説明

段ボール積層体の積層方法

【課題】特有の外形形状を有する段ボール積層体を構成する段ボール板紙を容易に積層することができる積層方法を提供することを目的とする。
【解決手段】板状の段ボール板紙からなる複数の積層片10を積層して段ボール積層体1を形成する際に、積層片10を略枠体状に、且つ各積層片10に開口する内孔11を同一形状に形成し、台座21に略棒形状の基準軸22が立設された治具を用いて、各積層片10を所定の順番で、内孔11の所定の部位、あるいは任意の部位を基準軸22に摺接させつつ、挿通して、台座21上に積層し、積層した各積層片10を接着し、一体の段ボール積層体1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の段ボール材を積層し、様々な形状の段ボール積層体を形成する際の積層方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の段ボール積層体として、特許文献1に開示されたものがある。この段ボール積層体は、観賞用小動物飼育器のケース内に配設される巣穴構造物を構成している。巣穴構造物には、巣穴空間が形成されている。巣穴構造物は、巣穴空間形成部が打抜かれた段ボール板紙を積層させることで構成されており、隣接する巣穴空間形成部が1つの空間を構成することで、巣穴空間が形成されている。
【0003】
このような巣穴構造物は、ケース内に配設されるため、外形形状の一部がケース内部の形状に合わせて形成されている。このような段ボール板紙を積層する際には、段ボール板紙のケース内面に当接する部位を基準として重ね合わせる方法が一般的に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−159541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の巣穴構造物のように外形形状の一部を基準として重ね合わせる方法では、外形形状に意匠性を持たせることができないため、段ボール板紙を1枚1枚基準無しに重ねなければならず、積層作業が困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、特有の外形形状を有する段ボール積層体を構成する段ボール板紙を容易に積層することができる積層方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、板状の段ボール板紙からなる複数の積層片を積層して段ボール積層体を形成する段ボール積層体の積層方法であって、前記積層片を略枠体状に、且つ各積層片に開口する内孔を同一形状に形成し、台座に略棒形状の基準軸が立設された治具を用いて、各積層片を所定の順番で、該内孔の所定の部位、あるいは任意の部位を該基準軸に摺接させつつ、挿通して、該台座上に積層し、積層した各積層片を接着し、一体の段ボール積層体とすることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の段ボール積層体の積層方法において、前記一体の段ボール積層体の積層方向端部に前記内孔を具備しない平板状の積層片を積層、接着し、該内孔を閉止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、枠体状の積層片を積層する際に、内孔を基準軸に摺接させつつ挿通、積層することで、容易に積層片を積層することができるので、意匠性のある特有の外形形状を有する段ボール積層体を簡便に形成することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、意匠上、内孔を表出させたくない場合であっても、内孔を表出することなく段ボール積層体を簡便に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示し、段ボール積層体の完成状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、段ボール積層体を構成する部品を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、上方治具を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、上方治具を用いて積層片を積層し、上方筒部を構成する様子を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、下方治具を用いて積層片を積層し、下方台部を構成する様子を示す斜視図である。
【図6】本実施形態の別態様を示し、治具を用いて積層片を積層し、段ボール積層体を構成する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の段ボール積層体1は、図1示されるように、複数の積層片10を積層し、接着することで、一体に形成されている。また、段ボール積層体1は、図2に示されるように、上方筒部1a、中間蓋部1b、および下方台部1cとから構成されており、上方筒部1a、下方台部1cをそれぞれ形成し、下方台部1cに中間蓋部1bを積層したものに、上方筒部1aを組合わせることで、図1に示すように、一体に形成されている。上方筒部1a、下方台部1cは、後述する本願の積層方法で積層され、枠体状の積層片10を積層、接着し、一体としたものである。
【0013】
上方筒部1aを構成する上方積層片10a(積層片10)は、板状の段ボール板紙から円形の板片を切抜き、さらにこの板片の中央部に円形の上方内孔11a(内孔11)を開口することで、環状の枠体に形成される。このような上方積層片10aを複数作成する。なお、これら上方積層片10aの外周径R10aは、各上方積層片10a毎に所定の直径に設定され、上方内孔11aの径(内周径r11a)は、全て同一に設定されている。
【0014】
中間蓋部1bを構成する積層片は、板状の段ボール板紙から所定の直径で切抜かれた円形の板片である。なお、中間蓋部1bには、内孔は形成されていない。
【0015】
下方台部1cを構成する下方積層片10c(積層片10)は、板状の段ボール板紙から円形の板片を切抜き、さらにこの板片の中央部に円形の下方内孔11c(内孔11)を開口することで、円環状の枠体に形成される。このような下方積層片10cを複数作成する。なお、これら下方積層片10cの外周径R10cは、各下方積層片10c毎に所定の直径に設定され、下方内孔11cの径(内周径r11c)は、後述する下方治具20cの下方基準軸22cの直径と同一に設定されている。
【0016】
上方筒部1a、および下方台部1cを形成する際には、それぞれ上方治具20a、下方治具20cが用いられる。
【0017】
上方治具20a(治具20)は、図3に示すように、上方台座21a(台座21)に4本の上方基準軸22a(基準軸22)が立設されている。また、4本の上方基準軸22aの上端には、上方内孔11aと同一形状の上方天板23aが配置されている。そして、各上方基準軸22aは、図3、図4の破線で示されるように、上方治具20aを上方から見下ろして、外周の一部が上方天板23aの外周と接しつつ、且つ上方天板23aの投影面からはみ出さないように上方台座21aに配置されている。
【0018】
下方治具20c(治具20)は、下方台座21c(台座21)に1本の下方基準軸22c(基準軸22)が立設されている。また、下方基準軸22cは、断面形状が下方内孔11cと同一形状となるように形成されている。
【0019】
次に、段ボール積層体1を積層する手順について説明する。
【0020】
まず、上方筒部1aを積層する手順として、所定の上方積層片10aを用意し、上方治具20aの上方天板23aとともに、上方基準軸22aを用意した上方積層片10aの上方内孔11aに挿通し、上方内孔11aを上方基準軸22aに摺接させながら、上方台座21a上に配置する。次に、上方台座21a上に配置された上方積層片10aの上面に接着剤を塗布する。以上の2工程を所定の上方積層片10aの順に繰返して、上方積層片10aを積層し、積層が完了したところで、上方治具20aから上方筒部1aを取外す。
【0021】
下方台部1cを積層する手順として、上方筒部1aの場合と同様に、まず所定の下方積層片10cを用意し、下方基準軸22cを用意した下方積層片10cの下方内孔11cに挿通し、下方内孔11cを下方基準軸22cに摺接させながら、下方台座21c上に配置する。次に、下方台座21c上に配置された下方積層片10cの上面に接着剤を塗布する。以上の2工程を所定の下方積層片10cの順に繰返して、図5に示すように、下方積層片10cを積層し、積層が完了したところで、下方治具20cから下方台部1cを取外す。
【0022】
次に、下方台部1c最上面に接着剤を用いて、中間蓋部1bを貼付け、中間蓋部1bが貼付けられた下方台部1c最上面に、接着剤を用いて、積層された上方筒部1aを貼付け、段ボール積層体1が完成する。
【0023】
上記構成、および手順において、枠体状の積層片10を積層する際に、内孔を基準軸22に摺接させつつ挿通、積層することで、容易に積層片10を積層することができるので、意匠性のある特有の外形形状を有する段ボール積層体1を簡便に形成することができる。
【0024】
また、意匠上、内孔を表出させたくない場合であっても、中間蓋部1bによって下方台部1cの下方内孔11cを閉止するなどにより、内孔を表出することなく段ボール積層体1を簡便に形成することができる。
【0025】
上方筒部1a内に物品を配置し、本実施形態の段ボール積層体1をディスプレー台として用いる場合、下方台部1cがディスプレー台の底部を構成することになるが、下方内孔11cの開口面積は下方基準軸22cの断面積と同じに設定することで、開口面積を小さくすることができ、充分な強度を備えることができる。
【0026】
次に、図6に示される別態様の段ボール積層体101を積層する場合について説明する。上記実施形態の段ボール積層体1と大きく異なるのは、積層片110の形状である。上記積層片10の内孔11が円形に形成されているのに対し、本態様の積層片110の内孔111は矩形形状に形成されている。なお、これら積層片10の内孔11の形状は、全て同一の矩形形状に設定されている。また、各積層片110の外周形状は、矩形形状であるが、各辺は所定の寸法に設定されるとともに、周方向に所定の角度毎にずれ、積層した際に、外周が徐々に捻れるような形状に設定されている。
【0027】
治具120は、台座121に4本の基準軸122が立設されている。また、4本の基準軸122の上端には、内孔111と同一な矩形形状の天板123が配置されている。そして、各基準軸122は、図6の破線で示されるように、治具120をから見下ろして、外周の一部が天板123の四隅と接しつつ、且つ天板123の投影面からはみ出さないように台座121に配置されている。
【0028】
本態様の積層方法では、治具120の天板123とともに、基準軸122を用意した積層片110の内孔111に挿通する際に、各積層片110の向きが基準軸122によって規制されるため、積層片110の向きに注意しながら積層する手間が省かれるので、上記実施形態での作用効果に加え、さらに積層作業を簡便にすることができる。
【符号の説明】
【0029】
1…段ボール積層体
1b…中間蓋部(積層片)
10…積層片
10a…上方積層片(積層片)
10c…下方積層片(積層片)
11…内孔
11a…上方内孔(内孔)
11c…下方内孔(内孔)
21…台座
21a…上方台座(台座)
21c…下方(台座)
22…基準軸
22a…上方基準軸(基準軸)
22c…下方基準軸(基準軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の段ボール板紙からなる複数の積層片を積層して段ボール積層体を形成する段ボール積層体の積層方法であって、
前記積層片を略枠体状に、且つ各積層片に開口する内孔を同一形状に形成し、
台座に略棒形状の基準軸が立設された治具を用いて、
各積層片を所定の順番で、該内孔の所定の部位、あるいは任意の部位を該基準軸に摺接させつつ、挿通して、該台座上に積層し、
積層した各積層片を接着し、一体の段ボール積層体とすることを特徴とする段ボール積層体の積層方法。
【請求項2】
請求項1に記載の段ボール積層体の積層方法において、
前記一体の段ボール積層体の積層方向端部に前記内孔を具備しない平板状の積層片を積層、接着し、該内孔を閉止することを特徴とする段ボール積層体の積層方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−235602(P2011−235602A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111092(P2010−111092)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(393020476)東京コンテナ工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】