説明

歯磨組成物

【解決手段】 下記(A)〜(D)成分
(A)水、
(B)湿潤剤、
(C)粘結剤、及び
(D)トリメチルグリシン
を含有し、かつ(A)成分/(B)成分の質量比が1.2〜4であることを特徴とする歯磨組成物。
【効果】 本発明の歯磨組成物は、充填チューブ口元での耐乾燥性に優れ、使用時のべたつき感がなく、更に良好な保存安定性(液分離)を実現させることができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填したチューブの口元での耐乾燥性に優れ、かつ口腔内でのべたつきがなく、更に保存安定性に優れた歯磨組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、練歯磨組成物には、適度な湿り気を与え、かつ練歯磨組成物の乾燥、固化を防止する目的で湿潤剤が配合されている(非特許文献1)。練歯磨組成物の固化は、内容物である研磨剤、水溶性高分子の粘結剤、湿潤剤、水の相互作用によるものと考えられる。特にリン酸カルシウムを研磨剤として含有する練歯磨組成物において固化が多く認められ、このような練歯磨組成物の固化を防ぐ方法が種々提案されており、例えば、ノニオン活性剤(特許文献1)、縮合リン酸(特許文献2)、ポリビニルピロリドン(特許文献3)、ポリエチレングリコール(特許文献4)、第3リン酸マグネシウム(特許文献5)などの添加物が提案されている。また、特定の分子量を持つポリビニルピロリドンと多価アルコールの併用(特許文献6)による固化防止効果も提案されている。
【0003】
このように、練歯磨組成物の固化防止については複数の提案がなされているが、水の状態に大きく左右される練歯磨組成物の乾燥、特に練歯磨組成物を使用開始時から使用し終わるまでの長期間に亘り外気と接する充填チューブの口元における練歯磨組成物の乾燥を防ぐ方法については、これまでに報告がなかった。
【0004】
一方、トリメチルグリシンは、グリシンベタイン、ベタインという名称でも呼ばれており、アミノ酸系保湿剤として広く皮膚化粧料、毛髪化粧料に用いられている公知の物質である。口腔内への応用例としては、各種酵素と併用することによる舌垢除去効果が報告されている(特許文献7)。更に、トリメチルグリシンについては、非特許文献2によれば、口腔内粘膜に対する活性剤の刺激抑制効果が報告され、皮膚に対するのと同様に口腔内粘膜の保湿効果も報告されている(特許文献8、非特許文献3)。更に、アニオン活性剤との併用により、特に洗口液による口腔内洗浄後の歯のなめらかさ、爽快感が得られることが報告されている(特許文献9)。このように、トリメチルグリシンが皮膚や口腔粘膜への保湿効果及び口腔内への使用感向上については公知であるが、練歯磨組成物に応用したときに、練歯磨組成物の口元での乾燥を飛躍的に防止すること、及び口腔内で使用したときにべたつき感を軽減させる効果については、いずれも不十分であった。
【0005】
【特許文献1】特開昭50−19938号公報
【特許文献2】特開昭50−19939号公報
【特許文献3】特開昭56−97216号公報
【特許文献4】特開昭56−97217号公報
【特許文献5】特開昭60−104009号公報
【特許文献6】特開2003−55178号公報
【特許文献7】特開平9−25221号公報
【特許文献8】特表2001−508423号公報
【特許文献9】特開2004−217614号公報
【非特許文献1】日本歯磨工業会編集「歯磨剤を科学する」学建書院出版、1994年7月6日、p21−24
【非特許文献2】Acta Odontol Scan(2002)、60(5)、p306−310
【非特許文献3】J Contemp Dent Pract(2003)、4(2)、p11−23
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、充填チューブ口元での耐乾燥性に優れ、使用感がよく、保存安定性にも優れた歯磨組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記要望に応えるべく鋭意研究を重ねた結果、水、湿潤剤、粘結剤を含有し、水/湿潤剤の質量比が1.2〜4である歯磨組成物に、更にトリメチルグリシンを配合することにより、意外にも充填チューブ口元での耐乾燥性に優れ、使用時のべたつき感がなく、更に保存安定性(液分離)が向上することを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
従って、本発明は、下記(A)〜(D)成分
(A)水、
(B)湿潤剤、
(C)粘結剤、及び
(D)トリメチルグリシン
を含有し、かつ(A)成分/(B)成分の質量比が1.2〜4であることを特徴とする歯磨組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の歯磨組成物は、充填チューブ口元での耐乾燥性に優れ、使用時のべたつき感がなく、更に良好な保存安定性(液分離)を実現させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る歯磨組成物は、(A)水、(B)湿潤剤、(C)粘結剤を含有し、(A)水/(B)湿潤剤の質量比が1.2〜4であり、更に(D)トリメチルグリシンを含有するもので、歯磨組成物として有効に用いられるものである。
【0011】
本発明の歯磨組成物は、(A)水を用いるが、水の配合量は、組成物全体の20〜75質量%であることが好ましく、特にべたつきのなさ、耐乾燥性を得る点でより好ましくは25〜70質量%、更に好ましくは30〜65質量%である。水の配合量が20質量%より少ないと口腔内でべたつきが生じる場合があり、75質量%より多いと乾燥が強くなる場合がある。
【0012】
また、本発明の歯磨組成物には、(B)湿潤剤を用いるが、湿潤剤としては、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、平均分子量280〜1,050のポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられ、これらの中でも、ソルビトール、プロピレングリコール、平均分子量280〜1,050のポリエチレングリコールが目的の耐乾燥性を得る点で好ましい。これらの湿潤剤は、必要に応じて2種以上配合することができる。湿潤剤の配合量は、組成物全体の5〜45質量%が好ましく、特にべたつきのなさ、耐乾燥性を実現する点からより好ましくは10〜40質量%、更に好ましくは10〜35質量%である。湿潤剤の配合量が5質量%よりも少ないと耐乾燥性が不十分であり、45質量%を超えるとべたつき感が強くなる場合がある。
【0013】
なお、ポリエチレングリコールの平均分子量は、化粧品原料基準(第2版注解)記載の平均分子量を示し、ポリエチレングリコール300(平均分子量280〜320)、ポリエチレングリコール400(平均分子量380〜420)、ポリエチレングリコール600(平均分子量570〜630)、ポリエチレングリコール1000(平均分子量950〜1,050)が該当する。商品によっては、例えばポリエチレングリコール#400等のように、ポリエチレングリコールと数値の間に#がつくことがある。
【0014】
本発明においては、(A)成分/(B)成分の質量比は1.2〜4である。べたつきのなさ、耐乾燥性の両方を満たす点で好ましくは1.4〜4、より好ましくは1.6〜3である。(A)成分/(B)成分の質量比が1.2未満であるとべたつき感が強く生じ、4を超えると耐乾燥性が不十分である。
【0015】
(C)粘結剤としては、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩、ポリアクリル酸又はそのナトリウム塩、メチルセルロース、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、カーボポール、ビーガム等が挙げられる。これらの中で、べたつきのなさ、液分離防止の点でカラギーナン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース塩、ポリアクリル酸ナトリウムが好適である。これら粘結剤は1種又は2種以上配合することができ、その配合量は、組成物全体の0.5〜2.0質量%が好ましく、特に十分な耐乾燥性を維持する点でより好ましくは0.6〜1.6質量%、更に好ましくは0.8〜1.4質量%である。粘結剤の配合量が0.5質量%未満であると液分離が生じるなど保存安定性が不十分で、2.0質量%を超えるとべたつきが強くなる。
【0016】
なお、カルボキシメチルセルロースは、通常、口腔用組成物で使用されるものであればいずれでもよいが、2%水溶液をBH型粘度計で測定した粘度(25℃、使用ローター:No.4、20rpm、1分間)が200〜7,000mPa・s、エーテル化度は0.6〜1のものが良好である。ポリアクリル酸ナトリウムは、通常、口腔用組成物で使用されるものであればいずれでもよいが、25℃における0.5%水溶液の粘度(BH型粘度計、使用ローター:No.5、20rpm、1分間)が5〜15Pa・sのものが良好である。
【0017】
本発明の歯磨組成物は、(D)トリメチルグリシンを配合する。トリメチルグリシンの配合量は、組成物全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、特に耐乾燥性、べたつき感のなさを実現する点でより好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは2〜8質量%である。トリメチルグリシンの配合量が0.1質量%未満であると十分な耐乾燥性が得られず、30質量%を超えると歯磨組成物中に溶解しない場合がある。
【0018】
本発明の口腔用組成物には、上述した成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、歯磨組成物に使用されている各種の成分を配合することができる。配合することのできる他の成分としては、界面活性剤、研磨剤、甘味剤、香料、pH調整剤及び防腐剤等がある。
【0019】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤が配合可能であり、アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、N−ミリストリルザルコシン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタメート、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム等のN−アシルタウレート等が挙げられる。
【0020】
ノニオン界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクトール脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ラウリル酸モノ又はジエタノールアミド等の脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルあるいはプルロニック等が挙げられる。
【0021】
また、両性イオン界面活性剤としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、N−ラウリルジアミノエチルグリシン、N−ミリスチルジアミノエチルグリシン等のN−アルキルジアミノエチルグリシンあるいはN−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウム等が挙げられる。これら界面活性剤は単独で使用してもよく、また2つ以上を併用してもよい。
【0022】
界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.1〜2質量%とすることができる。
【0023】
研磨剤としては、第2リン酸カルシウム・2水和塩及び無水和物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系化合物、沈降性シリカ、アルミノシリケート等のシリカ系化合物、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベントナイト等の1種又は2種以上を配合することができる。なお、研磨剤の配合量は、組成物全体の0〜50質量%とすることができる。電動歯ブラシ用歯磨組成物には、研磨剤無配合が適している場合があるが、通常の練歯磨組成物の場合は5〜50質量%であることが好ましい。
【0024】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルヒドロカルコン、ペルラルチン、グリチルリチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等がある。なお、甘味剤の配合量は、組成物全体の0.01〜5質量%とすることができる。
【0025】
香料としては、メントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、n−デシルアルコール、シトロネロール、α−テレピネオール、シトロネリルアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、丁字油あるいはユーカリ油等が挙げられる。香料の配合量としては、0.001〜2質量%とすることができる。
【0026】
pH調整剤としては、クエン酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸及びその塩類、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ニナトリウム、リン酸ニ水素ナトリウムなどの無機化合物などが挙げられる。
【0027】
本発明の組成物には、これらの成分以外にも薬効成分あるいは有効成分として、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ等の酵素、モノフルオロリン酸ナトリウム等のアルカリ金属モノフルオロフォスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化第1スズ等のフッ化物、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アズレン、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸、塩化ナトリウム、ビタミン類等の抗炎症剤、銅クロロフィル、グルコン酸銅、セチルピリジウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、ヒノキチオール、塩化リゾチーム等の殺菌剤、ポリリン酸塩類等の歯石予防剤、タバコヤニ除去剤、グリシン、プロリンなどのアミノ酸類、乳酸アルミニウム、硝酸カリウム等の知覚過敏抑制剤も配合できる。
【0028】
その他にも、リン酸水素カルシウム、ゼオライト、ハイドロキシアパタイトなどの無機化合物やその造粒物、結晶性セルロース等の有機粉末の造粒物、寒天、ゼラチン、デンプン、グルコマンナン等の天然高分子、ポリ酢酸ビニル、アクリル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成高分子、カルナバワックス、ロジン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、パラフィンワックス等のワックス類、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ポリイソブチレン,ポリブタジエン,ポリウレタン,シリコーン,天然ゴム等のラテックスゴム等を架橋、重合、成形することにより得られたもの、又は、これらの原料を混合して得られたものやラメフィルムを用いることができる。ラメフィルムとしては、有機樹脂の積層フィルム末、有機樹脂積層フィルム中にアルミニウム等の蒸着層を導入した積層フィルム末等、具体的には、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末等を用いることができる。
【0029】
本発明の歯磨組成物は、通常、チューブに充填されて保存、使用され、この場合、チューブとしては公知のチューブを使用することができ、プラスチックチューブ、アルミ箔等の金属箔ラミネートプラスチックチューブなどを使用することができるが、これに限られず、例えばポンプ式容器などにも充填、使用されて、チューブに充填した場合と同様の効果を与える。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の歯磨組成物に該当する組成例(実施例)及び該当しない組成例(比較例)を用いたチューブ口元の耐乾燥性、使用時の口腔内でのべたつき、保存安定性(液分離)の実験例を示し、本発明の特徴及び優れた効果を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
【0031】
[実施例1〜5、比較例1〜4]
表1に示した成分を配合した練歯磨組成物を常法にて調製し、チューブ口元の耐乾燥性、口腔内におけるべたつき感のなさ及び保存安定性(液分離)を以下の方法により評価した。
<チューブ口元の耐乾燥性>
口径8mmのラミネートチューブに試験歯磨組成物を充填し、一度口元まで歯磨組成物を押出した後、キャップをはずした状態で、35℃の恒温槽中で2週間放置した。放置後のチューブ口元に付着している歯磨組成物を紙上に押し出し、歯磨組成物の様子を目視及び手で触って評価した。
◎:表面、内部ともに乾燥していない
○:表面はわずかに乾燥しているが、内部は乾燥していない
△:表面は乾燥しており、内部もやや乾燥している
×:表面、内部ともに乾燥し、固化すると共にパサパサしていた
<口腔内におけるべたつき感のなさ>
専門パネラー10人を用いた官能試験により評価した。口径8mmのラミネートチューブに充填した試験歯磨組成物を歯ブラシ上に約1.5cm乗せ、通常、歯を磨く方法で使用してもらった。使用中の口腔内におけるべたつきについて以下に示す基準で評価した。
4点:べたつきを感じなかった
3点:ややべたつきを感じた
2点:べたつきを感じた
1点:強くべたつきを感じた
専門パネラー10人が評価した結果を平均した値を以下の基準で示した。
◎:平均点が3.5点以上4.0点
○:平均点が3.0点以上3.5点未満
△:平均点が2.0点以上3.0点未満
×:平均点が2.0点未満
<保存安定性の評価>
試験歯磨組成物を口径8mmのラミネートチューブに充填し、50℃の恒温槽に4週間保存後、チューブから紙の上に押し出したときの液分離を評価した。
◎:液分離は見られない
△:やや液分離が見られる
×:液分離している
【0032】
【表1】

【0033】
*1 70%ソルビトール:東亜化成工業(株)製、商品名;70%ソルビット液
*2 プロピレングリコール:坂本薬品工業(株)製、商品名;プロピレングリコール
*3 配合量は純分で計算した。
*4 カルボキシメチルセルロースナトリウム:ダイセル化学工業(株)製、商品名;CMC1260、エーテル化度;0.9、2%水溶液粘度;1,100mPa・s
*5 ポリアクリル酸ナトリウム:日本純薬(株)製、商品名;レオジック250H、0.5%水溶液粘度;8Pa・s
*6 トリメチルグリシン:味の素(株)製、商品名;アクアデュウAN−100
*7 ラウリル硫酸ナトリウム:東邦化学工業(株)製、商品名;ラウリル硫酸ナトリウム
*8 無水ケイ酸:イネオス社製、商品名;AC77
【0034】
実験の結果は表1に示す通りであり、(A)水、(B)湿潤剤、(C)粘結剤を含有し、(A)成分/(B)成分の質量比が1.2〜4であり、更に(D)トリメチルグリシンを含有した歯磨組成物は、充填チューブ口元での耐乾燥性に優れ、口腔内でのべたつきがなく、かつ保存安定性に優れていることがわかる。(A)成分/(B)成分の質量比が4を超えるとべたつきのなさは良好であるが、チューブ口元での乾燥が起こり、保存安定性も悪い。また、(A)成分/(B)成分の質量比が1.2未満であるとチューブ口元での乾燥、及び保存安定性はやや改善されるが、口腔内でのべたつき感が強くなる。また、(C)成分を含有しないとチューブ口元の耐乾燥性及び保存安定性で良好な結果が得られない。(D)成分を配合しないと、チューブ口元の耐乾燥性がよくない。
【0035】
この実験の結果から、(A)水、(B)湿潤剤、(C)粘結剤を含有し、(A)成分/(B)成分の質量比が1.2〜4であり、更に(D)トリメチルグリシンを含有することにより、優れたチューブ口元での乾燥防止、口腔内でのべたつき感のなさ、かつ良好な保存安定性を達成できることがわかった。
【0036】
[実施例6〜10]
表2に示す組成の歯磨組成物を常法により調製し、上記実施例と同様の評価を行った。結果を表2に併記する。
【0037】
【表2】

【0038】
*1 配合量は純分で計算した。
*2 エーテル化度:0.9、2%水溶液粘度;1,100mPa・s
【0039】
これらの実施例では、いずれも優れたチューブ口元での乾燥防止、口腔内でのべたつき感のなさ、かつ良好な保存安定性を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(D)成分
(A)水、
(B)湿潤剤、
(C)粘結剤、及び
(D)トリメチルグリシン
を含有し、かつ(A)成分/(B)成分の質量比が1.2〜4であることを特徴とする歯磨組成物。

【公開番号】特開2007−1954(P2007−1954A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186263(P2005−186263)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】