説明

歩行者用ナビゲーション装置および歩行者用ナビゲーション装置における移動方向検出方法

【課題】消費電力を抑えつつ、歩行者が保持する歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きを精度良く検出すること。
【解決手段】座標変換部103は、加速度ベクトルを歩行者用ナビゲーション装置100を基準とした座標に変換し、BPF105は、座標変換後の加速度ベクトルの周波数成分のうち歩行者の歩行周波数成分を透過させ、移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106および移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部107は、歩行者用ナビゲーション装置100を基準とした座標における歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向および移動の向きを検出し、移動の向き(地球基準)算出部109は、地球を基準とした座標における歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向きを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者用ナビゲーション装置および歩行者用ナビゲーション装置における移動方向検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS(Global Positioning System)のような衛星測位システム(Satellite Positioning System:SPS)の受信装置を搭載した車載用ナビゲーション装置、SPS受信機能付き携帯電話装置等のSPS受信装置搭載移動通信端末装置が実用化されている。
【0003】
車載用ナビゲーション装置では、GPSの不感地帯においても測位を行うことができるように、自律航法の技術が用いられている。自律航法では、逐次検出した移動ベクトルを直前の位置情報に積算していくことにより現在位置が算出されるのが一般的である。移動ベクトルの向きと大きさの算出には、ジャイロ、および、車軸の回転に応じて出力される車速パルスが用いられることが多い。
【0004】
車載用ナビゲーション装置は車両に固定されているので、車載用ナビゲーション装置の車両に対する設置の向きと、車両の移動の向きとの関係が固定となる。つまり、ナビゲーション装置を基準とした座標軸と、車両を基準とした座標軸との関係が固定となる。よって、車載用ナビゲーション装置では、ジャイロ、および、車軸の回転に応じて出力される車速パルスを使用して移動ベクトル(移動の向きと移動速度の大きさ)を算出することができる。
【0005】
一方で、歩行者が携帯する歩行者用ナビゲーション装置の保持方法は一定であるとは限らないため、歩行者用ナビゲーション装置の歩行者に対する向きと歩行者の移動の向きとの関係は固定とならない。つまり、歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標軸と、歩行者を基準とした座標軸との関係が固定とならず変動する。よって、歩行者用ナビゲーション装置に自律航法を適用する場合、歩行者用ナビゲーション装置の歩行者に対する向きと歩行者の移動の向きとの関係を求める必要がある。
【0006】
歩行者用ナビゲーション装置に自律航法を適用する場合に、歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きと歩行者の移動の向きとの関係を求める従来方法として以下のものがある。すなわち、加速度ベクトルを検出し、加速度ベクトルの垂直方向成分(以下「垂直方向加速度」という)が極大値、極小値を示すタイミングを検出する。そして、垂直方向加速度が極大値から極小値に移行する期間において、加速度ベクトルの水平成分(以下「水平方向加速度」という)が極大値を示すタイミングを求める。そして、水平方向加速度が極大値を示したタイミングにおける加速度ベクトルを求め、この加速度ベクトルの向きを歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きとする(特許文献1参照)。このようにして歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きを求めることにより、歩行者用ナビゲーション装置における自律航法を可能にしている。
【特許文献1】特開2003−302419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来方法では、歩行者に保持される歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きを必ずしも良好な精度で得られるとは限らない。上記の従来方法では、垂直方向加速度が極大値から極小値に移行する期間において水平方向加速度が極大値を示すタイミングにおける加速度ベクトルのみを用いて、歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きが決定される。つまり、上記の従来方法では、極めて少ない情報量により歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きが決定されるため、歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きの検出精度が悪いという課題がある。
【0008】
また、歩行時、人間は左右にも揺れながら移動しているので、加速度ベクトルを検出するサンプリングレートが低いと、水平方向加速度が実際に極大値となるタイミングと検出されるタイミングとの間に誤差が発生し、検出した歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きに左右方向の誤差が発生する可能性がある。一方で、この誤差の発生を回避するために加速度センサのサンプリングレートを高くすると、歩行者用ナビゲーション装置の消費電力が大きくなるという課題がある。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、消費電力を抑えつつ、歩行者が保持する歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きを精度良く検出することができる歩行者用ナビゲーション装置および歩行者用ナビゲーション装置における移動方向検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の歩行者用ナビゲーション装置は、人の歩行によって生じる加速度ベクトルを検知する加速度センサと、地球を基準とした当該歩行者用ナビゲーション装置の向きを検出する絶対方位検出部と、前記加速度ベクトルの水平面内成分の振幅の縦横比が最大となる方向を、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした移動方向として検出する第1移動方向検出部と、前記絶対方位検出部が検出した向き、および、前記第1移動方向検出部が検出した移動方向に基づいて、当該歩行者用ナビゲーション装置の移動方向を検出する第2移動方向検出部と、を具備する構成を採る。
【0011】
本発明の移動方向検出方法は、歩行者用ナビゲーション装置における移動方向算出方法であって、人の歩行によって生じる加速度ベクトルを検知し、地球を基準とした当該歩行者用ナビゲーション装置の向きを検出し、前記加速度ベクトルの水平面内成分の振幅の縦横比が最大となる方向を、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした移動方向として検出し、前記地球を基準とした当該歩行者用ナビゲーション装置の向き、および、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした移動方向に基づいて、当該歩行者用ナビゲーション装置の移動方向を検出する、ようにした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、消費電力を抑えつつ、歩行者が保持する歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きを精度良く検出することができる。よって、本発明によれば、例えば、自律航法による位置検出の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1に、本発明の一実施の形態に係る歩行者用ナビゲーション装置100の要部構成を示す。図1の歩行者用ナビゲーション装置100は、例えば、歩行者が保持する移動通信端末装置(以下「端末」という)に搭載される。
【0015】
加速度センサ101は、歩行者用ナビゲーション装置100の、歩行者の移動によって生じる加速度ベクトルおよび重力加速度ベクトルが合成された加速度ベクトル(合成加速度ベクトル)を検知し、検知した合成加速度ベクトルを、姿勢検知部102、座標変換部103、歩行周波数検出部104および移動速度算出部110に出力する。
【0016】
姿勢検知部102は、重力加速度ベクトルの向きを検出することにより、重力に対する歩行者用ナビゲーション装置100の傾き、すなわち、歩行者用ナビゲーション装置100の姿勢を検知する。このとき、合成加速度ベクトルは、移動による加速度と重力加速度とが合成されたものとなっているため、姿勢検知部102は、合成加速度ベクトルのサンプリングデータを平均化する等の処理を行うことにより、合成加速度ベクトルから歩行時の移動による加速度の影響を除去して重力加速度ベクトルのみを抽出することができる。
【0017】
座標変換部103は、重力加速度ベクトルの方向を垂直方向とみなして、合成加速度ベクトルを、z軸を垂直方向、x−y平面を水平面とする座標に座標変換する。具体的には、例えば、重力加速度ベクトルがz軸の方向となるような回転行列を求め、この回転行列を合成加速度ベクトルに乗じることにより合成加速度ベクトルを座標変換する。ただし、必ずしも重力加速度ベクトルがz軸の方向となるような座標変換でなくてもよく、例えば、重力加速度ベクトルがx軸またはy軸の方向となるような座標変換であってもよい。
【0018】
歩行周波数検出部104は、合成加速度ベクトルの情報を用いて歩行周波数を検出する。ここで、歩行周波数とは、一方の足が地面に付いてから他方の足が地面に付くまでの時間の逆数とする。歩行周波数の算出方法としては、(1)座標変換部103にて座標変換された合成加速度ベクトルのz軸の成分のピークから次のピークまでの時間の逆数を求める、または、(2)合成加速度ベクトルにフーリエ変換を行う等の方法がある。なお、歩行周波数の算出方法は、これらの方法に限定されない。
【0019】
BPF(Band Pass Filter)105は、歩行周波数検出部104において算出された歩行周波数を透過させるようなフィルタにより構成され、合成加速度ベクトルの歩行周波数成分のみを透過させる。この透過処理により、直流である重力加速度成分や、歩行周波数の1/2の周波数をもつ左右の揺れ成分が減衰し、移動方向の揺れが支配的となる加速度ベクトルを得ることができるため、移動方向の検出精度を向上させることができる。なお、重力加速度成分の除去方法は、BPFを用いたものに限定されない。例えば、加速度センサ101が検知した合成加速度ベクトルから姿勢検知部102が検出した重力加速度ベクトルを差し引くことにより合成加速度ベクトルから重力加速度成分を除去してもよい。
【0020】
移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106は、BPF105透過後の加速度ベクトルから歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向を検出する。なお、このとき、絶対方位が算出されていないため、検出される歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向の座標系は、歩行者用ナビゲーション装置100を基準とした座標系となっている。移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106での検出方法については後述する。
【0021】
なお、この段階では、加速度ベクトルの前後の揺れから移動方向が検出されている一方で、歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向きは検出されない。すなわち、例えば、歩行者用ナビゲーション装置100を搭載する端末が端末の前面または端末の背面に移動していることは判明しているが、その端末が、端末の前面に移動しているのか、端末の背面に移動しているのかは不明な状態である。
【0022】
移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部107は、BPF105透過後の加速度ベクトルのz軸方向(垂直方向)成分と、BPF105透過後の加速度ベクトルの歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向の成分との位相差を算出し、この位相差の符号により歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)を検出する。移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部107での検出方法については後述する。移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部107は、歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)を移動の向き(地球基準)算出部109に出力する。
【0023】
絶対方位検出部108は、歩行者用ナビゲーション装置100が向いている絶対方位(地球基準)を検出する。絶対方位の検出方法としては磁気センサを利用して地球磁場を測定して絶対方位を算出する方法が一般的であるが、この方法に限定されない。
【0024】
移動の向き(地球基準)算出部109は、移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部107が検出した歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)、および、絶対方位検出部108が検出した歩行者用ナビゲーション装置100が向いている絶対方位(地球基準)より、歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向き(地球基準)を算出する。
【0025】
移動速度算出部110は、加速度ベクトルを用いて歩行者用ナビゲーション装置100の移動速度を算出する。移動速度の算出方法としては、例えば、加速度ベクトルより歩数を求める方法が考えられる。なお、移動速度の算出方法は、これに限定されるものではない。
【0026】
移動ベクトル算出部111は、移動速度算出部110が算出した歩行者用ナビゲーション装置100の移動速度と、移動の向き(地球基準)算出部109が算出した歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向き(地球基準)とを用いて、移動ベクトルを算出して位置算出部112に出力する。
【0027】
位置算出部112は、位置記憶部113が記憶している歩行者用ナビゲーション装置100の位置情報に移動ベクトルを加算して現在の歩行者用ナビゲーション装置100の位置を算出する。そして、位置算出部112は、位置記憶部113が記憶している歩行者用ナビゲーション装置100の位置情報を、算出した現在の歩行者用ナビゲーション装置100の位置情報に更新する。
【0028】
以下、上記のように構成された歩行者用ナビゲーション装置100の動作について、主に移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106および移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部107の動作を中心に説明する。
【0029】
まず、移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106での、歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)の検出方法について説明する。
【0030】
移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106は、歩行者が複数歩歩く間(例えば2歩歩く間)に収集した複数の加速度ベクトルを一組のデータセットとして以下の処理を実行する。
【0031】
移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106は、z軸(垂直方向)を軸として加速度ベクトルを所定の回転角度分だけ回転させる回転ベクトルを、座標変換部103によってx−y平面が水平面となるように座標変換された加速度ベクトルに乗じてこの加速度ベクトルを逐次回転させる。そして、移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106は、歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向の確からしさを示す評価値(以下「移動方向評価値」という)が最大となる回転角度を検出する。
【0032】
移動方向評価値としては、例えば、加速度ベクトルのx座標の振幅とy座標の振幅との比が用いられる。図2に、回転角度[deg]と、加速度ベクトルのx座標の振幅とy座標の振幅との比との関係の一例を示す。図2より、移動方向と回転角度とが一致した場合に、x座標の振幅とy座標の振幅との比が最大となることが分かる。したがって、x座標の振幅とy座標の振幅との比を移動方向評価値として用い、移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106は、この比の値が最大となる回転角度を検出すればよい。
【0033】
さらに、図3を用いて歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)の検出方法について詳細に説明する。
【0034】
図3は、移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106の動作を説明するためのフロー図である。
【0035】
まず、回転角度θを0度に初期化する(step201)。
【0036】
次に、加速度ベクトルの水平方向成分を、垂直ベクトル(z軸)を軸にθ度回転させる(step202)。
【0037】
次に、回転後の加速度ベクトルのx座標の振幅とy座標の振幅との比Prを算出する(step203)。
【0038】
次に、比Prが、これまで算出したPrの中で最大の場合、このときの回転角度θをθmaxとして記憶する(step204)。
【0039】
次に、回転角度θに回転角のステップ量であるΔθを加算する(step205)。
【0040】
次に、回転角度θが180度以上か否か判定する(step206)。ここで、回転角度θが180度未満の場合(step206:No)、step202に戻り、再度step202〜step205を実行する。一方、回転角度θが180度以上の場合(step206:Yes)の場合、この時点でのθmaxを移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)とする(step207)。
【0041】
なお、以上の説明では、回転角度θの初期値を0度として、回転角度θを180度までΔθごとに逐次増加させる場合を例に説明した。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、回転角度θの初期値を直前の移動方向(θmax)とし、その前後の回転角度において最大となる回転角度θをθmaxとしてもよい。
【0042】
また、以上の説明では、移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106は、x座標の振幅とy座標の振幅との比Prを移動方向評価値とし、Prが最大となるθmaxを歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)として検出する場合について説明した。しかし、これに限定されるものではない。
【0043】
例えば、x座標の振幅を移動方向評価値とし、x座標の振幅が最大となる回転角度を歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)としてもよい。または、y座標の振幅を移動方向評価値とし、y座標の振幅が最小となる回転角度を歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)としてもよい。または、y座標の振幅を移動方向評価値とし、y座標の振幅が最大となる回転角度を歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)としてもよい。または、x座標、y座標以外の振幅を移動方向評価値とし、当該振幅が最大となる回転角度を歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)としてもよい。これらは、回転角度の算出の基準の軸が異なるだけであり、回転角度の算出方法としては同様である。
【0044】
または、x座標、y座標の実効値(例えば、RMS(Root Mean Square))を移動方向評価値とし、x座標のRMSが最大、または、y座標のRMSが最小となる回転角度を歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)としてもよい。または、x座標のRMSとy座標のRMSとの比を移動方向評価値とし、この比が最大となる回転角度を歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)としてもよい。または、x座標の振幅とy座標の振幅との比のアークタンジェント、または、x座標のRMSとy座標のRMSとの比のアークタンジェントを移動方向評価値とし、これらが最大となる回転角度を歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)としてもよい。また、x座標のRMSまたはy座標のRMSに代えて、加速度ベクトルの絶対値の積算値、または、加速度の平均値を使用するようにしてもよい。より多くのタイミングにおける加速度ベクトルの情報を用いて、x座標のRMS、y座標のRMS、加速度の絶対値、または、加速度ベクトルの平均値を算出することにより、歩行者用ナビゲーション装置の移動方向の検出精度を向上させることができる。
【0045】
次に、上記の方法とは異なる歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)の検出方法について図4を用いて説明する。図4において、縦軸は、移動方向評価値を示し、横軸は、座標変換部103によってx−y平面が水平面となるように座標変換された加速度ベクトルを、z軸を軸として逐次回転させた場合の回転角度である。
【0046】
ここで、まず、角度の初期値(初期角度)としてφ(任意)を選んだとする。そして、φから正負の方向にそれぞれ等間隔Δφだけ離れた角度φ、つまり、φ=φ−Δφ、φ=φ+Δφにおける移動方向評価値S、Sを求める。このとき、φが移動方向と一致する場合には、SとSとは等しい値となるが、φが移動方向と異なる場合には、SとSとは異なる値となりSとSとの間に差が生じる。
【0047】
そこで、式(1)に示すように、SとSとの差に係数αをかけた値によって移動方向φを更新する。このようにして移動方向φを逐次更新することにより、移動方向φは歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向に徐々に近づく。
φ=φ+α(S−S) …(1)
【0048】
なお、係数αの設定方法としては、定数とする方法、または、SおよびSの関数とする方法等が考えられるが、これらの方法に限定されない。
【0049】
さらに、図5を用いて歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)の検出方法について詳細に説明する。
【0050】
図5は、移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106の動作を説明するためのフロー図である。
【0051】
まず、移動方向φを初期化する(step301)。移動方向φの初期角度としては、例えば、以下に述べる処理を実行して直前に得られた歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向φとする。ただし、移動方向φの初期化方法は、これに限定されるものではない。
【0052】
次に、加速度ベクトルの水平方向成分をφ−Δφだけ回転させる(step302)。ここで、Δφは固定値である。
【0053】
次に、回転後の加速度ベクトルのx座標の振幅とy座標の振幅との比Prbを算出する(step303)。
【0054】
次に、加速度ベクトルの水平方向成分をφ+Δφだけ回転させる(step304)。
【0055】
次に、回転後の加速度ベクトルのx座標の振幅とy座標の振幅との比Prfを算出する(step305)。
【0056】
ここで、step301において初期化された移動方向φが実際の移動方向と等しい場合には、PrbとPrfとはほぼ等しくなる。一方、step301において初期化された移動方向φが実際の移動方向と異なる場合には、PrbとPrfとに差が生じる。そこで、式(2)に示すように、PrbとPrfとの差に係数αをかけた値によって移動方向φを更新する(step306)。
φ=φ+α(Prb−Prf) …(2)
【0057】
上記step301〜306を移動方向φが収束するまで繰り返すようにしてもよいし、または、繰り返し回数を固定とし、上記step301〜306を固定回数だけ繰り返すようにしてもよい。または、移動方向は短期間では大きく変化しないと仮定して、一組のデータセットに対して処理を一度だけ行うようにしてもよい。
【0058】
また、以上の説明では、x座標の振幅とy座標の振幅との比Prが最大となるように移動方向φを更新するようにした。しかし、これに限定されず、例えば、x座標の振幅が最大となるように移動方向φを更新してもよく、または、y座標の振幅が最小となるように移動方向φを更新してもよい。または、x座標のRMSが最大またはy座標のRMSが最小となるように移動方向φを更新してもよい。または、x座標のRMSとy座標のRMSとの比が最大となるように移動方向φを更新してもよい。または、x座標の振幅とy座標の振幅との比のアークタンジェント、または、x座標のRMSとy座標のRMSとの比のアークタンジェントが最大となるように移動方向φを更新してもよい。また、RMSの代わりに加速度ベクトルの絶対値の積算値、または、加速度ベクトルの平均値を使用してもよい。
【0059】
次に、移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部107での、歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)の検出方法について説明する。上記のように、移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106は、歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向を検出したものの、歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向きは検出していない。つまり、例えば、歩行者用ナビゲーション装置100を搭載する端末の移動方向の検出によりその端末が端末の前面または端末の背面に移動していることは分かったものの、その端末が、端末の前面または端末の背面のどちらに移動しているのかまでは分かっていない。そこで、移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部107において、歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向きを検出する。以下、図6Aおよび図6Bを用いて、歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)の検出方法について説明する。
【0060】
図6Aは、歩行者が歩行者用ナビゲーション装置100を搭載する端末を前面に向けて保持し、端末の移動の向きが端末の前面である場合の端末および加速度センサの座標軸を模式的に示している。また、図6Bは、歩行者が歩行者用ナビゲーション装置100を搭載する端末を背面に向けて保持し、端末の移動の向きが端末の背面である場合の端末および加速度センサの座標軸を模式的に示している。なお、図6Aに示す歩行者と、図6Bに示す歩行者とは、移動方向および移動の向きが同じである。また、図6Aと図6Bとでは、垂直方向、すなわち、z軸の向きは同じであり、移動方向の軸の向きが180度異なっている。
【0061】
図6Aおよび図6Bから分かるように、端末が、端末の移動方向に対し前面を向いているか背面を向いているかによって、加速度ベクトルの垂直方向(z軸)の成分には変化が無い。一方、端末が、端末の移動方向に対し前面を向いているか背面を向いているかによって、移動方向の軸(y軸)の向きが180度変わるため、移動方向の加速度ベクトルの符号が反転することになる。つまり、端末が、端末の移動方向に対し前面を向いているか背面を向いているかによって、加速度ベクトルの垂直方向に対する、加速度ベクトルの移動方向の位相ずれの方向が逆になる。よって、歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向きを検出するためには、加速度ベクトルの垂直方向と加速度ベクトルの移動方向との位相ずれの方向(位相が進んでいるか遅れているか)を検出すればよい。
【0062】
図7に、図6Aおよび図6Bに示した歩行者用ナビゲーション装置100の加速度ベクトルの変動の様子を示す。図7において、縦軸は加速度ベクトルの大きさを示し、横軸は時間を示す。また、図7において、S11は、歩行者用ナビゲーション装置100の加速度ベクトルの垂直方向の成分を示す。上記のように、歩行者用ナビゲーション装置100を搭載する端末が、端末の移動方向に対し前面を向いている場合も背面を向いている場合も、歩行者用ナビゲーション装置100の加速度ベクトルの垂直方向の成分は同じである。また、図7において、S12は、図6Aの加速度ベクトルの移動方向の成分を示し、S13は、図6Bの加速度ベクトルの移動方向の成分を示す。
【0063】
移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部107は、歩行者用ナビゲーション装置100の加速度ベクトルの垂直方向の成分と歩行者用ナビゲーション装置100の加速度ベクトルの移動方向の成分との位相差、つまり、位相ずれの方向(位相が進んでいるか遅れているか)を検出することにより、歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向きを判定する。
【0064】
位相ずれの方向が変わることにより、加速度ベクトルの垂直方向の成分が0クロスするときの、加速度ベクトルの移動方向の成分の正負の符号が移動の向きによって変わる。そこで、移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部107は、加速度ベクトルの移動方向の成分の正負の符号を検出することによって歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向きを検出する。
【0065】
例えば、図7の領域S21に示すように、加速度ベクトルの垂直方向の成分が+から−に0クロスしたときに、加速度ベクトルの移動方向の成分が正の場合は、歩行者用ナビゲーション装置100を搭載する端末が端末の前面の向きに移動していると判定し、負の場合は、歩行者用ナビゲーション装置100を搭載する端末が端末の背面の方向に移動していると判定する。
【0066】
また、同様に図7の領域S22に示すように、加速度ベクトルの垂直方向の成分が−から+に0クロスしたときに、加速度ベクトルの移動方向の成分が負の場合は、歩行者用ナビゲーション装置100を搭載する端末が端末の前面の向きに移動していると判定し、正の場合は、歩行者用ナビゲーション装置100を搭載する端末が端末の背面の方向に移動していると判定する。
【0067】
このようにして、移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部107は、加速度ベクトルの垂直方向の成分と加速度ベクトルの移動方向の成分との位相差、つまり、位相ずれの方向(位相が進んでいるか遅れているか)を検出することにより、移動の向きを判定する。
【0068】
なお、以上の説明では、説明を簡単にするために、歩行者用ナビゲーション装置100を搭載する端末の移動の向きが端末の前面または端末の背面として説明したが、歩行者用ナビゲーション装置100を搭載する端末の移動の向きが他の面であっても同様の方法で歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向きを検出することができる。人間が徒歩で移動する場合、加速度ベクトルの垂直方向成分と加速度ベクトルの移動方向成分とは、歩行周波数において位相ずれが生じているので、歩行者用ナビゲーション装置100を搭載する端末の移動の向きが他の面であっても、その位相ずれを検出することにより歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向きを検出することができる。
【0069】
以上のように、本実施の形態では、座標変換部103は、歩行者が保持する歩行者用ナビゲーション装置100の姿勢に基づいて、加速度ベクトルを、歩行者用ナビゲーション装置100を基準とした座標に変換する。BPF105は、座標変換後の加速度ベクトルの周波数成分のうち、歩行者の歩行周波数成分を透過させる。移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106は、BPF105透過後の加速度ベクトルを用いて、歩行者用ナビゲーション装置100を基準とした座標における歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向を検出する。移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部107は、BPF105透過後の加速度ベクトルを用いて、歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標における歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きを検出する。移動の向き(地球基準)算出部109は、歩行者用ナビゲーション装置100を基準とした座標における歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向、歩行者用ナビゲーション装置100を基準とした座標における歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向き、および、地球を基準とした座標における歩行者用ナビゲーション装置100の向きに基づいて、地球を基準とした座標における歩行者用ナビゲーション装置100の移動の向きを算出する。
【0070】
これにより、複数のタイミングにおける歩行者の加速度ベクトルの情報を用いて歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きが検出されるので、1つのタイミングの加速度ベクトルのみが用いられる場合に比べ、精度良く歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きを検出することができる。このように、本実施の形態では、複数のタイミングにおける加速度ベクトルの情報が利用されるため、加速度ベクトルを低速のサンプリングレートでサンプリングすることができ、よって、歩行者用ナビゲーション装置の低消費電力化を図ることができる。
【0071】
また、本実施の形態では、BPF105が、座標変換後の加速度ベクトルの周波数成分のうち歩行周波数成分を透過させ、移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106が、BPF105透過後の加速度ベクトルを用いて、歩行者用ナビゲーション装置100に固定された座標における歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向を検出する。これにより、加速度ベクトルにおける左右の揺れ成分を減衰させて歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向の揺れが支配的となる加速度ベクトルを得ることができるので、歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向の検出精度を向上させることができる。
【0072】
なお、移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部106が、移動方向評価値としてRMSを使用する場合には、全てのサンプリングタイミングにおける加速度ベクトルの情報を利用することが可能となり、歩行者用ナビゲーション装置100の移動方向の検出精度をさらに向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る歩行者用ナビゲーション装置および歩行者用ナビゲーション装置における移動方向検出方法は、歩行者のナビゲーションを行う電子機器に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施の形態に係る歩行者用ナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図
【図2】上記実施の形態に係る移動方向評価値と回転角度との関係を示す図
【図3】上記実施の形態に係る移動方向検出方法を説明するためのフロー図
【図4】上記実施の形態に係る移動方向検出方法の原理を説明するために供する図
【図5】上記実施の形態に係る移動方向検出方法を説明するためのフロー図
【図6A】端末を前面に向けて保持する場合の加速度センサの座標軸を示す図
【図6B】端末を背面に向けて保持する場合の加速度センサの座標軸を示す図
【図7】図6Aおよび図6Bに示した加速度ベクトルの変動の様子を示す図
【符号の説明】
【0075】
100 歩行者用ナビゲーション装置
101 加速度センサ
102 姿勢検知部
103 座標変換部
104 歩行周波数検出部
105 BPF
106 移動方向(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部
107 移動の向き(歩行者用ナビゲーション装置基準)検出部
108 絶対方位検出部
109 移動の向き(地球基準)算出部
110 移動速度算出部
111 移動ベクトル算出部
112 位置算出部
113 位置記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者用ナビゲーション装置であって、
人の歩行によって生じる加速度ベクトルを検知する加速度センサと、
地球を基準とした当該歩行者用ナビゲーション装置の向きを検出する絶対方位検出部と、
前記加速度ベクトルの水平面内成分の振幅の縦横比が最大となる方向を、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした移動方向として検出する第1移動方向検出部と、
前記絶対方位検出部が検出した向き、および、前記第1移動方向検出部が検出した移動方向に基づいて、当該歩行者用ナビゲーション装置の移動方向を検出する第2移動方向検出部と、
を具備する歩行者用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記加速度ベクトルの垂直方向の成分と、前記加速度ベクトルの当該歩行者用ナビゲーション装置の移動方向の成分との位相差に基づいて、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きを検出する第3移動方向検出部、をさらに具備する、
請求項1に記載の歩行者用ナビゲーション装置。
【請求項3】
歩行者用ナビゲーション装置であって、
当該歩行者用ナビゲーション装置の移動によって生じる当該歩行者用ナビゲーション装置の加速度ベクトルを検知する加速度センサと、
当該歩行者用ナビゲーション装置の姿勢を検知する検知部と、
当該歩行者用ナビゲーション装置の姿勢に基づいて、前記加速度ベクトルを、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標に変換する変換部と、
座標変換後の前記加速度ベクトルの周波数成分のうち、歩行周波数成分を透過させるフィルタと、
前記フィルタ透過後の前記加速度ベクトルを用いて、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動方向を検出する第1検出部と、
前記フィルタ透過後の前記加速度ベクトルを用いて、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きを検出する第2検出部と、
地球を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の向きの絶対方位を検出する第3検出部と、
当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動方向、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動の向き、および、前記絶対方位を用いて、地球を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きを算出する第1算出部と、
前記加速度ベクトルを用いて当該歩行者用ナビゲーション装置の移動速度を算出する移動速度算出部と、
前記地球を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きおよび当該歩行者用ナビゲーション装置の移動速度を用いて当該歩行者用ナビゲーション装置の移動ベクトルを算出する第2算出部と、
を具備する歩行者用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記第2検出部は、
前記フィルタ透過後の前記加速度ベクトルの垂直方向の成分と、前記フィルタ透過後の前記加速度ベクトルの当該歩行者用ナビゲーション装置の移動方向の成分との位相差に基づいて、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きを検出する、
請求項3に記載の歩行者用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記移動ベクトルを用いて当該歩行者用ナビゲーション装置の位置を算出する位置算出部と、
当該歩行者用ナビゲーション装置の位置を記憶する位置記憶部と、をさらに具備する、
請求項3記載の歩行者用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記第1検出部は、
前記フィルタ透過後の前記加速度ベクトルの水平方向の成分を、垂直方向を軸として逐次回転し、回転後の前記加速度ベクトルの水平方向の所定の座標軸における振幅を最大とする回転角度を用いて、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動方向を検出する、
請求項3記載の歩行者用ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記第1検出部は、
前記フィルタ透過後の前記加速度ベクトルの水平方向の成分を、垂直方向を軸として所定の角度だけ正負に回転し、回転後の2つの前記加速度ベクトルの水平方向の所定の座標軸における振幅に基づいて、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動方向を検出する、
請求項3記載の歩行者用ナビゲーション装置。
【請求項8】
歩行者用ナビゲーション装置における移動方向検出方法であって、
人の歩行によって生じる加速度ベクトルを検知し、
地球を基準とした当該歩行者用ナビゲーション装置の向きを検出し、
前記加速度ベクトルの水平面内成分の振幅の縦横比が最大となる方向を、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした移動方向として検出し、
前記地球を基準とした当該歩行者用ナビゲーション装置の向き、および、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした移動方向に基づいて、当該歩行者用ナビゲーション装置の移動方向を検出する
移動方向検出方法。
【請求項9】
歩行者用ナビゲーション装置の移動ベクトルを算出する移動ベクトル測定方法であって、
当該歩行者用ナビゲーション装置の姿勢に基づいて、当該歩行者用ナビゲーション装置の移動によって生じる当該歩行者用ナビゲーション装置の加速度ベクトルを、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標に変換し、
座標変換後の前記加速度ベクトルの周波数成分のうち、歩行周波数成分を透過させる帯域制限を行い、
前記帯域制限後の前記加速度ベクトルを用いて、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動方向、および、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きを検出し、
当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動方向、当該歩行者用ナビゲーション装置を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動の向き、および、地球を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の向きの絶対方位を用いて、地球を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きを算出し、
前記加速度ベクトルを用いて当該歩行者用ナビゲーション装置の移動速度を算出し、
前記地球を基準とした座標における当該歩行者用ナビゲーション装置の移動の向きおよび当該歩行者用ナビゲーション装置の移動速度を用いて当該歩行者用ナビゲーション装置の移動ベクトルを算出する、
移動ベクトル測定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−112854(P2010−112854A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286152(P2008−286152)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】