説明

殺菌水供給システム

【課題】次亜塩素酸を含有する殺菌水を生成する殺菌水製造装置を備え、出水する流体種類を非接触で選択可能な、非接触切替機能付きの殺菌水供給システムを提供する。
【解決手段】殺菌水製造装置、殺菌水製造装置に接続されかつ第1の電動二方弁を有する殺菌水供給配管、第2の電動二方弁を有する給水配管、一方の端部で殺菌水供給配管および給水配管の末端を統合し、他方の端部から流体を供給する統合配管、光センサと、光センサの検知信号により選択される流体種類の表示灯とを有するセンサユニット、ならびにセンサユニットと第1および第2の電動二方弁との間に接続され、センサユニットの光センサの検知信号により、流体種類を選択し、選択された流体種類の流体が統合配管に供給されるように第1および第2の電動二方弁の開閉状態を制御するコントロールユニットを備える、非接触切替機能付の殺菌水供給システムが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素イオン含有水を電気分解することにより、次亜塩素酸を含有する殺菌水を生成する殺菌水製造装置を備えた、殺菌水供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院・福祉施設の手洗いや食品加工工場・厨房施設の食品・食器の洗浄作業において、感染防止や衛生環境の向上を目的として、殺菌水の使用による対策が強化されている。そこでは、例えば塩化ナトリウム水溶液を電気分解することにより、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオンなどを含有する殺菌水を供給する殺菌水製造装置が使用されている。殺菌水製造装置からの殺菌水の出水・止水は、従来、接触型のスイッチを用いて行うか、非接触型の光センサなどの検知信号を用いて、供給経路に設けられた電動弁の開閉やポンプの起動・停止などによって行うことが一般的であった。
【0003】
しかしながら、接触型のスイッチを用いる場合、その操作時に病原菌などに感染する恐れがある。一方、非接触型の光センサなどを用いる場合、殺菌水を出水する専用蛇口を有する殺菌水製造装置本体または殺菌水製造装置本体と分離したリモコン部に光センサなどが設けられ、殺菌水製造装置本体またはリモコン部が手洗いまたは洗浄作業を行う箇所の周辺に配置される。また、手洗いまたは洗浄作業を行うための洗面器や流し台などには、通常水道水を供給するための給水用蛇口も設けられている。そのため、殺菌水専用蛇口を有する殺菌水製造装置本体またはリモコン部を給水用蛇口周辺に設置する場合、多くの面積が必要となり設置上の不都合があった。また、設置したときの外観の見栄えが悪いという欠点もあった。
【0004】
殺菌水を洗浄に使用する場合、例えば野菜などは水道水を使用して下洗いを行なった後に最後に殺菌水を使用することが経済的である。このように殺菌水と水道水を交互に使用したい場合、給水用蛇口が自動水栓でないと、折角殺菌水が非接触で出水できても給水用蛇口の開閉ハンドルを操作する時に、菌の付着が生じる。また、自動水栓タイプの給水用蛇口を利用できたとしても、上述のように設置上の不都合があった。さらに、殺菌水を使用した手洗いが非常に短時間である場合、殺菌水の十分な効果が発揮されない、洗浄作業を繰り返す場合、出水・止水や殺菌水・水道水の切替操作が手間になる、などの問題もあった。
【0005】
塩素イオン含有水、例えば塩化ナトリウム水溶液、塩酸水溶液などを電気分解すると、水中に次亜塩素酸および/または次亜塩素酸イオンが生成する。生成した次亜塩素酸および次亜塩素酸イオン、特に殺菌作用の高い次亜塩素酸を利用した殺菌方法、ならびにこれらの化学種を含有する殺菌水の製造方法および製造装置がこれまでに開示されている。
【0006】
特許文献1(特開2006−239531号明細書)は、「塩化ナトリウムを含む水中に一対の交流電極と、該交流電極より小面積乃至同面積の第一の接地電極と、前記一対の交流電極の合計面積より大面積且つ接地状態と非接地状態とを切り換えることができる第二の接地電極とを配設し、該第二の接地電極を非接地状態にすると共に、前記一対の交流電極間に交流を印加し電気分解することにより次亜塩素酸ナトリウム塩を発生させて前記水を殺菌した後、前記第二の接地電極を接地状態に切り換える共に、前記一対の交流電極間に交流を印加し電気分解することにより前記次亜塩素酸ナトリウム塩を塩化ナトリウムに還元して前記水を浄化することを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム塩を用いた水の浄化方法」を記載している。
【0007】
特許文献2(特開2005−262003号明細書)は、「電解槽内に3枚以上の電極板を設け、両端の電極板のみをそれぞれ直流電源の陽極と陰極に直列に接続し、電解槽に塩素化合物並びにマグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を含む着色廃水を流通させつつ、直流電流を通電して電解処理を行なうことを特徴とする、着色廃水の脱色方法」を記載している。
【0008】
特許文献3(特開平10−180259号明細書)は、「水道水等の原水が通過する導電性吸着部に第1電極を接触させるとともに第2電極を該導電性吸着部と間隔をおいて配置し、該第1電極を陽極とし該第2電極を陰極とする正極性の直流電圧を印加し、該導電性吸着部に細菌等を捕捉させかつ付着した細菌等の繁殖を抑制する制菌モードを有する浄水殺菌装置において、前記第2電極と前記導電性吸着部との間に該第2電極と対向するよう前記第1電極と同一極性の第3電極を配置するとともに、前記各電極の極性を切り換える極性切り換え手段と、前記各電極に印加する電圧値を設定できる電圧設定手段とを有することを特徴とする浄水殺菌装置」を記載している。
【0009】
殺菌水の製造装置の多くは電気分解方式を採用しており、アノードとカソードの間に隔膜を使用する構造(隔膜型)と使用しない構造(無隔膜型)に大別される。いずれの構造も、一般に、アノードおよびカソードとして、白金、イリジウムなどの貴金属またはその酸化物などで被覆されたチタン板を使用する。また、殺菌水を安価に製造する一般的な方法として、水道水、地下水などに食塩を溶解した塩素イオン含有水を電気分解することにより、次亜塩素酸を生成させることが知られている。
【0010】
水道水などに塩化ナトリウムなどを添加して調製された塩素イオン含有水は、一般に、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属のイオンや、水中に溶解したイオン状シリカなどの成分も含む。このような塩素イオン含有水を用いて長期間連続して電気分解を行うと、アルカリ土類金属イオン、イオン状シリカなどの成分が、スケールとしてカソード表面に析出し付着して次第に電流が流れなくなる。その結果、殺菌水製造装置の電気分解能力が低下して、次亜塩素酸の生成量が低下するなどの問題があった。
【0011】
上記問題を回避または解決するために、水道水の代わりに純水を使用する、あるいは軟水器を使用して水道水を軟水化するなどの方法が採用されている。しかし、これらの方法を使用すると、純水の製造コストや軟水器の使用に伴うランニングコストが発生してしまう。また、アノードとカソードの間に逆の極性の電圧を印加して、カソードに付着したスケールを剥離することも行われている。この方法によれば、初期の段階ではスケールが完全に剥離して電気分解性能を維持できるが、スケール剥離を繰り返し行うにつれて、剥離しきれないスケールがカソード表面に残留する。その結果、カソード表面の抵抗が高くなり、スケールを剥離するためにより高い電圧が必要となる。そのような高電圧でスケール剥離を行うと、電極表面の白金被覆(例えば白金めっきなど)にピンホールが空く、白金被覆が剥離する、などの問題が生じる場合があった。そのため、このような方法を使用する場合、高価な白金被覆チタン板から構成される電極を定期的に交換しなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−239531号明細書
【特許文献2】特開2005−263003号明細書
【特許文献3】特開平10−180259号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、病原菌などによる感染を防止するために出水・止水の操作を非接触で行うことが可能であり、設置面積を小さくして設置性を向上させかつ外観の見栄えを改善し、出水する流体種類を非接触で選択可能にして、手洗いおよび洗浄作業の効率を向上させることができる、非接触切替機能付きの殺菌水供給システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願は、上記課題を解決するために以下の発明を提供する。
【0015】
[1]殺菌水製造装置、
前記殺菌水製造装置に接続されかつ第1の電動二方弁を有する、前記殺菌水製造装置で生成した殺菌水を供給する殺菌水供給配管、
第2の電動二方弁を有する、水道水を供給する給水配管、
一方の端部で前記殺菌水供給配管および前記給水配管の末端を統合し、他方の端部から殺菌水、水道水またはそれらの混合水を供給する統合配管、
光センサと、前記光センサの検知信号により選択される流体種類の表示灯とを有するセンサユニット、ならびに
前記センサユニットと前記第1および第2の電動二方弁との間に接続され、前記センサユニットの光センサの検知信号により、流体種類を殺菌水、水道水またはそれらの混合水から選択し、前記選択された流体種類の流体が前記統合配管に供給されるように前記第1および第2の電動二方弁の開閉状態を制御するコントロールユニット、
を備える、非接触切替機能付の殺菌水供給システム。
【0016】
[2]殺菌水製造装置、
前記殺菌水製造装置に接続された、前記殺菌水製造装置で生成した殺菌水を供給する殺菌水供給配管、
水道水を供給する給水配管、
前記殺菌水供給配管および前記給水配管の末端が接続された電動三方弁を一方の端部に有し、他方の端部から殺菌水、水道水またはそれらの混合水を供給する統合配管、
光センサと、前記光センサの検知信号により選択される流体種類の表示灯とを有するセンサユニット、ならびに
前記センサユニットと前記電動三方弁との間に接続され、前記センサユニットの光センサの検知信号により、流体種類を殺菌水、水道水またはそれらの混合水から選択し、前記選択された流体種類の流体が前記統合配管に供給されるように前記電動三方弁の開閉状態を制御するコントロールユニット、
を備える、非接触切替機能付の殺菌水供給システム。
【0017】
[3]前記殺菌水製造装置が、アノード、カソード、第三電極、および前記カソードと前記第三電極の間に直流電圧を印加可能な直流電源を有し、前記アノードが貴金属、その酸化物またはそれらの組み合わせで被覆されたチタンから構成され、前記カソードおよび前記第三電極がチタンから構成される、[1]または[2]のいずれかに記載の非接触切替機能付きの殺菌水供給システム。
【0018】
[4]前記殺菌水製造装置が、前記カソードと前記第三電極の間に印加される直流電圧の極性を反転させる極性切替装置をさらに有する、[3]に記載の非接触切替機能付きの殺菌水供給システム。
【0019】
[5]前記センサユニットが、連続モードまたは1もしくは複数の出水パターンを含む自動モードから選択される出水方法の表示灯をさらに有し、
前記コントロールユニットが、前記センサユニットの光センサの検知信号により、出水方法を選択し、前記出水方法が連続モードの場合は流体種類をさらに選択し、前記出水方法が自動モードの場合は出水パターンをさらに選択し、
前記殺菌水供給システムが、光センサを有するオンオフスイッチをさらに有し、
前記コントロールユニットが、前記オンオフスイッチからの信号により、前記選択された出水方法が連続モードの場合、前記選択された流体種類の流体の前記統合配管への供給を開始または停止するように前記第1および第2の電動二方弁または前記電動三方弁の開閉状態を制御し、前記選択された出水方法が自動モードの場合、前記選択された出水パターンに従って前記第1および第2の電動二方弁または前記電動三方弁の開閉状態を制御する、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の非接触切替機能付きの殺菌水供給システム。
【0020】
[6]前記コントロールユニットが、連続モードにおいて実行された出水および止水の状況を自動モードの出水パターンとして登録し、登録後に前記出水パターンが選択可能である、[5]に記載の非接触切替機能付きの殺菌水供給システム。
【0021】
[7]前記コントロールユニットが、出水および止水の実行状況を記録し、前記実行状況を表示する表示装置を有し、
前記コントロールユニットが、殺菌水の出水時間を設定し、前記設定された出水時間に満たない出水が実行された場合に警報を発する警報装置を有する、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の非接触切替機能付きの殺菌水供給システム。
【発明の効果】
【0022】
本発明の非接触切替機能付の殺菌水供給システムによれば、殺菌水の出水と水道水の出水が一つの統合配管から行なわれるため、その統合配管を洗面器や流し台に設けられる通常の給水用蛇口に直接または自動給水ユニットを介して接続することで、殺菌水供給システムの設置面積が小さくなり外観の見栄えが改善される。また、本発明の非接触切替機能付きの殺菌水供給システムは、通常の自動給水ユニットをそのまま利用することもできることから、殺菌水に加えて通常の水道水やそれらの混合水を非接触で選択して出水させることができるため、操作性や利便性が向上し、高い衛生環境が実現できる。さらに、使用条件に適した流体種類を選択できるため、高価な殺菌水を適切に使用でき、経済性が向上する。
【0023】
なお、上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施態様による殺菌水供給システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施態様における、殺菌水製造装置の概略図である。
【図3a】本発明の一実施態様における、アノード、カソードおよび第三電極の形状および配置を示す概略図である。
【図3b】本発明の別の実施態様における、アノード、カソードおよび第三電極の形状および配置を示す概略図である。
【図4a】本発明の一実施態様における、殺菌水の製造方法の説明図である。
【図4b】本発明の一実施態様における、殺菌水の製造方法の説明図である。
【図4c】本発明の一実施態様における、殺菌水の製造方法の説明図である。
【図5】本発明の別の実施態様における、殺菌水製造装置の概略図である。
【図6】本発明の第2実施態様による殺菌水供給システムの一部の概略図である。
【図7】本発明の第3実施態様による殺菌水供給システムの概略図である。
【図8】本発明の第3実施態様における自動モードの出水パターンの例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図を参照しながら、本発明の代表的な実施態様を例示する目的でより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
【0026】
(1)第1実施態様
図1は、本発明の非接触切替機能付の殺菌水供給システムの第1実施態様の構成を示す概略図である。第1実施態様の殺菌水供給システムは、殺菌水製造装置2、殺菌水製造装置2に接続されかつ第1の電動二方弁8aを有する、殺菌水製造装置2で生成した殺菌水を供給する殺菌水供給配管5、第2の電動二方弁8bを有する、水道水を供給する給水配管6、一方の端部で殺菌水供給配管5および給水配管6の末端を統合し、他方の端部から殺菌水、水道水またはそれらの混合水を供給する統合配管7、光センサ14と、光センサ14の検知信号により選択される流体種類の表示灯15a、15b、15cとを有するセンサユニット3、ならびにセンサユニット3と第1および第2の電動二方弁8a、8bとの間に接続され、センサユニット3の光センサ14の検知信号により、流体種類を殺菌水、水道水またはそれらの混合水から選択し、選択された流体種類の流体が統合配管7に供給されるように第1および第2の電動二方弁8a、8bの開閉状態を制御するコントロールユニット4を備えている。
【0027】
本発明の非接触切替機能付の殺菌水供給システムは、例えば洗面ユニットと一緒に使用することができる。図1の洗面ユニット1は、化粧台(図示せず)などに洗面器11がセットされ、蛇口12や給水金具・排水金具(図示せず)などが設けられたものである。また、本発明の非接触切替機能付の殺菌水供給システムは、非接触で出水・止水を行う目的で、統合配管7を自動給水ユニットに接続して使用することができる。この場合、自動給水ユニット13は、例えば図1に示すように洗面器11の下部などに配置される。自動給水ユニット13は、統合配管7と蛇口12の間に設置され、電動二方弁(図示せず)などを内蔵する。自動給水ユニット13の電動二方弁は、蛇口12の近くに配置される光センサ(図示せず)により開閉制御される。洗面ユニットや自動給水ユニットは市販品を用いることができる。
【0028】
洗面ユニット1の近傍にはセンサユニット3が取付けられ、センサユニット3は例えば感知距離20cm程度の光センサ14を有している。また、センサユニット3には流体種類表示灯15a、15b、15cが設けられ、表示灯15a、15b、15cは光センサ14の検知信号により交互に切り替えられて点灯する。センサユニット3には信号線を介してコントロールユニット4が接続され、コントロールユニット4はセンサユニット3からの検知信号を受信する。
【0029】
コントロールユニット4には、電動弁操作回路(図示せず)が内蔵され、電動弁操作回路はセンサユニット3からの検知信号に基づいて電動二方弁8a、8bに制御信号を送出する。このようにして、電動二方弁8a、8bの開閉はコントロールユニット4により制御される。給水配管6は水道水を供給する配管であり、殺菌水製造装置に水道水を供給する配管から分岐していてもよい。
【0030】
センサユニット3の光センサ14を手で遮断すると、表示灯15a、15b、15cが交互に切り替えられて点灯する。「殺菌水」の表示灯15aが点灯している時は、コントロールユニット4から殺菌水供給配管5の電動二方弁8aを開く信号が送出される。このとき、自動給水ユニット13が作動していないため、蛇口12からは出水されない。「殺菌水」の表示灯15aが点灯状態で、蛇口12の近くに配置された自動給水ユニット13の光センサを手で遮断すると、自動給水ユニット13の電動二方弁が開き、殺菌水製造装置2で生成した殺菌水が、蛇口12から殺菌水供給配管5および統合配管7を通過して出水される。使用後、自動給水ユニット13の光センサが手を検知しなくなると、自動給水ユニット13の電動二方弁が閉じ、蛇口12からの殺菌水が止水される。この状態においても、「殺菌水」の表示灯15aは点灯した状態のままとなる。
【0031】
水道水を出水したい場合は、光センサ14を手で遮断することにより、表示灯15a、15b、15cが交互に切り替えられて点灯する状態に戻し、「水道水」の表示灯15bを点灯させる。これにより、電動二方弁8aが閉じると同時に、電動二方弁8bが開き、給水配管6からの水道水が自動給水ユニット13に供給可能な状態となる。その後、「水道水」の表示灯15bが点灯している時に、殺菌水の場合と同様の操作を行うことによって、水道水の出水および止水を行うことができる。
【0032】
混合水を出水したい場合は、光センサ14を手で遮断することにより、表示灯15a、15b、15cが交互に切り替えられて点灯する状態に戻し、「混合水」の表示灯15cを点灯させる。これにより、電動二方弁8aおよび電動二方弁8bが適当な開度で開き、殺菌水供給配管5から殺菌水、給水配管6からは水道水が、設定された割合で自動給水ユニット13に供給可能な状態となる。その後、「混合水」の表示灯15cが点灯している時に、殺菌水や水道水の場合と同様の操作を行うことによって、混合水の出水および止水を行うことができる。混合水中の殺菌水と水道水の混合割合は、電動二方弁8a、8bの開度によって調整できる。電動二方弁8a、8bの開度は、コントロールユニット4において予め設定してもよく、統合配管7に残留塩素濃度計を装着し、その測定数値に基づいて手動または自動で調節してもよい。
【0033】
止水後は、最後に出水した流体種類の表示灯が点灯状態を保持してもよい。一定時間使用がない場合には、表示灯が初期状態(例えば消灯状態)に戻ってもよい。
【0034】
第1実施態様の非接触切替機能付の殺菌水供給システムによれば、センサユニット3からの検知信号に基づきコントロールユニット4により制御される電動二方弁8a、8bを殺菌水供給配管5と給水配管6にそれぞれ設け、殺菌水供給配管5および給水配管6を一本の統合配管7に統合し、この統合配管7を自動給水ユニット13へ接続したので、殺菌水、水道水および混合水を切り替えて蛇口12から出水することができる。そのため、従来のように使用者が殺菌水に代えて水道水を使用したい場合、給水用蛇口の開閉ハンドルを操作することなく、非接触で水道水のみを使用することができる。また、電動弁の開度を調節することで殺菌水と水道水が任意の割合で混合された混合水も供給でき、高価な殺菌水を適切に利用することができる。さらに、単独の蛇口から複数の種類の流体が出水できるので設置性が向上し、蛇口周りのスペースが確保されると共に外観の見栄えも改善される。
【0035】
図2は、本発明の一実施態様における、殺菌水製造装置の概略図である。この実施態様の殺菌水製造装置を用いると、長期間にわたって安定的に殺菌水を製造することができ、殺菌水製造装置自体を安価にすることができ、殺菌水の製造に伴うランニングコスト、特に電極に関係するランニングコストを低減することが可能である。
【0036】
殺菌水製造装置2は、アノード(陽極)50と、カソード(陰極)52と、第三電極54とを有しており、アノード50、カソード52および第三電極54が、極性切替装置(不図示)を備えた直流電源56に接続されている。この殺菌水製造装置2は、いわゆる無隔膜型である。この無隔膜型の実施態様は、後述する隔膜型の実施態様と比較して、装置構成が単純であることから殺菌水製造装置を安価に製作することができ、水中のイオンがアノードとカソードの間を自由に移動できることから電気分解速度が高く、隔膜の交換に伴うランニングコストもかからないといった利点がある。
【0037】
アノード50は、貴金属、その酸化物またはそれらの組み合わせで被覆されたチタンから構成される電極である。貴金属として電気触媒活性を有するものが使用でき、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、およびそれらの組み合わせが挙げられ、白金、イリジウム、およびその組み合わせが好ましい。触媒性能が高いことから、アノード50は、白金被覆チタンであることが好ましい。
【0038】
カソード52および第三電極54は、チタンから構成される電極である。カソード52および第三電極54は、電極表面に酸化被膜(酸化チタン被膜)を有してもよいが、他の種類の金属で被覆されていない。ある実施態様では、例えば、チタン電極を約400〜600℃で約10分〜1時間加熱処理することよって、電極表面に酸化チタン被膜が予め形成される。カソード52の表面に酸化チタン被膜が予め形成されていると、殺菌水の製造中にアノード50とカソード52の間に印加される直流電圧が若干高くなるが、塩素イオン含有水の電気分解に必要な電流を流しつつ、カソード52の表面に付着するスケールの量を効果的に減少させることができる。酸化チタン被膜の厚さは、一般に約1nm以上、約130nm以下であり、約5nm以上、約100nm以下であることが好ましい。また、カソード表面からスケールを除去する工程で第三電極表面に付着するスケールの量を効果的に減少させるために、第三電極54の表面にこのような酸化チタン被膜を予め形成してもよい。
【0039】
アノード50、カソード52、第三電極54の寸法および形状は、殺菌水製造装置の必要とされる能力、設置場所などに応じて、適宜決定することができる。電極の形状として、例えば、板状、丸棒状、角棒状、中空円筒状などが挙げられ、一般に使用される角形の電解槽に収容しやすいことや単位質量当たりの有効処理面積が大きいことなどから、板状電極が好ましい。図2では、アノード50とカソード52が対向しており、カソード52の斜め下方に第三電極54が配置されているが、これらの電極の配置および電極間の距離は、殺菌水製造装置の形状および設置場所、塩素イオン含有水の供給ラインおよび殺菌水供給配管の取り付け位置、直流電源の能力、塩素イオン含有水の塩素イオン濃度などに応じて適宜決定することができる。但し、第三電極54は、アノード50とカソード52の間に入らないように、すなわち、殺菌水の製造時にアノード50とカソード52の間に生じる電界を第三電極54が遮蔽しないように配置される。例えば、図3aに示すように、アノード50、カソード52、第三電極54を板状として、アノード50とカソード52が対向し、カソード52のアノード対向面と反対の面でカソード52と第三電極54が対向するように、これらの電極を一列に並べてもよい。また、図3bに示すように、中心に棒状電極のアノード50、その周りを取り囲むように中空円筒状電極のカソード52、さらにカソード52の周りを取り囲むように第三電極54を配置してもよい。
【0040】
直流電源56は、殺菌水の製造時にアノード50とカソード52の間に直流電圧を印加する。また、直流電源56は、カソード52と第三電極54の間に直流電圧を印加できるようにもなっている。図2では一つの直流電源にアノード50、カソード52、第三電極54の全てが接続されているが、殺菌水製造装置2が、アノード50とカソード52に直流電圧を印加する第1直流電源と、カソード52と第三電極54に直流電圧を印加する第2直流電源とを別々に有してもよい。直流電源は、定電流を流すことが可能な直流安定化電源であってもよい。
【0041】
殺菌水製造装置2が、カソード52と第三電極54の間に印加される直流電圧の極性を反転させる極性切替装置をさらに有してもよい。本発明では、カソード表面に付着したスケールを剥離するときに、カソード側が正、第三電極側が負となる直流電圧が印加される。その結果、カソードとして機能する第三電極の表面にスケールが付着する場合がある。極性切替装置は、逆の極性の直流電圧、すなわち、第三電極側が正、カソード側が負となる直流電圧を印加することを可能にし、カソード表面からのスケール除去と同様の機構により、第三電極表面に付着したスケールを除去することも可能にする。極性切替装置は、所定時間毎に極性反転を行う動作機構を備えていてもよい。
【0042】
アノード50、カソード52および第三電極54は、電解槽58の内部に収容されている。電解槽58の形状は、立方体、直方体、円筒など様々であってよい。電解槽58の底部にはドレン60が取り付けられており、ドレン60は手動または自動のドレンバルブ62によって開閉できる。電解槽58の底部がドレン60に向かって低くなるように傾斜していてもよく、その傾斜角は一般に約25度〜約35度とすることができる。電解槽58には、殺菌水の原料となる塩素イオン含有水を槽内に供給するための給水配管64、製造した殺菌水を槽から外部に取り出すための殺菌水供給配管5が接続されている。図2では、給水配管64が電解槽58の上部側面に取り付けられ、殺菌水供給配管5が電解槽58の下部側面から殺菌水を取り出すように取り付けられているが、これに限らず、給水配管64および殺菌水供給配管5を電解槽58に取り付ける位置は、殺菌水製造装置の形状および設置場所などに応じて適宜決定することができる。給水配管64から電解槽58への水の供給および殺菌水供給配管5を通じた殺菌水の外部への供給は、電解槽58を密閉式として、給水配管64が接続される水源の圧力を利用してもよい。あるいは、給水配管64および/または殺菌水供給配管5がポンプを備えていてもよい。ある実施態様では、ドレン60を殺菌水供給配管5として兼用することもできる。塩素イオン含有水として、塩化ナトリウム水溶液、例えば食塩水、塩化カリウム水溶液、塩酸水溶液、海水などを使用することができ、これらは必要に応じて濾過してから電解槽58に供給してもよい。塩素イオン含有水に含まれる塩素イオン濃度は、一般に約0.01質量%以上、約10質量%以下であり、約0.05質量%以上、約5.0質量%以下であることが好ましい。
【0043】
図4a〜4cは、本発明の一実施態様における、殺菌水の製造方法の説明図である。これらの図では、本方法の基本的な原理を説明する目的で、アノード50、カソード52、第三電極54および極性切替装置を備えた直流電源56のみを図示する。図2および図4a〜4cを参照しながら、本発明の一実施態様における、殺菌水の製造方法を以下詳述する。
【0044】
塩素イオン含有水は、給水配管64から電解槽58の内部に供給される。アノード50およびカソード52の周囲に、アノード50とカソード52の間で導通があるように塩素イオン含有水が配置されたら、図4aに示すように、直流電源56によってアノード側に正電圧を印加しカソード側に負電圧を印加すると、塩素イオン含有水の電気分解が起こり、次亜塩素酸を含有する殺菌水が生成する。電気分解に使用される直流電圧および電極の単位面積当たりの電流密度は、一般に、約0.5V以上、約20V以下、および約0.5A/m2以上、約50A/m2以下である。
【0045】
塩素イオン含有水を電気分解したときに、アノード側では塩素イオンが塩素となり、その塩素が水と反応して次亜塩素酸と塩酸が生じる。一方、例えば塩素イオン含有水を一定濃度の塩化ナトリウム水溶液とした場合、カソード側ではナトリウムイオンと水の反応で水酸化ナトリウムと水素ガスが生じる。このとき、次亜塩素酸の量は水中のpHによって変化する。
アノード側:2Cl-→Cl2+2e-
Cl2+H2O→HClO+HCl
カソード側:2Na++2H2O+2e-→2NaOH+H2
【0046】
一般に、無隔膜で電気分解を行うと、殺菌水全体のpHは中性から弱アルカリ性(pH7〜8程度)となる。弱アルカリ性では次亜塩素酸イオンの量が多くなり(HClO+OH-→ClO-+H2O)、系中のカチオンとの塩、例えば次亜塩素酸ナトリウムとなって水中に存在する。殺菌効果の高い次亜塩素酸はpH2〜7で多く存在することが知られている。よって、殺菌水に存在する次亜塩素酸の量をより増加したい場合、供給する塩素イオン含有水および/または生成した殺菌水に塩酸などの酸を適量添加して、殺菌水のpHを2〜7に保つことが好ましい。
【0047】
生成した殺菌水は、殺菌水供給配管5を通じて電解槽58の外部に取り出される。このとき、必要に応じて、取り出された殺菌水を水道水、脱イオン水などで希釈してもよい。
【0048】
塩素イオン含有水の電気分解を継続すると、塩素イオン含有水に含まれているカルシウムイオン、マグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンおよびイオン状シリカなどのスケール成分が、電気泳動によってカソードに引き寄せられる。そして、これらのスケール成分が、カソード表面で還元される、カソード近傍のpHが高いために飽和濃度に達するなどの様々な機構により、カソードの表面又は表面近傍にスケールとして析出する。このようなスケールの一部はカソード表面に付着して電気分解の妨げとなる。
【0049】
カソード表面に付着したスケールの量がある程度に達したところで、電解槽58に入っている殺菌水を殺菌水供給配管5またはドレン60から排出する。次に、水道水、脱イオン水などを洗浄水として電解槽58に供給して、カソード52および第三電極54の周囲に、カソード52と第三電極54の間で導通があるように洗浄水を配置する。その後、図4bに示すように、直流電源56によってカソード側に正電圧を印加し第三電極側に負電圧を印加すると、カソード表面に酸化被膜が生成して電極表面の抵抗値が上昇する。酸化被膜は、ある程度の電圧が印加されると絶縁破壊して剥落するため、カソード表面に付着していたスケールは剥落する酸化被膜と一緒に剥離して、カソード表面から除去される。このとき、カソード52と第三電極54の間に印加される直流電圧は、一般に、約15V以上、約25V以下である。
【0050】
剥離したスケールと酸化被膜は電解槽58の底部に沈降させてから、ドレンバルブ62を開いて洗浄水と一緒にドレン60から排出する。このようにして、カソード表面に付着したスケールを除去することにより、カソード表面を電気分解に適した状態に再生することができる。その後、再び塩素イオン含有水を電解槽58に供給し、電気分解することにより、殺菌水を製造することができる。
【0051】
カソード表面からスケールを除去する工程で、殺菌水製造中のカソードと同様に、第三電極54にスケールが付着する場合がある。このときは、カソード52からスケールを除去する工程と同様に、洗浄水を電解槽58に供給して、カソード52および第三電極54の周囲に、カソード52と第三電極54の間で導通があるように洗浄水を配置した後、図4cに示すように、直流電源56によって、図4bとは逆の極性の電圧、すなわち第三電極側に正電圧を印加しカソード側に負電圧を印加すると、同様の機構により、第三電極表面からスケールを除去することができる。この工程は、カソード表面からスケールを除去する工程と一緒に、すなわちカソード表面からスケールを除去する際に使用した洗浄水を交換せずに行ってもよい。スケールの排出は、上述したように、ドレン60を介して行うことができる。
【0052】
図5は、本発明の別の実施態様における、殺菌水製造装置の概略図である。この実施態様では、アノード50と、カソード52および第三電極54とを隔てて隔膜70が設けられており、アノード室72とカソード室74が電解槽58の内部に画定されている。隔膜70として、公知のイオン交換膜を使用することができる。この実施態様では、アノード室72で強酸性の殺菌水が生成し、同時にカソード室74で強アルカリ水が生成する。アノード室72中の強酸性の殺菌水は殺菌水供給配管5から外部に取り出すことができる。カソード室74中の強アルカリ水は、別途設けられた強アルカリ水排出配管(不図示)またはドレン60から外部に取り出すことができる。この実施態様において、カソード表面からのスケール除去、および第三電極表面からのスケール除去は、上述した手順で行うことができる。
【0053】
上記殺菌水製造装置においては、貴金属、その酸化物またはそれらの組み合わせで被覆されたチタン電極をアノードのみに使用し、チタン電極をカソードと第三電極に使用する。カソード表面にスケールが付着したら、第三電極とカソードに通電することによって、カソード表面の酸化被膜の絶縁破壊を起こし、カソード表面に付着したスケールを破壊された酸化被膜と一緒に剥離することができる。
【0054】
したがって、上記殺菌水製造装置を用いれば、純水や軟水器を使用しなくても、カソード表面を電気分解に適した状態に維持することができ、次亜塩素酸を効率よく生成することができる。また、カソード表面のスケール除去に際して、アノードに電気的ストレスを与える必要がないことから、長期間安定してアノードを使用できる。また、高価な貴金属、その酸化物またはそれらの組み合わせで被覆されたチタン電極はアノードのみに使用すればよく、カソードと第三電極を安価なチタン電極とすることができるため、より安価な殺菌水製造装置を提供することができる。さらに、電極の消耗に伴う定期的な電極交換は、安価なチタン電極を用いたカソードおよび第三電極について行うだけでよいため、長期間電気分解を行ったときのランニングコストも低減できる。
【0055】
(2)第2実施態様
図6は、本発明の非接触切替機能付の殺菌水供給システムの第2実施態様の構成の一部を示す概略図である。第2実施態様では、統合配管7が、殺菌水供給配管5および給水配管6の末端が接続された電動三方弁21を一方の端部に有しており、電動三方弁21はコントロールユニット4によって制御されるようになっている。他の構成は第1実施態様と同様である。
【0056】
電動三方弁21はコントロールユニット4によって以下のように制御される。「殺菌水」の表示灯15aが点灯している時は、コントロールユニット4から電動三方弁21の殺菌水供給配管5側を開く信号が送出される。「水道水」の表示灯15bが点灯している時は、コントロールユニット4から電動三方弁21の給水配管6側を開く信号が送出される。「混合水」の表示灯15cが点灯している時は、コントロールユニット4から電動三方弁21の殺菌水供給配管5側および給水配管6側の両方を適当な開度で開く信号が送出される。混合水中の殺菌水と水道水の混合割合は、電動三方弁21の開度によって調整できる。電動三方弁21の開度は、コントロールユニット4において予め設定してもよく、統合配管7に残留塩素濃度計を装着し、その測定数値に基づいて手動または自動で調節してもよい。この第2実施態様によれば、配管の占有スペースをより小さくすることができる。
【0057】
(3)第3実施態様
図7は、本発明の非接触切替機能付の殺菌水供給システムの第3実施態様の構成を示す概略図である。第3実施態様の殺菌水供給システムにおいて、センサユニット32は、連続モードまたは1もしくは複数の出水パターンを含む自動モードから選択される出水方法の表示灯をさらに有する。図7の35aは連続モードの表示灯、35b、35c、35dは、流体種類(殺菌水、水道水、混合水)の表示灯、36aは自動モードの表示灯、36b、36c、36dは出水パターン1〜3の表示灯である。コントロールユニット4は、センサユニット32の光センサ34の検知信号により、出水方法を選択し、出水方法が連続モードの場合は流体種類をさらに選択し、出水方法が自動モードの場合は出水パターンをさらに選択する。また、光センサ37を有するオンオフスイッチ33がさらに設けられている。図7の38aおよび38bはそれぞれ、オン表示灯およびオフ表示灯である。コントロールユニット4は、オンオフスイッチ33からの信号により、選択された出水方法が連続モードの場合、選択された流体種類の流体の統合配管7への供給を開始または停止するように、電動三方弁21の開閉状態を制御し、選択された出水方法が自動モードの場合、選択された出水パターンに従って電動三方弁21の開閉状態を制御する。第1実施態様のように、電動三方弁21に代えて、殺菌水供給配管5および給水配管6にそれぞれ電動二方弁を設けて、これらの開閉状態を制御してもよい。
【0058】
図7では、流し台31に設けられた蛇口12に、統合配管7が自動給水ユニットを介さず直接接続されている。一方、コントロールユニット4には、光センサ37を有するオンオフスイッチ33が接続される。オンオフスイッチ33は、センサユニット32からの検知信号に基づいてコントロールユニット4の電動弁操作回路で選択された電動弁の開閉状態を制御するための信号をコントロールユニット4に送出する。他の構成は第1実施態様と同様である。
【0059】
センサユニット32の光センサ34を一定時間手で遮断した状態にすると、表示灯35aと36aが交互に切り替えられて点灯する。「連続モード」の表示灯35aが点灯している時、再度、光センサ34を手で遮断すると、コントロールユニット4の出水方法選択回路(図示せず)が「連続モード」を選択し、表示灯35aが点灯状態となる。同時に、流体種類を示す表示灯35b、35c、35dが交互に切り替えられて点灯する。「殺菌水」の表示灯35bが点灯している時、センサユニット32の光センサ34を再度、手で遮断すると、コントロールユニット4の電動弁操作回路が電動三方弁21の殺菌水供給配管5側を選択する。次に、オンオフスイッチ33の光センサ37を手で遮断すると、オン表示灯38aが点灯すると同時に、オンオフスイッチ33からコントロールユニット4へ制御信号が送出され、電動三方弁21の殺菌水供給配管5側が開き、殺菌水製造装置2で生成した殺菌水が、蛇口12から統合配管7を通過して出水される。出水は再度、光センサ37を手で遮断するまで連続する。光センサ37を手で遮断するとオフ表示灯38bが点灯して止水する。一方、光センサ37を手で遮断して止水した後も、「殺菌水」の表示灯35bは点灯した状態のままとなる。
【0060】
次に水道水を出水したい場合は、センサユニット32の光センサ34を手で遮断することにより、表示灯35b、35c、35dが交互に切り替えられて点灯する状態に戻し、「水道水」の表示灯35cが点灯している時、センサユニット32の光センサ34を再度、手で遮断すると、コントロールユニット4の電動弁操作回路が電動三方弁21の給水配管6側を選択する。次に、オンオフスイッチ33の光センサ37を手で遮断すると、オン表示灯38aが点灯すると同時にコントロールユニット4へ制御信号が送出され、電動三方弁21の給水配管6側が開き、水道水が蛇口12から統合配管7を通過して出水される。出水は再度、光センサ37を手で遮断するまで連続する。光センサ37を手で遮断するとオフ表示灯38bが点灯して止水する。一方、光センサ37を手で遮断して止水した後も、「水道水」の表示灯35cは点灯した状態のままとなる。
【0061】
次に混合水を出水したい場合は、センサユニット32の光センサ34を手で遮断することにより、表示灯35b、35c、35dが交互に切り替えられて点灯する状態に戻し、「混合水」の表示灯35dが点灯している時、センサユニット32の光センサ34を再度、手で遮断すると、コントロールユニット4の電動弁操作回路が電動三方弁21の殺菌水供給配管5側と給水配管6側の両方を選択する。次に、オンオフスイッチ33の光センサ37を手で遮断すると、オン表示灯38aが点灯すると同時にコントロールユニット4へ制御信号が送出され、電動三方弁21の殺菌水配管5側および給水配管6側の両方が適当な開度で開き、混合水が蛇口12から統合配管7を通過して出水される。混合水中の殺菌水と水道水の混合割合は、電動三方弁21の開度によって調整できる。電動三方弁21の開度は、コントロールユニット4において予め設定してもよく、統合配管7に残留塩素濃度計を装着し、その測定数値に基づいて手動または自動で調節してもよい。出水は再度、光センサ37を手で遮断するまで連続する。光センサ37を手で遮断するとオフ表示灯38bが点灯して止水する。一方、光センサ37を手で遮断して止水した後も、「混合水」の表示灯35dは点灯した状態のままとなる。
【0062】
再びセンサユニット32の光センサ34を一定時間手で遮断した状態にすると、表示灯35aと36aが交互に切り替えられて点灯する。「自動モード」の表示灯36aが点灯している時、再度、光センサ34を手で遮断すると、コントロールユニット4の出水方法選択回路(図示せず)が「自動モード」を選択し、「自動モード」の表示灯36aが点灯状態となる。同時に出水パターンを示す表示灯36b、36c、36dが交互に切り替えられて点灯する。「パターン1」の表示灯36bが点灯している時、センサユニット32の光センサ34を再度、手で遮断すると、コントロールユニット4の出水方法選択回路(図示せず)が出水条件として予め設定されているパターン1の出水方法を選択する。「パターン1」の表示灯36bが点灯している時、オンオフスイッチ33の光センサ37を手で遮断すると、オンオフスイッチ33からコントロールユニット4へ制御信号が送出され、パターン1の出水方法に従って電動三方弁21が制御され、蛇口12からパターン1の出水が行なわれる。パターン2および3への切り替えおよびこれらのパターンの出水についても、センサユニット32の光センサ34を手で遮断することにより、表示灯36b、36c、36dが交互に切り替えられて点灯する状態に戻した後、同様の操作によって行うことができる。
【0063】
止水後は、最後に使用した出水方法、流体種類および出水パターンの表示灯が点灯状態を保持してもよい。一定時間使用がない場合には、表示灯が初期状態(例えば消灯状態)に戻ってもよい。
【0064】
第3実施態様の非接触切替機能付の殺菌水供給システムによれば、殺菌水供給配管5、給水配管6および統合配管7に接続された電動三方弁21をどのように制御するかがセンサユニット32からの検知信号に基づき選択され、かつオンオフスイッチ33からの信号によって、選択された制御様式で電動三方弁21の開閉状態が制御されて出水が実行・停止される。そのため、連続モードでは選択された種類の流体の連続的な出水が可能となり、一方、自動モードでは予め設定された出水パターンで出水されるため、流し台で洗浄などを行う場合に、効率的に作業を行うことができる。
【0065】
第3実施態様において、コントロールユニット4が、連続モードにおいて実行された出水および止水の状況を自動モードの出水パターンとして登録し、登録後にその出水パターンが選択可能であるようにしてもよい。これにより、洗浄手順が変更された場合に、簡便に効率よく出水パターンを変更することができる。
【0066】
また、本発明の非接触切替機能付きの殺菌水供給システムにおいて、コントロールユニット4が、出水および止水の実行状況を記録し、その実行状況を表示する表示装置を有してもよい。また、コントロールユニット4が、殺菌水の出水時間を設定し、その設定された出水時間に満たない出水が実行された場合に警報を発する警報装置を有してもよい。これらにより、衛生的な手洗いまたは洗浄を確実に行うことができる。
【0067】
配管の材質は、一般的な給水管に多く使用される硬質塩化ビニルライニング鋼管や、ポリプロピレン管などの、耐薬品性の高い樹脂管が望ましい。殺菌水供給配管5に設けられるまたは接続される電動二方弁または電動三方弁は、ベローズバルブなどのリーク防止機構を有していることが望ましい。殺菌水供給配管5に、漏洩検知手段を設けてもよい。
【0068】
殺菌水供給配管5と給水配管6の供給圧力のバランスを取るために、必要に応じて圧力調整弁を設置してもよい。給水配管6への殺菌水の逆流を防止するため、必要に応じて逆流防止弁や真空防止器を設置してもよい。
【0069】
上記実施態様は、あくまでも本発明を例示する目的で記載されたものであり、本発明はこれらに限定されない。本発明の範囲は、本明細書に記載した実施態様についての、当業者にとって明らかな変更、拡張、修正、置換を包含するものとする。例えば、流体種類、出水方法、出水パターンを選択するときの、センサユニットの光センサを遮断する操作における遮断状態の時間、遮断回数などや、流体種類、出水方法、出水パターンの表示灯の点灯パターンなどは、本発明の目的とする操作が実現できる限り、様々に変更できることは当業者にとって明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、殺菌水、水道水およびそれらの混合水を使用する、洗面台、流し台などの洗浄設備で使用できる。
【符号の説明】
【0071】
1 洗面ユニット
2 殺菌水製造装置
3 センサユニット
4 コントロールユニット
5 殺菌水供給配管
6 給水配管
7 統合配管
8a、8b 電動二方弁
11 洗面器
12 蛇口
13 自動給水ユニット
14 光センサ
15a、15b、15c 流体種類表示灯
21 電動三方弁
31 流し台
32 センサユニット
33 オンオフスイッチ
34 光センサ
35a 連続モード表示灯
35b、35c、35d 流体種類表示灯
36a 自動モード表示灯
36b、36c、36d 出水パターン表示灯
37 光センサ
38a オン表示灯
38b オフ表示灯
50 アノード
52 カソード
54 第三電極
56 直流電源
58 電解槽
60 ドレン
62 ドレンバルブ
64 給水配管
70 隔膜
72 アノード室
74 カソード室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌水製造装置、
前記殺菌水製造装置に接続されかつ第1の電動二方弁を有する、前記殺菌水製造装置で生成した殺菌水を供給する殺菌水供給配管、
第2の電動二方弁を有する、水道水を供給する給水配管、
一方の端部で前記殺菌水供給配管および前記給水配管の末端を統合し、他方の端部から殺菌水、水道水またはそれらの混合水を供給する統合配管、
光センサと、前記光センサの検知信号により選択される流体種類の表示灯とを有するセンサユニット、ならびに
前記センサユニットと前記第1および第2の電動二方弁との間に接続され、前記センサユニットの光センサの検知信号により、流体種類を殺菌水、水道水またはそれらの混合水から選択し、前記選択された流体種類の流体が前記統合配管に供給されるように前記第1および第2の電動二方弁の開閉状態を制御するコントロールユニット、
を備える、非接触切替機能付の殺菌水供給システム。
【請求項2】
殺菌水製造装置、
前記殺菌水製造装置に接続された、前記殺菌水製造装置で生成した殺菌水を供給する殺菌水供給配管、
水道水を供給する給水配管、
前記殺菌水供給配管および前記給水配管の末端が接続された電動三方弁を一方の端部に有し、他方の端部から殺菌水、水道水またはそれらの混合水を供給する統合配管、
光センサと、前記光センサの検知信号により選択される流体種類の表示灯とを有するセンサユニット、ならびに
前記センサユニットと前記電動三方弁との間に接続され、前記センサユニットの光センサの検知信号により、流体種類を殺菌水、水道水またはそれらの混合水から選択し、前記選択された流体種類の流体が前記統合配管に供給されるように前記電動三方弁の開閉状態を制御するコントロールユニット、
を備える、非接触切替機能付の殺菌水供給システム。
【請求項3】
前記殺菌水製造装置が、アノード、カソード、第三電極、および前記カソードと前記第三電極の間に直流電圧を印加可能な直流電源を有し、前記アノードが貴金属、その酸化物またはそれらの組み合わせで被覆されたチタンから構成され、前記カソードおよび前記第三電極がチタンから構成される、請求項1または2のいずれかに記載の非接触切替機能付きの殺菌水供給システム。
【請求項4】
前記殺菌水製造装置が、前記カソードと前記第三電極の間に印加される直流電圧の極性を反転させる極性切替装置をさらに有する、請求項3に記載の非接触切替機能付きの殺菌水供給システム。
【請求項5】
前記センサユニットが、連続モードまたは1もしくは複数の出水パターンを含む自動モードから選択される出水方法の表示灯をさらに有し、
前記コントロールユニットが、前記センサユニットの光センサの検知信号により、出水方法を選択し、前記出水方法が連続モードの場合は流体種類をさらに選択し、前記出水方法が自動モードの場合は出水パターンをさらに選択し、
前記殺菌水供給システムが、光センサを有するオンオフスイッチをさらに有し、
前記コントロールユニットが、前記オンオフスイッチからの信号により、前記選択された出水方法が連続モードの場合、前記選択された流体種類の流体の前記統合配管への供給を開始または停止するように前記第1および第2の電動二方弁または前記電動三方弁の開閉状態を制御し、前記選択された出水方法が自動モードの場合、前記選択された出水パターンに従って前記第1および第2の電動二方弁または前記電動三方弁の開閉状態を制御する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非接触切替機能付きの殺菌水供給システム。
【請求項6】
前記コントロールユニットが、連続モードにおいて実行された出水および止水の状況を自動モードの出水パターンとして登録し、登録後に前記出水パターンが選択可能である、請求項5に記載の非接触切替機能付きの殺菌水供給システム。
【請求項7】
前記コントロールユニットが、出水および止水の実行状況を記録し、前記実行状況を表示する表示装置を有し、
前記コントロールユニットが、殺菌水の出水時間を設定し、前記設定された出水時間に満たない出水が実行された場合に警報を発する警報装置を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の非接触切替機能付きの殺菌水供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−81449(P2012−81449A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231621(P2010−231621)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(391010448)須賀工業株式会社 (6)
【出願人】(000145611)株式会社コガネイ (142)
【Fターム(参考)】