説明

殺真菌剤ヒドロキシモイル−テトラゾール誘導体

本発明は、式Iのヒドロキシモイル−テトラゾール誘導体、これらの調製の方法、特に殺真菌剤組成物の形態の殺真菌活性剤としてのこれらの使用、およびこれらの化合物または組成物を使用する、特に植物の植物病原性真菌の防除のための方法に関する。Aがテトラゾイル基を表し、Hetがピリジル基またはチアゾリル基を表し、Xが種々の置換基を表す式I。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、ヒドロキシモイル−テトラゾール誘導体、これらの調製の方法、特に殺真菌剤組成物の形態の殺真菌活性剤としてのこれらの使用およびこれらの化合物または組成物を使用する特に植物の植物病原性真菌の防除のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願第1426371号において、次の化学構造:
【0003】
【化1】

(式中、Aはテトラゾイル基を表し、Hetは特定のピリジニル基または特定のチアゾリル基のいずれかを表す。)の特定のテトラゾイルオキシム誘導体が開示されている。
【0004】
日本特許出願2004−131392号において、次の化学構造:
【0005】
【化2】

(式中、Qは15種の様々な複素環基のリストの中で選択され得る。)
の特定のテトラゾイルオキシム誘導体が開示されている。
【0006】
日本特許出願2004−131416号において、次の化学構造:
【0007】
【化3】

(式中、Qはピリジニル基またはチアゾリル基の中から選択され得る。)
の特定のテトラゾイルオキシム誘導体が開示されている。
【0008】
これらの3つの文献に開示された化合物は、本発明による化合物に匹敵する有用性を提供することが判明していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1426371号明細書
【特許文献2】特開2004−131392号公報
【特許文献3】特開2004−131416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
活性成分に対する耐性菌の発生を回避または制御するために新規な殺有害生物化合物を使用することは農業において常に極めて興味深い。既に知られている化合物と少なくとも同等の有効性を同時に維持しながら、使用すべき活性化合物の量を減少させることを目的として、既に知られているものに比べてより活性である新規な化合物を使用することも極めて興味深い。ここで、本発明者らは、上記の効果または利点を有する新たな一群の化合物を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、式(I)のテトラゾイルオキシム誘導体
【0012】
【化4】

[式中、
・Xは、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、シアノ基、メタンスルホニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基またはアリール基を表し;
・Aは、式(A)または(A)のテトラゾイル基:
【0013】
【化5】

(式中、Yは置換または非置換C−C−アルキルを表す。)を表し;
・Hetは、式(Het)のピリジル基または式(Het)のチアゾリル基
【0014】
【化6】

(式中、
○Qは、置換または非置換トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−アルキル、置換または非置換トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−シクロアルキル、置換または非置換アリールシクロプロピル、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノシクロアルキル、置換または非置換C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、置換または非置換C−C−シクロアルケニル、置換または非置換C−C−シクロアルケニル−C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルケニル、置換または非置換C−C−アルキニル、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシアルキル、置換または非置換フェノキシアルキル、置換または非置換C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルケニルオキシ、置換または非置換C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルキニルオキシ、置換または非置換(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、置換または非置換(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、置換または非置換(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、置換または非置換(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、置換ベンジルオキシ、置換または非置換フェノキシ、置換アリール、N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル;[置換アリール]−[C−C]−アルキル;N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル−[C−C]−アルキル;N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含み1から5個のハロゲン原子を有する飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル−[C−C]−ハロゲノアルキル;置換または非置換トリ(C−C−アルキル)−シリルオキシ、置換または非置換C−C12−縮合ビシクロアルキル、置換または非置換C−C12−縮合ビシクロアルケニル、置換または非置換C−C12−縮合ビシクロアルキル−[C−C]−アルキル、置換または非置換C−C12−縮合ビシクロアルケニル−[C−C]−アルキル、置換または非置換アリールカルボニル、置換または非置換C−C−アルキルカルボニル、N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリルカルボニルを表す。)を表す。]
ならびにこの塩、N−オキシド、金属錯体および半金属錯体または(E)および(Z)異性体ならびにこれらの混合物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による化合物のいずれも化合物中の立体単位(IUPAC規則による定義の通り)の数に応じて1つ以上の立体異性体として存在し得る。したがって、本発明は、等しくすべての立体異性体、およびすべての割合のすべての可能な立体異性体の混合物に関する。立体異性体は、当業者にそれ自体知られている方法によって分離することができる。
【0016】
特に、式(I)のヘテロシクリルオキシム誘導体中に存在するオキシム部分の立体構造は(E)または(Z)異性体を含み、これらの立体異性体は本発明の一部を形成する。
【0017】
本発明によれば、次の一般用語は次の意味で一般的に使用される。
・ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味し;
・ヘテロ原子は、窒素、酸素または硫黄であってよく;
・他に指示がない限り、本発明による置換されている基または置換基は、以下の基または原子:ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、スルフェニル基、ペンタフルオロ−λ−スルフェニル基、ホルミル基、置換または非置換カルバルデヒドO−(C−C−アルキル)オキシム、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、ホルミルアミノ基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−シクロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−アルキルカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、N−C−C−アルキルオキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、置換または非置換C−C−アルコキシカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、C−C−アルキルアミノスルファモイル、ジ−C−C−アルキルアミノスルファモイル、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、C−C−アルコキシアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシアルキル、ベンジルオキシ、ベンジルスルフェニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルフェニル、またはフェニルアミノの1つ以上によって置換されていてよく;
・用語「アリール」は、フェニルまたはナフチルを意味し;
・用語「ヘテロシクリル」は、N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む飽和または不飽和4、5、6または7員環を意味する。
【0018】
本発明による式(I)の好ましい化合物は、Xが、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換C−C−アルキル、置換もしくは非置換C−C−アルコキシ、シアノ基、メタンスルホニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基またはアリール基を表すものである。
【0019】
Xによって表されるハロゲン原子の中で、塩素原子またはフッ素原子は特に好ましい。Xによって表される置換または非置換C−C−アルキル基は、1から4個の炭素原子を有するアルキル基が好ましく、この特定の例には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、およびtert−ブチル基が含まれる。これらのアルキル基の中で、メチル基またはtert−ブチル基は特に好ましい。
【0020】
Xのためのアルコキシ基は、1から3個の炭素原子を有する置換または非置換C−C−アルコキシ基が好ましく、この特定の例には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、およびイソプロポキシ基が含まれる。これらのアルコキシ基の中で、メトキシ基またはエトキシ基は特に好ましい。
【0021】
本発明による式(I)のさらにより好ましい化合物は、Xが水素原子を表すものである。
【0022】
本発明による式(I)の他の好ましい化合物は、Yが置換または非置換C−C−アルキル基を表すものである。これらのアルキル基の中で、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはイソプロピル基などの1から3個の炭素原子を有するアルキル基は好ましい。これらのアルキル基の中で、メチル基は特に好ましい。
【0023】
本発明による式(I)の他の好ましい化合物は、Qが、置換または非置換C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、置換または非置換C−C−シクロアルケニル、置換または非置換C−C−アルキニル、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシアルキル、置換または非置換フェノキシアルキル、置換または非置換C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルケニルオキシ、置換または非置換C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルキニルオキシ、置換ベンジルオキシ、置換または非置換フェノキシ、置換アリール、N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル;N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル−[C−C]−アルキル;N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含み1から5個のハロゲン原子を有する飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル−[C−C]−ハロゲノアルキル;置換または非置換C−C12−縮合ビシクロアルキル、置換または非置換C−C12−縮合ビシクロアルケニルを表すものである。
【0024】
本発明による式(I)のより好ましい化合物は、Qが、置換または非置換C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、置換または非置換C−C−シクロアルケニル、置換または非置換C−C−アルキニル、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシ、置換または非置換フェノキシアルキル、置換または非置換C−C−アルケニルオキシ、置換または非置換C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルキニルオキシ、置換ベンジルオキシ、置換または非置換フェノキシ、置換アリール、N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル;N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル−[C−C]−アルキルを表すものである。
【0025】
本発明による式(I)のさらにより好ましい化合物は、Qが、置換または非置換C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、置換または非置換C−C−アルキニル、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシ、置換または非置換フェノキシアルキル、置換または非置換C−C−アルケニルオキシ、置換または非置換C−C−アルキニルオキシ、置換アリール、N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル;N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル−[C−C]−アルキルを表すものである。
【0026】
本発明による式(I)のさらにより特に好ましい化合物は、Qが、置換または非置換C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、置換または非置換C−C−アルキニル、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシ、置換または非置換フェノキシ−[C−C]−アルキル、置換または非置換C−C−アルケニルオキシ、置換または非置換C−C−アルキニルオキシ、置換アリール、N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル;N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル−[C−C]−アルキルを表すものである。
【0027】
本発明による式(I)の化合物の置換基に関する上述の選択は、様々に組み合わせることができる。したがって、好ましい特徴のこれらの組合せは、本発明による化合物のサブクラスを提供する。本発明による好ましい化合物のこのようなサブクラスの例は、
−Xの好ましい特徴とA、A、Y、Het、HetおよびQの1つ以上の好ましい特徴;
−Aの好ましい特徴とX、A、Y、Het、HetおよびQの1つ以上の好ましい特徴;
−Aの好ましい特徴とX、A、Y、Het、HetおよびQの1つ以上の好ましい特徴;
−Yの好ましい特徴とX、A、A、Het、HetおよびQの1つ以上の好ましい特徴;
−Hetの好ましい特徴とX、A、A、Y、HetおよびQの1つ以上の好ましい特徴;
−Hetの好ましい特徴とX、A、A、Y、HetおよびQの1つ以上の好ましい特徴;
−Qの好ましい特徴とX、A、A、Y、HetおよびHetの1つ以上の好ましい特徴
を組み合わせることができる。
【0028】
本発明による化合物の置換基の好ましい特徴のこれらの組合せにおいて、前記好ましい特徴は、本発明による化合物の最も好ましいサブクラスを形成するように、X、A、A、Y、Het、HetおよびQのそれぞれのより好ましい特徴の中から選択することもできる。
【0029】
本発明は、式(I)の化合物の調製のための方法にも関する。したがって、本発明の1つのさらなる態様によれば、本明細書で定義された、以下の反応スキーム:
【0030】
【化7】

(式中、A、X、Z、QおよびHetは、本明細書で定義された通りであり、LGは脱離基を表す。)によって示される、本明細書で定義された式(I)の化合物の調製のための方法P1が提供される。好適な脱離基は、ハロゲン原子またはトリフレート、メシレートまたはトシレートなどの他の通例の離核性基からなるリストの中で選択することができる。
【0031】
本発明による式(I)の化合物について、既知の方法によって式(I)の化合物を生ずる第2の方法P2が提供される。本発明による方法P2が提供される場合、このような方法P2は、以下の反応スキーム:
【0032】
【化8】

[式中、A、X、Qは、本明細書で定義された通りであり、Het’は、式(Het’)のピリジル基または式(Het’)のチアゾリル基
【0033】
【化9】

(式中、LG’は、脱離基を表す。)を表す。]によって示すことができる。好適な脱離基は、ハロゲン原子またはアルコラート、水酸化物、カルボキシレートまたはシアン化物などの他の通例の離核性基からなるリストの中で選択することができる。
【0034】
式(Ia)の化合物について、方法P2を実施するためには、アミノ基を生じるための脱保護ステップが予め必要である。アミノ保護基および関連したこの開裂の方法は知られており、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Group in Organic Chemistry、第3版、John Wiley & Sonsに見出すことができる。
【0035】
本発明によれば、方法P1およびP2は、適切な場合に溶媒の存在下で、また適切な場合に塩基の存在下で実施することができる。
【0036】
本発明によれば、方法P1およびP2は、適切な場合に触媒の存在下で実施することができる。好適な触媒は、4−ジメチル−アミノピリジン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはジメチルホルムアミドからなるリストの中で選択することができる。
【0037】
LG’がヒドロキシ基を表す場合、本発明による方法P2は、縮合剤の存在下で実施することができる。好適な縮合剤は、酸ハロゲン化物形成剤、例えばホスゲン、三臭化リン、三塩化リン、五塩化リン、亜リン酸トリクロリドオキシドもしくは塩化チオニル;無水物形成剤、例えばエチルクロロホルマート、メチルクロロホルマート、イソプロピルクロロホルマート、イソブチルクロロホルマートもしくはメタンスルホニルクロリド;カルボジイミデス、例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)または他の通例の縮合剤、例えば五酸化リン、ポリリン酸、N,N’−カルボニル−ジイミダゾール、2−エトキシ−N−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、トリフェニルホスフィン/テトラクロロメタン、4−(4,6−ジメトキシ[1.3.5]トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド水和物もしくはブロモ−トリピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファートからなるリストの中で選択することができる。
【0038】
本発明による方法P1およびP2を実施するために好適な溶媒は、通例の不活性有機溶媒である。ハロゲン化されていてもよい脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンもしくはデカリン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロルエタンもしくはトリクロルエタン;エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルテルトブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンもしくはアニソール;ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはイソ−ブチロニトリルもしくはベンゾニトリル;アミド、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンもしくはヘキサメチルリン酸トリアミド;エステル、例えば酢酸メチルもしくは酢酸エチル、スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド、またはスルホン、例えばスルホランを使用することが好ましい。
【0039】
本発明による方法P1およびP2を実施するために好適な塩基は、このような反応に慣例の無機および有機塩基である。アルカリ土類金属、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ金属アルコキシド、例えば水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、カリウムtert−ブトキシドもしくは他の水酸化アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属酢酸塩、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、および同様に第3級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)または1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)を使用することが好ましい。
【0040】
本発明による方法P1およびP2を実施する場合、反応温度は比較的広範囲に独立に変えることができる。
【0041】
一般的に、本発明による方法P1は、−20℃および160℃の間の温度で実施される。
【0042】
本発明による方法P1およびP2は、一般的に独立に、大気圧下で実施される。しかし、高圧下または低圧下で操作することも可能である。
【0043】
本発明による方法P1を実施する場合、一般的に、式Het−CH−LGの誘導体の1モルまたは過剰量および1から3モルの塩基を、式(II)のヒドロキシモイルテトラゾールの1モル当たり使用する。上記反応成分を他の比率で使用することも可能である。
【0044】
後処理は通例の方法で実施する。一般的に、反応混合物を水で処理し、有機相を分離し、乾燥後、減圧下で濃縮する。適切な場合、残りの残渣は、依然として存在し得る不純物から、クロマトグラフィーまたは再結晶化などの通例の方法によって遊離することができる。
【0045】
本発明による化合物は、上述の方法によって調製することができる。当業者は、一般的な知識および利用可能な刊行物に基づいて、合成されることが望ましい本発明による化合物の各々の特性に応じて、これらの方法を適合させることができることは、やはり理解されよう。
【0046】
Aが、本明細書に記載された式Aの置換基を表す場合、出発原料として有用な式(II)の化合物を、
例えば、ヒドロキシルアミンを、式(V)
【0047】
【化10】

の対応するケトンと反応させることによって調製することができ、このケトンは、
テトラゾリルリチウム種の式
【0048】
【化11】

のエステルまたは、例えば
【0049】
【化12】

のようなこれらの好適な合成同等物のいずれかへの添加によって、例えば、R.Raap(Can.J.Chem.1971年、49巻、2139頁)によって記載された方法に従って調製することができる。
【0050】
Aが、本明細書に記載された式Aの置換基を表す場合、出発原料として有用な一般式(II)の化合物を、例えば、式
【0051】
【化13】

のオキシムおよび5置換テトラゾールから、J.Plenkiewiczら(Bull.Soc.Chim.Belg.1987年、96巻、675頁)によって記載された方法に従って調製することができる。
【0052】
本発明は、式(I)の化合物の調製のための新規なプロセスにも関する。したがって、本発明のさらなる態様によれば、次の反応スキーム:
【0053】
【化14】

(式中、A、X、Qは、本明細書で定義された通りであり、Het’は、式(Het’)のピリジル基または式(Het’)のチアゾリル基:
【0054】
【化15】

を表し、LG’は脱離基を表す。)によって示される、本明細書で定義された式(I)の化合物の調製のための方法P3が提供される。
【0055】
好適な脱離基は、ハロゲン原子またはアルコラート、水酸化物、カルボキシレートもしくはシアン化物などの他の通例の離核性基からなるリストの中で選択することができる。
【0056】
本発明による方法P3の第1ステップ、すなわち、式(V)の化合物の式(Ia)の化合物への転換は、110℃および180℃の間の温度で実施される。
【0057】
本発明による方法P3の第1ステップ、すなわち、式(V)の化合物の式(Ia)の化合物への転換を実施する場合、反応をマイクロ波照射下で実施する。
【0058】
1つのさらなる態様において、本発明は、本発明による調製方法P3のための中間化合物または原料として有用な式(VI)の化合物またはこの塩の1つに関する。
したがって、本発明は、式(VI)
【0059】
【化16】

(式中、Het’は、式(Het’)のピリジル基または式(Het’)のチアゾリル基:
【0060】
【化17】

を表す。)の化合物またはこの塩の1つを提供する。
【0061】
1つのさらなる態様において、本発明は、式(I)の活性化合物の有効および非植物毒性量を含む殺真菌剤組成物にも関する。
【0062】
「有効および非植物毒性量」という表現は、作物に存在するまたは出現する傾向がある真菌を防除または駆除するのに十分であり、前記作物について植物毒性の感知できる病徴を伴わない本発明による組成物の量を意味する。このような量は、防除すべき真菌、作物の種類、気候条件および本発明による殺真菌剤組成物に含まれる化合物に応じて広い範囲で変わり得る。この量は、当業者の能力の範囲内である計画的な圃場試験によって決定することができる。
【0063】
したがって、本発明によれば、活性成分として、本明細書で定義された式(I)の化合物の有効量および農業上許容される支持体、担体または充てん剤を含む殺真菌剤組成物が提供される。
【0064】
本発明によれば、用語「支持体」は、それと式(I)の活性化合物を混合または組み合わせて特に植物の部分に施用することを容易にする天然または合成の有機または無機化合物を意味する。したがって、この支持体は、一般的に不活性であり農業的に許容されなければならない。この支持体は固体または液体であり得る。好適な支持体の例には、クレイ、天然または合成シリケート、シリカ、樹脂、ワックス、固体肥料、水、アルコール、特にブタノール、有機溶媒、鉱油および植物油およびこれらの誘導体が含まれる。このような支持体の混合物も使用することができる。
【0065】
本発明による組成物は、さらなる成分も含み得る。特に、上記組成物は界面活性剤をさらに含み得る。界面活性剤は、イオン型もしくは非イオン型の乳化剤、分散剤または湿潤剤またはこのような界面活性剤の混合物であり得る。例えば、ポリアクリル酸塩、リグノスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩もしくはナフタレンスルホン酸塩、エチレンオキシドの脂肪アルコールもしくは脂肪酸もしくは脂肪アミンとの重縮合物、置換フェノール(特にアルキルフェノールもしくはアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(特にタウリン酸アルキル)、ポリオキシエチル化アルコールもしくはフェノールのリン酸エステル、ポリオールの脂肪酸エステルならびに硫酸官能基、スルホン酸官能基およびリン酸官能基を含む上記化合物の誘導体に言及し得る。活性化合物および/または不活性支持体が不水溶性である場合、ならびに施用のための媒介剤が水である場合、少なくとも1種の界面活性剤の存在が一般的に不可欠である。好ましくは、界面活性剤の含有量は、組成物の5重量%から40重量%であり得る。
【0066】
必要に応じて、追加の成分、例えば、保護コロイド、接着剤、増粘剤、チキソトロープ剤、浸透剤、安定剤、金属イオン封鎖剤も含まれ得る。より一般的には、活性化合物を、通例の配合技術に適合する任意の固体または液体接着剤と混合することができる。
【0067】
一般に、本発明による組成物は、0.05から99重量%の活性化合物、好ましくは10から70重量%の活性化合物を含み得る。
【0068】
本発明による組成物は、エアロゾルディスペンサー、カプセル懸濁剤、コールドフォギング濃縮剤、粉剤、乳液剤、水中油エマルジョン、油中水エマルジョン、封入顆粒、細粒、種子処理用の流動性濃縮剤、気体(加圧下)、気体生成製品、顆粒、ホットフォギング濃縮剤、大顆粒、微小顆粒、油分散性粉末、油混和性流動性濃縮剤、油混和性液体、ペースト、植物棒状剤、乾燥種子処理用の粉末、有害生物剤でコートされた種子、可溶性濃縮剤、可溶性粉末、種子処理用の溶液、懸濁濃縮剤(流動性濃縮剤)、極微量(ULV)液体、極微量(ULV)懸濁剤、水分散性顆粒または錠剤、スラリー処理用の水分散性粉末、水溶性顆粒または錠剤、種子処理用の水溶性粉末および湿潤性粉末などの様々な形態で使用することができる。これらの組成物には、噴霧または散粉デバイスなどの好適なデバイスによって処理すべき植物または種子にすぐに施用できる組成物のみならず、作物への施用前に希釈する必要がある濃縮された市販組成物も含まれる。
【0069】
本発明による化合物は、1種もしくは複数の殺虫剤、殺真菌剤、殺細菌剤、誘引剤、殺ダニ剤もしくはフェロモン活性物質または生物活性を有する他の化合物とも混合し得る。こうして得られる混合物は活性の拡張されたスペクトルを有する。他の殺真菌剤化合物との混合物は特に有利である。式(I)の化合物の殺細菌剤化合物との混合物を含む本発明による組成物も特に有利であり得る。
【0070】
本発明の別の目的によれば、植物、作物または種子の植物病原性真菌を防除する方法が提供され、この方法は、本発明による殺有害生物剤組成物の農学的に有効な実質的に非植物毒性な量を、種子、植物に、または植物の果実に、または土壌に、または不活性基材(例えば、砂、岩綿、ガラスウールのような無機基材;パーライト、バーミキュライト、ゼオライトまたはエキスパンド粘土のような膨張鉱物)、軽石、火砕物または凝灰岩、合成有機基材(例えば、ポリウレタン)、有機基材(例えば、泥炭、コンポスト、コイア、木材繊維もしくはチップ、樹皮のような木材廃棄物)に、または液体基材(例えば、浮遊水耕システム、薄膜水耕(Nutrient Film Technique)、エアロポニックス(Aeroponics))に種子処理、葉面施用、樹幹施用(stem application)、潅注または滴下施用(drip application)(化学溶液灌水(chemigation))として施用し、ここで、上記植物は成長している、または成長を望んでいることを特徴とする。
【0071】
「処理すべき植物に施用される」という表現は、本発明の目的について、本発明の主題である殺有害生物剤組成物が、
・前記植物の空中部分への前記組成物の1つを含む液体の噴霧、
・前記植物の周囲での散粉、顆粒または粉末の土壌への混合、噴霧および樹木の場合の注入または塗布、
・前記組成物の1つを含む植物保護混合物を用いた前記植物の種子のコーティングまたはフィルム−コーティング、
などの処理の様々な方法を用いて施用され得ることを意味するものと理解される。
【0072】
本発明による方法は、治療、予防または根治法のいずれかであり得る。
【0073】
この方法において、使用される組成物は、本発明による2種以上の活性化合物を混合することによって予め調製することができる。
【0074】
このような方法の1つの代替方法によれば、2または3種の活性成分(A)または(B)の1つをそれぞれ含む別個の組成物の複合した(A)/(B)効果を有するように、化合物(A)および(B)を同時に、連続的にまたは別々に施用することも可能である。
【0075】
本発明による処理の方法において通常施用される活性化合物の用量は、一般的に有利に
・茎葉処理について:0.1から10,000g/ha、好ましくは10から1,000g/ha、より好ましくは50から300g/haであり;潅注または滴下施用の場合、用量は、特に岩綿またはパーライトのような不活性基材を使用する場合、さらに減少させることができ;
・種子処理について:100キログラムの種子当たり2から200g、好ましくは100キログラムの種子当たり3から150gであり;
・土壌処理について:0.1から10,000g/ha、好ましくは1から5,000g/haである。
【0076】
本明細書で示される用量は、本発明による方法の説明に役立つ実例として与えられる。当業者は、特に処理すべき植物または作物の性質に応じて施用量を適合させる方法を知っている。
【0077】
特定の条件下で、例えば、処理または防除すべき植物病原性真菌の性質に応じて、より低い用量が十分な保護を提供し得る。特定の気候条件、耐性または植物病原性真菌の性質のような他の要因または、例えば、植物のこれらの真菌による侵襲の程度によって、組み合わされた活性成分のより高い用量が必要とされることがある。最適な用量は、一般的に、いくつかの要因、例えば、処理するべき植物病原性真菌のタイプ、侵襲された植物の成長のタイプまたはレベル、植生の密度または施用の方法によって決まる。
【0078】
それに限定することなく、本発明による殺有害生物剤組成物または組合せで処理される作物は、例えば、ブドウであるが、これは、穀物、野菜、ルーサン(lucerne)、大豆、市場向け菜園作物、芝生、木材、樹木または園芸植物であってよい。
【0079】
本発明による処理の方法は、塊茎または根茎などの繁殖器官を処理するためにも有用であり得、同様に種子、苗または移植された苗および植物または移植された植物を処理するためにも有用であり得る。この処理の方法は、根を処理するためにも有用であり得る。本発明による処理の方法は、関係する植物の幹、茎または葉柄、葉、花および果実などの植物の地上部分を処理するためにも有用であり得る。
【0080】
本発明による方法によって保護し得る植物の中で、綿;亜麻;蔓植物;果実または野菜作物、例えば、ロサケアエ属種(Rosaceae sp.)(例えば、リンゴおよびセイヨウナシなどのピップフルーツ(pip fruit)、同様にアンズ、アーモンドおよびモモなどの核果)、リベシオイダエ属種(Ribesioidae sp.)、ユグランダケアエ属種(Juglandaceae sp.)、ベツラケアエ属種(Betulaceae sp.)、アナカルジアケアエ属種(Anacardiaceae sp.)、ファガケアエ属種(Fagaceae sp.)、モラケアエ属種(Moraceae sp.)、オレアケアエ属種(Oleaceae sp.)、アクチニダケアエ属種(Actinidaceae sp.)、ラウラケアエ属種(Lauraceae sp.)、ムサケアエ属種(Musaceae sp.)(例えば、バナナの木およびプランテーン)、ルビアケアエ属種(Rubiaceae sp.)、テアケアエ属種(Theaceae sp.)、ステルクリケアエ属種(Sterculiceae sp.)、ルタケアエ属種(Rutaceae sp.)(例えば、レモン、オレンジおよびグレープフルーツ);ソラナケアエ属種(Solanaceae sp.)(例えば、トマト)、リリアケアエ属種(Liliaceae sp.)、アステラケアエ属種(Asteraceae sp.)(例えば、レタス)、ウムベッリフェラエ属種(Umbelliferae sp.)、クルキフェラエ属種(Cruciferae sp.)、ケノポジアケアエ属種(Chenopodiaceae sp.)、ククルビタケアエ属種(Cucurbitaceae sp.)、パピリオナケアエ属種(Papilionaceae sp.)(例えば、エンドウ豆)、ロサケアエ属種(Rosaceae sp.)(例えば、イチゴ);グラミナエ属種(Graminae sp.)(例えば、トウモロコシ、芝生または小麦、米、大麦およびライコムギなどの穀物)などの主要穀物、アステラケアエ属種(Asteraceae sp.)(例えば、ヒマワリ)、クルキフェラエ属種(Cruciferae sp.)(例えば、ナタネ)、ファバカエ属種(Fabacae sp.)(例えば、ラッカセイ)、パピリオナケアエ属種(Papilionaceae sp.)(例えば、大豆)、ソラナケアエ属種(Solanaceae sp.)(例えば、ジャガイモ)、ケノポジアケアエ属種(Chenopodiaceae sp.)(例えば、ビートの根);園芸作物および森林作物;ならびにこれらの作物の遺伝子操作相同物に言及することができる。
【0081】
本発明による処理の方法は、遺伝子操作された生物体(GMO)、例えば、植物または種子の処理に使用することができる。遺伝子操作植物(または遺伝子導入植物)は、異種遺伝子がゲノムに安定的に統合されている植物である。「異種遺伝子」という表現は、植物の外で提供または組み立てられ、核に導入された場合、目的のタンパク質もしくはポリペプチドを発現することによって、または植物に存在する他の遺伝子(複数可)を下方調節または発現停止(例えば、アンチセンス技術、共抑制技術もしくはRNA干渉−RNAi−技術を使用して)することによって、葉緑体またはミトコンドリアゲノムが、遺伝子導入植物に新しいまたは改善された農学的特性または他の特性を与える遺伝子を本質的に意味する。ゲノムに位置する異種遺伝子は導入遺伝子とも呼ばれる。植物ゲノム中のその特定の位置によって規定される導入遺伝子は、形質転換または遺伝子組換え事象と呼ばれる。
【0082】
植物種または植物栽培品種に応じて、これらの位置および成長条件(土壌、気候、植生期間、栄養)、本発明による処理は超付加(相乗的な)効果ももたらし得る。したがって、例えば、低減された施用量および/または活性スペクトルの拡張および/または本発明に従って使用され得る活性化合物および組成物の活性増加、より良い植物成長、高温または低温に対する耐性増加、干ばつに対するまたは水中塩分もしくは土壌塩分に対する耐性増加、開花性能増加、より容易な収穫、促進された成熟、より高い収穫高、より大きな果実、より大きな草高、より濃い緑の葉色、より早い開花、収穫製品のより高い品質および/またはより高い栄養価、果実中のより高い糖度、収穫製品のより良い貯蔵安定性および/または加工性が可能であり、これらは実際に予想された効果を上回る。
【0083】
特定の施用量において、本発明による活性化合物の組合せも植物において強化効果を有し得る。したがって、これらは、望ましくない植物病原性真菌および/または微生物および/またはウイルスによる攻撃に対して植物の防御システムを動員するためにも適している。これは、適切な場合、例えば真菌に対する本発明による組合せの高められた活性の理由の1つであり得る。植物強化(耐性を含む)物質は、本文脈において、後に望ましくない植物病原性真菌および/または微生物および/またはウイルスと温置された場合、処理された植物が、これらの望ましくない植物病原性真菌および/または微生物および/またはウイルスに対する実質的な程度の耐性を示すように、植物の防御システムを刺激し得る物質または物質の組合せを意味するものと理解されるべきである。この場合、望ましくない植物病原性真菌および/または微生物および/またはウイルスは、植物病原性真菌、微生物およびウイルスを意味するものと理解されるべきである。したがって、本発明による物質は、処理後の特定の期間内で上述の病原体による攻撃に対して植物を保護するために使用することができる。その範囲内で保護が行われる期間は、活性化合物による植物の処理後、一般的に1から10日に、好ましくは1から7日に及ぶ。
【0084】
本発明に従って処理されるのが好ましい植物および植物栽培品種には、これらの植物に特に有利な有用な形質(交配および/または生物工学的手段によって得られるかに関わらず)を付与する遺伝子素材を有するすべての植物が含まれる。
【0085】
本発明に従って処理されることが同様に好ましい植物および植物栽培品種は、1つ以上の生物ストレスに耐性である、すなわち、前記植物は、動物および有害微生物に対して、例えば線虫、昆虫、ダニ、植物病原性真菌、細菌、ウイルスおよび/またはウィロイドに対してより良い防御を示す。
【0086】
同様に本発明に従って処理され得る植物および植物栽培品種は、1つ以上の非生物ストレスに耐性である植物である。非生物ストレス条件には、例えば、干ばつ、低温曝露、熱曝露、浸透圧ストレス、洪水、土壌塩分増加、鉱物曝露の増加、オゾン曝露、強光曝露、窒素栄養素の利用可能性の制限、リン栄養素の利用可能性の制限、日陰回避が含まれ得る。
【0087】
同様に本発明に従って処理され得る植物および植物栽培品種は、高められた収穫特性によって特徴付けられる植物である。前記植物の収穫増加は、例えば、改善された植物生理、生育および成長、例えば水利用効率、保水効率、改善された窒素利用、高められた炭素同化、改善された光合成、増加した発芽効率および促進された成熟の結果であり得る。収量は、限定はされないが、早い開花、ハイブリッド種子生産のための開花制御、苗の活力、植物サイズ、節間数および距離、根の成長、種子サイズ、果実サイズ、鞘のサイズ、鞘または穂の数、鞘または穂当たりの種子数、種子の生物量、促進された登熟、減少した種子飛散、減少した鞘裂開および耐倒伏性を含めた改善された植物構造(ストレス条件下および非ストレス条件下)によってさらに影響され得る。さらなる収穫特性には、種子組成、例えば炭水化物含有量、タンパク質含有量、油含有量および組成、栄養価、抗栄養化合物の減少、改善された加工性およびより良い貯蔵安定性が含まれる。
【0088】
本発明に従って処理し得る植物は、一般的により高い収量、活力、健康ならびに生物および非生物ストレス要因に対する耐性をもたらすヘテローシスまたはハイブリッド強勢の特徴を既に発現しているハイブリッド植物である。このような植物は、一般的に、同系繁殖雄性不稔親系統(雌親)を別の同系繁殖雄性稔性親系統(雄親)によって作られる。ハイブリッド種子は、一般的に、雄性不稔植物から収穫され栽培者に販売される。雄性不稔植物は、しばしば(例えば、トウモロコシで)、雄穂除去、すなわち、雄の生殖器官(もしくは雄花)の機械的除去によって生産されるが、より一般的には、雄性不稔は植物ゲノム中の遺伝的決定基の結果である。その場合、特に種子がハイブリッド植物から収穫すべき所望の生産物である場合、ハイブリッド植物における雄性稔性が完全に回復されることを確実にすることは一般的に有用である。これは、雄性が、雄性不稔に関与する遺伝的決定基を含むハイブリッド植物において雄性稔性を回復し得る適切な稔性回復遺伝子を有することを確実にすることによって達成することができる。雄性不稔についての遺伝的決定基は、細胞質に位置し得る。細胞質雄性不稔(CMS)の例は、例えば、ブラッシカ属種(Brassica species)(WO 1992/005251、WO 1995/009910、WO 1998/27806、WO 2005/002324、WO 2006/021972およびUS 6,229,072)に記載された。しかし、雄性不稔についての遺伝的決定基は、核ゲノムにも位置し得る。雄性不稔植物は、遺伝子工学などの植物生物工学方法によっても得ることができる。雄性不稔植物を得る特に有用な手段は、WO 1989/10396に記載されており、例えば、バルナーゼ(barnase)などのリボヌクレアーゼが、有ずい中のタペータム細胞に選択的に発現される。次いで、稔性は、バルスター(barstar)などのリボヌクレアーゼ阻害剤のタペータム細胞中の発現によって回復され得る(例えばWO 1991/002069)。
【0089】
本発明に従って処理し得る(遺伝子工学などの植物生物工学法によって得られる)植物または植物栽培品種は、除草剤耐性植物、すなわち、1種以上の所与の除草剤に耐性となるようにされた植物である。このような植物は、遺伝的形質転換によって、またはこのような除草剤耐性を付与する突然変異を含む植物の選択によってのいずれかで得ることができる。
【0090】
除草剤耐性植物は、例えば、グリホサート耐性植物、すなわち、除草剤グリホサートまたはこの塩に耐性となるようにされた植物である。植物は様々な手段によってグリホサートに耐性となるようにすることができる。例えば、グリホサート耐性植物は、酵素5−エノールピルビルシキマート−3−ホスファートシンターゼ(EPSPS)をコードする遺伝子で植物を形質転換することによって得ることができる。このようなEPSPS遺伝子の例は、細菌サルモネッラ・テュピムリウム(Salmonella typhimurium)のAroA遺伝子(突然変異CT7)(Comaiら、Science(1983年)、221巻、370−371頁)、細菌アグロバクテリウム属種(Agrobacterium sp.)のCP4遺伝子(Barryら、Curr.Topics Plant Physiol.(1992年)、7巻、139−145頁)、ペチュニアEPSPSをコードする遺伝子(Shahら、Science(1986年)、233巻、478−481頁)、トマトEPSPS(Gasserら、J.Biol.Chem.(1988年)、263巻、4280−4289頁)、またはエレウシネ(Eleusine)EPSPS(WO 2001/66704)である。これは、例えばEP−A 0837944、WO 2000/066746、WO 2000/066747またはWO 2002/026995に記載されたように突然変異したEPSPSでもあり得る。グリホサート耐性植物は、US 5,776,760およびUS 5,463,175に記載されたようにグリホサートオキシド−レダクターゼ酵素をコードする遺伝子を発現することによっても得ることができる。グリホサート耐性植物は、例えばWO 2002/036782、WO 2003/092360、WO 2005/012515およびWO 2007/024782に記載されたようにグリホサートアセチルトランスフェラーゼ酵素をコードする遺伝子を発現することによっても得ることができる。グリホサート耐性植物は、例えばWO 2001/024615またはWO 2003/013226に記載されたように上述の遺伝子の自然突然変異を含む植物を選択することによっても得ることができる。
【0091】
他の除草剤耐性植物は、例えば、ビアラフォス、ホスフィノトリシンまたはグルホシネートなどの酵素グルタミンシンターゼを阻害する除草剤に耐性となるようにされた植物である。このような植物は、除草剤を解毒する酵素または阻害に耐性である突然変異グルタミンシンターゼ酵素を発現することによって得ることができる。1つのこのような有効な解毒酵素は、(ストレプトミュケス属種(Streptomyces species)からのbarまたはpatタンパク質などの)ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼをコードする酵素である。外因性ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼを発現する植物は、例えば、US 5,561,236;US 5,648,477;US 5,646,024;US 5,273,894;US 5,637,489;US 5,276,268;US 5,739,082;US 5,908,810およびUS 7,112,665に記載されている。
【0092】
さらなる除草剤耐性植物は、酵素ヒドロキシフェニルピルバートジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害する除草剤に耐性となるようにされた植物でもある。ヒドロキシフェニルピルバートジオキシゲナーゼは、パラ−ヒドロキシフェニルピルバート(HPP)がホモゲンチサートに変換される反応を触媒する酵素である。HPPD阻害剤に耐性な植物は、WO 1996/038567、WO 1999/024585およびWO 1999/024586に記載されたように自然耐性HPPD酵素をコードする遺伝子、または突然変異HPPD酵素をコードする遺伝子で形質転換することができる。HPPD阻害剤への耐性は、HPPD阻害剤による天然HPPD酵素の阻害にも関わらずホモゲンチサートの形成を可能にする特定の酵素をコードする遺伝子で植物を形質転換することによっても得ることができる。このような植物および遺伝子は、WO 1999/034008およびWO 2002/36787に記載されている。HPPD阻害剤への植物の耐性は、WO 2004/024928に記載されたように、HPPD耐性酵素をコードする遺伝子に加えて酵素プレフェン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子で植物を形質転換することによっても改善することができる。
【0093】
一層さらなる除草剤耐性植物は、アセト乳酸シンターゼ(ALS)阻害剤に耐性となるようにされた植物である。既知のALS阻害剤には、例えば、スルホニル尿素、イミダゾリノン、トリアゾロピリミジン、ピリミジニルオキシ(チオ)ベンゾアート、および/またはスルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン除草剤が含まれる。例えばTranelおよびWright、Weed Science(2002年)、50巻、700−712頁に、同様に、US 5,605,011、US 5,378,824、US 5,141,870、およびUS 5,013,659に記載されたように、(アセトヒドロキシ酸シンターゼ、AHASとしても知られている)ALS酵素における様々な突然変異は、様々な除草剤および除草剤の群に耐性を与えることが知られている。スルホニル尿素耐性植物およびイミダゾリノン耐性植物の生産は、US 5,605,011;US 5,013,659;US 5,141,870;US 5,767,361;US 5,731,180;US 5,304,732;US 4,761,373;US 5,331,107;US 5,928,937;およびUS 5,378,824;および国際公開第1996/033270号に記載されている。他のイミダゾリノン耐性植物は、同様に、例えば、WO 2004/040012、WO 2004/106529、WO 2005/020673、WO 2005/093093、WO 2006/007373、WO 2006/015376、WO 2006/024351、およびWO 2006/060634に記載されている。さらなるスルホニル尿素およびイミダゾリノン耐性植物は、例えばWO 2007/024782にも記載されている。
【0094】
イミダゾリノンおよび/またはスルホニル尿素への他の植物耐性は、例えば、US 5,084,082に大豆について、WO 1997/41218に米について、US 5,773,702およびWO 1999/057965にサトウダイコンについて、US 5,198,599にレタスについて、またはWO 2001/065922にヒマワリについて記載されたように、誘発突然変異、除草剤の存在下での細胞培養における選択または突然変異品質改良によって得ることができる。
【0095】
同様に本発明に従って処理され得る(遺伝子工学などの植物生物工学法によって得られる)植物または植物栽培品種は、昆虫耐性遺伝子導入植物、すなわち、特定の標的昆虫による攻撃に耐性となるようにされた植物である。このような植物は、遺伝的形質転換によって、またはこのような昆虫耐性を付与する突然変異を含む植物の選択によって得ることができる。
【0096】
本明細書で使用される「昆虫耐性遺伝子導入植物」には、以下をコードするコード配列を含む少なくとも1つの導入遺伝子を含む任意の植物が含まれる。
1)http://www.lifesci.sussex.ac.uk/Home/Neil_Crickmore/Bt/)においてインターネット上でバキッルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)毒素名称集においてCrickmoreら(2005年)によって更新されたCrickmoreら、Microbiology and Molecular Biology Reviews(1998年)、62巻、807−813頁に列挙された殺虫結晶タンパク質、またはこれらの殺虫部分などの、バキッルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)からの殺虫結晶タンパク質またはこの殺虫部分、例えば、Cryタンパク質クラスのCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry2Ab、Cry3AeもしくはCry3Bbのタンパク質またはこれらの殺虫部分、または
2)Cry34およびCry35結晶タンパク質で構成されている二元性毒素(Moellenbeckら、Nat.Biotechnol.(2001年)、19巻、668−72頁;Schnepfら、Applied Environm.Microbiol.(2006年)、71巻、1765−1774頁)などの、バキッルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)からの第2の他の結晶タンパク質もしくはこの部分の存在下で殺虫性である、バキッルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)からの結晶タンパク質もしくはこの部分、または
3)上記1)のタンパク質のハイブリッドまたは上記2)のタンパク質のハイブリッドなどの、バキッルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)からの異なる殺虫結晶タンパク質の部分を含むハイブリッド殺虫タンパク質、例えば、トウモロコシ事象MON98034(WO2007/027777)により生成されたCry1A.105タンパク質、または
4)トウモロコシ事象MON863もしくはMON88017におけるCry3Bb1タンパク質、またはトウモロコシ事象MIR604におけるCry3Aタンパク質などの、標的昆虫種へのより高い殺虫活性を得るため、および/もしくは影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡げるため、および/もしくはクローニングもしくは形質転換の間にコードDNAに導入された変化のために、いくつかの、特に1から10個のアミノ酸が、別のアミノ酸に置換されている上記1)から3)のいずれか1つのタンパク質、または
5)http://www.lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/vip.htmlに列挙された植物性殺虫(VIP)タンパク質などの、バキッルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)もしくはバキッルス・ケレウス(Bacillus cereus)からの殺虫分泌タンパク質、またはこの殺虫部分、例えば、VIP3Aaタンパク質クラスからのタンパク質、または
6)VIP1AおよびVIP2Aタンパク質から構成されている二元性毒素(WO1994/21795)などの、バキッルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)もしくはバキッルス・ケレウス(B.cereus)からの第2の分泌タンパク質の存在下で殺虫性である、バキッルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)もしくはバキッルス・セレウス(Bacillus cereus)からの分泌タンパク質、または
7)上記1)におけるタンパク質のハイブリッドもしくは上記2)におけるタンパク質のハイブリッドなどの、バキッルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)もしくはバキッルス・ケレウス(B.cereus)からの異なる分泌タンパク質からの部分を含むハイブリッド殺虫タンパク質、または
8)綿事象COT102におけるVIP3Aaタンパク質などの、標的昆虫種へのより高い殺虫活性を得るため、および/もしくは影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡げるため、および/もしくはクローニングもしくは形質転換の間にコードDNAへ導入された変化(一方、依然、殺虫タンパク質をコードしている)のために、いくつかの、特に1から10のアミノ酸が、別のアミノ酸で置換されている上記1)から3)のいずれか1つのタンパク質。
【0097】
当然、本明細書で使用される昆虫耐性遺伝子導入植物には、上記クラス1から8のいずれか1つのタンパク質をコードする遺伝子の組合せを含む任意の植物も含まれる。一実施形態において、昆虫耐性植物は、上記クラス1から8のいずれか1つのタンパク質をコードする2以上の導入遺伝子を含んで、異なる標的昆虫種に向けられる異なるタンパク質を使用する場合に影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡張する、または同一の標的昆虫種に殺虫性であるが、昆虫の異なる受容体結合部位に結合することなどの異なる作用の態様を有する異なるタンパク質を使用することによって、植物への昆虫耐性発生を遅らせる。
【0098】
同様に本発明に従って処理し得る(遺伝子工学などの植物生物工学法によって得られる)植物または植物栽培品種は、非生物ストレスに耐性である。このような植物は、遺伝的形質転換によって、またはこのようなストレス耐性を付与する突然変異を含む植物の選択によって得ることができる。特に有用なストレス耐性植物には、以下が含まれる。
a.WO 2000/004173またはWO2006/045633またはPCT/EP07/004142に記載されたような、植物細胞または植物中のポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)遺伝子の発現および/または活性を減少し得る導入遺伝子を含む植物。
b.例えばWO 2004/090140に記載されたような、植物または植物細胞のPARGをコードする遺伝子の発現および/または活性を減少し得るストレス耐性増強導入遺伝子を含む植物。
c.例えば、WO2006/032469またはWO2006/133827またはPCT/EPT07/002433に記載されているような、ニコチンアミダーゼ、ニコチナートホスフォリボシルトランスフェラーゼ、ニコチン酸モノヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドシンターゼまたはニコチンアミドホスフォリボシルトランスフェラーゼを含めたニコチンアミドアデニンジヌクレオチドサルベージ合成経路の植物機能酵素をコードするストレス耐性増強導入遺伝子を含む植物。
【0099】
同様に本発明に従って処理し得る(遺伝子工学などの植物生物工学法によって得られる)植物または植物栽培品種は、以下のような収穫された製品の変化した量、品質および/もしくは貯蔵安定性ならびに/または収穫された製品の特定の成分の変化した特性を示す。
1)その物理化学的特性において、特に、アミラーゼ含有量またはアミラーゼ/アミロペクチン比、分枝の程度、平均鎖長、側鎖分布、粘度挙動、ゲル強度、デンプン粒径および/またはデンプン粒子形態が、野性型の植物細胞または植物において合成されたデンプンと比較して、これが特定の用途により良く合致するように変えられている、改変されたデンプンを合成する遺伝子導入植物。改変されたデンプンを合成する前記遺伝子導入植物は、例えば、EP 0571427、WO 1995/004826、EP 0719338、WO 1996/15248、WO 1996/19581、WO 1996/27674、WO 1997/11188、WO 1997/26362、WO 1997/32985、WO 1997/42328、WO 1997/44472、WO 1997/45545、WO 1998/27212、WO 1998/40503、WO99/58688、WO 1999/58690、WO 1999/58654、WO 2000/008184、WO 2000/008185、WO 2000/008175、WO 2000/28052、WO 2000/77229、WO 2001/12782、WO 2001/12826、WO 2002/101059、WO 2003/071860、WO 2004/056999、WO 2005/030942、WO 2005/030941、WO 2005/095632、WO 2005/095617、WO 2005/095619、WO 2005/095618、WO 2005/123927、WO 2006/018319、WO 2006/103107、WO 2006/108702、WO 2007/009823、WO 2000/22140、WO 2006/063862、WO 2006/072603、WO 2002/034923、EP 06090134.5、EP 06090228.5、EP 06090227.7、EP 07090007.1、EP 07090009.7、WO 2001/14569、WO 2002/79410、WO 2003/33540、WO 2004/078983、WO 2001/19975、WO 1995/26407、WO 1996/34968、WO 1998/20145、WO 1999/12950、WO 1999/66050、WO 1999/53072、US 6,734,341、WO 2000/11192、WO 1998/22604、WO 1998/32326、WO 2001/98509、WO 2001/98509、WO 2005/002359、US 5,824,790、US 6,013,861、WO 1994/004693、WO 1994/009144、WO 1994/11520、WO 1995/35026、WO 1997/20936に開示されている。
2)非デンプン炭水化物ポリマーを合成する、または遺伝子組換えを用いずに野性型植物と比べて変化した特性を有する非デンプン炭水化物ポリマーを合成する遺伝子導入植物。例は、EP 0663956、WO 1996/001904、WO 1996/021023、WO 1998/039460、およびWO 1999/024593に開示されている特にイヌリンおよびレバンタイプのポリフルクトースを生成する植物、WO 1995/031553、US 2002/031826、US 6,284,479、US 5,712,107、WO 1997/047806、WO 1997/047807、WO 1997/047808およびWO 2000/014249に開示されているα1,4グルカンを生成する植物、WO 2000/73422に開示されているα−1,6分枝α−1,4グルカンを生成する植物、WO 2000/047727、EP 06077301.7、US 5,908,975およびEP 0728213に開示されているアルテルナンを生成する植物であり、
3)例えば、WO 2006/032538、WO 2007/039314、WO 2007/039315、WO 2007/039316、JP 2006/304779、およびWO 2005/012529に開示されているヒアルロナンを生成する遺伝子導入植物。
【0100】
同様に本発明に従って処理し得る(遺伝子工学などの植物生物工学法によって得ることができる)植物または植物栽培品種は、変化した繊維特性を有する綿植物などの植物である。このような植物は、遺伝的形質転換によって、またはこのような変化した繊維特性を付与する突然変異を含む植物の選択によって得ることができ、以下のものを含む。
a)WO 1998/000549に記載されたセルロースシンターゼ遺伝子の変化した形態を含む綿植物などの植物
b)WO2004/053219に記載されたrsw2またはrsw3相同核酸の変化した形態を含む綿植物などの植物
c)WO 2001/017333に記載されたスクロースホスフェートシンターゼの発現が増加した綿植物などの植物
d)WO 02/45485に記載されたスクロースシンターゼの発現が増加した綿植物などの植物
e)WO 2005/017157に記載されているような、繊維細胞のベースにおける原形質連絡の開閉の時期が、例えば繊維選択的β−1,3−グルカナーゼの下方制御を通して変えられる綿植物などの植物
f)WO 2006/136351に記載されているような、例えば、nodCを含めたN−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ遺伝子およびキチンシンターゼ遺伝子の発現を通して、反応性が変化した繊維を有する綿植物などの植物。
【0101】
同様に本発明に従って処理し得る(遺伝子工学などの植物生物工学法によって得ることができる)植物または植物栽培品種は、変化した油プロファイル特性を有するアブラナまたは関連のブラッシカ属(Brassica)植物などの植物である。このような植物は、遺伝的形質転換によって、またはこのような変化した油特性を付与する突然変異を含む植物の選択によって得ることができ、以下のものを含む。
a)例えばUS 5,969,169、US 5,840,946またはUS 6,323,392またはUS 6,063,947に記載された高いオレイン酸含有量を有する油を生成するアブラナ植物などの植物
b)US 6,270828、US 6,169,190またはUS 5,965,755に記載された低いリノレン酸含有量を有する油を生成するアブラナ植物などの植物
c)例えばUS 5,434,283に記載された低レベルの飽和脂肪酸を有する油を生成するアブラナ植物などの植物。
【0102】
本発明に従って処理し得る特に有用な遺伝子導入植物は、1種以上の毒素をコードする1つ以上の遺伝子を含む植物であり、以下の商品名で販売されている遺伝子導入植物である。YIELDGARD(登録商標)(例えば、トウモロコシ、綿、大豆)、KnockOut(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、BiteGard(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bt−Xtra(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、StarLink(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bollgard(登録商標)(綿)、Nucotn(登録商標)(綿)、Nucotn33B(登録商標)(綿)、NatureGard(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Protecta(登録商標)、および、NewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)。言及し得る除草剤耐性植物の例は、RoundupReady(登録商標)(グリホサートに対する耐性、例えば、トウモロコシ、綿、大豆)、LibertyLink(登録商標)(ホスフィノトリシンに対する耐性、例えば、アブラナ)、IMI(登録商標)(イミダゾリノン系に対する耐性)、および、STS(登録商標)(スルホニル尿素に対する耐性、例えば、トウモロコシ)の商品名で販売されているトウモロコシ品種、綿品種および大豆品種である。言及し得る除草剤耐性植物(除草剤耐性に関して慣習的な方法で品種改良された植物)には、Clearfield(登録商標)(例えば、トウモロコシ)の商品名で販売されている品種が含まれる。
【0103】
本発明に従って処理し得る特に有用な遺伝子導入植物は、形質転換事象、または形質転換事象の組合せを含み、例えば、種々の国内または地方当局の資料(例えば、http://gmoinfo.jrc.it/gmp_browse.aspxおよびhttp://www.agbios.com/dbase.phpを参照されたい。)に記載されている植物である。
【0104】
本発明による組成物は、木材の上または中に生じる傾向がある真菌病に対しても使用し得る。用語「木材」は、木の種のすべてのタイプおよびこの木材の建築用の加工品のすべてのタイプ、例えば、無垢材、高密度木材、合板およびベニヤ板を意味する。本発明による木材の処理のための方法は、主として、1以上の本発明による化合物または本発明による組成物を接触させることにあり、これには、例えば、直接散布、噴霧、浸漬、注入または任意の他の好適な手段が含まれる。
【0105】
本発明による方法によって防除し得る植物または作物の疾患の中で、以下に言及することができる。
うどん粉病:
例えばブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)によって引き起こされるブルメリア(Blumeria)病;
例えばポドスパエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha)によって引き起こされるポドスパエラ(Podosphaera)病;
例えばスパエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)によって引き起こされるスパエロテカ(Sphaerotheca)病;
例えばウンキヌラ・ネカトル(Uncinula necator)によって引き起こされるウンキヌラ(Uncinula)病;
さび病:
例えばギュムノスポランギウム・サビナエ(Gymnosporangium sabinae)によって引き起こされるギュムノスポランギウム(Gymnosporangium)病;
例えばヘミレイア・バスタトリクス(Hemileia vastatrix)によって引き起こされるヘミレイア(Hemileia)病;
例えばパコプソラ・パキュリジ(Phakopsora pachyrhizi)またはパコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae)によって引き起こされるパコプソラ(Phakopsora)病;
例えばプッキニア・レコンジタ(Puccinia recondita)によって引き起こされるプッキニア(Puccinia)病;
例えばウロミュケス・アッペンジクラツス(Uromyces appendiculatus)によって引き起こされるウロミュケス(Uromyces)病;
卵菌病:
例えばブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)によって引き起こされるブレミア(Bremia)病;
例えばペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)またはペロノスポラ・ブラッシカエ(P.brassicae)によって引き起こされるペロノスポラ(Peronospora)病;
例えばフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)によって引き起こされるフィトフトラ(Phytophthora)病;
例えばプラスモパラ・ピチコラ(Plasmopara viticola)によって引き起こされるプラスモパラ(Plasmopara)病;
例えばプセウドペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)またはプセウドペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis)によって引き起こされるプセウドペロノスポラ(Pseudoperonospora)病;
例えばピュチウム・ウルチムム(Pythium ultimum)によって引き起こされるピュチウム(Pythium)病;
斑点病、葉枯病および黒葉枯病:
例えばアルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)によって引き起こされるアルテルナリア(Alternaria)病;
例えばケルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola)によって引き起こされるケルコスポラ(Cercospora)病;
例えばクラジオスポリウム・ククメリヌム(Cladiosporium cucumerinum)によって引き起こされるクラジオスポラム(Cladiosporum)病;
例えばコクリオボルス・サチウス(Cochliobolus sativus)によって引き起こされるコクリオボルス(Cochliobolus)病;
例えばコッレトトリクム・リンデムタニウム(Colletotrichum lindemuthanium)によって引き起こされるコッレトトリクム(Colletotrichum)病;
例えばキュクロコニウム・オレアギヌム(Cycloconium oleaginum)によって引き起こされるキュクロコニウム(Cycloconium)病;
例えばジアポルテ・キトリ(Diaporthe citri)によって引き起こされるジアポルテ(Diaporthe)病;
例えばエルシノエ・ファウケッチイ(Elsinoe fawcettii)によって引き起こされるエルシノエ(Elsinoe)病;
例えばグロエオスポリウム・ラエチコロル(Gloeosporium laeticolor)によって引き起こされるグロエオスポリウム(Gloeosporium)病;
例えばグロメレッラ・キングラタ(Glomerella cingulata)によって引き起こされるグロメレッラ(Glomerella)病;
例えばグイグナルジア・ビドウェッリ(Guignardia bidwelli)によって引き起こされるグイグナルジア(Guignardia)病;
例えばレプトスパエリア・マクランス(Leptosphaeria maculans);レプトスパエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)によって引き起こされるレプトスパエリア(Leptosphaeria)病;
例えばマグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)によって引き起こされるマグナポルテ(Magnaporthe)病;
例えばミュコスパエレッラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola);ミュコスパエレッラ・アラキジコラ(Mycosphaerella・arachidicola);ミュコスパエレッラ・フジエンシス(Mycosphaerella・fjiensis)によって引き起こされるミュコスパエレッラ(Mycosphaerella)病;
例えばパエオスパエリア・ノドルム(Phaeosphaeria nodorum)によって引き起こされるパエオスパエリア(Phaeosphaeria)病;
例えばピュレノポラ・テレス(Pyrenophora teres)によって引き起こされるピュレノポラ(Pyrenophora)病;
例えばラムラリア・コッロ−キュグニ(Ramularia collo−cygni)によって引き起こされるラムラリア(Ramularia)病;
例えばリュンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)によって引き起こされるリュンコスポリウム(Rhynchosporium)病;
例えばセプトリア・アピイ(Septoria apii)またはセプトリア・リュコペルキシ(Septoria lycopercisi)によって引き起こされるセプトリア(Septoria)病;
例えばテュプラ・インカマタ(Typhula incamata)によって引き起こされるテュプラ(Typhula)病;
例えばベェンツリア・イナエクワリス(Venturia inaequalis)によって引き起こされるベェンツリア(Venturia)病;
根および茎の病気:
例えばコルチキウム・グラミネアルム(Corticium graminearum)によって引き起こされるコルチキウム(Corticium)病;
例えばフサリウム・オクシスポルム(Fusarium oxysporum)によって引き起こされるフサリウム(Fusarium)病;
例えばガエウマンノミュケス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)によって引き起こされるガエウマンノミュケス(Gaeumannomyces)病;
例えばリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)によって引き起こされるリゾクトニア(Rhizoctonia)病;
例えばタペシア・アクフォルミス(Tapesia acuformis)によって引き起こされるタペシア(Tapesia)病;
例えばチエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola)によって引き起こされるチエラビオプシス(Thielaviopsis)病;
穂および円錐花序の病気:
例えばアルテルナリア属種(Alternaria spp.)によって引き起こされるアルテルナリア(Alternaria)病;
例えばアスペルギッルス・フラウス(Aspergillus flavus)によって引き起こされるアスペルギッルス(Aspergillus)病;
例えばクラドスポリウム属種(Cladosporium spp.)によって引き起こされるクラドスポリウム(Cladosporium)病;
例えばクラビケプス・プルプレア(Claviceps purpurea)によって引き起こされるクラビケプス(Claviceps)病;
例えばフサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)によって引き起こされるフサリウム(Fusarium)病;
例えばギッベレッラ・ゼアエ(Gibberella zeae)によって引き起こされるギッベレッラ(Gibberella)病;
例えばモノグラペッラ・ニワリス(Monographella nivalis)によって引き起こされるモノグラペッラ(Monographella)病;
黒穂病:
例えばスパケロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reiliana)によって引き起こされるスパケロテカ(Sphacelotheca)病;
例えばチッレチア・カリエス(Tilletia caries)によって引き起こされるチッレチア(Tilletia)病;
例えばウロキュスチス・オックルタ(Urocystis occulta)によって引き起こされるウロキュスチス(Urocystis)病;
例えばウスチラゴ・ヌダ(Ustilago nuda)によって引き起こされるウスチラゴ(Ustilago)病;
果実腐敗およびかびの病気:
例えばアスペルギッルス・フラウス(Aspergillus flavus)によって引き起こされるアスペルギッルス(Aspergillus)病;
例えばボトリュチス・キネレア(Botrytis cinerea)によって引き起こされるボトリュチス(Botrytis)病;
例えばペニキッリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum)によって引き起こされるペニキッリウム(Penicillium)病;
例えばスクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum)によって引き起こされるスクレロチニア(Sclerotinia)病;
例えばベェルチキリウム・アルボアトルム(Verticilium alboatrum)によって引き起こされるベェルチキリウム(Verticilium)病;
種子および土壌腐敗、かび、萎凋病、腐敗および立ち枯れ病:
例えばアルテルナリア・ブラッシキコラ(Alternaria brassicicola)によって引き起こされるアルテルナリア(Alternaria)病
例えばアパノミュケス・エウテイケス(Aphanomyces euteiches)によって引き起こされるアパノミュケス(Aphanomyces)病
例えばアスコキュタ・レンチス(Ascochyta lentis)によって引き起こされるアスコキュタ(Ascochyta)病
例えばアスペルギッルス・フラウス(Aspergillus flavus)によって引き起こされるアスペルギッルス(Aspergillus)病
例えばクラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)によって引き起こされるクラドスポリウム(Cladosporium)病
例えばコクリオボルス・サチウス(Cochliobolus sativus)(分生子形態:ドレクスレラ(Drechslera)、ビポラリス(Bipolaris)別名:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium))によって引き起こされるコクリオボルス(Cochliobolus)病;
例えばコッレトトリクム・コッコデス(Colletotrichum coccodes)によって引き起こされるコッレトトリクム(Colletotrichum)病;
例えばフサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)によって引き起こされるフサリウム(Fusarium)病;
例えばギッベレッラ・ゼアエ(Gibberella zeae)によって引き起こされるギッベレッラ(Gibberella)病;
例えばマクロポミナ・パセオリナ(Macrophomina phaseolina)によって引き起こされるマクロポミナ(Macrophomina)病
例えばモノグラペッラ・ニワリス(Monographella nivalis)によって引き起こされるモノグラペッラ(Monographella)病;
例えばペニキッリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum)によって引き起こされるペニキッリウム(Penicillium)病
例えばポマ・リンガム(Phoma lingam)によって引き起こされるポマ(Phoma)病
例えばポモプシス・ソイヤエ(Phomopsis sojae)によって引き起こされるポモプシス(Phomopsis)病;
例えばフィトフトラ・カクトルム(Phytophthora cactorum)によって引き起こされるフィトフトラ(Phytophthora)病;
例えばピュレノポラ・グラミネア(Pyrenophora graminea)によって引き起こされるピュレノポラ(Pyrenophora)病
例えばピュリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)によって引き起こされるピュリクラリア(Pyricularia)病;
例えばピュチウム・ウルチムム(Pythium ultimum)によって引き起こされるピュチウム(Pythium)病;
例えばリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)によって引き起こされるリゾクトニア(Rhizoctonia)病;
例えばリゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)によって引き起こされるリゾプス(Rhizopus)病
例えばスクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)によって引き起こされるスクレロチウム(Sclerotium)病;
例えばセプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)によって引き起こされるセプトリア(Septoria)病;
例えばテュプラ・インカルナタ(Typhula incarnata)によって引き起こされるテュプラ(Typhula)病;
例えばベェルチキッリウム・ダリアエ(Verticillium dahliae)によって引き起こされるベェルチキッリウム(Verticillium)病;
潰瘍病、てんぐ巣病および枝枯れ病:
例えばネクトリア・ガッリゲナ(Nectria galligena)によって引き起こされるネクトリア(Nectria)病;
胴枯れ病:
例えばモニリニア・ラクサ(Monilinia laxa)によって引き起こされるモニリニア(Monilinia)病;
葉ぶくれ病または葉巻病:
例えばタプリナ・デフォルマンス(Taphrina deformans)によって引き起こされるタプリナ(Taphrina)病;
木質植物の衰退病:
例えばパエモニエッラ・クラミュドスポラ(Phaemoniella clamydospora)によって引き起こされるエスカ病;
例えばエウチュパ・ラタ(Eutypa lata)によって引き起こされるエウチュパダイバック(Eutypa dyeback);
例えばケラトキュストスク・ウルミ(Ceratocystsc ulmi)によって引き起こされるオランダ病(Dutch elm disease);
花および種子の病気:
例えばボトリュチス・キネレア(Botrytis cinerea)によって引き起こされるボトリュチス(Botrytis)病;
塊茎の病気:
例えばリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)によって引き起こされるリゾクトニア(Rhizoctonia)病
例えばヘルミントスポリウム・ソラニ(Helminthosporium solani)によって引き起こされるヘルミントスポリウム(Helminthosporium)病。
【0106】
本発明による化合物は、例えば、真菌症、皮膚病、白癬菌症およびカンジダ症またはアスペルギッルス属種(Aspergillus spp.)、例えばアスペルギッルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)によって引き起こされる疾患などのヒトまたは動物の真菌病を治癒的または予防的に処理するために有用な組成物の調製にも使用することができる。
【0107】
ここで、本発明の様々な態様が、次の化合物実施例の表1および次の調製または効能実施例を参照して例示される。
【実施例】
【0108】
次の表1は本発明による化合物の例を非限定的に例示する。
【0109】
【化18】

【0110】
表1において、本発明者らは、本発明の一般的構造(I)の特定の特許請求の範囲に記載した要素「Het」のために次の省略形を使用する。
【0111】
【表1】



























【0112】
以下のリストにおいて、本発明者らは、ここに示すように表1の実施例の二重結合ジオメトリーを明記する。
【0113】
【化19】

【0114】
表1の実施例の例(二重結合ジオメトリー):
【0115】
【化20】

【0116】
実施例A
フィトフトラ(Phytophthora)試験(トマト)/予防
溶媒:49重量部のN,N−ジメチルホルムアミド
乳化剤:1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
【0117】
活性化合物の好適な製剤を生成するために、1重量部の活性化合物を、規定量の溶媒および乳化剤と混合し、この濃厚物を水で所望の濃度に希釈する。
【0118】
予防活性について試験するために、若い植物に規定の施用量で活性化合物の製剤を噴霧する。この処理の1日後、植物をフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)の水性胞子懸濁液とともに温置する。植物は、約22℃および100%の相対大気湿度における恒温槽に1日留まる。次いで、植物を、約20℃および96%の相対大気湿度における恒温槽に置く。
【0119】
温置後7日に試験を評価する。0%は、対照の効力に対応する効力を意味し、100%の効力は、病気が観測されないことを意味する。
【0120】
この試験において、本発明による表1の次の実施例は、500ppmの活性成分の濃度で70%またはさらに高い効力を示した。
実施例番号1、2、3、4、5、6、7、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、74、75、76、78、80、83、84、90、91、92、93、94、96、98、99、100、102、103、104、105、106、109、110、112、113、114、115、116、117、118、120、121、122、123、124、125、126、127、129、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、146、148、149、151、160、165、175、176、197、198、199、200、201、202、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、375、376および377。
【0121】
実施例B
プラスモパラ(Plasmopara)試験(ブドウ)/保護
溶媒:24.5重量部のアセトン
24.5重量部のジメチルアセトアミド
乳化剤:1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
【0122】
活性化合物の好適な製剤を生成するために、1重量部の活性化合物を規定量の溶媒および乳化剤と混合し、この濃厚物を水で所望の濃度に希釈する。
【0123】
保護活性を試験するために、若い植物に規定の施用量で活性化合物の製剤を噴霧する。噴霧被膜が乾燥した後、植物は、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)の水性胞子懸濁液とともに温置し、次いで約20℃および100%の相対大気湿度における恒温槽中に1日留まる。その後、植物を約21℃および約90%の相対大気湿度における温室中に4日間置く。次いで、植物に霧を吹きかけ恒温槽中に1日置く。
【0124】
接種後6日に試験を評価する。0%は、対照の抗力に対応する抗力を意味し、100%の効力は、病気が観測されないことを意味する。
【0125】
この試験において、本発明による表1の次の実施例は、活性成分の10ppmの濃度において70%またはさらに高い効力を示した。
実施例番号1、2、3、4、5、6、7、17、18、19、20、23、24、27、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、67、70、71、76、80、82、84、114、115、116、135、160、202、205、206、207、208、209、212、213、214、216、218、220、221、223、226、230、233、234、237、238、376および377。
【0126】
実施例C
ピュチウム・アパニデルマツム(Pythium aphanidermatum)を用いたED50値の算出のためのインビトロ試験
96ホールマイクロタイタープレートのウェルに、乳化剤のアルキルアリールポリグリコールエーテルとともに試験化合物のメタノール中溶液の10μlを満たす。続いて、溶媒をフード中で蒸発する。次のステップで、各ウェルに、適切な濃度の胞子または試験真菌の菌糸体懸濁液で修正した液体ポテトデキストロース培地の200μlを与える。マイクロタイターウェル中の試験化合物の得られる濃度は、50、5、0.5および0.05ppmである。すべてのウェル中の乳化剤の得られる濃度は、常に300ppmである。
【0127】
光度計を用いて、すべてのウェルの吸光度を620nmの波長で測定する。
【0128】
次いで、マイクロタイタープレートを20℃および85%相対湿度における振とう培養機に3−5日間移す。
【0129】
温置時間の終わりに、再び光度計により620nmの波長で試験生物の成長を測定する。(温置前および後に測定された)2つの吸光度値の間の差異は、試験生物の成長に比例する。
【0130】
様々な試験濃度からのΔ吸光データおよび非処理試験生物(対照)のΔ吸光データに基づいて、用量反応曲線を算出する。50%の成長阻害を与えるために必要な濃度を、ppm(=mg/l)で表したED50値(=50%成長阻害を生じる有効用量)として定義し報告する。
【0131】
この試験において、本発明による表1の次の実施例は、1ppm未満のED50値を示した。実施例番号1、2、3、4、5、6、7、19、20、21、22、23、24、25、27、28、29、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、69、71、73、77、78、80、81、82、83、84、86、87、89、91、92、93、97、99、101、103、106、109、110、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、129、130、131、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、145、146、148、149、150、151、160、164、165、171、175、176、197、198、199、200、201、202、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、221、224、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、375、376および377。
【0132】
以下の実施例は、本発明による式(I)の化合物の製剤および効力を非限定的に例示する。
【0133】
方法P2によるN−{6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−イル}ヘキサ−5−インアミド(化合物34)の調製
【0134】
ステップ1:2−{6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−イル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの調製
N−ヒドロキシ−1−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−1−フェニルメタンイミン(21.5g、0.106mol)のアセトニトリル(638mL)中溶液に、炭酸セシウム(72.4g、0.222mol)、ヨウ化カリウム(1.76g、0.011mol)を添加し、次いで2−[6−(ブロモメチル)ピリジン−2−イル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(35.23g、0.111mol)を添加し、白色スラリーを室温で4時間撹拌した。水(700mL)を添加し、沈殿を濾別し、色が無くなるまで水で洗浄し、次いで真空中で終夜乾燥して2−{6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−イル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン[40.0g;理論値の86%;HPLC/MS:m/z=440(M+H);logP(HCOOH)=3.04]を得た。
【0135】
ステップ2:6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−アミンの調製
2−{6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−イル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(119g、0.271mol)のテトラヒドロフラン(2610mL)中溶液に、ヒドラジン水和物(66.26mL、1.354mol)を添加し、この反応混合物を室温で6時間撹拌した。形成した沈殿を濾別し、テトラヒドロフランで洗浄し、次いで、濾液を真空中で濃縮してオフホワイトの固体を生成し、この固体をジクロロメタン中の摩砕によってさらに精製して6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−アミン[83.0g;理論値の94%;HPLC/MS:m/z=310(M+H);logP(HCOOH)=1.14]を得た。
【0136】
ステップ3:N−{6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−イル}ヘキサ−5−インアミドの調製
6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−アミン(251mg、0.81mmol)のジクロロメタン(10mL)中溶液に、トリエチルアミン(0.22mL、1.62mmol)、ヘキサ−5−イノイルクロリド(211mg、1.62mmol)を添加した。この反応混合物を室温で5時間撹拌し、真空中で濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィーで精製してN−{6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−イル}ヘキサ−5−インアミド[200mg;純度95%;理論値の58%;HPLC/MS:m/z=404(M+H);logP(HCOOH)=2.98]を得た。
【0137】
方法P3による4−クロロブチル{6−[({[(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバマート(化合物67)の調製
ステップ1:2−(6−{[(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)オキシ]メチル}ピリジン−2−イル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの調製
N−ヒドロキシフタルイミド(35.0g、214mmol)、2−[6−(ブロモメチル)ピリジン−2−イル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(74.8g、236mmol)、炭酸セシウム(146.8g、450mmol)およびヨウ化カリウム(1.78g、10.7mmol)のアセトニトリル(350mL)中懸濁液を、室温で18時間撹拌した。水(300mL)を添加し、沈殿を濾別し、色が無くなるまで水で洗浄し、次いで真空中で終夜乾燥して無色固体として2−(6−{[(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)オキシ]メチル}ピリジン−2−イル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン[85.0g;理論値の94%;HPLC/MS:m/z=400(M+H);logP(HCOOH)=2.44]を得た。
【0138】
ステップ2:6−[(アミノオキシ)メチル]ピリジン−2−アミンの調製
2−(6−{[(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)オキシ]メチル}ピリジン−2−イル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(50g、125mmol)のTHF(350mL)中溶液に、室温でヒドラジン水和物(61mL、1.25mol)を一滴ずつ添加した。室温で終夜撹拌後、この反応混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮して乾燥した。シリカゲル上の残渣の精製によって無色の油として6−[(アミノオキシ)メチル]ピリジン−2−アミン[10.0g;理論値の57%;HPLC/MS:m/z=140(M+H);logP(HCOOH)<−0.23]を得た。
【0139】
ステップ3:6−[(アミノオキシ)メチル]ピリジン−2−アミンの1−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−1−フェニルメタンイミンとの縮合による6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)−メチル]ピリジン−2−アミンの調製
保護気体(アルゴン)下で、(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メタノン(188mg;1.0mmol)、6−[(アミノオキシ)メチル]ピリジン−2−アミン(139mg;1.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(190mg;1.0mmol)の2−プロパノール(2mL)中溶液を含む反応管を密封し、電子オーブン中において160℃で90分間加熱する。後処理として、この混合物を冷まし、ジクロロメタン(10mL)で希釈し、それぞれ3mlの飽和水性重炭酸ナトリウムで2回洗浄する。水相をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し減圧下で濃縮する。シリカゲル上の精製によって無色の油として6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−アミン[205mg;理論値の66%;HPLC/MS:m/z=310(M+H);logP(HCOOH)=1.13]が得られる。
【0140】
ステップ4:4−クロロブチル{6−[({[(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバマート(化合物67)の調製
6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)−メチル]ピリジン−2−アミン(150mg、0.485mmol)のジクロロメタン(5mL)中の溶液に撹拌しながら、ピリジン(0.078mL)、4−クロロブチルカルボノクロリダート(166mg、0.970mmol)を添加した。この反応混合物を室温で5時間撹拌し、真空中で濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィーで精製して4−クロロブチル{6−[({[(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバマート[200mg;90%純度;理論値の84%;HPLC/MS:m/z=344(M+H);logP(HCOOH)=3.67]を得た。
【0141】
4−[(アミノオキシ)メチル]−1,3−チアゾール−2−アミンの調製
ステップ1:2−[(2−アミノ−1,3−チアゾール−4−イル)メトキシ]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの調製
N−ヒドロキシフタルイミド(50.0g、306mmol)、4−(クロロメチル)−1,3−チアゾール−2−アミン(50.1g、337mmol)、炭酸セシウム(210g、0.64mol)およびヨウ化カリウム(2.54g、15.3mmol)のアセトニトリル(440mL)中懸濁液を、室温で18時間撹拌した。水(300mL)を添加し、沈殿を濾別し、色が無くなるまで水で洗浄し、次いで、真空中で終夜乾燥して無色固体として2−[(2−アミノ−1,3−チアゾール−4−イル)メトキシ]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン[36.0g;理論値の43%;HPLC/MS:m/z=276(M+H);logP(HCOOH)=0.74]を得た。
【0142】
ステップ2:4−[(アミノオキシ)メチル]−2−ブロモ−1,3−チアゾール
2−[(2−アミノ−1,3−チアゾール−4−イル)メトキシ]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(10g、36.3mmol)のTHF(100mL)中溶液に、ヒドラジン水和物(9.1g、181mmol)を室温で一滴ずつ添加した。室温で終夜撹拌後、反応混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮して乾燥した。シリカゲル上の残渣の精製によって無色の油として4−[(アミノオキシ)メチル]−2−ブロモ−1,3−チアゾール[5.2g;理論値の99%;HPLC/MS:m/z=146(M+H);logP(HCOOH)<−0.23]を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、シアノ基、メタンスルホニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基またはアリール基を表し;
Aは、式(A)または(A)のテトラゾイル基:
【化2】

(式中、Yは置換または非置換C−C−アルキルを表す。)を表し;ならびに
Hetは、式(Het)のピリジル基または式(Het)のチアゾリル基
【化3】

(式中、
Qは、置換または非置換トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−アルキル、置換または非置換トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−シクロアルキル、置換または非置換アリール−シクロプロピル、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノシクロアルキル、置換または非置換C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、置換または非置換C−C−シクロアルケニル、置換または非置換C−C−シクロアルケニル−C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルケニル、置換または非置換C−C−アルキニル、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシアルキル、置換または非置換フェノキシアルキル、置換または非置換C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルケニルオキシ、置換または非置換C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルキニルオキシ、置換または非置換(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、置換または非置換(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、置換または非置換(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、置換または非置換(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、置換ベンジルオキシ、置換または非置換フェノキシ、置換アリール、N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル;[置換アリール]−[C−C]−アルキル;N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル−[C−C]−アルキル;N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含みならびに1から5個のハロゲン原子を有する飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル−[C−C]−ハロゲノアルキル;置換または非置換トリ(C−C−アルキル)−シリルオキシ、置換または非置換C−C12−縮合ビシクロアルキル、置換または非置換C−C12−縮合ビシクロアルケニル、置換または非置換C−C12−縮合ビシクロアルキル−[C−C]−アルキル、置換または非置換C−C12−縮合ビシクロアルケニル−[C−C]−アルキル、置換または非置換アリールカルボニル、置換または非置換C−C−アルキルカルボニル、N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリルカルボニルを表す。)
を表す。]
の化合物ならびにこの塩、N−オキシド、金属錯体および半金属錯体または(E)および(Z)異性体ならびにこれらの混合物。
【請求項2】
Xが、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換C−C−アルキル、置換もしくは非置換C−C−アルコキシ、シアノ基、メタンスルホニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基またはアリール基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基または水素原子を表す、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Yが、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはイソプロピル基を表す、請求項1から3に記載の化合物。
【請求項5】
Qが、置換または非置換C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、置換または非置換C−C−シクロアルケニル、置換または非置換C−C−アルキニル、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシアルキル、置換または非置換フェノキシアルキル、置換または非置換C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルケニルオキシ、置換または非置換C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルキニルオキシ、置換ベンジルオキシ、置換または非置換フェノキシ、置換アリール、N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル;N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル−[C−C]−アルキル;N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含みならびに1から5個のハロゲン原子を有する飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル−[C−C]−ハロゲノアルキル;置換または非置換C−C12−縮合ビシクロアルキル、置換または非置換C−C12−縮合ビシクロアルケニルを表す、請求項1から4に記載の化合物。
【請求項6】
Qが、置換または非置換C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、置換または非置換C−C−シクロアルケニル、置換または非置換C−C−アルキニル、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシ、置換または非置換フェノキシアルキル、置換または非置換C−C−アルケニルオキシ、置換または非置換C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルキニルオキシ、置換ベンジルオキシ、置換または非置換フェノキシ、置換アリール、N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル;N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル−[C−C]−アルキルを表す、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Qが、置換または非置換C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、置換または非置換C−C−アルキニル、1から5個のハロゲン原子を有する置換または非置換C−C−ハロゲノアルコキシ、置換または非置換フェノキシアルキル、置換または非置換C−C−アルケニルオキシ、置換または非置換C−C−アルキニルオキシ、置換アリール、N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル;N、O、Sからなるリストの中で選択される最大4個のヘテロ原子を含む置換または非置換、飽和または不飽和4、5、6または7員ヘテロシクリル−[C−C]−アルキルを表す、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
式(VI):
【化4】

(式中、Het’は、式(Het’)のピリジル基または式(Het’)のチアゾリル基:
【化5】

を表す。)の化合物またはこの塩の1つ。
【請求項9】
活性成分として、有効量の請求項1から7に記載の式(I)の化合物および農業的に許容される支持体、担体または充てん剤を含む殺真菌剤組成物。
【請求項10】
農学的に有効な実質的に非植物毒性な量の請求項1から7に記載の化合物または請求項9に記載の組成物が、植物が生長するもしくは生長し得る土壌に、植物の葉および/もしくは果実にまたは植物の種子に施用されることを特徴とする、作物の植物病原性真菌を防除する方法。

【公表番号】特表2011−526602(P2011−526602A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515471(P2011−515471)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058427
【国際公開番号】WO2010/000841
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】