歪制限技術を使用するサウンド処理システム
【課題】高ボリュームレベルでのスピーカ歪の減少。
【解決手段】サウンド処理システムが、オーディオ信号及び混合出力信号のフィルタゲイン及び/又はトーンを減衰することによって、高いボリュームレベルでスピーカ歪を減少する。サウンド処理システムが、高いボリュームレベルに応答して、フィルタゲイン及びトーンを減衰するための一つ又はそれ以上のフィルタを有している。サウンド処理システムが、マイクロフォンによって与えることができる音圧レベルに応答して、フィルタゲイン及びトーンを減衰することができる。
【解決手段】サウンド処理システムが、オーディオ信号及び混合出力信号のフィルタゲイン及び/又はトーンを減衰することによって、高いボリュームレベルでスピーカ歪を減少する。サウンド処理システムが、高いボリュームレベルに応答して、フィルタゲイン及びトーンを減衰するための一つ又はそれ以上のフィルタを有している。サウンド処理システムが、マイクロフォンによって与えることができる音圧レベルに応答して、フィルタゲイン及びトーンを減衰することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は西暦2001年5月7日出願の「ディジタルサウンドプロセッサおよびイコライザ用のデータ駆動型ソフトウェアアーキテクチャー(Data−Driven Software Architecture for digital Sound Processing and Equalization)」と題される米国特許出願第09/850,500の部分継続出願である。
【0002】
本発明は一般的にサウンド処理システムに関係する。より詳細には、本発明は、多重出力を有するサウンド処理システムに関係する。
【背景技術】
【0003】
オーディオまたはサウンドシステムの設計は多くの異なるファクタを考慮することを含む。スピーカの位置及び数、各スピーカの周波数応答、及び他のファクタが設計で通常考慮される。車両内の様な種々の応用におけるファクタ以外の幾つかのファクタが設計でより重要視される場合がある。例えば、車両のインストルメントパネルに位置するスピーカの所望の周波数応答は、後部ドアーパネルの低い部分に位置するスピーカの所望の周波数応答とは通常異なっている。別のファクタも同様により重要視される場合がある。
【0004】
音質についての消費者の期待は増大している。車両の内部の様な或る応用において、音質についての消費者の期待は、過去十年に渡って劇的に増大した。消費者は、今高い品質の音声システムを彼らの車両で望んでいる。可能な音源の数は、ラジオ(AM、FM、及び衛星)、コンパクトディスク(CD)及びそれらの派生物、ディジタルビデオディスク(DVD)及びそれらの派生物、スーパーオーディオコンパクトディスク(SACD)及びそれらの派生物、テーププレーヤ、等を含んで増大した。同様に、これらの構成要素のオーディオ品質は、重要なファクタである。FM送信機からFMラジオヘの様な放送から受信された信号強度及び特性は著しく変化することがよく知られている。車両が送信機に対する位置を変える時、強いステレオ信号、弱いモノ信号、及びこれらの間にあって種々の強度及び特性を有する連続可変な種々の信号を受信すること場合がある。更に、多くの車両オーディオシステムは、先進の信号処理システムを採用して、リスニング環境をカスタム化する。或る車両オーディオシステムは、ホームシアターシステムで提供されるサラウンドサウンドシステムと類似のオーディオ又はサウンド処理を組み込む。
【0005】
多くのディタルサウンド処理フォーマットは、5つ又はそれ以上の別個のチャンネルのテイレクトエンコーディング及びプレイバックをサポートする。しかしながら、大部分の記録済み材料は、伝統的な2チャンネルステレオモードで提供される。マトリックスサウンドプロセッサは、一対の入力信号、一般的に左及び右から4つまたはそれ以上の出力信号を合成する。多くのシステムは、5つのチャネル、中央、左前部、右前部、左サラウンド、及び右サラウンドを有する。或るシステムは、7つまたはそれ以上のチャンネル、中央、左前部、右前部、左側部、右側部、左後部、右後部を有する。別のサブウーハの様な他の出力も、同様に含むことができる。
【0006】
一般に、マトリックスデコーダは、N×2又は他のマトリックス内の入力オーディオ信号の種々の組み合わせを数学的に記述し又は表現する。ここで、Nは、所望出力の数である。マトリックスは2N個のマトリックス係数を通常含み、これらの係数は特定の出力信号に対する左及び/又は右入力オーディオ信号の比率を定める。定型的に、これらのサラウンドサウンドプロセッサは、M×Nの係数マトリックスを使用して、M個の入力チャンネルをN個の出力チャンネルに変換することが出来る。
【0007】
車両内リスニング環境の様な多くのオーディオ環境は、ホームシアター環境とは著しく異なっている。大部分のシアターシステムは、車両の内部に複雑性を追加することによって動作するようには設計されていない。この複雑性は、最適でないドライバの位置、変化するバックグラウンドノイズ、変化する信号特性を含む。車両及び同様の環境は、ホームシアターシステムを含む部屋よりも、典型的により制限されている。車両内のスピーカは通常リスナーにより近い。典型的に、リスナーに近似的に同じ距離で各スピーカを設置することが比較的容易であるホームシアター又は同様の環境と比較して、リスナーと関連してスピーカを設置することに付いて殆ど制御するとこができない。
【0008】
これとは対照的に、前部及び後部座席位置で、リスナーが、スピーカを含むことができるドアー、キックパネル,ダッシュ、ピラー,及び他のインテリア車両面に近接していることを考えると、車両内に各スピーカをリスナーから同じ距離に置くことは殆ど不可能である。
この配置制限は、サウンドがリスナーに到達する以前に自動車内の短い距離で散逸することを可能にすることを考えるという問題を提起する。車両内の多くの応用において、ノイズは、重要な変数である。ホームシアターシステムにおける環境ノイズは通常比較的一定に留まる。しかしながら、車両内の環境ノイズは、速度及び路面状態によって変化し得る。ノイズに加えて、FM放送の様な受信信号の強度は、受信機が固定であるホーム環境におけるよりも、送信源に対して、自動車が位置を変化すると、より変動する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上昇されたボリュームレベルでスピーカ歪を減少するサウンド処理システムを提供する。サウンド処理システムは、上昇されたボリュームに応答して、フィルタゲインを減衰することができる。サウンド処理システムは、上昇されたボリュームに応答して、トーンを減衰することもできる。上昇されたボリュームは、事前設定ボリュームレベル又はユーザによって選択することができる。
【0010】
サウンド処理システムは、一つ又はそれ以上フィルタをフィルダゲイン及びトーンを減衰するために有している。プリフィルタは、ヘッドユニットとマトリックスミキサーとの間に接続されていて、オーディオ信号のフィルタゲインとトーンを減衰する。ポストフィルタはクロスバーマトリックスミキサーに接続されている。ポストフィルタは、混合信号のフィルタゲインとトーンを減衰する。
【0011】
サウンド処理システムは、音圧レベルに応答して、フィルタゲイン及びトーンを減衰することができる。サウンド処理システムは、ポストフィルタに接続されたマイクロフォンを有することができる。マイクロフォンは、音圧レベル情報をプリフィルタ及びポストフィルタに提供する。
【0012】
本発明の他のシステム、方法、特徴、及び利点は、以下の図面及び詳細な説明を精査することにより、当業者に明らかであるか、又は、明らかになるであろう。この様な追加のシステム、方法、特徴、及び利点の全てが、記述、本発明の権利範囲に含まれ、そして、特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【0013】
本発明は以下の図面及び説明を参照して、より良く理解することができる。図面内の構成要素は、必ずしも等尺比ではなく、代わりに本発明の原理を図説するために強調が行われている。更に、図面において、各図面を通して、類似の参照番号が、対応する部品を指摘している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】サウンドプロセッシングを含む車両のブロック図。
【図2】サウンドプロセッシングのブロック図及フローチャートである。
【図3】サウンドプロセッシングのブロック図及びフローチャートである。
【図4】グローバル低ボリューム(ノーマル以下)リスニングに対する提案されたセンターチャンネルボリュームを図示するグラフ。
【図5】サウンドプロセッシングシステムのブロック図又はフローチャートである。
【図6】サウンドプロセッシングシステムにおける音圧レベル(SPL)及び速度との間の関係を達成するための方法のフローチャートである。
【図7】SPL及び速度関係を図示するグラフである。
【図8】サウンドプロセッシングシステムのブロック図又はフローチャートである。
【図9】Logic7(登録商標)デコーダに対する混合比を図示している。
【図10】デコーダに対する混合比を図示している。
【図11】別体型デコーダの混合比を図示している。
【図12】サウンドプロセッシングシステム内のコヒーレンスを推定するための方法のフローチャートである。
【図13】サウンドプロセッシングシステム内のモノラル信号を空間化するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、以下に記述されるサウンド処理システム及び方法の何れか又は組合せを含むことができる、オーディオ又はサウンド処理システム(AS)102を含む車両100のブロック図である。この車両100は、ドアー104、ドライバーシート109、助手席110、及び後部シート111を含む。ドアー104−1,104−2,104−3,104−4を含む4ドアー車両が示されているが、オーディオシステム(AS)102は、それより多い又はそれ少ないドアーを有する車両でも使用することができる。車両は、自動車、トラック、ボート等であることができる。一つのみの後部シートが示されているが、より大きな車両は複数の後部シートを含むことができる。より小さいな車両は一つのみ又はそれ以上のシートを有することができる。特定の構成が示されているが、他の構成が、より少ない又は追加の構成要素を含んで使用することができる。
【0016】
オーディオシステム102は、サラウンドサウンドシステムの空間的特性を改良する。オーディオシステム102は、ラジオ、CD、DVD、それらの派生物等の様な種々のオーディオ構成要素の使用をサポートしている。オーディオシステム102は、直接左及び右、5.1チャンネル、6.2チャンネル、マトリックスデコーダからの他のソースマテリアル(材料)、ディジタル的にコード化/デコード化された別体的マテリアル等を使用することができる。ソースマテリアルの振幅及び位相特性及びリスニング環境内での特定の音場特性の再生の両方が、サラウンド音場の再生を成功するための重要な役割を果たす。オーディオシステム102は、別体のパッシブデコーダサラウンド信号及び/又は直接2チャンネル出力信号の振幅、位相、及び混合比を制御することによって、サラウンド音場の再生を改良する。振幅、位相及び混合比は、別体のパッシブデコーダ出力信号間で制御される。空間音場再生は、特に、車両環境において、タイレクト、パッシブ、及びアクティブ混合及びステアリングパラメータを再設定することにより全てのシーティング位置に対して改良される。混合及びステアリング比は空間特性と同様に、ノイズ及び他の環境ファクタの関数として、適応的に修正することができる。車両内において、データバス、マイクロフォン、及び他のトランザクション装置からの情報は、混合及びステアリングパラメータを制御するために使用することができる。
【0017】
車両100は、前部中央スピーカ(CRTスピーカ)124、左前部スピーカ(LFスピーカ)113、右前部スピーカ(RFスピーカ)115、及び少なくとも一対のサラウンドスピーカを有する。サラウンドスピーカは、左側部スピーカ(LSスピーカ)117及び右側部スピーカ(RSスピーカ)119、左後部スピーカ(LRスピーカ)129及び右後部スピーカ(RRスピーカ)130、又はこれらスピーカセットの組合せとすることができる。他のスピーカセットも使用することができる。図示されていないが、一つまたはそれ以上の専用サブウーファー又は他のドライバが存在することができる。可能なサブウーファー取付け位置は、トランク105、シートの下(図示せず)、又は後部シェルフ108を含む。車両100はまたインテリア内に取付けられた一つ又はそれ以上のマイクロフォン150も有する。
【0018】
各CTRスピーカ、LFスピーカ、RFスピーカ、LSスピーカ、RSスピーカ、LRスピーカ、及びRRスピーカの各々は、トゥイータ及びウーファーの様な一つ又はそれ以上のスピーカドライバを含むことができる。トゥイータ及びウーファーは、本質的に同じ位置で互いに隣接して取り付けることができるし、異なる位置とすることもできる。LFスピーカ113は、ドアー104−1内か、サイドミラーに略等しいか又はより高い位置のどこかにトゥイータを含み且つトゥイータの下のドアー104−1内に位置するウーファーを含むことができる。LFスピーカ113は、トゥイータ及びウーファーの他の構成を有することができる。CTRスピーカ124は、前部ダッシュボード107内に取り付けられているが、ルーフ内、バックミラー上又はその近く、又は車両のどこかに取り付けることができる。
【0019】
図2はサウンド処理システム202のブロック図又はフローチャートである。一般に、ヘッドユニット212は、一対のオーディオ信号をサウンドプロセッサ203に提供する。ヘッドユニット212は、ラジオ、CD,DVD,SACD等の様なディジタルプレーヤを含むことができる。オーディオ信号は一般的にディジタル領域内に変換され、次に、クロスバーマトリックスミキサー226に対する複数の異なるデコード化信号を生成するために、デコードされる。しかしながら、ディジタル的に変換されたオーディオ信号は、デコードすることなしにクロスバーマトリックスミキサー226に与えることができる。オーディオ信号は、ディジタル変換なしにクロスバーマトリックスミキサーに与えることができる。オーディオ信号は濾波しても又は濾波しなくてもよい。デコード化信号及びオーディオ信号(ディジタル的に変換された、又は変換されていない、濾波された、又は濾波されていないもの)は、クロスバーマトリックスミキサー226を使用して種々の比で混合される。その比率範囲は、一つ又はそれ以上のオーディオ信号(ディジタル的に変換された、又は変換されていない、濾波された、又は濾波されていないもの)から一つ又はそれ以上のデコード化信号に至り、オーディオ信号及びデコード化信号の組合せが含まれる。プリフィルタ236は、ボリューム制御及び他の制御と同様に、追加のトーン及びクロスバーフィルタリングをオーディオ信号に施すことができる。サウンドプロセッサ203は、操作されたオーディオ信号及びデコード化信号をアナログ領域に変換する。アナログ出力は、増幅され、図1と関連して議論されたCTRスピーカ、LFスピーカ、RFスピーカ、LSスピーカ、RSスピーカ、LRスピーカ、及びRRスピーカの様な一つ又はそれ以上のスピーカ288に送られる。特定の構成及び操作が図示されているが、他の構成及び動作が、より少ない又は追加の構成要素を含んで使用することができる。
【0020】
作動において、一次音源ヘッドユニット212は、左チャンネル214及び右チャンネル218を発生する。左及び右チャンネルは、同じ様に、又は異なって処理することができる。左チャンネル214及び右チャンネル218のオーディオ信号がディジタルである場合、オーディオ信号は、プリフィルタ236、デコーダ228、又はクロスバーマトリックスミキサー226に直接送られる。左チャンネル214及び右チャンネル218のオーディオ信号がアナログである場合、オーディオ信号は、一つ又はそれ以上のアナログ・ディジタルコンバータ(ADC)220−1及び220−2を通過して、プリフィルタ236、デコーダ228、又はクロスバーマトリックスミキサー226に送られる。プリフィルタ236は、全域通過、ローパス、ハイパス、バンドパス、ピーク又はノッチ、トレブルシェルビング(treble shelving)、ベースシェルビング(base shelving)、及び/又は他のオーディオフィルタ機能の様な従来のフィルタ機能を提供することができる一つ以上のフィルタ(図示せず)を含むことができる。或る側面において、左チャンネル214とよび右チャンネル218は、クロスバーマトリックスミキサー226に直接入力される。別の側面において、左チャンネル214及び右チャンネル218はデコーダ228に入力される。更に別の側面において、左チャンネル214及び右チャンネル218はプリフィルタ236に入力される。同様に、光学的2次音源216は、ナビゲージョンユニット234及びセルラーフォン242からの音源信号をそれぞれアナログ・ディジタルコンバータ(ADC)220−3及び220−4に供給する。これらのディジタル音源信号は、クロスバーマトリックスミキサー226又はプリフィルタ236に入力される。
【0021】
ADC220−1及びADC220−2から直接又はプリフィルタ236から間接的の様な一次音源ディジタル入力から、デコーダ228は、クロスバーマトリックスミキサー226に出力される複数のデコード化信号を発生する。或る側面において、5つのデコード化信号がある。別の側面において、7つのデコード化信号がある。サブウーファーに対するデコード化信号を含む他の複数のデコード化信号も存在可能である。デコーダ228は、DOLBY DIGITAL AC3(登録商標)又はDTS(登録信号)信号の様な本来的なディジタル入力を複数のチャンネルにデコード出力することができる。デコーダ228は、Dolby Pro Logic I(登録商標)、Dolby Pro Logic II(登録商標)、又はDTS Neos 6(登録商標)の様なエンコード化2−チャンネル入力を複数のチャンネルにデコードして出力することができる。デコーダ228には、アクティブマトリックスの様な他のデコーディング方法を複数のチャンネル出力を発生するために適用することができる。本来的ディジタル入力は、5.1出力−LF(左前部)、CTR(中央)、RF(右前部)、LR(左後部)、RR(右後部)、及びLFE(低周波数)を生じることができる。本来的ディジタル入力は、6.2出力−LF、CTR、RF、LS(左側部)、RS(右側面)LR、RR、左LFE、及び右LFEを生じることができる。本来的ディジタル入力は、他の出力を生じることができる。同様に、アクティブマトリックス処理された2チャンネル入力は、4.0出力−LF、CTR、RF、及びS(サラウンド)を生じることができる。これらの形態のデコーダによるチャンネル出力はディスクリートと呼ばれる。他の複数のチャンネル出力も生じることができる。
【0022】
オーディオ及び二次音源信号に加えて、デコーダ228からの出力を、クロスバーマトリックスミキサー226に入力することができる。クロスバーマトリックスミキサー226は、2つ又はそれ以上の加算信号258を出力する。或る側面において、4つ又はそれ上の出力信号258がある。その他の複数の出力信号も存在できる。クロスバーマトリックスミキサー226は、個別のチャンネル入力及び仮想チャンネル処理を含むことができる。仮想チャンネルは、種々の複合サウンド効果のために、クロスバーマトリックスに提供される信号を処理するために更に利用することができる。クロスバーマトリックスミキサー226はヘッド関連伝達関数とクロスチャンネル相殺処理を有することができる。これらは、実際のスピーカドライバーから離れた位置に仮想サウンドイメージ又は信号位置を生成するために、仮想チャンネルで利用でき、クロスバーに含まれることができる。
【0023】
クロスバーマトリックミキサー226からの混合出力信号258は、ポストフィルタ260への入力であり、このポストフィルタは、全域通過、ローパス、ハイパス、バンドパス、ピーク又はノッチ、トレブルシェルビング、ベースシェルビング、他のオーディオフィルタ機能、又は、これらの組合せの様な従来のフィルタ機能を与える一つ又はそれ以上のディジタルフィルタ(図示せず)を含む。ポストフィルタ260によって達成される濾波は、入力信号261に応答し、この入力信号は、車両スピード、及びエンジンの毎分の回転数(RPM)の様な車両動作パラメータ、トーンレベル、バスレベル、トレブルレベル、及びヘッドユニット212からのグローバルボリュームの様なサウンドセッティング、内部マイクロフォン150−1、150−2、及び/又は150−3(図1)からの入力音圧レベル(SPL)、又はこれらの組合せを含むことができる。或る側面において、2チャンネルフィルタ236は、デコーダ228の前に設置される。別の側面において、複数チャンネルポストフィルタ260は、クロスバーマトリックスミキサー226の後ろに置かれ、DOLBY DIGITAL AC3(登録商標)及びDTS(登録商標)信号を処理するディジタルデコーダと共に使用される。複数チャンネルポストフィルタ260は3つ又はそれ以上の出力チャンネルを含むことができる。
【0024】
フィルタ260の出力262は、ボリュームゲイン264に接続されている。ボリュームゲイン264は、全ての信号出力にグローバルボリューム減衰を適用し、又は局所的なボリューム減衰を特定のチャンネルに施す。ボリュームゲインブロック264のボリュームゲインは車両の入力信号266によって定められる。この入力信号は、車両動作パラメータを示す。或る側面において、車両入力信号266は、車両データバス(図示せず)によって与えられる車両速度を含む。他の側面において、車両入力信号266は、コンバーティブル・トップ上昇、コンバーティブル・トップ下降、車両スタート、車両ストップ、ウインドゥアップ、ウインドゥダウン、リスニング位置の近くに位置されるインテリアマイクロフォン150−1からの環境車両ノイズ(SPL)、ドアーの内部に設置されるドアーマイクロフォン150−2からのドアーノイズ(SPL)等を含む。ヘッドユニット212、ナビゲーションユニット234、セルラーフォン242、又はこれらの組合せからのフェード、バランス、グローバルボリュームの様な他の入力信号を使用することができる。
【0025】
ボリュームゲイン264の出力268は、遅延270への入力である。遅延の出力272はリミッタ274への入力である。リミッタ274の出力276は、ディジタル−アナログ(DAC)コンバータ278への入力である。リミッタ274は、クリップ検出280を採用することができる。DAC278の出力282は、増幅器284への入力である。増幅器284の出力286は、一つ又はそれ以上のスピーカ288への入力である。
【0026】
ディジタル領域で作動する場合、サウンド処理システム202は、ディジタル的にエンコードされたマテリアル(DOLBY DIGITAL AC3(登録商標)、DTS(登録商標)等)、又はディジタル領域に変換されるモノラル、ステレオ、又はエンコード化トラックの様な元来アナログのマテリアルをデコードすることができる。これらのアナログ信号をデコードするために、デコーダは、DOLBY PRO LOGIC(登録商標)又はLOGIC 7(登録商標)を含む一つ又はそれ以上のアクティブマトリックスデコーディング技術、及びホール、クラブ、シアター等を含む種々の環境効果を採用することができる。アクティブマトリックスデコーディングに対しては、デコーダは、左及び右チャンネル入力を、中央、左、右、及びサウンド出力に変換する。オプション的に、デコーダは、サブウーファーに送られる低周波数チャンネルを出力することができる。
【0027】
アクティブマトリックスデコーディングは、ディジタル処理技術を応用して、入力信号を操作することにより、中央、左、右、及びサラウンドチャンネル間の分離を著しく増大する。或る側面において、アクティブマトリックスチャンネル分離は、全ての4つのチャンネル間で約30dbである。 アクティブマトリックス処理は、係数が時間、音源、又は他の何らかのパラメータと共に変化する場合に作用することができる。仮想センターチャンネルは、左及び右スピーカから合成することができる。
【0028】
パッシブマトリックス処理は、アナログ入力信号を操作するために抵抗回路網使用する。パッシブマトリックス処理はディジタル化された入力から、ディジタル領域で達成することもできる。パッシブマトリックス処理は、クロスバーマトリックスミキサー226内又はサウンド処理システムのどこかで、使用することができる。パッシブマトリックス処理は、サラウンドサウンドデコーダの無いシステムにおける様に、アクティブマトリックス無しに、又は、サラウンドサラウンドデコーダと組み合わせて使用することができる。或る側面において、アルティブデコーディングとパッシブデコーディングとの間を選択することができる。てきる。他の側面においては、処理システムは、オーディオ信号に基づいて処理の形態を選択する。
【0029】
自動車で使用することに加えて、ディジタル化信号のパッシブマトリックス処理は、ホーム及び自動車環境において、都合が良く、特に、以下に記述される様に、機能低下信号に対して都合が良い。チャンネル間で30dbの分離を達成することができるアクティブマトリックス処理とは異なって、パッシブマトリックス処理は、左、右及び中央及びサラウンドチャンネル間で40dbより大きい分離を一般的に有するが、左/右及び中央、と左/右及びサラウンドの様な隣接間では約3dbの分離しか有さない。この点に関して、アクティブマットリックス処理は、パッシブマトリックスよりもマグニチュードが約一桁大きい分離を達成する。
【0030】
中央チャンネルを通してのみモノラル信号を送るアクティブマトリックスシステムとは異なり、パッシブマトリックス処理では全てのスピーカがそのオーディオ信号を通過することになる。従って、パッシブマトリックス処理を、スラミング、及び振幅変調(AM)ラジオ、周波数変調(FM)ラジオ、CD、及びカセットテープを含む音源に対するステレオのモノラルへのブレンドという不所望の効果を減少するために使用するとこができる。
【0031】
ディジタル領域でパッシブマトリックス処理を達成するために、クロスバーマトリックスミキサー226は、左及び右オーディオ入力チャンネル214及び218からのN出力チャンネルを混合する。パッシブマトリックスは、時間と共に変化しないマトリックス係数を含む。或る側面において、Nは5又は7に等しい。Nが5に等しい場合、車両サウンドシステムは、左前部(LF)、右前部(RF)、右側部(RS)、又は右後部(RR)、左側部(LS)又は左後部(LR)及び中央(CTR)スピーカを好適には含む。Nが7に等しい場合、車両サウンドシステムは、両側部、及び後部スピーカ対を有する。
【0032】
サラウンドサウンドプロセッサ又はその他のものからの再生サウンドの音調特性を高めるために、歪制限フィルタを使用することができる。サウンド処理システム202は、プリフィルタ236及びポストフィルタ260内に一つ又はそれ以上の歪制限フィルタを組み込むことができる。或る側面において、これらのフィルタは、オーディオ信号自体の特性に加えて、又はその代わりに、車両状態情報及びユーザセッティングに基づいて設定される。
【0033】
上昇されたリスニングレベルで、サウンド歪が増大する。この上昇は、適用されたフィルタゲイン(音量補償)又は増幅器クリッピング又はスピーカ歪の様な他の音源に応答することができる。所定の又は高いボリュームレベルでフィルタ減衰を適用することによって、音質を向上することができる。所定のボリュームレベルは、製造者によってプリセットされた、又はサウンド処理システムのユーザによって選択されたグローバルボリュームセッティングとすることができる。所定のボリュームレベルも、議論された様な音圧レベルとすることができる。グローバルボリュームセッティングが高いボリューム閾値を超える時、ボリュームレベルは高いか上昇されたものである。減衰を、事前に適用されたフィルタゲインを有する信号又は「生」信号に加えることができる。減衰は、トレブルシェルフ、ベースシェルフ、又はノッチフィルタ(又はこれのフィルタ機能同士又は他のものとの何らかの組合せ)をグローバルボリューム位置に結合し、且つ減衰フィルタを上述の様に係合することによって達成される。
【0034】
同様の方法において、音質は、トーンフィルタ減衰によって、所定の又は上昇されたリスニングレベルに、同様に改良することができる。この減衰は、事前にトーン補償された信号又は「生」信号に、加えることができる。トーンフィルタ減衰はフィルタ236又は260に組み込むことができる。減衰は、一つ又はそれ以上のフィルタ(トレブルシェルフ、ベースシェルフ、ノッチ、又は他のもの)をベース、トレブル、又はミッドレンジトーンコントロールに結合し、そして、所望の場合減衰フィルタを係合することによって達成することができる。
【0035】
これら減衰を、グローバルボリューム及び/又はトーンコントールの位置に基づいて単独で達成することができる場合、減衰は、インテリアマイクロフォン150−1の様な車内マイクロフォンによって与えられるSPL情報の使用を介して減衰の量を動的に補償することによって加えることもできる(図1)。
【0036】
他の側面において、クロスバーマトリックミキサー226は、アダプティブミキシングを達成して、チャンネル間ミキシング比、ステアリング角度、及びデコーダ228からの別々のチャンネル出力間のフィルタパラメータを変更して、空間バランスを改善し且つステアリングアーチファクトを減少する。空間バランスは、生成されたサウンドステージの均一性及びサウンドステージ内に特定のサウンドを置く能力と考えることができる。ステアリングアーチファクトは、或るスピーカからの信号の一部を聞き、次に、それを他のスピーカ位置にシフトして聞く様な、サウンドステージ内の可聴不連続性と考えることができる。また、ステアリング角度が過度にアグレッシブの場合、信号のボリームを変化するオーバーステアリング又は「ポンピング」を聞くことができる。ミキサーは、直接信号、デコード化信号、又はパッシッブに処理された信号を、別々のステアリングされていない、又は、部分的にステアリングされた信号と混合して、各乗車者位置で聞かれるサウンドの空間バランスを改良する。この改良を、音楽信号、ビデオ信号等に加えることができる。
【0037】
図3はサウンド処理システム302のブロック図又はフローチャートである。サウンド処理システム302は、ヘッドユニット又は他の音源(図示せず)からの左又は右チャンネル信号314及び318を受信するサウンドプロセッサ303を有する。左及び右チャンネル信号314及び318は、アナログ−ディジタルコンバータ(ADC) 320−1及び320−2に入力される。ADC320−1及び320−2の出力はデコーダ328への入力である。デコーダ328の出力は、クロスバーマトリックスミキサー326への入力であり、このミキサーは、LFOUT、RFOUT、RSOUT/RROUT、LSOUT/LROUT、及びCRTOUT出力信号、それぞれ344、345、346、347及び343を発生する。CTRout信号343は中央チャンネルボリューム補償器341に出力される。この補償器はヘッドユニットまたは車両データバスの様な他のソースからボリューム入力361も受信する。中央チャンネルボリューム補償器341は左および右出力(LFout、RFout、RSout、LSout、RRout、及びLRout)と関連して、低ボリュームセッティングに対して、中央チャンネルのゲインを減少する。低ボリュームセッティングは、グローバルボリュームセッティングが、予め設定されているか、又は、他のパラメータと相関させられる閾値ボリュームと等しいか又はそれ以下である時である。
【0038】
図4は、提案された中央チャンネルゲイン/ボリューム関係を示すグラフである。他の中央チャンネルゲイン/ボリューム関係も存在する。中央チャンネルボリューム補償器341(図3参照)は低グローバルボリュームレベルに対する中央チャンネルの減衰を与える。更に詳細には、中央チャンネルボリューム補償器341は、通常のリスニングレベルよりも低いレベルに対応して中央チャンネルを減衰する。低グローバルボリュームセッティングでの減衰が無いと、ミュージックサウンドは、中央スピーカからのみから広がることを好む。中央スピーカは、オーディオシステム内の他のスピーカを本質的にマスクする。より低いグローバルボリュームレベルで、中央スピーカを減衰することによって、改良された音質がサウンドプロセッサ302によって与えられる。ミュージックサウンドは、すべてのスピーカから放射されることを好む。
【0039】
同様の方法にで、前部及び後部チャンネルボリューム補償器346及び348(図3参照)は、中央スピーカ124(図1参照)に対して、LF、RF、LS、LR、及びRS、RRスピーカ113、115、117、129、119及び130でのボリュームを増大するために使用することができる。中央チャンネルボリュームに対して、左及び右チャンネルボリュームを増大することによって、同様の低いグローバルボリュームレベル補償効果が達成される。中央チャンネルボリューム補償器341とは対照的に、前部及び後部チャンネルに加えられるボリューム補償曲線は図4に示されるものの逆とすることができる。
【0040】
図5は、バックグラウンドサウンド圧レベル(SPL)における変動を調節するサウンド処理システム502のブロック図又はフローチャートである。速度が上昇すると共に、バックグラウンドSPL及びロードノイズが上昇する。ロードノイズは、ドアーに取り付けられたスピーカから来るサウンドをマスク又はキャンセルする傾向がある。サウンド処理システム502は、速度の様な車両動作パラメータ、ドアーに取り付けられたマイクロフォン150−2又はインテリアマイクロフォン150−1(図1参照)又はこれらの組み合わせの様なインテリアマイクロフォンからのSPL測定の関数として、追加のゲインをドアーに取り付けられたスピーカに加える。
【0041】
サウンド処理システム502は、左及び右チャンネル信号514及び518を、ヘッドユニット又は他の音源(図示せず)から受信する。左及び右チャンネル信号514及び518は、アナログ−ディジタル変換器(ADC)520−1及び520−2への入力である。ADC520−1及び520−2の出力はデコーダ528への入力である。デコーダ528の出力は、クロスバーマトリックスミキサー526への入力である。クスロバーマトリックスミキサー526は、LR、RF、LS/LR、RS/RR、及びCRT出力信号を発生する。ドアー取付スピーカに送られる信号は、SPLにおける変化に基づいて調節される。ドアー取付スピーカが、LF及びRFのみであったり、LS及びRSのみであったり、LF、RF、LS及びRS、又はスピーカの他の組合せであることができる。或る側面において、LF及びRFスピーカは、ドアー内にあり、LR及びRRは後部デッキ内にあることができる。他の側面において、LF及びRFスピーカは、キックパネル内に存在することができる。LS、RS、LR及びRRスピーカはドアーに取り付けられる。更なる側面において、LF、RF、LR及びRRスピーカは全てドアー内にある。CRTスピーカはドアーには取り付けられない。他の更なる側面において、信号サラウンドスピーカは、後部シェルフ108(図1参照)内に取り付けられている。
【0042】
ドアー取付スピーカと関連されるクロスバーマトリックスミキサー526の出力はドアー取付スピーカ補償器531に出力される。ドアー取付補償器531は、車両状態入力566も受信する。この入力は、車両データバス又は如何なる他の音源から受信することができる。車両状態入力566は、車両速度、ドアーノイズ等であることができる。車両速度の関数で追加のゲインをドアー取付スピーカに与えることにより、音質が改良される。或る側面において、補償器531は、ドアーの内部に取り付けられたマイクロフォン150−2、又は車両のインテリアに取り付けられたマイクロフォン150−1から実時間でSPL信号を受信する。この方法で、ボリューム補正は、車両速度及びドアーSPLレベル、又は、SPLレベルのみの関数として加えることができる。
【0043】
図6は、音圧レベル(SPL)と車両速度との間の関係を、サウンド処理システムで達成するための方法のフローチャートである。環境SPLが、0mphで作動するエンジン及びヘッドユニット、及び他のオフ状態の音源を有する車両内で測定される651。SPLは速度の関数として記録される652。結果がプロットされる653。リニアー、非リニアー、又は如何なる他の形態の曲線フィッティングを、測定されたデータに採用することができる。調整がドアー取付スピーカに加えられる654。
【0044】
図7は、SPLと車両速度との関係を図示している。点線Aは、速度の関数での全てのスピーカに対する補正されていないゲインを示す。実線Bは、ドアー取付スピーカに対する補償ゲインを示す。ドアー取付スピーカ補償器531(図5参照)は、音質を改良するためにドアー取付スピーカに対する補償されたゲインを採用する。
【0045】
図8は、仮想中央チャンネルを有するサウンド処理システム802のブロック図又はフローチャートである。図9は、Logic7(登録商標)デコーダに対する混合比を示す。 図10は、デコーダに対する別の混合比を図示する。図11は、別体のデコーダに対する混合比を図示する。サウンド処理システム802は、後部シート乗員に対する仮想中央チャンネル140(図1参照)を発生する。通常、車両の後部には中央スピーカは存在しない。更に、前部シートは、後部シート乗員に到達する中央スピーカからのサウンドをブロックする傾向がある。この問題は、スポーツ利用車両及びバンの様な複数列のシートを有する車両においてはより明瞭である。或る側面において、仮想中央チャンネルは、直接信号と、アクティブにデコードされた又はパッシッブに処理された信号との比を変更することによって、生成される。選択されたオーディオチャンネル用ステアリング、ゲイン、及び/又は信号遅延も修正することができる。他の側面において、仮想中央チャンネルの音質は、デコード化パッシブマトリックス処理された信号及び直接信号との種々の混合比を利用することにのみによって、又はバンド制限された第1乃至第4次全域通過フィルタ(クロスオーバ)の処理を組み合わせて改良することができる。
【0046】
図9において、クロスバーマトリックスミキサー826は、LFIN及びRFIN信号の何れかと組み合わせて、LSIN及びRSIN信号を使用して、仮想後部シート中央チャンネル140を発生する。クロスバーマトリックスミキサー826は、60%LSINを40%LFINと混合し、かつ60%RSINと40%RFINとを混合することによって、仮想後部中央スピーカ140を発生する。他の混合比も使用することができる。LFIN及びRFIN信号は、デコーダを通過しない直接左及び右チャンネル信号とすることができる。この左及び右チャンネル信号は、典型的なステレオ再生と共に使用するための仮想中央チャンネルを発生するため及び側部及び後部信号を変更するための修正信号を発生するために十分な情報を含む。
【0047】
図10において、クロスバーマトリックスミキサー826は、LFIN及びRFIN信号又はCTRIN信号の何れかと組み合わせて、LSIN及びRSIN信号を使用して仮想後部シート中央チャンネル140も発生する。しかしながら、クロスバーマトリックスミキサー826は、80%LSINと20%LFINとを混合することにより、且つ80%RSINと20%RFINとを混合することにより仮想後部中央スピーカ140を発生する。或る側面において、LFIN及びRFINの何れか又は両方が強力なCTR構成要素を有する時に、これらの混合比を使用される。他の混合比も使用することができる。幾つかのデコーダは、LFIN及びRFINに流れ出る著しい中央チャンネル相互作用を有する。これらのデコーダに対して、LFIN及びRFIN信号のみを見せかけの中央を生成するために使用することができる。
【0048】
図11において、クロスバーマトリックスミキサー826は、LSIN及びCTRIN信号を混合することによって、且つRSIN及びCTRIN信号を混合することによって、仮想後部中央スピーカ140を発生する。クロスバーマトリックスミキサー826は、80%LSINと20%CTRINとを混合することにより、且つ80%RSINと20%CTRINとを混合することにより仮想後部中央スピーカ140を発生する。他の混合比を使用することができる。更に、混合比は、特定の車両及び/又はオーディオシステムに依存して変化する場合がある。
【0049】
図8を参照する。RS及びLSは、全域通過ネットワーク810を通過して出力する。生成した時、仮想後部シート中央チャンネルを上手く描像することができない場合がある。換言すると、仮想後部チャンネルは、車両内に低く位置される音源からサウンドか放射されること、特に、底部取付ドアースピーカから発生されることを好む。中央音場イメージは、「ぼやけ」、意図された位置では再生されない。全域通過ネットワークは、仮想中央の描像及び安定性を改良し、中央サウンドステージが耳のレベルにより近い様なより高い位置に位置されていると、リスナーに信じさせる。
【0050】
RS及びLS出力は全域通過ネットワーク825を通過して出力される。車両のスペースの要請のために、CRTスピーカのサイズ(直径及び深さ)は、前部及び後部ドアースピーカ位置と比較して制限される場合がある。より小さいサイズだと、CTRチャンネルスピーカは、より大きいドアースピーカと同じより低い周波数を再生する能力はない。この制限の結果の効果は、CTR信号が高から低周波数に至る又はこれとは逆になる場合、CTRスピーカ音像の「空間ぼけ」を引き起こす。全域通過ネットワークを介してLF及びRF信号の(周波数帯域幅又は混合レベルによって定義される)一部又は全ての何れかを処理することにより、CTRチャンネルのより低い周波数が、より小さいなCTRスピーカから発散される際に、知覚される。中央チャンネルのより低い周波数の描像及び安定性が改良される。
【0051】
伝統的なサラウンドサウンドプロセッサが、低品質のサウンドをモノ及び混合モノステレオ信号から発生する。機能低下された信号強度によってシステムがステレオ及びモノ受信の間を切り替わる時、デコーダは、中央及び他のチャンネル間で「スラミング(slamming)」効果を発生する。全てのスピーカに送られるステレオ信号が、モノラル信号に機能低下され且つ中央スピーカに送られる時のみ、スラミングが発生する。車両の前部中央のみに至るまで車両全体を通し且つ車両全体を戻り、信号がステレオからモノに切り替わり且つステレオに戻る急速な遷移又はスラムするサウンドをリスナーは知覚する。
【0052】
図12は、サウンド処理システムで、コヒーレンスを推定するための方法のフローチャートである。コヒーレンスは、入って来るオーディオ信号のステレオとモノラル信号の比である。このコヒーレンス推定装置に応答して、アクティブマトリックスデコーディングの程度又はステアリングは、混合モノラルステレオ信号又はモノラルのみの信号の処理の際に減少される。加えられたステアリングの量を減少すると、完全にステアリングされたステレオ信号と比較して、音質が低下するが、ステアリングの減少は、混合又はモノラル信号を完全にステアリングすることからしばしば結果されるスラミング及び他の音響異常にとっては好適である。
【0053】
コヒーレンス推定装置を使用して、コヒーレンス値を達成するために、左及び右チャンネル信号入力がバンド制限される1255。値0は、純粋ステレオ信号に割り当てられ(チャンネル間に渡る信号は無い)且つ値1は、純粋なモノラル信号に割り当てられる(チャンネル間の完全なオーバーラップ)。0及び1の間の値は、ステレオ対モノラル特徴に直接比例して、モノラル/ステレオ混合信号に割り当てられる。コヒーレントCか計算される1256。左チャンネル出力対右チャンネル出力に対する、及び中央チャンネル出力対サラウンドチャンネル出力に対するステアリング角度の推定値が決定される1257。中央対サラウンド及び左対右ステアリング角度が、計算されたコーレンス値Cの関数として制限される1259。
【0054】
ステアリング角度を、受信信号のステレオ/モノ特徴の関数として、連続的に制限することによって、システムは、完全にアクティブなステアリング対制限されたステアリング角度処理との間で、遷移する。コヒーレント値の連続更新を通して、ステアリング角度は、利用可能な受信信号に対して連続的に最適化される。ステアリング角度遷移を平滑することによって、スラミングが減少される。
【0055】
或る側面において、コーレント値Cは、以下の通り定義されている。
C=P2LR/PLL*PRR=コヒーレンス
PLL=左入力信号の出力
PRR=右入力信号の出力、そして
PLR=左及び右入力信号のクロスパワー
従って、C=1.0である時に、音源は、純粋なモノラルであり、C=0.0の時に、ソースは純粋にステレオである。
【0056】
信号(例え、純粋のステレオであっても)の低周波数帯域が、ベース周波数の非方向性特徴のために、バス周波数にオーバーラップを含む時、コヒーレンス推定装置は、先ず、ンス推定が、大きなバス内容を有する音楽によってスキューされることは無い。
【0057】
アクティブマトリックスデコーダは、以下の様に設計することができる。
中央信号/サラウンド信号=左信号/右信号=0の時、デコーダからのマトリックスは、以下の様に簡単化される。
LFout=Lin,RFout=Fin,LSout=Lin,
RSout=Rin,CTRout=0.707(Lin+Rin)
これは、ステレオ、非サラウンドマトリックスである。
従って、サラウンドサウンド増強及びステアリクの度合いは、コヒーレンスの関数にされ、ここで、
CTR/S角度=f(CTR/Smesured,C),
L/R角度=f(L/Rmesured,C),そして、
Sはサラウンド信号である。
【0058】
或る側面においては、この関数は以下に様に、実施することができる。
YCTR/S=(1−alpha)XCTR/S+(alpha)Xstereo C>ステレオ信号値の場合、
YCTR/S=(1−alpha)XCTR/S+(alpha)Xmonoral その他の場合
YCTR/S= 処理のためにデコーダに通過されるCTR/S角度
XCTR/S=「生」CTR/S角度測定
C=コヒーレンス(1.0=モノ,0.0=ステレオ)
Alpha = 0.02から0.0001の様な1.0よりも小さいスケールファクタ
Xstereo=CTR/Sステレオステアリング制限、及び
Xmonaural=CTR/Sモノラルステアリング制限
【0059】
図13は、サウンド処理システムで、モノラル信号を空間化するための方法のフローチャートである。或る側面においては、コヒーレンス推定装置(図12参照)は、モノラル空間化装置と共に使用される様に適合される。このモノラル空間化装置は、環境を純粋又は略純粋なモノラル信号を加えることができる。情報をモノラル原音に加えることにより、モノラル信号は、Dolby Pro Logic I(登録商標)、Dolby Pro Logic II(登録商標)、DTS Neos 6 (登録商標)等の様なアクティブサウンドプロセッサによって処理することができる。従って、モノラル音質を改良することができる。自動車のプラットフォ―ムに対して有益であるが、ホームシステムも、純粋又は略純粋なモノラル原音から作り出された仮想ステレオ信号をアクティブに処理することによって達成される増加された音質からの益を得ることができる。
【0060】
モノラル空間化装置において、合成サラウンド(環境)信号Sfが連続的に形成される1363。或る側面において、Sfは、Lraw及びRraw入力信号を約7kHz及びそれ以上に帯域制限し、これらL及びR帯域制限信号を加算し、且つこの和を2で除算することにより、導くことができる。他の側面において、入力信号は、先ず加算され、帯域制限以前に除算される。コヒーレンス推定値(C)は、上述の様に、L及びR入力信号に対して連続的に計算することができる1365。生入力信号(Lraw及びRraw)は、生入力信号とSf信号情報の加重和1363とコヒーレンス計算1365とに応答して、連続的に修正され、仮想ステレオ信号Lt及びRtを発生する。仮想ステレオ信号Lt及びRtは、サラウンドサウンド処理用アクティブデコーダに出力される1369。
【0061】
純粋又は略純粋なモノラル信号から、仮想ステレオ信号が発生され、これが、CTR信号から約3dbから約6db下がったLFおよびRF信号、及びCTR信号から約6db下がったサラウンド信号を生成することができる様にモノラル空間化装置を設計することができる。仮想ステレオ信号Lt及びRtを、アクティブデコーダに入力することができる。Lt及びRtは、モノラル又は略モノラルなLraw及びRrawR信号から導くことができが、Lraw及びRraw信号は約7kHzに帯域制限され、従って、LbI及びRbIを発生する。Lt及びRtの導出は、以下の通りである。
Sf=(LbI及びRbI)/2;
Lt=(X*Lraw)+(Y*Sf*C);
Rt=(X*Rraw)+(Y*Sf*C);
ここで、Sfは合成サラウンド信号、
LbI及びRbIは、帯域制限生入力信号、
Cは、上述した0.0と1.0間のコヒーレンス値である。
Xは、1.707又は異なる加重ファクタ、且つ
Yは、0.7又は異なる加重ファクタである。
【0062】
加重ファクタX及びYは、所望のサラウンドサウンド効果に基づいて変化することができる。従って、コヒーレンス推定装置が純粋又は略純粋のモノラルの特徴を決定する場合、サラウンド情報が、アクティブデコーディングの前に信号に加えられる。しかしながら、Cが0(純粋なステレオ)に近づくと、合成サラウンドの量が減少し、従って、信号のステレオ特徴が増大すると、真のステレオの近づいて仮想ステレオが除去される。コヒーレンス推定装置、モノラル空間化装置、及びアクティブデコーディングの組合せを通して、種々のモノラル及びデコード化ステレオ信号の音質が改良される。コヒーレンス推定装置に加えて、又はその代わりに、受信信号強度推定装置は、アクティブマトリックス処理の程度又はステアリングを変更するのにも使用することができる。
【0063】
サウンド処理システムは、自動車サウンドシステムに対して利点がある。しかしながら、多くの応用において、それは、ホームシアター環境で好都合に使用することができる。これらのシステムは、アド・オン装置の追加を通して車両内でも実施することができ、また、要求される処理能力が既に存在する場合に車両内に組み込むことができる。
【0064】
処理方法の多くは、ディジタル又はアナログ領域で達成することができる。十分な機能を有する単一のディジタル処理システムは、開示された実施の形態を実施することができ、従って、アナログ及び/又はディジタルプロセッサの必要性を除去する。この様なディジタルプロセッサは、コンパクトディスク、DVD、SACD、又は、衛星ラジオの様な、如何なる適当なディジタル供給元もオプション的に変換することができる。代替的に、ディジタルプロセッサは、アナログ・ディジタル変換器を組み込んでいて、ディジタルからアナログに事前に変換された信号、AM又はFMラジオ信号、又は、カセットプレーヤの様な本質的なアナログ装置からの信号の様な、アナログ信号を処理する。
【0065】
サウンド処理システムは、2チャンネル音源マテリアルを処理することができ、適当なデコーダが使用される場合、5.1及び6.2マルチチャネル信号の様な他の複数チャネルも処理することができる。システムは、複数の音源からのサラウンドサウンドシステムの空間特徴を改良することができる。
【0066】
ディジタル及びアナログ一次音源音楽信号に加えて、サウンド処理システムは、セル電話、レーダ検出器、スキャナー、市民バンド(CB)ラジオ、及びナビゲーョンシステムの様な追加の二次音源からのサウンド入力を処理できる。ディジタル一次音源音楽信号は、DOLBY DIGITAL AC(登録商標)、DTS(登録商標)等を含む。アナログ一次音源音楽信号は、モノラル、ステレオ、エンコード化等の信号を含む。二次音源信号は、一次音源信号と二次音源信号の間の漸次の切り換えを可能にする音楽信号と共に処理することができる。これは、車両をドライブしている時であって、電話呼び出しに答えるか、又は右曲がり命令が、ナビゲーションシステムから受信される時に、音楽がバックグラウンドにフェードされることを望む時に、利点がある。
【0067】
多くのファクタを考慮することができるが、自動車内のサラウンド音場の連続再生での役割を果たす2つのファクタは、音源マテリアルの振幅及び位相特徴である。サウンド処理システムは、ヘッドユニット出力から増幅器入力に処理される時に、音楽信号の振幅、位相、及び混合比を制御することにより、サラウンド音場の再生を改良する方法を含む。これらのシステムは、占有位置に従って、直接、パッシブ、又はアクティブ混合及びステアリングパラメータによって、全ての座席位置に対する改良された空間音場再生を提供供することができる。混合及びステアリングパラメータは、占有位置に従う。空間特性と同様に、混合及びステアリング比は、アダプティブ特性内の車両及び/又はノイズの関数で、修正することができる。
【0068】
本発明の種々の実施の形態が記述されたが、本発明の範囲内にあるより多くの実施の形態及び実施化が可能であることは、当業者には明瞭であろう。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は西暦2001年5月7日出願の「ディジタルサウンドプロセッサおよびイコライザ用のデータ駆動型ソフトウェアアーキテクチャー(Data−Driven Software Architecture for digital Sound Processing and Equalization)」と題される米国特許出願第09/850,500の部分継続出願である。
【0002】
本発明は一般的にサウンド処理システムに関係する。より詳細には、本発明は、多重出力を有するサウンド処理システムに関係する。
【背景技術】
【0003】
オーディオまたはサウンドシステムの設計は多くの異なるファクタを考慮することを含む。スピーカの位置及び数、各スピーカの周波数応答、及び他のファクタが設計で通常考慮される。車両内の様な種々の応用におけるファクタ以外の幾つかのファクタが設計でより重要視される場合がある。例えば、車両のインストルメントパネルに位置するスピーカの所望の周波数応答は、後部ドアーパネルの低い部分に位置するスピーカの所望の周波数応答とは通常異なっている。別のファクタも同様により重要視される場合がある。
【0004】
音質についての消費者の期待は増大している。車両の内部の様な或る応用において、音質についての消費者の期待は、過去十年に渡って劇的に増大した。消費者は、今高い品質の音声システムを彼らの車両で望んでいる。可能な音源の数は、ラジオ(AM、FM、及び衛星)、コンパクトディスク(CD)及びそれらの派生物、ディジタルビデオディスク(DVD)及びそれらの派生物、スーパーオーディオコンパクトディスク(SACD)及びそれらの派生物、テーププレーヤ、等を含んで増大した。同様に、これらの構成要素のオーディオ品質は、重要なファクタである。FM送信機からFMラジオヘの様な放送から受信された信号強度及び特性は著しく変化することがよく知られている。車両が送信機に対する位置を変える時、強いステレオ信号、弱いモノ信号、及びこれらの間にあって種々の強度及び特性を有する連続可変な種々の信号を受信すること場合がある。更に、多くの車両オーディオシステムは、先進の信号処理システムを採用して、リスニング環境をカスタム化する。或る車両オーディオシステムは、ホームシアターシステムで提供されるサラウンドサウンドシステムと類似のオーディオ又はサウンド処理を組み込む。
【0005】
多くのディタルサウンド処理フォーマットは、5つ又はそれ以上の別個のチャンネルのテイレクトエンコーディング及びプレイバックをサポートする。しかしながら、大部分の記録済み材料は、伝統的な2チャンネルステレオモードで提供される。マトリックスサウンドプロセッサは、一対の入力信号、一般的に左及び右から4つまたはそれ以上の出力信号を合成する。多くのシステムは、5つのチャネル、中央、左前部、右前部、左サラウンド、及び右サラウンドを有する。或るシステムは、7つまたはそれ以上のチャンネル、中央、左前部、右前部、左側部、右側部、左後部、右後部を有する。別のサブウーハの様な他の出力も、同様に含むことができる。
【0006】
一般に、マトリックスデコーダは、N×2又は他のマトリックス内の入力オーディオ信号の種々の組み合わせを数学的に記述し又は表現する。ここで、Nは、所望出力の数である。マトリックスは2N個のマトリックス係数を通常含み、これらの係数は特定の出力信号に対する左及び/又は右入力オーディオ信号の比率を定める。定型的に、これらのサラウンドサウンドプロセッサは、M×Nの係数マトリックスを使用して、M個の入力チャンネルをN個の出力チャンネルに変換することが出来る。
【0007】
車両内リスニング環境の様な多くのオーディオ環境は、ホームシアター環境とは著しく異なっている。大部分のシアターシステムは、車両の内部に複雑性を追加することによって動作するようには設計されていない。この複雑性は、最適でないドライバの位置、変化するバックグラウンドノイズ、変化する信号特性を含む。車両及び同様の環境は、ホームシアターシステムを含む部屋よりも、典型的により制限されている。車両内のスピーカは通常リスナーにより近い。典型的に、リスナーに近似的に同じ距離で各スピーカを設置することが比較的容易であるホームシアター又は同様の環境と比較して、リスナーと関連してスピーカを設置することに付いて殆ど制御するとこができない。
【0008】
これとは対照的に、前部及び後部座席位置で、リスナーが、スピーカを含むことができるドアー、キックパネル,ダッシュ、ピラー,及び他のインテリア車両面に近接していることを考えると、車両内に各スピーカをリスナーから同じ距離に置くことは殆ど不可能である。
この配置制限は、サウンドがリスナーに到達する以前に自動車内の短い距離で散逸することを可能にすることを考えるという問題を提起する。車両内の多くの応用において、ノイズは、重要な変数である。ホームシアターシステムにおける環境ノイズは通常比較的一定に留まる。しかしながら、車両内の環境ノイズは、速度及び路面状態によって変化し得る。ノイズに加えて、FM放送の様な受信信号の強度は、受信機が固定であるホーム環境におけるよりも、送信源に対して、自動車が位置を変化すると、より変動する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上昇されたボリュームレベルでスピーカ歪を減少するサウンド処理システムを提供する。サウンド処理システムは、上昇されたボリュームに応答して、フィルタゲインを減衰することができる。サウンド処理システムは、上昇されたボリュームに応答して、トーンを減衰することもできる。上昇されたボリュームは、事前設定ボリュームレベル又はユーザによって選択することができる。
【0010】
サウンド処理システムは、一つ又はそれ以上フィルタをフィルダゲイン及びトーンを減衰するために有している。プリフィルタは、ヘッドユニットとマトリックスミキサーとの間に接続されていて、オーディオ信号のフィルタゲインとトーンを減衰する。ポストフィルタはクロスバーマトリックスミキサーに接続されている。ポストフィルタは、混合信号のフィルタゲインとトーンを減衰する。
【0011】
サウンド処理システムは、音圧レベルに応答して、フィルタゲイン及びトーンを減衰することができる。サウンド処理システムは、ポストフィルタに接続されたマイクロフォンを有することができる。マイクロフォンは、音圧レベル情報をプリフィルタ及びポストフィルタに提供する。
【0012】
本発明の他のシステム、方法、特徴、及び利点は、以下の図面及び詳細な説明を精査することにより、当業者に明らかであるか、又は、明らかになるであろう。この様な追加のシステム、方法、特徴、及び利点の全てが、記述、本発明の権利範囲に含まれ、そして、特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【0013】
本発明は以下の図面及び説明を参照して、より良く理解することができる。図面内の構成要素は、必ずしも等尺比ではなく、代わりに本発明の原理を図説するために強調が行われている。更に、図面において、各図面を通して、類似の参照番号が、対応する部品を指摘している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】サウンドプロセッシングを含む車両のブロック図。
【図2】サウンドプロセッシングのブロック図及フローチャートである。
【図3】サウンドプロセッシングのブロック図及びフローチャートである。
【図4】グローバル低ボリューム(ノーマル以下)リスニングに対する提案されたセンターチャンネルボリュームを図示するグラフ。
【図5】サウンドプロセッシングシステムのブロック図又はフローチャートである。
【図6】サウンドプロセッシングシステムにおける音圧レベル(SPL)及び速度との間の関係を達成するための方法のフローチャートである。
【図7】SPL及び速度関係を図示するグラフである。
【図8】サウンドプロセッシングシステムのブロック図又はフローチャートである。
【図9】Logic7(登録商標)デコーダに対する混合比を図示している。
【図10】デコーダに対する混合比を図示している。
【図11】別体型デコーダの混合比を図示している。
【図12】サウンドプロセッシングシステム内のコヒーレンスを推定するための方法のフローチャートである。
【図13】サウンドプロセッシングシステム内のモノラル信号を空間化するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、以下に記述されるサウンド処理システム及び方法の何れか又は組合せを含むことができる、オーディオ又はサウンド処理システム(AS)102を含む車両100のブロック図である。この車両100は、ドアー104、ドライバーシート109、助手席110、及び後部シート111を含む。ドアー104−1,104−2,104−3,104−4を含む4ドアー車両が示されているが、オーディオシステム(AS)102は、それより多い又はそれ少ないドアーを有する車両でも使用することができる。車両は、自動車、トラック、ボート等であることができる。一つのみの後部シートが示されているが、より大きな車両は複数の後部シートを含むことができる。より小さいな車両は一つのみ又はそれ以上のシートを有することができる。特定の構成が示されているが、他の構成が、より少ない又は追加の構成要素を含んで使用することができる。
【0016】
オーディオシステム102は、サラウンドサウンドシステムの空間的特性を改良する。オーディオシステム102は、ラジオ、CD、DVD、それらの派生物等の様な種々のオーディオ構成要素の使用をサポートしている。オーディオシステム102は、直接左及び右、5.1チャンネル、6.2チャンネル、マトリックスデコーダからの他のソースマテリアル(材料)、ディジタル的にコード化/デコード化された別体的マテリアル等を使用することができる。ソースマテリアルの振幅及び位相特性及びリスニング環境内での特定の音場特性の再生の両方が、サラウンド音場の再生を成功するための重要な役割を果たす。オーディオシステム102は、別体のパッシブデコーダサラウンド信号及び/又は直接2チャンネル出力信号の振幅、位相、及び混合比を制御することによって、サラウンド音場の再生を改良する。振幅、位相及び混合比は、別体のパッシブデコーダ出力信号間で制御される。空間音場再生は、特に、車両環境において、タイレクト、パッシブ、及びアクティブ混合及びステアリングパラメータを再設定することにより全てのシーティング位置に対して改良される。混合及びステアリング比は空間特性と同様に、ノイズ及び他の環境ファクタの関数として、適応的に修正することができる。車両内において、データバス、マイクロフォン、及び他のトランザクション装置からの情報は、混合及びステアリングパラメータを制御するために使用することができる。
【0017】
車両100は、前部中央スピーカ(CRTスピーカ)124、左前部スピーカ(LFスピーカ)113、右前部スピーカ(RFスピーカ)115、及び少なくとも一対のサラウンドスピーカを有する。サラウンドスピーカは、左側部スピーカ(LSスピーカ)117及び右側部スピーカ(RSスピーカ)119、左後部スピーカ(LRスピーカ)129及び右後部スピーカ(RRスピーカ)130、又はこれらスピーカセットの組合せとすることができる。他のスピーカセットも使用することができる。図示されていないが、一つまたはそれ以上の専用サブウーファー又は他のドライバが存在することができる。可能なサブウーファー取付け位置は、トランク105、シートの下(図示せず)、又は後部シェルフ108を含む。車両100はまたインテリア内に取付けられた一つ又はそれ以上のマイクロフォン150も有する。
【0018】
各CTRスピーカ、LFスピーカ、RFスピーカ、LSスピーカ、RSスピーカ、LRスピーカ、及びRRスピーカの各々は、トゥイータ及びウーファーの様な一つ又はそれ以上のスピーカドライバを含むことができる。トゥイータ及びウーファーは、本質的に同じ位置で互いに隣接して取り付けることができるし、異なる位置とすることもできる。LFスピーカ113は、ドアー104−1内か、サイドミラーに略等しいか又はより高い位置のどこかにトゥイータを含み且つトゥイータの下のドアー104−1内に位置するウーファーを含むことができる。LFスピーカ113は、トゥイータ及びウーファーの他の構成を有することができる。CTRスピーカ124は、前部ダッシュボード107内に取り付けられているが、ルーフ内、バックミラー上又はその近く、又は車両のどこかに取り付けることができる。
【0019】
図2はサウンド処理システム202のブロック図又はフローチャートである。一般に、ヘッドユニット212は、一対のオーディオ信号をサウンドプロセッサ203に提供する。ヘッドユニット212は、ラジオ、CD,DVD,SACD等の様なディジタルプレーヤを含むことができる。オーディオ信号は一般的にディジタル領域内に変換され、次に、クロスバーマトリックスミキサー226に対する複数の異なるデコード化信号を生成するために、デコードされる。しかしながら、ディジタル的に変換されたオーディオ信号は、デコードすることなしにクロスバーマトリックスミキサー226に与えることができる。オーディオ信号は、ディジタル変換なしにクロスバーマトリックスミキサーに与えることができる。オーディオ信号は濾波しても又は濾波しなくてもよい。デコード化信号及びオーディオ信号(ディジタル的に変換された、又は変換されていない、濾波された、又は濾波されていないもの)は、クロスバーマトリックスミキサー226を使用して種々の比で混合される。その比率範囲は、一つ又はそれ以上のオーディオ信号(ディジタル的に変換された、又は変換されていない、濾波された、又は濾波されていないもの)から一つ又はそれ以上のデコード化信号に至り、オーディオ信号及びデコード化信号の組合せが含まれる。プリフィルタ236は、ボリューム制御及び他の制御と同様に、追加のトーン及びクロスバーフィルタリングをオーディオ信号に施すことができる。サウンドプロセッサ203は、操作されたオーディオ信号及びデコード化信号をアナログ領域に変換する。アナログ出力は、増幅され、図1と関連して議論されたCTRスピーカ、LFスピーカ、RFスピーカ、LSスピーカ、RSスピーカ、LRスピーカ、及びRRスピーカの様な一つ又はそれ以上のスピーカ288に送られる。特定の構成及び操作が図示されているが、他の構成及び動作が、より少ない又は追加の構成要素を含んで使用することができる。
【0020】
作動において、一次音源ヘッドユニット212は、左チャンネル214及び右チャンネル218を発生する。左及び右チャンネルは、同じ様に、又は異なって処理することができる。左チャンネル214及び右チャンネル218のオーディオ信号がディジタルである場合、オーディオ信号は、プリフィルタ236、デコーダ228、又はクロスバーマトリックスミキサー226に直接送られる。左チャンネル214及び右チャンネル218のオーディオ信号がアナログである場合、オーディオ信号は、一つ又はそれ以上のアナログ・ディジタルコンバータ(ADC)220−1及び220−2を通過して、プリフィルタ236、デコーダ228、又はクロスバーマトリックスミキサー226に送られる。プリフィルタ236は、全域通過、ローパス、ハイパス、バンドパス、ピーク又はノッチ、トレブルシェルビング(treble shelving)、ベースシェルビング(base shelving)、及び/又は他のオーディオフィルタ機能の様な従来のフィルタ機能を提供することができる一つ以上のフィルタ(図示せず)を含むことができる。或る側面において、左チャンネル214とよび右チャンネル218は、クロスバーマトリックスミキサー226に直接入力される。別の側面において、左チャンネル214及び右チャンネル218はデコーダ228に入力される。更に別の側面において、左チャンネル214及び右チャンネル218はプリフィルタ236に入力される。同様に、光学的2次音源216は、ナビゲージョンユニット234及びセルラーフォン242からの音源信号をそれぞれアナログ・ディジタルコンバータ(ADC)220−3及び220−4に供給する。これらのディジタル音源信号は、クロスバーマトリックスミキサー226又はプリフィルタ236に入力される。
【0021】
ADC220−1及びADC220−2から直接又はプリフィルタ236から間接的の様な一次音源ディジタル入力から、デコーダ228は、クロスバーマトリックスミキサー226に出力される複数のデコード化信号を発生する。或る側面において、5つのデコード化信号がある。別の側面において、7つのデコード化信号がある。サブウーファーに対するデコード化信号を含む他の複数のデコード化信号も存在可能である。デコーダ228は、DOLBY DIGITAL AC3(登録商標)又はDTS(登録信号)信号の様な本来的なディジタル入力を複数のチャンネルにデコード出力することができる。デコーダ228は、Dolby Pro Logic I(登録商標)、Dolby Pro Logic II(登録商標)、又はDTS Neos 6(登録商標)の様なエンコード化2−チャンネル入力を複数のチャンネルにデコードして出力することができる。デコーダ228には、アクティブマトリックスの様な他のデコーディング方法を複数のチャンネル出力を発生するために適用することができる。本来的ディジタル入力は、5.1出力−LF(左前部)、CTR(中央)、RF(右前部)、LR(左後部)、RR(右後部)、及びLFE(低周波数)を生じることができる。本来的ディジタル入力は、6.2出力−LF、CTR、RF、LS(左側部)、RS(右側面)LR、RR、左LFE、及び右LFEを生じることができる。本来的ディジタル入力は、他の出力を生じることができる。同様に、アクティブマトリックス処理された2チャンネル入力は、4.0出力−LF、CTR、RF、及びS(サラウンド)を生じることができる。これらの形態のデコーダによるチャンネル出力はディスクリートと呼ばれる。他の複数のチャンネル出力も生じることができる。
【0022】
オーディオ及び二次音源信号に加えて、デコーダ228からの出力を、クロスバーマトリックスミキサー226に入力することができる。クロスバーマトリックスミキサー226は、2つ又はそれ以上の加算信号258を出力する。或る側面において、4つ又はそれ上の出力信号258がある。その他の複数の出力信号も存在できる。クロスバーマトリックスミキサー226は、個別のチャンネル入力及び仮想チャンネル処理を含むことができる。仮想チャンネルは、種々の複合サウンド効果のために、クロスバーマトリックスに提供される信号を処理するために更に利用することができる。クロスバーマトリックスミキサー226はヘッド関連伝達関数とクロスチャンネル相殺処理を有することができる。これらは、実際のスピーカドライバーから離れた位置に仮想サウンドイメージ又は信号位置を生成するために、仮想チャンネルで利用でき、クロスバーに含まれることができる。
【0023】
クロスバーマトリックミキサー226からの混合出力信号258は、ポストフィルタ260への入力であり、このポストフィルタは、全域通過、ローパス、ハイパス、バンドパス、ピーク又はノッチ、トレブルシェルビング、ベースシェルビング、他のオーディオフィルタ機能、又は、これらの組合せの様な従来のフィルタ機能を与える一つ又はそれ以上のディジタルフィルタ(図示せず)を含む。ポストフィルタ260によって達成される濾波は、入力信号261に応答し、この入力信号は、車両スピード、及びエンジンの毎分の回転数(RPM)の様な車両動作パラメータ、トーンレベル、バスレベル、トレブルレベル、及びヘッドユニット212からのグローバルボリュームの様なサウンドセッティング、内部マイクロフォン150−1、150−2、及び/又は150−3(図1)からの入力音圧レベル(SPL)、又はこれらの組合せを含むことができる。或る側面において、2チャンネルフィルタ236は、デコーダ228の前に設置される。別の側面において、複数チャンネルポストフィルタ260は、クロスバーマトリックスミキサー226の後ろに置かれ、DOLBY DIGITAL AC3(登録商標)及びDTS(登録商標)信号を処理するディジタルデコーダと共に使用される。複数チャンネルポストフィルタ260は3つ又はそれ以上の出力チャンネルを含むことができる。
【0024】
フィルタ260の出力262は、ボリュームゲイン264に接続されている。ボリュームゲイン264は、全ての信号出力にグローバルボリューム減衰を適用し、又は局所的なボリューム減衰を特定のチャンネルに施す。ボリュームゲインブロック264のボリュームゲインは車両の入力信号266によって定められる。この入力信号は、車両動作パラメータを示す。或る側面において、車両入力信号266は、車両データバス(図示せず)によって与えられる車両速度を含む。他の側面において、車両入力信号266は、コンバーティブル・トップ上昇、コンバーティブル・トップ下降、車両スタート、車両ストップ、ウインドゥアップ、ウインドゥダウン、リスニング位置の近くに位置されるインテリアマイクロフォン150−1からの環境車両ノイズ(SPL)、ドアーの内部に設置されるドアーマイクロフォン150−2からのドアーノイズ(SPL)等を含む。ヘッドユニット212、ナビゲーションユニット234、セルラーフォン242、又はこれらの組合せからのフェード、バランス、グローバルボリュームの様な他の入力信号を使用することができる。
【0025】
ボリュームゲイン264の出力268は、遅延270への入力である。遅延の出力272はリミッタ274への入力である。リミッタ274の出力276は、ディジタル−アナログ(DAC)コンバータ278への入力である。リミッタ274は、クリップ検出280を採用することができる。DAC278の出力282は、増幅器284への入力である。増幅器284の出力286は、一つ又はそれ以上のスピーカ288への入力である。
【0026】
ディジタル領域で作動する場合、サウンド処理システム202は、ディジタル的にエンコードされたマテリアル(DOLBY DIGITAL AC3(登録商標)、DTS(登録商標)等)、又はディジタル領域に変換されるモノラル、ステレオ、又はエンコード化トラックの様な元来アナログのマテリアルをデコードすることができる。これらのアナログ信号をデコードするために、デコーダは、DOLBY PRO LOGIC(登録商標)又はLOGIC 7(登録商標)を含む一つ又はそれ以上のアクティブマトリックスデコーディング技術、及びホール、クラブ、シアター等を含む種々の環境効果を採用することができる。アクティブマトリックスデコーディングに対しては、デコーダは、左及び右チャンネル入力を、中央、左、右、及びサウンド出力に変換する。オプション的に、デコーダは、サブウーファーに送られる低周波数チャンネルを出力することができる。
【0027】
アクティブマトリックスデコーディングは、ディジタル処理技術を応用して、入力信号を操作することにより、中央、左、右、及びサラウンドチャンネル間の分離を著しく増大する。或る側面において、アクティブマトリックスチャンネル分離は、全ての4つのチャンネル間で約30dbである。 アクティブマトリックス処理は、係数が時間、音源、又は他の何らかのパラメータと共に変化する場合に作用することができる。仮想センターチャンネルは、左及び右スピーカから合成することができる。
【0028】
パッシブマトリックス処理は、アナログ入力信号を操作するために抵抗回路網使用する。パッシブマトリックス処理はディジタル化された入力から、ディジタル領域で達成することもできる。パッシブマトリックス処理は、クロスバーマトリックスミキサー226内又はサウンド処理システムのどこかで、使用することができる。パッシブマトリックス処理は、サラウンドサウンドデコーダの無いシステムにおける様に、アクティブマトリックス無しに、又は、サラウンドサラウンドデコーダと組み合わせて使用することができる。或る側面において、アルティブデコーディングとパッシブデコーディングとの間を選択することができる。てきる。他の側面においては、処理システムは、オーディオ信号に基づいて処理の形態を選択する。
【0029】
自動車で使用することに加えて、ディジタル化信号のパッシブマトリックス処理は、ホーム及び自動車環境において、都合が良く、特に、以下に記述される様に、機能低下信号に対して都合が良い。チャンネル間で30dbの分離を達成することができるアクティブマトリックス処理とは異なって、パッシブマトリックス処理は、左、右及び中央及びサラウンドチャンネル間で40dbより大きい分離を一般的に有するが、左/右及び中央、と左/右及びサラウンドの様な隣接間では約3dbの分離しか有さない。この点に関して、アクティブマットリックス処理は、パッシブマトリックスよりもマグニチュードが約一桁大きい分離を達成する。
【0030】
中央チャンネルを通してのみモノラル信号を送るアクティブマトリックスシステムとは異なり、パッシブマトリックス処理では全てのスピーカがそのオーディオ信号を通過することになる。従って、パッシブマトリックス処理を、スラミング、及び振幅変調(AM)ラジオ、周波数変調(FM)ラジオ、CD、及びカセットテープを含む音源に対するステレオのモノラルへのブレンドという不所望の効果を減少するために使用するとこができる。
【0031】
ディジタル領域でパッシブマトリックス処理を達成するために、クロスバーマトリックスミキサー226は、左及び右オーディオ入力チャンネル214及び218からのN出力チャンネルを混合する。パッシブマトリックスは、時間と共に変化しないマトリックス係数を含む。或る側面において、Nは5又は7に等しい。Nが5に等しい場合、車両サウンドシステムは、左前部(LF)、右前部(RF)、右側部(RS)、又は右後部(RR)、左側部(LS)又は左後部(LR)及び中央(CTR)スピーカを好適には含む。Nが7に等しい場合、車両サウンドシステムは、両側部、及び後部スピーカ対を有する。
【0032】
サラウンドサウンドプロセッサ又はその他のものからの再生サウンドの音調特性を高めるために、歪制限フィルタを使用することができる。サウンド処理システム202は、プリフィルタ236及びポストフィルタ260内に一つ又はそれ以上の歪制限フィルタを組み込むことができる。或る側面において、これらのフィルタは、オーディオ信号自体の特性に加えて、又はその代わりに、車両状態情報及びユーザセッティングに基づいて設定される。
【0033】
上昇されたリスニングレベルで、サウンド歪が増大する。この上昇は、適用されたフィルタゲイン(音量補償)又は増幅器クリッピング又はスピーカ歪の様な他の音源に応答することができる。所定の又は高いボリュームレベルでフィルタ減衰を適用することによって、音質を向上することができる。所定のボリュームレベルは、製造者によってプリセットされた、又はサウンド処理システムのユーザによって選択されたグローバルボリュームセッティングとすることができる。所定のボリュームレベルも、議論された様な音圧レベルとすることができる。グローバルボリュームセッティングが高いボリューム閾値を超える時、ボリュームレベルは高いか上昇されたものである。減衰を、事前に適用されたフィルタゲインを有する信号又は「生」信号に加えることができる。減衰は、トレブルシェルフ、ベースシェルフ、又はノッチフィルタ(又はこれのフィルタ機能同士又は他のものとの何らかの組合せ)をグローバルボリューム位置に結合し、且つ減衰フィルタを上述の様に係合することによって達成される。
【0034】
同様の方法において、音質は、トーンフィルタ減衰によって、所定の又は上昇されたリスニングレベルに、同様に改良することができる。この減衰は、事前にトーン補償された信号又は「生」信号に、加えることができる。トーンフィルタ減衰はフィルタ236又は260に組み込むことができる。減衰は、一つ又はそれ以上のフィルタ(トレブルシェルフ、ベースシェルフ、ノッチ、又は他のもの)をベース、トレブル、又はミッドレンジトーンコントロールに結合し、そして、所望の場合減衰フィルタを係合することによって達成することができる。
【0035】
これら減衰を、グローバルボリューム及び/又はトーンコントールの位置に基づいて単独で達成することができる場合、減衰は、インテリアマイクロフォン150−1の様な車内マイクロフォンによって与えられるSPL情報の使用を介して減衰の量を動的に補償することによって加えることもできる(図1)。
【0036】
他の側面において、クロスバーマトリックミキサー226は、アダプティブミキシングを達成して、チャンネル間ミキシング比、ステアリング角度、及びデコーダ228からの別々のチャンネル出力間のフィルタパラメータを変更して、空間バランスを改善し且つステアリングアーチファクトを減少する。空間バランスは、生成されたサウンドステージの均一性及びサウンドステージ内に特定のサウンドを置く能力と考えることができる。ステアリングアーチファクトは、或るスピーカからの信号の一部を聞き、次に、それを他のスピーカ位置にシフトして聞く様な、サウンドステージ内の可聴不連続性と考えることができる。また、ステアリング角度が過度にアグレッシブの場合、信号のボリームを変化するオーバーステアリング又は「ポンピング」を聞くことができる。ミキサーは、直接信号、デコード化信号、又はパッシッブに処理された信号を、別々のステアリングされていない、又は、部分的にステアリングされた信号と混合して、各乗車者位置で聞かれるサウンドの空間バランスを改良する。この改良を、音楽信号、ビデオ信号等に加えることができる。
【0037】
図3はサウンド処理システム302のブロック図又はフローチャートである。サウンド処理システム302は、ヘッドユニット又は他の音源(図示せず)からの左又は右チャンネル信号314及び318を受信するサウンドプロセッサ303を有する。左及び右チャンネル信号314及び318は、アナログ−ディジタルコンバータ(ADC) 320−1及び320−2に入力される。ADC320−1及び320−2の出力はデコーダ328への入力である。デコーダ328の出力は、クロスバーマトリックスミキサー326への入力であり、このミキサーは、LFOUT、RFOUT、RSOUT/RROUT、LSOUT/LROUT、及びCRTOUT出力信号、それぞれ344、345、346、347及び343を発生する。CTRout信号343は中央チャンネルボリューム補償器341に出力される。この補償器はヘッドユニットまたは車両データバスの様な他のソースからボリューム入力361も受信する。中央チャンネルボリューム補償器341は左および右出力(LFout、RFout、RSout、LSout、RRout、及びLRout)と関連して、低ボリュームセッティングに対して、中央チャンネルのゲインを減少する。低ボリュームセッティングは、グローバルボリュームセッティングが、予め設定されているか、又は、他のパラメータと相関させられる閾値ボリュームと等しいか又はそれ以下である時である。
【0038】
図4は、提案された中央チャンネルゲイン/ボリューム関係を示すグラフである。他の中央チャンネルゲイン/ボリューム関係も存在する。中央チャンネルボリューム補償器341(図3参照)は低グローバルボリュームレベルに対する中央チャンネルの減衰を与える。更に詳細には、中央チャンネルボリューム補償器341は、通常のリスニングレベルよりも低いレベルに対応して中央チャンネルを減衰する。低グローバルボリュームセッティングでの減衰が無いと、ミュージックサウンドは、中央スピーカからのみから広がることを好む。中央スピーカは、オーディオシステム内の他のスピーカを本質的にマスクする。より低いグローバルボリュームレベルで、中央スピーカを減衰することによって、改良された音質がサウンドプロセッサ302によって与えられる。ミュージックサウンドは、すべてのスピーカから放射されることを好む。
【0039】
同様の方法にで、前部及び後部チャンネルボリューム補償器346及び348(図3参照)は、中央スピーカ124(図1参照)に対して、LF、RF、LS、LR、及びRS、RRスピーカ113、115、117、129、119及び130でのボリュームを増大するために使用することができる。中央チャンネルボリュームに対して、左及び右チャンネルボリュームを増大することによって、同様の低いグローバルボリュームレベル補償効果が達成される。中央チャンネルボリューム補償器341とは対照的に、前部及び後部チャンネルに加えられるボリューム補償曲線は図4に示されるものの逆とすることができる。
【0040】
図5は、バックグラウンドサウンド圧レベル(SPL)における変動を調節するサウンド処理システム502のブロック図又はフローチャートである。速度が上昇すると共に、バックグラウンドSPL及びロードノイズが上昇する。ロードノイズは、ドアーに取り付けられたスピーカから来るサウンドをマスク又はキャンセルする傾向がある。サウンド処理システム502は、速度の様な車両動作パラメータ、ドアーに取り付けられたマイクロフォン150−2又はインテリアマイクロフォン150−1(図1参照)又はこれらの組み合わせの様なインテリアマイクロフォンからのSPL測定の関数として、追加のゲインをドアーに取り付けられたスピーカに加える。
【0041】
サウンド処理システム502は、左及び右チャンネル信号514及び518を、ヘッドユニット又は他の音源(図示せず)から受信する。左及び右チャンネル信号514及び518は、アナログ−ディジタル変換器(ADC)520−1及び520−2への入力である。ADC520−1及び520−2の出力はデコーダ528への入力である。デコーダ528の出力は、クロスバーマトリックスミキサー526への入力である。クスロバーマトリックスミキサー526は、LR、RF、LS/LR、RS/RR、及びCRT出力信号を発生する。ドアー取付スピーカに送られる信号は、SPLにおける変化に基づいて調節される。ドアー取付スピーカが、LF及びRFのみであったり、LS及びRSのみであったり、LF、RF、LS及びRS、又はスピーカの他の組合せであることができる。或る側面において、LF及びRFスピーカは、ドアー内にあり、LR及びRRは後部デッキ内にあることができる。他の側面において、LF及びRFスピーカは、キックパネル内に存在することができる。LS、RS、LR及びRRスピーカはドアーに取り付けられる。更なる側面において、LF、RF、LR及びRRスピーカは全てドアー内にある。CRTスピーカはドアーには取り付けられない。他の更なる側面において、信号サラウンドスピーカは、後部シェルフ108(図1参照)内に取り付けられている。
【0042】
ドアー取付スピーカと関連されるクロスバーマトリックスミキサー526の出力はドアー取付スピーカ補償器531に出力される。ドアー取付補償器531は、車両状態入力566も受信する。この入力は、車両データバス又は如何なる他の音源から受信することができる。車両状態入力566は、車両速度、ドアーノイズ等であることができる。車両速度の関数で追加のゲインをドアー取付スピーカに与えることにより、音質が改良される。或る側面において、補償器531は、ドアーの内部に取り付けられたマイクロフォン150−2、又は車両のインテリアに取り付けられたマイクロフォン150−1から実時間でSPL信号を受信する。この方法で、ボリューム補正は、車両速度及びドアーSPLレベル、又は、SPLレベルのみの関数として加えることができる。
【0043】
図6は、音圧レベル(SPL)と車両速度との間の関係を、サウンド処理システムで達成するための方法のフローチャートである。環境SPLが、0mphで作動するエンジン及びヘッドユニット、及び他のオフ状態の音源を有する車両内で測定される651。SPLは速度の関数として記録される652。結果がプロットされる653。リニアー、非リニアー、又は如何なる他の形態の曲線フィッティングを、測定されたデータに採用することができる。調整がドアー取付スピーカに加えられる654。
【0044】
図7は、SPLと車両速度との関係を図示している。点線Aは、速度の関数での全てのスピーカに対する補正されていないゲインを示す。実線Bは、ドアー取付スピーカに対する補償ゲインを示す。ドアー取付スピーカ補償器531(図5参照)は、音質を改良するためにドアー取付スピーカに対する補償されたゲインを採用する。
【0045】
図8は、仮想中央チャンネルを有するサウンド処理システム802のブロック図又はフローチャートである。図9は、Logic7(登録商標)デコーダに対する混合比を示す。 図10は、デコーダに対する別の混合比を図示する。図11は、別体のデコーダに対する混合比を図示する。サウンド処理システム802は、後部シート乗員に対する仮想中央チャンネル140(図1参照)を発生する。通常、車両の後部には中央スピーカは存在しない。更に、前部シートは、後部シート乗員に到達する中央スピーカからのサウンドをブロックする傾向がある。この問題は、スポーツ利用車両及びバンの様な複数列のシートを有する車両においてはより明瞭である。或る側面において、仮想中央チャンネルは、直接信号と、アクティブにデコードされた又はパッシッブに処理された信号との比を変更することによって、生成される。選択されたオーディオチャンネル用ステアリング、ゲイン、及び/又は信号遅延も修正することができる。他の側面において、仮想中央チャンネルの音質は、デコード化パッシブマトリックス処理された信号及び直接信号との種々の混合比を利用することにのみによって、又はバンド制限された第1乃至第4次全域通過フィルタ(クロスオーバ)の処理を組み合わせて改良することができる。
【0046】
図9において、クロスバーマトリックスミキサー826は、LFIN及びRFIN信号の何れかと組み合わせて、LSIN及びRSIN信号を使用して、仮想後部シート中央チャンネル140を発生する。クロスバーマトリックスミキサー826は、60%LSINを40%LFINと混合し、かつ60%RSINと40%RFINとを混合することによって、仮想後部中央スピーカ140を発生する。他の混合比も使用することができる。LFIN及びRFIN信号は、デコーダを通過しない直接左及び右チャンネル信号とすることができる。この左及び右チャンネル信号は、典型的なステレオ再生と共に使用するための仮想中央チャンネルを発生するため及び側部及び後部信号を変更するための修正信号を発生するために十分な情報を含む。
【0047】
図10において、クロスバーマトリックスミキサー826は、LFIN及びRFIN信号又はCTRIN信号の何れかと組み合わせて、LSIN及びRSIN信号を使用して仮想後部シート中央チャンネル140も発生する。しかしながら、クロスバーマトリックスミキサー826は、80%LSINと20%LFINとを混合することにより、且つ80%RSINと20%RFINとを混合することにより仮想後部中央スピーカ140を発生する。或る側面において、LFIN及びRFINの何れか又は両方が強力なCTR構成要素を有する時に、これらの混合比を使用される。他の混合比も使用することができる。幾つかのデコーダは、LFIN及びRFINに流れ出る著しい中央チャンネル相互作用を有する。これらのデコーダに対して、LFIN及びRFIN信号のみを見せかけの中央を生成するために使用することができる。
【0048】
図11において、クロスバーマトリックスミキサー826は、LSIN及びCTRIN信号を混合することによって、且つRSIN及びCTRIN信号を混合することによって、仮想後部中央スピーカ140を発生する。クロスバーマトリックスミキサー826は、80%LSINと20%CTRINとを混合することにより、且つ80%RSINと20%CTRINとを混合することにより仮想後部中央スピーカ140を発生する。他の混合比を使用することができる。更に、混合比は、特定の車両及び/又はオーディオシステムに依存して変化する場合がある。
【0049】
図8を参照する。RS及びLSは、全域通過ネットワーク810を通過して出力する。生成した時、仮想後部シート中央チャンネルを上手く描像することができない場合がある。換言すると、仮想後部チャンネルは、車両内に低く位置される音源からサウンドか放射されること、特に、底部取付ドアースピーカから発生されることを好む。中央音場イメージは、「ぼやけ」、意図された位置では再生されない。全域通過ネットワークは、仮想中央の描像及び安定性を改良し、中央サウンドステージが耳のレベルにより近い様なより高い位置に位置されていると、リスナーに信じさせる。
【0050】
RS及びLS出力は全域通過ネットワーク825を通過して出力される。車両のスペースの要請のために、CRTスピーカのサイズ(直径及び深さ)は、前部及び後部ドアースピーカ位置と比較して制限される場合がある。より小さいサイズだと、CTRチャンネルスピーカは、より大きいドアースピーカと同じより低い周波数を再生する能力はない。この制限の結果の効果は、CTR信号が高から低周波数に至る又はこれとは逆になる場合、CTRスピーカ音像の「空間ぼけ」を引き起こす。全域通過ネットワークを介してLF及びRF信号の(周波数帯域幅又は混合レベルによって定義される)一部又は全ての何れかを処理することにより、CTRチャンネルのより低い周波数が、より小さいなCTRスピーカから発散される際に、知覚される。中央チャンネルのより低い周波数の描像及び安定性が改良される。
【0051】
伝統的なサラウンドサウンドプロセッサが、低品質のサウンドをモノ及び混合モノステレオ信号から発生する。機能低下された信号強度によってシステムがステレオ及びモノ受信の間を切り替わる時、デコーダは、中央及び他のチャンネル間で「スラミング(slamming)」効果を発生する。全てのスピーカに送られるステレオ信号が、モノラル信号に機能低下され且つ中央スピーカに送られる時のみ、スラミングが発生する。車両の前部中央のみに至るまで車両全体を通し且つ車両全体を戻り、信号がステレオからモノに切り替わり且つステレオに戻る急速な遷移又はスラムするサウンドをリスナーは知覚する。
【0052】
図12は、サウンド処理システムで、コヒーレンスを推定するための方法のフローチャートである。コヒーレンスは、入って来るオーディオ信号のステレオとモノラル信号の比である。このコヒーレンス推定装置に応答して、アクティブマトリックスデコーディングの程度又はステアリングは、混合モノラルステレオ信号又はモノラルのみの信号の処理の際に減少される。加えられたステアリングの量を減少すると、完全にステアリングされたステレオ信号と比較して、音質が低下するが、ステアリングの減少は、混合又はモノラル信号を完全にステアリングすることからしばしば結果されるスラミング及び他の音響異常にとっては好適である。
【0053】
コヒーレンス推定装置を使用して、コヒーレンス値を達成するために、左及び右チャンネル信号入力がバンド制限される1255。値0は、純粋ステレオ信号に割り当てられ(チャンネル間に渡る信号は無い)且つ値1は、純粋なモノラル信号に割り当てられる(チャンネル間の完全なオーバーラップ)。0及び1の間の値は、ステレオ対モノラル特徴に直接比例して、モノラル/ステレオ混合信号に割り当てられる。コヒーレントCか計算される1256。左チャンネル出力対右チャンネル出力に対する、及び中央チャンネル出力対サラウンドチャンネル出力に対するステアリング角度の推定値が決定される1257。中央対サラウンド及び左対右ステアリング角度が、計算されたコーレンス値Cの関数として制限される1259。
【0054】
ステアリング角度を、受信信号のステレオ/モノ特徴の関数として、連続的に制限することによって、システムは、完全にアクティブなステアリング対制限されたステアリング角度処理との間で、遷移する。コヒーレント値の連続更新を通して、ステアリング角度は、利用可能な受信信号に対して連続的に最適化される。ステアリング角度遷移を平滑することによって、スラミングが減少される。
【0055】
或る側面において、コーレント値Cは、以下の通り定義されている。
C=P2LR/PLL*PRR=コヒーレンス
PLL=左入力信号の出力
PRR=右入力信号の出力、そして
PLR=左及び右入力信号のクロスパワー
従って、C=1.0である時に、音源は、純粋なモノラルであり、C=0.0の時に、ソースは純粋にステレオである。
【0056】
信号(例え、純粋のステレオであっても)の低周波数帯域が、ベース周波数の非方向性特徴のために、バス周波数にオーバーラップを含む時、コヒーレンス推定装置は、先ず、ンス推定が、大きなバス内容を有する音楽によってスキューされることは無い。
【0057】
アクティブマトリックスデコーダは、以下の様に設計することができる。
中央信号/サラウンド信号=左信号/右信号=0の時、デコーダからのマトリックスは、以下の様に簡単化される。
LFout=Lin,RFout=Fin,LSout=Lin,
RSout=Rin,CTRout=0.707(Lin+Rin)
これは、ステレオ、非サラウンドマトリックスである。
従って、サラウンドサウンド増強及びステアリクの度合いは、コヒーレンスの関数にされ、ここで、
CTR/S角度=f(CTR/Smesured,C),
L/R角度=f(L/Rmesured,C),そして、
Sはサラウンド信号である。
【0058】
或る側面においては、この関数は以下に様に、実施することができる。
YCTR/S=(1−alpha)XCTR/S+(alpha)Xstereo C>ステレオ信号値の場合、
YCTR/S=(1−alpha)XCTR/S+(alpha)Xmonoral その他の場合
YCTR/S= 処理のためにデコーダに通過されるCTR/S角度
XCTR/S=「生」CTR/S角度測定
C=コヒーレンス(1.0=モノ,0.0=ステレオ)
Alpha = 0.02から0.0001の様な1.0よりも小さいスケールファクタ
Xstereo=CTR/Sステレオステアリング制限、及び
Xmonaural=CTR/Sモノラルステアリング制限
【0059】
図13は、サウンド処理システムで、モノラル信号を空間化するための方法のフローチャートである。或る側面においては、コヒーレンス推定装置(図12参照)は、モノラル空間化装置と共に使用される様に適合される。このモノラル空間化装置は、環境を純粋又は略純粋なモノラル信号を加えることができる。情報をモノラル原音に加えることにより、モノラル信号は、Dolby Pro Logic I(登録商標)、Dolby Pro Logic II(登録商標)、DTS Neos 6 (登録商標)等の様なアクティブサウンドプロセッサによって処理することができる。従って、モノラル音質を改良することができる。自動車のプラットフォ―ムに対して有益であるが、ホームシステムも、純粋又は略純粋なモノラル原音から作り出された仮想ステレオ信号をアクティブに処理することによって達成される増加された音質からの益を得ることができる。
【0060】
モノラル空間化装置において、合成サラウンド(環境)信号Sfが連続的に形成される1363。或る側面において、Sfは、Lraw及びRraw入力信号を約7kHz及びそれ以上に帯域制限し、これらL及びR帯域制限信号を加算し、且つこの和を2で除算することにより、導くことができる。他の側面において、入力信号は、先ず加算され、帯域制限以前に除算される。コヒーレンス推定値(C)は、上述の様に、L及びR入力信号に対して連続的に計算することができる1365。生入力信号(Lraw及びRraw)は、生入力信号とSf信号情報の加重和1363とコヒーレンス計算1365とに応答して、連続的に修正され、仮想ステレオ信号Lt及びRtを発生する。仮想ステレオ信号Lt及びRtは、サラウンドサウンド処理用アクティブデコーダに出力される1369。
【0061】
純粋又は略純粋なモノラル信号から、仮想ステレオ信号が発生され、これが、CTR信号から約3dbから約6db下がったLFおよびRF信号、及びCTR信号から約6db下がったサラウンド信号を生成することができる様にモノラル空間化装置を設計することができる。仮想ステレオ信号Lt及びRtを、アクティブデコーダに入力することができる。Lt及びRtは、モノラル又は略モノラルなLraw及びRrawR信号から導くことができが、Lraw及びRraw信号は約7kHzに帯域制限され、従って、LbI及びRbIを発生する。Lt及びRtの導出は、以下の通りである。
Sf=(LbI及びRbI)/2;
Lt=(X*Lraw)+(Y*Sf*C);
Rt=(X*Rraw)+(Y*Sf*C);
ここで、Sfは合成サラウンド信号、
LbI及びRbIは、帯域制限生入力信号、
Cは、上述した0.0と1.0間のコヒーレンス値である。
Xは、1.707又は異なる加重ファクタ、且つ
Yは、0.7又は異なる加重ファクタである。
【0062】
加重ファクタX及びYは、所望のサラウンドサウンド効果に基づいて変化することができる。従って、コヒーレンス推定装置が純粋又は略純粋のモノラルの特徴を決定する場合、サラウンド情報が、アクティブデコーディングの前に信号に加えられる。しかしながら、Cが0(純粋なステレオ)に近づくと、合成サラウンドの量が減少し、従って、信号のステレオ特徴が増大すると、真のステレオの近づいて仮想ステレオが除去される。コヒーレンス推定装置、モノラル空間化装置、及びアクティブデコーディングの組合せを通して、種々のモノラル及びデコード化ステレオ信号の音質が改良される。コヒーレンス推定装置に加えて、又はその代わりに、受信信号強度推定装置は、アクティブマトリックス処理の程度又はステアリングを変更するのにも使用することができる。
【0063】
サウンド処理システムは、自動車サウンドシステムに対して利点がある。しかしながら、多くの応用において、それは、ホームシアター環境で好都合に使用することができる。これらのシステムは、アド・オン装置の追加を通して車両内でも実施することができ、また、要求される処理能力が既に存在する場合に車両内に組み込むことができる。
【0064】
処理方法の多くは、ディジタル又はアナログ領域で達成することができる。十分な機能を有する単一のディジタル処理システムは、開示された実施の形態を実施することができ、従って、アナログ及び/又はディジタルプロセッサの必要性を除去する。この様なディジタルプロセッサは、コンパクトディスク、DVD、SACD、又は、衛星ラジオの様な、如何なる適当なディジタル供給元もオプション的に変換することができる。代替的に、ディジタルプロセッサは、アナログ・ディジタル変換器を組み込んでいて、ディジタルからアナログに事前に変換された信号、AM又はFMラジオ信号、又は、カセットプレーヤの様な本質的なアナログ装置からの信号の様な、アナログ信号を処理する。
【0065】
サウンド処理システムは、2チャンネル音源マテリアルを処理することができ、適当なデコーダが使用される場合、5.1及び6.2マルチチャネル信号の様な他の複数チャネルも処理することができる。システムは、複数の音源からのサラウンドサウンドシステムの空間特徴を改良することができる。
【0066】
ディジタル及びアナログ一次音源音楽信号に加えて、サウンド処理システムは、セル電話、レーダ検出器、スキャナー、市民バンド(CB)ラジオ、及びナビゲーョンシステムの様な追加の二次音源からのサウンド入力を処理できる。ディジタル一次音源音楽信号は、DOLBY DIGITAL AC(登録商標)、DTS(登録商標)等を含む。アナログ一次音源音楽信号は、モノラル、ステレオ、エンコード化等の信号を含む。二次音源信号は、一次音源信号と二次音源信号の間の漸次の切り換えを可能にする音楽信号と共に処理することができる。これは、車両をドライブしている時であって、電話呼び出しに答えるか、又は右曲がり命令が、ナビゲーションシステムから受信される時に、音楽がバックグラウンドにフェードされることを望む時に、利点がある。
【0067】
多くのファクタを考慮することができるが、自動車内のサラウンド音場の連続再生での役割を果たす2つのファクタは、音源マテリアルの振幅及び位相特徴である。サウンド処理システムは、ヘッドユニット出力から増幅器入力に処理される時に、音楽信号の振幅、位相、及び混合比を制御することにより、サラウンド音場の再生を改良する方法を含む。これらのシステムは、占有位置に従って、直接、パッシブ、又はアクティブ混合及びステアリングパラメータによって、全ての座席位置に対する改良された空間音場再生を提供供することができる。混合及びステアリングパラメータは、占有位置に従う。空間特性と同様に、混合及びステアリング比は、アダプティブ特性内の車両及び/又はノイズの関数で、修正することができる。
【0068】
本発明の種々の実施の形態が記述されたが、本発明の範囲内にあるより多くの実施の形態及び実施化が可能であることは、当業者には明瞭であろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サウンドを処理する方法であって、
ある期間、左オーディオ信号と右オーディオ信号とを受信することと、
該期間、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の類似性の程度を連続的に決定することと、
デコーディングの間、該左オーディオ信号および該右オーディオ信号のある量のアクティブステアリング角処理を選択的に実行することにより、出力信号を得ることと
を含み、
該期間、該アクティブステアリング角処理の量が連続的に更新されることによって、
該期間の各区間において決定された該類似性の程度が所定の閾値よりも大きい各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該期間の各区間において決定された該類似性の程度が該所定の閾値よりも大きくない各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、方法。
【請求項2】
前記類似性の程度を決定することは、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号とのオーバーラップの程度を示す単一のコヒーレンス値を該左オーディオ信号と該右オーディオ信号とに割り当てることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記類似性の程度を決定することは、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間のコヒーレンスを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記類似性の程度を決定することは、該左オーディオ信号および該右オーディオ信号の受信信号強度を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
デコーディングの間、前記左オーディオ信号と前記右オーディオ信号とに適用されるべき所望のステアリング角を連続的に生成することと、
該連続的に生成されたステアリング角に基づいて、ある量のアクティブステアリング角処理を実行することと
をさらに含み、
該アクティブステアリング角処理の量が該第1の所定の制限に向かって遷移することは、該所望のステアリング角が第1の角度制限に近づくことによって生じ、
該アクティブステアリング角処理の量が該第2の所定の制限に向かって遷移することは、該所望のステアリング角が第2の角度制限に近づくことによって生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該期間の各区間の間、前記出力信号のステアリング角を連続的に測定することをさらに含み、
前記所望のステアリング角は、式
YCTR/S=(1−alpha)XCTR/S+alpha*C
に基づいて決定され、
YCTR/Sは、該所望のステアリング角であり、XCTR/Sは、前もって測定されたステアリング角であり、alphaは、1よりも小さい数値であり、Cは、定数であり、
前記類似性の程度が前記所定の閾値よりも大きい場合には、Cは前記第1の角度制限に等しく、該類似性の程度が該所定の閾値よりも大きくない場合には、Cは前記第2の角度制限に等しい、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
サウンドを処理する方法であって、該方法は、
ある期間、左オーディオ信号と右オーディオ信号とを受信することと、
該期間、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の類似性の程度を連続的に決定することと、
デコーディングの前に、該類似性の程度に基づいて、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の差異を選択的に変化させることと、
マトリクスデコーダを用いて該左オーディオ信号および該右オーディオ信号に対してアクティブマトリクスデコーディングを行うことにより、複数の出力オーディオ信号を得ることと
を含み、
該差異を選択的に変化させることは、該左オーディオ信号および該右オーディオ信号がよりモノラル的であるときに、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の差異の量を増加させることと、該左オーディオ信号および該右オーディオ信号がよりステレオ的であるときに、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の差異の量を減少させることとを含み、
ある量のアクティブマトリクスデコーディングが、該類似性の程度に基づいて選択的に実行され、かつ、該期間、連続的に更新されることによって、
該期間の各区間において決定された該類似性の程度が所定の閾値よりも大きい各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該期間の各区間において決定された該類似性の程度が該所定の閾値よりも大きくない各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、方法。
【請求項8】
前記左オーディオ信号と前記右オーディオ信号とを比較することは、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間のコヒーレンスを決定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記左オーディオ信号と前記右オーディオ信号とを比較することは、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との受信信号強度を決定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
サウンドを処理する方法であって、
ある期間、複数のオーディオ信号を受信することと、
該期間、該複数のオーディオ信号のコヒーレンスの程度を示すコヒーレンスを連続的に計算することと、
該複数のオーディオ信号のコヒーレンスが増加する際、デコーディングの前に、該複数のオーディオ信号に適用されるサラウンドサウンドエンハンスメントの量を増加させることと、
左オーディオ信号と右オーディオ信号とのコヒーレンスが減少する際、デコーディングの前に、該複数のオーディオ信号に適用されるサラウンドサウンドエンハンスメントの量を減少させることと、
デコーディングの間、該コヒーレンスに基づき、該左オーディオ信号および該右オーディオ信号のある量のアクティブステアリング角処理を選択的に実行することと
を含み、
該期間、該アクティブステアリング角処理の量が連続的に更新されることによって、
該期間の各区間において決定された該コヒーレンスが所定の閾値よりも大きい各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該期間の各区間において決定された該コヒーレンスが該所定の閾値よりも大きくない各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、方法。
【請求項11】
前記コヒーレンスを計算することは、前記複数のオーディオ信号におけるステレオコンテンツとモノラルコンテンツとの割合を決定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コヒーレンスを計算することは、前記複数のオーディオ信号のパワーを決定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のオーディオ信号は、左オーディオチャネルおよび右オーディオチャネルであり、
前記コヒーレンスを計算することは、該左オーディオチャネルおよび該右オーディオチャネルにおける信号のオーバーラップの量を決定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
左オーディオ信号と右オーディオ信号とを処理するサウンド処理システムであって、
プロセッサと、
該期間、該プロセッサを用いることにより、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間のコヒーレンスの程度を示す単一のコヒーレンス値を連続的に決定するように実行することが可能なコヒーレンス推定器と、
該期間、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号とを連続的にデコードすることにより、左チャネル出力、右チャネル出力、中央チャネル出力、サラウンドチャネル出力を生成するように構成されたデコーダと
を含み、
該デコーダは、該左チャネル出力と該右チャネル出力とのステアリング角と、該中央チャネル出力と該サラウンドチャネル出力とのステアリング角とを計算するようにさらに構成されており、
該デコーダは、該単一のコヒーレンス値が混合モノラル・ステレオ信号またはモノラル信号を示すときに、該ステアリング角を選択的に制限するようにさらに構成されており、
該ステアリング角が、該期間、連続的に更新されることによって、
該単一のコヒーレンス値が所定の閾値を越えている該期間の各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該単一のコヒーレンス値が該所定の閾値を越えていない該期間の各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、サウンド処理システム。
【請求項15】
前記デコーダは、前記コヒーレンス値がステレオ信号を示すときに、前記ステアリング角を用いてフルアクティブステアリングを有効にするようにさらに構成されている、請求項14に記載のサウンド処理システム。
【請求項16】
前記コヒーレンス値は、前記左オーディオ信号のパワーと前記右オーディオ信号のパワーとに基づいて決定することが可能である、請求項14に記載のサウンド処理システム。
【請求項17】
前記コヒーレンス推定器は、前記コヒーレンス値を実質的に連続的に更新して前記ステアリング角を最適化するように実行することが可能である、請求項14に記載のサウンド処理システム。
【請求項18】
前記デコーダは、前記左オーディオ信号と前記右オーディオ信号とを実質的に連続的にデコードし、かつ、前記ステアリング角を実質的に連続的に計算するように実行することが可能である、請求項14に記載のサウンド処理システム。
【請求項19】
前もって計算されたステアリング角と前記コヒーレンス値とに基づいて所望のステアリング角を決定することと、
該所望のステアリング角に基づいて、前記左オーディオ信号と前記右オーディオ信号とをデコードすることと
によって、前記デコーダが該ステアリング角を調整するように構成されている、請求項18に記載のサウンド処理システム。
【請求項20】
前記デコーダは、前記所望のステアリング角を式
YCTR/S=(1−alpha)XCTR/S+alpha*C
によって決定するように構成されており、
YCTR/Sは、該所望のステアリング角であり、XCTR/Sは、前記前もって測定されたステアリング角であり、alphaは、1よりも小さい値であり、Cは、定数であり、
前記コヒーレント値が、前記所定の閾値よりも大きい場合には、Cは、前記第1の所定の制限に等しく、該コヒーレント値が、該所定の閾値よりも大きくない場合には、Cは、前記第2の所定の制限に等しい、請求項19に記載のサウンド処理システム。
【請求項21】
前記コヒーレンス推定器は、前記オーディオ信号を帯域制限することにより低周波数のコンテンツを除去するように実行することが可能である、請求項14に記載のサウンド処理システム。
【請求項22】
前記コヒーレンス値は、コヒーレンス値=PLR2/PLL*PRRによって決定され、PLRは、前記左入力信号と前記右入力信号とのクロスパワーであり、PLLは、該左入力信号のパワーであり、PRRは、該右入力信号のパワーである、請求項14に記載のサウンド処理システム。
【請求項23】
左オーディオ信号と右オーディオ信号とを含むオーディオ信号を処理するサウンド処理システムであって、
該システムは、
プロセッサと、
デコーダと、
ある期間、該プロセッサを用いることにより、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間のコヒーレンスの程度を示すコヒーレンス値を連続的に決定するように実行することが可能なコヒーレンス推定器と、
該期間、該プロセッサを用いることにより、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号とから、合成サラウンド信号を連続的に生成するように実行することが可能なモノラル空間化器と
を含み、
該プロセッサは、該オーディオ信号と、該コヒーレンスと、該合成サラウンド信号とに基づいて、仮想ステレオ信号を生成するように構成されており、
該仮想ステレオ信号は、サラウンドサウンド処理のために該デコーダに入力され、
該合成サラウンド信号は、該モノラル空間化器を用いて該オーディオ信号から生成され、
該デコーダは、該期間、該コヒーレント値に基づいて、該仮想ステレオ信号に対してある量のアクティブステアリング角処理を選択的に実行するように構成されており、
該デコーダは、該アクティブステアリング処理の量を連続的に更新するように構成されており、その結果、該アクティブステアリング角処理の量は、
該コヒーレンス値が所定の閾値を越えている該期間の各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該コヒーレンス値が該所定の閾値を越えていない該期間の各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、サウンド処理システム。
【請求項24】
前記コヒーレンスは、前記オーディオ信号のパワーに基づいて決定することが可能である、請求項23に記載のサウンド処理システム。
【請求項25】
前記コヒーレンス推定器は、前記オーディオ信号のコヒーレンスを示す単一のコヒーレンス値を実質的に連続的に更新するように実行することが可能である、請求項23に記載のサウンド処理システム。
【請求項26】
前記コヒーレンス推定器は、前記オーディオ信号を帯域制限することにより低周波数のコンテンツを除去するように実行することが可能である、請求項23に記載のサウンド処理システム。
【請求項27】
ヘッドユニットと、
該ヘッドユニットに接続されたデコーダであって、該デコーダは、ある期間、該ヘッドユニットからのオーディオ信号に応答して、デコード化信号を連続的に生成し、該オーディオ信号は、左オーディオ信号と右オーディオ信号とを含む、デコーダと、
該ヘッドユニットと該デコーダとに接続されたクロスバーマトリクスミキサーであって、該クロスバーマトリクスミキサーは、該ヘッドユニットからのオーディオ信号を受信し、該クロスバーマトリクスミキサーは、該デコーダからのデコード化信号を受信する、クロスバーマトリクスミキサーと、
該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間のコヒーレンス値を連続的に推定するコヒーレンス推定器と、
該左オーディオ信号と該右オーディオ信号とから環境信号を連続的に生成し、アクティブマトリクスデコーディングの前に、該コヒーレンス値に比例した該環境信号に基づいて、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の差異を変化させるモノラル空間化器と
を含み、
該デコーダは、該期間、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号とに対してある量のアクティブマトリクスデコーディングを選択的に実行するように構成されており、
該デコーダは、該アクティブマトリクスデコーディングの量を連続的に更新するように構成されており、その結果、該アクティブマトリクスデコーディングの量は、
該コヒーレンス値が所定の閾値を越えている該期間の各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該コヒーレンス値が該所定の閾値を越えていない該期間の各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移し、
該クロスバマトリクスミキサは、該オーディオ信号と該デコード化信号とに応答して、混合出力信号を生成する、サウンド処理システム。
【請求項28】
前記オーディオ信号がステレオ信号とモノラル信号とを含むときに、前記混合出力信号がパッシブマトリクス処理信号を含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項29】
前記オーディオ信号は、デジタル信号を含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項30】
前記クロスバーマトリクスミキサーに接続された2次音源をさらに含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項31】
前記デコード化信号は、5つのデコード化信号を含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項32】
サブウーファー用のデコード化信号を含む、請求項31に記載のサウンド処理システム。
【請求項33】
前記デコード化信号は、7つのデコード化信号を含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項34】
サブウーファー用のデコード化信号を含む、請求項33に記載のサウンド処理システム。
【請求項35】
前記デコーダは、ディスクリートデコーダを含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項36】
前記デコーダは、LOGIC7(登録商標)デコーダを含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項37】
前記混合出力信号は、少なくとも2つの加算信号を含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項38】
前記混合出力信号は、少なくとも1つの左信号と、少なくとも1つの右信号と、中央信号とを含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項39】
前記少なくとも1つの左信号は、左前信号、左サラウンド信号、左後部信号のうちの少なくとも1つを含み、
前記少なくとも1つの右信号は、右前信号、右サラウンド信号、右後部信号のうちの少なくとも1つを含む、請求項38に記載のサウンド処理システム。
【請求項40】
前記ヘッドユニットは、前記左オーディオ信号を出力する左チャネルと、前記右オーディオ信号を出力する右チャネルとを含む、請求項38に記載のサウンド処理システム。
【請求項41】
前記左チャネルと前記デコーダと前記クロスバーマトリクスミキサーとに接続された第1のアナログ・デジタル変換器(ADC)と、
前記右チャネルと該デコーダと該クロスバーマトリクスミキサーとに接続された第2のアナログ・デジタル変換器(ADC)と
をさらに含む、請求項40に記載のサウンド処理システム。
【請求項42】
サウンドを処理する方法であって、該方法は、
ある期間、オーディオ信号に応答してデコード化信号を生成することであって、該オーディオ信号は、左オーディオ信号と右オーディオ信号とを含み、該デコード化信号を生成することは、該期間、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間のコヒーレンス値を連続的に推定することと、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の分離を増加させることにより、デコード化信号を得ることとによって行われ、該分離における増加の量は、該コヒーレンス値に比例する、ことと
該デコード化信号と該オーディオ信号とに応答して、混合出力信号を生成することと
を含み、
該混合出力信号は、アクティブマトリクスデコード化信号を含み、
該アクティブマトリクスデコード化信号は、該デコード化信号に対してある量のアクティブマトリクスデコーディングを選択的に実行することによって生成され、
該アクティブマトリクスデコーディングの量が連続的に更新されることによって、
該コヒーレンス値が所定の閾値を越えている該期間の各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該コヒーレンス値が該所定の閾値を越えていない該期間の各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、方法。
【請求項43】
前記オーディオ信号がステレオ信号とモノラル信号とを含むときに、前記混合出力信号は、パッシブマトリクス処理信号を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記デコード化信号は、5つのデコード化信号を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記デコード化信号は、7つのデコード化信号を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
左入力信号と右入力信号との帯域制限を決定することと、
右出力信号に対する左出力信号のステアリング角と、サラウンド出力信号に対する中心出力信号のステアリング角とを推定することと、
該コヒーレンスに応答して、該ステアリング角を制限することと
をさらに含む、請求項42に記載のサウンドを処理する方法。
【請求項47】
前記コヒーレンスCは、C=PLR2/PLL*PRRによって決定され、
PLRは、前記左入力信号と前記右入力信号とのクロスパワーであり、PLLは、該左入力信号のパワーであり、PRRは、該右入力信号のパワーである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
サウンドを処理する方法であって、該方法は、
ある期間、左オーディオ信号Lと右オーディオ信号Rとを含むオーディオ信号に応答して、デコード化信号を生成することと、
該デコード化信号と該オーディオ信号とに応答して、混合出力信号を生成することと
を含み、
該デコード化信号を生成することは、
合成サラウンド信号Sfを形成することと、
ある期間、該左オーディオ信号Lと右オーディオ信号Rとに応答して、コヒーレンスCを連続的に計算することと、
該左オーディオ信号Lと右オーディオ信号Rとの間の分離の増加によって、該左入力信号と該右入力信号と該合成サラウンド信号と該コヒーレンスとに応答して、アクティブマトリクスデコーディングのための、左仮想ステレオ信号Ltと右仮想ステレオ信号Rtとを生成することであって、該分離における増加量は、該コヒーレンスCと該合成サラウンド信号Sfとに比例している、ことと、
該生成された左仮想ステレオ信号Ltと右仮想ステレオ信号Rtとに対してある量のアクティブマトリクスデコーディングを選択的に実行することと
を含み、
該アクティブマトリクスデコーディングの量が連続的に調整されることによって、
該コヒーレンスCが所定の閾値を越えている該期間の各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該コヒーレンスCが該所定の閾値を越えていない該期間の各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、方法。
【請求項49】
Sf=(Lbl+Rbl)/2
Lt=(X*L)+(Y*Sf*C)
Rt=(X*R)−(Y*Sf*C)であって、
LblおよびRblは、帯域制限されたL信号およびR信号であり、XおよびYは、荷重ファクタである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
X=1.707であり、かつ、Y=0.7である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
LblおよびRblは、約7KHzに帯域制限されている、請求項49に記載の方法。
【請求項1】
サウンドを処理する方法であって、
ある期間、左オーディオ信号と右オーディオ信号とを受信することと、
該期間、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の類似性の程度を連続的に決定することと、
デコーディングの間、該左オーディオ信号および該右オーディオ信号のある量のアクティブステアリング角処理を選択的に実行することにより、出力信号を得ることと
を含み、
該期間、該アクティブステアリング角処理の量が連続的に更新されることによって、
該期間の各区間において決定された該類似性の程度が所定の閾値よりも大きい各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該期間の各区間において決定された該類似性の程度が該所定の閾値よりも大きくない各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、方法。
【請求項2】
前記類似性の程度を決定することは、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号とのオーバーラップの程度を示す単一のコヒーレンス値を該左オーディオ信号と該右オーディオ信号とに割り当てることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記類似性の程度を決定することは、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間のコヒーレンスを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記類似性の程度を決定することは、該左オーディオ信号および該右オーディオ信号の受信信号強度を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
デコーディングの間、前記左オーディオ信号と前記右オーディオ信号とに適用されるべき所望のステアリング角を連続的に生成することと、
該連続的に生成されたステアリング角に基づいて、ある量のアクティブステアリング角処理を実行することと
をさらに含み、
該アクティブステアリング角処理の量が該第1の所定の制限に向かって遷移することは、該所望のステアリング角が第1の角度制限に近づくことによって生じ、
該アクティブステアリング角処理の量が該第2の所定の制限に向かって遷移することは、該所望のステアリング角が第2の角度制限に近づくことによって生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該期間の各区間の間、前記出力信号のステアリング角を連続的に測定することをさらに含み、
前記所望のステアリング角は、式
YCTR/S=(1−alpha)XCTR/S+alpha*C
に基づいて決定され、
YCTR/Sは、該所望のステアリング角であり、XCTR/Sは、前もって測定されたステアリング角であり、alphaは、1よりも小さい数値であり、Cは、定数であり、
前記類似性の程度が前記所定の閾値よりも大きい場合には、Cは前記第1の角度制限に等しく、該類似性の程度が該所定の閾値よりも大きくない場合には、Cは前記第2の角度制限に等しい、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
サウンドを処理する方法であって、該方法は、
ある期間、左オーディオ信号と右オーディオ信号とを受信することと、
該期間、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の類似性の程度を連続的に決定することと、
デコーディングの前に、該類似性の程度に基づいて、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の差異を選択的に変化させることと、
マトリクスデコーダを用いて該左オーディオ信号および該右オーディオ信号に対してアクティブマトリクスデコーディングを行うことにより、複数の出力オーディオ信号を得ることと
を含み、
該差異を選択的に変化させることは、該左オーディオ信号および該右オーディオ信号がよりモノラル的であるときに、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の差異の量を増加させることと、該左オーディオ信号および該右オーディオ信号がよりステレオ的であるときに、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の差異の量を減少させることとを含み、
ある量のアクティブマトリクスデコーディングが、該類似性の程度に基づいて選択的に実行され、かつ、該期間、連続的に更新されることによって、
該期間の各区間において決定された該類似性の程度が所定の閾値よりも大きい各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該期間の各区間において決定された該類似性の程度が該所定の閾値よりも大きくない各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、方法。
【請求項8】
前記左オーディオ信号と前記右オーディオ信号とを比較することは、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間のコヒーレンスを決定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記左オーディオ信号と前記右オーディオ信号とを比較することは、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との受信信号強度を決定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
サウンドを処理する方法であって、
ある期間、複数のオーディオ信号を受信することと、
該期間、該複数のオーディオ信号のコヒーレンスの程度を示すコヒーレンスを連続的に計算することと、
該複数のオーディオ信号のコヒーレンスが増加する際、デコーディングの前に、該複数のオーディオ信号に適用されるサラウンドサウンドエンハンスメントの量を増加させることと、
左オーディオ信号と右オーディオ信号とのコヒーレンスが減少する際、デコーディングの前に、該複数のオーディオ信号に適用されるサラウンドサウンドエンハンスメントの量を減少させることと、
デコーディングの間、該コヒーレンスに基づき、該左オーディオ信号および該右オーディオ信号のある量のアクティブステアリング角処理を選択的に実行することと
を含み、
該期間、該アクティブステアリング角処理の量が連続的に更新されることによって、
該期間の各区間において決定された該コヒーレンスが所定の閾値よりも大きい各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該期間の各区間において決定された該コヒーレンスが該所定の閾値よりも大きくない各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、方法。
【請求項11】
前記コヒーレンスを計算することは、前記複数のオーディオ信号におけるステレオコンテンツとモノラルコンテンツとの割合を決定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コヒーレンスを計算することは、前記複数のオーディオ信号のパワーを決定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のオーディオ信号は、左オーディオチャネルおよび右オーディオチャネルであり、
前記コヒーレンスを計算することは、該左オーディオチャネルおよび該右オーディオチャネルにおける信号のオーバーラップの量を決定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
左オーディオ信号と右オーディオ信号とを処理するサウンド処理システムであって、
プロセッサと、
該期間、該プロセッサを用いることにより、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間のコヒーレンスの程度を示す単一のコヒーレンス値を連続的に決定するように実行することが可能なコヒーレンス推定器と、
該期間、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号とを連続的にデコードすることにより、左チャネル出力、右チャネル出力、中央チャネル出力、サラウンドチャネル出力を生成するように構成されたデコーダと
を含み、
該デコーダは、該左チャネル出力と該右チャネル出力とのステアリング角と、該中央チャネル出力と該サラウンドチャネル出力とのステアリング角とを計算するようにさらに構成されており、
該デコーダは、該単一のコヒーレンス値が混合モノラル・ステレオ信号またはモノラル信号を示すときに、該ステアリング角を選択的に制限するようにさらに構成されており、
該ステアリング角が、該期間、連続的に更新されることによって、
該単一のコヒーレンス値が所定の閾値を越えている該期間の各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該単一のコヒーレンス値が該所定の閾値を越えていない該期間の各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、サウンド処理システム。
【請求項15】
前記デコーダは、前記コヒーレンス値がステレオ信号を示すときに、前記ステアリング角を用いてフルアクティブステアリングを有効にするようにさらに構成されている、請求項14に記載のサウンド処理システム。
【請求項16】
前記コヒーレンス値は、前記左オーディオ信号のパワーと前記右オーディオ信号のパワーとに基づいて決定することが可能である、請求項14に記載のサウンド処理システム。
【請求項17】
前記コヒーレンス推定器は、前記コヒーレンス値を実質的に連続的に更新して前記ステアリング角を最適化するように実行することが可能である、請求項14に記載のサウンド処理システム。
【請求項18】
前記デコーダは、前記左オーディオ信号と前記右オーディオ信号とを実質的に連続的にデコードし、かつ、前記ステアリング角を実質的に連続的に計算するように実行することが可能である、請求項14に記載のサウンド処理システム。
【請求項19】
前もって計算されたステアリング角と前記コヒーレンス値とに基づいて所望のステアリング角を決定することと、
該所望のステアリング角に基づいて、前記左オーディオ信号と前記右オーディオ信号とをデコードすることと
によって、前記デコーダが該ステアリング角を調整するように構成されている、請求項18に記載のサウンド処理システム。
【請求項20】
前記デコーダは、前記所望のステアリング角を式
YCTR/S=(1−alpha)XCTR/S+alpha*C
によって決定するように構成されており、
YCTR/Sは、該所望のステアリング角であり、XCTR/Sは、前記前もって測定されたステアリング角であり、alphaは、1よりも小さい値であり、Cは、定数であり、
前記コヒーレント値が、前記所定の閾値よりも大きい場合には、Cは、前記第1の所定の制限に等しく、該コヒーレント値が、該所定の閾値よりも大きくない場合には、Cは、前記第2の所定の制限に等しい、請求項19に記載のサウンド処理システム。
【請求項21】
前記コヒーレンス推定器は、前記オーディオ信号を帯域制限することにより低周波数のコンテンツを除去するように実行することが可能である、請求項14に記載のサウンド処理システム。
【請求項22】
前記コヒーレンス値は、コヒーレンス値=PLR2/PLL*PRRによって決定され、PLRは、前記左入力信号と前記右入力信号とのクロスパワーであり、PLLは、該左入力信号のパワーであり、PRRは、該右入力信号のパワーである、請求項14に記載のサウンド処理システム。
【請求項23】
左オーディオ信号と右オーディオ信号とを含むオーディオ信号を処理するサウンド処理システムであって、
該システムは、
プロセッサと、
デコーダと、
ある期間、該プロセッサを用いることにより、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間のコヒーレンスの程度を示すコヒーレンス値を連続的に決定するように実行することが可能なコヒーレンス推定器と、
該期間、該プロセッサを用いることにより、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号とから、合成サラウンド信号を連続的に生成するように実行することが可能なモノラル空間化器と
を含み、
該プロセッサは、該オーディオ信号と、該コヒーレンスと、該合成サラウンド信号とに基づいて、仮想ステレオ信号を生成するように構成されており、
該仮想ステレオ信号は、サラウンドサウンド処理のために該デコーダに入力され、
該合成サラウンド信号は、該モノラル空間化器を用いて該オーディオ信号から生成され、
該デコーダは、該期間、該コヒーレント値に基づいて、該仮想ステレオ信号に対してある量のアクティブステアリング角処理を選択的に実行するように構成されており、
該デコーダは、該アクティブステアリング処理の量を連続的に更新するように構成されており、その結果、該アクティブステアリング角処理の量は、
該コヒーレンス値が所定の閾値を越えている該期間の各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該コヒーレンス値が該所定の閾値を越えていない該期間の各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、サウンド処理システム。
【請求項24】
前記コヒーレンスは、前記オーディオ信号のパワーに基づいて決定することが可能である、請求項23に記載のサウンド処理システム。
【請求項25】
前記コヒーレンス推定器は、前記オーディオ信号のコヒーレンスを示す単一のコヒーレンス値を実質的に連続的に更新するように実行することが可能である、請求項23に記載のサウンド処理システム。
【請求項26】
前記コヒーレンス推定器は、前記オーディオ信号を帯域制限することにより低周波数のコンテンツを除去するように実行することが可能である、請求項23に記載のサウンド処理システム。
【請求項27】
ヘッドユニットと、
該ヘッドユニットに接続されたデコーダであって、該デコーダは、ある期間、該ヘッドユニットからのオーディオ信号に応答して、デコード化信号を連続的に生成し、該オーディオ信号は、左オーディオ信号と右オーディオ信号とを含む、デコーダと、
該ヘッドユニットと該デコーダとに接続されたクロスバーマトリクスミキサーであって、該クロスバーマトリクスミキサーは、該ヘッドユニットからのオーディオ信号を受信し、該クロスバーマトリクスミキサーは、該デコーダからのデコード化信号を受信する、クロスバーマトリクスミキサーと、
該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間のコヒーレンス値を連続的に推定するコヒーレンス推定器と、
該左オーディオ信号と該右オーディオ信号とから環境信号を連続的に生成し、アクティブマトリクスデコーディングの前に、該コヒーレンス値に比例した該環境信号に基づいて、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の差異を変化させるモノラル空間化器と
を含み、
該デコーダは、該期間、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号とに対してある量のアクティブマトリクスデコーディングを選択的に実行するように構成されており、
該デコーダは、該アクティブマトリクスデコーディングの量を連続的に更新するように構成されており、その結果、該アクティブマトリクスデコーディングの量は、
該コヒーレンス値が所定の閾値を越えている該期間の各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該コヒーレンス値が該所定の閾値を越えていない該期間の各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移し、
該クロスバマトリクスミキサは、該オーディオ信号と該デコード化信号とに応答して、混合出力信号を生成する、サウンド処理システム。
【請求項28】
前記オーディオ信号がステレオ信号とモノラル信号とを含むときに、前記混合出力信号がパッシブマトリクス処理信号を含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項29】
前記オーディオ信号は、デジタル信号を含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項30】
前記クロスバーマトリクスミキサーに接続された2次音源をさらに含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項31】
前記デコード化信号は、5つのデコード化信号を含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項32】
サブウーファー用のデコード化信号を含む、請求項31に記載のサウンド処理システム。
【請求項33】
前記デコード化信号は、7つのデコード化信号を含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項34】
サブウーファー用のデコード化信号を含む、請求項33に記載のサウンド処理システム。
【請求項35】
前記デコーダは、ディスクリートデコーダを含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項36】
前記デコーダは、LOGIC7(登録商標)デコーダを含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項37】
前記混合出力信号は、少なくとも2つの加算信号を含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項38】
前記混合出力信号は、少なくとも1つの左信号と、少なくとも1つの右信号と、中央信号とを含む、請求項27に記載のサウンド処理システム。
【請求項39】
前記少なくとも1つの左信号は、左前信号、左サラウンド信号、左後部信号のうちの少なくとも1つを含み、
前記少なくとも1つの右信号は、右前信号、右サラウンド信号、右後部信号のうちの少なくとも1つを含む、請求項38に記載のサウンド処理システム。
【請求項40】
前記ヘッドユニットは、前記左オーディオ信号を出力する左チャネルと、前記右オーディオ信号を出力する右チャネルとを含む、請求項38に記載のサウンド処理システム。
【請求項41】
前記左チャネルと前記デコーダと前記クロスバーマトリクスミキサーとに接続された第1のアナログ・デジタル変換器(ADC)と、
前記右チャネルと該デコーダと該クロスバーマトリクスミキサーとに接続された第2のアナログ・デジタル変換器(ADC)と
をさらに含む、請求項40に記載のサウンド処理システム。
【請求項42】
サウンドを処理する方法であって、該方法は、
ある期間、オーディオ信号に応答してデコード化信号を生成することであって、該オーディオ信号は、左オーディオ信号と右オーディオ信号とを含み、該デコード化信号を生成することは、該期間、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間のコヒーレンス値を連続的に推定することと、該左オーディオ信号と該右オーディオ信号との間の分離を増加させることにより、デコード化信号を得ることとによって行われ、該分離における増加の量は、該コヒーレンス値に比例する、ことと
該デコード化信号と該オーディオ信号とに応答して、混合出力信号を生成することと
を含み、
該混合出力信号は、アクティブマトリクスデコード化信号を含み、
該アクティブマトリクスデコード化信号は、該デコード化信号に対してある量のアクティブマトリクスデコーディングを選択的に実行することによって生成され、
該アクティブマトリクスデコーディングの量が連続的に更新されることによって、
該コヒーレンス値が所定の閾値を越えている該期間の各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該コヒーレンス値が該所定の閾値を越えていない該期間の各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、方法。
【請求項43】
前記オーディオ信号がステレオ信号とモノラル信号とを含むときに、前記混合出力信号は、パッシブマトリクス処理信号を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記デコード化信号は、5つのデコード化信号を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記デコード化信号は、7つのデコード化信号を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
左入力信号と右入力信号との帯域制限を決定することと、
右出力信号に対する左出力信号のステアリング角と、サラウンド出力信号に対する中心出力信号のステアリング角とを推定することと、
該コヒーレンスに応答して、該ステアリング角を制限することと
をさらに含む、請求項42に記載のサウンドを処理する方法。
【請求項47】
前記コヒーレンスCは、C=PLR2/PLL*PRRによって決定され、
PLRは、前記左入力信号と前記右入力信号とのクロスパワーであり、PLLは、該左入力信号のパワーであり、PRRは、該右入力信号のパワーである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
サウンドを処理する方法であって、該方法は、
ある期間、左オーディオ信号Lと右オーディオ信号Rとを含むオーディオ信号に応答して、デコード化信号を生成することと、
該デコード化信号と該オーディオ信号とに応答して、混合出力信号を生成することと
を含み、
該デコード化信号を生成することは、
合成サラウンド信号Sfを形成することと、
ある期間、該左オーディオ信号Lと右オーディオ信号Rとに応答して、コヒーレンスCを連続的に計算することと、
該左オーディオ信号Lと右オーディオ信号Rとの間の分離の増加によって、該左入力信号と該右入力信号と該合成サラウンド信号と該コヒーレンスとに応答して、アクティブマトリクスデコーディングのための、左仮想ステレオ信号Ltと右仮想ステレオ信号Rtとを生成することであって、該分離における増加量は、該コヒーレンスCと該合成サラウンド信号Sfとに比例している、ことと、
該生成された左仮想ステレオ信号Ltと右仮想ステレオ信号Rtとに対してある量のアクティブマトリクスデコーディングを選択的に実行することと
を含み、
該アクティブマトリクスデコーディングの量が連続的に調整されることによって、
該コヒーレンスCが所定の閾値を越えている該期間の各区間の間、第1の所定の制限に向かって遷移し、
該コヒーレンスCが該所定の閾値を越えていない該期間の各区間の間、第2の所定の制限に向かって遷移する、方法。
【請求項49】
Sf=(Lbl+Rbl)/2
Lt=(X*L)+(Y*Sf*C)
Rt=(X*R)−(Y*Sf*C)であって、
LblおよびRblは、帯域制限されたL信号およびR信号であり、XおよびYは、荷重ファクタである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
X=1.707であり、かつ、Y=0.7である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
LblおよびRblは、約7KHzに帯域制限されている、請求項49に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−273189(P2009−273189A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191482(P2009−191482)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【分割の表示】特願2003−311981(P2003−311981)の分割
【原出願日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【出願人】(592051453)ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド (91)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【分割の表示】特願2003−311981(P2003−311981)の分割
【原出願日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【出願人】(592051453)ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド (91)
【Fターム(参考)】
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