促進する。特に、血液成分のより大きな粒子は、合成ポテトでんぷん製品の表面で濃縮され、それによって血液凝固の加速を促進する。既述したように、この物質も粉状であり、ゼオライト物質について述べたように、蛇腹タイプの投与器を用いて出血創傷に直接的に適用されている。しかしながら、主要動脈からのような過度の出血の場合には、創傷から流れる血液の血圧は、粉末を撒き散らすのにしばしば十分であり、それによって、再び、合成ポテトでんぷん物質による処置の後に適用された標準的な包帯および圧力で傷口がカバーされていようと、そこに現れる血液凝固特性を最小化または無効化する。
【0012】
さらに、他の粉末状物質は、牛由来のトロンビン物質と組み合わせられた親水性ポリマーおよびカリウム塩で構成されている。この粉末も、様々な小さな創傷のための研究に基づいて、被覆包帯を必要とすることなしに接触して出血を止めることが報告されている。しかしながら、他の"注入"タイプ製品に関して既述したように、どのような顕著な出血の場合でも、血圧それ自体は製品を撒き散らしやすく、それによって作用するように意図されているどのような止血剤も減少または無効にする。
【0013】
TraumaCure(ベセスダ、メリーランド州)から特許が取られた1つの製品は、気球装置である。空気を抜かれた気球は、創傷入口を通って挿入され、次に、創腔にいる間に膨張され、創傷壁および出血原因に対して圧力をかける。
【0014】
前述を考慮すると、最小限の訓練を受けた兵員によって迅速かつ適切に適用されるであろう、主要動脈の大量出血を含む大量出血の迅速、有効、かつ効率的な制御のためのシステムを提供することは顕著な利益をもたらすことは明らかである。より詳しくは、出血を制御するために傷口に止血剤の有効量を保持する機構を提供すると同様に、傷口に直接的に止血剤の有効量を供給するためのシステムを提供することは有益であろう。また、創傷に適用されたときに実質的に無反応および低刺激性である止血剤を含むことは、そのようなシステムにとって利点であるだろう。さらに、そのようなシステムに採用される止血剤は、無反応態様で、すなわち血液との発熱反応無しに、かつそれに伴う局所温度の増加無しに、血液凝固を促進する。そのうえ、無機的である止血剤をそのようなシステムに提供することによって、他の利点が実現されるかもしれず、それによって実質的に無期限の保管期間の利益を得ることになる。
【0015】
発明の要約
本発明は、出血箇所での血液凝固および大量出血の停止を促進するように、例えば、破裂動脈といった出血箇所に直接的に止血剤を供給する構造を持つ止血剤組成物および供給システムを対象とする。そのように、本発明の止血剤供給システムは、再び、血液凝固を促進し大量出血を停止するために、出血箇所に止血剤を集中および保持するようにさらに構成されている。
【0016】
本発明の組成物は、容易に経済的に製造され、従って値段を付けられ、消費者および一般大衆にこれらの人命救助発明へのより大きなアクセスを与えている。
【0017】
本発明の供給システムの少なくとも1つの実施例は、血液凝固を促進する構造を持つ少なくとも1つの止血剤を含む。より詳しくは、本発明の少なくとも1つの止血剤は、スメクタイト粘土物質を含んでいる。少なくともさらに1つの実施例では、ヘクトライト粘土が止血剤として利用される。本発明は、さらに以下で論じられるように、単独での、または1つ以上の添加剤と組み合わせての止血剤としての粘土物質の利用を包含している。
【0018】
出血箇所への止血剤の供給を促進するために、本発明の供給システムは、少なくとも止血剤が出血箇所の付近に供給されるまで、止血剤のある量を少なくとも一時的に収容する構造を持つ供給アセンブリをさらに含んでいる。供給アセンブリは、少なくとも1つの実施例において、支持部材を覆うように配置された放出部材を含む。より詳しくは、放出部材および支持部材は、それらの間に止血剤を少なくとも一時的に収容するように協働的に構成され、放出部材および支持部材は、それぞれの周辺に取り付けられる。
【0019】
本発明の供給アセンブリによって1つ以上の止血剤を放出可能に収容することを成し遂げるために、放出部材は、出血箇所に直接的に近接した配置で止血剤を少なくとも部分的に溶解および放出する構造を持つ可溶性物質を含んでいる。少なくとも1つの実施例では、放出部材は、ほんの一例として、ポリビニルアルコール物質のような可溶性ポリマー物質を含む。
【0020】
出血箇所に直接的に近接して止血剤のある量を供給することをさらに促進するために、本発明の供給アセンブリは、また、支持部材の外表面に取り付けられたハンドル部材を含んでいる。ここにおいて、ハンドル部材は、ユーザによる供給システムの取り扱いを助ける構造を持つ。本発明の少なくとも1つの実施例は、ユーザによるハンドル部材の配置または識別を助けるための可視表示を持つハンドル部材を含む。この特徴は、戦場、野戦治療ユニット、または病院の緊急治療室のような、本発明の止血剤供給システムが利用される、非常に忙しい、そしてしばしば混沌とした環境で決定的に重要な意味を持つことが証明されるだろう。
【0021】
本発明は、選鉱されたヘクトライト粘土物質を含んでいる止血剤のある量を出血箇所に直接的に近接して供給するステップを含む出血箇所に止血剤を適用する方法をさらに包含する。この方法は、さらに、出血箇所の形状に実質的に適合させるように止血剤のある量を集中させること、およびこの箇所での血液凝固を促進し、かつ大量出血を停止するように、止血剤のある量を出血箇所に実質的に塞ぐように保持することを含む。この方法は、さらに、いったん患者が安定され、例えば、固定施設手術室または野戦手術ユニットに移送されると、標準的な注水および吸水手順によって出血箇所から止血剤を取り除くことを備えている。既述したように、本発明の止血剤は、いったん大量出血が停止すると、患者が移動できるように、安定凝血塊を形成する構造を持つ。
【0022】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、詳細な説明とともに図面を考慮することによってより明確になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の本質をより十分に理解するために、添付図面に関連して参照は次の詳細な説明を考慮されるべきであろう:
【図1】本発明に従う止血剤供給システムの1つの好ましい実施例の斜視図である。
【図2】図1の実施例の部分分解図である。
【図3】本発明に従う止血剤を適用する方法の図表表現である。図面の複数の図を通して、同様の参照符号は同様の部分を参照する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
既述したように、本発明は、図面において一般的に10で示される、出血箇所に直接的に近接して止血剤を供給することを促進する構造を持つ止血剤供給システムを対象とする。より詳しくは、本発明は、最小限の訓練を受けた兵員によって、戦場で傷ついた兵士のような負傷した人の血液凝固の促進、大量出血の制御および/または停止に迅速かつ有効に利用されるだろう止血剤供給システム10を対象とする。以下から明らかになるように、本発明の止血剤供給システム10は、その使用において最小限の指示を受けた兵員が、供給アセンブリ20を出血箇所に直接的に近接して配置することを助けるように、供給アセンブリ20の正しい位置を容易に特定することができるように構成されている。
【0025】
出血箇所での過剰な出血を減少および/または停止するために、本発明の止血剤供給システム10は、少なくとも1つの止血剤12を含んでいる。もちろん、それは、本発明の範囲および意図内において、1つ以上の止血剤12の性能を高めることが望ましいように、複数の止血剤12、または1つ以上の止血剤12と1つ以上の添加剤との組合せで構成されている。一例として、本発明の止血剤12は、少なくとも1つの実施例において、止血剤12によって血液から水分の吸収を高める構造を持つヒドロキシエチル細胞性添加剤を含んでいる。それによって、凝血塊形成の速度、および出血の停止を増大させる。既述したように、出血は、軍事および民間の負傷者の両方における死亡の主要な原因であり、本発明は、大量出血の迅速かつ有効な制御および/または停止を可能にさせ、生命を救うことが証明される。
【0026】
本発明の少なくとも1つの実施例において、少なくとも1つの止血剤12は、スメクタイト粘土を含んでいる。スメクタイトは、モンモリロナイト、ヘクトライト、およびサポナイトとしても知られているベントナイトを含む、自然に発生した層状の膨張粘土のファミリーである。関連する粘土であるカオリナイトは、前述のものより吸収性が少なく、膨張する。より詳しくは、スメクタイト粘土は、水中で膨張し、レオロジー添加剤として広く使用される層状ケイ酸塩である。具体的に、ケイ酸プレートレットは、金属酸化物層を埋め込む2層のケイ酸二酸化物層である3層からなる。ベントナイト粘土において、金属酸化物層は主にアルミニュームであり、これに対してヘクトライト粘土において、金属酸化物層は、マグネシウムを含んでいる。さらに重要なことは、ベントナイトは、重量比約4%の第二鉄および第一鉄の酸化物を含んでいてもよい。ヘクトライト粘土は、実質的に鉄フリーであり、一般的には重量で1パーセントの半分(<0.50%)より少なく含んでいる。鉄の存在が吸収プロセスにおける止血剤と体液との間の発熱反応を促進すると信じられていることが重要である。本発明に関連して使用するためのヘクトライト粘土のさらなる利点は、高度に選鉱することができることである。すなわち、ヘクトライト粘土の粒子サイズは、同様なベントナイト粘土のそれの約10%に精製され、かつ細かく挽かれることができる。本発明の1つの好ましい実施例は、止血剤12として選鉱されたヘクトライト粘土を含んでいる。より詳しくは、本発明は、ニュージャージのハイツタウンのエレメンティス・スペシャリティス(Elementis Specialties)から入手できる高度に選鉱されたヘクトライト粘土であるBentone EW(登録商標)を含んでいることができる。Bentone EW(登録商標)は、1立方センチメートル当たり約2.5グラムの密度(g/cm)を持ち、さらに重要なことは、この物質の約94%またはそれ以上の粒子サイズ分布が200メッシュスクリーンサイズより小さいことである。
【0027】
もちろん、既述したように、本発明は、複数の止血剤12を含む止血剤供給システム10で構成されている。一例として、少なくとも1つの実施例は、ベントナイト粘土、またはヘクトライトおよびベントナイト粘土の様々な割合での組み合わせで構成されていてもよい。また、既述したように、その止血特性を高めるために、1つ以上の添加剤が止血剤12と組み合わせられていてもよい。ほんの一例として、本発明のさらに好ましい一実施例において、止血剤12は、ヒドロキシエチル細胞性添加剤と組み合わされた高度に選鉱されたヘクトライト粘土を含んでいる。より詳しくは、1つの好ましい実施例の止血剤12は、再びエレメンティス・スペシャリティス(Elementis Specialties)から入手できるBentone LT(登録商標)を含んでいる。
【0028】
本発明で使用する止血剤12を選択するために重要な考慮事項は、開放創傷、およびそこから放出される血液または他の体液に接触して配置するときに、止血剤12が実質的に不活性および無反応であることである。より詳しくは、既述したように、ヘクトライト粘土は、ある顕著な程度まで鉄成分を含まない結果、それらは、水、血液、または他の水性または体性の流体に触れるときに実質的に非発熱である。加えて、選鉱されたヘクトライト粘土の粉末状物理構造のゆえに、出血箇所に適用されると、安定凝血塊の形成を助けるのに役立つ。具体的に、Bentone EW(登録商標)は、選鉱プロセスで微粉末に精製および粉砕され、それによって、血液凝固を促進し、出血箇所に安定凝血塊を形成するように血小板を集中するために、物質の有効表面領域を増加させ、血液の水分を取り除く吸収能の増加を結果する。豚に実施された試験において、本発明に従う止血剤供給システム10および止血剤12を利用することにより、破裂大腿動脈からなる出血箇所に安定凝血塊が形成された。
【0029】
本発明の止血剤供給システム10は、出血箇所に直接的に近接して止血剤12のある量を配置することを助ける構造を持つ供給アセンブリ20をさらに含んでいる。より詳しくは、供給アセンブリは、出血箇所に供給するための止血剤12のある量を放出可能なように収容する構造を持つ。1つの好ましい実施例において、供給アセンブリ20は、対向して配置された支持部材22を覆うように配置された放出部材24を含む。放出部材は、支持部材22に、およびその周辺に取り付けられる。より詳しくは、放出部材24および支持部材22は、図1に示されるように、出血箇所に供給するための止血剤12のある量を、少なくとも一時的に収容するために協働的に構成されている。
【0030】
少なくとも1つの実施例において、支持部材22は、一例として、固着防止ガーゼパッドのような滅菌包帯からなる。当然のことながら、本発明の性質を考えれば、供給システム10を構成する各部品は、出血箇所が外部汚染に晒されないことを保証する適正な手続きを利用して滅菌および包装されるだろう。さらに、当然のことながら、滅菌ガーゼパッドからなる支持部材22は、そこからの大量出血の減少および停止を促進するように創傷を塞ぐために、本発明の止血剤供給システム10を実質的に創傷の形状に一致させることを助けるだろう。
【0031】
次に、本発明の放出部材24を見ると、放出部材24は、創傷から流れ出る血液のような水溶液と接触すると少なくとも部分的に溶解する構造を持つ構成の可溶性物質を含んでいる。溶解時に、本発明の放出部材24は、出血箇所に直接的に近接した供給アセンブリ20から迅速かつ有効な態様で止血剤12のある量を放出するだろう。少なくとも1つの実施例において、本発明の供給アセンブリ20は、体液および血液中にそれらとともに溶解する構造を持つ可溶性ポリマー物質で構成された放出部材24を含んでいる。
【0032】
1つの好ましい実施例において、放出部材22は、出血箇所で血液に接触すると実質的に溶解するだろうポリビニルアルコール物質からなる。放出部材22のポリビニルアルコール物質は、様々な厚さのいずれに形成するようにしてもよく、それによって、放出部材22が溶解する速度を制御する。その速度は、それ自体、止血剤12が出血箇所に供給されるであろうときのものであり、存在する液体量によっても影響されるような要因である。そのように、本発明の止血剤供給システム10は、重傷度が変化するさまざまな創傷に適用されるためにカスタマイズされてもよい。
【0033】
一例として、止血剤12は、表在性創傷に直接的に近接して適用されてもよい。このケースにおいて、止血剤12の急速な溶解および放出が許容されるために、放出部材24は好ましくは大変薄い物質で構成される。例えば、主要動脈裂傷のようなより重篤な出血のためには、放出部材24は、止血剤供給システム10が出血箇所に近接して配置されるだろうことを保証するためにより厚く構成されるだろうし、放出部材24の溶解と、次に続く出血箇所への止血剤12の放出の前に創傷に実質的に適合させるように形成されるだろう。
【0034】
支持部材22への放出部材24の取り付けを助けるために、本発明の供給アセンブリ20は、部材間の接合を助ける構造を持つシール機構27をさらに含んでいる。より詳しくは、本発明のシール機構27は、支持部材22に対して放出部材24を密封する構造を持つ少なくとも1つのシール部材28を含んでいる。本発明の少なくとも1つの実施例において、シール部材28は、熱反応接着剤でなる。さらに1つの実施例において、シール部材28は、アイロン接着タイプの接着剤からなる。その重要なことは、この実施例のシール部材28が、その各々は独立して非接着構造を持つ、2つの異種物質を結合する構造を持ち、それによって1つ以上の止血剤12を放出可能なように収容する密封された袋状部21を形成することである。
【0035】
少なくとも1つの実施例において、本発明の供給アセンブリ20は、図面に表されているようなハンドル部材29をさらに含んでいる。ハンドル部材29は、いくつかの目的に役立つ。その第1は、それに対する止血剤の供給を促進するために、出血箇所に直接的に近接して供給アセンブリ20を配置することを助けることである。より詳しくは、ハンドル部材29は、ユーザの片手によって掴まれる形状および構造を持ち、ユーザは、例えば、放出部材24を含む供給アセンブリ20の表面を、破裂動脈のような出血箇所の直上に迅速かつ有効に案内することができる。図1および2に見られるように、ハンドル部材29は、支持部材22の外表面に取り付けられ、放出部材24の外表面に対向するように配置される。そのように、ハンドル部材29は、止血剤12の不注意かつ時期尚早な放出を防ぐために放出部材24に接触することを防ぎながら、ユーザが濡れまたは流血しているかもしれない手で供給アセンブリ20を掴めるようにする。
【0036】
少なくとも1つの実施例において、ハンドル部材は、ユーザによるハンドル部材29の配置を助ける可視表示29'を含んでいる。より詳しくは、可視表示29'は、図2に示すように、ハンドル部材29上に直接的に適用された、例えば文字、シンボル、縞模様等の印を含んでいてもよい。少なくとも1つの実施例において、可視表示29'は、典型的には白い滅菌ガーゼパッドである支持部材22と、例えば、図2に示されるような縞模様のパターンである明るいカラーまたはカラーパターンを含んでいるハンドル部材29との間のカラーコントラストで構成されていてもよい。
【0037】
上述したように、本発明は、図3に一般的に100で示されるような、出血箇所に止血剤を適用するための方法をさらに含んでいる。より詳しくは、本発明の方法100は、選鉱されたヘクトライトでなる止血剤のある量を出血箇所に直接的に近接して供給すること110を含んでいる。方法100は、止血剤のある量を出血箇所の形状に実質的に適合させるように集中させること120と、血液凝固を促進しそこからの大量出血を停止するために出血箇所を実質的に塞ぐように出血箇所に止血剤のある量を保持すること130とをさらに含んでいる。少なくとも1つの実施例において、本発明の方法100は、例えば野戦病院または緊急治療室に移送されていったん患者が安定すると、注水および吸水によって出血箇所から止血剤のある量を取り除くステップ140をさらに含んでいる。
【0038】
さらに、本発明において、組成物が適用される創傷で血液凝固を助ける能力を持っている創傷に供給される組成物、他の創傷が血液凝固するのを支援するために身体または傷跡の中で移動する組成物が考えられる。
【0039】
処方
下記の表は、処方開発についての情報を提供する。
【0040】
最初の列は、処方を識別する番号である。凡例が、様々な処方の中で使用される組成物を詳述する図表の後に現われる。
【0041】
【表1A】

【0042】
【表1B】

【0043】
表2
表2は、相対粘稠度および分離安定性の点から各処方番号の評価を表す。
【0044】
【表2A】

【0045】
【表2B】

【0046】
処方48−最終処方−試験済みの3×凍結/解凍サイクル、および3×150°F、3カ月@〜75°F、分離なし。試験済み吸収速度。1分間未満で8倍を超える液体体積吸収の優れた吸収が観察された。
【0047】
組成物は、32°Fから150°Fまでの安定性を実証した。
【0048】
処方48に基づいた組成物が、下記のように試験された。
【0049】
組成物は、試験され、次の特性を示すことが見出された:
【0050】
付着強度
処方48の少量の組成物は、4つの被覆厚で製品の付着強度の決定のために試験された。小さなスプリング型引張計(ハンター・スプリング・ブランド)は、組成物で覆われる2つの滑らかな表面(各2.25平方インチ)を持つ小さな木製ブロックに接続された。その試験は、組成物を落とさせるのに必要な引張強度(psi)を決定するだろう。
【0051】
医学ペースト用の付着力試験データの要約
被覆 付着力*
試験番号 厚さ (psi)
1 <15ミル (0.015インチ) 1.078
2 1/32インチ(0.0312インチ) 0.542
2 1/16インチ(0.0625インチ) 0.258
4 1/8インチ (0.125インチ) 0.230
(1)止血剤組成物は、2つの木製試験面間の極薄の被覆のために良い付着力(1平方インチ当たり1ポンド以上)を示す。
(2)1/32インチの被覆厚のために、付着力は0.542psiまで落ちる。
(3)1/16インチ以上の被覆のために、付着力はさらに落ちる。
【0052】
粘性
処方48による組成物は、モデル番号RVFのブルックフィールド粘度計を使用して、室温(25°C)での動粘度が試験された。
【0053】
結果
動粘度: 356,000cps
(毎分4回転の軸7)
cps=センチポアズ
【0054】
試験方法および結果
【0055】
試験1
第1の適用の意図は、榴散弾または穿刺型の創傷を模擬するために、豚の小さな表皮開口部を持つ穿刺型創傷によって引き起こされた大腿部出血に製品を適用することであった。長さおよそ2cmの皮膚の切り込みが作られた。外科用メスが、強い静脈環流が達成された皮膚に挿入された。止血剤組成物が充填された60cc注射器1本が創傷に適用され、それは3分間以内に出血を止めることができた。
【0056】
試験2
第2の試験は、散弾銃発射からの弾道傷跡上で行われた。対象は、特に、前の傷害過程からのある根本的な組織損傷で皮膚が裂けた創傷を臀部の外部に既に受けていた。製品の試験のために作成された創傷は、建物に侵入するためにドアロックを爆破するための特別機動隊によって一般に使用される特別の丸みを用いた散弾銃銃撃だった。散弾銃は、皮膚からおよそ6インチ離れて配置された。銃撃は、創傷入口のまわりの焼痕に米国5セント硬貨サイズほどの穴部を残した。約5秒間後、血液が負傷部位で現われ始めた。止血剤組成物の60cc注射器2本が傷跡の内部に適用され、直接圧迫が創傷に加えられた。5分間の直接圧迫の後、出血が制御された。約半時間後、創傷は、散弾銃銃撃の損傷および製品の効果を視覚化するために検査された。メスを使用して、切り込みが銃撃の射入創を横切り脚が位置する反対側までの全経路を通り作られた。製品は、適切に充満しており、反対側の傷跡に続いていた。
【0057】
試験3
研究の目的: 散弾銃弾薬による致死の鼠径部創傷の誘導の後に止血剤組成物の効果を調べる。
方法: (米国食品医薬品局承認適用外)止血剤組成物の模擬試験は、複雑な鼠径部創傷に続いて、戦闘損傷を模擬する動物モデル中の大腿血管に適用された。この模擬試験は、実験動物(研究用動物資源協会、米国学術研究会議、国立アカデミー出版社、1996年)の注意および使用のためのガイド中で述べられるような方針および原則を厳守し、この模擬で使用される方法は、独立研究機関内の動物の管理および使用に関する委員会(IACUC)、2007年によって承認された。
【0058】
1匹のヨークシャー豚(〜82kg)は、筋肉内のテラゾル(登録商標)(ケタミンおよびバリウム30mg/kg)で麻酔をかけられた。気管内チューブは、外科切断技術を使用して、左外頸静脈に位置する静脈ラインに加えて挿入された。静脈ラインの開存性は、初期生理的食塩水急速静注洗浄で維持された。静脈生理食塩水は、静脈薬物投与に続いて、頻繁に出水された。獣医スタッフは、180分間を通じての疼痛管理とともに鎮静作用を維持するために動物を観察した。
【0059】
公認された武器距離で一旦位置が決まると、右近位大腿内側は手動で露出され、黒マーカーペンを使用して皮膚上の創傷の所望点にX印が付けられた。致死傷害は、黒のX印から6−8インチで発射された12口径散弾銃の散弾によって引き起こされた。この従来の散弾銃の散弾(1500−1700fps)は、射入創および射出創の痕跡を残す創腔の内部に抑制されない出血を引き起こす大腿動脈および静脈の断裂を引き起こした。大量出血が、散弾貫通直後に調査者によって観察された。受傷時点に時間が記録された。手袋をはめた手技専門家は、〜150mmHg;(アーノードら、2007)と等しい用手圧迫を射入創上に適用した。20−30秒間以内に、指圧は解除され、創腔はガーゼで満たされ、指圧は止血剤が適用される前に出血制御を獲得するために1分間再適用された。止血剤の投与に先立って良い出血制御なしでは、止血剤失敗の高い割合が、指圧の5分間後に観察される(ジェイ・ハグマン・パーソナル通信)。この期間の終わりに、指圧は解除され、ガーゼは完全に除去され、懸濁液内に止血剤を含んでいる60cc注射器1本が、5秒間未満で創腔に注入された。破裂大腿血管までこの止血剤の等しい分配を保証するために、止血剤投与箇所上に置かれてパックするガーゼが創傷に当てられた。その後、指圧(〜150mmHg)は、中断なしで合計5分間、直ちに傷口上に直接加えられた。この期間の直後に、指圧はゆっくりと解除され、出血のために創傷が観察された。2分間後に明白な出血が生じなかったので、止血剤物質のために最上層のガーゼが除去され、私たちは出血のための観察を継続した。部分的でない大量の出血は、次の10分間生じなかった。10分間以内に、左近位大腿内側にこの創傷を繰り返すことが決定された。最初の散弾が即時の大量出血を引き起こさなかったので、12口径散弾銃の散弾2発が数秒間以内に大腿血管部位へ発射された。上に列挙された同じ方法が続けられた。この第2の創腔、あるいは第1の創腔からでさえ、少しも出血がなかった。
【0060】
豚は、軍隊担架で持ち上げられ、200ヤード運ばれて、再出血することなしに少し平らでない傾斜した訓練場に戻され、動物が熱損失を防ぐために不浸透性ポリエチレンラップで覆われたテント下に置かれ、さらにほぼ120分間観察された。生命徴候(心拍数、呼吸数、動脈血酸素飽和度、直腸温度)は、獣医スタッフによって投与されたすべての薬とともに受傷時点から30分間ごとに連続的に記録された。この延長された注意過程の中で、どちらの傷口も、出血し続けたときはない。
【0061】
要約: 受傷時点から180分間後、指圧に後続する2つの創腔中への止血剤適用は、5分間以内の致死動脈および静脈出血を阻止した。12口径散弾機構によって創傷に引き起こされた動脈出血を停止するのに効果的なことが成功裡に実証された、優れた止血特性を、止血剤が持っていることは極めて明白である。この止血剤を供給する方法は、60cc注射器1本以上から適用される溶液のように、非常に優れており、傷跡を作る特定の戦闘損傷を手当てする潜在的に大きな応用がある。
【0062】

1つの実施例では、処方は、次のものを含む:
プロピレングリコール(PPG) 55.56%
ヘクトライト 27.78%
水 8.34%
カルボマー(Carbopol(登録商標)Aqua SF-1) 4.17%
トリエタノールアミン(TEA) 4.17%
【0063】
組成物は、次のものによって準備される:
1.カルボマーと水とを混合する
2.TEAを加えて混合する
3.PPGを加えて混合する
4.ヘクトライトを加えて混合する
【0064】
結果として生じる混合物は、50,000CPs(センチポアズ)を超える粘性を持つ。
【0065】
組成物のpHは7.68であり、比重は1.2773である。この比重には、主要動脈出血に対してでも、混合物の散乱を防ぐ付加利益がある。
【0066】
好ましいヘクトライトは、95%の粒子サイズが76ミクロン未満(76μm、あるいは76ミクロン未満)である。
【0067】
本発明の利点は、組成物が凝固プロセスの化学−生理的プロセスを邪魔しないことである。すなわち、内因性および外因性の血液凝固機構の化学プロセス、物理プロセスおよび生理的プロセスは、本発明の止血剤組成物によって影響されない。
【0068】
観察された1つの機構は、1分間未満でその重量の最大8倍までの水を吸収する組成物である。したがって、血小板および凝固タンパク質の集中が強化され、そして血液凝固を加速し維持する増強能力を持つ組成物を結果する。
【0069】
組成物中のプロピレングリコールは、湿潤剤であり、様々な層を通して増加および加速された吸収を提供する親水性マトリックスを組成物に与えることを助ける。
【0070】
組成物自体の処方は、粘土それ自体を膨張させない創傷に粘土を供給するために適切な液体キャリアを提供する問題を示し、これによって適用に先立って吸収の止血特性が打ち消される。
【0071】
本発明の組成物処方は、粘土にその吸水能を縮小させずに、傷口に粘土を供給する安定した粘稠液キャリア組成物を準備することにより、この困難に成功裡に対処して解決した。懸濁剤の分散を促進するために使用される処方における水の割合は、湿潤剤であるプロピレングリコールの追加の利点によって何倍にも埋め合わせられる。したがって、約10%未満の最適な水割合は比較的小さく、さらに組成物の安定性に影響しない。
【0072】
本発明の組成物は、外部および内部の箇所で血液凝固を支援することにおいて効果的だろうことがさらに考えられる。弾道創傷は、同じ傷跡で血液凝固を必要とする2つ以上の出血原因を作り出すかもしれない。射入口の見える創傷、および容易に目に見えない内部創傷があるかもしれない。身体は、固有の血液凝固機構によって内部創傷を血液凝固させることを試みるだろう。本発明の組成物は、外部および内部創傷の各々で血液凝固を同時に支援するだろう。現在の技術および治療手続きを使用して接近することが多くの場合に難しいような間接の傷跡に、一つの投与箇所から複数の創傷を血液凝固させるのを支援する能力は重要である。さらに、本発明の組成物を使用して血液凝固することにおける支援が、組成物が移動した1つまたは複数の出血箇所に存在する射出創で、あるいはその射出創なしで生じるだろう。
【0073】
組成物には、それが傷口で特定の形に一致することを可能にする増強弾力がある。さらに、この弾力要因により、凝血塊は安定しているままで破裂しないだろう。
【0074】
組成物に高い粘性があるが、血液凝固が生じた後、組成物の粘性および付着力の特質が後の除去を妨害しないことが観察された。従来の創傷洗浄技術によって望まれるように、組成物は除去することができる。これらの創傷洗浄技術は、一旦血流が実質的に減少および/または止められたことが観察されれば、組成物を除去するのに十分である。
【0075】
1つの実施例では、組成物は、その重量の最大24倍までの水を吸収することができる。組成物がすでに水を含んでいるので、その吸収は注目に値する。組成物は、1つの実施例では、最大24倍まで水を、好ましい実施例では、たとえ提供される組成物が最大約10パーセントまでの水を含んでいたとしても、約1分間未満でその重量の8倍までの水を吸収できる。これは、主要動脈出血の場合において、特に高温または乾燥気候で創傷が治療されている患者が補液を必要としているような場合に必須になる。従来の治療実施要項および手順は、主要動脈出血で患者への液体の投与に備えていない。
【0076】
本発明の組成物は、血液凝固プロセスでの迅速で重要な支援を提供するばかりでなく、液体の投与を考慮に入れる。これは、投与された組成物の治療効果を中断または妨害しない間に患者の生存に重大となるかもしれない。多くの従来の医療手順および手続きの下では、外傷性創傷の患者は、伴って上昇する血圧が再出血を引き起こすおそれのために、手術室に到着するまで液体を受け取れない。
【0077】
現在の組成物は、出血からの静水圧の強化にもかかわらず、それが組織または傷口の近くで接触して残るように適切な付着強度を実証した。この付着は、主要動脈出血の場合でさえ、組成物に血液凝固を促進するのに十分な接触時間を与える。この付着力は、血液凝固を促進するために圧力が加えられることを本発明の組成物の使用が要求しないという点で追加利点を備えている。
【0078】
1つの実施例では、本発明の組成物は、注射器または放出器内に収容されている。注射器は、創傷に組成物を直接適用するために使用することができる。代わりに、注射器は、創傷への組成物の適用を案内のために、それに添付するカテーテル、チューブあるいは他の案内手段をさらに備えていてもよい。
【0079】
注射器または放出器の供給には、多くの長所がある。注射器は、狭い開口を通して組成物を供給することができる。組成物は、人が実際の出血箇所を見ることができなくても、出血箇所に接近していると考えられる開口を通して導入されてもよい。出血が内部であり、弾丸、榴散弾などのような対象からの皮膚における入口は、組成物を投与するために使用することができる。したがって、出血箇所を見ることができなくても、治療ができる。組成物は、出血箇所に内部で移動するだろう。注射器を使用する際に創傷から血液を排出させる必要はなく、組成物を投与するために、追加外傷を生じる傷口の拡大は必要ない。
【0080】
組成物を供給するために注射器を使用する際に、患者は、組成物を自己投与することができる。組成物も、片手に注射器を握り締めて投与されることができる。片手投与は、自己投与において重要かもしれない。多くの現在の実施要項および手順は、この供給システムを使用する必要がないいくつかの場合に、創傷拡大、血液排出およびの1人を超える医療提供者による適用を必要とする。注射器供給の一層の利点は、投与するために特別の訓練を必要としないということである。現在使用中のほとんどの他の創傷治療は、投与するのに広範囲な医学訓練を必要とし、自己投与は可能ではない。上述したように、本発明の組成物は、それが凝血塊を促進するために圧力が加えられることを必要としないという有利な特徴をさらに提供する。
【0081】
別の実施例では、組成物は、パッチと一体化することができる。典型的には、パッチ供給治療組成物は、ポリビニルアルコール(PVA)のフィルムによってパッチ内に収容される。PVAフィルムは、水または液体に接触したときに溶け、これによって、そこに含まれている有効成分を投薬する。本発明の組成物は、ヘクトライト粘土を傷口に供給するための水性キャリア中に処方される。PVAフィルムが使用されるパッチ供給で水溶液系を利用することは、通常は望ましくない。しかしながら、現在の組成物のプロピレングリコールは湿潤剤であり、現在の組成物処方は、処方での水の小さな割合がそれに結び付けられ、フィルムを早期に溶かすPVAに接触している間は外に浸出しないだろうことを実証した。PVAが周囲組織に付着し、止血剤の保持を支援し、本発明の止血剤の効果増強を促進するので、出血箇所の直近でない領域では、PVAは、追加閉塞を提供し、さらに有利である。
【0082】
本発明がその好ましい形式あるいはある程度の特殊性を備えた実施例に述べられている間に、これらの説明が実施例を経由してのみ与えられており、部分の組合せおよび配置を含む構築、組立ておよび使用の詳細の多数の変更が、本発明の趣旨および範囲から外れずに行われてもよいことが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの粘土止血剤およびキャリアを含み、組成物が血液凝固を促進することを特徴とする止血剤組成物。
【請求項2】
前記止血剤が、スメクタイト粘土を含むことを特徴とする請求項1記載の止血剤組成物。
【請求項3】
前記止血剤が、ヘクトライト粘土を含むことを特徴とする請求項1記載の止血剤組成物。
【請求項4】
前記粘土が、95%の粒子サイズが76ミクロン未満であるヘクトライトであることを特徴とする請求項1記載の止血剤組成物。
【請求項5】
前記止血剤組成物が、前記止血剤組成物の重量より大きな重量の液体を吸収することを特徴とする請求項1記載の止血剤組成物。
【請求項6】
前記止血剤組成物が、前記止血剤組成物の重量より最大約24倍までの重量の液体を吸収することを特徴とする請求項1記載の止血剤組成物。
【請求項7】
前記止血剤組成物が、約1分間以内に前記止血剤組成物の重量より最大約8倍までの重量の液体を吸収することを特徴とする請求項1記載の止血剤組成物。
【請求項8】
前記止血剤組成物が、血液凝固タンパク質および血小板に比べて不活性で、外因性または内因性の血液凝固機構に比べて不活性であることを特徴とする請求項1記載の止血剤組成物。
【請求項9】
前記止血剤組成物が、外部創傷に直接適用されることを特徴とする請求項1記載の止血剤組成物。
【請求項10】
前記止血剤組成物が、外部創傷に直接適用され、生体内で第2の傷口へ移動することを特徴とする請求項1記載の止血剤組成物。
【請求項11】
前記止血剤組成物が、外部創傷に直接適用され、生体内で第2の傷口へ移動し、前記第2の傷が外部創傷あるいは内部創傷であることを特徴とする請求項1記載の止血剤組成物。
【請求項12】
(a)40−70%のプロピレングリコール;
(b)20−40%のヘクトライト粘土;
(c)5−15%の水;
(d)1−10%のカルボマー;および
(e)1−10%のトリエタノールアミン
を含むことを特徴とする止血剤組成物。
【請求項13】
(a)55.56%のプロピレングリコール;
(b)27.78%のヘクトライト粘土;
(c)8.34%の水;
(d)4.17%のカルボマー;および
(e)4.17%のトリエタノールアミン;
を含み、100,000cps以上の動粘度を示すことを特徴とする請求項12記載の止血剤組成物。
【請求項14】
(a)創傷に配置すること;
(b)少なくとも1種のスメクタイト粘土を持つ止血剤組成物を提供すること;
(c)創傷へ止血剤組成物を適用すること
のステップを含むことを特徴とする創傷血液凝固促進方法。
【請求項15】
2つ以上の創傷原因があることを特徴とする請求項14記載の創傷血液凝固促進方法。
【請求項16】
外部創傷および少なくとも1つの内部創傷があり、さらに前記内部創傷の血液凝固が、前記止血剤組成物が前記外部創傷中に配置され、生体内で前記内部創傷箇所へ移動した後に加速されることを特徴とする請求項14記載の創傷血液凝固促進方法。
【請求項17】
前記内部創傷が、患者の外観から容易に目に見えないか、位置を確認できないことを特徴とする請求項16の創傷血液凝固促進方法。
【請求項18】
前記止血剤組成物を提供することが、最大約250ccまでの粘稠液組成物を創傷へ投与することを包含することを特徴とする請求項14記載の創傷血液凝固促進方法。
【請求項19】
前記粘稠液組成物が、100,000cpsを超える動粘度を持つことを特徴とする請求項14記載の創傷血液凝固促進方法。
【請求項20】
前記スメクタイト粘土が、ヘクトライトであることを特徴とする請求項14記載の創傷血液凝固促進方法。
【請求項21】
前記止血剤組成物をすべて実質的に除去するために前記止血剤組成物の適用箇所を洗浄することをさらに含むことを特徴とする請求項14記載の創傷血液凝固促進方法。
【請求項22】
前記止血剤組成物の適用が、注射器または放出器からであることを特徴とする請求項14記載の創傷血液凝固促進方法。
【請求項23】
血液凝固を促進するための少なくとも1つの止血剤;および
出血箇所の付近に前記止血剤の量の配置を許すための供給アセンブリ;
前記出血箇所の付近に配置されて前記止血剤の前記量を放出するために一時的に保持する前記供給アセンブリ
を含むことを特徴とする止血剤供給システム。
【請求項24】
前記供給アセンブリが、ユーザの片手で前記出血箇所に近接して前記止血剤の前記量の配置を許すことを特徴とする請求項23記載の止血剤供給システム。
【請求項25】
前記供給アセンブリが、注射器または放出器中の前記止血剤の投与、あるいは前記止血剤を含むパッチにより、ユーザの片手で前記出血箇所に近接して前記止血剤の前記量の配置を許すことを特徴とする請求項24記載の止血剤供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−536762(P2010−536762A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521051(P2010−521051)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/009830
【国際公開番号】WO2009/025782
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(508205833)
【出願人】(508205855)
【Fターム(参考)】