説明

歯付プーリ

【課題】背面側から荷重を受ける歯付ベルトの長寿命化を図ることができる歯付プーリおよび歯付ベルトを提供する。
【解決手段】背面側から荷重を受ける歯付ベルトを掛巻するための歯付プーリにおいて、ベルト歯圧縮率(α)をα=[(D−H)/H]×100(%)(但し、D:当該歯付プーリの歯溝深さ、H:歯付ベルトの歯高さ)と定義し、また、ベルト寿命時間比を(T/T0)×100(%)(但し、T0:基準となる歯溝深さ(D=H)を備えた歯付プーリに掛巻したときのベルト寿命時間、T:対象となる歯溝深さを備えた歯付プーリに掛巻したときのベルト寿命時間)と定義し、前記背面側から受ける荷重に応じて前記ベルト寿命時間比が110%以上となるベルト歯圧縮率(α)を求めておき、前記背面側から受ける設定荷重に応じてベルト寿命時間比が110%以上になるベルト歯圧縮率(α)から、前記歯溝深さ(D)を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば運搬機材に装備されるクローラベルトを掛巻するための歯付プーリに関し、特に歯溝深さに設定に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、歯付ベルトは、環状のベルト本体と、周方向に作用する張力を受け持つ心線と、ベルト本体を保護する帆布とからなり、所定の大きさの取付張力で歯付プーリに掛巻して使用される。ベルト本体は、背ゴム部に歯ゴム部を配設した構造とされ、その背ゴム部に心線が埋設されて、歯付プーリと噛み合う歯ゴム部側に帆布が貼着されている。
【0003】
歯付ベルトの耐久性を高めるための手段としては、帆布の強度を高める手法が多く用いられる。例えば、特許文献1における帆布(基布)は、アンカー効果が高い捲縮糸からなる緯糸と、強度が高く表面摩擦係数が低い非捲縮糸からなる経糸とを朱子織に製織して構成されている。
【0004】
朱子織は、その表裏の一方の面に捲縮糸(緯糸)が多く露出し、他方の面に非捲縮糸(経糸)が多く露出する構造であり、捲縮糸が多く露出している面を歯ゴム部に貼着して、非捲縮糸が多く露出している面をプーリ接触面とする。これにより、帆布とベルト本体との接着力に優れ、かつ、耐摩耗性、耐歯欠け性に優れた歯付ベルトが構成される。
【特許文献1】特開2003−166595号公報(段落番号0010、0011)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ベルトメーカーやプーリメーカーでは、それぞれJIS B 1857−1およびJIS B 1857−2に準じて、歯付ベルトと歯付プーリとを設定し、これらを仕様に合わせて追加工して動力伝達機構に採用している。
【0006】
しかし、運搬機材などに装備されるクローラベルトは、床面側から運搬機材の荷重による反力を受け、また、重量物を搬送する搬送ベルトは、ベルト背面に直接荷重を受けることになる。したがって、これらの歯付ベルトは、その取付張力に加えて、ベルト背面側から大きい荷重を受けながら走行することになる。
【0007】
そのため、歯付ベルトに噛み合うプーリ歯の歯先が、ベルト歯の歯底を強く圧縮しながら擦ることになり、歯付ベルトの歯底部分の帆布を摩耗させて心線を露出させるおそれがある。この歯底の損傷によって歯付プーリとの噛み合いが悪化した歯付ベルトは、横ずれして逸脱走行しやすくなる。
【0008】
したがって、背面側から荷重を受ける歯付ベルト・プーリ構造においては、動力伝達機構の仕様に合わせた歯付プーリおよび歯付ベルトでは、耐久性の面で十分とはいえず、耐久性に優れた歯付ベルト・プーリ構造の出現が望まれている。
【0009】
本発明は、上記に鑑み、プーリ歯とかみ合うベルト歯の歯底の損傷を軽減し、歯付ベルトの長寿命化を図り得る歯付プーリおよびその歯溝深さの設定方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本出願人は、先に、背面側から荷重を受ける歯付ベルトを掛巻して使用する歯付プーリにおいて、ベルト背面側からの荷重によるベルト歯底への歯付プーリの歯先の接触圧を軽減させる方策を提案した(特願2004−23458号参照)。
【0011】
この提案によると、背面側から荷重を受ける歯付ベルトを掛巻して使用する歯付プーリにおいて、当該歯付プーリの歯溝深さをD、歯付ベルトの歯高さをHとし、α=[(D−H)/H]×100(%)で定義するベルト歯圧縮率(α)が−7.5%≧α≧−10.5%の範囲になるように歯溝深さ(D)を設定することで、歯溝深さ(D)は、前記荷重の無載荷時に、プーリ歯先とベルト歯底との間に隙間を形成し、前記荷重の有載荷時に、ベルト歯部の圧縮変形により前記隙間を閉じる寸法に設定される。
【0012】
したがって、歯付ベルトは、取付張力に加えてベルト背面側からの荷重を受けるが、その多くをベルト歯の歯部に受け持たせることにより、プーリの歯先が押し付けられるベルト歯の歯底の負担を低減させることができ、歯付ベルトの歯底を損傷させにくくすることができる。
【0013】
上記提案においては、ベルト背面から受ける荷重(押付け力あるいは圧縮力)は所定値(例えば2.6kN)でベルト歯圧縮率(α)を算出していた。本発明者らは、上記提案をさらに進め、ベルト背面から受ける設定荷重を変えた場合、設定荷重によってベルト歯圧縮率(α)の最適値が変化するか否かを検証したところ、前記設定荷重に相違により、歯付ベルトの寿命が延びるベルト歯圧縮率(α)の最適範囲、つまり歯付プーリの歯溝深さDの最適範囲が異なることを見出した。
【0014】
そこで、本発明は、前記設定荷重に応じて歯付プーリの歯溝深さを最適範囲に設定するようにしたものである。すなわち、本発明は、背面側から荷重を受ける歯付ベルトを掛巻するための歯付プーリにおいて、ベルト歯圧縮率(α)をα=[(D−H)/H]×100(%)(但し、D:当該歯付プーリの歯溝深さ、H:歯付ベルトの歯高さ)と定義し、また、ベルト寿命時間比を(T/T0)×100(%)(但し、T0:基準となる歯溝深さ(D=H)を備えた歯付プーリに掛巻したときのベルト寿命時間、T:対象となる歯溝深さを備えた歯付プーリに掛巻したときのベルト寿命時間)と定義し、前記背面側から受ける荷重に応じて前記ベルト寿命時間比が所定値以上となるベルト歯圧縮率(α)を求めておき、前記背面側から受ける設定荷重に応じて、前記ベルト寿命時間比が前記所定値以上となるベルト歯圧縮率(α)から前記歯溝深さ(D)を設定するものである。
【0015】
上記構成によると、ベルト背面側からの押付け荷重の大きさに応じてプーリの歯溝深さを変え、ベルト寿命を向上させることができる。
【0016】
このときのベルト寿命時間比の所定値は、ベルトの長寿命化を図る観点から少なくとも100%以上であることが条件となる。100%以上ならば特に限定されるものではないが、発明者らの実験によれば、ベルト歯圧縮率をある範囲で許容できる好適な所定値としては110%以上が望ましい。ベルト寿命時間比が110%未満の場合、長寿命化としても効果も小さいと考えられ、逆に、150%を超えると、図3に示すように、押付け荷重によって150%に到達しない場合が発生する。また、このようなベルト背面から荷重を受ける歯付プーリはクローラベルト用のプーリとして採用するのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり、本発明によると、背面側から受ける荷重に応じてベルト寿命時間比が所定値以上となるベルト歯圧縮率(α)を予め求めておき、その最適範囲のベルト歯圧縮率(α)から歯溝深さ(D)を設定しているので、運搬機材などに装備されるクローラベルトや、重量物を搬送する搬送ベルトのように、取付張力に加えてベルト背面側から大きい荷重を受ける歯付ベルトであっても、ベルト歯の歯底の損傷から噛み合いの悪化、横ずれ、さらには逸脱走行に至る不具合を防止し、ベルトの長寿命化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態を図面を基づいて説明する。図1(a)は本発明に係る歯付プーリおよびこれに掛巻した歯付ベルトとからなるベルト機構の側面図、同図(b)は歯付ベルトの要部断面図である。図2はプーリ歯およびこれに噛み合うベルト歯の要部断面図である。
【0019】
ベルト機構は、図1に示すように、一対の歯付プーリ1と、この歯付プーリに掛巻きされる歯付ベルト2とを備え、例えば、運搬機材に装備されるクローラベルト機構として機能する。
【0020】
その歯付プーリ1は、運搬機材などに回転自在に装備される。クローラベルト2は、背面側(床面側)から荷重(反力)を受け、モータの駆動力によって歯付プーリ1を回転させることにより、クローラベルト2を周方向に旋回して運搬機材などを床面走行させる。
【0021】
歯付プーリ1は、鋼材や鋳鉄、アルミニウムなどから成形された歯付プーリの歯部3aに切削加工を施こして、その歯先3bに多少のRを付けながらプーリ外径を小さくすることにより形成される。
【0022】
この切削加工により、プーリ歯3の歯底3cから歯先3bまでの歯溝深さ(D)が所定の深さ(例えば、図2におけるD1〜D8)に設定される。所定の歯溝深さ(D)は、歯付プーリを切削加工して得られる。例えば、JIS B 1857−2に基づいて又は準じて製作された歯付きプーリを切削加工して所定の歯溝深さ(D)の歯付きプーリが得られる。
【0023】
歯付ベルト2は、例えば、JIS B 1857−1に基づいて又は準じて製作されたものであって、プーリと噛み合うベルト歯4を備えており、例えばニトリルゴムからなる環状のベルト本体5と、ベルト歯4の表面を補強する帆布6と、歯付ベルト2に作用する張力を受け持つ心線7と、ベルト本体5の変形を規制する中間帆布8とを備えている。
【0024】
帆布6は、例えばナイロン製の布をゴム糊などに浸漬させてなり、ベルト歯4が形成されたベルト本体5の内周面を覆う。心線7は、ガラス繊維を撚り合わせたガラス心線などであり、ベルト歯4の歯底4cの近傍に位置するように、ベルト本体5に周方向に連続して埋設される。
【0025】
中間帆布8は、例えばナイロン製の布からなり、ベルト本体5のうちの心線7よりも外周側に、心線7と間隔をあけて埋設される。この中間帆布8は、ベルト本体5の幅方向の広がりを規制して、同時にベルト本体5の厚さ方向の変形を小さくすることにより、心線7の変形を抑えて保護するようになっている。
【0026】
上記構成において、歯付プーリ1に歯付ベルト2を掛巻した状態において、ベルト背面側からの荷重の無載荷時に、プーリの歯先3bとベルト歯4の歯底4cとの間に隙間9が形成される。
【0027】
この隙間9は、ベルト背面側にローラを押し付けた有載荷時に、ベルト歯4の歯部4aの圧縮変形を伴って閉じられる。その際、ローラの押し付け力により、ベルト歯4の歯底4cにプーリの歯先3bが圧接されるが、その接触圧は、歯部4aの圧縮変形による弾性力により軽減される。
【0028】
歯付プーリ1を回転させることにより、プーリの歯部3aがベルト歯4の歯側面部4dを押圧して歯付ベルト2が旋回する。このとき、プーリの歯先3bによって、ベルト歯4の歯底4cが擦られる。
【0029】
ベルト歯圧縮率(α)が好適な範囲にあるときは、隙間9を十分な大きさに設定して歯部4aを圧縮変形させるので、プーリの歯先3bとベルト歯4の歯底4cとの接触圧が十分に軽減される。これにより、プーリの歯先3bで擦られるベルト歯4の歯底4cが損傷しにくくなり、歯溝深さ(D)がD0である歯付プーリに歯付ベルトを掛巻する場合よりも走行時間が長くなる。その結果、運搬機材に装備されるクローラベルトのように、取付張力に加えてベルト背面側から荷重(床面からの反力)を受ける場合であっても、歯付ベルト2に損傷を生じさせにくくして、その寿命を長くすることができる。
【0030】
ここで、ベルト歯圧縮率(α)を、α=[(D−H)/H]×100(%)と定義する。但し、D:当該歯付プーリの歯溝深さ、H:歯付ベルトの歯高さである。また、最適なベルト歯圧縮率(α)を特定するために、ベルト寿命時間比を定義する。ベルト寿命時間比は、(T/T0)×100(%)とする。但し、T0:基準となる歯溝深さ(D=H)を備えた歯付プーリに掛巻したときのベルト寿命時間、T:対象となる歯溝深さを備えた歯付プーリに掛巻したときのベルト寿命時間である。
【0031】
ベルト寿命時間は次のように算出する。まず、駆動側歯付プーリおよび従動側歯付プーリに試験ベルト(歯付ベルト)を掛巻して走行させ、駆動側歯付プーリ上における試験ベルトの背面にローラを押し付けることにより、歯付ベルトが背面側から荷重を受けるようにする。この状態で試験ベルトが損傷して走行不能になるまでの走行時間(寿命)を測定すると共に、走行不能になった試験ベルトの損傷部位およびその損傷状態を観察する。
【0032】
試験に用いる歯付プーリの歯溝深さ(D)は、最大9種類とする。9種類は、D0(3.02mm)、D1(2.90mm)、D2(2.85mm)、D3(2.80mm)、D4(2.78mm)、D5(2.75mm)、D6(2.70mm)、D7(2.66mm)、D8(2.61mm)とし(図2参照)、駆動側および従動側の歯付プーリに同じものを用いた。また、試験ベルトの歯高さ(H)は、全プーリに対して3.02mmのものを用いた。
【0033】
駆動側歯付プーリおよび従動側歯付プーリのプーリ歯数はともに44歯であり、回転速度は125rpmとした。試験ベルトは、周長920mm、歯ピッチ8mm、ベルト幅20mmの歯付ベルトであり、その取付張力は235Nである。ローラの押付け力(押付け荷重)は、0.1kN/mm、0.12kN/mm、0.13kN/mm、0.145kN/mmの4種類の押付け荷重を採用し、夫々の設定荷重における寿命を測定した。
【0034】
次に、得られたベルト歯圧縮率(α)のうちベルト寿命時間比が所定値(例えば110%)以上となるものを求めておく。図3はベルト歯圧縮率とベルト寿命時間比との関係を示すグラフである。押付け力(押付け荷重)を種々変更したときの関係図を線図A〜Dで表す。線図Aは0.1kN/mm、線図Bは0.12kN/mm、線図Cが0.13kN/mm、線図Dは0.145kN/mmである。
【0035】
図3に示すとおり、例えば、押付け荷重が0.1kN/mmの場合、ベルト寿命時間比が110%を超えるベルト歯圧縮率(α)は−2%≧α≧−6%の範囲である。押付け荷重が0.12kN/mmの場合、ベルト寿命時間比が110%を超えるベルト歯圧縮率(α)は−4%≧α≧−9%の範囲である。押付け荷重が0.13kN/mmの場合、ベルト寿命時間比が110%を超えるベルト歯圧縮率(α)は−7.5%≧α≧−10.5%の範囲である。押付け荷重が0.145kN/mmの場合、ベルト寿命時間比が110%を超えるベルト歯圧縮率(α)は−7%≧α≧−13%の範囲である。
【0036】
このように、押付け荷重によってベルト長寿命化が図れるベルト歯圧縮率(α)、つまり歯付プーリの歯溝深さ(D)の好適な範囲が異なることになる。そこで、設計する歯付プーリの歯溝深さ(D)を設定するとき、図3に示すように、予め試験により得られたデータに基づいて、設定荷重に応じた最適なベルト歯圧縮率(α)の範囲内で歯溝深さ(D)を設定する。
【0037】
図3においては4種類の設定荷重により最適なベルト歯圧縮率(α)を算出している。設定荷重が前記4種以外の場合に、最適なベルト歯圧縮率(α)はどのようになるかを検証する。
【0038】
図4は荷重とベルト歯圧縮率の関係を示す図で、試験した4種の設定荷重ごとにベルト寿命時間比が110%を超えるベルト歯圧縮率(α)の最大値と最小値並びに最大寿命時間比の圧縮率をプロットし、回帰式を作成してみた。試験機は図3に示すものと同様に、駆動側歯付プーリおよび従動側歯付プーリのプーリ歯数を共に44歯とした。試験ベルトは、周長920mm、歯ピッチ8mm、ベルト幅20mmの標準の歯付ベルトとした。取付張力は235Nである。
【0039】
図4に示すとおり、y=荷重、x=ベルト歯圧縮率とした場合、寿命時間比が110%を超えるベルト歯圧縮率(α)の最大値および最小値の回帰式は、
A) y=−0.0061x+0.0651(但し、決定係数 R=1)
B) y=−0.0068x+0.0889(但し、決定係数 R=0.873)となる。また、最大寿命時間比の圧縮率の回帰式は、
C) y=−0.006x+0,0798(但し、決定係数 R=0.936)。
【0040】
したがって、上記A)B)の回帰式で決定される最大値と最小値の範囲内でベルト歯圧縮率を設定すれば、運搬機材に装備されるクローラベルトのように、取付張力に加えてベルト背面側から荷重(床面からの反力)を受ける場合であっても、歯付ベルトに損傷を生じさせにくくして、長寿命化を図ることができる。
【0041】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、歯付ベルト1は、その背面側から大きい荷重を受けるものであれば、運搬機材などに装備されるクローラベルトや、重量物を搬送する搬送ベルトなど、どのようなものであってもよい。また、上記実施形態では、好適な歯溝深さを得るために、寿命時間比が110%を超えるベルト歯圧縮率を算出したが、その寿命時間比は110%に限定されるものではなく、100%を超える範囲で長寿命化が達成できる所定の値を設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(a)は本発明に係る歯付プーリおよびこれに掛巻した歯付ベルトの側面図、(b)は歯付ベルトの要部断面図
【図2】プーリ歯およびこれに噛み合うベルト歯の要部断面図
【図3】ベルト歯圧縮率とベルトの寿命時間比との関係を示す図
【図4】押付け荷重とベルト歯圧縮率の関係を示す図
【符号の説明】
【0043】
1 歯付プーリ
2 歯付ベルト
3 プーリ
3a 歯部
3b 歯先
3c 歯底
4 ベルト歯
4a 歯部
4b 歯先
4c 歯底
4d 歯側面部
5 ベルト本体
6 帆布
7 心線
8 中間帆布
9 隙間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面側から荷重を受ける歯付ベルトを掛巻するための歯付プーリにおいて、
ベルト歯圧縮率(α)をα=[(D−H)/H]×100(%)(但し、D:当該歯付プーリの歯溝深さ、H:歯付ベルトの歯高さ)と定義し、また、ベルト寿命時間比を(T/T0)×100(%)(但し、T0:基準となる歯溝深さ(D=H)を備えた歯付プーリに掛巻したときのベルト寿命時間、T:対象となる歯溝深さを備えた歯付プーリに掛巻したときのベルト寿命時間)と定義し、前記背面側から受ける荷重に応じて前記ベルト寿命時間比が所定値以上となるベルト歯圧縮率(α)を求めておき、
前記背面側から受ける設定荷重に応じて、前記ベルト寿命時間比が前記所定値以上となるベルト歯圧縮率(α)から前記歯溝深さ(D)を設定したことを特徴とする歯付プーリ。
【請求項2】
前記ベルト寿命時間比の所定値は110%であることを特徴とする請求項1に記載の歯付プーリ。
【請求項3】
前記歯付プーリがクローラベルトを掛巻するためのプーリであることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯付プーリ。
【請求項4】
背面側から荷重を受ける歯付ベルトを掛巻するための歯付プーリにおいて、
ベルト歯圧縮率(α)をα=[(D−H)/H]×100(%)(但し、D:当該歯付プーリの歯溝深さ、H:歯付ベルトの歯高さ)と定義し、また、ベルト寿命時間比を(T/T0)×100(%)(但し、T0:基準となる歯溝深さ(D=H)を備えた歯付プーリに掛巻したときのベルト寿命時間、T:対象となる歯溝深さを備えた歯付プーリに掛巻したときのベルト寿命時間)と定義し、前記背面側から受ける荷重に応じて前記ベルト寿命時間比が所定値以上となるベルト歯圧縮率(α)を求めておき、
前記背面側から受ける設定荷重に応じて、前記ベルト寿命時間比が所定値以上となるベルト歯圧縮率(α)から前記歯溝深さ(D)を設定することを特徴とする歯付プーリの歯溝深さの設定方法。
【請求項5】
前記ベルト寿命時間比の所定値は110%であることを特徴とする請求項4に記載の歯付プーリの歯溝深さの設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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