説明

歯肉溝拡張用ペースト状挿入材料およびその使用

歯肉溝拡張のための挿入材料として適当な新規ペースト材料について記載する。これらの退縮材料はペースト形成剤、超吸収剤粒子および少なくとも1種の収斂剤を含有する。
驚くべきことに、かかる退縮材料ペースト製剤が液状物と接触すると、先ず、吸収した液体により体積膨張が起こり、さらに、超吸収剤の部分がペーストから拡散し、および/または溶解すること、またこの拡散したおよび/または溶解した部分が次いで周囲の唾液、血液および外傷分泌物などの液状物を直ちに濃厚化、一体化、および/または凝集に導くことが示された。その作用は止血性であり、並びに歯肉溝を拡張する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペースト形成剤、超吸収剤粒子、および少なくとも1種の収斂性添加剤を含有する歯肉溝拡張用ペースト状挿入材料に関する。
【背景技術】
【0002】
新規のペースト状錬剤については、歯肉溝を拡張するための挿入材料(以下、“退縮材料”ともいう)として適切であることが記載されている。
【0003】
退縮材料は調製歯を実際に圧入する前に、歯肉溝を開き、歯肉溝の出血を止めるために歯科医学において使用されている。
【0004】
歯科治療、例えば、歯冠による治療においては、回転器具により歯を研磨しなければならない。そのために、準備のための境界は歯の中まで研磨しなければならない。その目的は挿入すべき歯冠に合致する厳密な許容範囲を規定することである。美的な理由で、歯肉溝許容範囲の、またはその真下の部分にできるだけ適合する許容範囲を設けることが試みられる。回転器具による準備の際には、時々歯肉が傷つけられるか、または歯牙周囲を損傷し、そのために出血する。加えて、歯肉溝が唾液の流出によりさらに濡れてしまう。
【0005】
今や、歯科医にとっての大きな挑戦は、これらの好ましからざる条件下で、準備のための境界で研磨した歯に確実な圧入を実施することである。圧入が良好な結果を与えたことを確認するために、準備に際しては、一つには、歯肉溝をいわゆる退縮材料で拡張し、またもう一方で収斂性添加剤により出血を停止させる。
【0006】
先行技術においては、多くの退縮材料がすでに記載されている。従って、異なった退縮糸については既知である(特許文献1および2)か、または退縮ペーストが使用されている(特許文献3および4)か、または退縮シリコン泡材料が使用されている(特許文献5および6)。
【0007】
特許文献7および8から、明礬などの収斂性物質を提供する退縮材料が既知である。
【0008】
特許文献9は、歯肉溝内で、化学反応、物理的膨潤作用またはそれらの両方の性質による体積の増加により、膨潤圧力に導く物質の液状可塑性の組み合わせについて記載している。圧入の基礎物質としては、アルギン酸塩、親水コロイド並びにシリコン類が好適なものとして記載される。
【0009】
さらに、特許文献10では、糸状材料の物理的膨潤作用、ここでは超吸収剤から構成される糸が歯肉溝内で膨潤圧を生じ、歯肉溝を拡張させるために使用されている。
【0010】
特許文献11は、歯肉許容範囲を退縮するための、乾燥するための、また止血のための薬理学的に有効な成分と混合する可塑性の流動性歯科圧入材料について記載している。好適な材料としては、微小アルギン酸塩粉末と液状の薬理学的に有効な成分および水との混合物を流動性展性の圧入錬剤に混合する。
【0011】
特許文献12は、混合物から生じる硬化可能な材料を圧入するための複合成分系について記載している。これらは付加により、また縮合により架橋するシリコンの組み合わせである。アルカリ塩またはポリ(メタ)アクリル酸などの超吸収剤は乾燥剤として添加することができる。
【0012】
特許文献13は、歯科の手技に使用する止血組成物、取分け歯の歯肉領域で使用する組成物を開示している。この組成物は実質的に、選択した止血治療剤、無機充填剤物質および/または高分子量のポリオール、並びに水性基剤とからなり、圧入した場合に、止血性および縮退促進性作用を有する。
【0013】
特許文献14は、水、クレー、ガラスを基本とする微小化充填剤物質、および収斂剤を含有するペースト状退縮材料について記載している。
【0014】
特許文献15は、アルギン酸塩、二価または三価のイオン、水、遅延剤、および充填剤を基本とするペースト形状の硬化性退縮材料について記載している。
【0015】
既知の退縮材料を使用する場合は、しばしば問題が起こる。従って、退縮糸、例えば、収斂剤を飽和させた退縮糸は、膨大な時間を消費して、歯肉溝に設置するのが非常に困難である。これらの退縮糸は拡張と止血には導くが、圧入を実施する前に再び除去しなければならない。その結果として、殆どの場合に歯肉溝は再び出血し始め、その結果、殆どの事例で悪性の圧入症状が存在する。
【0016】
シリコン泡を使用した場合、止血は圧入圧力を上げることによってのみ達成される。歯肉溝の拡張は膨張する泡の圧力の結果として生じるものである。これでもなお、満足には解決しない;理由は、泡が最も抵抗の少ない経路を求め、歯肉ポケットから上方へむけて押し上がり、そこで膨張するからである。これらのシリコン退縮材料は歯肉溝に挿入された後に架橋し、引き続き、一小片として歯肉溝から取り除くことができる。しかし、この材料は非常に細かく流出して、破れ易い細かいフラッグを形成するため、材料の残渣が歯肉溝に残存する危険がある。
【0017】
特許文献16の記載にしたがって、退縮ペーストを使用する場合、圧入を実施する前にペーストを必ず洗い出さねばならないということが満足に解決されていないため、問題が起こる。圧入に先立ち、退縮ペーストを空気/水の吹き付けにより歯肉溝から洗い出さねばならない。退縮ペーストが固めの軟度であるため、多くの場合この処置を適切に実施することができず、それ故、徹底的な空気/水の吹き付けが必要とされるため、さらに引続いて出血がしばしば起こり得る。
【0018】
さらに、特許文献17に記載されている退縮ペーストは、藻類粉末またはクレーを含むが、その膨潤能力が不十分であり、そのため、歯肉溝の拡張に寄与することができない。これらの退縮材料のさらなる欠点は、材料の急速な乾燥、例えば、包装を開いた後の急速な乾燥である。水分含量が比較的高いため、特別の包装システムも必要とされる。
従って、既知の退縮材料の改良が引続き必要である。
【0019】
超吸収剤にもとづくペーストがすでに記載されている。特許文献18から、このタイプのペーストを知り得る。このものは5質量%までの超吸収剤ポリマーの粒子および少なくとも95質量%の水性ポリマー溶液を含有する。超吸収剤ポリマーとして、エチレン性不飽和酸、例えば、アクリル酸またはメタアクリル酸から誘導される150ないし850μmの粒子径を有する架橋ポリマーが記載されている。水性ポリマー溶液は5質量%までの固体物質を含み、該固体物質は、好ましくは、超吸収剤ポリマーの水溶性前駆体、例えば、ポリアクリル酸である。このペーストはコーティング基板に、または穿孔助剤として使用する。歯科医学での適用については開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】独国特許出願公開第2004032099号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第0317690号明細書
【特許文献3】国際公開第96/27342号
【特許文献4】独国特許発明第69006030号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0202367号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0069838号明細書
【特許文献7】独国特許発明第69006030号明細書
【特許文献8】米国特許第5,362,495号明細書
【特許文献9】独国特許出願公開第3737552号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第0317690号明細書
【特許文献11】独国特許出願公開第3736155号明細書
【特許文献12】独国特許出願公開第10103446号明細書
【特許文献13】独国特許発明第69634803号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2008/0220050号明細書
【特許文献15】国際公開第2008/012740号
【特許文献16】独国特許発明第69006030号明細書
【特許文献17】独国特許発明第69006030号明細書
【特許文献18】国際公開第2005/037,894号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
この先行技術にもとづき、問題は、非連続的であり、あまり粘着性ではなく、均一な糸状体として使用し易い、また例えば、空気/水の吹き付け器具を使用することで、容易に再び溶解除去し得るペースト様退縮材料を提供することであり、このものを使用して歯肉溝を拡張し、退縮材料の周辺領域にある血液および唾液などの液状物を濃厚化し、一体化することである。
【0022】
驚くべきことに、本発明よる退縮材料は実際上の膨潤作用に加えて、周辺の液状物を濃厚化し、一体化することが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、a)ペースト形成剤、b)超吸収剤粒子、およびc)少なくとも1種の収斂性添加剤を含有する歯肉溝拡張用ペースト状挿入材料に関する。
【0024】
驚くべきことに、かかる退縮材料ペースト製剤は、液状物と接触した際に、一方で、吸収した液体によりその体積を膨張させ、他方で、超吸収体の一部がペーストから拡散するか、および/または溶解排出されること、また拡散または溶解排出されるこの部分が、唾液、血液および損傷分泌物などの周辺の液状物を直ちに濃厚化、一体化および/または凝集に導くことが示された。
【0025】
この方法においては、歯肉溝の止血並びに拡張が支持される、すなわち、血液と唾液はその部位で接着し、すべての方向に無制限に流れ出すことはない。
【0026】
超吸収剤b)と多分追加物となる液状物吸収剤e)を含有する本発明による退縮材料のさらなる利点は、本退縮材料が先行技術において開示されているものよりも希薄な粘度に調整し得ることである。
【0027】
このものは先行技術に関し、以下の利点を有する:その一つは、希薄な粘度の結果として、既知の送達器具を用いてより容易な手作業適用が達成され、その結果、振盪と、従って損傷のリスクが回避可能であり、また第二に、適用システムのシリンジの針の直径を比較的に小さくすることができ、従って、患者にやさしい歯肉溝へのペーストの適用が可能となる。
【0028】
しかし、他方、液状物の吸収および液状物と結合する超吸収剤b)並びに多分存在する液状物吸収剤e)の膨潤と膨張により、充分に高い膨潤圧と充分な歯肉溝退縮または拡大が達成される。
【0029】
本発明によるペースト状材料は、20℃で13,000Paよりも大きい粘度測定値を有する。
【0030】
本発明によるペーストのさらなる実施態様においては、生物適合性の揮発性溶媒/物質を使用し得るが、これらは蒸発で熱を失う結果として、一つは、成分物質b)およびe)の吸収により放出される熱を相殺し、またそれを超えて、冷却作用を、従って血管収縮作用を創出する。
【0031】
歯肉溝組織からの液状物との接触の後、膨潤した超吸収剤粒子は、空気/水の吹き付けにより材料の表面から容易に除去し得るか、または水溶性収斂剤は容易に溶解し得るか、または粗大な充填剤物質は容易に除去することが可能であるが、その際に、空気/水の吹き付けのさらなる攻撃を容易にする欠け目が形成され、この方法により退縮材料を歯肉溝から容易に洗い出すことができる。
【0032】
この方法では、歯肉溝の深くに居座るペーストもまた、歯肉溝の機械的刺激と出血に導きかねない、如何なる犠牲を払っても避けるべき、長すぎる作業、または高すぎる水圧を必要とせずに、再度洗い流し得る。
【0033】
ペースト形成材料は、好ましくは親水性軟度を有し、また成分b)およびc)並びに多分添加される添加剤と組み合わせて、ペーストの製剤を可能とする成分a)として使用することができる。その場合、これらはプロセシングと適用の温度範囲において液状である;すなわち、通常、20℃ないし40℃の範囲で液状であり、また適用に必要な適合性を有する。
【0034】
好ましくは、成分a)は、柔軟性であるがもろくはない軟度の退縮材料に導き、好ましくは水で溶離できるように選択する。
【0035】
ペースト形成剤の例は、ポリシロキサン、ポリアルキレンオキシド、多価、取分け、二価もしくは三価の脂肪族アルコール、同定された二価、三価もしくは多価アルコールと飽和および/または不飽和のカルボン酸とのエステルまたは半エステル、液体炭化水素または水である。
【0036】
好ましくは、ペースト形成剤a)はポリシロキサン類、取分け好適なのは、ポリジアルキルシロキサン、ポリアルキレングリコール、特に、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールおよび/またはポリブチレングリコール;並びに二価脂肪族アルコール、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−エタンジオール、ブタンジオールまたはヘキサンジオール;または三価もしくはそれ以上の多価の脂肪族アルコール、特に、トリオール、例えば、グリセリンおよび/またはトリメチロールプロパンまたはテトラオール、ペンタオールまたはヘキサオール、例えば、ソルビトールなど;並びに前記アルコールのアルコキシル化誘導体、特に、エトキシル化型;並びに上記の二価、三価もしくは多価アルコールと飽和および/または不飽和カルボン酸とのエステルまたは半エステル、例えば、クエン酸アセチルトリブチルなどのグリセリンエステル、鉱油など;および特に、水または水とポリアルキレングリコールとの、および/または二価もしくは多価アルコールとの組み合わせである。好ましくは、無水ペーストもまた上記のペースト形成剤によって製剤化し得る。
【0037】
退縮材料の総質量に対しての成分a)の質量比率は、慣例として1ないし90%であり、好ましくは5ないし70%、特に好ましくは10ないし50%である。
【0038】
収斂剤b)としては、超吸収剤粒子が体積上昇添加剤として、これらが粒子形状で利用し得る範囲で使用することができる。これらは無機材料および、特に有機材料であってもよい。超吸収剤は、それらが水と接触して膨潤したときにそれらの自重の数倍を吸収することを特徴とする。本記載の目的上、超吸収剤とは室温でその質量の少なくとも2倍、好ましくは5倍、特に好ましくはその質量の10倍の水を吸収し得る材料をいう。
【0039】
好ましくは、成分b)は微小化した、および/またはナノ微粒子の超吸収剤粒子からなり、またそれらが水分吸収性および/または膨潤性および/または周辺もしくは表面結合性および/または凝結および/または凝集作用を有するように選択する。
【0040】
超吸収剤材料の例は、欧州特許出願公開第0317690号明細書に見出し得る。本発明による組成物において、成分b)は微粒子の形状で存在する。典型的に、成分b)は平均粒子径が50nmないし300μmの範囲、好ましくは100nmないし200μmの粉末であり、取分け好ましいのは、150μm未満、さらに好ましくは1μmないし100μmの粉末である。
【0041】
好適な成分物質b)は、1種以上のエチレン性不飽和酸のラジカル重合により誘導される重合体、およびエステル、アミドまたは無水物基を有するモノマーなどとラジカル重合させ得る多分追加するコモノマーである。該ポリマー中のエチレン性不飽和酸の割合は、典型的に、少なくとも55質量%、好ましくは55ないし99.9質量%に達する。
【0042】
エチレン性不飽和酸の例は、エチレン性不飽和のモノもしくはジカルボン酸、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸もしくはフマル酸、またはエチレン性不飽和スルホン酸、例えば、ビニルスルホン酸もしくは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。
【0043】
コモノマーとしては、好ましくはこれらのカルボン酸またはスルホン酸のアルキルエステルまたは無水物が使用される。
【0044】
好ましくは、該ポリマー中の酸基の少なくとも50%、特に、少なくとも75%がカルボン酸基である。これらは通常、少なくとも25モル%、好ましくは25ないし80モル%が中和され、例えば、アルカリ塩、アルカリ土類塩またはアンモニウム塩として存在する。
【0045】
取分け好適なのは、成分b)の好適な重合体が架橋したものである。この架橋化は少量の架橋可能なモノマー(“架橋剤”)の存在下、共重合の結果として達成される。架橋剤の比率は通常、ポリマーに対して0.001ないし5質量%である。代表的な架橋剤は、分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基をもつか、または少なくとも1個のエチレン性不飽和基と架橋用の少なくとも1個のさらなる基(例えば、複合体形成の結果としての分子中での機能付与基)をもつエチレン性不飽和モノマーである。
【0046】
架橋剤の例は、少なくとも2つの不飽和をもつアミド、例えば、メチレン−ビス−アクリルアミドまたはメチレン−ビス−アクリル−メタアクリルアミドまたは例えば、エチレン−ビス−アクリルアミド;またはポリオールとエチレン性不飽和酸との少なくとも2つの不飽和をもつエステル、例えば、ブタンジオール、エチレングリコールの、またはポリグリコール(例えば、ポリエチレングリコール)の、またはトリメチロールプロパンのジ(メタ)アクリル酸エステルまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル;または少なくとも−少なくとも2つの官能基をもつアリル化合物、例えば、(メタ)アクリル酸アリルエステル、シアヌル酸トリアリルエステル、ジイソシアヌル酸トリアリルエステル、マレイン酸ジアリルエステルまたはトリアリルアミンである。
【0047】
このタイプの化合物は国際公開第2005/037,894号から既知である。
【0048】
特に好適な成分b)は、ポリアクリル酸および/またはポリ(メタ)アクリル酸の塩、同様に具体的に好ましいのは、カリウム、アンモニウムおよび/またはナトリウム塩、または部分的に中和したポリ(メタ)アクリル酸である。好ましくは、これらは同様に微小化またはナノ粒子化の形状で存在し、好ましくは、20ないし1,000g/gの蒸留水の吸着性を有し、並びに1ないし10mmの膨潤サイズを有する(情報源:テクニカルデータシート;ストックハウゼンGmbH(株);KG)。
【0049】
このものの代わりに、またはこれらの好適な物質と組み合わせて、好ましくは他の膨潤可能な、親水性の高い粉末状物質を成分b)として使用することもできる。
【0050】
驚くべきことに、超吸収剤粒子b)および多分追加する液体吸収剤を本発明のペースト状柔軟性退縮材料に使用する結果として、柔軟性のある適用し易い軟度が有利に達成可能となること、その利点は先行技術にて開示されているものよりも低い粘度が選択し得ることである。先行技術と対照的に、本発明は以下の利点を有する:第一に、より低い粘度であることの結果として、既知の送達器具を用いる容易な手作業での適用が可能となり、その結果、振盪および従って損傷のリスクが回避できる;第二に、適用システムのシリンジの針の直径を、例えば、0.2ないし2mmの範囲、特に、0.2ないし1.5mm、さらにより好ましくは、0.2ないし1mmの範囲に、比較的に小さくできる;従って、患者にやさしい歯肉溝へのペーストの適用が可能となる。
【0051】
しかし、他方で、液状物の吸収と、液状物と結合する超吸収剤b)および多分追加する液状物吸収剤の膨潤と膨張の結果として、充分に高い膨潤圧と充分な歯肉溝の退縮または拡大が達成される。
【0052】
退縮材料の総質量に対する成分b)の質量比は、慣例として、0.1ないし90%、好ましくは1ないし70%、取分け好ましいのは、2ないし50%である。
【0053】
収斂性添加剤は成分c)として使用する。それによって、これらは罹患している歯肉溝組織に対し血管収縮および/または止血的に作用する止血剤となり得る;それらは、例えば、水溶性アルミニウム塩、例えば、カリウム明礬、塩化アルミニウム、塩素酸アルミニウム、塩化ペンタヒドロキシジアルミニウム、塩酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム;並びにマンガン塩またはビスマス塩、例えば、過マンガン酸カリウム、硝酸ビスマスまたはサリチル酸ビスマス;または他の塩基性、酸性もしくは両性の水溶性アルミニウム塩;または鉄または亜鉛塩、例えば、塩化亜鉛、酸化亜鉛、サリチル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、リン酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、塩化鉄、硫酸鉄;またはハロゲン化アルカリ、例えば、塩化ナトリウムである。
【0054】
収斂性添加剤c)のさらなる例は酢酸アルミニウム、エピネフィリン、アドレナリン、ノルアドレナリン、エフェトミン、プリビン、オトリベン、エタクリジン、ネガトール、オキシキノリン、タンニン酸、タンニンまたはその他の血管収縮剤;さらに過酸化水素、カルバミドペルオキシド、ペルオキソ塩もしくはペルオキソ化合物またはポリアジリジン塩酸塩である。
【0055】
カリウム明礬は、それがアルミニウムイオンによる止血作用に加えて、カリウムイオンによりさらに脱感作作用を有するので、収斂性添加剤c)として特に好適である。さらに、カリウム明礬は高度に生物適合性であり、脱臭剤として、または止血治療剤として多くの適用のあることが知られている。
【0056】
収斂性添加剤c)および特にカリウム明礬および/または塩化アルミニウムは、本発明によるペースト中に、ナノ粒子の形状で、または微小化微細摩砕結晶の形状で、または結晶形状で、溶液として混合することができる。
【0057】
さらに、収斂性添加剤c)としては、室温で少なくとも0.5g/リットルの水溶性を有するカルシウム塩を使用することができる。特に好適なものは、硫酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、水酸化カルシウム、リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウムおよび酢酸カルシウム、並びにアミノ酸、アルドン酸およびウロン酸のカルシウム塩、またはアルギン酸カルシウムである。
【0058】
退縮材料の総質量に対する成分c)の質量比は、慣例として、0.1ないし60%、好ましくは0.1ないし50%、および特に好ましくは2ないし50%である。
【0059】
本発明による退縮材料は、上記の成分a)、b)およびc)に加えて、この材料に所望のまた有利な性質を付与するさらなる成分をも含有する。
【0060】
退縮材料の総質量に対するこれらの追加成分の質量比は、通常、0.1ないし90%、好ましくは1ないし60%、特に好ましくは2ないし50%である。
【0061】
いずれかのタイプの有機および/または無機充填剤物質は成分d)として使用可能であり、その程度は、それらが少なくとも1μmの粒子径を有し、好ましくは歯科用空気/水噴射器により除去し得るものである。
【0062】
好ましくは、成分d)の充填剤粒子は、1μmないし200μmの範囲、好ましくは1μmないし100μm、特に好ましくは5μmないし75μmの粒子径を有する。この比較的に粗大な粒子径の結果としては、適用後の容易な洗浄除去またはすすぎ出しが歯科用空気/水噴射器により確実なものとし得る。
【0063】
驚くべきことに、空気/水噴流は上記の粗大な充填剤粒子を引きちぎってしまうことが判明した。本発明方法では、歯肉溝の深みに居座るペーストも、歯肉溝の機械的刺激と出血に導きかねない、如何なる犠牲を払っても避けるべき長すぎる作業、または高すぎる水圧を必要とせずに、再度容易に洗い流し得る。
【0064】
成分d)の好適な材料の例は、酢酸アルミニウム、ケイ酸塩、シート状ケイ酸塩、特にそのカオリナイト、スメクタイト、イライト、亜塩素酸塩、タルカム、バーミキュライト、サオコナイト、サポナイト、ナウトロナイト、モンモリロン石およびマイカ、並びにクリストバライト、石英、ウオラストナイト、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、歯科用ガラス、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化希土類とフッ化希土類、硫酸バリウム、酸化ジルコン、ポリマー粉末、特にポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、メタアクリル酸ポリメチル粉末、ポリウレタン粉末および/または固体シリコン樹脂である;好適なものは、X線不透過フッ化物放出物質である。X線不透過充填剤物質の介助のもとに、歯肉溝に潜在的に残存する退縮材料の残部はX線分析により検出することができる。フッ化物放出充填剤物質の例はフルオルケイ酸アルミニウムガラスである。X線不透明充填剤物質の例は、以下の金属の酸化物である:Zn、W、Ag、Yb、Y、Gd、Zr、Sr、Ba、Ta、Nb、Mo、Sn、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zr;特に、二酸化ジルコン、酸化ストロンチウム、酸化ビスマス、酸化ランタン、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化イッテリビウム、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化モリブデン、並びに硫酸塩、特に、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸ビスマス;炭酸塩、例えば、オキシ炭酸ビスマスおよび炭酸ストロンチウム;ケイ酸塩、例えば、ケイ酸ジルコニウム並びにカーバイドおよびリン酸塩である。さらなる例は、フッ化イッテルビウム、オキシ塩化ビスマス、タングステン酸カルシウム、バリウムおよびストロンチウムガラス、並びに微細に分布する金属、例えば、亜鉛、タングステン、銀、イッテルビウム、イットリウム、ガドリニウム、ジルコニウム、ストロンチウム、タンタル、ニオブ、モリブデン、ランタンまたはそれらの合金である。
【0065】
退縮材料の総質量に対する成分d)の質量比は、通常、0ないし90%、好ましくは5ないし70%、特に好ましくは10ないし50%である。
【0066】
取分け好適な充填剤物質は、収斂剤の性質をも有する物質である。これらは、例えば、水溶性の収斂剤であってもよい。ここで、水溶性とは20℃で少なくとも130g/Lの水に対する溶解性を意味する。かかる成分の例はカリウム明礬または塩化アルミニウムである。
【0067】
体液である唾液、血液および傷の分泌物を最初に吸収するための液状物吸収剤は、成分e)として使用し得るものであり、ゼオライト、例えば、ケイ酸カリウム、カルシウム、ナトリウム、アルミニウムなど、特に、30%までの水吸収性をもつゼオライト、好ましくは3ないし13Åの孔径をもつもの、さらに特に好ましくは3ないし5Åのものである;さらには、シリカゲル、例えば、ブルーゲル;硫酸アルカリ土類および硫酸金属、例えば、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、シート状ケイ酸塩などである。
【0068】
これら上記の化合物は、それ自体、それらが水を吸収して顕著な体積膨張を示さず、結晶構造または空隙に水を取り込むことで区別する。成分e)のさらなる例は、一定の水の吸収を示し、従って一定の膨潤性を示す化合物であり、例えば、10ないし50質量%の水を吸収する。かかる成分e)の例は、モルトデキストリン、アルギン酸塩、コラーゲン、イナゴマメガム、キトサン、寒天、カラーゲナン、グアガム、アラビアゴム、スクシノグリカンガム、グア、トラガカント、カラヤガム、キサンタン、ペクチン、セルロースおよびそれらのイオノゲンおよび非イオノゲン誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはメチルヒドロキシプロピルセルロース、疎水性に修飾したセルロース、スターチ、スターチエーテルおよび修飾スターチ、並びに高分子ポリエチレングリコールである。
【0069】
退縮材料の総質量に対する成分e)の質量比は、慣例的に、0ないし80質量%、好ましくは0.1ないし70質量%、特に好ましくは1ないし60質量%である。
【0070】
脱感作剤は成分f)として使用し得るものであり、脱感作金属イオンを有するか、および/または開口した歯細管を、ナノ粒子により閉鎖するか、および/または神経衝動に影響するフッ素化イオンによる硬い歯の物質の鉱化作用により閉鎖する成分である。このものの例は、カリウムおよびストロンチウム塩、例えば、塩化カリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、クエン酸カリウム、酢酸カリウム、硝酸カリウム、塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、クエン酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、乳酸ストロンチウムおよびオイゲノールである。
【0071】
脱感作剤f)のさらなる例はフッ化物である。これらは特にう歯(虫歯)の治療に、また予防に使用する。これらのフッ化物は慣例として、ペーストに対してフッ素として0.1〜0.5質量%の量で使用する。特に好ましいのは、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化スズまたはモノフルオロリン酸塩、例えば、モノフルオロリン酸ジナトリウム(NaPOF)、モノフルオロリン酸ジカリウムまたは有機アミノ化合物のフッ化物、例えば、オラフルール(Olaflur;登録商標)(製造会社:ガバ(Gaba))である。
【0072】
本発明による退縮材料用のさらなる脱感作物質f)は、孤立した、凝集した、および集塊した形状の拡散し得るナノ粒子であり、水、湿気、唾液および/または血液で湿潤して、開口した歯細管を閉鎖し得るものである。歯細管の直径は約0.8μmである(対比:van Meerbeck et al., Operative Dentistry, Suppl. 5, 1992, 111-124)。このものの例は、難溶性または不溶性のリン酸のアルカリ、アルカリ土類および金属塩、それらのポリリン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、ヒドロキシルリン酸塩、フッ素化リン酸塩、炭酸塩リン酸塩、ヒドロキシルフロリドリン酸塩、酸化物、ケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、フッ化物、チタン酸塩、例えば、微粒子化および好ましくはナノ粒子ヒドロキシリン酸カルシウム(Ca[OH(PO])、フルオロリン酸カルシウム(Ca[F(PO])、一般式Ca(PO(OH)(式中、xおよびy=1)で示されるフッ化物ドープヒドロキシルアパタイトおよびフッ化カルシウム(CaF)である。さらに取分け好ましいのは、ヒドロキシルアパタイトおよび/またはフルオロアパタイト、リン酸カルシウム、無定形リン酸カルシウム、ホスホノケイ酸カルシウムナトリウム、ケイ酸アルカリおよびアルカリ土類、金属酸化物、例えば、SiO、ZrO、ZnO、TiO、並びに酸化セリウムアルミニウム、塩化アンモニウムにより機能化したシリカゲル、三フッ化アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、チタン酸アルミニウムである。
【0073】
無定形のリン酸カルシウムおよび/またはストロンチウムは、適用に際し、口腔内でその場で形成させることもできる。そうするためには、水溶性リン酸アルカリ、ピロリン酸テトラアルカリ、リン酸水素ジアルカリおよびリン酸二水素アルカリを退縮材料に加える;これらは唾液からのカルシウム、歯のヒドロキシルアパタイトからのカルシウムイオンと共に、または添加した包埋カルシウムイオン含有溶媒からのカルシウムおよび/またはストロンチウムと共に放出されるか、または2成分系の場合には、混合による第二成分から放出され、対応するナノ粒子状の不溶性リン酸塩の沈殿を生じる。このため、リン酸イオンも包埋された形状で存在し得る。適当な可溶性リン酸塩の例は、ピロリン酸テトラナトリウムおよびテトラカリウム、リン酸水素ジナトリウムおよびジカリウム、並びにリン酸二水素ナトリウムおよびカリウムである。取分け好適なのは、ピロリン酸テトラナトリウムおよびテトラカリウム、リン酸水素ジナトリウムおよびジカリウム、リン酸二水素ナトリウムおよびカリウム、無定形リン酸カルシウム(ACP)、無定形フッ化リン酸カルシウム(ACPF)、無定形リン酸炭酸カルシウム(ACCP)、無定形フッ化リン酸炭酸カルシウム(ACCPF)、無定形リン酸ストロンチウム(ASP)、無定形リン酸ストロンチウムカルシウム(ASCP)、無定形リン酸炭酸ストロンチウムカルシウム(ASCCP)および無定形フッ化リン酸炭酸ストロンチウムカルシウム(ASCCPF)である。
【0074】
本発明のさらなる実施態様において、脱感作作用するナノ粒子はその場で創製し得る。そうするためには、例えば、シランおよび/または金属アルコキシドを退縮材料に添加し得る;このものは退縮材料に唾液からの水分が加わることでアルコールとナノ粒子金属オキシドに解離する。この例はチタニウムテトラアルコラート、例えば、チタニウムテトライソプロピラートまたはチタニウムテトラ−n−ブチラート、並びにジルコニウムテトラアルコラート、例えば、ジルコニウムテトラプロピラートまたはジルコニウムテトラブチラートであり、これらは水の添加により急速にナノ粒子酸化チタニウムまたは二酸化ジルコニウムに変換される。有機的に官能化したシラン、チタン酸塩および/またはジルコン酸塩を使用することにより、官能基をナノ粒子の構造中に組み込むことができる。
【0075】
退縮材料の総質量に対する成分f)の質量比は、慣例的に、0ないし80%、好ましくは0.01ないし60%、特に好ましくは0.01ないし40%である。
【0076】
可能な添加物のさらなる例は、粘度、軟度およびレオロジー、例えば、流動限界、チキソトロピー、構造粘性などを選定するためのペースト増粘剤g)である。成分g)の例はペンタエリスライト、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、キサンタン、ポリアクリル酸(カルボポール(Carbopol;登録商標))およびそれらの塩、エステルおよび誘導体、鉱油ワックス、ポリオレフィンワックス、ポリイソブテンワックス、ポリエーテルワックス、トリグリセリドおよび/またはジグリセリドである。
【0077】
可能なペースト増粘剤g)のさらなる例は、増粘性有機および/または無機充填剤物質である。本明細書記載の範囲内で、これらは少なくとも50m/gのBET表面を有する高度分散性活性充填剤と理解されるべきである。
【0078】
好ましくは、増粘性充填剤は、ナノ粒子線維またはフレーク様充填剤物質として、例えば、無機質線維性充填剤として、または合成繊維性充填剤として存在する。
【0079】
取分け適切なペースト増粘剤g)は、個々の粒子径がナノメーターの範囲、好ましくは7〜40nmの範囲のものであり、これらは好ましくは100〜800nmの範囲の凝集体(共に成長し、互いに隣り合って二次元的に位置する微結晶の複合体)であるか、または好ましくは10〜200μmの範囲の集塊(共に成長したものではない複合体、例えば、互いに隣り合って、例えば、コーナーまたはエッジに位置する微結晶および/または凝集体)として存在し得る。好適な増粘性充填剤は、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化シリコン、沈殿性シリカ、火成シリカ、シート状ケイ酸塩(ベントナイト(Bentonite;登録商標)、オプチゲル(Optigel;登録商標))、およびそれらの組み合わせであり、この場合、例えば、シラン化シリカなどの表面被覆増粘性充填剤を使用し得る。
【0080】
勿論、先に認定した化合物は、個々にまたは互いに、および親水性形状のものと、並びに疎水性形状のものと組み合わせて使用し得る。さらに、少なくとも1種の増粘剤は、好ましくは、ナノ粒子線維またはフレーク様充填剤として、例えば、無機質線維性充填剤として、または合成繊維性充填剤として存在し得る。
【0081】
この場合、ナノ粒子は好ましくはゾル−ゲル法により、水ガラスにより調製され、5ないし200nmの非常に狭い粒子径分布、好ましくは5ないし100nm、取分け好ましくは5ないし50nmの非常に狭い粒子径分布を有する単一分散(凝集または集塊していない)球状のシラン化SiOナノ粒子(またはTiOおよび/またはZrOナノ粒子)である。
【0082】
本発明による退縮材料の特に好適な実施態様においては、粘度、軟度およびレオロジーの調整が、ペースト増粘剤の添加なしに行われるが、成分a)、b)およびc)を適切な組成とした結果としてのものである。
【0083】
退縮材料の総質量に対する成分g)の質量比は、慣例的に、0ないし90%、好ましくは0ないし70%、取分け好ましくは0.1ないし50%である。
【0084】
成分h)としては、粘度と軟度の調整に寄与し得る、および/または蒸発熱喪失の結果として鎮痛性の冷却性を達成する、および/または吸収過程にて放出される熱を相殺するための溶媒を使用し得る。その例はアルコール類、例えば、エタノールもしくはイソプロパノール;またはケトン類、例えば、アセトンもしくはエチルメチルケトン;またはエーテル、例えば、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテルもしくはジビニルエーテルなど;または揮発性炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサンなど;またはその他の溶媒、例えば、炭酸プロピレン、並びに水である。
【0085】
本発明によるペーストの特に好ましい実施態様においては、生物適合性の揮発性溶媒または物質を使用する。一つには、当該ペーストの適用の間またはその間の蒸発により失われる熱、および成分b)およびe)による吸収に際して放出される熱、さらにはそれらが冷却作用および血管収縮作用を有することの結果として、これらは相殺される。
【0086】
退縮材料の総質量に対する成分h)の質量比は、慣例的に、0ないし40質量%、好ましくは0.1ないし30質量%、取分け好ましくは1ないし20質量%である。
【0087】
可能な添加剤のさらなる例は、歯肉溝組織の引続く感染を回避するための殺菌性物質i)である。このものの例は、フェノール類、例えば、フェノール、レソルシノール、および/またはビスフェノール;またはサリチルアニリドおよびアミド類、並びにそれらのハロゲン化誘導体、ハロゲン化カルボアニリドおよびp−ヒドロキシ安息香酸エステル類である。
【0088】
当該殺菌性物質i)の中でも、抗微生物成分は、特にプラーク細菌の増殖を抑制するのに適切である。これらの内でも、例えば、ハロゲン化ジフェニルエーテル類、例えば、2,4−ジクロロ−2′−ヒドロキシジフェニルエーテル、4,4−ジクロロ−2′−ヒドロキシジフェニルエーテル、2,4,4′−トリブロモ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル、2,4,4′−トリクロロ−2′−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)が抗微生物活性成分として好適である。ブロモクロロフェン、ビスビグアニド類、例えば、クロロヘキシジン、クロロヘキシジングルコン酸エステル、アレキシジン、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニルサリチル酸エステルおよび5−アミノ−1,3−ビス−(2−エチルヘキシル)−ヘキサヒドロ−5−メチルピリミジン(ヘキセチジン)に加えて、さらにナノ粒子銀、銅、亜鉛および銅塩類が抗微生物剤として作用する;その際、特にヘキセチジンおよびトリクロサンとの組み合わせにおいて相乗作用が生じる。さらに、四級アンモニウム化合物、例えば、塩化セチルピリジニン、塩化ベンアズルコニウム、臭化ドミフェンおよび塩化デクアリニウムが使用可能である。オクタピノール、オクテニジン、サンギナリン、チモール、メントール、ちょうじ油、けいひ油、レモングラス油およびキトサンもまた酸化され易い抗微生物剤として有効な物質であることが示されており、ここではグリコデキストリンと組み合わせた分子包接により使用することができる。
【0089】
退縮材料の総質量に対する成分i)の質量比は、慣例的に、0ないし10%、好ましくは0.01ないし5%、取分け好ましくは0.1ないし3%である。
【0090】
緩衝剤物質は成分j)として使用し得る。その例はシート状ケイ酸塩であり、それらはそれらの層構造とカチオン交換能力に基づいて、プロトンを受容する状況にあり、その様式で緩衝作用を達成する。その例は、シュードヘミー(SudChemie AG)が製造する製品K40またはエレメンティス(Elementis)が製造するベントンタイプなどのスメクティックグループのシートケイ酸アルミニウムで代表されるカルシウムモンモリロン石である。さらなる適切な緩衝物質は、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウムおよび/または炭酸カリウムである。
【0091】
退縮材料の総質量に対する成分j)の質量比は、慣例的に、0ないし10%、好ましくは0.01ないし5%、取分け好ましくは0.1ないし3%である。
【0092】
さらに、本発明による退縮材料はさらなる添加剤k)、例えば、臭気、味、着色剤、界面活性剤、乳化剤、知覚適用または視覚化用の、または結合性および表面湿潤性をもつ指示薬などを含有し得る。
【0093】
界面活性剤の例は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、好ましくは生物適合性の生物学的に分解可能な界面活性剤、例えば、脂肪族アルコリルエトキシラート、シリコン界面活性剤、グリコシド界面活性剤などであり、その質量比は0ないし5質量%、好ましくは0.01ないし4質量%、特に好ましくは0.1ないし3質量%である。
【0094】
使用し得る着色剤の例は、可溶性着色剤、色素、ラッカー着色剤であり、その含有率は0ないし5質量%、好ましくは0.001ないし3質量%、特に好ましくは0.01ないし1質量%である。
【0095】
本発明による退縮材料は、単一成分材料として、並びに多成分材料として、好ましくは、成分AおよびBからなる2成分材料として製剤化し得る。2成分または多成分材料は、特に、製剤の2成分が保存中に互いに反応しないようにする場合に使用する。従って、特定の材料を組み合わせる場合、例えば、超吸収剤粒子b)が特定成分であるために早い段階で膨潤するか、および/または架橋してしまうリスクがある。このことは、例えば、水との、またはグリセリンなどの特定アルコールとの組み合わせの場合である。そのような場合、成分Aは保存のために超吸収剤粒子b)で製剤し、一方、成分Bは水またはグリセリンなど、超吸収剤に影響する成分で製剤する。
【0096】
本発明の好適な実施態様によると、当該退縮材料は2成分系退縮材料として製剤するが、その場合、塩基成分Aは、
a)少なくとも、超吸収剤粒子を含有し、
成分Bは、
b)少なくとも、水および/またはグリセリンなどのアルコールを含有し、
また、その場合、
c)少なくとも1種の収斂剤が塩基成分Aおよび/または成分B中に含有される。
【0097】
さらに特に好適な実施態様において、本発明による退縮材料は、成分a)、b)、c)およびd)の少なくとも1つを含有する。
【0098】
本発明によるペースト状退縮材料は、高膨潤性および水吸収挙動を特徴とする。このことは水滴を添加した後、より糸(撚糸)状の退縮材料の体積膨張によって特性化し得る。体積1cmのより糸形状の好適な退縮材料は、水滴の添加により、添加した水1グラム当たり少なくとも1.6cmの体積増加、好ましくは添加した水1グラム当たり1.6ないし20cm、特に好ましくは添加した水1グラム当たり8ないし20cmの体積増加を示す。
【0099】
取分け好適な退縮材料は、水を加えることにより、30%を超える体積膨張、好ましくは少なくとも50%の膨張、取分け少なくとも100%の膨張を示す。この体積膨張は、実施例12ないし19に記載するように決定する。
【0100】
本発明によるペースト状退縮材料は、さらに良好な軟度を特徴とする。
【0101】
本発明およびそのさらなるゴール、特徴および利点のより良い理解のために、添付の図面に図式化して示すが、これらは説明のみを目的とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】歯の断面構造図である。
【図2】本発明による退縮材料を挿入した後の図1のA部分の詳細断面図である。
【図3】本発明による退縮材料で歯肉溝を拡張した後の図1の区分Aの詳細な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
図1は歯肉溝2、すなわち、歯1と歯肉3の間のポケット形状の陥凹を示す。
【0104】
図2は図1のA部分の詳細な断面図として歯肉溝2における退縮材料4の適用を示す。歯肉溝2の拡張のために、退縮材料4を歯肉溝2に挿入する。
【0105】
さらなる成分d)ないしi)を加えることにより、本発明による退縮材料4はさらなる所望の有益な性質を受容し得る。
【0106】
本発明による退縮材料4は、ペースト形成剤a)、超吸収剤粒子b)および収斂剤c)8を含有する。超吸収剤は、歯肉3からの血液または接触による口内からの唾液および/または水分などの液状物の5および6の吸収により、それ自体の質量の数倍吸収し、その結果膨潤する様式で特徴づけられる。
【0107】
収斂性添加剤c)8は、退縮材料4からの拡散9により、罹患した歯肉組織3に対して血管収縮および止血的に作用する。
【0108】
好適な実施態様において、本発明による退縮材料は脱感作剤f)10を含有する。退縮材料4から歯1への拡散11のため、特定の選択した脱感作剤f)10は、硬い歯の物質10の鉱質強化法により、例えば、フッ化物により、および/または開口した歯細管13を、例えば、ナノ粒子により閉鎖12することにより、歯1の神経衝動に影響を与え、その結果として、脱感作を達成する。
【0109】
図3は大きく広がった歯肉溝14を示し、この拡張は本発明による退縮材料4を用いることにより創出した。退縮材料4の本発明に含まれる超吸収剤は幾つもの利点を提供する。一つには、それらはそれらの組成の故に、優れた膨潤作用をもたらし得る。さらに、それらは優れた圧縮圧を可能とし、それによって歯肉溝2の高い退縮15および止血作用も可能となる。もう一つは、それらはゲル化16により退縮材料4の周囲の液状物を一体化する状況にあり、その結果、退縮材料4は流出しない。
【0110】
以下の実施例は本発明を説明するためのものであり、制限するものではない。この場合、明示してある百分比は、特に断りのない限り、それぞれ質量比に関わる。
【実施例1】
【0111】
ペースト形成剤としてのポリエチレングリコールジメチルエーテルによる退縮ペーストの製造:
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;35質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤:31質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:24質量%の二酸化ケイ素(平均粒子径7μm)
収斂性添加剤:10質量%の塩化アルミニウム。
【0112】
カニューレ付のシリンジにより、より糸状のペーストとして送達し得る粘稠な退縮材料が得られた。本材料の軟度は29mmであった(15秒間1,500gの負荷を掛けるISO4823に従い測定)。
【0113】
膨潤および水吸収挙動を解析するために、カニューレ付のシリンジにより送達したより糸状の退縮材料(長さ50mm、直径2.2mm)を段階的に水滴と混合する。最初、水滴は退縮材料に完全に吸収される;その結果として材料が膨張する。糸の当初の体積増加は添加した水1グラム当たり1.8cmである。この体積膨張の後も退縮材料は固めの軟度をもち続ける。糸状退縮材料の質量の2倍から始めた水のさらなる添加により、糸に滴下した水は最早完全には吸収されなくなるが、糸の周囲の部分が濃厚になる。この濃厚化は当初の糸体積の数倍にまで、さらに明瞭な糸体積の増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有する。
【0114】
水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0115】
本実施例は、本発明において、適用が容易で、適用後に容易に除去し得る退縮材料であって、水または水性システムとの接触により有意な膨潤を示し、周囲の水性液状物を濃厚化する退縮材料を提供することが可能であることを示す。従って、歯肉溝拡張のため適用した直後に、本材料は周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。
【実施例2】
【0116】
ペースト形成剤としてのグリセリンによる退縮材料の製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;35質量%のグリセリン
超吸収剤:31質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:24質量%の二酸化ケイ素(平均粒子径7μm)
収斂性添加剤:10質量%の塩化アルミニウム。
【0117】
カニューレ付のシリンジにより、より糸状のペーストとして送達し得る粘稠な退縮材料が得られる。本材料の軟度は14mmであった(15秒間1,500gの負荷を掛けるISO4823に従い測定)。
【0118】
膨潤および水吸収挙動を解析するために、カニューレ付のシリンジにより送達したより糸状の退縮材料(長さ50mm、直径2.2mm)を段階的に水滴と混合する。最初、水滴は退縮材料に完全に吸収される;その結果として材料が膨張する。より糸の当初の体積増加は添加した水1グラム当たり2.7cmである。この体積膨張の後も退縮材料は固めの軟度をもち続ける。糸状退縮材料の質量の2倍から始めた水のさらなる添加により、糸に滴下した水は最早完全には吸収されなくなるが、糸の周囲の部分が濃厚になる。この濃厚化は当初の糸体積の数倍にまで、さらに明瞭な糸体積の増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有する。
【0119】
水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0120】
本実施例は、ポリオール、特にグリセリンの使用が、水酸基の相互作用および三次元ネットワークの構造により、あまり粘着性ではないより合わせた糸を送達することを可能とすることを示す;それによって、退縮材料はその有意な膨潤性によって歯肉溝を拡張する状況にあり、周囲の血液および唾液を濃厚化し一体化することができる。
【実施例3】
【0121】
ペースト形成剤としてのポリエチレングリコールジメチルエーテルおよびグリセリンの混合物による退縮材料の製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;25質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
ペースト形成剤;10質量%のグリセリン
超吸収剤:31質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:24質量%の二酸化ケイ素(平均粒子径7μm)
収斂性添加剤:10質量%の塩化アルミニウム。
【0122】
カニューレ付のシリンジにより、紐状のより糸として送達し得る非粘着性の固めの退縮材料が得られる。本材料の軟度は22mmであった(15秒間1,500gの負荷を掛けるISO4823に従い測定)。
【0123】
当該より糸(長さ50mm、直径2.2mm)の当初の体積増加は添加した水1グラム当たり2.0cmである。この体積膨張の後も退縮材料は固めの軟度をもち続ける。糸状退縮材料の質量の2倍から始めた水のさらなる添加により、より糸に滴下した水は最早完全には吸収されなくなるが、糸の周囲の部分が濃厚になる。この濃厚化は当初のより糸体積の数倍にまで、さらに明瞭な糸体積の膨張を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有する。
【0124】
水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0125】
本実施例は、ポリオール類の組み合わせ、特にペースト形成剤としてグリセリンとポリエーテルとの組み合わせにより、水酸基の相互作用と三次元ネットワークの構築が可能であること、その結果として、不連続のあまり粘着性のない容易に適用可能な紐状のより糸として送達し得る退縮材料を製造し得ることを示す;それによって、退縮材料は歯肉溝を拡張する状況に置かれ、周囲の血液および唾液を濃厚化し一体化することができる。
【実施例4】
【0126】
ペースト形成剤としてのホワイト油による退縮材料の製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;35質量%の炭化水素ホワイト油(20℃の粘度:200mPa・s)
超吸収剤:31質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:24質量%の二酸化ケイ素(平均粒子径7μm)
収斂性添加剤:10質量%の塩化アルミニウム。
【0127】
カニューレ付のシリンジにより、より糸状のペーストとして送達し得る粘稠な退縮材料が得られる。本材料の軟度は28.5mmであった(15秒間1,500gの負荷を掛けるISO4823に従い測定)。
【0128】
膨潤および水吸収挙動を解析するために、カニューレ付のシリンジにより送達したより糸状の退縮材料(長さ50mm、直径2.2mm)を段階的に水滴と混合する。より糸の当初の体積増加は添加した水1グラム当たり0.5cmである。滴下した水は完全には吸収されなくなるが、糸の周囲の部分が濃厚になる。この濃厚化は当初の糸体積の数倍にまで、さらに明瞭な糸体積の増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有する。
【0129】
水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0130】
本実施例は、容易に適用することができ、適用後、再度容易に除去し得るものであって、そこに適用する水または水性システムに関して有意な粘度増加作用を有する退縮材料を本発明により提供し得ることを示す。従って、該退縮材料は歯肉溝への適用直後、周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。
【実施例5】
【0131】
ペースト形成剤としてのシリコン油による退縮材料の製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;35質量%のトリメチルシリル末端化ポリジメチルシロキサン(20℃の粘度:200mPa・s)
超吸収剤:38質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:19質量%の二酸化ケイ素(平均粒子径7μm)
収斂性添加剤/止血剤:8質量%の塩化アルミニウム。
【0132】
カニューレ付のシリンジにより、糸状のペーストとして送達し得る粘稠な退縮材料が得られる。本材料の軟度は28.5mmであった(15秒間1,500gの負荷を掛けるISO4823に従い測定)。
【0133】
退縮材料の膨潤および水吸収挙動を解析するために、カニューレ付きシリンジにより送達したより糸(長さ50mm、直径2.2mm)を段階的に水滴に接触させる。より糸の当初の体積増加は添加した水1グラム当たり0.3cmである。滴下した水は完全には吸収されないが、糸の周囲の部分が濃厚になる。この濃厚化は当初の糸体積の数倍にまで、さらに明瞭な糸体積の増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有する。
【0134】
水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0135】
本実施例は、容易に適用することができ、適用後、再度容易に除去し得るものであって、そこに適用する水または水性システムに関して有意な粘度増加作用を有する退縮材料を本発明により提供し得ることを示す。従って、該退縮材料は歯肉溝への適用直後、周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。
【実施例6】
【0136】
溶媒としてのエタノールの添加による退縮ペーストの製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;25質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤:35質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:20質量%の二酸化ケイ素(平均粒子径7μm)
収斂性添加剤:10質量%の塩化アルミニウム
溶媒:10質量%のエタノール。
【0137】
カニューレ付のシリンジにより、より糸状のペーストとして送達し得る粘稠な退縮材料が得られる。本材料の軟度は32mmであった(15秒間1,500gの負荷を掛けるISO4823に従い測定)。
【0138】
膨潤および水吸収挙動を解析するために、カニューレ付のシリンジにより送達したより糸状の退縮材料(長さ50mm、直径2.2mm)に段階的に水滴を加える。最初、水滴は退縮材料に完全に吸収される;その結果として材料が膨張する。より糸の当初の体積増加は添加した水1グラム当たり1.8cmである。この体積膨張の後も退縮材料は固めの軟度をもち続ける。糸状退縮材料の質量の2倍から始めた水のさらなる添加により、糸に滴下した水は最早完全には吸収されなくなるが、糸の周囲の部分が濃厚になる。この濃厚化は当初の糸体積の数倍にまで、さらに明瞭な糸体積の膨張を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有する。
【0139】
水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0140】
上記の実施例に加えて、本実施例では、溶媒の使用が冷却作用、鎮痛作用およびそれによる止血作用をもたらすが、この場合、退縮材料は歯肉溝を拡張し、それを取り巻く血液および唾液を濃厚化し、一体化する状況にあることを示す。
【0141】
水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【実施例7】
【0142】
脱感作物質としてのナノ粒子ヒドロキシルアパタイトによる退縮ペーストの製造:
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;35質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤:31質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:14質量%の二酸化ケイ素(平均粒子径7μm)
脱感作添加剤:10質量%のヒドロキシルアパタイトナノ粒子
収斂性添加剤:10質量%の塩化アルミニウム
【0143】
カニューレ付のシリンジにより、より糸状のペーストとして送達し得る粘稠な退縮材料が得られる。本材料の軟度は28mmであった(15秒間1,500gの負荷を掛けるISO4823に従い測定)。
【0144】
膨潤および水吸収挙動を解析するために、カニューレによりシリンジから送達したより糸状の退縮材料(長さ50mm、直径2.2mm)に段階的に水滴を加える。最初、水滴は退縮材料に完全に吸収される;その結果として材料が膨張する。より糸の当初の体積増加は添加した水1グラム当たり1.8cmである。この体積膨張の後も退縮材料は固めの軟度をもち続ける。糸状退縮材料の質量の2倍から始めた水のさらなる添加により、糸に滴下した水は最早完全には吸収されなくなるが、糸の周囲の部分が濃厚になる。この濃厚化は当初の糸体積の数倍にまで、さらに明瞭な糸体積の増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有する。
【0145】
水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0146】
本実施例は、容易に適用することができ、適用後、容易に除去し得るものであって、水または水性システムとの接触により膨潤し、周囲の水性液状物を濃厚化する退縮材料を本発明により提供し得ることを示す。従って、該退縮材料は歯肉溝への適用直後に歯肉溝を拡張し、周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。
【実施例8】
【0147】
液体吸収剤としてのゼオライトによる退縮材料の製造:
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;35質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤:31質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:15質量%の二酸化ケイ素(平均粒子径7μm)
ゼオライト:9質量%、孔径4Åのケイ酸アルミニウムカリウムの形状
収斂性添加剤:10質量%の塩化アルミニウム
【0148】
カニューレ付のシリンジにより、より糸状のペーストとして送達し得る粘稠な退縮材料が得られる。本材料の軟度は28mmである(15秒間1,500gの負荷を掛けるISO4823に従い測定)。
【0149】
膨潤および水吸収挙動を解析するために、カニューレによりシリンジから送達したより糸状の退縮材料(長さ50mm、直径2.2mm)に段階的に水滴を加える。最初、水滴は退縮材料に完全に吸収される;その結果として材料が膨張する。より糸の当初の体積増加は添加した水1グラム当たり1.8cmである。この体積膨張の後も退縮材料は固めの軟度をもち続ける。糸状退縮材料の質量の2倍から始めた水のさらなる添加により、糸に滴下した水は最早完全には吸収されなくなるが、糸の周囲の部分が濃厚になる。この濃厚化は当初の糸体積の数倍にまで、さらに明瞭な糸体積の増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有する。
【0150】
水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0151】
本実施例は、容易に適用することができ、適用後、容易に除去し得るものであって、水または水性システムとの接触により有意に膨潤し、周囲の水性液状物を濃厚化する退縮材料を本発明により提供し得ることを示す。従って、該退縮材料は歯肉溝への適用直後に歯肉溝を拡張し、周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。
【実施例9】
【0152】
収斂および脱感作物質としての硫酸アルミニウムカリウムによる退縮ペーストの製造:
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;35質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤:31質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:24質量%の二酸化ケイ素(平均粒子径7μm)
収斂性および脱感作添加剤:10質量%の硫酸アルミニウムカリウムドデカ水和物
【0153】
カニューレ付のシリンジにより、より糸状のペーストとして送達し得る粘稠な退縮材料が得られる。本材料の軟度は29mmである(15秒間1,500gの負荷を掛けるISO4823に従い測定)。
【0154】
膨潤および水吸収挙動を解析するために、カニューレによりシリンジから送達したより糸状の退縮材料(長さ50mm、直径2.2mm)に段階的に水滴を加える。最初、水滴は退縮材料に完全に吸収される;その結果として材料が膨張する。より糸の当初の体積増加は添加した水1グラム当たり1.8cmである。この体積膨張の後も退縮材料は固めの軟度をもち続ける。糸状退縮材料の質量の2倍から始めた水のさらなる添加により、糸に滴下した水は最早完全には吸収されなくなるが、糸の周囲の部分が濃厚になる。この濃厚化は当初の糸体積の数倍にまで、さらに明瞭な糸体積の増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有する。
【0155】
水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0156】
本実施例は、適用が容易で、適用後、容易に除去し得るものであって、水または水性システムとの接触により有意に膨潤し、周囲の水性液状物を濃厚化する退縮材料を本発明により提供し得ることを示す。従って、該退縮材料は歯肉溝への適用直後に歯肉溝を拡張して周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。
【0157】
カリウムとアルミニウムのイオンを含有する硫酸アルミニウムカリウムを添加することにより、止血作用と脱感作作用を同時に得ることができる。
【実施例10】
【0158】
X線不透過物質としての硫酸バリウムによる無水退縮ペーストの製造:
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;35質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤粒子:31質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
24質量%のナノ粒子硫酸バリウム
収斂性添加剤:10質量%の塩化アルミニウム
【0159】
カニューレ付のシリンジにより、より糸状のペーストとして送達し得る粘稠な退縮材料が得られる。本材料の軟度は28mmである(15秒間1,500gの負荷を掛けるISO4823に従い測定)。
【0160】
膨潤および水吸収挙動を解析するために、カニューレによりシリンジから送達した糸状の退縮材料(長さ50mm、直径2.2mm)に段階的に水滴を加える。最初、水滴は退縮材料に完全に吸収される;その結果として材料が膨張する。より糸の当初の体積増加は添加した水1グラム当たり1.8cmである。この体積膨張の後も退縮材料は固めの軟度をもち続ける。糸状退縮材料の質量の2倍から始めた水のさらなる添加により、糸に滴下した水は最早完全には吸収されなくなるが、糸の周囲の部分が濃厚になる。この濃厚化は当初の糸体積の数倍にまで、さらに明瞭な糸体積の増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有する。
【0161】
水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0162】
本実施例は、上記の実施例に加えて、X線非透過性充填剤の使用が、歯科X線手技を使用することにより、歯肉溝に好ましくない状況下で残存している退縮材料の残余を可視化することを可能とすることを示す。
【実施例11】
【0163】
ペースト増粘剤としての高分散性シリカおよびペースト形成剤としてのポリエチレングリコールジメチルエーテルを使用することによる高粘度退縮材料の製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;35質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤粒子:31質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
ペースト増粘剤:24質量%の高分散性親水性シリカ(BET表面〜200m/g)
収斂性添加剤:10質量%の塩化アルミニウム
【0164】
カニューレ付のシリンジにより、より糸状のペーストとして送達し得る粘稠な退縮材料が得られる。本材料の軟度は13mmである(15秒間1,500gの負荷を掛けるISO4823に従い測定)。
【0165】
より糸(長さ50mm、直径2.2mm)の当初の体積増加は添加した水1グラム当たり2.0cmである。この体積膨張の後も退縮材料は固めの軟度をもち続ける。糸状退縮材料の質量の2倍から始めた水のさらなる添加により、糸に滴下した水は最早完全には吸収されなくなるが、糸の周囲の部分が濃厚になる。この濃厚化は当初の糸体積の数倍にまで、さらに明瞭な糸体積の増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有する。
【0166】
水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0167】
本実施例はペースト形成剤としてのポリエーテルとペースト増粘剤としての高分散性シリカとを組合わせることにより、非連続的であり、あまり粘着性ではなく、容易に適用し得るより紐状のより糸として送達し得る高粘度の退縮材料が製造可能であることを示す;その場合、該退縮材料は歯肉溝を拡張して、周囲の血液および唾液を濃厚化し、一体化する状況にある。
【0168】
適用例:実施例1〜11に記載した退縮材料の適用と歯肉溝拡張作用は、歯肉モデルにて試験した(www.astucesde.com)。そのことによって、実施例により説明したすべてのペーストが歯肉溝を拡張し、退縮材料としてそれらの適合性を満足する状況にあることが示された。
【0169】
以下の実施例に記載する退縮材料につき、粘度、流量限界、軟度および膨潤性挙動を測定し、特性化した。
これらの測定値は以下のように測定した:
【0170】
粘度測定法:
退縮材料の流量限界および粘度のレオロジーデータは、マルバーンジェミニ(Malvern Gemini)200レオメーターにより20℃で測定した。プレート−プレート間測定系を用いて、それによって上方および下方プレートはそれぞれ90°の角度で交差した側面をもち、ピラミッド型側面の先端が存在するようなV型の形状を有していた。その側面は0.2mmの深さをもち、約20ケの凹部またはピラミッド様先端が1cmの間隔で存在するように構成されていた。プレートは直径が15mmであった。下部プレートは±0.1℃の精度でペルティエ素子により20℃の温度に制御した。測定に際し、プレートの間隙距離は1mmであった。間隙に挿入したサンプルは、10分以内で0ないし50,000Paのずれ応力ランプで回転させてずれの地図を作成した。流量限界として、そのずれ応力を分析すると、その時点での最大値が構成する粘度変形曲線に生じた。退縮材料の粘度測定値としては、9,000Paのずれ応力での粘度を用いた。
【0171】
軟度の測定:
軟度はISO4823に従い、そこに指示されている測定装置により測定し、そこに提供されている情報どおりに再検討し、分析した。質量は1,500gとし、荷重は15秒間維持した。測定結果はディスク直径をmmで示した。この場合、粘稠材料はより小さな測定値を示したが、他方、希釈流動性材料は大きな測定値を示した。
【0172】
膨潤反応:
退縮材料の膨潤反応を測定するために、0.5mlの材料を拡張可能な測定シリンダーに容れる。過剰の液が不変な層となるまで脱塩水を少しずつ加える。シリンダーをポリエチレンフィルムで蔽い、平衡となるまで室温で一夜放置する。ペーストの膨張体積はシリンダーの目盛りから直接読み取ることができる。膨潤は未膨張の当初の条件に対して増大した体積のパーセントとして示される。
【0173】
相対的水分吸収:
相対的水分吸収を測定するために、ガラス容器中、材料1.0gに段階的に脱塩水を加えた。各添加は30分間の待機時間で実施し、その際に過剰の液層が形成されるかどうか、または水が完全に吸収されるか否かを観察した。水が完全に吸収された場合には、さらに水を加えた。過剰の液層が残った場合には、その材料をさらに60分間放置し、過剰の水を吸収布で除去した。
【0174】
相対的水分吸収は材料により吸収された水の量と、最初に秤量した退縮材料の量との相関として計算した。
【実施例12】
【0175】
膨潤性退縮ペーストの製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;27.9質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤粒子:29.8質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:32.7質量%の二酸化ケイ素(平均粒子径7μm)
収斂性添加剤:9.6質量%の硫酸アルミニウムカリウム。
【0176】
退縮材料は、手動アプリケーター付き内径1mmのカニューレにより、カプセルからより糸状のペーストとして送達し得る粘稠な材料として得た。20℃、9,000Paのずれ応力での退縮材料の粘度は、1.47×10Pa・sであった。流量限界は2,410Paにあることが判明した。軟度測定では19mmの値を得た。水との接触により、該材料はその当初の体積の5倍までの強力な体積膨張を30秒以内に示した。体積膨張に並行して、より糸上に滴下した水は糸の周りの部分で濃厚化した。この濃厚化はさらに糸の当初の体積の数倍まで糸の体積の明瞭な増大を引き起こした;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有していた。退縮材料の脱塩水による膨潤は433%であった。水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができた。
【0177】
本実施例は、適用が容易で、水または水性システムとの接触による超吸収剤粒子の膨潤の結果として有意に体積膨張し、さらに周囲の水性液状物を濃厚化する退縮材料を本発明により提供し得ることを示す。従って、該退縮材料は、適用直後に歯肉溝を拡張して周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。収斂剤添加の結果として、止血作用が得られる。粗大な粒状充填剤粒子を使用することにより、また超吸収剤が膨れ上がった結果として、退縮材料は大きな粒子として容易に摘まみ上げ、また水の噴射または空気/水吹付けにより洗い流せるので、適用後に再度歯肉溝から容易に除去し得る。
【実施例13】
【0178】
膨潤性退縮ペーストの製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;27.68質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤粒子:27.68質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:30.36質量%の二酸化ケイ素(平均粒子径7μm)
充填剤:5.36質量%のベントナイト
8.93質量%の塩化アルミニウム。
【0179】
退縮材料は、手動アプリケーター付き内径1mmのカニューレにより、カプセルからより糸状のペーストとして送達し得る粘稠な材料として得た。20℃、9,000Paのずれ応力での退縮材料の粘度は、4.70×10Pa・sであった。流量限界は1,180Paにあることが判明した。軟度測定では10.5mmの値を得た。水との接触により、該材料はその当初の体積の5倍までの強力な体積膨張を30秒以内に示した。体積膨張に並行して、より糸上に滴下した水は糸の周りの部分で濃厚化する。この濃厚化はさらに糸の当初の体積の数倍まで糸の体積の明瞭な増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有している。退縮材料の脱塩水による膨潤は400%であった。水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0180】
本実施例は、適用が容易で、水または水性システムとの接触による超吸収剤粒子の膨潤の結果として有意に体積膨張し、さらに周囲の水性液状物を濃厚化する退縮材料を本発明により提供し得ることを示す。従って、該退縮材料は、適用直後に歯肉溝を拡張して周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。収斂剤添加の結果として、止血作用が得られる。粗大な粒状充填剤粒子を使用することにより、また超吸収剤が膨れ上がったために、退縮材料は、粗大な粒子として容易に摘まみ上げ、水の噴射または空気/水吹付けにより洗い流せるので、再度歯肉溝から容易に除去し得る。シート状ケイ酸塩としてのベントナイトの比は、高充填剤含量であるにもかかわらず、シート状ケイ酸塩のある種のすべり効果により、ペースト様軟度とペーストの可塑性が達成され得ることを確実なものとする。
【実施例14】
【0181】
X線不透過性充填剤としての硫酸バリウムによる膨潤性退縮ペーストの製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;26.47質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤粒子:30.39質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:33.33質量%の硫酸バリウム(平均粒子径4μm)
収斂性添加剤:9.80質量%の硫酸アルミニウムカリウム。
【0182】
退縮材料は、手動アプリケーター付き内径1mmのカニューレにより、カプセルからより糸状のペーストとして送達し得る粘稠な材料として得た。20℃、9,000Paのずれ応力での退縮材料の粘度は、7.75×10Pa・sであった。流量限界は1,630Paにあることが判明した。軟度測定では12mmの値を得た。水との接触により、該材料はその当初の体積の約5倍までの強力な体積膨張を30秒以内に示した。体積膨張に並行して、糸上に滴下した水は糸の周りの部分で濃厚化する。この濃厚化はさらに糸の当初の体積の数倍まで糸の体積の明瞭な増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有している。退縮材料の脱塩水による膨潤は540%であった。水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0183】
本実施例は、適用が容易で、水または水性システムとの接触による超吸収剤粒子の膨潤の結果として有意に体積膨張し、さらに周囲の水性液状物を濃厚化する退縮材料を本発明により提供し得ることを示す。従って、該退縮材料は、適用直後に歯肉溝を拡張して周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。収斂剤添加の結果として、止血作用が得られる。粗大な粒状充填剤粒子を使用することにより、また超吸収剤が膨れ上がるために、退縮材料は、粗大な粒子として、水の噴射または空気/水吹付けにより容易に拾い上げ洗い流せるので、再度歯肉溝から容易に除去し得る。もし不注意ですすぎ過程において歯肉溝内に退縮材料が残ってしまったとしても、退縮材料が含有する硫酸バリウムによって、X線で認識することができ、それを目印とする方法で除去することができる。
【実施例15】
【0184】
溶解除去し得る充填剤としての硫酸アルミニウムカリウムによる膨潤性退縮ペーストの製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;25質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤粒子:31質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
収斂性添加剤および溶解除去し得る充填剤:44質量%の硫酸アルミニウムカリウム。
【0185】
退縮材料は、手動アプリケーター付き内径1mmのカニューレにより、カプセルからより糸状のペーストとして送達し得る粘稠な材料として得た。20℃、9,000Paのずれ応力での退縮材料の粘度は、2.18×10Pa・sであった。流量限界は15,000Paにあることが判明した。軟度測定では10mmの値を得た。水との接触により、該材料はその当初の体積の3倍までの強力な体積膨張を30秒以内に示した。体積膨張に並行して、糸上に滴下した水は糸の周りの部分で濃厚化する。この濃厚化はさらに糸の当初の体積の数倍まで糸の体積の明瞭な増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有している。退縮材料の脱塩水による膨潤は200%であった。水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0186】
本実施例は、適用が容易で、水または水性液状物との接触による超吸収剤粒子の膨潤により有意に体積膨張し、さらに周囲の液状物を濃厚化する退縮材料を本発明により提供し得ることを示す。従って、該退縮材料は、適用直後に歯肉溝を拡張して周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。収斂剤としての硫酸カリウムの添加の結果として、止血作用が達成される。大量の結晶性易水溶性硫酸アルミニウムカリウムを使用することにより、また膨潤した超吸収剤粒子のため、退縮材料は、粗大な粒子が容易に水の噴射によりまたは空気/水吹付けにより拾い上げ、溶解し、洗い流し得る;特に、亜硫酸アルミニウムカリウムの溶解過程のため、退縮材料の充填剤構造が急速に破壊されるので、適用後、歯肉溝から非常に簡単に除去し得る。
【実施例16】
【0187】
膨潤性退縮ペーストの製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;26.74質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤粒子:26.76質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:29.33質量%の二酸化ケイ素(平均粒子径7μm)
充填剤:5.11質量%のベントナイト
8.63質量%の塩化アルミニウム
3.43質量%の水
【0188】
退縮材料は、手動アプリケーター付き内径1mmのカニューレにより、カプセルからより糸状のペーストとして送達し得る粘稠な材料として得た。20℃、9,000Paのずれ応力での退縮材料の粘度は、5.79×10Pa・sであった。流量限界は2,930Paにあることが判明した。軟度測定では13.5mmの値を得た。水との接触により、該材料はその当初の体積の約5倍までの強力な体積膨張を30秒以内に示した。体積膨張に並行して、糸上に滴下した水は糸の周りの部分で濃厚化する。この濃厚化はさらに糸の当初の体積の数倍まで糸の体積の明瞭な増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有している。退縮材料の脱塩水による膨潤は500%であった。水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0189】
本実施例は、適用が容易で、水または水性液状物との接触による超吸収剤粒子の膨潤の結果として、有意に体積膨張し、さらに周囲の水性液状物を一体化する退縮材料を本発明により提供し得ることを示す。従って、該退縮材料は、適用直後に歯肉溝を拡張して周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。ペースト形成剤として少量の水を添加することにより、退縮ペーストの粘度が低くなり、同時に流量限界が増大し、それがさらに狭いカニューレからの退縮材料の送達を改善する。収斂剤としての塩化アルミニウムを添加することにより、止血作用が達成される。粗大な粒状充填剤粒子を使用することにより、また超吸収剤粒子が膨れ上がるために、退縮材料は、粗大な粒子として、水の噴射または空気/水吹付けにより容易に拾い上げ洗い流せるので、適用後、歯肉溝から容易に除去し得る。
【実施例17】
【0190】
膨潤性退縮ペーストの製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;27.8質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤粒子:29.7質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:32.6質量%の二酸化ケイ素(平均粒子径7μm)
収斂性添加剤:9.6質量%の硫酸アルミニウムカリウム
.33質量%のエーテル性レモン油
【0191】
退縮材料は、手動アプリケーター付き内径1mmのカニューレにより、カプセルからより糸状のペーストとして送達し得る粘稠な材料として得た。20℃、9,000Paのずれ応力での退縮材料の粘度は、4.11×10Pa・sであった。流量限界は1,630Paにあることが判明した。軟度測定では24mmの値を得た。水との接触により、該材料はその当初の体積の5倍までの強力な体積膨張を30秒以内に示した。体積膨張に並行して、糸上に滴下した水は糸の周りの部分で濃厚化する。この濃厚化はさらに糸の当初の体積の数倍まで糸の体積の明瞭な増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有している。退縮材料の脱塩水による膨潤は400%であった。水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0192】
本実施例は、適用が容易で、水または水性液状物との接触による超吸収剤粒子の膨潤の結果として、有意に体積膨張し、さらに周囲の水性液状物を一体化する退縮材料を本発明により提供し得ることを示す。従って、該退縮材料は、適用直後に歯肉溝を拡張して周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。収斂剤を添加することにより、止血作用が達成される。粗大な粒状充填剤粒子を使用することにより、また超吸収剤粒子が膨れ上がる結果として、退縮材料は、粗大な粒子として、水の噴射または空気/水吹付けにより容易に拾い上げ洗い流せるので、適用後、歯肉溝から再度容易に除去し得る。エーテル性レモン油の使用は、実施例1に比較して、退縮材料の可塑性を増大する。
【実施例18】
【0193】
膨潤性退縮ペーストの製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;41.7質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤粒子:8.3質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:41.7質量%のナノ−クレー(モンモリロン石)
収斂性添加剤:8.3質量%の硫酸アルミニウムカリウム
【0194】
退縮材料は、手動アプリケーター付き内径1mmのカニューレにより、カプセルからより糸状のペーストとして送達し得る粘稠な材料として得た。20℃、9,000Paのずれ応力での退縮材料の粘度は、3.20×10Pa・sであった。流量限界は6,410Paにあることが判明した。軟度測定では11.5mmの値を得た。水との接触により、該材料はその当初の体積の2倍までの強力な体積膨張を30秒以内に示した。体積膨張に並行して、糸上に滴下した水は糸の周りの部分で濃厚化する。この濃厚化はさらに糸の当初の体積の数倍まで糸の体積の明瞭な増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有している。退縮材料の脱塩水による膨潤は200%であった。水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0195】
本実施例は、適用が容易で、水または水性液状物との接触による超吸収剤粒子の膨潤の結果として、有意に体積膨張し、さらに周囲の水性液状物を濃厚化する退縮材料を本発明により提供し得ることを示す。従って、該退縮材料は、適用直後に歯肉溝を拡張して周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。収斂剤を添加することにより、止血作用が達成される。ナノ−クレーを使用することにより、また超吸収剤粒子が膨れ上がる結果として、退縮材料は、粗大な粒子として、水の噴射または空気/水吹付けにより容易に拾い上げ洗い流せるので、適用後、歯肉溝から再度容易に除去し得る。
【実施例19】
【0196】
膨潤性退縮ペーストの製造
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
ペースト形成剤;41.7質量%のポリエチレングリコールジメチルエーテル(モル質量500g/モル)
超吸収剤粒子:5.0質量%の微小化ポリアクリル酸ナトリウム塩(平均粒子径63μm)
充填剤:45.0質量%のナノ−クレー(モンモリロン石)
収斂性添加剤:8.3質量%の硫酸アルミニウムカリウム
【0197】
退縮材料は、手動アプリケーター付き内径1mmのカニューレにより、カプセルから、より糸状のペーストとして送達し得る粘稠な材料として得た。20℃、9,000Paのずれ応力での退縮材料の粘度は、7.99×10Pa・sであった。流量限界は3,810Paにあることが判明した。軟度測定では12mmの値を得た。水との接触により、該材料はその当初の体積の2倍までの強力な体積膨張を30秒以内に示した。体積膨張に並行して、糸上に滴下した水は糸の周りの部分で濃厚化する。この濃厚化はさらに糸の当初の体積の数倍まで糸の体積の明瞭な増大を引き起こす;この場合、退縮材料は水添加のこの段階で粘着性の柔らかい軟度を有している。退縮材料の脱塩水による膨潤は160%であった。水の吸収後、退縮材料は水噴射により、または空気/水吹付けにより表面から容易に洗い出すことができる。
【0198】
本実施例は、適用が容易で、水または水性液状物との接触による超吸収剤粒子の膨潤の結果として有意に体積膨張し、さらに周囲の水性液状物を一体化する退縮材料を本発明により提供し得ることを示す。従って、該退縮材料は、適用直後に歯肉溝を拡張して周囲の血液および唾液を一体化する状況にある。収斂剤を添加することにより、止血作用が達成される。ナノ−クレーを使用することにより、また超吸収剤粒子が膨れ上がる結果として、退縮材料は、粗大な粒子として、水の噴射または空気/水吹付けにより容易に拾い上げ洗い流せるので、適用後、歯肉溝から容易に除去し得る。
[比較例1]
【0199】
製造業者ピエールローランドによる市販のペースト様退縮材料“エクスパシル(Expasyl;商標)”
製造業者の指示に従い、手動アプリケーター付き内径1mmのカニューレにより、カプセルからより糸状のペーストとして非常に粘度の高い退縮材料を送達する。
【0200】
退縮材料の粘度は、20℃、9,000Paのずれ応力で、1.41×10Pa・sであった。流量限界は5,270Paにあることが判明した。軟度測定では11.5mmの値を得た。糸上に滴下した水滴は目視では退縮材料に吸収されず、また退縮処置に妥当な10分間という時間、目視で吸収されることはなく、それによって溶解した部分が粘着性の柔らかい軟度を示す。さらに水を加えると、糸は完全に侵食されて軟化する。脱塩水による退縮材料の膨潤は20%であった。該退縮材料は水の噴射または空気/水の吹付けにより容易に洗い流すことができる;しかし、この過程で材料は比較的強く表面に付着する。
【0201】
本実施例は退縮材料エクスパシル(Expasyl;商標)が、その高い粘度のために適用し難いことを示す。高い粘度のために、流去されることなく歯肉溝を開く状況にある。しかし、水または水系との接触により、本発明による退縮材料とは対照的に、有意な体積の膨張は起こらない。さらに、該材料は周囲の水性液状物に対する増粘作用を有しない。塩化アルミニウム成分のため止血剤として作用するが、唾液とは結合しない。それが含有する大量のクレー鉱物のため、その鉱物の粘着性層が洗い流す際に表面に残存する。
[比較例2]
【0202】
白土による独国特許発明第690 06 030号明細書の実施例1に記載の退縮材料
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
66.75質量%の白土
6.54質量%の塩化アルミニウム
0.33質量%のエーテル性レモン油
1.02質量%の着色剤(E102およびE131)
【0203】
手動アプリケーター付きカニューレにより、カプセルから―製造業者の指示に従い―非常に粘度の高い退縮材料をより糸状のペーストとして送達する。
【0204】
退縮材料の粘度は、20℃、9,000Paのずれ応力で、8.26×10Pa・sであった。流量限界は2,120Paにあることが判明した。軟度測定では10mmの値を生じた。糸に加えた水滴は目視では退縮材料に吸収されず、また退縮処置に妥当な10分間という時間、目視で吸収されないが、部分的に表面で溶解し、それによって溶解した部分が粘着性の柔らかい軟度を示す。さらに水を加えると、糸は完全に侵食されて軟化する。脱塩水による退縮材料の膨潤は20%であった。該退縮材料は水の噴射または空気/水の吹付けにより容易に洗い流すことができる;しかし、比較的強く表面に付着する。
【0205】
本実施例は、独国特許発明第690 06 030号明細書の実施例1に記載の退縮材料が、その高い粘度のために適用し難いことを示す。その高い粘度のために、流去されることなく歯肉溝を開く状況にある。しかし、水または水系との接触により、本発明による退縮材料とは対照的に、有意な体積の膨張は起こらない。さらに、該材料は周囲の水性液状物に対する増粘作用を有しない。それが塩化アルミニウムを含有するため止血剤として作用するが、唾液とは結合しない。それが含有する大量のクレー鉱物のため、その材料の粘着性層が、洗い流す際に表面に粘着残存する。
[比較例3]
【0206】
藻類粉末による独国特許発明第690 06 030号明細書の実施例4に記載の退縮材料
以下の成分を真空ミキサー中で混合し、均一なペーストとなるまで攪拌した:
46.00質量%の藻類粉末(アルギン酸塩粉末)
54.00質量%の水
【0207】
手動アプリケーター付きカニューレにより、カプセルから―製造業者の指示に従い―非常に粘度の高い退縮材料をより糸状のペーストとして送達する。
【0208】
退縮材料の粘度は、20℃、9,000Paのずれ応力で、8.26×10Pa・sであった。流量限界は4,060Paにあることが判明した。軟度測定では19mmの値を生じた。糸に加えた水滴は目視では退縮材料に吸収されず、また退縮処置に妥当な10分間という時間、目視で吸収されない。さらに水を加えると、糸は完全に侵食されて軟化する。脱塩水による退縮材料の膨潤は33%であった。該退縮材料は水の噴射または空気/水の吹付けにより容易に洗い流すことができるが、それによって比較的強く表面に付着する。
【0209】
本実施例は、独国特許発明第69006030号明細書の実施例5に記載の退縮材料が、その高い粘度のために適用し難いことを示す。その高い粘度の結果として、流去されることなく歯肉溝を開く状況にある。しかし、水または水系との接触により、本発明による退縮材料とは対照的に、有意な体積の膨張は起こらない。さらに、該材料は周囲の水性液状物に対する増粘作用を有しない。このものは収斂剤を含有しないので、止血性ではない。それが含有する藻類粉末は、短い時間の退縮処置では膨潤または唾液と結合する状況にはない。それが含有する大量の藻類粉末のため、その材料の粘着性層が表面に付着する。
【0210】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分を含有する歯肉溝拡張用のペースト状退縮材料:
a)ペースト形成剤、
b)超吸収剤粒子、および
c)少なくとも1種の収斂性添加剤。
【請求項2】
当該成分a)が、ポリシロキサン、ポリアルキレンオキシド、多価脂肪族アルコール、当該多価アルコールと飽和および/または不飽和カルボン酸とのエステルもしくは半エステル、水またはそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載のペースト状退縮材料。
【請求項3】
当該成分a)が、ポリシロキサン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、アルカンジオール、特に、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−エタンジオール、ブタンジオールおよび/またはヘキサンジオール、脂肪族トリオールの内の特にグリセリンおよび/またはトリメチロールプロパン、またはテトロール、ペントールもしくはヘキソール、特に、ソルビトール、並びに上記アルコールのアルコキシル化誘導体;グリセリンエステルの誘導体、特に、クエン酸アセチルトリブチルエステル、鉱油の誘導体、水またはこれらの化合物の2種以上の組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする請求項2記載のペースト状退縮材料。
【請求項4】
当該成分b)が室温で水分をその質量の少なくとも2倍、好ましくはその質量の5倍、特に好ましくはその質量の10倍吸収し得ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項5】
当該成分b)が微小化および/またはナノ粒子超吸収剤粒子からなる群より選択されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項6】
当該成分b)が、
−1種以上のエチレン性不飽和酸およびそれとラジカル重合し得るあるいは追加としてのコモノマーのラジカル重合により誘導される重合体であって、該重合体中のエチレン性不飽和酸の寄与率が少なくとも55質量%である重合体;および/または
−これら重合体または共重合体の塩
であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項7】
当該成分b)が、
−1種以上のエチレン性不飽和モノもしくはジカルボン酸および/または1種以上のエチレン性不飽和スルホン酸、特に、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニルスルホン酸および/または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のラジカル重合により誘導され、成分b)の平均粒子径が50nmないし300μmの範囲、好ましくは100nmないし200μm、特に好ましくは150μm未満、さらにより好ましくは1μmないし100μmの範囲にある重合体;および/または
−これら重合体または共重合体の塩
であることを特徴とする請求項6に記載のペースト状退縮材料。
【請求項8】
当該成分b)が、
−0.001ないし5質量%の架橋性モノマーの存在下の共重合により得られる架橋重合体であって、その重合体中の酸基の少なくとも50%がカルボン酸基である重合体;および/または
−これら重合体または共重合体の塩
であることを特徴とする請求項6に記載のペースト状退縮材料。
【請求項9】
当該成分b)の超吸収剤粒子が、50nmないし300μm、好ましくは100nmないし200μm、特に好ましくは150μm未満、さらにより好ましくは1μmないし100μmの範囲の平均粒子径を有し、特に、全部もしくは一部中和のポリアクリル酸および/またはポリメタアクリル酸の塩、取分け好適なものはそれらのカリウム、アンモニウムおよび/またはナトリウム塩である群から選択されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項10】
当該退縮材料がさらに有機および/または無機充填剤物質粒子d)を含有し、当該粒子d)が少なくとも1μmの粒子径、取分け、1μmないし200μm、好ましくは1μmないし100μm、取分け好ましくは5μmないし75μmの範囲の粒子径を有し、さらにより好ましくは、酢酸アルミニウム、ケイ酸塩、シート状ケイ酸塩、クリストバライト、石英、ウォラストナイト、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、歯科用ガラス、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化希土類とフッ化希土類、硫酸バリウム、酸化ジルコン、ポリマー粉末、特にポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、メタアクリル酸ポリメチル粉末、ポリウレタン粉末および/または固体シリコン樹脂、並びにX線不透過フッ化物放出物質からなる群より選択されることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項11】
当該充填剤粒子d)がX線不透過性物質であり、特にそれらの物質が、Zn、W、Ag、Yb、Y、Gd、Zr、Sr、Ba、Ta、Nb、Mo、Sn、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Luなどの金属の酸化物;さらに特に好ましくは、二酸化ジルコン、酸化ストロンチウム、酸化ビスマス、酸化ランタン、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化イッテリビウム、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化モリブデン、並びに上記金属の硫酸塩、さらに特に好ましくは、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸ビスマス;並びに上記金属の炭酸塩、さらに特に好ましくは、オキシ炭酸ビスマスおよび炭酸ストロンチウム;並びに上記金属のケイ酸塩、さらに特に好ましくは、ケイ酸ジルコニウム、並びに上記金属のカーバイドおよびリン酸塩;またはフッ化イッテルビウム、オキシ塩化ビスマス、タングステン酸カルシウム、バリウムガラスおよびストロンチウムガラス、並びに微細に分布する金属、特に、亜鉛、タングステン、銀、イッテルビウム、イットリウム、ガドリニウム、ジルコニウム、ストロンチウム、タンタル、ニオブ、モリブデン、ランタンまたはそれらの合金からなる群より選択される物質であることを特徴とする請求項10に記載のペースト状退縮材料。
【請求項12】
当該収斂剤c)が、水溶性アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、ハロゲン化アルカリ、酢酸アルミニウム、エピネフィリン、アドレナリン、ノルアドレナリン、エフェトミン、プリビン、オルチベン、エタクリジン、ネガトール、オキシキノリン、タンニン酸、タンニン、過酸化水素、カルバミドペルオキシド、ペルオキソ塩、カルシウム塩またはこれらの化合物の2種以上の組み合わせからなる群、またさらに特に好ましくは、カリウム明礬、塩化アルミニウム、塩素酸アルミニウム、塩化ペンタヒドロキシジアルミニウム、塩化ヒドロキシアルミニウム、硫酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、並びにマンガン塩またはビスマス塩、例えば、過マンガン酸カリウム、硝酸ビスマスもしくはサリチル酸ビスマス、および他の塩基性もしくは酸性もしくは両性の水溶性アルミニウム塩、塩化亜鉛、酸化亜鉛、サリチル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、リン酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、塩化鉄、硫酸鉄、塩化ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、水酸化カルシウム、リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウムおよび酢酸カルシウム、アミノ酸のカルシウム塩、アルドン酸およびウロン酸またはこれらの化合物の2種以上の組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項13】
当該退縮材料がさらに液体吸収剤e)を含有し、該吸収剤が、好ましくは、ゼオライト、シリカゲル、硫酸アルカリ土類および金属、並びにシート状ケイ酸塩からなる群より、さらに特に好ましくは、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、ゼオライト、ブルーゲル、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、並びに硫酸マグネシウムまたはこれら化合物の2種以上の組み合わせからなる群より、またはモルトデキストリン、アルギン酸塩、コラーゲン、イナゴマメガム、キトサン、寒天、カラーゲナン、グアガム、アラビアゴム、スクシノグリカンガム、グア粉末、トラガカント、カラヤガム、キサンタン、ペクチン、セルロースおよびそれらのイオノゲンおよび非イオノゲン誘導体、特に、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはメチルヒドロキシプロピルセルロース、疎水性に修飾したセルロース、修飾スターチを包含するスターチ、特にスターチエーテル、高分子ポリエチレングリコールおよびこれら化合物の2種以上の組み合わせからなる群より選択されるものであることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項14】
当該退縮材料がさらに脱感作剤f)を含有し、該脱感作剤が、好ましくは、カリウム塩、ストロンチウム塩、オイゲノール、フッ化物、リン酸アルカリ、アルカリ類および金属、それらのポリリン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、ヒドロキシルリン酸塩、フッ素化リン酸塩、炭酸塩リン酸塩、ヒドロキシルフロリドリン酸塩、酸化物、ケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、フッ化物、チタン酸塩、並びにリン酸アルカリ、ピロリン酸テトラアルキル、リン酸水素ジアルキルおよびリン酸二水素アルカリからなる群より選択され、さらにより好ましくは、選択が塩化カリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、クエン酸カリウム、酢酸カリウム、硝酸カリウム、塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、クエン酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、乳酸ストロンチウム、オイゲノール、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第一スズ、モノフルオロリン酸塩、好ましくは、モノフルオロリン酸ジナトリウムまたはモノフルオロリン酸ジカリウム、有機アミノ化合物のフッ化物、ヒドロキシリン酸カルシウム、フルオロリン酸カルシウム、一般式Ca(PO(OH)(式中、xおよびy=1)で示されるフッ化物ドープヒドロキシルアパタイト、フッ化カルシウム、リン酸カルシウム、好ましくは、無定形リン酸カルシウム、ホスホノケイ酸カルシウムナトリウム、SiO、ZrO、ZnO、TiO、酸化セリウムアルミニウム、塩化アンモニウムにより機能化したシリカゲル、三フッ化アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、チタン酸アルミニウム、ピロリン酸テトラナトリウムおよびテトラカリウム、リン酸水素ジナトリウムおよびジカリウム、リン酸二水素ナトリウムおよびカリウム、無定形フッ化リン酸カルシウム、無定形リン酸炭酸カルシウム、無定形フッ化リン酸炭酸カルシウム、無定形リン酸ストロンチウム、無定形リン酸ストロンチウムカルシウム、無定形リン酸炭酸ストロンチウムカルシウムおよび無定形フッ化リン酸炭酸ストロンチウムカルシウム、またはこれら化合物の2種以上の組み合わせからなる群より選択されるものであることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項15】
当該退縮材料がさらにペースト増粘剤g)を含有し、該増粘剤が、好ましくは、有機ペースト増粘剤からなる群より、特に、ペンタエリスライト、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、キサンタン、ポリアクリル酸およびそれらの塩およびエステル、鉱油ワックス、ポリオレフィンワックス、ポリイソブテンワックス、ポリエーテルワックス、トリグリセリドおよび/またはジグリセリドから、および/または無機ペースト増粘剤からなる群より、特に、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化シリコン、沈殿性シリカ、火成シリカ、シラン化シリカ、シート状ケイ酸塩、およびこれらの化合物の2種以上の組み合わせからなる群より選択されるものであることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項16】
当該退縮材料がさらに溶媒h)を含有し、該溶媒が特に、アルコール、ケトン、エーテル、揮発性炭化水素、炭酸プロピレン、並びに水からなる群より選択され、さらに具体的に好ましくは、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジビニルエーテル、ペンタン、ヘキサン、並びに炭酸プロピレンからなる群より選択されるものであることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項17】
当該退縮材料がさらに抗菌性物質i)を含有し、該抗菌性物質が好ましくは、フェノール、サリチルアニリドおよびサリチルアミド並びにそれらのハロゲン化誘導体、ハロゲン化カルバニリドおよびp−ヒドロキシ安息香酸エステル、ハロゲン化ジフェニルエーテル、ブロモクロロフェン、ビスビグアニド、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニルサリチル酸エステルおよび5−アミノ−1,3−ビス(2−エチルヘキシル)−ヘキサヒドロ−5−メチルピリミジン、ナノ粒子銀、銅、亜鉛および銅塩、四級アンモニウム化合物、オクタピノール、オクテニジンおよびサンギナリン、チモール、メントール、ちょうじ油、けい皮油、レモングラス油、並びにキトサンまたはこれらの化合物の2種以上の組み合わせからなる群から選択され、さらに取分け好ましくは、フェノール、レゾルシノール、ビスフェノール、2,4−ジクロロ−2′−ヒドロキシジフェニルエーテル、4,4−ジクロロ−2′−ヒドロキシジフェニルエーテル、2,4,4′−トリブロモ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル、2,4,4′−トリクロロ−2′−ヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジン、クロルヘキシジングルコナート、アレキシジン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ドミフェンおよび塩化デクアリニウムからなる群より選択されるものであることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項18】
当該退縮材料がさらに緩衝物質j)を含有し、該緩衝物質が好ましくは、シート状ケイ酸塩(それらの層構造およびカチオン交換能力によりプロトンを受容し、その様式で緩衝作用を達成する)、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウムおよび/または炭酸カリウムからなる群より選択されるものであることを特徴とする請求項1ないし17のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項19】
当該退縮材料がさらに追加の添加剤k)を含有し、該添加剤が臭気、味、着色剤、界面活性剤、乳化剤、知覚適用および/または視覚化用の、および/または結合性および表面湿潤性をもつ指示薬またはこれらの化合物の2種以上の組み合わせからなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1ないし18のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項20】
退縮材料の全混合物に関連して以下の成分を含有することを特徴とする請求項1ないし19のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料:
成分a)1ないし90質量%、
成分b)0.1ないし90質量%、
成分c)0.1ないし60質量%、
成分d)0ないし90質量%、
成分e)0ないし80質量%、
成分f)0ないし80質量%、
成分g)0ないし90質量%、
成分h)0ないし40質量%、
成分i)0ないし10質量%、および/または
成分k)0ないし10質量%。
【請求項21】
当該退縮材料が、体積1cmのより糸の形状であり、水滴の添加により添加した水1グラム当たり少なくとも1.6cmの体積に増大することを特徴とする請求項1ないし20のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項22】
当該退縮材料が、プレート−プレート間測定系によりマルバーンジェミニ(Malvern Gemini)200レオメーターにより測定した場合、20℃で13,000Pa・sを超える粘度を有し、その際の上方および下方プレートがそれぞれ90°で交差した側面V型の形状に成型されており、その結果、20ケの凹部が1cmの間隔で存在するように付着した側面0.2mmの深さのピラミッド型側面先端が存在し、それによるプレートは15mmの直径を有し、測定に際してのプレートの間隙間隔が1mmであり、粘度を9,000Paのずれ応力にて測定することを特徴とする請求項1ないし21のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項23】
当該退縮材料が、水の添加により、30%を超える、好ましくは少なくとも50%の、特に少なくとも100%の体積膨張を経験する材料であって、その際の体積膨張について、0.5mlの該材料を目盛り付き測定シリンダーに挿入し、液体が永続的に過剰となるまで脱塩水を複数回添加し、平衡に達するまで室温に12時間放置し、次いで膨張体積を読み取り、未膨潤の当初の位置に対する体積増大のパーセントとして膨潤を判定することを特徴とする請求項1ないし22のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項24】
当該退縮材料が、単一または複数成分の製剤においてペーストの形状で存在することを特徴とする請求項1ないし23のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料。
【請求項25】
複数成分の製剤が、成分AおよびBから構成され、その場合の成分Aが超吸収剤粒子b)を含有し、また成分Bがペースト形成剤a)、好ましくは超吸収剤粒子b)のための膨潤および/または架橋剤に相当する製剤の成分、特に、水および/またはグリセリンを含有し、さらに収斂剤c)を成分Aおよび/またはBに含有していることを特徴とする請求項24に記載のペースト状退縮材料。
【請求項26】
歯肉溝拡張用、および罹患した歯肉溝組織の止血のための血管収縮用の材料を製造するための、請求項1ないし25のいずれか1項に記載のペースト状退縮材料の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−516404(P2011−516404A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542593(P2010−542593)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000349
【国際公開番号】WO2009/092568
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(503360193)ケッテンバッハ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (10)
【氏名又は名称原語表記】Kettenbach GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Im Heerfeld 7, D−35713 Eschenburg, Germany
【Fターム(参考)】