説明

歩行評価システム、歩行計、歩行評価プログラムおよび記録媒体

【課題】歩行の際の足の動きを検出するに際し、コンパクト且つ安価な装置であって、トレーナ等が簡易に取扱うことができ、測定場所を選ぶ必要がない歩行評価システム等を提供する。
【解決手段】歩行計10は被測定者の歩行に関するデータDataを測定する加速度センサ13等の測定器11を有し、PC20はDataをUSBインタフェース等を介して受取り、推定部22は受取ったDataに基づき被測定者の歩行状態を推定する。推定部22は、サンプリング時間毎の被測定者の足部40における所定方向の加速度ACCに基づき、被測定者のけり足の強さを推定するけり足推定部23、歩行のテンポを推定するテンポ推定部24、足の高度を推定する高度推定部25、歩幅推定部26のいずれか1つ以上を備えている。評価部30は推定部22による推定に基づき被測定者の歩行状態を評価し、表示部31は評価部30による評価結果を所定の形式で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定者の歩行に関するデータを測定する測定器を有する歩行計と、この測定器により測定された歩行に関するデータを所定の受取形式により受取可能なコンピュータとを備えた歩行評価システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行に使用する筋肉には、脚の持ち上げ等に用いる大腿四頭筋等と、着地時の支えおよびつま先の持ち上げ等に用いる前脛骨筋等と、蹴り出しおよび踵の持ち上げ等に用いる下肢三頭筋等とがある。これらの筋肉が老化により衰えるとすり足となり、転倒する可能性が生じてくる。従来、高齢者または歩行障害を有する人の転倒を予防するために、高齢者等の転倒予防教室において理学療法士または作業療法士等のトレーナが種々の指導を行ってきた。しかし、指導方法はトレーナにより違いがあるため、的確なアドバイス・トレーニングプログラムを作成するためには、歩行の質を数値化することが必要とされていた。このため、歩行の際の足の動きを検出する種々の装置が開発されてきた。
【0003】
上述の装置の例として、歩行路に圧力マットを敷き、その上を歩行して足の動きを検出する圧力マットを使用した方式の装置がある(非特許文献1参照)。あるいは、暗所等の専用のスタジオにおいて足にマーカ等を装着し、マーカ等の動きを複数のカメラで検出するという光学的手法を用いたモーションキャプチャ方式の装置もある。
【0004】
【非特許文献1】“歩行パターン測定システム”、[online]、ニッタ株式会社、[平成19年6月11日検索]、インターネット、<URL: http://www.nitta.co.jp/images/product/pdf/tactile_product/gaitscan_pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した圧力マットを使用した装置およびモーションキャプチャ方式の装置は、いずれも大掛かりな装置であり、極めて高価な装置であるという問題があった。さらに、圧力マットを使用した装置は圧力マットを敷いたり必要なケーブルを延ばす等の面倒な取扱を要するものであり、トレーナ等が簡単に使用できる装置ではないという問題があった。モーションキャプチャ方式の装置は特別な測定場所を必要とするという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、歩行の際の足の動きを検出するに際し、コンパクト且つ安価な装置であって、トレーナ等が簡易に取扱うことができ、測定場所を選ぶ必要がない歩行評価システム、歩行計等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の歩行評価システムは、被測定者の歩行に関するデータを測定する測定器を有する歩行計と、該測定器により測定された歩行に関するデータを所定の受取形式により受取可能なコンピュータとを備えた歩行評価システムであって、前記コンピュータは受取った歩行に関するデータに基づき被測定者の歩行状態を推定する推定部を備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、この発明の歩行評価システムにおいて、前記歩行計は前記測定器として加速度センサを備え、前記歩行に関するデータは該加速度センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度であり、前記推定部は、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度に基づき、被測定者のけり足の強さを推定するけり足推定手段、被測定者の歩行のテンポを推定するテンポ推定手段、被測定者の足の高度を推定する高度推定手段、被測定者の歩幅を推定する歩幅推定手段のいずれか1つ以上を備えることができる。
【0009】
ここで、この発明の歩行評価システムにおいて、前記歩行計は前記測定器として傾斜センサをさらに備え、前記歩行に関するデータは該傾斜センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の傾斜度をさらに備え、前記推定部は、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度と前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の傾斜度とに基づき、被測定者の足の着地状態を推定する着地推定手段をさらに備えることができる。
【0010】
ここで、この発明の歩行評価システムにおいて、前記歩行計は前記測定器として角速度センサをさらに備え、前記歩行に関するデータは該角速度センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部の角速度をさらに備え、前記推定部は、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度と前記所定の時間毎の被測定者の足部の角速度とに基づき、被測定者の進行状態を推定する進行状態推定手段をさらに備えることができる。
【0011】
ここで、この発明の歩行評価システムにおいて、前記歩行計は前記測定器により測定された歩行に関するデータに基づき所定の動作を行う動作手段をさらに備えることができる。
【0012】
ここで、この発明の歩行評価システムにおいて、前記推定部による推定に基づき被測定者の歩行状態を評価する評価手段をさらに備えることができる。
【0013】
ここで、この発明の歩行評価システムにおいて、前記評価手段による評価結果を所定の形式で表示する表示手段をさらに備えることができる。
【0014】
この発明の歩行計は、被測定者の歩行に関するデータを測定する測定器を有する歩行計であって、該測定器により測定された歩行に関するデータは所定の受取形式により受取可能なコンピュータへ受取られ、該コンピュータにより、受取った歩行に関するデータに基づき被測定者の歩行状態が推定されることを特徴とする。
【0015】
ここで、この発明の歩行計において、前記測定器として加速度センサを備え、前記歩行に関するデータは該加速度センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度であり、前記コンピュータにより、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度に基づき、被測定者のけり足の強さの推定、被測定者の歩行のテンポの推定、被測定者の足の高度の推定、被測定者の歩幅の推定のいずれか1つ以上が推定されることができる。
【0016】
ここで、この発明の歩行計において、前記測定器として傾斜センサをさらに備え、前記歩行に関するデータは該傾斜センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の傾斜度をさらに備え、前記コンピュータにより、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度と前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の傾斜度とに基づき、被測定者の足の着地状態がさらに推定されることができる。
【0017】
この発明の歩行計において、前記測定器として角速度センサをさらに備え、前記歩行に関するデータは該角速度センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部の角速度をさらに備え、前記コンピュータにより、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度と前記所定の時間毎の被測定者の足部の角速度とに基づき、被測定者の進行状態がさらに推定されることができる。
【0018】
ここで、この発明の歩行計において、前記測定器により測定された歩行に関するデータに基づき所定の動作を行う動作手段をさらに備えることができる。
【0019】
この発明の歩行評価プログラムは、被測定者の歩行に関するデータを測定する測定器を有する歩行計の該測定器により測定された歩行に関するデータを所定の受取形式により受取可能なコンピュータが歩行評価を行うための歩行評価プログラムであって、前記コンピュータを、受取った歩行に関するデータに基づき被測定者の歩行状態を推定する推定部として機能させるための歩行評価プログラムである。
【0020】
ここで、この発明の歩行評価プログラムにおいて、前記歩行計は前記測定器として加速度センサを備え、前記歩行に関するデータは該加速度センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度であり、前記推定部は、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度に基づき、被測定者のけり足の強さを推定するけり足推定手段、被測定者の歩行のテンポを推定するテンポ推定手段、被測定者の足の高度を推定する高度推定手段、被測定者の歩幅を推定する歩幅推定手段のいずれか1つ以上を備えることができる。
【0021】
ここで、この発明の歩行評価プログラムにおいて、前記歩行計は前記測定器として傾斜センサをさらに備え、前記歩行に関するデータは該傾斜センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の傾斜度をさらに備え、前記推定部は、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度と前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の傾斜度とに基づき、被測定者の足の着地状態を推定する着地推定手段をさらに備えることができる。
【0022】
ここで、この発明の歩行評価プログラムにおいて、前記歩行計は前記測定器として角速度センサをさらに備え、前記歩行に関するデータは該角速度センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部の角速度をさらに備え、前記推定部は、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度と前記所定の時間毎の被測定者の足部の角速度とに基づき、被測定者の進行状態を推定する進行状態推定手段をさらに備えることができる。
【0023】
ここで、この発明の歩行評価プログラムにおいて、前記推定部による推定に基づき被測定者の歩行状態を評価する評価手段をさらに備えることができる。
【0024】
ここで、この発明の歩行評価プログラムにおいて、前記評価手段による評価結果を所定の形式で表示する表示手段をさらに備えることができる。
【0025】
この発明の記録媒体は、本発明のいずれかの歩行評価プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の歩行評価システム等によれば、歩行計は被測定者の歩行に関するデータを測定する測定器を有している。PCは、測定器により測定された歩行に関するデータをUSBインタフェース等を介して受取る。PCの推定部は受取った歩行に関するデータに基づき被測定者の歩行状態を推定する。歩行計は測定器として小型の加速度センサを備えている。歩行計は測定器として小型で軽量の傾斜センサをさらに備えることができる。傾斜センサ歩行計は測定器としてワンチップ封止型の小型の角速度センサをさらに備えることができる。この結果、歩行計をコンパクト且つ安価な装置とすることが可能である。歩行計は被測定者の足部に装着するだけで被測定者の歩行に関するデータを測定することができるため、トレーナおよび被測定者が簡易に取扱うことができ、測定場所を選ぶ必要がなく、被測定者の普段の生活の中で測定することができるという効果がある。推定部は、サンプリング時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度に基づき、被測定者のけり足の強さを推定するけり足推定部、歩行のテンポを推定するテンポ推定部、足の高度を推定する高度推定部、歩幅推定部のいずれか1つ以上を備えている。推定部は、サンプリング時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度とサンプリング時間毎の被測定者の足部における所定方向の傾斜度とに基づき、被測定者の足部の着地状態を推定する着地推定部をさらに備えることができる。推定部は、サンプリング時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度とサンプリング時間毎の被測定者の足部の角速度とに基づき、被測定者の進行状態を推定する進行状態推定部をさらに備えることができる。PCは、推定部による推定に基づき被測定者の歩行状態を評価する評価部と、評価部による評価結果を所定の形式で表示する表示部とをさらに備えている。評価部と表示部とにより、被測定者の歩行を視覚化して表示することができる。以上のように、歩行評価システムは歩行計により測定された歩行に関するデータから自動的に種々の評価を視覚的に表示することができるため、トレーナ等は簡易に歩行評価システムを取扱うことができる。この結果、トレーナ等は被測定者の歩行状態を容易に把握することができ、高齢者等の歩行トレーニングのスクリーニングを容易に行うことができ、指導内容の明確化することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、各実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明の実施例1における歩行評価システム1を示す。図1において、符号40は被測定者の足部、10は被測定者の足部40に装着された歩行計、20は被測定者の歩行に関するデータDataを受取り、種々の推定および評価等を行うパーソナルコンピュータPC、35はPC20のディスプレイ等の表示装置である。図1に示されるように、足部40としては足の甲部が好適である。歩行計10は被測定者の片足(利き足)に1台だけ装着すれば十分であるが、両足に装着してもよい。図1の歩行計10の内部ブロック11に示されるように、歩行計10は被測定者の歩行に関するデータを測定する測定器12を有している。PC20は、測定器12により測定された歩行に関するデータDataを所定の受取形式により受取可能である。所定の受取形式としては、例えば歩行計とPC20とをUSB(Universal Serial Bus)インタフェース等により有線接続して、歩行に関するデータDataを歩行計10からPC20へ送信する方式が好適である。所定の受取形式として無線を用いてもよい。図1のPC20の機能を示す機能ブロック21に示されるように、PC20は受取った歩行に関するデータDataに基づき被測定者の歩行状態を推定する推定部22を備えている。
【0029】
以下、測定器12の種別と、測定器12により測定された歩行に関するデータDataに基づき推定部22が行う推定とについて説明する。図1の内部ブロック11に示されるように、歩行計10は測定器12として加速度センサ13を備えている。加速度センサ13としてはMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて作製された3次元加速度センサが好適である。加速度センサ13を用いた場合、歩行に関するデータDataは加速度センサ13により測定されたサンプリング時間(所定の時間)毎の被測定者の足部40における所定方向の加速度ACCである。推定部22は、サンプリング時間毎の被測定者の足部40における所定方向の加速度ACCに基づき、被測定者のけり足の強さを推定するけり足推定部(けり足推定手段)23、歩行のテンポを推定するテンポ推定部(テンポ推定手段)24、足の高度を推定する高度推定部(高度推定手段)25、歩幅推定部(歩幅推定手段)26のいずれか1つ以上を備えている。
【0030】
ここで、足部40の動きと加速度ACCとの関係について簡単に説明する。図2は、足部40の動きと加速度ACCとの関係について説明するための図である。図2に示されるように、被測定者の進行方向は矢印Aで示される方向である。図2(A)は被測定者の足部40の動きを示し、縦軸は地面からの高度、横軸はサンプリング時間である。図2(B)は被測定者の足部40の動きに伴う進行方向加速度ACCxの変化を示し、縦軸は進行方向加速度ACCxの強さ、横軸はサンプリング時間である。図2(C)は被測定者の足部40の動きに伴う縦方向加速度ACCzの変化を示し、縦軸は縦方向加速度ACCzの強さ、横軸はサンプリング時間である。上述した所定方向の加速度ACCとは進行方向の加速度ACCxおよび縦方向の加速度ACCzであるが、いずれか一方のみでよい場合もある。
【0031】
図2(A)に示されるように、符号Sで示されるサンプリング時間から体の後側にあった足部40がけり足により動き始め、符号Mで示されるサンプリング時間で足部40が体に引き付けられることによりその高さが最大となり、符号Eで示されるサンプリング時間で足部40が体の前側に進んで地面に着地する。図2(B)に示されるように、進行方向加速度ACCxは符号Sで示されるサンプリング時間からけり足により進行するため0から強くなり始め、符号SとMとの間付近でピークP1の強さとなり、その後、足部40が体に引き付けられ減速することにより減少し、符号Mで示されるサンプリング時間で足部40が体に引き付けられることにより0となる。続いて進行方向加速度ACCxは、足部40が体の前側へ進むため強くなり始め、符号MとEとの間付近でピークP2の強さとなり、その後、足部40が着地に近づくため減速することにより減少し、符号Eで示されるサンプリング時間で足部40が着地することにより0となる。図2(C)に示されるように、縦方向加速度ACCzは符号Sで示されるサンプリング時間からけり足により上昇するため0から正方向へ強くなり始め、符号SとMとの間付近でピークP3の強さとなり、その後、足部40が体に引き付けられ減速することにより減少し、符号Mで示されるサンプリング時間で足部40が体に引き付けられることにより0となる。続いて縦方向加速度ACCzは、足部40が下降するため負方向へ強くなり始め、符号MとEとの間付近でピークP4の強さとなり、その後、足部40が着地に近づくため減速することにより減少し、符号Eで示されるサンプリング時間で足部40が着地することにより0となる。推定部22の各推定部23等は、サンプリング時間毎の被測定者の足部40における進行方向加速度ACCx(所定方向の加速度)に基づき、歩行の開始時間(符号Sで示されるサンプリング時間。以下、「歩行の開始時間S」と略す。)と終了時間(符号Eで示されるサンプリング時間以下、「歩行の終了時間E」と略す。)とを得ることができる。
【0032】
けり足推定部23は、図2(C)に示される歩行の開始時間Sにおける縦方向加速度ACCxの強さ(=0)とピークP3におけるサンプリング時間および縦方向加速度ACCzの強さ(=H)とから被測定者のけり足の強さを推定することができる。上述のように、歩行の開始時間Sはサンプリング時間毎の被測定者の足部40における進行方向加速度ACCxに基づき得ることができる。
【0033】
テンポ推定部24は、図2(A)の歩行の終了時間Eと符号E’で示される次の着地におけるサンプリング時間との間の時間Tから歩行のテンポを推定することができる。上述のように、着地はサンプリング時間毎の被測定者の足部40における進行方向加速度ACCxに基づき得ることができる。時間Tからは歩数の推定も可能である。
【0034】
足部40の高度は例えば超音波センサ等を利用した高度センサ(不図示)を用いて測定することができる。あるいは、高度推定部25が図2(C)に示されるピークP3における縦方向加速度ACCzの強さHと足部40がピークP3に達するまでの時間(t)とから足部40の縦方向の平均速度を得て、この平均速度と時間tとから足部40の高度を推定することもできる。
【0035】
歩幅推定部26は、図2(B)に示される歩行の開始時間Sから歩行の終了時間Eまでの進行方向加速度ACCxと終了時間Eから開始時間Sを引いた時間L(歩行時間)とから足部40の進行方向の平均速度を得て、この平均速度と時間Lとから足部40の進行距離である歩幅を推定することもできる。上述のように、歩行の開始時間Sおよび終了時間Eはサンプリング時間毎の被測定者の足部40における進行方向加速度ACCxに基づき得ることができる。
【0036】
歩行計10は測定器12として傾斜センサ14をさらに備えることができる。傾斜センサ14としては小型で軽量のセンサが好適である。傾斜センサ14を用いた場合、歩行に関するデータDataには傾斜センサ14により測定されたサンプリング時間毎の被測定者の足部40における縦方向(所定方向)の傾斜度CLIがさらに加えられる。推定部22は、サンプリング時間毎の被測定者の足部40における所定方向の加速度ACCとサンプリング時間毎の被測定者の足部40における所定方向の傾斜度CLIとに基づき、被測定者の足部40の着地状態を推定する着地推定部(着地推定手段)27をさらに備えることができる。着地推定部27が推定する着地状態としては、踵で着地したかどうかが挙げられる。上述のように、着地はサンプリング時間毎の被測定者の足部40における進行方向加速度ACCxに基づき得ることができる。着地推定部27は、着地時に傾斜センサ14により測定された足部40の縦方向の傾斜度CLIから踵で着地したかどうかを推定することができる。例えば、図2に示される進行方向Aで足部40が水平の時の縦方向の傾斜度CLIを0°とすると、踵で着地した場合は縦方向の傾斜度CLIは正の30°程度となるが、すり足等でつま先から着地した場合は縦方向の傾斜度CLIは負の30°程度となる。以上のようにして、着地推定部27は縦方向の傾斜度CLIの正負および角度から踵で着地したかどうかを推定することができる。
【0037】
歩行計10は測定器12として角速度センサ15をさらに備えることができる。角速度センサ15としては、ワンチップ封止型の小型の角速度センサ等が好適である。角速度センサ15を用いた場合、歩行に関するデータDataは角速度センサ15により測定されたサンプリング時間毎の被測定者の足部40の角速度ANGがさらに加えられる。推定部22は、サンプリング時間毎の被測定者の足部40における所定方向の加速度ACCとサンプリング時間毎の被測定者の足部の角速度ANGとに基づき、被測定者の進行状態を推定する進行状態推定部(進行状態推定手段)28をさらに備えることができる。進行状態推定部28が推定する進行状態としては、被測定者の歩行がふらついているかどうかが挙げられる。上述のように、加速度センサ13として3次元加速度センサを用いれば、被測定者の進行方向の平面上の移動状態を推定することができる。これに加えてさらに角速度センサ15を用いることにより、足部40の回転状態を得ることができるため、被測定者の歩行がふらついているかどうかを推定することができる。
【0038】
PC21は、推定部22による推定に基づき被測定者の歩行状態を評価する評価部(評価手段)30と、評価部30による評価結果を所定の形式で表示する表示部(表示手段)31とをさらに備えている。図3は、評価部30による評価結果を表示部31がディスプレイ等の表示装置35に表示した例を示す。上記所定の形式としては、以下で説明する図3に示されるような表形式50が挙げられる。図3で、符号51は推定部22により推定された各種の歩行状態等の欄であり、上から歩幅推定部26により推定された被測定者の歩幅、着地推定部27により推定された被測定者の足の着地(状態)、けり足推定部23により推定された被測定者のけり足(の強さ)、テンポ推定部24により推定された被測定者の歩行のテンポであり、最後は評価部30による総合(評価)を示す。符号52は評価部30による評価を示す評価欄であり、図3に示されるように、被測定者の歩行状態が0から100%までのどの程度にあるかをLevelで示している。具体的には、評価部30は被測定者と同性で同年齢または同年代の歩幅等の歩行状態の平均を50%とした場合、被測定者の歩幅等の歩行状態をLevelで示す。評価部30は、各種の歩行状態を総合評価した結果を評価欄52の最後に示す。具体的には、各種の歩行状態のLevelの平均または重み付け平均を示す。符号53は評価部30が評価欄52にLevelにより示した評価に付け加えるコメント欄である。図3では簡略して総合評価についてのコメントのみ示す。図3に示されるように、被測定者は着地状態を除き他の歩行状態は平均を上回っているため、「あなたの歩行は問題ないレベルです。ただし、踵からの着地をより意識してください。」というコメントが付け加えられている。以上のように、評価部30は、予めPC20に記録された性別、年齢、年代毎の歩幅等の歩行状態の平均を用いて、推定部22による推定に基づき被測定者の各種の歩行状態をLevelにより評価し、さらに予めPC20に記録されたLevelに対応したコメントを適宜選択する。表示部31は、評価部30による評価(Level)とコメントとを図3に示されるような表形式50でディスプレイ等の表示装置35に表示する。
【0039】
図4は、評価部30による評価結果を表示部31がディスプレイ等の表示装置35に表示した別の例を示す。図4(A)は正しい歩行状態の被測定者の例を示し、図4(B)はすり足の歩行状態の被測定者の例を示し、歩行は右から左側へ行われているものとする。図4(A)で、符号45は地面または床面、F1ないしF9はサンプリング時間毎の被測定者の足部40、FSは踏切の状態、FEは着地の状態、FLは歩幅を示す。図4(B)で、符号45は図4(A)と同様に地面または床面、W1ないしW8はサンプリング時間毎の被測定者の足部40、WSは踏切の状態、WEは着地の状態、WLは歩幅を示す。評価部30は、推定部22による推定に基づき、被測定者の歩行状態をサンプリング時間毎の足の形状として画像表示可能なように画像データを計算(評価)することができる。表示部31は、評価部30により計算された画像データ(評価結果)を図4(A)および(B)に示されるように表示することができる。すなわち、評価部30と表示部31とにより、被測定者の歩行を視覚化することができる。図4(A)および(B)を比較すると、すり足の歩行状態の被測定者の踏切WSは正しい歩行状態の被測定者の踏切FSより足部40の角度が小さく、踏切が弱いことが示されている。すり足の歩行状態の被測定者の着地WEはつま先から行われているのに対し、正しい歩行状態の被測定者の着地FEは踵から行われていることが示されている。すり足の歩行状態の被測定者の歩幅WLは正しい歩行状態の被測定者の歩幅FLより短いことが示されている。図4では被測定者の歩行状態を平面的に示したが、立体的に示すことも可能である。図4では2人の比較を示したが、3人以上の比較を示すこともできる。
【0040】
図5は、本発明の歩行評価プログラムの機能の流れをフローチャートで示す。図5で左側のフローチャートは歩行計10の機能の流れを示し、右側のフローチャートはPC20の機能の流れを示し、歩行計10からPC20への送信は点線で示す。まず、概略を説明すると、図5に示されるように、歩行計10が被測定者の歩行に関するデータDataを測定器12により測定し、測定した歩行に関するデータDataを上述したUSBインタフェース等を介してPC20へ送信する(ステップS10)。PC20の推定部22は送信された歩行に関するデータDataに基づき被測定者の歩行状態を推定する(ステップS20)。その後、評価部30が被測定者の歩行状態を評価し(ステップS24)、表示部31は評価結果を表示する(ステップS25)。
【0041】
次に詳細に説明する。まず、加速度センサ13がサンプリング時間毎の被測定者の足部40における所定方向の加速度ACCを測定する。このサンプリング時間毎の加速度ACCはPC20へ上述したUSBインタフェース等を介してPC20へ送信される(以上、ステップS11)。PC20は送信されたサンプリング時間毎の加速度ACCに基づき、けり足推定部23による被測定者のけり足の強さの推定、テンポ推定部24による被測定者の歩行のテンポの推定、高度推定部25による被測定者の足の高度の推定、歩幅推定部26による被測定者の歩幅の推定のいずれか1以上が実行される(ステップS21)。
【0042】
さらに傾斜センサ14が、サンプリング時間毎の被測定者の足部40における所定方向の傾斜度CLIを測定する。このサンプリング時間毎の傾斜度CLIはPC20へ上述したUSBインタフェース等を介してPC20へ送信される(以上、ステップS12)。着地推定部27は送信されたサンプリング時間毎の加速度ACCと送信されたサンプリング時間毎の傾斜度CLIとに基づき、被測定者の足の着地状態を推定する(ステップS22)。
【0043】
さらに角速度センサ15が、サンプリング時間毎の被測定者の足部40の角速度ANGを測定する。このサンプリング時間毎の角速度ANGはPC20へ上述したUSBインタフェース等を介してPC20へ送信される(以上、ステップS13)。進行状態推定部28は送信されたサンプリング時間毎の加速度ACCと送信されたサンプリング時間毎の角速度ANGとに基づき、被測定者の進行状態を推定する(ステップS23)。
【0044】
評価部30は、上述したステップS21ないしS23の推定に基づき被測定者の歩行状態を評価する(ステップS24)。表示部31は、ステップS24の評価結果を所定の形式で表示する(ステップS25)。
【0045】
以上より、本発明の実施例1によれば、歩行計10は被測定者の歩行に関するデータを測定する測定器12を有している。PC20は、測定器12により測定された歩行に関するデータDataをUSBインタフェース等を介して受取る。PC20の推定部22は受取った歩行に関するデータDataに基づき被測定者の歩行状態を推定する。歩行計10は測定器12として加速度センサ13を備えている。加速度センサ13としてはMEMS技術を用いて作製された3次元加速度センサが好適である。歩行計10は測定器12として傾斜センサ14をさらに備えることができる。傾斜センサ14としては小型で軽量のセンサが好適である。歩行計10は測定器12として角速度センサ15をさらに備えることができる。角速度センサ15としては、ワンチップ封止型の小型の角速度センサ等が好適である。この結果、歩行計10をコンパクト且つ安価な装置とすることが可能である。歩行計10は歩行の際の足の動きを検出するに際し被測定者の足部40に装着するだけで被測定者の歩行に関するデータを測定することができるため、トレーナおよび被測定者が簡易に取扱うことができ、測定場所を選ぶ必要がなく、被測定者の普段の生活の中で測定することができる。
【0046】
推定部22は、サンプリング時間毎の被測定者の足部40における所定方向の加速度ACCに基づき、被測定者のけり足の強さを推定するけり足推定部23、被測定者の歩行のテンポを推定するテンポ推定部24、被測定者の足の高度を推定する高度推定部25、被測定者の歩幅を推定する歩幅推定部26のいずれか1つ以上を備えている。推定部22は、サンプリング時間毎の被測定者の足部40における所定方向の加速度ACCとサンプリング時間毎の被測定者の足部40における所定方向の傾斜度CLIとに基づき、被測定者の足部40の着地状態を推定する着地推定部27をさらに備えることができる。推定部22は、サンプリング時間毎の被測定者の足部40における所定方向の加速度ACCとサンプリング時間毎の被測定者の足部の角速度ANGとに基づき、被測定者の進行状態を推定する進行状態推定部28をさらに備えることができる。PC21は、推定部22による推定に基づき被測定者の歩行状態を評価する評価部30と、評価部30による評価結果を所定の形式で表示する表示部31とをさらに備えている。評価部30は、予めPC20に記録された性別、年齢、年代毎の歩幅等の歩行状態の平均を用いて、推定部22による推定に基づき被測定者の各種の歩行状態をLevelにより評価し、さらに予めPC20に記録されたLevelに対応したコメントを適宜選択する。表示部31は、評価部30による評価(Level)とコメントとを表形式50でディスプレイ等の表示装置35に表示する。あるいは、評価部30と表示部31とにより、被測定者の歩行を視覚化して表示することもできる。以上のように、歩行評価システム1は歩行計10により測定された歩行に関するデータDataから自動的に種々の評価を視覚的に表示することができるため、トレーナ等は簡易に歩行評価システム1を取扱うことができる。この結果、トレーナ等は被測定者の歩行状態を容易に把握することができ、高齢者等の歩行トレーニングのスクリーニングを容易に行うことができ、指導内容の明確化することができる。
【実施例2】
【0047】
歩行計10は、測定器12により測定された歩行に関するデータDataに基づき所定の動作を行う動作部(動作手段)16をさらに備えることができる。動作部16としては振動等の動作を行う装置、ブザー等の音声出力動作を行う装置、光等を発する動作を行う装置等またはこれらの装置を組合せた装置等を挙げることができる。歩行計10は、測定器12により測定された歩行に関するデータData(加速度センサ13により測定された加速度ACCおよび傾斜センサ14により測定された傾斜度CLI)から例えば被測定者がすり足状態であることを検出した場合、振動等の動作を行うことができる。検出は上述した着地推定部27等の機能を歩行計10に組み込んでおけばよい。この結果、被測定者は歩行計10を装着していることにより、普段の生活の中で自分の歩行状態を容易に把握することができる。
【実施例3】
【0048】
図6は、上述した各実施例を実現するための本発明のコンピュータ・プログラムを実行するPC20のコンピュータの内部回路60を示すブロック図である。図6に示されるように、CPU61、ROM62、RAM63、画像制御部66、コントローラ67、入力制御部69および外部インタフェース(I/F)部71はバス72に接続されている。図6において、上述の本発明のコンピュータ・プログラムは、ROM62、ディスク68aまたはCD−ROM68n等の記録媒体(脱着可能な記録媒体を含む)に記録されている。ディスク68aには評価部30が用いる性別、年齢、年代毎の歩幅等の歩行状態の平均、Levelに対応したコメント等を記録しておくことができる。本発明のコンピュータ・プログラムは、ROM62からバス72を介し、またはディスク68a若しくはCD−ROM68n等の記録媒体からコントローラ67を経由してバス72を介しRAM63へロードされる。入力制御部69は、マウス、テンキー等の入力操作部70と接続され入力制御等を行う。画像メモリであるVRAM65はディスプレイ等の表示装置35の少なくとも一画面分のデータ容量に相当する容量を有しており、画像制御部66はVRAM65のデータを画像データへ変換して表示装置35へ送出する機能を有している。外部I/F部71は、歩行計10との間のUSB等の入出力インタフェース機能を有する。
【0049】
上述のようにCPU61が上述の本発明のコンピュータ・プログラムを実行することにより、本発明の目的を達成することができる。当該コンピュータ・プログラムは上述のようにCD−ROM68n等の記録媒体の形態でコンピュータCPU61に供給することができ、当該コンピュータ・プログラムを記録したCD−ROM68n等の記録媒体も同様に本発明を構成することになる。当該コンピュータ・プログラムを記録した記録媒体としては上述された記録媒体の他に、例えばメモリ・カード、メモリ・スティック、DVD、光ディスク、FD等を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の活用例として、高齢者等の転倒予防教室において理学療法士または作業療法士等のトレーナが種々の指導を行う場合への適用が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例1における歩行評価システム1を示す図である。
【図2】足部40の動きと加速度ACCとの関係について説明するための図である。
【図3】評価部30による評価結果を表示部31がディスプレイ等の表示装置35に表示した例を示す図である。
【図4】評価部30による評価結果を表示部31がディスプレイ等の表示装置35に表示した別の例を示す図である。
【図5】本発明の歩行評価プログラムの機能の流れを示すフローチャートである。
【図6】上述した各実施例を実現するための本発明のコンピュータ・プログラムを実行するPC20のコンピュータの内部回路60を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0052】
1 歩行評価システム、 10 歩行計、 11 内部ブロック、 12 測定器、 13 加速度センサ、 14 傾斜センサ、 15 角速度センサ、 16 動作部、 20 PC、 21 機能ブロック、 22 推定部、 23 けり足推定部、 24 テンポ推定部、 25 高度推定部、 26 歩幅推定部、 27 着地推定部、 28 進行状態推定部、 30 評価部、 31 表示部、 35 表示装置、 40 足部、 45 地面または床面、 50 表、 51 歩行状態等の欄、 52 評価欄、 53 コメント欄、 60 内部回路、 61 CPU、 62 ROM、 63 RAM、 64 表示部、65 VRAM、 66 画像制御部、 67 コントローラ、 68a ディスク、 68n CD−ROM、 69 入力制御部、 70 入力操作部、 71 外部I/F部、 72 バス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の歩行に関するデータを測定する測定器を有する歩行計と、該測定器により測定された歩行に関するデータを所定の受取形式により受取可能なコンピュータとを備えた歩行評価システムであって、
前記コンピュータは受取った歩行に関するデータに基づき被測定者の歩行状態を推定する推定部を備えたことを特徴とする歩行評価システム。
【請求項2】
請求項1記載の歩行評価システムにおいて、
前記歩行計は前記測定器として加速度センサを備え、前記歩行に関するデータは該加速度センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度であり、
前記推定部は、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度に基づき、被測定者のけり足の強さを推定するけり足推定手段、被測定者の歩行のテンポを推定するテンポ推定手段、被測定者の足の高度を推定する高度推定手段、被測定者の歩幅を推定する歩幅推定手段のいずれか1つ以上を備えたことを特徴とする歩行評価システム。
【請求項3】
請求項2記載の歩行評価システムにおいて、
前記歩行計は前記測定器として傾斜センサをさらに備え、前記歩行に関するデータは該傾斜センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の傾斜度をさらに備え、
前記推定部は、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度と前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の傾斜度とに基づき、被測定者の足の着地状態を推定する着地推定手段をさらに備えたことを特徴とする歩行評価システム。
【請求項4】
請求項2又は3記載の歩行評価システムにおいて、
前記歩行計は前記測定器として角速度センサをさらに備え、前記歩行に関するデータは該角速度センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部の角速度をさらに備え、
前記推定部は、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度と前記所定の時間毎の被測定者の足部の角速度とに基づき、被測定者の進行状態を推定する進行状態推定手段をさらに備えたことを特徴とする歩行評価システム。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載の歩行評価システムにおいて、前記歩行計は前記測定器により測定された歩行に関するデータに基づき所定の動作を行う動作手段をさらに備えたことを特徴とする歩行評価システム。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかに記載の歩行評価システムにおいて、前記推定部による推定に基づき被測定者の歩行状態を評価する評価手段をさらに備えたことを特徴とする歩行評価システム。
【請求項7】
請求項6記載の歩行評価システムにおいて、前記評価手段による評価結果を所定の形式で表示する表示手段をさらに備えたことを特徴とする歩行評価システム。
【請求項8】
被測定者の歩行に関するデータを測定する測定器を有する歩行計であって、該測定器により測定された歩行に関するデータは所定の受取形式により受取可能なコンピュータへ受取られ、該コンピュータにより、受取った歩行に関するデータに基づき被測定者の歩行状態が推定されることを特徴とする歩行計。
【請求項9】
請求項8記載の歩行計において、前記測定器として加速度センサを備え、前記歩行に関するデータは該加速度センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度であり、
前記コンピュータにより、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度に基づき、被測定者のけり足の強さの推定、被測定者の歩行のテンポの推定、被測定者の足の高度の推定、被測定者の歩幅の推定のいずれか1つ以上が推定されることを特徴とする歩行計。
【請求項10】
請求項9記載の歩行計において、前記測定器として傾斜センサをさらに備え、前記歩行に関するデータは該傾斜センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の傾斜度をさらに備え、
前記コンピュータにより、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度と前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の傾斜度とに基づき、被測定者の足の着地状態がさらに推定されることを特徴とする歩行計。
【請求項11】
請求項9又は10記載の歩行計において、前記測定器として角速度センサをさらに備え、前記歩行に関するデータは該角速度センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部の角速度をさらに備え、
前記コンピュータにより、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度と前記所定の時間毎の被測定者の足部の角速度とに基づき、被測定者の進行状態がさらに推定されることを特徴とする歩行計。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかに記載の歩行計において、前記測定器により測定された歩行に関するデータに基づき所定の動作を行う動作手段をさらに備えたことを特徴とする歩行計。
【請求項13】
被測定者の歩行に関するデータを測定する測定器を有する歩行計の該測定器により測定された歩行に関するデータを所定の受取形式により受取可能なコンピュータが歩行評価を行うための歩行評価プログラムであって、
前記コンピュータを、受取った歩行に関するデータに基づき被測定者の歩行状態を推定する推定部として機能させるための歩行評価プログラム。
【請求項14】
請求項13記載の歩行評価プログラムにおいて、
前記歩行計は前記測定器として加速度センサを備え、前記歩行に関するデータは該加速度センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度であり、
前記推定部は、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度に基づき、被測定者のけり足の強さを推定するけり足推定手段、被測定者の歩行のテンポを推定するテンポ推定手段、被測定者の足の高度を推定する高度推定手段、被測定者の歩幅を推定する歩幅推定手段のいずれか1つ以上を備えたことを特徴とする歩行評価プログラム。
【請求項15】
請求項14記載の歩行評価プログラムにおいて、
前記歩行計は前記測定器として傾斜センサをさらに備え、前記歩行に関するデータは該傾斜センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の傾斜度をさらに備え、
前記推定部は、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度と前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の傾斜度とに基づき、被測定者の足の着地状態を推定する着地推定手段をさらに備えたことを特徴とする歩行評価プログラム。
【請求項16】
請求項14又は15記載の歩行評価プログラムにおいて、
前記歩行計は前記測定器として角速度センサをさらに備え、前記歩行に関するデータは該角速度センサにより測定された所定の時間毎の被測定者の足部の角速度をさらに備え、
前記推定部は、前記所定の時間毎の被測定者の足部における所定方向の加速度と前記所定の時間毎の被測定者の足部の角速度とに基づき、被測定者の進行状態を推定する進行状態推定手段をさらに備えたことを特徴とする歩行評価プログラム。
【請求項17】
請求項14乃至16のいずれかに記載の歩行評価プログラムにおいて、前記推定部による推定に基づき被測定者の歩行状態を評価する評価手段をさらに備えたことを特徴とする歩行評価プログラム。
【請求項18】
請求項17記載の歩行評価プログラムにおいて、前記評価手段による評価結果を所定の形式で表示する表示手段をさらに備えたことを特徴とする歩行評価プログラム。
【請求項19】
請求項13乃至18のいずれかに記載の歩行評価プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−391(P2009−391A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165712(P2007−165712)
【出願日】平成19年6月23日(2007.6.23)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】