説明

歯科用装置

振動機構と動力収納貯蔵器を含む能動型の歯科用工具。前記振動機構は電気モーターと楕円形の負荷を含む。楕円形の負荷は前記モーターによって回転するようになされ、それによって歯科用工具の、歯と接触する部分に振動動作を伝えるようになされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の参照〕
本願は、以下の米国特許仮出願、すなわち、2004年9月21日出願の“Dental Tool Having A Durable Coating”と題する第60/612,283号、2004年9月21日出願の“Dental Instruments Having Durable Coating”と題する第60/612,006号、2004年11月3日出願の“Dental Instrument”と題する第60/624,833号、および2004年11月3日出願の“Dental Instruments With Stress Relief”と題する第60/624,840号の利益を主張し、そのすべての内容は参照によってここに含まれる。
【0002】
本願は以下の米国特許出願、すなわち、同時に出願された“Dental Instruments With Stress Relief”と題する第11/xxx,xxx号、および同時に出願された“Dental Instruments Having Durable Coatings”と題する第11/xxx,xxx号に関連し、両者の内容は参照によってここに含まれる。
【0003】
〔技術分野〕
本発明は、歯科用装置に関し、特には能動型の歯科用装置に関する。
【背景技術】
【0004】
口中の栄養物、唾液、空気およびバクテリアの存在は、歯の表面に歯垢および歯石の薄膜の形成を可能にする。これらの膜の発生は日常的なブラッシングや歯科用フロスを用いることで防ぐことが出来る。しかし、口腔内健康の効果的なプログラムは、歯科専門家による歯の定期的な清掃を含むことが広く受け入れられている。この定期的な清掃は、勤勉な個人的口腔健康法にもかかわらず歯の表面に蓄積しがちな歯石や歯垢を減少させ取り除くのに効果がある。
【0005】
歯石および歯垢を取り除く装置は二つのクラスに分けられ、すなわち手動の受動型の装置と、外部動力が供給される能動型の装置である。受動型の装置は、一般的にステンレスのような硬質の実質的に剛性のある材料で作られる。図1は、代表的な受動型の装置を示す。この装置は、ハンドルとして使用されるようになされた本体10と、例えばポイントまたはブレードの形をした端部14を持ったつつく部分12を含む。使用するときは、歯科専門家が受動型の装置を手で持って端部14で歯の表面をこする。受動型の装置は窮屈な電力供給線からの自由をもたらすが、効果的に使用するためには多くの時間と技術を必要とする。
【0006】
歯を掻き落すなどの、歯のある処置を行うために外部動力の、能動型の歯科用振動装置を用いることが通常となっている。典型的な、動力が供給される歯科用振動装置は、手で把むための細長い外側のケーシングと、前記ケーシング内に配置され、振動源として作用するための振動ユニットと、その振動ユニットに取り外し可能に結合される掻き落しチップのような歯科用振動工具を含む。歯科用工具は掻き落しや歯根の根管拡張のような所望の歯科処置を実行する。
【0007】
動力をもらう歯科用振動工具に使用されるいくつかのバイブレーターは、その動作原理によって二つの典型的な種類、すなわち、電気的に動力をもらうバイブレーターと、動力源として圧縮空気を使う空気駆動のバイブレーターとに属する。
【0008】
電気的なバイブレーターは、交番電圧の印加に応答して振動を発生する電歪形または圧電形のトランスジューサーを含む。これらは、耳で聞くことができる騒音の放出が実質的に無いように超音波領域で作動することが出来る。しかし、電気的なバイブレーターは電磁波を放出する。約20,000Hzの周波数で放出されるそのような電磁波エネルギーは、他の電気装置と干渉するなどの問題を起こす可能性がある。
【0009】
空気駆動のバイブレーターは、電気的バイブレーターに関連する電磁的な干渉の問題は無い。しかし、使用される周波数は一般的に可聴周波数スペクトルの範囲内である。また、この種のバイブレーターを使う工具は圧縮空気供給源に繋がれなくてはならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、うるさい騒音や超音波エネルギーの無い、歯の清掃を効果的にするための、前後および/または左右に振動することの出来る小型のバイブレーターを持った、手持ちの、電気駆動の歯科用工具の必要性が存在している。
【0011】
上記の観点から、手動であって外部駆動の歯科装置であるという、両方の好ましい態様を持った歯科装置を手に入れることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、従来技術に関連する問題を解決し、歯から歯垢や歯石を取り除く方法および装置を提供する。
本発明は、少なくとも部分的に中空な内部と、末端部と、基端部とを有する細長いハウジングを含む歯科用の手持ち工具に関し、歯科用チップが前記末端部の少なくとも一つから延伸して取りはずし可能に接続される。前記ハウジングの一部は歯科専門家が掴むためのハンドルとして機能する。少なくとも一つの振動モジュール(vibrator module)がハウジング内部に、本体の一端の方に配置され、弾性的に支持される。該モジュールは、偏心した重りを回転させて前記チップに振動を起こすようになされた小型のモーターを含む。ハウジング内にはバッテリーが配置され、振動要素を励起するために振動モジュールに動力を与える。バッテリーは使い捨てでも良いし、充電可能であっても良い。
【0013】
本発明はさらに、中空の内部と、基端部と、その広い方の端部が恒久的にかまたは取り外し可能に取り付けられ、その狭い方の端部から歯科用チップが延伸する、円錐形の部分を持った末端部を有する細長いハウジングを含む手持ちの歯科用装置に関する。前記ハウジングの一部は歯科専門家が掴むためのハンドルとして機能する。前記歯科用チップは、円錐形部分の狭い方の端部に、恒久的に取り付けられても良いし、取り外し可能に取り付けられても良い。円錐形の部分は、その中空部内に配置され、支持されている振動モジュールを持った、少なくとも部分的に中空な本体を有する。該モジュールは、偏心した重りを回転させて前記チップに振動を起こす小型のモーターを含む。ハウジング内にはバッテリーが配置され、振動要素を励起するために振動モジュールに動力を与える。バッテリーは使い捨てでも良いし、充電可能であっても良い。
【0014】
本発明はまた、歯科用振動装置のセットを提供し、その各々は内部が中空な細長いハウジングを持ち、その細長い本体は基底部および末端部を有し、歯科用チップが前記末端部の少なくとも一つから延伸して取りはずし可能に接続される。各装置の前記ハウジングの一部は歯科専門家が掴むためのハンドルとして機能し、前記装置のセットのハンドルは種々の直径を有しており、一日を通して交換可能に設計されている。
【0015】
上記歯科用装置はまた、該装置に恒久的にか、または取り除き可能にその広い方の端部で取り付けられており、その狭いほうの端部から歯科用チップが延伸する円錐形部分を含む。該歯科用チップは円錐形部分の狭い方の端部に恒久的に取り付けられていても良いし、取り外し可能に取り付けられていても良い。円錐形の部分は、その中空部内に配置され、支持されている振動モジュールを持った、少なくとも部分的に中空な本体を有する。該モジュールは、偏心した重りを回転させて前記チップに振動を起こすようになされた小型のモーターを含む。ハウジング内にはバッテリーが配置され、振動要素を励起するために振動モジュールに動力を与える。バッテリーは使い捨てでも良いし、充電可能であっても良い。
【0016】
本発明の一態様において、前記歯科用チップは、前記ハウジングの末端部にねじ結合される。
本発明の他の態様において、上記振動モジュールをハウジングの末端部に対して位置決めする位置合わせ手段が存在する。
【0017】
また、一態様において、本発明の歯科用装置は、対応する外部動力の装置に比べて軽量で容易に操作可能である。
さらなる他の態様において、本発明の歯科用装置はエネルギー導管によって動力源に繋がれることなく、大きなエネルギーを歯の表面に結びつけることが可能である。
【0018】
本発明のさらなる態様において、上記ハウジングはその基端部で閉じており、振動モジュールはその末端部の方で支持されるようになされている。
またさらなる本発明の態様において、チップはハウジングの各端部から延伸しており、使用中両方のチップが振動するようになされている。
【0019】
本発明のなおさらなる態様において、前記円錐形の部分は回転可能であり、その回転によって、歯科用チップを患者の口腔から取り出すことなくチップを容易に位置替え出来るようにチップを回転させる。
【0020】
本発明のさらに他の態様において、上記ハウジングは、歯科専門家が受けるストレスを取り除くようになされた人間工学的な設計を含む。人間工学的に設計されたハンドルを持つ歯科用装置のセットは、ハンドルの直径を替えることによっても作ることが出来る。
【0021】
さらに、チップを取り外し可能にする他の形態として、各装置に接続管を使用しても良い。この接続管または前述した円錐形の部分は、回転するヘッドであって、その回転によって、歯科用チップを患者の口腔から取り出すことなく容易にチップの位置換えが出来るようにチップを回転させる。
【0022】
加えて、上述の各装置は、前記振動工具の使用中に、振動モジュールがハウジングに対して回転するのを防止する回転止め手段を伴って作ることも可能である。
さらに、チップを所望の構造に曲げることが出来るように、チップがその上に塗膜される、柔軟性と耐久性のある塗膜をコーティングされることが開示される。
【0023】
その塗膜は、少なくとも約5原子パーセントの水素(5 atomic percent of hydrogen)を含むダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含む。
一態様において、チップはコーティングの後に任意の所望の形状に曲げることが出来、そのような曲げの作用が塗膜の完全性を損なうように影響することが実質的に無い。
【0024】
本発明のこれらおよび他の優位点および構成は、添付の図とともに提供される本発明の以下の詳細な説明に関連して、より容易に理解されるであろう。
【発明を実質するための最良の形態】
【0025】
添付の図に結び付けて述べる以下の詳細な説明は、本発明の歯科用装置および工具の、ここで例示する具体例の説明として意図したものであり、本発明が構築され、または用いられる唯一の形態を表わすように意図したものではない。説明は、本発明の歯科用工具または装置を作り使用するための構造とステップを、図示実施例に結び付けて述べる。しかし、本発明の趣旨および範囲内に包含されることを意図した、異なった実施例によっても、同じかまたは同等の機能および構造が達成され得ることを理解されたい。
【0026】
図2は、本発明の第1の実施例による、歯科用シーラー100のような歯科用装置を示す。図示のように、該装置はハンドル部102と歯に触る部分104を有する。本発明の一態様によれば、振動機構がハンドル部102内に含まれる。振動機構は、シーラーチップ104またはその一部分に、ハンドル102に対する動きを引き起こすようになされている。シーラーチップ104の動きは、曲げ弾性のリニアモード、または捩れモードのような種々の振動モードを含む。本発明の一態様によれば、本発明はハンドル部102によって支持されるスイッチデバイス106を含む。スイッチデバイス106は、ユーザーが、ハンドル部102内に配置された振動機構を作動させ、または不作動化することを可能にする。
【0027】
本発明の一実施例によれば、プラグコンセントのようなエネルギーポート108も、ハンドル部102に支持されている。電気的エネルギーのようなエネルギーが前記エネルギーポートを通して受け取られ、歯科用装置のハンドル部102内に蓄積される。図示した実施例においては、エネルギーポートは従来の電気プラグを受容するようになされた電気プラグコンセントである。
【0028】
図3aは、本発明の一実施例による歯科用装置のシステムブロック図を示す。図3に示すように、本歯科用装置は電気的バッテリー202のような動力収納貯蔵器を含む。電気的バッテリー202は動力コントロールデバイス204に電気的に接続されている。一典型的実施例において、動力コントロールデバイス204は、単極−単投入のような電気スイッチである。さまざまな他の実施例において、動力コントロールデバイス204はオペレーターの信号、またはフィードバック信号205に応答するさまざまな出力電圧を与えるようになされた、トランジスターのような作動デバイスを含んでいても良い。動力コントロールデバイス204の出力は、振動トランスジューサー206の入力に電気的に接続されている。本発明の一実施例によれば、振動トランスジューサー206は、永久磁石DCモーター、またはステッピングモーターのような電気的回転モーター208を含む。電気的回転モーター208は、その出力軸が偏心したフライホイールのような動的にアンバランスな負荷212に機械的に結合されている。この動的にアンバランスな負荷212のモーターによる回転によって、モーター208の軸上に周期的に振動する力が生じる。この周期的に振動する力は、モーター208の軸からモーターのベアリングを通してモーターのハウジングに伝えられる。この振動する力は、(図2に示すように)モーターのハウジングから装置のハウジング102に伝えられる。
【0029】
本発明の一実施例によれば、振動トランスジューサー206は約10Hzから約10KHzの振動を生じる。特定のシステムの特性によっては、高調波を含む他の周波数も達成可能である。
【0030】
本発明の他の実施例によれば、振動トランスジューサー206は、ソレノイド、圧電トランスジューサー、またはリニアステッピングモーターのようリニアモーターを含む。
本発明のさらなる態様によれば、振動トランスジューサー206は結合部材214の第1の端部に機械的に結合される。結合部材214は単一の機械部材、または(図2に示すように)ハウジングの部分104と一体である。
【0031】
結合部材214は第2の端部で歯との接触部104に結合されている。歯との接触部104は、例えば(図2に示すように)シーラーチップである。
歯科用チップ104は、図示したように、シーラー、または本発明の手持ちの装置に適するようになされた他のもの、例えばリーマー、歯内療法のヤスリ、歯科用ヤスリまたは歯科用孔ぐり器でも良い。
【0032】
前述したように、歯科用チップは装置の末端部および基端部の両方にあってもよいし(図示せず)、一端にのみあってもよい。
図2、4a、9に示すテーパー部114は、ハンドルの部分として一体的に作られるか、または別個に作られ、また、成形、ハンダ付け、ねじ止め、またはそれ自身がハンドルの他の部分に取り付けられる他の種類の取り付け具によって作られる。
【0033】
チップもまた、ハンドルの末端部または基端部のテーパー部のどちらかに、恒久的にか、または取り外し可能に結合される。テーパー部はさらに、例えば中空の内部を持った円錐形の部分であっても良く、またはテーパー部の少なくとも部分は、図9に示すように接続管を有しても良い。接続管は、成形、ハンダ付け、ねじ止めで接続されるか、またはチップ104をハンドルの末端部または基端部のどちらかに取り付けるための他の種類の取り付け具によって、ハンドルの部分として一体的に作られるか、または別個に作られる。
【0034】
図4aは、本発明の一実施例による歯科用装置300の切り取り図である。図4aに示すように、歯科用装置300は、ハウジング102と、シーラーチップ104のような歯と接触する部分を含む。本発明の一実施例によれば、ハウジング102は、バッテリー306と電気モーター308が配置される内部の空洞302を含む。バッテリー306は導電体310,312,314、およびスイッチ316によってモーター308に電気的に接続される。本発明の一実施例によれば、モーター308は、ハウジング317と、第1のベアリング318および第2のベアリング320を含む。モーター308はまた、第1のベアリング318および第2のベアリング320によって回転可能に支持される軸322を含む。軸322は、一端で偏心負荷324に結合される。
【0035】
図4bは本発明の一実施例による偏心負荷400を示す。偏心負荷は、実質的に平らな第1の側面406および第2の側面408の間に配置されるアーチ状の周縁面402を持った質量体を含む。第1および第2の実質的に平らな面の間に、実質的に円筒状の内面410が配置され、縦軸を持った孔を規定している。縦軸は、偏心負荷400の質量体の中心を通る回転軸と実質的に平行で離れている関係位置に配置される。
【0036】
更なる実施例において、図4cに示すように、偏心負荷420は実質的に平らな第1の側面424および第2の側面426の間に配置される、円錐面422の頭を切り取った断面を含む。第1および第2の実質的に平らな面の間に、実質的に円筒状の内面428が配置され、縦軸を持った孔を規定している。縦軸は、偏心負荷の質量体の中心を通る回転軸と実質的に平行で離れている関係位置に配置される。図4cの偏心負荷420の、結果として生じる円錐形状は、モーターの軸に沿ってモーターから離れる距離の関数としてリニアに減少する質量体を持った偏心負荷である。
【0037】
なお更なる実施例において、図4dに示すように、偏心負荷430は、第1および第2の実質的に平らな面の間に配置される楕円形の面432の頭を切り取った断面を含む。図4dの偏心負荷430の、最終的な楕円体形状は、モーターの軸に沿ってモーターから離れる距離の関数としてノンリニアに減少する質量体を持った偏心負荷となる。
【0038】
さらに他の実施例において、楕円形の負荷は実質的に立体的に対称なホイールを含む。しかし、実質的に立体的に対称な容積内の質量の分布は、動的に不均等な負荷を生じさせるために非対称とされる。一実施例によれば、図4eに示すように、質量の不均等な負荷は、第1の材料442と、第1の材料内に空間的に不均一な分布で埋め込む第2の材料の粒体とのホイール440を形成することによって作られる。
【0039】
図5は、本発明の他の実施例の切り取り図を示す。図示したように、図5の装置500はハウジング102と、シーラーチップ104を含む。図5の実施例において、楕円形の負荷502の回転軸はハウジング102の長手方向の軸504に対して横切るように向いている。従って、楕円形の負荷502の回転軸50Sは、紙面に直角に向いている。
【0040】
この回転軸506の方向は、例えば回転電気モーター508の出力軸をギアボックス510の機械的入力に接続することによって達成される。代表的一実施例において、ギアボックス510は互いに直角な角度を向いた二つのべべルギアを含む。二つのべべルギアのうち第1のギアは電気モーターの出力軸に結合され、二つのべべルギアのうち第2のギアはギアボックスの出力軸、したがって偏心負荷502に結合されている。二つのべべルギアは各々歯を持ち、回転中かみ合ってモーター508からのエネルギーを偏心負荷502に伝える。べべルギアは、例えばステンレス鋼、チタン、ニッケルチタンおよびチタン−アルミニウム−バナジウム合金のようなチタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、タングステンカーバイド合金、およびそれらの組み合わせのような、任意の適切な材料で形成される。
【0041】
べべルギアの代替の材料としては、例えば、ポリアミド(ナイロン)、超高分子量のポリエチレン(UHMWP)、ポリアセチル(デルリン)、ポリアラミド(Kevlar)、アモルファス熱可塑性ポリエーテルイミドであるULTEM(登録商標)、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートの合成物であるXenoy(登録商標)樹脂、ポリカーボネートとイソフタレート・テレフタレート・レゾリシノール樹脂の共重合体であるLexan(登録商標)プラスチック(以上はすべてGE Plastics社から入手可能)、芳香族ポリエステルのような液晶ポリマー、または1成分として芳香族ヒドロキシカルボン酸(例えばヒドロキシ安息香酸(硬質モノマー)ヒドロキシナフトエート(軟質モノマー))、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンを含むグループから選択される少なくとも1つの化合物を含む芳香族ポリエステルアミドのような液晶ポリマー、(米国特許第6,242,063, 6,274,242, 6,643,552, 6,797,198号に例示されており、その内容は参照によってここに含まれる)、終端の無水物基(terminal anhydride group) または側部の無水物(lateral anhydride) を含むポリエステルイミド無水物(米国特許第 6,730,377号に例示されており、その内容は参照によってここに含まれる)、またはそれらの混合物が含まれる。
【0042】
加えて、顔料、カーボン粒子、シリカ、グラスファイバー、金属粒子または導電性ポリマーのような導電性粒子、またはそれらの組み合わせが充填されたエンジニアリング用プレプレッグ、または化合物のような任意の重合化合物も使用される。
【0043】
一般的に、高い耐熱性を持った重合材料、または化合物が適している。
稼動中、偏心負荷502は、図2の装置100の配置によって生じる振動に比べて、シーラーチップに装置500の長手方向軸504に沿った増大した振動を生じさせる。
【0044】
本発明のさらなる態様において、これらの振動はギアボックス510のハウジングから結合部材512を通じてシーラーチップ104に伝えられる。その質量、形状、および剛性を含む、結合部材の特性は、システム全体としての共振応答を最適化するように選択される。結合部材512は、支持部材514によってハウジング102内に支持される。支持部材514は、例えば、それを通して結合部材512が滑動するようになされている孔を持った、実質的に剛性のあるブッシングであっても良い。代替の実施例において、支持部材514は結合部材512を柔軟に支持するようになされる弾性部材を含んでも良い。
【0045】
図6は、能動型の歯科用装置600の切り取り図を示す。本発明のさらなる実施例によれば、能動型の歯科用装置600は直線振動デバイス602を含む。直線振動デバイス602は、周期的に変化する電気制御回路60Sからの信号に応答して結合部材604を直線的に作動させるようになされている。電気制御回路606は、直線振動デバイス602、およびバッテリー608のような電力源に電気的に接続されている。直線振動デバイス602は圧電デバイス、および電磁ソレノイドデバイス、電気容量変換デバイス、またはリニアステッパーモーターのようなリニアモーターデバイスを含む。
【0046】
さまざまな態様において、能動型の装置600は取り外し可能なつつき棒104を含む。このことによって、一個のハウジングとその内容物が、異なった構造の種々のチップに振動を与えることが可能になる。取り外し可能なつつき棒は、例えばねじ結合またはバイオネットマウントで能動型の装置600に固定されても良い。
【0047】
さらなる態様において、エネルギー収納貯蔵器は、カーボン−亜鉛バッテリー、またはアルカリバッテリーのような取り除き可能なバッテリーを含んでも良い。取り除き不可能で、充電可能なバッテリーも使用可能である。特定の能動型の装置システムの特性と必要性によっては、例えばニッケル金属水素バッテリー、またはニッケルカドミウムバッテリーのような適切なバッテリーが選択される。
【0048】
本発明のさらなる態様において、装置は外部の電気エネルギー源から電気エネルギーを受けるようになされたバッテリー充電回路を含む。それによって能動型の装置は必要なときのみ家庭用電源に結合され、バッテリー充電回路が能動型の装置の充電可能なバッテリーに適切な充電電流を供給する。
【0049】
他の実施例によれば、本発明は電気的燃料電池および燃料収納貯蔵器を含む。燃料電池の技術は進歩しており、本発明の能動型の装置に組み入れるのに適した燃料電池が適度な近い将来に利用可能になると期待されている。
【0050】
本発明のさらなる態様において、(例えば図3の206に示すような)振動機構の振動は、驚くことに、能動型の装置を使用している歯科専門家の手を落ち着かせる効果をもたらすことが発見された。したがって、本発明は人間工学的に優位な歯科用装置を含む。これらの人間工学的な優位性は、本発明のさまざまな実施例において、ハウジング(例えば図8の102)に、種々の直径のグリップ、および三角形グリップなどの付加的構造を含ませることによって増幅される。
【0051】
現在使用されている歯科用装置は皆殆ど同じ直径のハンドルまたは把持部を有する。このことは、ただ一種類の装置だけでなく、異なる装置についてもまた事実である。一日を通して装置を繰り返し使用することによって、手、手首、肘に繰り返しストレスを与えることになる。これは、歯科衛生士、歯科医、および他の歯科専門家に手根管症候群、および蓄積的心的外傷疾患(cumulative trauma disorder)を引き起こす可能性がある。
【0052】
本発明はまた、図7a−eおよび8に示すように、一日を通して交換可能に設計された、さまざまな握りの直径を持った同一の装置、または異なった装置のセットを含み、握り部を交換することによって繰り返しの握り動作を減少させる。したがって、歯科専門家が終日同じ種類の装置を使用しても、一日を通して手、手首、肘の位置が交代することになるので、手、手首、および肘は繰り返しの動作でなく異なった動作をすることになる。
【0053】
本歯科用装置は、図8に示すように、中実、中空、または部分的に中実な内部を持った細長いハウジング102を含む。細長いハウジング102は末端部および基端部を有する。ハウジング102の一部分は歯科専門家が握るためのハンドルとして機能する。末端部はそこから延びる歯科用チップ104を有し、チップはハウジング102の末端部に恒久的にか、または取り外し可能に接続される。
【0054】
ハンドルはさらに、図8に例示するように人間工学的に設計されてもよい。種々の直径を持った装置の詳細は、”Dental Instruments with Stress Relief”と題する仮出願の出願番号第60/624,840号、および同時出願の米国特許出願番号第11/xxx,xxx号に述べられており、両者の内容は参照によってここに含まれる。
【0055】
さらに、図2、4a、6および9に示したような円錐形の部分114は回転可能であり、そのような回転によってチップを患者の口腔から取り出すことなく容易に位置換えできるように歯科用チップも回転する。
【0056】
回転の機構は、米国特許出願第10/735,050号に述べられているものと同様であり、参照によってここに含まれる。
一実施例において、上記円錐形の部分は、ハンドルの部分として一体的に作られるか、または別個に作られ、また、成形、ハンダ付けで作られるか、ねじ止め、またはチップ104をハンドルの末端部または基端部に取り付けるための他の種類の取り付け具によって接続される。
【0057】
図7a−dは、本発明の一実施例による、歯科用シーラーのような歯科用装置のセットを示す。見られるように、各装置はハンドル部702と歯に接触する部分704を含む。図示実施例において、歯に接触する部分はシーラーチップである。
【0058】
ハンドル部分702は円筒形で、心は中実、または中空であって、末端部と基端部を有する。図のように、ハンドルの直径は7aから7dと変化している。他の実施例において、異なる直径の、異なる数のハンドルを持ったシリーズ、または異なる装置を持ったシリーズが考慮されている。握りのための直径を変化させて作った同じ装置のセットは、上述したように繰り返し動作を減少させる。
【0059】
ハンドルは、例示したように末端部または基端部のどちらか、またはその両方に向かって先細りになっており、その先細りの端から、患者の歯に用いられるようになされた歯科用チップが延びている。
【0060】
歯科用チップは、示したようにシーラー704でも良いし、または、例えばリーマー、歯内治療用やすり、または孔ぐり具のような、本発明の手持ち装置に適合するようになされた任意の他のものでも良い。
【0061】
上述したように、上記歯科用チップは、示すように(図示せず)装置の末端部および基端部の両方にあっても良いし、一方にのみあって他方には図7a−7dに示すように異なる工具があっても良い。
【0062】
テーパー部114は、図9に示すようにハンドルの部分として一体的に作られるか、または別個に作られ、また、成形、ハンダ付けで作られるか、ねじ止め、またはチップ104をハンドルの末端部または基端部に取り付けるための他の任意の種類の取り付け具によって接続される。
【0063】
テーパー部114はさらに、図9に示すように中空の内部を有する円錐形の部分であっても良い。
ハンドルは金属またはプラスチックで作られる。円錐形の部分またはテーパー部はハンドルの他の部分と同じか異なる材料で作っても良い。適切な金属は、例えばギアに関して述べた材料を含む。さらに例示すれば、材料はステンレス鋼およびチタン合金でも良い。これらも例えば良い柔軟性を持っている。
【0064】
適切な非金属としては、ギアに関して上述した材料を含む高温プラスチックのような重合材料を含む。
より良い、滑らないグリップのために、例えば、突起および/または細い溝(例えば図8または9に示す1040)および/または他の手段をハンドルの握り部に形成しても良い。
【0065】
いくつかの実施例において、上記の突起および/または細い溝の代わりに、図8aに例示するように、ハンドル部分の上にフィットするようなスリーブタイプの構造であるハンドグリップ1040aで作られ、同じく図8aに描かれているように使用中装置の把持を容易にする。図3に示すような実施例において、ハンドグリップ103はハンドル102の大きな部分を覆っている。そのようなハンドグリップは一般に弾性があり、重合体のチップの製造に適した上述のポリマーや化合物を含む、オートクレーブや高温消毒プロセスに適する高温樹脂製である。実際にはオートクレーブに耐えられる任意の高温樹脂が使用可能である。
【0066】
述べたように、図7a−dに示した装置のセットは、ハンドルの直径を除けば同一である。このことは、ハンドルが人間工学的に設計されている、図8a−dにも図示されている。直径が変化しているハンドルを有する同一の装置が一日を通して代わる代わる使用される。直径を変えることとより人間工学的に設計されたハンドルを組み合わせることによって、ハンドルは、歯科専門家の手、手首、肘に対するストレスをはるかに救済することが出来る。
【0067】
図8aに示すように、ハンドルは、チップが両端部から延びているときには握りの領域よりは小さな円周の中央部を持った三角形状であっても良い。上記中央部は円形であってもよい。この両方の形状も、例えば把持を容易にするための握り領域について図9に例示した1040のように、突起または細い溝が形成されても良い。
【0068】
本発明の一態様によれば、図3および8aに示すように、ハンドル部102および802内に振動機構が含まれる。振動機構は、ハンドル102またはその部分802の外表面101の振動する揺れを引き起こすようになされている。振動する揺れは柔軟で弾性的なリニアモード、または回転モードを含む、さまざまな振動モードを含む。本発明の一実施例によれば、装置は、上述したように、ハンドグリップとして機能する、ハンドル102の外表面101上に設けられる弾性材料103(または図8aの外表面801上の803)を含んでいる。弾性材料103または803は、装置を使用している間中歯科専門家の握りを和らげるよう機能する。一態様によれば、本発明はハンドル部102または802に各々支えられるスイッチデバイス106または806を含む。このスイッチデバイス106または108は、ユーザーがハンドル部102または806内に配置された振動機構を作動させ、または不作動化することを可能にする。
【0069】
ハンドグリップ103および1040aは、Monsanto Company社から入手可能なSANTOPRENE(登録商標)またはいくつかのチップの製造に使用される熱可塑性プラスチック、または前述した他の適切な材料を用いて作られる。ハンドグリップ103および1040aは、いくつかの実施例において成形によって形成される。他の実施例において、ハンドグリップ103および1040aは一部品である。さらに他の実施例において、複数部品のハンドグリップが使用される。さらに他の実施例において、2部品のハンドグリップはハンドル102または802の上で超音波接合される。ハンドグリップ103および1040aは、図3に示すように一般的な円筒形の形状であっても良いし、図11に1120として示すようにピストル形でも良い。
【0070】
ハンドグリップ、すなわち弾性材料は天然ゴムまたは合成ゴムのどちらでも良い。合成ゴムは、例えばエラストマー材料であって、限定はしないが、Kraton Polymer社から入手可能なスチレンブタジエンゴム、またはスチレンイソプレンゴムのようなさまざまな共重合体またはブロック共重合体(Kratons(登録商標))、EDPM(ethylene propylene diene monomer)ゴム、ラテックスゴム等を含む。発泡体材料は閉鎖セル発泡体でも開放セル発泡体でも良く、限定はされないが、ポリエチレン発泡体のようなポリオレフィン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリブチレン発泡体、ポリスチレン発泡体ポリウレタン発泡体、または、上述した任意のエラストマーまたはゴム材の発泡体を含む。
【0071】
図9は、回転可能なチップ902を持った能動型の装置900を示す。そのような回転可能なチップ902は上述した各装置に使用可能である。チップ902はテーパー部114の接続管または回転ヘッド904に固定的にか、または取り外し可能に結合される。接続管または回転ヘッド904を回転することによって、患者の口腔から取り出すことなく歯科用チップを容易に位置換え出来るようにチップを回転させる。そのような回転が望ましくないときには、止め金が接続管およびチップの回転を妨げる。止め金機構は例えばリリースボタン906を押すことによって開放され、回転を可能にする。回転機構は、米国出願番号第10/735,050号に述べられているものと同様であり、参照によってここに含まれる。
【0072】
円錐部分つまりテーパー部114は、取りはずし可能の場合は、ハンドルの他の部分が金属または金属合金で作られていても、例えばプラスチック材料で作られる。
図9および10に示すように、手持ち部分900の末端部に配置された回転ヘッド904は、手持ち部分の残りの部分に回転可能に結合される。回転ヘッドは概ね円筒状の形状を有し、中空の内部、および内部の各端部にあって、一端で本体102の末端部を受容し、他端で歯科用チップを受容する開口を持つ。例えば、その末端部で回転ヘッド904はチップ902を受容するための開口911をその上に形成している。
【0073】
回転ヘッド904は、その外側の周縁表面に複数のぎざぎざ910を形成していても良い。ぎざぎざ910の各々は、その主たる軸が手持ち部900の中心軸と平行な方向である細長い楕円形(または矩形)の形状を持っていても良い。ぎざぎざ910は、歯科専門家が例えば本体102に対して回転ヘッドを回転する(例えば片手のみを使って)ためにその把持を容易にさせる。他の実施例において、回転ヘッド904は、ぎざぎざの代わりにその上に形成される多くの突起を持っていても良い。
【0074】
本体102は、その最上部から等距離で実質的に本体102の長さ全体に渡る一組の溝1030をその上に形成している。溝1030は、図11に示すように、手持ち部900の上にハンドグリップ1120を取り付けるために用いられる。本体102は、本体102の末端部の近くのその底部に、ハンドグリップ1120が手持ち部900の軸方向に動かないよう保持するために用いられる、実質的に等間隔に離れた複数のスロット1080を形成する。本体102は、その基端部近くのその底部に、上記スロット1080と同一直線上の溝(図示せず)をその上に形成する。その溝は、上記の溝1030と共にハンドグリップ1120と係合し、ハンドグリップ1120を手持ち部900の軸方向に動かないよう保持する。
【0075】
ハンドグリップ1120は、図11に例示するように概ね円筒状の形状と中空の内部を持つ係合部1140を有する。係合部1140は本体102に、同様にスリーブ上を滑るようになされており、係合部が本体102の一部を包むように本体102に係合する。係合部は、その上に、弾性的なカンチレバー部(図示せず)が形成されており、本体102上のスロット1080の一つに係合するために使用される。係合部1140はその底面にハンドル1160が取り付けられ、歯の処置の間手持ち部900を保持するために歯科専門家によって握られる。ハンドル1160はまた、片手を使った回転ヘッド904の回転を容易にする。ハンドル1160は、その背面に、歯科専門家の握りを容易にするために使用される複数のぎざぎざ、または突起1200を形成する。
【0076】
ここで図9および10を参照すると、手持ち部900は、例えば上述したいずれかの金属で作られた保持リング1300を更に含む。保持リング1300は実質的に円形であるが、完全な円をすっかり形成はしていない。保持リング1300は柔軟性(弾性)があっても良く、互いに繋がっていない両端は圧力を掛けると互いに近づき、圧力が取り除かれると離れる。
【0077】
回転ヘッド904はその基端部近くの内部表面に、図10に例示するような円形の溝1310が形成され、保持リング1300を係合するのに使用される。保持リング1300は、例えば保持リング1300を圧縮するためにそれに圧力をかけ、一旦保持リング1300が溝1310に合わせられたらそれを開放することによって円形の溝1310内に設置される。設置されると保持リング1300は回転ヘッド904に対してはめ込まれ、固定される。
【0078】
保持リング1300が溝1310にはめ込まれた後、回転ヘッド904は、本体102の末端部を回転ヘッドの開口の基端部で受け止めることによって本体102と組み合わせられる。本体102はその末端部に係合部1090を形成してあり、その半径は本体ハンドル部102の残りの部分の半径よりも小さい。係合部1090と本体102の残りの部分の間の結合部で、係合部1030の外表面上に円形の溝1500が形成される。係合部1090が回転ヘッド904内に挿入されるとき、回転ヘッド904が本体102に回転可能に組み合わされるように保持リングが溝1500に回転可能に係合する。他の実施例において、保持リングは本体102に固定的に組み合わされ、回転ヘッド904に対して回転可能に組み合わされる。
【0079】
ハンドグリップは握りの直径を変えて作られ、一日を通じて交換可能に使用されるように設計され、より人間工学的に設計されたハンドルと組み合わされても良い。
直径を変化させることについては、2004年11月3日米国仮出願の“Dental Instrument with Stress Relief”と題する 第60/624,840号、および同日出願の“Dental Instrument with Stress Relief”と題する米国特許出願第11/xxx,xxx号に述べられており、両者の内容は参照によってここに含まれる。
【0080】
チップは、その上にコーティングされる柔軟で耐性のある塗膜1010aを持ち、コーティングされたチップは所望の形状に曲げることが出来る。
この曲がりは、コーティング前に導入することも出来るし、DLCでコーティングされた位置にあっても良い。コーティングはまた、ハンドルの他の部分にあっても良い。
【0081】
チップの周辺では、使用中に摩擦力による熱を生じやすい。したがって、高い潤滑性を持つコーティングは一般的に摩擦力、ひいては発生する熱を減少させることが出来、歯の処置の間、患者の不愉快さを減らすこととなる。高い潤滑性を有する適切なコーティングは、少なくとも約5原子パーセントの水素(5 atomic percent of hydrogen)を含むダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含む。耐性のあるコーティングの詳細は、2004年9月21日出願の“Dental Tool Having A Durable Coating”と題する米国特許仮出願第60/612,283号、および同時出願の“Dental Tool Having A Durable Coating”と題する米国特許出願第11/xxx,xxx号に述べられており、両者の内容は参照によってここに含まれる。
【0082】
適切なコーティングは、例えば約5原子パーセントから約45原子パーセントの間の水素、さらに例示すれば約10原子パーセントから約30原子パーセントの水素を含むDLCコーティングを含む。一般的に、高いパーセントの水素は、より柔軟性のあるチップに使用され、より低いパーセントの水素は、より柔軟性の低いチップに使用される。より高いパーセントの水素のチップは、より少ない水素量のものよりも密度が低く柔らかい。加えて、より少量の他の要素が存在しても良い。例えば、DLCは、少量の他の物質同様、少なくとも5原子パーセントまでの酸素または窒素を含んでいても良い。
【0083】
上述したように、DLCコーティングは、硬くはあるが、チップの基材の柔軟性がコーティングによって大きく変化することは無いくらい柔軟性がある。組み合わせの効果によって研磨面をより永く保つことが出来る。
【0084】
一般的に、DLCコーティングは柔軟性と滑らかさがあるため、例えば約20nmの薄いコーティングでも実質的に均一な厚みを達成することが出来る。DLCコーティングは基材の所望の領域に実質的に均一にかけることができる。さらに例示すれば、この均一なコーティングは、平均のコーティング厚に対して、基材に沿ったすべての地点の厚みの変動が約50%以下、更に例示すれば約10%以下の変動の厚みであるコーティングであるように出来る。
【0085】
あるいは、DLCコーティングは、必要ならば異なった作業面領域でコーティングの厚みを変えることが出来るように不均一にかけることも出来る。いくつかの実施例において、最大のコーティング厚の領域は、最小のコーティング厚の領域の約2倍以下の厚みとすることが出来る。不均一なコーティング厚は、均一なコーティング厚では出来ないさまざまな結果を生じさせ、例えば、堆積(deposition)を単純化し、および/または、研磨面またはチップのストレスポイントの機械的安定性を増す。一般的にDLCコーティングは柔軟性と滑らかさがあるので、実質的に均一な厚みは例えば約20nmの薄いコーティングまで達成できる。
【0086】
DLCコーティングはまた、高い応力または磨耗に曝される可能性のある、チップの部分では、耐摩耗性を高めるために厚くしても良い。例えば、曲がりの形状を保つために、曲げで伸ばされる部分は圧縮される部分よりも厚い塗膜を持たせる。加えて、ある選択された堆積法(deposition approach)では、不均一性を減少させるためによほどの努力をしない限りは、本来的に厚みが不均一なDLCコーティングを生じる。
【0087】
DLCコーティングの成分も、異なるコーティングの領域で均一でも良いし、または異なっていても良い。例えば、より大きな応力を受ける領域はある一つの成分を持ち、他の部分のコーティングは、例えば柔軟性を変化させるために他の微量な添加物を加えて作っても良い。同様に、DLCコーティングは、異なった成分を持ったダイヤモンドライクカーボンの層を有していても良い。
【0088】
一例において、本装置はチップをDLCコーティングでコーティングする前にチップとハンドグリップを事前に組み合わせて作られる。この工程は、コーティング工程の低いコーティング温度がオートクレーブの温度に近いために可能である。このことは、本装置の組み立てに柔軟性をもたらす。
【0089】
本発明の例示実施例を上記で述べ、図示してきたが、これらは本発明の典型例でありこれに限定するものと見做されるべきでないと理解されたい。したがって、本発明は先の記述によって限定されると見做されるべきでなく、ここに添付する請求項の範囲によって限定されるのみである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、従来の受動型の歯科用工具を示す。
【図2】図2は、本発明の一実施例による能動型の歯科用工具を示す。
【図3】図3は、本発明の一実施例による能動型の歯科用工具を示す。
【図3a】図3aは、本発明の一実施例による歯科用工具のさまざまな機能要素を描いたブロック図を示す。
【図4a】図4aは、本発明の一実施例による能動型の歯科用装置の切り取り図を示す。
【図4b】図4bは、本発明の各々の実施例による能動型の歯科用装置のためのさまざまな楕円形の負荷を示す。
【図4c】図4cは、本発明の各々の実施例による能動型の歯科用装置のためのさまざまな楕円形の負荷を示す。
【図4d】図4dは、本発明の各々の実施例による能動型の歯科用装置のためのさまざまな楕円形の負荷を示す。
【図5】図5は、本発明のさらなる実施例による能動型の歯科用装置の切り取り図を示す。
【図6】図6は、本発明のさらなる実施例による、直線振動デバイスを含む能動型の歯科用装置の切り取り図を示す。
【図7】図7は、異なるハンドル直径を持った能動型の歯科用装置のセットの斜視図を示す。
【図8】図8は、異なるハンドル直径を持ち、人間工学的にデザインされた能動型の歯科用装置のセットの斜視図を示す。
【図9】図9は、回転可能なチップを有する能動型の歯科用装置を示す。
【図10】図10は、回転ヘッドを有する能動型の歯科用装置の展開図を示す。
【図11】図11は、能動型の装置上に適合するようになされたハンドグリップを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用工具であって、
少なくとも部分的に中空の内部と、末端部と、基端部とを有する細長いハウジングと、
該ハウジングの一端にそこから延びて結合している少なくとも一つの歯科用チップと、
前記ハウジング内に配置され支持される少なくとも一つの振動モジュールと、
を含むことを特徴とする歯科用工具。
【請求項2】
歯科用工具であって、
末端部と、基端部と、少なくとも部分的に中空の内部とからなる細長いハウジングの部分として形成された少なくとも一つのハンドルであって、該ハンドルの握りのための少なくとも一部分が三角形の断面を有する少なくとも一つのハンドルと、
前記ハウジングの一端にそこから延びて結合している少なくとも一つの歯科用チップと、
前記ハウジング内で本体の一端の方に配置され支持されている少なくとも振動モジュールと、
を含むことを特徴とする歯科用工具。
【請求項3】
歯科用工具であって、
少なくとも部分的に中空の内部と、末端部と、基端部とを有する細長いハウジングと、
該ハウジングの一端にそこから延びて結合している少なくとも一つの歯科用チップと、
前記ハウジング内に配置され支持されている少なくとも振動モジュールと、
前記チップを回転するようになされた少なくとも一つの回転ヘッドと、
を含むことを特徴とする歯科用工具。
【請求項4】
前記歯科用チップが前記ハウジングに取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1、2、または3に記載の歯科用工具。
【請求項5】
前記振動モジュールは偏心した重りを回転させ装置に振動を起こすための小型のモーターを含むことを特徴とする、請求項1、2、または3に記載の歯科用工具。
【請求項6】
前記振動モジュールは、バッテリー、燃料電池、太陽電池、およびそれらの組み合わせの群から選択される電源によって駆動されることを特徴とする、請求項1、2、3、4、または5に記載の歯科用工具。
【請求項7】
前記振動工具の使用中に、前記振動モジュールが前記ハウジングに対して回転するのを防止するための反回転手段を更に含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の歯科用工具。
【請求項8】
前記歯科用チップは、歯石落としチップ、歯内療法用やすり、歯用やすり、リーマー、および歯の孔ぐり具を含む群から選択されることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の歯科用工具。
【請求項9】
前記ハンドルは、人間工学的なデザインであることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の歯科用工具。
【請求項10】
前記チップは、少なくとも約5原子パーセントの水素を含むダイヤモンドライクカーボンを含むコーティングを含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の歯科用工具。
【請求項11】
前記ハンドルの少なくとも一部は、突起、細い溝、ハンドグリップ、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の歯科用工具。
【請求項12】
ユーザーが握るように設計されていない、前記ハンドルの前記少なくとも一部は、握りに使用される部分よりも小さな直径を有していることを特徴とする、請求項9に記載の歯科用工具。
【請求項13】
前記ハウジングは、少なくとも一端にむかって先細りになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の歯科用工具。
【請求項14】
前記先細りの端は、円錐形部分、カラー、およびそれらの組み合わせの群から選択される構造を含むことを特徴とする、請求項13に記載の歯科用工具。
【請求項15】
前記構造は、前記ハウジングの一部として一体的に形成されていることを特徴とする、請求項13または14に記載の歯科用工具。
【請求項14】
前記構造は前記ハウジングに取り付けられていることを特徴とする、請求項13または14に記載の歯科用工具。
【請求項15】
前記振動モジュールが前記構造の内部に配置されていることを特徴とする、請求項14に記載の歯科用工具。
【請求項16】
前記ハウジングは金属または非金属よりなることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の歯科用工具。
【請求項17】
握りのための種々の直径を有するハンドルを含む、同一の歯科用工具のセットを含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の歯科用工具。
【請求項18】
前記バッテリーは、使い捨てまたは充電可能であることを特徴とする、請求項6に記載の歯科用工具。
【請求項19】
前記構造は、回転ヘッドを含むことを特徴とする、請求項3に記載の歯科用工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3a】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図8】
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【図8a】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−513139(P2008−513139A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532559(P2007−532559)
【出願日】平成17年9月19日(2005.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/033373
【国際公開番号】WO2006/034133
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(300057780)ディスカス デンタル インプレッションズ インコーポレーテッド (15)
【Fターム(参考)】