説明

歩行玩具駆動モジュール

【課題】簡単な機構で歩行玩具の前進、左折進行、右折進行を任意に行わせることのできる歩行モジュール。
【解決手段】磁石6とコイル7を利用して上下動する一対のリンクレバー8の先端部に回動アーム9をリンクさせ、リンクレバーの上下動に伴って、回動アームの接地部が床面に接触して回動する動作方向に抗して、筐体1が回動アームの動作方向と反対方向に押し出される。リンクレバーの下端側面に突出するジョイントピン10は、回動アームのガイド溝に嵌合され、回動アームの側面に突出する固定ピンが筐体の内側側面に嵌合し、リンクレバーの上下動に伴って、回動アームの接地部が略円形の軌跡を生じるように構成し、リンクレバーの上下動に伴って付属アームをリンクさせ、且つ、上下動する一対のリンクレバーを交互に動作させて筐体を前進歩行させ、または何れか一方のリンクレバーのみを動作させて右回り又は左回りのいずれかの歩行動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歩行玩具駆動モジュールに関し特に簡単な機構で歩行玩具の前進、左折進行、右折進行を任意に行わせることのできる歩行玩具駆動モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行玩具の駆動手段には種々の機構が開発されているが、特許文献1では歩行体および歩行体の歩行方法が提案されている。また、特許文献2では歩行玩具が提案されている。
【0003】
【特許文献1】 特開2005−296524号公報
【特許文献2】 特開2005−349144号公報
【0004】
前記せる特開2005−296524号公報は、電磁石の吸着と反発を利用した駆動手段であるが、傾斜面若しくは湾曲面を形成した底足部を設け、接地によって底足部の形状に従って傾動して胴体部を前方へ進行させるものであり、さらに頭体の揺動に伴う傾き動作によって歩行を行わせるものであり、更にその頭部の揺動動作を補助するために、引っ張りコイルスプリングを設けて付勢しなければならなかった。
【0005】
また、特開2005−349144号公報は、前記せる特開2005−296524号公報と同様に電磁石の吸着と反発を利用した駆動手段であるが、「筐体と当該筐体の下方に突出した下端部が、当該筐体に対して前後方向に揺動可能に軸支された左右一対の脚体と、当該脚体を揺動させる駆動手段と、前記脚体の下端部に軸支され、当該脚体の揺動によって略水平方向に往復移動する足体と、前記脚体に設けられ、当該脚体の揺動にともなって前記足体の底面に対して相対的に上下動する接地体を有し、前記脚体の揺動にともなって前記接地体を前記足体の底面から出没させるように構成したことを特徴とする玩具である。
【0006】
しかしながら、本発明の歩行玩具駆動モジュールは前記せる引用特許とは全く異なる機構であるので、以下にその詳細を説明する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記せる特開2005−296524号公報は、電磁石の吸着と反発を利用した駆動手段であるが、傾斜面若しくは湾曲面を形成した底足部を設け、接地によって底足部の形状に従って傾動して胴体部を前方へ進行させるものであり、さらに頭体の揺動に伴う傾き動作によって歩行を行わせるものであり、更にその頭部の揺動動作を補助するために、引っ張りコイルスプリングを設けて付勢しなければならなかった。
【0008】
これに対し本発明の歩行玩具駆動モジュールは駆動機構が簡単な機構であり、また、前記せる特開2005−349144号公報は、足体の底より接地面との摩擦力を大きくすることのできる接地体を出没させることにより、前進若しくは旋回歩行することができるものであるが、これらに対して本発明の歩行玩具駆動モジュールは以下に詳述するように全く異なる特徴を有するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記せるような従来の課題を解決するために鋭意研究の結果、発明されたものであり、磁石とコイルの吸着と反発力を利用して歩行機能を付与する歩行玩具駆動モジュールにおいて、上下動する一対のリンクレバーの先端部に回動アームをリンクさせ、該リンクレバーの上下動に伴って、該回動アームの接地部が床面に接触して回動する動作方向に抗して、筐体が回動アームの動作方向と反対方向に押し出されることを特徴とし、リンクレバーの下端側面に突出するジョイントピンが、回動アームのガイド溝に嵌合され、該回動アームの側面に突出するジョイントピンが筐体の内側側面に嵌合され、リンクレバーの上下動に伴って、該回動アームの接地部が略円形の軌跡を生じるように構成したことを特徴とし、リンクレバーの上下動に伴って付属アームをリンクさせ、動物を模した筐体に付設された耳等を動作させることを特徴とし、且つ、上下動する一対のリンクレバーを交互に動作させて筐体を前進歩行させ、または何れか一方のリンクレバーのみを動作させて右回り又は左回りのいずれかの歩行動作を駆動することを特徴とする歩行玩具駆動モジュールを提供する。
【発明の効果】
【0010】
【0011】
本発明の歩行玩具駆動モジュールによれば、極めて簡単な機構により人形や擬人的キャラクターを模した玩具に歩行動作を付与させることができるので、部品数の減少によりコストダウンができ、筐体内のスペースにゆとりができ、小型化も可能であり、また、四足動物を模した筐体に耳や手をリンクさせて動かすこともでき、全ての動作のスピードコントロールが可能であり、リモートコントロール方式にすることも可能とする効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明を実施するための最良の形態を具体的に説明する。
図面に於いて、図1は歩行玩具駆動モジュールの正面図である。図2は図1の部分断面図である。図3は歩行玩具駆動モジュールの側面図である。図4は図3の部分断面図である。図5は図3の部分断面図である。図6は図3の部分断面図である。図7は図3の部分断面図である。図8は図3の部分断面図である。
図9は第二実施例における歩行玩具駆動モジュールの正面図である。図10は図9の部分断面図である。図11は第二実施例における歩行玩具駆動モジュールの側面図である。図12は図11の部分断面図である。図13は図11の部分断面図である。図14は図11の部分断面図である。図15は図11の部分断面図である。
【実施例1】
【0013】
図1乃至図8に基づいて第一の実施例について説明する。
【0014】
本発明の歩行玩具駆動モジュールは、磁石6とコイル7の吸着と反発力を利用して歩行機能を付与する歩行玩具駆動モジュールにおいて、上下動する一対のリンクレバー8の先端部に回動アーム9をリンクさせ、該リンクレバー8の上下動に伴って、該回動アーム9の接地部12が床面5に接触して回動する動作方向に抗して、筐体1が回動アーム9の動作方向と反対方向に押し出され、筐体1が前進するように構成されている。
【0015】
リンクレバー8の下端側面に突出するジョイントピン10が、回動アーム9のガイド溝11に嵌合され、該回動アーム9の側面に突出する固定ピン15が筐体1の内側側面に形成された長孔18に嵌合され、リンクレバー8の上下動に伴って、該回動アーム9の接地部12が縦方向に略円形の軌跡を生じるように構成されている。
【0016】
制御ボタン2の操作により、上下動する一対のリンクレバー8を交互に動作させて筐体1を前進歩行させ、または何れか一方のリンクレバー8のみを動作させて右回り又は左回りのいずれかの歩行動作を駆動できるように、基板14の回路(図示せず)にて制御することができる。
【0017】
図5乃至図8に基づき、本発明の歩行玩具駆動モジュールの歩行駆動の経過について説明する。
【0018】
図5は静置状態にあり、始動前には図5に示すように、接地部12は床面5に接触している。
【0019】
図6乃至図8に示すように、回動アーム9の接地部12が略円形の軌跡を生じるように床面5に対して付勢力が加わる時、回動アーム9の接地部12が床面5に接触して回動する動作方向に抗して、筐体1が回動アーム9の動作方向と反対方向に押し出され、筐体1が前進するように構成されている。
【0020】
次いで、リンクレバー8は上昇し、図6に示すように回動アーム9の接地部12は床面5より離れる。
【0021】
この動作の繰り返しで、筐体1は前進する。また、右回りまたは左回りにするには、基板14の制御回路(図示せず)を介して、リンクレバー8の動作をいずれか一方のみにすれば実現できる。
【0022】
次いで、図9乃至図15に基づき第二の実施例について説明する。
第二の実施例では、四足動物を模した筐体19の前足部内側の筐体内に駆動機構を収納するようになっている。
【0023】
第二の実施例は、磁石26とコイル24の吸着と反発力を利用して歩行機能を付与する歩行玩具駆動モジュールであって、上下動する一対のリンクレバー32の先端部に回動アーム29をリンクさせ、該リンクレバー32の上下動に伴って、該回動アーム29の接地部25が床面5に接触して回動する動作方向に抗して、筐体19が回動アーム29の接地部25の動作方向と反対方向に押し出され、筐体19が前進するように構成されている。
【0024】
リンクレバー32の下端側面に突出するジョイントピン30が回動アーム29のガイド溝31に嵌合され、該回動アーム29の側面に突出する固定ピン33が筐体1の内側側面に形成された長孔に嵌合され、リンクレバー32の上下動に伴って、該回動アーム29の接地部25が縦方向に略円形の軌跡を生じるように構成されている。
【0025】
また、基板の制御回路(図示せず)により、上下動する一対のリンクレバー32を交互に動作させて筐体19を前進歩行させ、または何れか一方のリンクレバー32のみを動作させて右回り又は左回りのいずれかの歩行動作を駆動できるように制御回路(図示せず)にて制御することができる。
【0026】
図9乃至図15に基づき本発明の歩行玩具駆動モジュールの第二の実施例の駆動機構について説明する。
【0027】
第二の実施例ではリンクレバー32の上下動に伴って耳可動アーム23をリンクさせ、動物を模した筐体19に可動的に付設された耳部20等を動作させることができる。
【0028】
図12は静止状態を示しているが、図12乃至図15に示すように回動アーム29の接地部25が略円形の軌跡を生じるように動いて床面5に対して付勢力が加わる時、回動アーム29の接地部25が床面5に接触して回動する動作方向に抗して筐体19が回動アーム29の動作方向と反対方向に押し出され、筐体19が前進するように構成されている。
【0029】
次いで、リンクレバー32が上昇し、再び図13に示すように回動アーム29の接地部25は床面より離れる。
【0030】
この動作の繰り返しで、筐体19は前進する。また、右回りまたは左回りにするには、制御回路(図示せず)を介して、リンクレバー32の動作をいずれか一方のみにすれば実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の歩行玩具駆動モジュールは、車輪を持たない移動玩具であって、且つ、方向制御できるものであり、筐体の形状を任意にかえれば、その動作は幼児等の興味をひき、玩具としての利用価値が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】 歩行玩具駆動モジュールの正面図である。
【図2】 図1の部分断面図である。
【図3】 歩行玩具駆動モジュールの側面図である。
【図4】 図3の部分断面図である。
【図5】 図3の部分断面図である。
【図6】 図3の部分断面図である。
【図7】 図3の部分断面図である。
【図8】 図3の部分断面図である。
【図9】 第二実施例における歩行玩具駆動モジュールの正面図である。
【図10】 図9の部分断面図である。
【図11】 第二実施例における歩行玩具駆動モジュールの側面図である。
【図12】 図11の部分断面図である。
【図13】 図11の部分断面図である。
【図14】 図11の部分断面図である。
【図15】 図11の部分断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1.筐体
2.制御ボタン
3.腕部
4.突起
5.床面
6.磁石
7.コイル
8.リンクレバー
9.回動アーム
10.ジョイントピン
11.ガイド溝
12.接地部
13.バッテリー
14.基板
15.固定ピン
16.スピーカー
17.開口部
18.長孔
19.筐体
20.耳部
21.前足
22.突起
23.耳可動アーム
24.コイル
25.接地部
26.磁石
27.バッテリー
28.コイル
29.回動アーム
30.ピン
31.ガイド溝
32.リンクレバー
33.固定ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石とコイルの吸着と反発力を利用して歩行機能を付与する歩行玩具駆動モジュールにおいて、上下動する一対のリンクレバーの先端部に回動アームをリンクさせ、該リンクレバーの上下動に伴って、該回動アームの接地部が床面に接触して回動する動作方向に抗して、筐体が回動アームの動作方向と反対方向に押し出されることを特徴とする歩行玩具駆動モジュール。
【請求項2】
リンクレバーの下端側面に突出するジョイントピンが、回動アームのガイド溝に嵌合され、該回動アームの側面に突出する固定ピンが筐体の内側側面に嵌合され、リンクレバーの上下動に伴って、該回動アームの接地部が略円形の軌跡を生じるように構成したことを特徴とする請求項1記載の歩行玩具駆動モジュール。
【請求項3】
リンクレバーの上下動に伴って付属アームをリンクさせ、動物を模した筐体に付設された耳等を動作させることを特徴とする請求項1記載の歩行玩具駆動モジュール。
【請求項4】
上下動する一対のリンクレバーを交互に動作させて筐体を前進歩行させ、または何れか一方のリンクレバーのみを動作させて右回り又は左回りのいずれかの歩行動作を駆動することを特徴とする請求項1記載の歩行玩具駆動モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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