説明

残量表示片付薬用瓶

【課題】初回の使用時から最終使用時に至るまで、ゴム栓の上面の汚染を防止することが出来るとともに、保管時の薬用瓶を見ただけで内容物の成分の残量を容易に知ることができる残量表示片付薬用瓶の提供を課題とする。
【解決手段】薬剤M1を収納している薬用瓶10の瓶口は、ゴム栓11によって閉塞されており、さらに口金20によって封止されている。固定用蓋部材30の頂面板32の下面側には、口金20の透孔21の周縁部と係合する固定用円筒部が配設されている。41〜44は、固定用蓋部材30の頂面板32の上面と同様の円形形状で且つシート状の表示片であり、各々の表示片41〜44の裏面側には、対象物に対して着脱自在に粘着する粘着剤が塗布されている。それぞれの表示片41〜44の表面側には、薬用瓶10の内容物の成分の残量に関する表示41a〜44aがなされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤や薬液等を収納するための薬用瓶、殊に、時間を隔てて多数回使用する内容物を収納するための残量表示片付薬用瓶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図18は、薬剤M1を収納している従来の薬用瓶10の構成を示した斜視図である。薬用瓶10の瓶口はゴム栓(図19参照)によって閉塞されており、そのゴム栓を含めた瓶口は口金20によって封止されている。口金20の上面やゴム栓の上面は、固定用蓋部材30によって使用時まで汚染されないように保護されている。
【0003】
薬剤M1を使用する場合には、先ず、固定用蓋部材30を口金20から外して、図19(a)に示したように、口金20の透孔21を介して露出しているゴム栓11に注射器Pの注射針Nを刺して、適量の薬剤用溶液M2を注射器Pから注入し、図19(b)に示したように注射器Pの使用が可能な形態の薬液M3を作成する。このように、使用時に薬液M3を作成するのは、固体の状態で保管した方が薬剤M1の経年変化を少なくすることができるからである。
【0004】
薬液M3の使用に際しては、図20(a)に示すように、ゴム栓11に注射器Pの注射針Nを刺して、必要量の薬液M3を注射器Pに移した後、その移した薬液M3を患者に投与する。残った薬液M3は図20(b)に示した状態で、次の使用時まで冷蔵庫等で保管する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の薬用瓶においては、図20(b)のような状態で保管されている薬用瓶10の内容物の成分の残量が、見ただけではわからないという問題点があった。
【0006】
その理由は、図19を用いて説明したように、薬剤M1は適量の薬剤用溶液M2に溶かしてから使用するものであり、個々の薬剤M1によって溶液M2の量が異なっているために、初回使用前の薬液M3の量が個々の薬剤M1によって異なってしまうためである。例えば、ある薬剤M1においては、初回使用前の薬液M3は薬用瓶10にほぼ一杯となっており、他の薬剤M1においては初回使用前の薬液M3は薬用瓶10の半分位となってしまうような場合があるからである。
【0007】
このように、従来の薬用瓶10を用いて薬液M3を保管する場合には、残っている薬液M3の量を見ただけでは、その残っている薬液M3の中にどれだけの薬剤M1の成分が残っているのかわからないという問題点があった。
【0008】
さらに、従来の薬用瓶10を用いて、図20(b)に示した状態で保管した場合、ゴム栓11の上面が露出された状態で保管されることになり、保管中にゴム栓11の上面が汚染される虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の問題点を解決するために、本発明の第1の手段は、ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶であって、その瓶口が頂面板に透孔を有する口金によって封止され、当該口金の上部には、円筒状の周胴部と頂面板とからなり前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に係合する固定用円筒部を有する合成樹脂製の固定用蓋部材が冠着している薬用瓶において、前記固定用蓋部材の頂面板の上面には、当該固定用蓋部材の頂面板の上面と同様の円形形状であり且つシート状の表示片であって、その裏面側に対象物に対して着脱可能に粘着する粘着剤が塗布された表示片が複数枚重畳的に配設された表示片群が貼着され、該表示片群を構成する各表示片のそれぞれの表面側には、前記薬用瓶の内容物の成分の残量に関する表示がなされていることを特徴とするものである。ここで、前記表示片群を構成する各表示片のそれぞれの周縁部には、外側方向に延在するタグが連設されており、当該複数個のタグのそれぞれの表面側には、連設されている前記表示片の表面側になされている前記表示と同一内容の表示がなされていてもよいし、さらに、前記タグの近傍の前記表示片の裏面側には、前記粘着剤が塗布されていなくてもよい。
【0010】
また本発明の第2の手段は、ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶であって、その瓶口が頂面板に透孔を有する口金によって封止され、当該口金の上部には、円筒状の周胴部と頂面板とからなり前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に係合する固定用円筒部を有する合成樹脂製の固定用蓋部材が冠着している薬用瓶において、前記固定用蓋部材の頂面板の上面には、当該固定用蓋部材の頂面板の上面と同じ円形形状の紙葉体であり、その裏面側に対象物に対して着脱可能に粘着する粘着剤が塗布されている紙葉体であるシール部材が貼着され、当該円形形状のシール部材の上面には、当該シール部材と同様の構成の紙葉体であり且つ切断線によって複数個の表示片に分割されている表示片群が貼着され、該表示片群を構成する各表示片のそれぞれの表面側には、前記薬用瓶の内容物の成分の残量に関する表示がなされていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の第3の手段は、ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶であって、その瓶口が頂面板に透孔を有する口金によって封止され、当該口金の上部には、円筒状の周胴部と頂面板とからなり前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に係合する固定用円筒部を有する合成樹脂製の固定用蓋部材が冠着している薬用瓶において、前記口金の上面に載置可能な円盤形状であって、その下面側には前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に嵌合する嵌合係止部が形成されている嵌着用蓋部材を具え、前記固定用蓋部材の頂面板の上面の形状は、前記透孔を有する前記口金の頂面板の上面の形状と同じ形状となるように形成され、前記嵌着用蓋部材の上面には、当該上面と同様の円形形状であり且つシート状の表示片であって、その裏面側に対象物に対して着脱可能に粘着する粘着剤が塗布された表示片が複数枚重畳的に配設された表示片群が貼着され、該表示片群を構成する各表示片のそれぞれの表面側には、前記薬用瓶の内容物の成分の残量に関する表示がなされていることを特徴とするものである。ここで、前記表示片群を構成する各表示片のそれぞれの周縁部には、外側方向に延在するタグが連設されており、当該複数個のタグのそれぞれの表面側には、連設されている前記表示片の表面側になされている前記表示と同一内容の表示がなされていてもよいし、さらに、前記タグの近傍の前記表示片の裏面側には、前記粘着剤が塗布されていなくてもよい。
【0012】
また、本発明の第4の手段は、ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶であって、その瓶口が頂面板に透孔を有する口金によって封止され、当該口金の上部には、円筒状の周胴部と頂面板とからなり前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に係合する固定用円筒部を有する合成樹脂製の固定用蓋部材が冠着している薬用瓶において、前記口金の上面に載置可能な円盤形状であって、その下面側には前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に嵌合する嵌合係止部が形成されている嵌着用蓋部材を具え、前記固定用蓋部材の頂面板の上面の形状は、前記透孔を有する前記口金の頂面板の上面の形状と同じ形状となるように形成され、前記嵌着用蓋部材の上面には、当該嵌着用蓋部材の上面と同様の円形形状の紙葉体であり、その裏面側に対象物に対して着脱可能に粘着する粘着剤が塗布され且つ切断線によって複数個の表示片に分割されている表示片群が貼着され、該表示片群を構成する各表示片のそれぞれの表面側には、前記薬用瓶の内容物の成分の残量に関する表示がなされていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の第5の手段は、ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶であって、その瓶口が頂面板に透孔を有する口金によって封止され、当該口金の上部には、円筒状の周胴部と頂面板とからなり前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に係合する固定用円筒部を有する合成樹脂製の固定用蓋部材が冠着している薬用瓶において、前記口金の上面に載置可能な円盤形状であって、その下面側には前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に嵌合する嵌合係止部が形成されている嵌着用蓋部材を具え、前記固定用蓋部材の頂面板の上面の形状は、前記透孔を有する前記口金の頂面板の上面の形状と同じ形状となるように形成され、前記薬用瓶の側面に貼着されている内容物の名称等を表示するラベルには、切り取り線を介して連設された複数個の表示片からなる表示片群が連設されており、該表示片群を構成する各表示片のそれぞれの表面側には、前記薬用瓶の内容物の成分の残量に関する表示がなされていることを特徴とするものである。
【0014】
以上の本発明の第3,第4,第5の手段においては、前記嵌着用蓋部材の前記嵌合係止部は、前記口金の前記透孔の周縁部に形成されている立上げ部と嵌合可能な円形溝部であってもよいし、また、前記嵌着用蓋部材の前記嵌合係止部は、前記口金の前記透孔に嵌合可能な円形凸部であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように構成された本発明によれば、初回の使用時から最終使用時に至るまで、ゴム栓の上面の汚染を防止することが出来るとともに、保管時の薬用瓶を見ただけで内容物の成分の残量を容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施例1の構成を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施例1の構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例1の使用方法の説明図である。
【図6】本発明の実施例1の使用方法の説明図である。
【図7】本発明の実施例1の使用方法の説明図である。
【図8】本発明の実施例1の構成の説明図である。
【図9】本発明の実施例1の構成の説明図である。
【図10】本発明の実施例1の構成の説明図である。
【図11】本発明の実施例1の構成の説明図である。
【図12】本発明の実施例2の構成を示す斜視図である。
【図13】本発明の実施例2の構成を示す分解斜視図である。
【図14】本発明の実施例2の構成を示す断面図である。
【図15】本発明の実施例2の構成の説明図である。
【図16】本発明の実施例2の構成の説明図である。
【図17】本発明の実施例2の構成の説明図である。
【図18】従来の薬用瓶の構成を示す斜視図である。
【図19】従来の薬用瓶の使用方法の説明図である。
【図20】従来の薬用瓶の使用方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1の構成を示した斜視図であり、図2はその分解斜視図、図3は裏面側から見た分解斜視図、図4は図1に示した状態の断面図である。
【0019】
図1ないし図4において、薬用瓶10,口金20,固定用蓋部材30の構成は、図15を用いて先に説明した従来の薬用瓶と同様の構成である。
【0020】
すなわち、薬剤M1を収納してある薬用瓶10の瓶口は、ゴム栓11によって閉塞されており、金属薄板からなる口金20によって封止されている。
【0021】
口金20は円筒状の周胴部23と頂面板22によって構成されており、頂面板22の中央部には透孔21が穿設されている。周胴部23の下端部は、図4に示すように薬用瓶10の瓶口部に巻き締め固定されている。
【0022】
合成樹脂製の固定用蓋部材30は円筒状の周胴部33と円形の頂面板32とによって構成されている。頂面板32の下面側には、図4に示すように、口金20の透孔21の周縁部の頂面板22に係合する固定用円筒部31が設けられている。
【0023】
図2,図3に示すように、本実施例1においては、固定用蓋部材30の頂面板32の上面に、表示片41〜44が重畳的に配設された構成の表示片群40が貼着されている。
【0024】
表示片41〜44のそれぞれの表面側には、薬用瓶の内容物の成分の残量に関する表示41a〜44aがなされている。このシート状の表示片41〜44の形状は、固定用蓋部材30の頂面板32の上面と同様の円形形状となっている。表示片41〜44の裏面側には、図3に示したように、対象物に対して着脱自在に粘着する粘着剤41b〜44bが塗布されている。ここで、表示片44の裏面側においては、口金20の透孔21と対向する部分だけ粘着剤44bが塗布されていない構成となっている。このように構成することによって、表示片群40を口金20の頂面板22の上面に貼着させた場合でも、粘着剤44bがゴム栓11の上面に接触することを防ぐことができる。
【0025】
次に、以上のように構成された本実施例1の使用方法について図5〜図7を用いて説明する。
【0026】
先ず、本実施例1に収納されている薬剤M1の初回使用時においては、従来と同様の作業をする。
【0027】
すなわち、図5(a)〜(b)に示したように、薬用瓶10から固定用蓋部材30を外し(図5(a))、適量の薬剤用溶液で薬剤Mを溶かして薬液M3を作成し(図5(b))、その作成した薬液M3を必要量だけ注射器Pに移して使用する(図5(c))。そして、図5(d)に示したように、残った薬剤M3を保管する場合には、初めに外しておいた固定用蓋部材30の上面から表示片群40を剥がして、次に、図6に示したように薬液M3の残量中の成分の残量に相当する表示(図6においては表示42a)が最上面となるように、その上に配設されている表示片(図6においては表示片41)を剥がしてから、表示片群40を口金20の頂面板22の上面に貼着する。
【0028】
このような状態にして、冷蔵庫等に薬用瓶10を保管しておけば、ゴム栓11の上面が汚染される虞はなく、また、その薬用瓶10の上面を一目見ただけで残っている薬液M3の中の成分の残量を知ることができる。
【0029】
以後、図7(a)〜(d)に示したように、口金20から表示片群40を剥がして薬液M3を使用する度毎に、残っている薬液M3に対応する表示が最上面となるように、その上に配設されている表示片を剥がしてから、表示片群40を口金20の上面に貼着する作業を繰り返す。
【0030】
なお、各表示片41〜44を剥がし易くするために、図8に示したように、各表示片41〜44のそれぞれの周縁部に外側方向に延在するタグ41c〜44cを連設する構成としてもよい。図9は図8の分解斜視図、図10は図8の裏面側から見た分解斜視図である。
【0031】
このようなタグ41c〜44cを表示片41〜44のそれぞれに連設した場合には、図9に示したように、それぞれのタグ41c〜44cの表面側に、そのタグが連設されている表示片41〜44の表示41a〜44aと同一内容の表示41d〜44dを付して、図10に示したように、表示片41〜44の裏面側のタグ41c〜44cの近傍には粘着剤41b〜44bを塗布しない構成とすれば、剥がすべき表示片を瞬時に見つけて、その表示片を容易に剥がすことができるようにすることができる。
【0032】
以上説明した実施例1においては、円形形状の表示片41〜44によって表示片群40が構成されているが、この表示片群は、図11(a)〜(d)に示したように円形形状の1枚の紙葉体60で構成し、その紙葉体60を切断線60aによって分割して、分割された各片を表面側に表示がなされた表示片61〜64としてもよい。60bは紙葉体(表示片群)60の裏面側に塗布された、対象物に対して着脱自在に粘着する粘着剤である。図11(a)〜(d)に示したように表示片群60を構成した場合には、表示片群60の下側に、表示片群60と同じ円形形状の紙葉体であって裏面側に対象物に対して着脱自在に粘着する粘着剤50bが塗布されているシール部材50を配設する構成とする。このようなシール部材50を配設することによって、保管中の薬用瓶10のゴム栓11の上面の汚染を、表示片群60の状態の変化の如何にかかわらず防止することができる。なお、図11(a)〜(d)に示した表示片群60においては、シール部材50上に存在する表示片に記載された表示の加算値が成分の残量を示す値となるように、各々の表示片61〜64の表示がなされている。
【実施例2】
【0033】
図12は、本発明の実施例2の構成を示す斜視図であり、図13はその分解斜視図、図14は図12の断面図である。
【0034】
本実施例2が、先に説明した実施例1と異なるところは、固定用蓋部材30と表示片群40との間に発泡スチロール等の合成樹脂からなる嵌着用蓋部材70が配設されていることである。その他、先の実施例1と同一符号のものは同一のものを示しているので、その説明は省略する。この嵌着用蓋部材70は、先に説明したシール部材50(図11参照)と同様の機能を果たすものである。
【0035】
嵌着用蓋部材70は、口金20の頂面板22に載置可能な円盤形状をしており、その下面側には口金20の頂面板22に載置した際、口金20の透孔21の周縁部の頂面板22に嵌合する嵌合係止部が形成されている。本実施例2においては、図13に示したように、口金20の透孔21の周縁部に立上げ部24が形成されているので、嵌着用蓋部材70の嵌合係止部は、この立上げ部24に嵌合する円形溝部71として形成されている。ここで、嵌着用蓋部材70の下面側の口金20に接する部分に、表示片群40の下面側と同様の粘着剤を塗布する構成としてもよい。
【0036】
このように、本実施例2においては、嵌着用蓋部材70を介在させることにより、ゴム栓11の上面の汚染を防ぐとともに、上面が平坦でない口金20の上面にも表示片群40を配設することができる。
【0037】
ここで、本実施例2においては、固定用蓋部材30の頂面板32の上面の形状が、口金20の頂面板22の上面の形状と同じ形状となるように形成されている。すなわち、固定用蓋部材20の頂面板32の上面には、口金20の立上げ部24と同様の形状の立上げ部35が形成されており、その内部の円形凹部34の径は口金20の透孔21の径と等しくなるように選ばれている。このように固定用蓋部材30の上面部を構成することによって、商品(薬用瓶10および薬剤M1)の出荷時においては、嵌着用蓋部材70を固定用蓋部材30の上部に嵌着させた状態で出荷することができる。
【0038】
なお、本実施例2においては、透孔21の周縁部に立上げ部24が形成されている構成の口金20が薬用瓶10に装着されているので、図15(a)に示したように、固定用蓋部材30の上面には立上げ部35が形成され、嵌着用蓋部材70の下面側には円形溝部71が形成されている構成となっているが、薬用瓶10に装着されている口金20の透孔21の周縁部に立上げ部が形成されていない場合には、図15(b)に示したように、固定用蓋部材30の頂面板32には、透孔21と径が等しい円形凹部36を設け、嵌着用蓋部材70の下面側には、口金20の透孔21に嵌合する円形凸部72を設ければよい。
【0039】
また、本実施例2においては、円形形状の表示片が複数枚重畳的に配設される構成の表示片群40となっているが、この表示片群40を構成する各表示片は、図8〜図10で示したような構成のタグ41c〜44cが連設されている表示片41〜44としてもよく、さらにこの表示片群40は、先に図11(a)〜(d)を用いて説明したように、表面側に表示がなされた表示片61〜64からなる表示片群60としてもよい。
【0040】
さらに、本実施例2のように、口金20の上面に嵌着する嵌着用蓋部材70をその構成要素とする場合には、表示片群を、図16に示すように、薬用瓶10の側面部に貼着されている内容物M1の名称等を表示するラベル80に連設するような構成としてもよい。すなわち、図16においては、表示片群90は、切り取り線90aを介して連設された表面側に表示がなされた複数個の表示片91〜93から構成されており、その表示片群90自体はラベル80に連設されている。このような表示片群90をラベル80に連設する構成とした場合には、図17(a)〜(d)に示したように、薬液M3を使用する度毎に、薬液M3の残量に相当する表示が残るように表示片91〜94を順次切り取り線90aを用いて切り離してゆけばよい。
【符号の説明】
【0041】
10 薬用瓶
11 ゴム栓
20 口金
21 透孔
22,32 頂面板
23,33 周胴部
24,35 立上げ部
30 固定用蓋部材
31 固定用円筒部
34,36 円形凹部
40,60,90 表示片群
41〜44,61〜64,91〜94 表示片
41a〜44a,41d〜44d 表示
41b〜44b,50b,60b 粘着剤
41c〜44c タグ
50 シール部材
60a 切断線
70 嵌着用蓋部材
71 円形溝部
72 円形凸部
80 ラベル
90a 切り取り線
M1 薬剤
M2 薬剤用溶液
M3 薬液
N 注射針
P 注射器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶であって、その瓶口が頂面板に透孔を有する口金によって封止され、当該口金の上部には、円筒状の周胴部と頂面板とからなり前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に係合する固定用円筒部を有する合成樹脂製の固定用蓋部材が冠着している薬用瓶において、
前記固定用蓋部材の頂面板の上面には、当該固定用蓋部材の頂面板の上面と同様の円形形状であり且つシート状の表示片であって、その裏面側に対象物に対して着脱可能に粘着する粘着剤が塗布された表示片が複数枚重畳的に配設された表示片群が貼着され、
該表示片群を構成する各表示片のそれぞれの表面側には、前記薬用瓶の内容物の成分の残量に関する表示がなされていることを特徴とする残量表示片付薬用瓶。
【請求項2】
前記表示片群を構成する各表示片のそれぞれの周縁部には、外側方向に延在するタグが連設されており、当該複数個のタグのそれぞれの表面側には、連設されている前記表示片の表面側になされている前記表示と同一内容の表示がなされていることを特徴とする請求項1に記載の残量表示片付薬用瓶。
【請求項3】
前記タグの近傍の前記表示片の裏面側には、前記粘着剤が塗布されていないことを特徴とする請求項2に記載の残量表示片付薬用瓶。
【請求項4】
ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶であって、その瓶口が頂面板に透孔を有する口金によって封止され、当該口金の上部には、円筒状の周胴部と頂面板とからなり前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に係合する固定用円筒部を有する合成樹脂製の固定用蓋部材が冠着している薬用瓶において、
前記固定用蓋部材の頂面板の上面には、当該固定用蓋部材の頂面板の上面と同じ円形形状の紙葉体であり、その裏面側に対象物に対して着脱可能に粘着する粘着剤が塗布されている紙葉体であるシール部材が貼着され、
当該円形形状のシール部材の上面には、当該シール部材と同様の構成の紙葉体であり且つ切断線によって複数個の表示片に分割されている表示片群が貼着され、
該表示片群を構成する各表示片のそれぞれの表面側には、前記薬用瓶の内容物の成分の残量に関する表示がなされていることを特徴とする残量表示片付薬用瓶。
【請求項5】
ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶であって、その瓶口が頂面板に透孔を有する口金によって封止され、当該口金の上部には、円筒状の周胴部と頂面板とからなり前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に係合する固定用円筒部を有する合成樹脂製の固定用蓋部材が冠着している薬用瓶において、
前記口金の上面に載置可能な円盤形状であって、その下面側には前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に嵌合する嵌合係止部が形成されている嵌着用蓋部材を具え、
前記固定用蓋部材の頂面板の上面の形状は、前記透孔を有する前記口金の頂面板の上面の形状と同じ形状となるように形成され、
前記嵌着用蓋部材の上面には、当該上面と同様の円形形状であり且つシート状の表示片であって、その裏面側に対象物に対して着脱可能に粘着する粘着剤が塗布された表示片が複数枚重畳的に配設された表示片群が貼着され、
該表示片群を構成する各表示片のそれぞれの表面側には、前記薬用瓶の内容物の成分の残量に関する表示がなされていることを特徴とする残量表示片付薬用瓶。
【請求項6】
前記表示片群を構成する各表示片のそれぞれの周縁部には、外側方向に延在するタグが連設されており、当該複数個のタグのそれぞれの表面側には、連設されている前記表示片の表面側になされている前記表示と同一内容の表示がなされていることを特徴とする請求項5に記載の残量表示片付薬用瓶。
【請求項7】
前記タグの近傍の前記表示片の裏面側には、前記粘着剤が塗布されていないことを特徴とする請求項6に記載の残量表示片付薬用瓶。
【請求項8】
ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶であって、その瓶口が頂面板に透孔を有する口金によって封止され、当該口金の上部には、円筒状の周胴部と頂面板とからなり前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に係合する固定用円筒部を有する合成樹脂製の固定用蓋部材が冠着している薬用瓶において、
前記口金の上面に載置可能な円盤形状であって、その下面側には前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に嵌合する嵌合係止部が形成されている嵌着用蓋部材を具え、
前記固定用蓋部材の頂面板の上面の形状は、前記透孔を有する前記口金の頂面板の上面の形状と同じ形状となるように形成され、
前記嵌着用蓋部材の上面には、当該嵌着用蓋部材の上面と同様の円形形状の紙葉体であり、その裏面側に対象物に対して着脱可能に粘着する粘着剤が塗布され且つ切断線によって複数個の表示片に分割されている表示片群が貼着され、
該表示片群を構成する各表示片のそれぞれの表面側には、前記薬用瓶の内容物の成分の残量に関する表示がなされていることを特徴とする残量表示片付薬用瓶。
【請求項9】
ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶であって、その瓶口が頂面板に透孔を有する口金によって封止され、当該口金の上部には、円筒状の周胴部と頂面板とからなり前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に係合する固定用円筒部を有する合成樹脂製の固定用蓋部材が冠着している薬用瓶において、
前記口金の上面に載置可能な円盤形状であって、その下面側には前記口金の透孔の周縁部の前記口金の頂面板に嵌合する嵌合係止部が形成されている嵌着用蓋部材を具え、
前記固定用蓋部材の頂面板の上面の形状は、前記透孔を有する前記口金の頂面板の上面の形状と同じ形状となるように形成され、
前記薬用瓶の側面に貼着されている内容物の名称等を表示するラベルには、切り取り線を介して連設された複数個の表示片からなる表示片群が連設されており、
該表示片群を構成する各表示片のそれぞれの表面側には、前記薬用瓶の内容物の成分の残量に関する表示がなされていることを特徴とする残量表示片付薬用瓶。
【請求項10】
前記嵌着用蓋部材の前記嵌合係止部は、前記口金の前記透孔の周縁部に形成されている立上げ部と嵌合可能な円形溝部であることを特徴とする請求項5ないし請求項9のいずれかの項に記載の残量表示片付薬用瓶。
【請求項11】
前記嵌着用蓋部材の前記嵌合係止部は、前記口金の前記透孔に嵌合可能な円形凸部であることを特徴とする請求項5ないし請求項9のいずれかの項に記載の残量表示片付薬用瓶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−245985(P2012−245985A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117242(P2011−117242)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(591170500)石田プレス工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】