説明

歯科用デジタルX線撮影装置

【課題】 この発明は、X線照射条件の設定が容易にして、正確な画像が得られる歯科用デジタルX線撮影装置を提供する。
【解決手段】 この発明の歯科用デジタルX線撮影装置は、X線発生器21と、X線発生器21を取り付けた自在アーム22と、X線発生器の照射時間や出力を制御する装置本体制御装置20とを備えるX線撮影装置本体2と、X線像を検出するためのX線撮影用検出器3と、X線撮影用検出器3からの信号が与えられるコンピュータ装置5と、を備え、コンピュータ装置5と装置本体制御装置20とが通信ケーブル4で接続され、コンピュータ装置5から撮影する部位に応じた撮影条件を装置本体制御装置20へ送出し、装置本体制御装置20は、受け取った撮影条件に基づきX線発生器21の照射時間、出力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、口内法歯科X線撮影法によって撮影する歯科用デジタルX線撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯科における一般的なデジタルX線撮影方法は、CCDセンサなどのイメージングデバイスを口腔内に設定するか、口腔外に設定するかによって口内法と口外法とに大別される。
【0003】
口内法は、歯及び歯周組織の鮮明なX線画像を得るための方法で、最も活用されるのはデンタル撮影と呼ばれる撮影法である。
【0004】
従来、デンタル撮影では、41×31mm程度の小さなX線フィルムを用い、歯が実際の長さと略同じになるようにし、しかも隣接する歯が重ならないように撮影が行われる。
【0005】
X線フィルムの代わりに、CCDセンサやイメージングプレートを用いたデジタルX線撮影装置が普及している。CCDセンサは、入射X線により生じた電荷を、半導体表面に沿って転送していく素子で、センサ部と走査部を一体とした固体撮像素子である。そして、CCDセンサ部からの信号は、ケーブルを介して外部のパーソナルコンピュータに与えられ、パーソナルコンピュータで画像化され、モニタ等にX線画像が表示されるものである。
【0006】
イメージングプレートは、ポリエステルのベースの上にバリウムフロロハライド化合物の結晶を塗布したものである。X線が入射すると電子が結晶中に形成されていたハロゲンイオンFのホールに捕獲され、準安定状態の色中心(F中心)が形成され、X線エネルギーが画像情報としてアナログ的に蓄積される。そして、撮影後に、この色中心に二次励起光(読取り光)のレーザー光をスポット照射すると、励起されてエネルギーが放出され、そのスポットに記憶されていたX線量を、光量センサで測定することができ、その信号をデジタル量に変換してデジタル画像を得るものである。
【0007】
CCDセンサをデンタル撮影に用いたデジタルX線撮影装置としては、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−312805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
X線撮影装置は、撮影する部位や大人、子供の違いにより、X線照射出力や照射時間等が異なる。従来のデンタル撮影に用いたデジタルX線撮影装置は、X線撮影装置本体部でX線照射出力や照射時間を設定している。
【0010】
ところで、CCDセンサは待機状態に設定した後に、X線照射を行わないと、CCDセンサから正確な情報を得ることができない。従来は、X線撮影本体部とCCDセンサとがリンクしておらず、CCDセンサが待機状態であるか否か撮影装置本体では判断できない。
【0011】
このため、誤ってCCDセンサが待機状態になっていない状態でX線照射を行ってしまうことがあり、正確な画像が得られないばかりか、CCDセンサを待機状態に設定した後に、再度X線照射を行う必要がある。このような再撮の可能性が問題として指摘されている。
【0012】
再撮は、検査時間が長くかかるばかりか、被験者への被曝量も増えるなどの問題があった。
【0013】
この発明は、上記した従来の問題点を解消するためになされたもので、X線照射条件の設定が容易で、正確な画像が得られる歯科用デジタルX線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の歯科用デジタルX線撮影装置は、X線発生器と、X線発生器を取り付けた自在アームと、前記X線発生器の照射時間や出力を制御する装置本体制御装置とを備えるX線撮影装置本体と、X線像を検出するためのX線撮影用検出器と、前記X線撮影用検出器からの信号が与えられるコンピュータ装置と、を備え、前記コンピュータ装置と装置本体制御装置とが通信線で接続され、コンピュータ装置から撮影する部位に応じた撮影条件を装置本体制御装置へ送出し、前記装置本体制御装置は、受け取った撮影条件に基づきX線発生器の照射時間、出力を制御することを特徴とする。
【0015】
前記X線撮影用検出器はCCDセンサを備え、前記コンピュータ装置は、撮影する部位に応じた撮影条件を装置本体制御装置へ送出するとともに、前記X線撮影用検出器のCCDセンサを撮影待機状態にするように制御するように構成することができる。
【0016】
また、前記X線撮影用検出器のCCDセンサを撮影待機状態であることを前記装置本体制御装置へ通知し、撮影待機状態の時に、前記X線発生器からX線が照射されるように構成すればよい。
【0017】
また、前記コンピュータ装置は、種々の操作データを入力する入力装置、操作画面や撮影したX線画像を表示する表示装置を備え、前記表示装置には、部位やそれに類するボタン、キーが表示され、その表示に従い前記入力装置から操作情報が与えられるように構成することができる。
【0018】
また、前記表示装置は、部位を仮選択した状態を示す表示と、部位を特定した表示とを前記入力装置からの指示により切り換えられるように構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、コンピュータ装置から撮影部位等の情報を与えるだけで、X線撮影装置本体の装置本体制御装置の撮影条件等を設定することができるので、X線撮影装置本体の操作パネルを用いた操作条件の設定が不要となり、X線照射の操作も簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明にかかるデンタルX線撮影が可能な歯科用デジタルX線撮影装置を示す模式図である。
【図2】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置の基本構成を説明するブロック図である。
【図3】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置のコンピュータ装置の表示装置に表示される画面の例を示す模式図である。
【図4】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置のコンピュータ装置の表示装置に表示される画面の例を示す模式図である。
【図5】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置のコンピュータ装置の表示装置に表示される画面の例を示す模式図である。
【図6】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置のコンピュータ装置の表示装置に表示される画面の例を示す模式図である。
【図7】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置の動作を説明するフロー図である。
【図8】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置をネットワークに構成した例を示す模式図である。
【図9】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置をネットワークに構成した他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、被験者(患者)の顎顔面をデンタル撮影する歯科用デジタルX線撮影装置の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
【0022】
図1は、この発明にかかるデンタルX線撮影が可能な歯科用デジタルX線撮影装置を示す模式図である。この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置1は、X線撮影装置本体2、X線撮影用検出器3と撮影用コンピュータ装置5を備える。X線撮影装置本体2は、装置本体制御装置20、X線発生器21とX線発生器21を取り付けた自在アーム22を備える。装置本体制御装置20は、後述するように、X線発生器21の出力、照射時間等を制御する。また、装置本体制御装置20には、操作パネル25が設けられ、この操作パネル25を用いて、撮影する部位や大人、子供の違い、X線照射出力や照射時間を設定できるように構成されている。尚、この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置1は、後述するように、撮影用コンピュータ装置5で撮影する部位、大人、子供の違い、X線照射出力や照射時間を設定するので、操作パネル25を省略することもできる。
【0023】
X線発生器21は、自在アーム22に対して上下揺動自在および水平回転自在に取り付けられ、口腔内部位に向けてX線を照射するように、X線照射筒21dの方向が調整される。
【0024】
一方、口腔内部位を挟んでX線照射筒21dは、予め特定された口腔内部位(対象歯牙)に対して位置決めされ、口腔内部位を通過したX線強度分布、すなわち、X線像を検出するためのCCDセンサからなるX線撮影用検出器3に対して対向するように位置決めされる。
【0025】
X線撮影用検出器3の撮像面がX線照射方向に適切に向くように、被験者O自身がX線撮影用検出器3の位置決め具32を指で保持するようになっている。X線撮影用検出器3からの信号は、ケーブル31を介してパーソナルコンピュータ(PC)などからなる撮影用のコンピュータ装置5に与えられ、コンピュータ装置5で画像化され、コンピュータ装置5の表示装置56にX線画像が表示される。尚、この実施形態においては、X線撮影用検出器3とコンピュータ装置5とをケーブル31で接続しているが、両者を無線で接続することも可能である。
【0026】
この発明では、X線撮影装置本体2の装置本体制御装置20とコンピュータ装置5とがRS232Cなどの通信線(通信ケーブル)4で接続され、コンピュータ装置5からの制御信号が装置本体制御装置20に与えられ、撮影部位、撮影時間、出力等が設定されるように構成されている。尚、この実施形態では、装置本体制御装置20とコンピュータ装置5とを有線の通信ケーブル4で接続しているが無線で両者を接続することも可能である。
【0027】
次に、この発明の構成につき図2を参照して更に説明する。図2は、この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置の基本構成を説明するブロック図である。装置本体制御装置20は、X線撮影装置本体2のX線発生器21のX線照射を制御するもので、操作パネル25または通信ケーブル4を介して撮影用コンピュータ装置5から送られた撮影部位等に基づく撮影時間、照射出力により、X線発生器21からX線を照射する。
【0028】
この装置本体制御装置20は、全体の動作制御を行うCPUで構成された制御ユニット200、各種信号が与えられる入出力ポート201、各種動作を制御するためのプログラム、データを格納するメモリ202を備える。更に、装置本体制御装置20は、X線発生器21を駆動制御するX線照射制御回路203、通信制御回路204が設けられている。各回路は入出力ポート201を介して制御ユニット200に接続され、制御ユニット200と間で信号データの送受が行われる。
【0029】
入出力ポート201には、種々の操作データを入力する操作パネル25が接続されている。この操作パネル25は、例えば、タッチパネルで構成され、部位やそれに類するボタン、キーが表示される。
【0030】
通信制御回路204は、撮影用のコンピュータ装置5と接続したRC232C、LANやUSB等の通信ケーブル4と接続され、コンピュータ装置5との間でデータの送受が行われる。この実施形態では、コンピュータ装置5にて種々の操作データを入力し、その操作データが通信ケーブル4を介して通信制御回路204から入出力ポート201に与えられる。そして、入出力ポート201からメモリ202、制御ユニット200に操作データが与えられ、この与えられた操作データに基づき、X線照射制御回路203等を制御ユニット200が制御し、照射時間、照射出力が制御される。
【0031】
入出力ポート201には、照射ボタン26が接続され、ドクター(歯科医師)等の撮影者が照射ボタン26を押すことにより、設定された照射条件に従って、X線発生器21からX線が照射される。
【0032】
撮影用のコンピュータ装置5は、全体の動作制御を行うCPUで構成された制御ユニット50、各種信号が与えられる入出力ポート51、各種動作を制御するための各種プログラム及び、画像データを格納するメモリ52を備える。更に、コンピュータ装置5は、装置本体制御装置20と接続するための通信制御回路54、X線撮影用検出器3に接続されたUSBやLANケーブル31と接続される通信制御回路55が設けられている。各回路は入出力ポート51を介して制御ユニット50に接続され、制御ユニット50と間で信号データの送受が行われる。
【0033】
入出力ポート51には、種々の操作データを入力するマウス、キーボードからなる入力装置57、操作画面や撮影したX線画像を表示する液晶モニタ等からなる表示装置56が接続されている。この表示装置56には、部位やそれに類するボタン、キーが表示され、その表示に従いマウス等の入力装置57から操作データが入出力ポートを介して接続される。
【0034】
通信制御回路54は、装置本体制御装置20と接続したRC232C、LANやUSB等の通信ケーブル4と接続され、装置本体制御装置20との間でデータの送受が行われる。この実施形態では、コンピュータ装置5にて種々の操作データを入力し、その操作データが通信ケーブル4を介して装置本体制御装置20の通信制御回路204から入出力ポート201に与えられる。そして、入出力ポート201からメモリ202、制御ユニット200に操作データが与えられ、この与えられた操作データに基づき、X線照射制御回路203等を制御ユニット200が制御し、照射時間、照射出力が制御される。
【0035】
通信制御回路55は、ケーブル31と接続され、このケーブル31を介してX線撮影用検出器3と通信制御回路55と間でデータの送受が行われる。X線撮影用検出器3からはX線投影画像データがコンピュータ装置5の通信制御回路55、入出力ポート51を介して制御ユニット50に与えられる。そして、画像化され、表示装置56にX線画像が表示される。また、コンピュータ装置5からは通信制御回路55を介してX線撮影用検出器3に撮影待機状態に設定するための待機命令を与える。X線撮影用検出器355は、コンピュータ装置5からの待機命令を受けるとX線撮影用検出器3のCCDセンサを撮影可能な待機状態に設定し、X線発生器21からの露光を受け得る状態となる。
【0036】
このように、この発明の歯科用デジタルX線撮影装置1は、コンピュータ装置5から撮影部位等の情報を与えて、X線撮影装置本体2の装置本体制御装置20の撮影条件等を設定する。そして、コンピュータ装置5は装置本体制御装置20に撮影部位等の情報を与えるとともに、X線撮影用検出器3に撮影待機状態に設定するための待機命令を与える。X線撮影用検出器3は、コンピュータ装置5からの待機命令を受けるとX線撮影用検出器3のCCDセンサを撮影可能な待機状態に設定し、X線発生器21からの露光を受け得る状態に設定される。
【0037】
ドクター等の撮影者が照射ボタン26を押し、X線発生器21からX線を照射する際には、X線撮影用検出器3のCCDセンサは撮影可能な待機状態になっており、正確なX線透過画像を得ることができる。この結果、再撮を未然に防ぐことができる。
【0038】
また、コンピュータ装置5から撮影部位等の情報を与えるだけで、X線撮影装置本体2の装置本体制御装置20の撮影条件等を設定することができるので、装置本体制御装置20の操作パネル25を用いた操作条件の設定が不要となり、X線照射の操作も簡略化できる。このため、この発明では、操作パネル25を省略することもできる。
【0039】
次に、この発明の動作につき、図3ないし図7に従い説明する。図3ないし図6は、コンピュータ装置5の表示装置56に表示される画面の例を示す模式図である。
【0040】
コンピュータ装置5は、撮影部位を特定する動作の状態に入ると、図3に示すように、表示画面60に、撮影部位を指定するための各歯の番号を示した模式的なアイコン61を表示する。更に、表示画面60には、X線発生器21の出力、照射時間、使用するX線撮影用検出器3の種類を示す操作状態表示アイコン62、大人か子供を区別するアイコン63、撮影終了ボタン64、撮影したX線画像を表示する表示領域65、画像編集アイコン67、撮影者の氏名表示欄66がそれぞれ表示される。
【0041】
撮影者は、この表示画面60にマウス等の入力装置57を用いて撮像部位を特定する。撮像部位を特定すると、照射時間が自動的に設定され、その時間が操作状態アイコン62に表示される。この照射時間を増減させる場合には、矢印部分をマウス等でクリックして行う。この図3の例では、出力は60kVが選択されている。また、この例では、X線撮影用検出器3として、CCDセンサを用いていることを示すために、CCDの箇所が点灯している。
【0042】
そして、撮影者が撮影する部位をマウス等の入力装置57を用いて選択すると、図4に示すように、選択した部位の歯のアイコンが点滅する。この図4の例では、左の上側の4番と6番の歯が選択されている。この点滅した状態は仮選択の状態である。
【0043】
撮影者が選択した部位が間違いなく、撮影する部位を決めると、点滅しているアイコンを更にマウス等の入力装置57を用いて選択する。この選択により、撮影される部位が特定され、その部位の照射時間等が設定される。そして、この情報が通信制御回路54から通信ケーブル4を介してX線撮影装置本体2の装置本体制御装置20に与えられる。装置本体制御装置20は、コンピュータ装置5からの撮影部位等の情報に基づく撮影条件等の情報が与えられ、装置本体制御装置20の撮影条件等が設定される。そして、コンピュータ装置5は、X線撮影用検出器3に撮影待機状態に設定するための待機命令を与える。X線撮影用検出器3は、コンピュータ装置5からの待機命令を受けるとCCDセンサを撮影可能な待機状態に設定する。この図5に示す例では、4番の歯が選択されている。選択された4番は、点滅状態から点灯状態に変化する。また、選択されていない6番は点滅状態である。
【0044】
続いて、撮影者は、口腔内部位に向けてX線を照射するように、X線照射筒21dの方向を調整する。
【0045】
一方、口腔内部位を挟んでX線照射筒21dと対向する位置に、予めX線像を検出するためのCCDセンサからなるX線撮影用検出器3が位置決めされている。そして、照射ボタン26を押すことにより、撮影部位にX線が照射されてX線像がX線撮影用検出器3に撮像され、コンピュータ装置5にその画像データが送られ、表示画面60の表示領域65に表示される。その画像データを編集した後、メモリ52に格納される。照射ボタン26を押し、X線発生器21からX線が照射されると、X線照射中であることを知らせるためにブザーが鳴動するとともにコンピュータ装置5の表示装置56にもX線照射中である旨表示する。従って、照射ボタン26を押してもブザーの鳴動等がなければ撮影者は、X線撮影装置本体2の装置本体制御装置20が条件設定されていないか、X線撮影用検出器3が待機状態になっていないかが判る。このような場合には、撮影者はコンピュータ装置5から撮影部位の特定動作をやり直してから照射ボタン26を押すことになる。
【0046】
そして、4番の歯の撮影が終わると、4番のアイコンは消灯され、6番の歯のアイコンが点滅している。そして、点滅している6番の歯のアイコンを更にマウス等の入力装置57を用いて選択する。この選択により、撮影される部位が特定され、その部位の照射時間等が設定される。そして、この情報が通信制御回路54から通信ケーブル4を介してX線撮影装置本体2の装置本体制御装置20に与えられる。装置本体制御装置20は、コンピュータ装置5からの撮影部位等の情報に基づく撮影条件等の情報が与えられ、装置本体制御装置20の撮影条件等が設定される。そして、コンピュータ装置5は、X線撮影用検出器3に撮影待機状態に設定するための待機命令を与える。X線撮影用検出器3は、コンピュータ装置5からの待機命令を受けるとCCDセンサを撮影可能な待機状態に設定する。
【0047】
続いて、撮影者は、口腔内部位に向けてX線を照射するように、X線照射筒21dの方向を調整する。
【0048】
一方、口腔内部位を挟んでX線照射筒21dと対向する位置に、予めX線像を検出するためのCCDセンサからなるX線撮影用検出器3が位置決めされている。そして、照射ボタン26を押すことにより、撮影部位にX線が照射されてX線像がX線撮影用検出器3に撮像され、コンピュータ装置5に6番の歯の画像データが送られ、表示画面60の表示領域65に表示される。その画像データを編集した後、メモリ52に格納される。このようにして、複数の部位が選択されている場合は、特定した歯のX線画像を逐次得ることができる。
【0049】
図6は、CCD待機状態の制限時間を示すインジケータ68を表示画面60に表示するように構成したものである。この待機状態の制限状態はCCDセンサ保護のために設定されている。この例では、180秒であるが、CCDセンサの種類によりその時間は前後する。そして、撮影部位を設定して、CCDセンサを待機状態とすると、このインジケータ68の表示が開始する。この例では、180秒であり、この時間内に撮影者は、照射ボタン26を押して撮影する。制限時間が経過すると、照射ボタン26を押しても照射は開始せず、再度設定を行うことになる。
【0050】
次に、この発明の動作につき、図7の動作フローに従い説明する。まず、撮影者がコンピュータ装置5の表示画面60を参照して、撮影部位をマウス等の入力装置57を用いて選択すると(ステップS1)、制御ユニット50はその選択情報に基づき、表示画面の該当する撮影部位の歯のアイコンを点滅させる(ステップS2)。
【0051】
続いて、撮影部位をマウス等の入力装置57を用いて特定すると、制御ユニット50は、表示画面の該当する撮影部位の歯のアイコンを点滅状態から点灯状態に変更させる(ステップS3)。
【0052】
その後、コンピュータ装置5から特定した撮影部位に応じた撮影条件等の情報を通信ケーブル4からX線撮影装置本体2の装置本体制御部20に送る。さらに、コンピュータ装置5はX線撮影装置本体2の装置本体制御部20にX線撮影用検出器3に撮影待機状態にする待機命令を出すことを通知する(ステップS4)。装置本体制御部20は、この通知により、X線撮影用検出器3が撮影待機状態にされたことを認識することができる。
【0053】
続いて、コンピュータ装置5の制御ユニット50は、X線撮影用検出器3に撮影待機状態に設定するための待機命令を与える(ステップS5)。X線撮影用検出器3は、パーソナルコンピュータ5からの待機命令を受けるとX線撮影用検出器3のCCDセンサを撮影可能な待機状態に設定する。
【0054】
X線撮影装置本体2側の装置本体制御装置20では、コンピュータ装置5からの送信があったか否か判断する(ステップS11)。コンピュータ装置5からの送信がない場合には、ステップS14に進み、照射ボタン26か押されたか否か判断する。
【0055】
一方、コンピュータ装置5からの送信があると、装置本体制御装置20は受信した部位情報に基づく制御データにより、出力、撮影時間を設定する(ステップS12)。そして、装置本体制御装置20は、出力、撮影時間等の撮影条件のセットが終わるとX線の照射が可能として照射OKフラグをセットする(ステップS13)。
【0056】
照射ボタン26が押されると、照射OKフラグがセットされているか否か判断され(ステップS15)、照射OKフラグがセットされていない場合には、X線照射はされずに、ステップS11に戻り、コンピュータ装置5からの部位情報の送信を待つ。また、後述するように、X線が照射中はブザーが鳴動するので、照射ボタン26を押してもブザーの鳴動等がなければ撮影者は、X線撮影装置本体2の装置本体制御装置20が条件設定されていないか、X線撮影用検出器3が待機状態になっていないかが判る。
【0057】
一方、照射OKフラグがセットされていると、X線照射を行う(ステップS16)。続いて、ブザーを鳴動させるとともにX線が照射中であることが判るようにランプを点灯させる(ステップS17)。また、X線照射されると、コンピュータ装置5に照射中であることを知らせる情報が通信ケーブル4から与えられ、コンピュータ装置5の表示装置56にX線照射中であることを表示させる(ステップS6)。尚、X線照射が終了するとX線照射中の表示は消される。そして、X線照射により、撮影部位にX線が照射されてX線像がX線撮影用検出器3に撮像され、コンピュータ装置5にその画像データが送られる。コンピュータ装置5側では、送られてきた画像データを取得し(ステップS7)、画像データを編集した後、メモリ52に保存画面を格納し(ステップS8)、動作を終了する。
【0058】
X線撮影装置本体2側では、X線の照射が終了すると、ブザーの停止、ランプの消灯など撮影の動作を停止し(ステップS18)、動作を終了する。
【0059】
上記した実施形態は、コンピュータ装置5とX線撮影装置本体2とが1対1に対応する例を示しているが、図8に示すように、第1チェアユニット121、第2チェアユニット122、第3チェアユニット123と複数の診療チェアを備え、診療チェアのそばにチェア用コンピュータ装置111、112、113を備え、このコンピュータ装置111、112、113により、部位の選択を行い、その選択をネットワーク100で接続した撮影用コンピュータ装置5に与え、部位の最終特定は撮影用コンピュータ装置5で行うように構成できる。
【0060】
すなわち、図8に示すように、このネットワークシステムは、診療室に、複数のチェアユニット121、122、123を備える。各チェアユニット121…は、歯科診療のための診療椅子、照明装置、うがいスタンド、診療器具等を載置するためのテーブル等を備える。そして、各チェアユニット121…ごとに、チェア用コンピュータ装置111…が設置されている。チェア用コンピュータ装置111…は、患者の電子カルテやX線画像等を表示画面(モニター)に表示して、ドクター(歯科医師)が操作して診療状況・診療方法等を患者に説明する。それぞれのチェアユニット121…には、受付係やドクター等が識別・管理できるように、例えば1番チェア、2番チェア、3番チェア、・・・のようにチェア番号が設定されている。
【0061】
また、このネットワークシステムは、レントゲン室130に、X線撮影装置本体2とレントゲン室130の外のレントゲン室130近傍に撮影用コンピュータ装置5が設置されている。また、照射スイッチ26もレントゲン室130の外に配置されている。撮影用コンピュータ装置5は、撮影条件を設定する。また、コンピュータ装置5はX線撮影装置本体2のX線発生器21から照射されX線撮影用検出器(図示せず)で検出したX線画像が与えられ、X線画像として表示すると共に、これらX線画像を患者ごとに管理・整理する。さらに、このネットワークシステムは、記憶装置101を備えており、記憶装置101には、患者ごとの電子カルテやX線画像等が記憶される。なお、記憶装置101は、撮影用コンピュータ装置5等に搭載してもよい。
【0062】
このネットワークシステムにおいて、チェア用コンピュータ装置111…、撮影用コンピュータ装置5及び記憶装置101は、LANに接続されている。そして、このLANを介して、各コンピュータ装置5、111、112、113及び記憶装置101は、それぞれの所定の信号及びデータ等を送受信できるようになっている。
【0063】
このようなシステムにおいて、チェア用コンピュータ装置111…からも部位の選択を行うことができる、チェア用コンピュータ装置111…から部位の選択を行うと、撮影用コンピュータ装置5の表示画面60には、選択された部位が点滅する図4に示す状態となる。撮影者は、被験者Oをレントゲン室130に呼ぶとともに、チェア用コンピュータ装置111…で選択した部位を撮影用コンピュータ装置5で特定し、その部位に応じた条件を装置本体制御装置20に送り、その撮影条件に設定すると共に、X線撮影用検出器3のCCDセンサを待機状態にする。その後、レントゲン室130に入室した被験者Oの口腔内部位に向けてX線を照射するように、X線照射筒の方向を調整する。
【0064】
一方、口腔内部位を挟んでX線照射筒と対向する位置に、予めX線像を検出するためのCCDセンサからなるX線撮影用検出器が位置決めされている。そして、照射ボタン26を押すことにより、撮影部位にX線が照射されてX線像がX線撮影用検出器に撮像され、コンピュータ装置5に歯の画像データが送られる。その画像データを編集した後、記憶装置101に格納される。
【0065】
図9は、更に、受け付け用コンピュータ装置120を備えたシステムである。このネットワークシステムは、来訪患者を受付ける受付スペースに、受付用コンピュータ装置120が設置されている。受付用コンピュータ装置120は、主に受付担当者や歯科衛生士等が操作して、来訪した患者の管理・整理等を行う。また、この受付用コンピュータ装置120においてもドクターが用いて、チェア用コンピュータ装置111…と同様に部位の選択を行うように構成することができる、受付用コンピュータ装置120から部位の選択を行うと、撮影用コンピュータ装置5の表示画面60には、選択された部位が点滅する図4に示す状態となる。撮影者は、被験者Oをレントゲン室130に呼ぶとともに、受付用コンピュータ装置120で選択した部位を撮影用コンピュータ装置5で特定し、その部位に応じた条件を装置本体制御装置20に送り、その撮影条件に設定すると共に、X線撮影用検出器3のCCDセンサを待機状態にする。その後、レントゲン室130に入室した被験者Oの口腔内部位に向けてX線を照射するように、X線照射筒の方向を調整する。
【0066】
一方、口腔内部位を挟んでX線照射筒と対向する位置に、予めX線像を検出するためのCCDセンサからなるX線撮影用検出器が位置決めされている。そして、照射ボタン26を押すことにより、撮影部位にX線が照射されてX線像がX線撮影用検出器に撮像され、コンピュータ装置5に歯の画像データが送られる。その画像データを編集した後、記憶装置101に格納される。
【0067】
尚、上記した実施形態においては、X線撮影用検出器3としてCCDセンサを用いたが、CMOSセンサ、イメージングプレートを用いても良い。イメージングプレートを用いた場合には、待機状態に設定する動作は行わない。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
2 X線撮影装置本体
20 装置本体制御装置
26 照射ボタン
3 X線撮影用検出器
4 通信ケーブル
5 コンピュータ装置
56 表示装置
57 入力装置
31 ケーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線発生器と、X線発生器を取り付けた自在アームと、前記X線発生器の照射時間や出力を制御する装置本体制御装置とを備えるX線撮影装置本体と、
X線像を検出するためのX線撮影用検出器と、
前記X線撮影用検出器からの信号が与えられるコンピュータ装置と、を備え、
前記コンピュータ装置と装置本体制御装置とが通信線で接続され、コンピュータ装置から撮影する部位に応じた撮影条件を装置本体制御装置へ送出し、前記装置本体制御装置は、受け取った撮影条件に基づきX線発生器の照射時間、出力を制御することを特徴とする歯科用デジタルX線撮影装置。
【請求項2】
前記X線撮影用検出器はCCDセンサを備え、前記コンピュータ装置は、撮影する部位に応じた撮影条件を装置本体制御装置へ送出するとともに、前記X線撮影用検出器のCCDセンサを撮影待機状態にするように制御することを特徴とする請求項1に記載の歯科用デジタルX線撮影装置。
【請求項3】
前記前記X線撮影用検出器のCCDセンサを撮影待機状態であることを前記装置本体制御装置へ通知し、撮影待機状態の時に、前記X線発生器からX線が照射されることを特徴とする請求項2に記載の歯科用デジタルX線撮影装置。
【請求項4】
前記コンピュータ装置は、種々の操作データを入力する入力装置、操作画面や撮影したX線画像を表示する表示装置を備え、前記表示装置には、部位やそれに類するボタン、キーが表示され、その表示に従い前記入力装置から操作情報が与えられることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の歯科用デジタルX線撮影装置。
【請求項5】
前記表示装置は、部位を仮選択した状態を示す表示と、部位を特定した表示とを前記入力装置からの指示により切り換えられることを特徴とする請求項4に記載の歯科用デジタルX線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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