説明

歯科用チェアのマット状シート、及び歯科用チェアのマット状シートを被装した歯科用チェアユニット

【課題】従来の歯科用チェアに被装される単純なパットや、頸部用枕付ヘッドレストカバーは成人患者にのみ適用でき、身長や座高が低い小児や高齢の患者には有効度が低いので小児・高齢者にも有効に適応可能な歯科用チェアのマット状シートを提供する。
【解決手段】チェア本体の各部を覆う座部マット状シートと、脚部マット状シートと、上下に2分割された背もたれ部マット状シートがそれぞれ連結手段を介して曲折可能に連結・一体化され、さらに、前記脚部マット状シート及び背もたれ部の上部のマット状シートの裏面にはエアーにより膨張・収縮する筏状のバルーンが複数個並列に配置された歯科用チェアのマット状シートによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用チェアユニットのチェア本体に被装して使用する本体用のマット状シート及びヘッドレストに被装して使用するヘッドレスト用カバーの組み合わせ品でなる歯科用チェアのマット状シート、及び歯科用チェアのマット状シートを被装した歯科用チェアユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用チェアユニットのチェア本体に被装して使用する単純な形態のパット及び頸部用枕付ヘッドレストカバーは、既に特開平9−56758号公報、特開2002−120622号公報で開示されている。
【特許文献1】特開平9−56758号公報
【特許文献2】特開2002−120622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これら歯科用チェアユニットへのパッドの被装、及び頸部用枕付ヘッドレストカバーの患者頸部への当接調整は、一般の成人患者にのみ適用可能であり、身長が低くかつ座高も低い、幼児や低学年児童等の小児及び高齢の患者に対しては有効度が低いきらいがあった。
本願発明は、歯科用チェアユニットに容易に被装でき、前記小児・高齢者にも有効に適応可能な歯科用チェアのマット状シート、及び該歯科用チェアのマット状シートを被装した歯科用チェアユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記に鑑み本発明者等は、鋭意実験研究の結果次の手段により前記課題を解決した。
[1]歯科用チェアユニットのチェア本体に被装して使用する本体用のマット状シート及び同チェアユニットのヘッドレストに被装して使用するヘッドレスト用カバーの組み合わせ品であって、
(1)前記本体用のマット状シートが、チェア本体の座部を覆う座部マット状シートと、脚もたれを覆う脚部マット状シートと、上下に2分割された背もたれを覆う上下2つの背もたれ部マット状シートとからなり、
かつ前記座部マット状シートと脚部マット状シート及び背もたれ部マット状シートそれぞれが連結手段を介して曲折可能に連結・一体化され、
さらに、前記脚部マット状シート及び上下に2分割された背もたれ部マット状シートの上部のマット状シートの裏面にはエアーにより膨張・収縮する筏状のバルーンが複数個並列に配置されてなり、
(2)また、前記ヘッドレストに被着して使用するヘッドレスト用カバーが、その下部に患者の頸椎部に当接する円筒状の頸椎部マット状シートを横設し、かつ前記頸椎部マット状シートの中心にエアーで膨張・収縮する円筒状のバルーンを内蔵してなる
ことを特徴とする歯科用チェアのマット状シート。
【0005】
[2]チェア本体に被装して使用する本体用のマット状シートが、低反発性素材でなる座部、脚部、背もたれ部マット状シートと、合成樹脂・ゴム等の伸縮性と弾力性を有する素材でなるバルーンとが、その表面をレザー・布地等の伸縮性を有するカバーで被覆されてなり、
またヘッドレストに装着して使用されるヘッドレスト用カバーが、低反発性素材でなり、かつ下部に横設された低反発性素材の頸椎部マット状シートの中心に内蔵されたバルーンが合成樹脂・ゴム等の伸縮性と弾力性を有する素材でなる
ことを特徴とする前項[1]に記載の歯科用チェアのマット状シート。
【0006】
[3]前記上下に2分割された背もたれ部マット状シートの下部のマット状シートの左右両端に、チェア本体に着脱自在に繋止するための留め具を備え、また前記ヘッドレスト用カバーには、ヘッドレストに着脱自在に繋止するための留め具を備えてなることを特徴とする前項[1]又は[2]に記載の歯科用チェアのマット状シート。
【0007】
[4]チェア本体に被装して使用する本体用のマット状シートが、その脚部マット状シートを上方に折り畳んで座部マット状シートに重ね、また背もたれ部マット状シートの上部を下方に折り畳んで背もたれ部マット状シートの下部に重ね、さらに座部マット状シート上に重ねられた脚部マットシートのバルーン、及び背もたれ部マット状シート下部に重ねられた背もたれ部マット状シート上部のバルーンにエアーを注入し膨張させ、座部及び背もたれ下部のシートの厚みを増大して、歯科用チェアを小児や高齢者等身長・座高の低い患者にも有効に適応できるようにしてなることを特徴とする前項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の歯科用チェアのマット状シート。
【0008】
[5]歯科用チェアユニットにおいて、チェア本体に被装して使用する本体用のマット状シート及び同チェアユニットのヘッドレストに被装して使用するヘッドレスト用カバーの組み合わせ品であり、
(1)前記本体用のマット状シートが、チェア本体の座部を覆う座部マット状シートと、脚もたれを覆う脚部マット状シートと、上下に2分割された背もたれを覆う上下2つの背もたれ部マット状シートとからなり、
かつ前記座部マット状シートと脚部マット状シート及び背もたれ部マット状シートそれぞれが連結手段を介して曲折可能に連結・一体化され、
さらに、前記脚部マット状シート及び上下に2分割された背もたれ部マット状シートの上部のマット状シートの裏面にはエアーにより膨張・収縮する筏状のバルーンが複数個並列に配置されてなり、
(2)また、前記ヘッドレストに被着して使用するヘッドレスト用カバーが、その下部に患者の頸椎部に当接する円筒状の頸椎部マット状シートを横設し、かつ前記頸椎部マット状シートの中心にエアーで膨張・収縮する円筒状のバルーンを内蔵してなる
歯科用チェアのマット状シートを被装してなることを特徴とする歯科用チェアユニット。
【0009】
[6]チェア本体に被装して使用する本体用のマット状シートが、低反発性素材でなる座部、脚部、背もたれ部マット状シートと、合成樹脂・ゴム等の伸縮性と弾力性を有する素材でなるバルーンとが、その表面をレザー・布地等の伸縮性を有するカバーで被覆されてなり、
またヘッドレストに装着して使用されるヘッドレスト用カバーが、低反発性素材でなり、かつ下部に横設された低反発性素材の頸椎部マット状シートの中心に内蔵されたバルーンが合成樹脂・ゴム等の伸縮性と弾力性を有する素材でなる
歯科用チェアのマット状シートを被装してなることを特徴とする前項[5]に記載の歯科用チェアユニット。
【0010】
[7]前記上下に2分割された背もたれ部マット状シートの下部のマット状シートの左右両端に、チェア本体に着脱自在に繋止するための留め具を備え、また前記ヘッドレスト用カバーには、ヘッドレストに着脱自在に繋止するための留め具を備えてなる歯科用チェアのマット状シートを被装されてなることを特徴とする前項[5]又は[6]に記載の歯科用チェアユニット
【0011】
[8]チェア本体に被装して使用する本体用のマット状シートが、その脚部マット状シートを上方に折り畳んで座部マット状シートに重ねられ、また背もたれ部マット状シートの上部を下方に折り畳んで背もたれ部マット状シートの下部に重ねられ、さらに座部マット状シート上に重ねられた脚部マットシートのバルーン、及び背もたれ部マット状シート下部に重ねられた背もたれ部マット状シート上部のバルーンにエアーを注入して膨張させ、座部及び背もたれ下部のシートの厚みを増大して、歯科用チェアを小児や高齢者等身長・座高の低い患者にも有効に適応できるようにしてなることを特徴とする前項[5]〜[7]のいずれか1項に記載の歯科用チェアユニット。
【発明の効果】
【0012】
本発明の歯科用チェアのマット状シート、及び歯科用チェアのマット状シートを被装した歯科用チェアユニットによれば、下記の効果が発揮できる。
〈1〉チェア本体に被装して使用する本体用のマット状シートが、チェア本体の座部を覆う座部マット状シートと、脚もたれを覆う脚部マット状シートと、上下に2分割された背もたれを覆う上下2つの背もたれ部マット状シートとからなり、かつ前記座部マット状シートと脚部マット状シート及び背もたれ部マット状シートそれぞれが連結手段を介して曲折可能に連結・一体化され、さらに、前記脚部マット状シート及び上下に2分割された背もたれ部マット状シートの上部のマット状シートの裏面にはエアーにより膨張・収縮する筏状のバルーンが複数個並列に配置されてなり、また、前記ヘッドレストに被着して使用するヘッドレスト用カバーが、その下部に患者の頸椎部に当接する円筒状の頸椎部マット状シートを横設し、かつ前記頸椎部マット状シートの中心にエアーで膨張・収縮する円筒状のバルーンを内蔵してなるので、前記マット状シートのチェア本体への被装及びヘッドレストの患者頭部への当接を調整して、一般成人患者に適応させるとともに、前記マット状シートの一部を折り畳んで座部及び背もたれ部の厚みを増大して、身長が低くかつ座高も低い、小児や、高齢の患者に対しても有効に対応する歯科用チェアユニットを構成することができる。
【0013】
〈2〉チェア本体に被装して使用する本体用のマット状シートが、低反発性素材でなる座部、脚部、背もたれ部マット状シートと、合成樹脂・ゴム等の伸縮性と弾力性を有する素材でなるバルーンとが、その表面をレザー・布地等の伸縮性を有するカバーで被覆されてなり、またヘッドレストに装着して使用されるヘッドレスト用カバーが、低反発性素材でなり、かつ下部に横設された低反発性素材の頸椎部マット状シートの中心に内蔵されたバルーンが合成樹脂・ゴム等の伸縮性と弾力性を有する素材でなるため、患者の身体の各部にフィットする快適な歯科用チェアのマット状シートを備えた歯科用チェアユニットを提供することができる。
【0014】
[3]前記上下に2分割された背もたれ部マット状シートの下部のマット状シートの左右両端に、チェア本体に着脱自在に繋止するための留め具を備え、また前記ヘッドレスト用カバーには、ヘッドレストに着脱自在に繋止するための留め具を備えてなるため、取り付け、取り外しが容易であり清掃性のよい歯科用チェアのマット状シートを提供でき、歯科用チェアユニットの清潔さが維持できる。
【0015】
〈4〉チェア本体に被装して使用する本体用のマット状シートが、その脚部マット状シートを上方に折り畳んで座部マット状シートに重ねられ、また背もたれ部マット状シートの上部を下方に折り畳んで背もたれ部マット状シートの下部に重ねられ、さらに座部マット状シート上に重ねられた脚部マットシートのバルーン、及び背もたれ部マット状シート下部に重ねられた背もたれ部マット状シート上部のバルーンにエアーを注入して膨張させ、座部及び背もたれ下部のシートの厚みを増大して使用できるので、身長が低く座高も低い小児や高齢者等の患者が仰臥姿勢で診療を受ける際、患者の臥位が安定するとともに、背もたれ部マット状シートの2分割された下部の上端部を極く身長が低い患者のヘッドレストとして使用することができ、また、ヘッドレスト用カバーの下部に横設されてなる頸椎部レストがヘッドレスト本体の上下移動に連動して上下できるのでこれを背もたれ下部シートの上端部にくるようにセットすることにより、背の低い患者のヘッドレストとして使用することもできる。したがって、前記幼児や児童、高齢者等、低身長の患者の中に存在する身長差のばらつきにも対応できる。
【0016】
〈6〉歯科用チェアユニットのスッピトンは、その基部がチェアユニットの台座に連結されており座部と連動して上下するため、座部の上下によって患者とスッピトンとの位置関係は調整できないが、本願発明では、例えば、臥位姿勢の前記低身長の患者にうがいをさせるために背もたれを起すと、座部は折り畳んだエアシートによって座高が高くなっており、かつ、背もたれマット状シートも折り畳んだエアシートによって前方にせり出すため、患者はスピットンのコップ載置場所に近接するので、手を伸ばせば容易にうがいをすることができる。
また、前記低身長患者が坐位で診療を受ける場合にも同様な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下図面に基づいて、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明の歯科用チェアのマット状シート装着時の臥位の歯科用チェアユニットの外観斜視図である。
図において、1は歯科用チェアのマット状シート装着時の臥位の歯科用チェアユニット、3は本体用のマット状シート、4は背面基板、5はチェアユニット本体のマット状シート、6は足置き台、7は脚部マット状シートの筏状バルーン、8はエア注入・排出口、9は脚部マット状シート、10は座部マット状シート、11は背もたれ下部のマット状シート、12は背もたれ上部のマット状シート、13は背もたれ上部マット状シートの筏状バルーン、14はスピットン、15はうがい用コップ、16は注水口、17はライト用ポール、18はハンドレスト、19は台座、20はテーブル用アーム、21は留め具、24はヘッドレスト用カバー、25は頸椎部マット状シート、26は頸椎部マット状シートのバルーン、27、28、29は連結部を示す。
【0018】
図1に示すように、歯科用チェアユニットを臥位にセットしたとき、
チェア本体の上面は後記本体用のマット状シート3で、またヘッドレストは低反発性のヘッドレスト用カバー24で被覆される。
前記チェアの上面を覆う本体用のマット状シート3は、チェア本体の座部を覆う座部マット状シート10と、脚もたれを覆う脚部マット状シート9と、上下に2分割された背もたれを覆う上下2つの背もたれ部マット状シート11、12とからなり、かつ前記座部マット状シート10と脚部マット状シート9及び背もたれ部マット状シート11、12それぞれが連結手段27、28、29を介して曲折可能に連結・一体化されている。
さらに、前記脚部マット状シート9及び上下に2分割された背もたれ部マット状シートの上部のマット状シート12の裏面には、エアにより膨張・収縮する複数個のバルーンが並列に配置され、かつ一体化され、エア注入・排出口8を有する脚部マット状シートの筏状(後記)バルーン7と背もたれ上部のマット状シートの筏状バルーン13とがそれぞれ配設されている。
また、前記上下方向に移動可能なヘッドレストに被着して使用するヘッドレスト用カバー24が、その下部に患者の頸椎部に当接する円筒状の頸椎部マット状シート25を横設し、かつ前記頸椎部マット状シート25の中心にエア注入・排出口8を有し、エアーで膨張・収縮する円筒状のバルーン26を内蔵している。
【0019】
そして、前記の座部マット状シート10と、脚部マット状シート9と、背もたれ部下部のマット状シート11と、背もたれ部上部のマット状シート12及びヘッドレスト用カバー24には、低反発性素材が使用されており、患者に当接した際に快適にフィットするようになっている。
また、脚部マット状シートの筏状バルーン7と、背もたれ部上部のマット状シートの筏状バルーン13及び頸椎部バルーン26は、合成樹脂・ゴム等の伸縮性と弾力性を有する素材が使用され、エアによる膨張時にはエアの充満により固目となる。
いずれもその表面はレザーや布等伸縮性を有する素材で被覆されている。したがって、膨張させない時には薄く、隣接する座部マット状シート10及び背もたれ部下部のマット状シート11との厚さを揃えることができる。
前記脚部マット状シートの筏状バルーン7と背もたれ上部のマット状シートの筏状バルーン13は、複数個の細長いバルーンが筏状に並列に配置されており(図3)、膨張時、大きな面積をほぼ同一の高さにすることができ、当接したときにも違和感が無く自然である。
さらに、エア注入・排出口8は1個で前記複数個のバルーンに均一にエアが配分されるようにしている。
そして、ヘッドレスト用カバー24の下部に横設され中心部に円筒状のバルーン26を内蔵した頸椎部マット状シート25を備えている。
前記によって、チェア本体の全体を覆うマット状シートの被装や、ヘッドレストの位置を患者に応じて調整して、一般成人患者に適用させるとともに、前記チェア本体に被装した歯科用チェアのマット状シート3の一部を折り畳んでセットし(後記)身長が低くかつ座高も低い、小児や、高齢の患者に対しても有効に使用することができる。
【0020】
前記本体用のマット状シート3の背もたれ部下部のマット状シート11の左右両端には、本体用のマット状シート3をチェア本体に繋止する留め具21が配設されており、この留め具21は、例えば面ファスナーを先端部に備えたバンド等着脱自在にセットできるものであればよい。
また、後記ヘッドレスト用カバー24にも、ヘッドレスト本体に着脱自在に繋止する留め具(後記図7)を備えている。
【0021】
図2は本体用のマット状シート3及びヘッドレスト用カバーの外観斜視図である。
前記図1は本図の本体用のマット状シート3及びヘッドレスト用カバー24を、歯科用チェアユニットに被装した場合を示したものである。
図において、22、23は折り曲げ方向を示す。
次ぎに、小児、高齢者等の、身長が低く座高も低い患者が仰臥姿勢(臥位)で診療を受ける際のセットについて説明する。
【0022】
図3は図2の本体用マット状シート3を折り畳んでセットした外観斜視図である。
図において、34は折り畳んだ状態の本体用マット状シート、35は脚部マット状シート9を座部マット状シート10に重ねた状態の合成座部、36は背もたれ部の上部マット状シート11を下部マット状シート12に重ねた状態の合成背もたれ部を示す。
前記脚部マット状シート9の裏面及び背もたれ部上部マット状シート12の裏面に配設された、脚部マット状シートの筏状バルーン7と、背もたれ部上部マット状シートの筏状バルーン13が上面にくるように、前記脚部マット状シート9を折り曲げ方向22(図2参照)のように上方に折り曲げて座部マット状シート10に重ね、また、前記背もたれ部上部マット状シート12を折り曲げ方向23(図2参照)のように下方に折り曲げて、背もたれ下部マット状シート11に重ねる。
その後、前記脚部マット状シートの筏状バルーン7及び背もたれ部上部マット状シートの筏状バルーン13の各エア注入・排出口8からエアを注入して膨張させて、厚さを厚くした合成座部35及び合成背もたれ部36とを形成させる。
前述したように、バルーンは筏状に配設されておりその表面は平面的であるため、患者の臥位を安定させるとともに、前記合成背もたれ部36の上端部は、身長が極く低い患者のヘッドレストとして使用することができる。
一方、前記ヘッドレストの下部に横設されている頸椎部マット状シート25は、ヘッドレスト本体の上下移動に連動するため、前記合成背もたれ下部マット状シート36の上端部にくるようにセットすることにより、身長の低い患者のヘッドレストとして使用することができる。
したがって、幼児、児童等の小児、高齢者等の身長差に合わせて調整セットすることが可能である。
【0023】
図4は、歯科用チェアユニットが坐位の時の本体用マット状シート及びヘッドレスト用カバーの外観斜視図である。なお歯科用チェアユニットは省略してある。
本図は成人の一般患者に適用するもので、坐位に合わせて折り曲げられた座部マット状シート10と、脚部マット状シート9、背もたれ部下部マット状シート11及び背もたれ部上部マット状シート12、並びにヘッドレスト用カバー24と、頸椎部マット状シート25は、それぞれ患者の部位に当接しフィットする。
なお、ヘッドレストの位置及び頸椎部マット状シート25の頸椎部バルーン26は患者に合わせて調整されているものとする。
また、この位置は診療中に患者がうがいをする位置である。
【0024】
次ぎに、小児、高齢者等の、身長が低く座高も低い患者が立位で診療を受けるあるいは、うがいをする際のセットについて説明する。
図5は図4の本体用マット状シート3を折り畳んでセットした外観斜視図である。
図において、34は折り畳んだ状態の本体用マット状シート、35は合成座部、36は合成背もたれ部を示す。
本体用マット状シート3の折り畳みは前述したように、脚部マット状シート9の裏面に配設された脚部筏状バルーン7と、背もたれ部上部マット状シート12の裏面に配設された背もたれ部上部筏状バルーン13とが上面にくるように、前記脚部マット状シート9を折り曲げ方向22(図4)のように上方に折り曲げて座部マット状シート10に重ね、また、前記背もたれ部上部マット状シート12を折り曲げ方向23(図4)のように下方に折り曲げて、背もたれ下部マット状シート11に重ねる。
なお、この時、座部と背もたれは、ほぼ直角をなしているものとする。
その後、前記脚部マット状シートの筏状バルーン7及び背もたれ部上部マット状シートの筏状バルーン13の各エア注入・排出口8からエアを注入して膨張させて、厚さを厚くした合成座部35と合成背もたれ部36とを形成させる。
前述したように、バルーンは筏状に配設されておりその表面は平面的であるため、患者の立位を安定させるとともに、前記合成背もたれ下部マット状シート36の上端部は、身長が極く低い患者のヘッドレストとして使用することができる。
一方、前記ヘッドレスト用カバー24の下部に着設されている頸椎部マット状シート25は、ヘッドレスト本体の上下移動に連動するため、前記合成背もたれ下部マット状シート36の上端部にくるようにセットすることにより、身長の低い患者のヘッドレストとして使用することができる。
【0025】
図6は、折り畳んだ本体用マット状シート3装着時の坐位の歯科用チェアユニットの外観斜視図である。
図において、2は折り畳んだ本体用マット状シート3を被装した時の坐位の歯科用チェアユニットを示す。
図示したように、座部は前記合成座部35となって高くなっており、かつ背もたれ部は前記合成背もたれ部26となって前方にせり出しているため、患者の姿勢はスピットン14のコップ15の戴置場所に近接し、背が低くても手を伸ばして容易にうがいをすることができる。
さらに、本件においては、坐位のみでなく、臥位(図1)での診療中の状態で本体の背もたれを起すと、前記のように、座部は合成座部35となって高くり、かつ背もたれ部は合成背もたれ36となって前方にせり出すため、患者の姿勢はスピットン14のコップ15の載置場所に近接し、コップ15に手を伸ばして容易にうがいをすることができる。
なお、通常スッピトン14は、その基部が座部を昇降させる台座19に連結されており座部の上下に連動するため、単に座部を上下させても患者との位置関係の調整はできない。
【0026】
図7はヘッドレスト用カバー及び頸椎部マット状シートの外観図で、
(イ)は平面図、(ロ)は左側面図、(ハ)は正面図、(ニ)は背面図である。
図において、30は接合部、31は折り代、32は伸縮紐、33は留め具を示す。
ヘッドレスト用カバー24は本体のヘッドレストの形状に合わせて、中央部が図7(イ)図のように後方に湾曲している。
そして、その後部の周囲には、留め具33が接合部30において接合されている。該留め具33は折り代31を持つ例えば布製の開口部を有するカバーで、
カバー開口部先端の周囲には伸縮紐32が取り付けられており、このカバーを開いて本体のヘッドレストの前面から被せ、後面において前記伸縮紐32の弾力で
被着する。したがって着脱は容易である。
また、前記ヘッドレスト用カバー24の下部に横設された頸椎部マット状シート25は、中心部に円筒状のバルーン26を内蔵し、その外周を前記低反発素材で包んで、円筒状をなしたものである。
そして、前記バルーン26にエア注入・排出口8から注入するエア量を加減すれば、個々の患者に適した大きさの頸椎部用マット状シート25とすることができる。
なお、エアはチェアの本体に常設されているので、他のバルーンとも、容易に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の歯科用チェアのマット状シート装着時の臥位の歯科用チェアユニットの外観斜視図
【図2】本体用のマット状シート及びヘッドレスト用カバーの外観斜視図
【図3】図2の本体用マット状シートを折り畳んでセットした外観斜視図
【図4】歯科用チェアユニットが坐位の時の本体用マット状シート及びヘッドレスト用カバーの外観斜視図
【図5】図4の本体用マット状シートを折り畳んでセットした外観斜視図
【図6】折り畳んだ本体用マット状シート装着時の坐位の歯科用チェアユニットの外観斜視図
【図7】ヘッドレスト用カバー及び頸椎部マット状シートの外観図
【符号の説明】
【0028】
1:マット状シート装着時の臥位の歯科用チェアのマット状シート
2:折り畳んだチェアのマット状シート装着時の立位の歯科用チェアのマット状シート
3:チェア本体のマット状シート
4:背面基板
6:足置き台
7:脚部マット状シートバルーン
8:エア注入・排出口
9:脚部マット状シート
10:座部マット状シート
11:背もたれ下部のマット状シート
12:背もたれ上部のマット状シート
13:背もたれ上部のマット状シートバルーン
14:スピットン
15:うがい用コップ
16:注水口
17:ライト用ポール
18:ハンドレスト
19:台座
20:テーブル用アーム
21:留め具
22、23:折り曲げ方向
24:ヘッドレスト用カバー
25:頸椎部用マット状シート
26:頸椎部バルーン
27、28、29:連結部
30:接合部
31:折り代
32:伸縮紐
33:留め具
34:折り畳んだ状態のチェアマット状シート
35:合成座部マット状シート
36:合成背もたれ下部マット状シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用チェアユニットのチェア本体に被装して使用する本体用のマット状シート及び同チェアユニットのヘッドレストに被装して使用するヘッドレスト用カバーの組み合わせ品であって、
(1)前記本体用のマット状シートが、チェア本体の座部を覆う座部マット状シートと、脚もたれを覆う脚部マット状シートと、上下に2分割された背もたれを覆う上下2つの背もたれ部マット状シートとからなり、
かつ前記座部マット状シートと脚部マット状シート及び背もたれ部マット状シートそれぞれが連結手段を介して曲折可能に連結・一体化され、
さらに、前記脚部マット状シート及び上下に2分割された背もたれ部マット状シートの上部のマット状シートの裏面にはエアーにより膨張・収縮する筏状のバルーンが複数個並列に配置されてなり、
(2)また、前記ヘッドレストに被着して使用するヘッドレスト用カバーが、その下部に患者の頸椎部に当接する円筒状の頸椎部マット状シートを横設し、かつ前記頸椎部マット状シートの中心にエアーで膨張・収縮する円筒状のバルーンを内蔵してなる
ことを特徴とする歯科用チェアのマット状シート。
【請求項2】
チェア本体に被装して使用する本体用のマット状シートが、低反発性素材でなる座部、脚部、背もたれ部マット状シートと、合成樹脂・ゴム等の伸縮性と弾力性を有する素材でなるバルーンとが、その表面をレザー・布地等の伸縮性を有するカバーで被覆されてなり、
またヘッドレストに装着して使用されるヘッドレスト用カバーが、低反発性素材でなり、かつ下部に横設された低反発性素材の頸椎部マット状シートの中心に内蔵されたバルーンが合成樹脂・ゴム等の伸縮性と弾力性を有する素材でなる
ことを特徴とする請求項1に記載の歯科用チェアのマット状シート。
【請求項3】
前記上下に2分割された背もたれ部マット状シートの下部のマット状シートの左右両端に、チェア本体に着脱自在に繋止するための留め具を備え、また前記ヘッドレスト用カバーには、ヘッドレストに着脱自在に繋止するための留め具を備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯科用チェアのマット状シート。
【請求項4】
チェア本体に被装して使用する本体用のマット状シートが、その脚部マット状シートを上方に折り畳んで座部マット状シートに重ね、また背もたれ部マット状シートの上部を下方に折り畳んで背もたれ部マット状シートの下部に重ね、さらに座部マット状シート上に重ねられた脚部マットシートのバルーン、及び背もたれ部マット状シート下部に重ねられた背もたれ部マット状シート上部のバルーンにエアーを注入し膨張させ、座部及び背もたれ下部のシートの厚みを増大して、歯科用チェアを小児や高齢者等身長・座高の低い患者にも有効に適応できるようにしてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科用チェアのマット状シート。
【請求項5】
歯科用チェアユニットにおいて、チェア本体に被装して使用する本体用のマット状シート及び同チェアユニットのヘッドレストに被装して使用するヘッドレスト用カバーの組み合わせ品であり、
(1)前記本体用のマット状シートが、チェア本体の座部を覆う座部マット状シートと、脚もたれを覆う脚部マット状シートと、上下に2分割された背もたれを覆う上下2つの背もたれ部マット状シートとからなり、
かつ前記座部マット状シートと脚部マット状シート及び背もたれ部マット状シートそれぞれが連結手段を介して曲折可能に連結・一体化され、
さらに、前記脚部マット状シート及び上下に2分割された背もたれ部マット状シートの上部のマット状シートの裏面にはエアーにより膨張・収縮する筏状のバルーンが複数個並列に配置されてなり、
(2)また、前記ヘッドレストに被着して使用するヘッドレスト用カバーが、その下部に患者の頸椎部に当接する円筒状の頸椎部マット状シートを横設し、かつ前記頸椎部マット状シートの中心にエアーで膨張・収縮する円筒状のバルーンを内蔵してなる
歯科用チェアのマット状シートを被装してなることを特徴とする歯科用チェアユニット。
【請求項6】
チェア本体に被装して使用する本体用のマット状シートが、低反発性素材でなる座部、脚部、背もたれ部マット状シートと、合成樹脂・ゴム等の伸縮性と弾力性を有する素材でなるバルーンとが、その表面をレザー・布地等の伸縮性を有するカバーで被覆されてなり、
またヘッドレストに装着して使用されるヘッドレスト用カバーが、低反発性素材でなり、かつ下部に横設された低反発性素材の頸椎部マット状シートの中心に内蔵されたバルーンが合成樹脂・ゴム等の伸縮性と弾力性を有する素材でなる
歯科用チェアのマット状シートを被装してなることを特徴とする請求項5に記載の歯科用チェアユニット。
【請求項7】
前記上下に2分割された背もたれ部マット状シートの下部のマット状シートの左右両端に、チェア本体に着脱自在に繋止するための留め具を備え、また前記ヘッドレスト用カバーには、ヘッドレストに着脱自在に繋止するための留め具を備えてなる歯科用チェアのマット状シートを被装されてなることを特徴とする請求項5又は6に記載の歯科用チェアユニット。
【請求項8】
チェア本体に被装して使用する本体用のマット状シートが、その脚部マット状シートを上方に折り畳んで座部マット状シートに重ねられ、また背もたれ部マット状シートの上部を下方に折り畳んで背もたれ部マット状シートの下部に重ねられ、さらに座部マット状シート上に重ねられた脚部マットシートのバルーン、及び背もたれ部マット状シート下部に重ねられた背もたれ部マット状シート上部のバルーンにエアーを注入して膨張させ、座部及び背もたれ下部のシートの厚みを増大して、歯科用チェアを小児や高齢者等身長・座高の低い患者にも有効に適応できるようにしてなることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の歯科用チェアユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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