説明

歪み計測構造および歪み計測方法

【課題】繊維強化エラストマーにおける補強繊維の歪みを正確に計測する上で有利な歪み計測構造および歪み計測方法を提供する。
【解決手段】ベルトコード20は、トレッドゴム12Aおよびトッピングゴム22からなるエラストマーの内部で一定方向に延在している補強繊維である。ベルトコード20の部分をエラストマーの外方に露出させる孔24を、エラストマーに形成する。孔24の底部においてベルトコード20が露出している部分に、歪みゲージ取着用ベース26を取着する。歪み取着用ベース26のヤング率は、エラストマーのヤング率の10倍以上、ベルトコード20のヤング率の1/10以下である。ベルトコード20と反対側に位置する歪みゲージ取着用ベース26の箇所に歪みゲージ28を取着する。孔24を埋設材料32で埋設する。歪みゲージ28によりベルトコードの歪みが計測される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歪み計測構造および歪み計測方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
エラストマーと、エラストマー内部で延在する補強繊維とを備える繊維強化エラストマーがある。
このような繊維強化エラストマーの一つとして、繊維補強ゴム(FRR:Fiber Reinforced Rubber)が知られている。
繊維補強ゴムに用いられる補強繊維としては、有機繊維や金属ワイヤーや細線を縒り合わせたコードなどが用いられている。
繊維補強ゴムの代表的な用途として、空気入りタイヤ、あるいは、液体や気体の輸送を行うホースなどの製品が挙げられる。この場合、繊維補強ゴムは、繊維補強ゴム自体または他の部品と共同で閉鎖空間を支配し、内部に気体や液体を充満させて、更には前記の流体に圧力を負荷する。
繊維補強ゴムの内部の閉鎖空間にこのように圧縮された流体を蔵する場合、補強繊維には内蔵する流体の圧力(以後は内圧)によって、伸びや張力が生じる。
このような繊維補強ゴムを用いた製品の試験や評価に際しては、補強繊維の伸びや張力を正確に把握することが重要であり、そのためには、補強繊維の歪みを計測することが必要である。
【0003】
一方、空気入りタイヤのゴム層またはタイヤ内面に歪みゲージを設けることで、空気入りタイヤに作用する力を測定する技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、空気入りタイヤのトレッド部に形成した高さが異なるセンシングブロックの表面にそれぞれ歪みゲージを設け、それら歪みゲージで検出される歪みレベルの差から路面抵抗摩擦係数を推定する技術が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−112163号公報
【特許文献2】特開2002−36836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来技術は、何れもゴム(エラストマー)に生じる歪みを検出するに留まっている。
したがって、例えば、ベルトコード(補強繊維)をトッピングゴム(エラストマー)で被覆したベルトプライをベルト層として用い、該ベルト層をトレッドゴム(エラストマー)で覆った空気入りタイヤにおいて前記ベルトコードの歪みを検出することはできないものであった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、繊維強化エラストマーにおける補強繊維の歪みを正確に計測する上で有利な歪み計測構造および歪み計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、エラストマーと、前記エラストマー内部で延在する補強繊維とを備える繊維強化エラストマーにおける前記補強繊維の歪みを計測する歪み計測構造であって、前記エラストマーに形成され前記補強繊維の部分を前記エラストマーの外方に露出させる孔と、前記孔の底部において前記補強繊維に取着された歪みゲージ取着用ベースと、前記補強繊維と反対側に位置する前記歪みゲージ取着用ベースの箇所に取着された歪みゲージとを備え、前記歪みゲージ取着用ベースのヤング率は、前記エラストマーのヤング率の10倍以上、前記補強繊維のヤング率の1/10以下であることを特徴とする。
また本発明は、エラストマーと、前記エラストマー内部で延在する補強繊維とを備える繊維強化エラストマーにおける前記補強繊維の歪みを計測する歪み計測方法であって、前記補強繊維の部分を前記エラストマーの外方に露出させる孔を前記エラストマーに形成する孔形成工程と、前記孔の底部において前記補強繊維に、ヤング率が前記エラストマーのヤング率の10倍以上、前記補強繊維のヤング率の1/10以下である歪みゲージ取着用ベースを取着するベース取着工程と、前記補強繊維と反対側に位置する前記歪みゲージ取着用ベースの箇所に歪みゲージを取着する歪みゲージ取着工程と、前記歪みゲージにより前記補強繊維の歪みを計測する計測工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、補強繊維に取着された歪みゲージ取着用ベースの箇所に歪みゲージが取着され、歪みゲージ取着用ベースのヤング率は、エラストマーのヤング率の10倍以上、補強繊維のヤング率の1/10以下である。
したがって、歪みゲージを歪みゲージ取着用ベースに確実に取着することができるため、ベルトコードの歪みを正確に計測する上で有利となる。また、上記のヤング率の大小関係から、歪みゲージは、エラストマーの伸縮による影響を受けることなく、この点からも補強繊維の歪みを正確に計測する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】空気入りタイヤ10のトレッド部12近傍を、タイヤ中心軸を含む平面で破断した断面図である。
【図2】トレッド部12に孔24を形成してベルトコード20の外周面を露出させた状態を示す断面図である。
【図3】ベルトコード20が露出している部分に歪みゲージ取着用ベース26を取着した状態を示す断面図である。
【図4】歪みゲージ取着用ベース26の箇所に歪みゲージ28を取着した状態を示す断面図である。
【図5】孔24を埋設材料32で埋設した状態を示す断面図である。
【図6】歪みゲージ取着用ベース26の箇所に歪みゲージ28を取着した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態に係る歪み計測構造を歪み計測方法と共に図面を参照して説明する。
本実施の形態では、本発明に係る歪み計測構造を空気入りタイヤに適用し、空気入りタイヤの補強ベルト層を構成する補強繊維の歪みを計測する場合について説明する。
【0010】
図1は、空気入りタイヤのトレッド部近傍をタイヤ中心軸を含む平面で破断した断面図である。
空気入りタイヤ10は、トレッド部12から不図示のサイドウォール部を経て両側の不図示のビード部に掛け渡されるカーカス層14と、トレッド部12の内部でカーカス層14の外側に配されるベルト層16とを含んで構成されている。
ベルト層16は、トレッド部12に配されたトレッドゴム12Aで覆われている。
ベルト層16は、1枚または複数枚のベルトプライ18で構成され、ベルトプライ18は、互いに平行して延在するように並べられた複数のベルトコード20と、ベルトコードを被覆するトッピングゴム22とで構成されている。
ベルトコード20は、有機繊維を用いた有機繊維コード、あるいは、金属フィラメントを用いたスチールコードで構成されている。
有機繊維としては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、ガラスなど従来公知のさまざまな材料が使用可能である。
スチールコードは、1本の金属フィラメントからなるモノフィラメント、あるいは、複数本の金属フィラメントを撚り合わせたマルチフィラメントであってもよい。
したがって、ベルトコード20は、トレッドゴム12Aおよびトッピングゴム22からなるエラストマーの内部で一定方向に延在している補強繊維ということができる。
以下、トッピングゴム22およびトレッドゴム12Aをエラストマーという。
【0011】
次に、歪み計測構造について説明する。
まず、図2に示すように、ベルトコード20の部分をトレッド部12の外方に露出させる孔24をトレッド面に形成する(孔形成工程)。すなわち、ベルトコード20の部分をエラストマーの外方に露出させる孔24を、エラストマーに形成する。
孔24の形成は、例えば、ドリルやルーターなどの電動工具を用いてエラストマーを削ることによって行われる。
孔24が形成されることにより、ベルトコード20の箇所、すなわち、ベルトコード20の外周面が孔24を介してトレッド部12の外方に露出する。
露出する外周面の部分は、後述する歪みゲージ取着用ベース26を確実に取着するに足る大きさであればよい。
具体的には、図2に示すように、ベルトコード20の断面の1/2以上の部分が孔24の底部上に位置していることが歪みゲージ取着用ベース26をより確実に取着する上で好ましい。
【0012】
次に、図3に示すように、孔24の底部においてベルトコード20が露出している部分に、歪みゲージ取着用ベース26を取着する(ベース取着工程)。
歪みゲージ取着用ベース26の取着は、ベルトコード20が露出している部分に反応硬化性樹脂を含浸させ硬化させることでなされる。
このような反応硬化性樹脂として、ウレタン、エポキシ、アクリルモノマー、シアノアクリレートなど従来公知のさまざまな合成樹脂が使用可能である。
また、歪みゲージ取着用ベース26のうち、後述する歪みゲージ28が取着される箇所は平坦面であることが、歪みゲージ28の歪みゲージ取着用ベース26への取着を確実に行う上で好ましい。
前記の平坦面は、歪みゲージ取着用ベース26を形成したのち、歪みゲージ取着用ベース26の表面を研磨するなどして形成すればよい。
【0013】
歪み取着用ベース26のヤング率は、エラストマーのヤング率の10倍以上、ベルトコード20のヤング率の1/10以下である。
ヤング率の数値は、例えば以下に例示する通りであり、歪み取着用ベース26のヤング率を、エラストマーのヤング率の10倍以上、ベルトコード20のヤング率の1/10以下に設定することが容易である。
ベルトコード20(スチールコード(鉄))のヤング率:200GPa
ベルトコード20(有機繊維コード(ポリエステル))のヤング率:10GPa
歪み取着用ベース26(反応硬化性樹脂)のヤング率:0.5〜3GPa
エラストマーのヤング率:1〜10MPa
【0014】
次に、図4、図6に示すように、ベルトコード20と反対側に位置する歪みゲージ取着用ベース26の箇所に歪みゲージ28を取着する(歪みゲージ取着工程)。なお、図6においてエラストマーの図示は省略されている。
歪みゲージ28は、歪みが作用することにより抵抗値が変化する電気抵抗変化型歪ゲージであり、薄い合成樹脂からなる電気絶縁体28Aと、電気絶縁体28Aの上にゲージ材料(金属箔)が蒸着されることで形成されたゲージ部28Bとを含んで構成されている。
本実施の形態では、歪みゲージ28の取着は、歪みゲージ28を歪みゲージ取着用ベース26の箇所に接着剤30を用いて接着することでなされている。
接着剤30は、歪みゲージ取着用ベース26の伸縮によく追従するものであればよく、接着剤30として歪みゲージ取着用ベース26と同じ反応硬化性樹脂を用いることができる。
【0015】
また、歪みゲージ28を、歪みゲージ取着用ベース26上に蒸着されたゲージ材料で構成し、歪みゲージ28の歪みゲージ取着用ベース26への取着を前記の蒸着によって行うようにしてもよい。
このようにすると、歪みゲージ28のコンパクト化を図る上で有利となる。
【0016】
また、歪みゲージ28としては、1方向の歪みを検出するもの、互いに直交する2方向の歪みを検出するもの、互いに直交する2方向とその中間の1方向との3方向の歪みを検出するものなどがあるが、これらの歪みゲージ28をどのように使用するかは任意である。
例えば、図6は、1方向の歪みを検出する歪みゲージ28を用い、歪みゲージ28の検出方向をベルトコード20の延在方向に合致させた場合を示しており、この場合は、ベルトコード20の延在方向に沿った歪みが検出される。
また、歪みゲージ28の検出方向をタイヤ周方向、あるいは、タイヤ幅方向に合致させてもよい。この場合は、ベルトコード20のタイヤ周方向、あるいは、タイヤ幅方向における歪みがそれぞれ検出される。
あるいは、2方向の歪みを検出する歪みゲージ28を用い、歪みゲージ28の検出方向をタイヤ周方向およびタイヤ幅方向に合致させてもよい。この場合は、ベルトコード20のタイヤ周方向およびタイヤ幅方向における歪みが同時に検出される。
【0017】
次に、図5に示すように、孔24を埋設材料32で埋設する(埋設工程)。
このように孔24を埋設材料32で埋設することにより、歪みゲージ28がエラストマーで覆われて外部からの影響を受けることが防止される。また、本実施の形態では、孔24を埋設材料32で埋設することで空気入りタイヤ10を転動させることができる。
埋設材料32は、エラストマーと同じ材料あるいはエラストマーと同等の弾性を有する材料である。
エラストマーと同等の弾性を有する材料としては、例えばウレタン樹脂など従来公知のさまざまな合成樹脂が使用可能である。
【0018】
また、本実施の形態では、埋設材料32と歪みゲージ28との間に、それらの間で発生する摩擦を軽減する摩擦軽減用部材34が介在されている。
より詳細には、歪みゲージ取着用ベース26は歪みゲージ28よりも大きく形成されており、埋設材料32と歪みゲージ28との間、および、埋設部材32と歪みゲージ28から露出する歪みゲージ取着用ベース26の部分との間に、それらの間で発生する摩擦を軽減する摩擦軽減用部材34が介在されている。
このように摩擦軽減用部材34が介在することにより、埋設材料32と、歪みゲージ28および歪みゲージ取着用ベース26とが互いに接着し、あるいは、粘着することが防止されている。
摩擦軽減用部材34としては、フッ素樹脂で形成された可撓性を有するテープやシートなど従来公知のさまざまな摩擦抵抗が小さい材料が使用可能である。
摩擦軽減用部材34が介在されることにより、埋設材料32の動きが歪みゲージ28および歪みゲージ取着用ベース26に伝達されることを抑制でき、歪みゲージ28による歪みの検出を精度よく行う上で有利となる。
【0019】
以上の工程により、図5に示すように、エラストマーと、エラストマー内部で一定方向に延在する補強繊維とを備える繊維強化エラストマーにおける補強繊維の歪みを計測する歪み計測構造40が構成される。
すなわち、歪み計測構造40は、エラストマーに形成されベルトコード20の部分をエラストマーの外方に露出させる孔24と、孔24の底部においてベルトコード20に取着された歪みゲージ取着用ベース26と、ベルトコード20と反対側に位置する歪みゲージ取着用ベース26の箇所に取着された歪みゲージ28とを備え、歪みゲージ取着用ベース26のヤング率は、エラストマーのヤング率の10倍以上、ベルトコード20のヤング率の1/10以下である。
【0020】
そして、歪みゲージ28によりベルトコード20の歪みが計測される(計測工程)。
すなわち、歪みゲージ28に図示しない導線で接続された図示しない歪み計により、歪みゲージ28の抵抗値の変化量に基づいて歪み量が算出され、記録される。
【0021】
本実施の形態によれば、ベルトコード20に取着された歪みゲージ取着用ベース26の箇所に歪みゲージ28が取着されている。
したがって、歪みゲージ28を歪みゲージ取着用ベース26に確実に取着することができるため、ベルトコード20の歪みを正確に計測する上で有利となる。
例えば、歪みゲージ28をベルトコード20に接着剤で直接取着した場合は、歪みゲージ28が取着されるベルトコード20の箇所が凹凸を呈しているため、接着剤が部分的に剥離するなどして歪みゲージ28の取着が不安定となることから、ベルトコード20の歪みを正確に計測する上で不利となるが、本実施の形態ではそのようなことがない。
また、歪みゲージ取着用ベース26のヤング率は、エラストマーのヤング率の10倍以上、ベルトコード20のヤング率の1/10以下である。
すなわち、ヤング率の大小関係は、ベルトコード20のヤング率>歪み取着用ベース26のヤング率>エラストマーのヤング率となっており、互いに取着される部材同士のヤング率の大きさがそれぞれ10倍以上異なっている。
したがって、ベルトコード20は歪み取着用ベース26の伸縮の影響をほとんど受けず、かつ、歪み取着用ベース26はベルトコード20の伸縮によく追随する。
また、歪み取着用ベース26はエラストマーの伸縮の影響をあまり受けず、エラストマーは歪み取着用ベース26の伸縮によく追随する。
そのため、歪みゲージ28は、エラストマーの伸縮による影響を受けることなく、この点からもベルトコード20の歪みを正確に計測する上で有利となる。
【0022】
なお、本実施の形態では、エラストマーが空気入りタイヤ10のトレッド部12のトレッドゴム12Aおよびトレッド部12に設けられるベルト層16のトッピングゴム22であり、歪みを計測する対象となる補強繊維がベルト層16のベルトコード20である場合について説明した。
しかしながら、エラストマーが空気入りタイヤ10のトレッド部12のトレッドゴム12Aおよびトレッド部12に設けられるカーカス層14のトッピングゴムであり、歪みを計測する対象となる補強繊維がカーカス層のカーカスコードであってもよい。
あるいは、エラストマーが空気入りタイヤ10のビード部のビードゴムであり、歪みを計測する対象となる補強繊維がビード部に埋設されたビードコアのビードワイヤであってもよい。
【0023】
また、本実施の形態では、歪み計測構造40を空気入りタイヤ10に設けた場合について説明したが、補強繊維の歪みを計測する計測対象は繊維強化エラストマーであればよく、本発明は、液体や気体の輸送を行うホースやコンベアベルトなど従来公知のさまざまな製品に適用可能である。
【0024】
また、本実施の形態では、補強繊維が空気入りタイヤ10のベルトコード20である場合について説明したが、補強繊維の構成は任意であり、従来公知のさまざまな補強繊維が使用可能である。
補強繊維として例えば以下のものが例示される。
繊維束、撚り繊維、撚り繊維束、補強繊維。
細い繊維の縒り合せられた単独の紐状を呈するもの。
縒り合わせた紐状糸のすだれ状を呈するもの。
紐を更に縒り合わせたロープ状を呈するもの。
補強繊維を構成する繊維束が、真鍮めっき鋼の縒り線であったり、ポリエステル繊維やレーヨン繊維のディップ処理を行った縒り糸であるもの。
【符号の説明】
【0025】
10……空気入りタイヤ、12A……トレッドゴム(エラストマー)、20……ベルトコード(補強繊維)、22……トッピングゴム(エラストマー)、24……孔、26……歪みゲージ取着用ベース、28……歪みゲージ、30……接着剤、34……摩擦軽減用部材、40……歪み計測構造。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマーと、前記エラストマー内部で延在する補強繊維とを備える繊維強化エラストマーにおける前記補強繊維の歪みを計測する歪み計測構造であって、
前記エラストマーに形成され前記補強繊維の部分を前記エラストマーの外方に露出させる孔と、
前記孔の底部において前記補強繊維に取着された歪みゲージ取着用ベースと、
前記補強繊維と反対側に位置する前記歪みゲージ取着用ベースの箇所に取着された歪みゲージとを備え、
前記歪みゲージ取着用ベースのヤング率は、前記エラストマーのヤング率の10倍以上、前記補強繊維のヤング率の1/10以下である、
ことを特徴とする歪み計測構造。
【請求項2】
前記歪みゲージが取着される前記歪みゲージ取着用ベースの箇所は平坦面である、
ことを特徴とする請求項1記載の歪み計測構造。
【請求項3】
前記孔が埋設材料で埋設され、前記埋設材料は、前記エラストマーと同じ材料あるいは前記エラストマーと同等の弾性を有する材料である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の歪み計測構造。
【請求項4】
前記埋設材料と前記歪みゲージとの間に、それらの間で発生する摩擦を軽減する摩擦軽減用部材が介在されている、
ことを特徴とする請求項3記載の歪み計測構造。
【請求項5】
前記歪みゲージの前記歪みゲージ取着用ベースへの取着は接着剤を用いてなされる、
ことを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載の歪み計測構造。
【請求項6】
前記歪みゲージは、前記歪みゲージ取着用ベース上に蒸着されたゲージ材料で構成され、
前記歪みゲージの前記歪みゲージ取着用ベースへの取着は前記蒸着によってなされる、
ことを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載の歪み計測構造。
【請求項7】
前記歪みゲージは、歪みが作用することにより抵抗値が変化する電気抵抗変化型歪ゲージである、
ことを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載の歪み計測構造。
【請求項8】
前記エラストマーが空気入りタイヤのトレッド部のトレッドゴムおよびトレッド部に設けられるベルト層のトッピングゴムであり、
前記補強繊維が前記ベルト層のベルトコードである、
ことを特徴とする請求項1乃至7に何れか1項記載の歪み計測構造。
【請求項9】
前記エラストマーが空気入りタイヤのトレッド部のトレッドゴムおよびトレッド部に設けられるカーカス層のトッピングゴムであり、
前記補強繊維が前記カーカス層のカーカスコードである、
ことを特徴とする請求項1乃至7に何れか1項記載の歪み計測構造。
【請求項10】
前記エラストマーが空気入りタイヤのビード部のビードゴムであり、
前記補強繊維が前記ビード部に埋設されたビードコアのビードワイヤである、
ことを特徴とする請求項1乃至7に何れか1項記載の歪み計測構造。
【請求項11】
エラストマーと、前記エラストマー内部で延在する補強繊維とを備える繊維強化エラストマーにおける前記補強繊維の歪みを計測する歪み計測方法であって、
前記補強繊維の部分を前記エラストマーの外方に露出させる孔を前記エラストマーに形成する孔形成工程と、
前記孔の底部において前記補強繊維に、ヤング率が前記エラストマーのヤング率の10倍以上、前記補強繊維のヤング率の1/10以下である歪みゲージ取着用ベースを取着するベース取着工程と、
前記補強繊維と反対側に位置する前記歪みゲージ取着用ベースの箇所に歪みゲージを取着する歪みゲージ取着工程と、
前記歪みゲージにより前記補強繊維の歪みを計測する計測工程と、
を含むことを特徴とする歪み計測方法。
【請求項12】
前記孔を、前記エラストマーと同じ材料あるいは前記エラストマーと同等の弾性を有する埋設材料で埋設する埋設工程をさらに含む、
ことを特徴とする請求項11記載の歪み計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−242279(P2011−242279A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115280(P2010−115280)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】