説明

殺生物剤予備混和物

本発明は、特にセルロース強化熱可塑性複合材料における成分として有用な、新規な殺生物剤予備混和物を提供する。本発明の殺生物剤予備混和物には、殺生物剤と、カップリング剤、潤滑剤のいずれかまたはそれら両方との組合せが含まれる。セルロース強化熱可塑性複合材料にそのような殺生物剤予備混和物を添加することによって、そのような複合材料において、かび、真菌、藻類などによる攻撃に対しての改良された耐性、改良された接着安定性、向上された耐湿性および耐老化性、限定された溶出性、向上された靱性弾性率、ならびに向上された効力が得られる。本発明の殺生物剤予備混和物を使用した製品は、建物の外部用途、たとえばデッキ材、サイジング材、ルーフィング材、窓材、成形材、ドック材、埠頭材などの材料を形成させるのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料の成分として有用な殺生物剤予備混和物に関する。それらの殺生物剤予備混和物は、セルロース系物質および熱可塑性ポリマーを含むセルロース含有複合材料の成分として特に有用である。そのようなセルロース含有複合材料、または木材−プラスチック複合材料は、各種の産業用途および構造材用途において多く使用されている。
【背景技術】
【0002】
木材プラスチック複合材料は、当該技術分野において以前から公知である。典型的には、それらの材料には、セルロース系物質、有機ポリマー、および充填剤が含まれている。それらの複合材料を注型して各種の形状として、天然木材の外観と触感を有する物質を形成し、デッキ材、サイジング材、ルーフィング材、窓材、成形材、ドック材、埠頭材などを始めとする屋外用材料を形成するのに使用する。
【0003】
残念ながら、木材−プラスチック複合材料産業においては、生物による攻撃が原因の分解を含めた課題を抱えている。藻類、かび、真菌、白かびなどがそれらの材料を攻撃して、セルロース強化熱可塑性複合材料の物理的性質、耐老化性、構造的完全性および外観に悪影響を与える。それらの問題をなくす目的でそのような複合材料の成分として使用するための、多数の抗生物的添加剤、たとえば殺生物剤および殺藻剤が考案されてきた。しかしながら、それらの用途で従来から使用されてきた抗生物的添加剤(すなわち、ホウ酸亜鉛)は、その有効性において限界があった。
【0004】
当業界で公知の別の問題は、木材用途において使用された金属ベースの殺生物剤および殺藻剤の溶出である。それらの物質の溶出は、上水供給、水生野生動物、および底生群集に顕著な危険を与える可能性があり、さらには食物連鎖のために他の生物に対するさらなる危険の原因ともなる。したがって、その殺生物剤成分がかび、白かび、微生物および生物による攻撃または分解を遅らせながらも、経時安定性を与え、さらには環境への溶出が抑制されるような、セルロース強化熱可塑性複合材料のための殺生物剤成分が必要とされている。
【0005】
木材−プラスチック複合材料を形成させる際に付随するまた別な問題は、セルロース系物質をポリマー材料と組み合わせたときの加工と結合が困難であることである。そのため、加工を容易とし、そのような複合材料を形成させる際に、セルロースとポリマー材料との間の結合と接着安定性が改良されるような殺生物剤材料が必要とされている。木材をベースとする複合材料におけるさらなる欠点は、それらが湿分に弱く、そのために軟化や材料の分解を招くことである。したがって、木材複合材料から製造した物品に耐水性を付与する必要がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、それらの課題に対する解決法を提供する。本発明は、セルロース強化熱可塑性複合材料の成分として使用するための新規な殺生物剤予備混和物を提供する。本発明の殺生物剤予備混和物には、殺生物剤と、カップリング剤、潤滑剤のいずれかまたはそれら両方との組合せが含まれる。その殺生物剤は複合材料への生物による攻撃を抑制し、そのカップリング剤は接着安定性を向上させ、その潤滑剤は剥離剤および/または加工助剤として機能する。
【0007】
セルロース強化熱可塑性複合材料に本発明の殺生物剤予備混和物を添加することによって、従来技術に比較して顕著な改良が得られるが、そのような改良点としては、かび、真菌、藻類などによる生物的攻撃に対する耐性の改良、接着安定性の改良、耐湿性および耐老化性の向上、強度の改良、押出加工性の改良、溶出の抑制、靱性弾性率の向上、ならびにそのような複合材料における効力の向上などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。本発明の殺生物剤予備混和物を使用して得られる製品は、建物の外部用途のための材料を形成するのに特に有用であり、そのような用途としては、たとえばデッキ材、サイジング材、ルーフィング材、窓材、成形材、ドック材、埠頭材などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0008】
本発明は、殺生物剤と、以下:
a)カップリング剤、および/または
b)潤滑剤
の少なくとも一方または両方との組合せを含む殺生物剤予備混和物を提供する。
【0009】
本発明はさらに、
a)セルロース系物質、
b)熱可塑性ポリマー、ならびに
c)殺生物剤と、以下:
i)カップリング剤、および/または
ii)潤滑剤
の少なくとも一方または両方との組合せを含む殺生物剤予備混和物
を含むセルロース系組成物を提供する。
【0010】
本発明はさらに、
a)セルロース系物質、
b)熱可塑性ポリマー、ならびに
c)殺生物剤と、以下:
i)カップリング剤、および/または
ii)潤滑剤
の少なくとも一方または両方との組合せを含む殺生物剤予備混和物
を含むセルロース系組成物を提供する。
【0011】
本発明はさらに、以下の工程:
a)第一に、殺生物剤と、以下:
i)カップリング剤、および/または
ii)潤滑剤
の少なくとも一方または両方との組合せを含む殺生物剤予備混和物を形成させる工程、ならびに
b)次いで、その殺生物剤予備混和物をセルロース系物質および熱可塑性ポリマーと組み合わせることにより、セルロース系組成物を形成させる工程
を含むセルロース系組成物を形成させるための方法もまた提供する。
【0012】
本発明はさらに、カップリング剤に対して求核的にグラフトされた殺生物剤を含む殺生物剤化合物もまた提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、各種の用途たとえば屋外材料用途において使用するための殺生物剤予備混和物に関する。本発明の殺生物剤予備混和物は、複合材料組成物の成分として有用であり、特に、木材−プラスチック複合材料などのためのセルロース系組成物を形成する際にセルロース系物質およびポリマー材料と組み合わせた場合に有用である。
【0014】
その殺生物剤予備混和物には、殺生物剤と、少なくとも1種のカップリング剤、少なくとも1種の潤滑剤またはそれらの両方との組合せが含まれる。本発明の好ましい実施形態においては、その殺生物剤予備混和物には、殺生物剤とカップリング剤とが含まれて潤滑剤が含まれず、また別な実施形態においては、殺生物剤と潤滑剤とが含まれてカップリング剤が含まれず、さらに別な実施形態においては、殺生物剤と、カップリング剤および潤滑剤の両方とが含まれる。
【0015】
本発明の重要な特徴は、殺生物剤とカップリング剤および/または潤滑剤とを最初に互いに組み合わせて殺生物剤予備混和物を形成させ、それに続けて、その予備混和物を複合材料組成物の他の成分と組み合わせる点にある。このような順序で組み合わせることによって、複合材料およびその成分の寿命が延長されるなど、いくつかの利点が得られる。この組合せ順とすることによって、殺生物剤予備混和物の成分を予備混和物自体の中に均質で均一に組み合わせることができるだけではなく、複合材料組成物全体の中にその殺生物剤予備混和物を均質で均一に組み合わせることもまた可能となる。この組合せ順とすることによりさらに、殺生物剤効果を必要としている複合材料の表面に近い位置に殺生物剤を配置させることにより、殺生物剤の効率を向上させることが可能となる。
【0016】
その殺生物剤には、望ましくない生物的成長体および/または生物体たとえばかび、白かび、藻類、微生物、真菌、細菌、ダニ、昆虫などの成長、形成、誘引、または伝播を、停止、限定、抑制または防止することを可能とする、任意の抗生物的化学部分が含まれていてよい。殺生物剤として使用するのに好適な物質を非限定的に挙げれば、殺藻剤、除草剤、抗真菌剤、抗微生物剤、抗菌剤、抗生物質、殺シロアリ剤、殺ダニ剤、殺虫剤、およびそれらの組合せなどがある。従来の好適な殺生物剤のいくつかの例を、非限定的に以下に挙げる:殺藻剤たとえば、EPAに登録された殺藻剤、たとえばキレート化銅、銅元素、および硫酸銅五水和物;除草剤たとえば、EPAに登録された除草剤、たとえばジクワットジブロミド、フルリドン;抗生物剤たとえば、EPAに登録された抗生物剤、市販されている殺生物剤たとえば、ポリオレフィンにおいて使用される第四級アンモニウム塩、金属ベースの系、および抗微生物系;抗真菌剤または殺真菌剤たとえば、硫酸銅、クロム酸塩化ヒ酸銅、アンモニア性ヒ酸銅亜鉛、アルキルアンモニウム化合物たとえば、塩化ジデシルメチルアンモニウム、アンモニア性銅−アルキルアンモニウム化合物たとえば、アンモニア性塩化銅−ジデシルメチルアンモニウム、およびそれらの組合せ;除草剤たとえば、トリアジン除草剤のアトラジン、シマジン、デュイロン、テルブティラジン、アラクロール、ブロマシル、メトラクロール、および/またはそれらの物質の前駆体たとえば、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン、およびそれらの組合せ;銅8−キノリノラート;置換イソチアゾロンたとえば、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン;2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル;チアゾールたとえば、2−チオシアノメチルチオベンゾチアゾール(TCMTB);メチレン−ビス−チオシアネート(MBT);カルバメートたとえば、3−ヨード−プロペニルブチルカルバメート;トリアゾールたとえば、アザコナゾール、プロピコナゾール、およびテブコナゾール;ならびに殺シロアリ剤たとえば、クロルピリホス、シラフルオフェン、ピレスロイド、銅8キノラート、亜鉛ナフタネート、および銅ナフタネート;ならびにそれらの組合せ。
【0017】
好適な殺生物剤には、非溶出性で乳化可能な物質が含まれる。「非溶出性」という用語は、その殺生物剤がその抗生物的特性を実質的に維持し、その活性な抗生物的成分の全部または一部が、溶出、漏出、溶解、蒸発、放散その他によって、環境中に経時的に失われることが起こりにくいことを意味している。好適な非溶出性の殺生物剤の非限定的な例としては、多面体オリゴマー性シルセスキオキサン(本明細書においては以後「POSS」と呼ぶ)部分が挙げられる。好適なPOSS部分の非限定的な例としては、8官能性の第四級アンモニウム塩が挙げられる。いくつかのPOSS化学物質は、ミシシッピ州ハティスバーグ(Hattiesburg,Mississippi)のハイブリッド・プラスチックス(Hybrid Plastics)からオクタアンモニウム・POSS(Octaammonium POSS)の名前で商品として購入することができる。従来のPOSS物質は、約7ナノメートル〜約300ナノメートルの範囲の分子粒径を有しているが、これは典型的には、コロイダルシリカ粒子などの直径よりははるかに小さい。POSS分子を含むポリマーは、ナノメートルスケールで極めて良好に分散されたPOSS分子を示す、すなわちそのポリマーが真のナノ複合材料である。その物質の物理的形態は可変であって、液体から、ワックスまで、粉体まで、結晶性固体までの範囲の多くの形態で存在することができる。POSS構造は、広く各種の基を用いて官能化することが可能であって、それにより一連のPOSSモノマーが得られる。官能基の性質によって、ポリマーマトリックスとの親和性が決まる。好適なPOSS物質としては、以下の式1の構造を含むオクタアンモニウム・POSS(Octaammonium POSS)が挙げられる。
【化1】

【0018】
殺生物剤の非溶出性、特にセルロース系組成物(以下で説明する)の成分としての殺生物剤の非溶出性に関しては、ある種の実施形態においては、屋外環境における用途で使用している際に、そのセルロース系組成物全体の中に存在している殺生物剤の約90%〜約100%が、セルロース系組成物の内部、あるいはセルロース系組成物によって形成される物品の内部に保持されているのが好ましい。
【0019】
殺生物剤が、殺生物剤予備混和物の加工温度で熱的に安定であり、用途に適用している際にその抗生物的活性を保持していることが好ましい。各種のポリマー用途において、熱的に中程度に安定である抗生物的添加剤を使用することは公知である。それらの熱的に中程度に安定である物質は、ポリオレフィンやその他のより高温で加工されるポリマー産業で使用するには熱安定性であるとは通常考えられてはいないものの、セルロース系複合材料の加工温度で使用する場合には、それらの活性を保持することができる。
【0020】
任意の適切な従来の方法、たとえば混合、ブレンド、押出加工、ペレット化などで、殺生物剤を殺生物剤予備混和物の他の成分と組み合わせることができる。殺生物剤を、殺生物剤予備混和物全体に実質的に均質に分散させることが最も好ましい。ある種の実施形態においては、エマルションの形態で殺生物剤予備混和物を存在させてもよい。そのようなエマルションは、殺生物剤コーティングなどにおいて特に有用である。
【0021】
さらに、殺生物剤予備混和物を複合材料と組み合わせたときに、好ましくは、複合材料の外側表面および/または内部細孔表面も含めて複合材料の表面で利用されるように、殺生物剤が存在し、それによって、その複合材料のそれら表面上または中での、生物学的成長、形成または伝播が、限定、抑制または防止されるのが好ましい。
【0022】
殺生物剤は、好ましくは全殺生物剤予備混和物の約0.1〜約50重量パーセント、より好ましくは殺生物剤予備混和物の約1〜約30重量パーセント、最も好ましくは殺生物剤予備混和物の約1〜約20重量パーセントの範囲の量で存在させる。
【0023】
殺生物剤は、殺生物剤予備混和物の中に、任意の適切な従来の形態たとえば、固体、液体、ワックス、粉体など(これらに限定される訳ではない)の形態で存在させてよい。本発明の一つの実施形態においては、POSS殺生物剤を、粉体の形態で、全殺生物剤予備混和物の約0.1パーセント〜約10.0重量パーセントの範囲で、殺生物剤予備混和物の中に存在させる。
【0024】
本発明のある種の好ましい実施形態においては、その殺生物剤予備混和物はカップリング剤をさらに含む。そのカップリング剤は、殺生物剤と複合材料組成物たとえば、本明細書に記載のセルロース含有複合材料の成分との間の接着性を促進させおよび/または親和性を向上させるのに役立つ。セルロース含有複合材料にしばしば伴う問題は、セルロース系繊維と熱可塑性バインダーを結合させるのが比較的困難であるということである。それに加えて、充填剤と樹脂系混合物との間の接着性が不安定であると、時には、材料の破壊を起こす可能性がある。本発明によるカップリング剤の存在は、そのような複合材料における接着安定性を改良することに役立つ。カップリング剤の添加は、本発明の殺生物剤予備混和物を含む成形品の曲げ弾性率の改良にさらに望ましい。
【0025】
一般的には、本発明におけるカップリング剤として使用するには、カルボン酸官能基を有する酸無水物部分または化合物が好適である。一つの好ましい実施形態においては、そのカップリング剤は無水マレイン酸官能基を含む。カップリング剤として好適なその他の物質としては、マレイン化ポリオレフィン、マレイン化ポリエチレン、マレイン化ポリプロピレン、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0026】
本明細書で使用するとき、「ポリエチレン」という用語は、ポリエチレンのホモポリマー、ならびにエチレン−プロピレンコポリマーを含めてあらゆる形態のポリエチレンコポリマーおよびターポリマーを指し、それらを含むが、ただしモルパーセント基準で、そのポリマーの少なくとも実質的に大部分がポリエチレン部分で形成されていなければならない。同様に、「ポリプロピレン」という用語は、ポリプロピレンのホモポリマー、ならびにプロピレン−エチレンコポリマーも含めてあらゆる形態のポリプロピレンコポリマーおよびターポリマーを指し、それらを含むが、ただしモルパーセント基準で、そのポリマーの少なくとも実質的に大部分がポリプロピレン部分で形成されていなければならない。
【0027】
好適なマレイン化ポリオレフィンの例としては、ポリエチレン(低密度、高密度、線状低密度ポリエチレンを含む)、ポリプロピレン、ポリスチレンなど;コポリマーおよびターポリマーたとえば、エチレン−ブチレン、EPDM(エチレン、プロピレン、ジエンモノマー)、EVA(エチレン−酢酸ビニル)、エチレン−アクリル酸ブチル−一酸化炭素など、ならびにそれらの組合せのマレイン化誘導体が挙げられる。マレイン化ポリオレフィンのさらなる例は、国際公開第2005/021606号パンフレットに見出すことができる(これは参照により本明細書に含まれるものとする)。
【0028】
カップリング剤は、殺生物剤予備混和物の中に、好ましくは全予備混和物の約1〜約99重量パーセント、より好ましくは全予備混和物の約20〜約80重量パーセント、最も好ましくは全予備混和物の約30〜約70重量パーセントの範囲の量で存在させる。任意の適切な従来の方法、たとえば混合、ブレンド、押出加工、ペレット化などを使用して、カップリング剤を殺生物剤予備混和物の他の成分と組み合わせることができる。
【0029】
本発明のある種の好ましい実施形態においては、その殺生物剤組成物は潤滑剤を含む。潤滑剤は、殺生物剤組成物全体、特にたとえば以下において説明するセルロース系組成物などの複合材料組成物全体にわたって、殺生物剤を分散させることを促進するのに役立つ。潤滑剤はさらに、ポリマーの性質を向上させ、および/またはたとえば殺生物剤組成物および、その殺生物剤組成物を含む物質の押出適性および加工性を向上させて、加工を助けるのに役立つ。「押出適性」という用語は当該技術分野においては一般に、加工物を押出加工する際に消費されるエネルギーを意味すると理解されている。「加工性」という用語は一般に、複合材料の構成要素をブレンドする際に消費されるエネルギーを意味すると理解されている。潤滑剤には、複合材料組成物全体の成分の間で粒子間の摩擦を減少させるような物質が含まれているのが好ましい。その結果として、複合材料組成物を効果的に形成させ、最終的には押出加工して成形品とするための、速度および/または効率における改良が得られる。潤滑剤はさらに、効力を発揮させるための、複合材料組成物全体の中の物質たとえば殺生物剤の添加必要量を低下させるのにも役立つ可能性がある。潤滑剤として好適な物質の例を非限定的に挙げれば、以下のようなものがある:ポリオールエステル、アルキルエステル、アミドエステル、脂肪酸エステルワックス、パラフィンワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、アルファオレフィン、微結晶性ワックス、アミドワックスたとえばカルボキシアミドワックス、ステアロアミドワックス、エチレンビス(ステアロアミド)ワックス、ポリエチレンワックス(酸化低密度および高密度ポリエチレンワックスを含む)など、ならびにそれらの組合せ。潤滑剤が、ステアリン酸金属塩およびカルボン酸金属塩を実質的に含まない物質を含んでいるのが好ましいが、それらは、潤滑剤として使用すると加工操作の持続的な性能に悪影響を与えることが知られている。本発明のある種の実施形態においては、本明細書に記載の殺生物剤予備混和物を含み、潤滑剤が存在する複合材料組成物全体で、少量のステアリン酸亜鉛、たとえば約4重量%までのステアリン酸亜鉛、好ましくは約2重量%までのステアリン酸亜鉛は許容される。
【0030】
一つの実施形態においては、その潤滑剤に、ポリオール(ポリヒドロキシル化合物)を1種または複数のモノ−またはポリ塩基性カルボン酸もしくはカルボン酸官能基と反応させることにより得られるポリオールエステルが含まれる。好適なポリオールを非限定的に挙げれば、一般式R(OH)で表されるものがあるが、ここでRは、任意の脂肪族または脂環式ヒドロカルビル基(好ましくはアルキル)であり、nは、少なくとも2の値の整数である。そのヒドロカルビル基は、約2〜約20個またはそれ以上の炭素原子を含んでいてよく、さらにたとえば塩素、窒素および/または酸素原子などの置換基を含んでいてもよい。そのポリヒドロキシル化合物が一般的には、1個または複数のオキシアルキレン基を含んでいて、そのポリヒドロキシル化合物がポリエーテルポリオールなどの化合物を含んでいてもよい。そのカルボン酸エステルを形成させるために使用されるポリヒドロキシル化合物の中の炭素原子の数およびヒドロキシ基の数は変化させることができる。
【0031】
本発明のまた別な実施形態においては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、モノペンタエリスリトール、工業グレードのペンタエリスリトール、およびジペンタエリスリトールからなる群から選択されるポリオールとして、アルコールが特に有用である。さらなる実施形態においては、それらのアルコールが、工業グレードのペンタエリスリトール(たとえば、約88%モノペンタエリスリトール、10%ジペンタエリスリトール、1〜2%トリペンタエリスリトール)、モノペンタエリスリトール、およびジペンタエリスリトールである。
【0032】
本発明のカルボン酸には、任意のC〜C20モノおよびジ酸、好ましくはアジピン酸およびステアリン酸が含まれているのが好ましい。その他の有効なカップリング化合物が使用されていてもよい。カルボン酸の官能性誘導体を使用して潤滑剤を形成させてもよい。たとえば、エステルを形成させるのに、多塩基酸に代えて多塩基酸の無水物を使用することも可能である。これらの例を非限定的に挙げれば、以下のものがある:無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、無水ナド酸、無水メチルナド酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ステアリン酸、および多塩基酸の混合無水物、複合エステル、ならびにそれらの混合物および組合せ。
【0033】
本発明の一つの実施形態においては、複合エステルには下記の式2:
【化2】

[式中、Rは独立して水素または−C(O)R’であるが、ここでRの内の少なくとも1個は−C(O)R’であり、
R’は独立して、水素、約3〜約18個の炭素原子を有する不飽和もしくは飽和アルキル鎖、または−C(O)−X−COOHであり、そして
Xは、約3〜約18個の炭素原子を有し、1価もしくは多価であってよい不飽和もしくは飽和アルキル鎖である]
のアルキルエステルの混合物が含まれる。
【0034】
本発明のまた別な実施形態においては、そのアルキルエステルには、ペンタエリスリトールアジペート−ステアレートが含まれる。前述の部分は、式2のアルキルエステルの混合物であって、ここでその有機種の約14%がアジピン酸から誘導される−C(O)−X−COOH部分であり、有機種の約71%がステアリン酸およびその関連の酸(典型的には、パルミチン酸)から誘導される−C(O)R’部分である。これらは、ハネウェル・インターナショナル社(Honeywell International Inc.)から、RL710の名前で市販されている。上述したように、本発明の潤滑剤には、カルボキシアミドワックス、ステアロアミドワックス、エチレンビス(ステアロアミド)ワックス、およびそれらの組合せが含まれていてよい。アルキルエステルとアミドワックスとを組み合わせて、潤滑剤の中で広い範囲の相対的濃度で使用することもできる。一つの実施形態においては、アルキルエステル対アミドワックスの重量比を、約30:1から約1:1までの範囲とすることができる。また別な実施形態においては、アルキルエステル対アミドワックスの重量比が、約20:1から約2:1までの範囲である。本発明において使用するのに好適なその他の潤滑剤が、ハネウェル・インターナショナル社(Honeywell International Inc.)から、レオケム(Rheochem)の商品名で市販されている。潤滑剤は、好ましくは殺生物剤組成物の約1〜約99重量パーセント、より好ましくは殺生物剤組成物の約20〜約80重量パーセント、最も好ましくは殺生物剤組成物の約30〜約70重量パーセントの範囲で存在させる。
【0035】
潤滑剤は、たとえば加熱ブレンド法など、任意の従来の方法を用いて、殺生物剤予備混和物の他の成分と組み合わせてよい。それらの殺生物剤および/またはカップリング剤は、その潤滑剤と組み合わせたときに、反応生成物を形成してもよく、あるいは形成しなくてもよい。好ましい実施形態においては、殺生物剤、カップリング剤、および潤滑剤は、殺生物剤予備混和物全体の中に、それぞれ約1:2:2から約2:1:1までの範囲の比率で存在させる。
【0036】
本発明のさらなる実施形態においては、カップリング剤に対して求核的にグラフトされる殺生物剤を含む殺生物剤化合物に関する。求核的なグラフト化は、それらの成分を反応させて、殺生物剤とカップリング剤との間に共有結合を形成させることにより実施される。求核的にグラフト化させることにより、殺生物剤をカップリング剤と結合させ、それによって殺生物剤の溶出を防止または抑制するのに役立つ。殺生物剤とカップリング剤とを求核的にグラフトさせるそのような実施形態においては、その殺生物剤が、カップリング剤に求核置換反応をすることが可能な第一級アミン基を含んでいるのが好ましい。そのような第一級アミン基を有する好適な殺生物剤の例を非限定的に挙げれば、スルファジアジン、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、アンモニウム塩、およびそれらの組合せなどがある。好適なカップリング剤としては、先に記載したものが挙げられるが、それらに限定される訳ではない。
【0037】
本発明のさらなる実施形態においては、上述の殺生物剤化合物と潤滑剤とを含む殺生物剤予備混和物に関する。好適な潤滑剤としては、先に記載したものが挙げられるが、それらに限定される訳ではない。
【0038】
上述の殺生物剤予備混和物のいずれもが、各種の製造用途および技術分野で使用するための複合材料組成物を形成させるのに使用することができる。本発明の殺生物剤予備混和物は、複合セルロース系組成物の形成において特に有用である。そのようなセルロース系組成物には、セルロース系物質、熱可塑性ポリマー、および本発明の殺生物剤予備混和物が含まれる。そのようなセルロース系組成物を形成させるのに好適な方法には、最初に上述のような殺生物剤予備混和物を形成させる工程と、その後で、その殺生物剤予備混和物をセルロース系物質および熱可塑性ポリマーと組み合わせる工程とが含まれる。
【0039】
セルロース系物質は、セルロース系組成物の全体およびそれから形成される成形品の構造要素として機能する。セルロース系物質には、各種のセルロース系の物質が含まれていてよいが、非限定的に例を挙げれば以下のようなものがある:各種のタイプの木材および木材製品たとえば、木粉、木材パルプもしくは木材繊維;紙;樹皮;麦わら;乾草;綿;麻;亜麻;植物および植物成分たとえば、葉、果実、種子、核、花、堅果殻など;穀類;籾殻;トウモロコシの毛;トウモロコシの皮など、およびそれらの組合せ。好ましい実施形態においては、セルロース系物質には木材が含まれる。そのセルロース系物質は、たとえば、粒子、繊維、フレーク、パルプ、チップ、紙、かんな屑、おがくず、木粉、セルロース含有副生物など、およびそれらの組合せなど、各種好適な形態で存在させてよい。セルロース系物質は、好ましくはセルロース系組成物の約40〜90重量パーセント、より好ましくはセルロース系組成物の約50〜約80重量パーセント、最も好ましくはセルロース系組成物の約55〜約65重量パーセントの範囲の量で存在させる。
【0040】
熱可塑性ポリマーは、メルトブレンド法またはその他の従来の方法によって、セルロース系物質とセルロース系組成物の他の成分との結合を促進させる機能を有していて、押出法、金型法、その他の従来の方法を用いてセルロース系組成物を効果的に成形して成形品とすることができる。その熱可塑性ポリマーには、通常よく知られている任意の好適な熱可塑性ポリマーが含まれていてよい。好適な熱可塑性ポリマーの例としては、以下のものからなる群から選択される物質が挙げられる(これらに限定される訳ではない):ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシメチレン、スチレンポリマー、ポリカーボネート、およびそれらの組合せ。本発明において使用する場合、「ポリオレフィン」という用語は、不飽和脂肪族炭化水素のホモポリマー、コポリマーおよび変性ポリマーを指している。いくつかの実施形態においては、ポリエチレンおよびポリプロピレンを使用してよい。他の実施形態においては、高密度ポリエチレン(HDPE)を使用してよい。熱可塑性ポリマーは、バージンの形態で使用してよいし、さらにはリサイクルされた(廃物)の形態で使用してもよい。
【0041】
熱可塑性ポリマーは、好ましくはセルロース系組成物の約10〜40重量パーセント、より好ましくはセルロース系組成物の約20〜約40重量パーセント、最も好ましくはセルロース系組成物の約25〜約35重量パーセントの範囲の量で存在させる。
【0042】
殺生物剤予備混和物は、セルロース系組成物の中に、好ましくはセルロース系組成物の約0.1〜50重量パーセント、より好ましくはセルロース系組成物の約1〜約40重量パーセント、最も好ましくはセルロース系組成物の約1〜約30重量パーセントの範囲の量で存在させる。一つの好ましい実施形態においては、殺生物剤予備混和物がセルロース系組成物の中に、殺生物剤がセルロース系組成物全体の約0.5〜約10重量パーセントの範囲の量で存在するような量で存在させ、カップリング剤についてはセルロース系組成物全体の約1〜約5重量パーセントの範囲の量で存在させ、潤滑剤についてはセルロース系組成物全体の約1〜約5重量パーセントの範囲の量で存在させる。
【0043】
そのセルロース系組成物には、他の物質たとえば有機もしくは無機の充填剤、補強材などがさらに含まれていてもよい。好適な充填剤および補強物質の例としては、無機充填剤たとえば、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、雲母、カオリン、炭酸カルシウムなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。有機充填剤としては、セルロース系物質、ポリマー繊維などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。これらは、当業者が容易に決めることが可能な量で存在させてもよい。適量は、セルロース系組成物全体の約1〜約10重量パーセントの範囲である。
【0044】
本発明のセルロース系組成物は、従来の任意の適切な方法たとえば、混合法、ブレンド法、押出法、ペレット化法などを用いて形成させてよい。一つの好ましい実施形態においては、セルロース系組成物の成分をミキサー中で組み合わせて、均質な混合物が得られるまでブレンドする。それらのセルロース系組成物をさらに成形して、たとえば木材−プラスチック複合材料物品などの成形品とするのが好ましい。成形品の成形は、従来の方法たとえば押出成形、射出成形などを用いて実施してもよい。そのような成形品は、デッキ材、サイジング材、ルーフィング材、窓材、成形材、ドック材、埠頭材など(これらに限定される訳ではない)の屋外用途において特に有用である。
【0045】
本発明の殺生物剤予備混和物を含む成形品は、従来公知の材料に比較して、性能において顕著な改良を与える。無水マレイン酸系のカップリング剤と潤滑剤とを含む組成物からは、従来使用されている潤滑剤を含む同様の組成物よりも、少なくとも約25相対パーセント、多くの場合最高75相対パーセントも高い曲げ弾性率を有する成形品が得られる。一つの好ましい実施形態においては、本発明の殺生物剤予備混和物を含む物品は、約1000psi〜約5000psiの範囲の曲げ弾性率を示す。そのような物品は、好ましくは約2000psiから、より好ましくは約2500psi以上、最も好ましくは約3000psi以上の曲げ弾性率を有している。
【0046】
本発明の殺生物剤予備混和物を含む材料は、かび、真菌、藻類などによる攻撃に対しての改良された耐性、改良された接着安定性、向上された耐湿性および耐老化性、限定された溶出性、向上された靱性弾性率、ならびに向上された効力を示す。
【0047】
以下に非限定的な例を挙げて本発明を説明する。本発明の成分の要素において比率を変更し、代替物を使用することは、当業者にとっては自明であり、本発明の範囲内であるということを理解されたい。
【実施例】
【0048】
実施例1
殺生物剤予備混和物を、殺生物剤予備混和物全体の5重量%の量のオクタアンモニウム・POSS(Octaammonium POSS)殺生物剤と殺生物剤予備混和物全体の95重量%の量の無水マレイン酸カップリング剤とを混合することにより調製する。次いで、セルロース系組成物を、セルロース系組成物全体の5重量%の量の殺生物剤予備混和物をセルロース系組成物全体の65重量%の木材繊維およびセルロース系組成物全体の30重量%の量のHDPE熱可塑性ポリマーと混合することにより調製する。次いでそのセルロース系組成物を押出成形して、複合材料成形品を成形する。
【0049】
実施例2
殺生物剤予備混和物を、殺生物剤予備混和物全体の5重量%の量のオクタアンモニウム・POSS(Octaammonium POSS)殺生物剤と殺生物剤予備混和物全体の95重量%の量のカルボキシアミドワックス潤滑剤とを混合することにより調製する。次いで、セルロース系組成物を、セルロース系組成物全体の5重量%の量の殺生物剤予備混和物をセルロース系組成物全体の65重量%の木材繊維およびセルロース系組成物全体の30重量%の量のHDPE熱可塑性ポリマーと混合することにより調製する。次いでそのセルロース系組成物を押出成形して、複合材料成形品を成形する。
【0050】
実施例3
殺生物剤予備混和物を、殺生物剤予備混和物全体の5重量%の量のオクタアンモニウム・POSS(Octaammonium POSS)殺生物剤を殺生物剤予備混和物全体の40重量%の量の無水マレイン酸カップリング剤および殺生物剤予備混和物全体の55重量%の量のカルボキシアミドワックス潤滑剤と混合することにより調製する。次いで、セルロース系組成物を、セルロース系組成物全体の5重量%の量の殺生物剤予備混和物をセルロース系組成物全体の65重量%の木材繊維およびセルロース系組成物全体の30重量%の量のHDPE熱可塑性ポリマーと混合することにより調製する。次いでそのセルロース系組成物を押出成形して、複合材料成形品を成形する。
【0051】
実施例4
殺生物剤予備混和物を、殺生物剤予備混和物全体の95重量%の量のカルボキシアミドワックス潤滑剤を殺生物剤予備混和物全体の5重量%の量の殺生物剤化合物と混合することにより調製するが、その殺生物剤化合物には、無水マレイン酸カップリング剤に求核的にグラフトさせたスルファジアジン殺生物剤が含まれている。次いで、セルロース系組成物を、セルロース系組成物全体の5重量%の量の殺生物剤予備混和物をセルロース系組成物全体の65重量%の木材繊維およびセルロース系組成物全体の30重量%の量のHDPE熱可塑性ポリマーと混合することにより調製する。次いでそのセルロース系組成物を押出成形して、複合材料成形品を成形する。
【0052】
好ましい実施形態を参照しながら本発明を具体的に示し説明してきたが、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく各種の変更および修正が可能であることは当業者によく認識されるところであろう。特許請求の範囲は、開示された実施形態、上述したそれらの代替物、ならびにそれらのすべての等価物を含むものと解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺生物剤と、以下:
a)カップリング剤、および/または
b)潤滑剤
の少なくとも一方または両方との組合せを含む殺生物剤予備混和物。
【請求項2】
カップリング剤を含むが、潤滑剤は含まない、請求項1に記載の殺生物剤予備混和物。
【請求項3】
潤滑剤を含むが、カップリング剤は含まない、請求項1に記載の殺生物剤予備混和物。
【請求項4】
カップリング剤と潤滑剤の両方を含む、請求項1に記載の殺生物剤予備混和物。
【請求項5】
前記殺生物剤が、殺藻剤、除草剤、抗真菌剤、抗微生物剤、抗菌剤、抗生物質、殺シロアリ剤、殺虫剤、殺ダニ剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項1に記載の殺生物剤予備混和物。
【請求項6】
前記殺生物剤が、次式:
【化1】

の物質を含む、請求項1に記載の殺生物剤予備混和物。
【請求項7】
前記カップリング剤が、マレイン化ポリオレフィン、マレイン化ポリエチレン、マレイン化ポリプロピレン、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の殺生物剤予備混和物。
【請求項8】
前記カップリング剤が無水マレイン酸を含む、請求項1に記載の殺生物剤予備混和物。
【請求項9】
前記潤滑剤が、ステアリン酸金属塩およびカルボン酸金属塩を実質的に含まない物質を含む、請求項1に記載の殺生物剤予備混和物。
【請求項10】
前記潤滑剤が、カルボン酸のポリオールエステルまたはアルキルエステルを含む、請求項1に記載の殺生物剤予備混和物。
【請求項11】
前記潤滑剤が、カルボキシアミドワックス、ステアロアミドワックス、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の殺生物剤予備混和物。
【請求項12】
前記殺生物剤が、前記予備混和物の約1〜約30重量部の範囲の量で存在する、請求項1に記載の殺生物剤予備混和物。
【請求項13】
前記カップリング剤が、前記予備混和物の約1〜約70重量部の範囲の量で存在する、請求項1に記載の殺生物剤予備混和物。
【請求項14】
前記潤滑剤が、前記予備混和物の約1〜約70重量部の範囲の量で存在する、請求項1に記載の殺生物剤予備混和物。
【請求項15】
a)セルロース系物質、
b)熱可塑性ポリマー、ならびに
c)殺生物剤と、以下:
i)カップリング剤、および/または
ii)潤滑剤
の少なくとも一方または両方との組合せを含む殺生物剤予備混和物
を含むセルロース系組成物。
【請求項16】
前記セルロース系物質が木材を含む、請求項15に記載のセルロース系組成物。
【請求項17】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシメチレン、スチレンポリマー、ポリカーボネート、およびそれらの組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項15に記載のセルロース系組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の殺生物剤予備混和物を含む成形品。
【請求項19】
セルロース系組成物を形成させるための方法であって、
a)第一に、殺生物剤と、以下:
i)カップリング剤、および/または
ii)潤滑剤
の少なくとも一方または両方との組合せを含む殺生物剤予備混和物を形成させる工程、ならびに
b)次いで、前記殺生物剤予備混和物をセルロース系物質および熱可塑性ポリマーと組み合わせることにより、セルロース系組成物を形成させる工程
を含む方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法によって形成されるセルロース系組成物を含む、成形品。
【請求項21】
カップリング剤に求核的にグラフトされた殺生物剤を含む、殺生物剤化合物。
【請求項22】
前記殺生物剤が、前記カップリング剤に求核置換反応をすることが可能な第一級アミン基を含む、請求項21に記載の殺生物剤化合物。
【請求項23】
前記殺生物剤が、スルファジアジン、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、アンモニウム塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項21に記載の殺生物剤化合物。
【請求項24】
前記カップリング剤が、マレイン化ポリオレフィン、マレイン化ポリエチレン、マレイン化ポリプロピレン、またはそれらの組合せを含む、請求項21に記載の殺生物剤化合物。
【請求項25】
請求項21に記載の殺生物剤化合物および潤滑剤を含む、殺生物剤予備混和物。

【公表番号】特表2009−506073(P2009−506073A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528243(P2008−528243)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/033630
【国際公開番号】WO2007/025272
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】