説明

比較回路

【課題】スイッチトキャパシタを利用し回路規模の小さな比較回路を得る。
【解決手段】入力INAは、スイッチSW1によりコンデンサCaを介し、コンパレータCom1,Com2の正入力端に供給される。入力INBはスイッチSW2によりコンデンサCb1を介しコンパレータCom1の負入力端に供給されると共に、スイッチ3,4によりコンデンサCb2を利用して反転されて、コンパレータCom2の負入力端に供給される。コンパレータCom1、Com2の出力は排他的論理和回路EXORに入力され、ここから入力INAが±入力INBの範囲内か否かの判定結果が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1入力と第2入力を比較してその比較結果を出力する、スイッチトキャパシタを使用した比較回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、TV受像器や、ビデオデッキなどビデオ信号を処理する装置においては、水平走査線毎の映像信号の相関を求める回路を有している。例えば、輝度信号と色信号が重畳されたコンポジット信号から輝度信号と色信号を分離するY/C分離回路において、2つの水平走査ラインの映像信号の加算または減算によってY/C分離を行っている。従って、1つの水平ラインに対する加減算の対象となる2つの水平ラインの選択においては、相関の高いものを採用することが好適である。すなわち、輝度信号についての相関の高い隣接水平ラインを選択し、両水平ラインの映像信号を加算することで輝度信号を得、減算することで色信号を得ることができる。
【0003】
そこで、このような相関の検出を行う回路が必要となり、各種の回路が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−32701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、半導体集積回路においてビデオ信号の処理回路を形成するに当たり、スイッチトキャパシタ回路を利用することが好適であり、上述のような比較回路についてもスイッチトキャパシタを利用することが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1入力と第2入力を比較してその比較結果を出力する、スイッチトキャパシタを使用した比較回路であって、入力側が第1入力または出力に接続され、リファレンス側がリファレンスに接続され、第1入力を記録して出力する第1コンデンサと、入力側が第2入力または出力に接続され、リファレンス側がリファレンスに接続され、第2出力を記録して出力する第2−1コンデンサと、入力側が第2入力またはリファレンスに接続され、リファレンス側がリファレンスまたは出力に接続され、第2入力を記録した後、反転して出力する第2−2コンデンサと、前記第1コンデンサの出力と、前記第2−1コンデンサの出力を比較する第1コンパレータと、前記第1コンデンサの出力と、前記第2−2コンデンサの出力を比較する第2コンパレータと、を含み、前記第1コンパレータおよび第2コンパレータの比較結果に基づき、第1入力と第2入力との比較を行うことを特徴とする。
【0007】
また、前記第1コンパレータは、前記第1コンデンサの出力を正入力、前記第2−1コンデンサの出力を負入力に入力し、両者の比較を行い、前記第1コンパレータは、前記第1コンデンサの出力を正入力、前記第2−2コンデンサの出力を負入力に入力し、両者の比較を行い、これら第1および第2のコンパレータの出力は排他的論理和回路に入力され、この排他的論理和回路の出力が比較結果の出力となることが好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、2つの入力信号についてスイッチトキャパシタ回路を用いて正転、反転信号を作り、これを直接コンパレータで比較することで、比較結果を得ることができる。そこで、比較の前に全波整流などを行う必要がなく、オペアンプを不要として回路規模を小さくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、実施形態の構成を示す図である。比較対象となる2つの入力信号として第1入力INAと、第2入力INBが入力されてくる。入力INAは、スイッチSW1に入力されており、このスイッチSW1はコンデンサCaの入力側に接続されている。スイッチSW1は、入力INAが供給される入力端子と、出力端子を有しており、これらがコンデンサCaの入力側に切換可能になっている。コンデンサCaの他端であるリファレンス側は、予め設定された基準電圧のリファレンスに接続されている。
【0011】
また、もう1つの入力である入力INBは、スイッチSW2に入力されており、このスイッチSW2はコンデンサCb1の入力側に接続されている。スイッチSW2は、入力INBが供給される入力端子と、出力端子を有しており、これらがコンデンサCb1の入力側に切換可能になっている。コンデンサCb1の他端であるリファレンス側は、予め設定された基準電圧のリファレンスに接続されている。
【0012】
また、入力INBは、スイッチSW3に入力されており、このスイッチSW3はコンデンサCb2の入力側に接続されている。スイッチSW2は、入力INBが供給される入力端子と、予め設定された基準電圧のリファレンスに接続されるリファレンス端子を有しており、これらがコンデンサCb1の入力側に切換可能になっている。コンデンサCb2の他端であるリファレンス側は、スイッチSW4に接続されており、このスイッチSW4はコンデンサCb2のリファレンス側を予め設定された基準電圧のリファレンスに接続するリファレンス端子と出力端子を有しており、コンデンサCb2のリファレンス側に切換可能になっている。
【0013】
スイッチSW1の出力側は、コンパレータCom1の正入力端に接続され、スイッチSW2の出力側はコンパレータCom1の負入力端に接続されている。また、スイッチSW1の出力側は、コンパレータCom2の正入力端にも接続され、スイッチSW4の出力端がコンパレータCom2の負入力端に接続されている。
【0014】
従って、コンパレータCom1は、入力INAと入力INBを比較し、入力INAが入力INBより大きいときにHレベルを出力する。また、コンパレータCom2は、入力INAと入力INBのリファレンスを基準として反転した信号(反転INBという)を比較し、入力INAが反転INBより低いときにHレベルを出力する。
【0015】
例えば、入力INAを交流信号、入力INBを一定電圧の直流電圧と仮定すると、図2に示すように、リファレンスを0とすれば、入力INAが±入力INBの間に入っているときにコンパレータCom1,Com2共にLレベルを出力し、入力INAが入力INBより高いときにコンパレータCom1がHレベルを出力し、入力INAが反転INBより低いときにコンパレータCom2がHレベルを出力することになる。
【0016】
コンパレータCom1,Com2の出力は、排他的論理和回路EXORに入力される。従って、図2に示すように、入力INAが±入力INBの間に入っているときに排他的論理和回路EXORはLレベルを出力し、入力INAが±入力INBの範囲外のときに排他的論理和回路EXORはHレベルを出力することになる。
【0017】
このように、図1の回路によって、入力INA、INBという2つの入力信号を比較し、その類似度についての信号を得ることができる。すなわち、排他的論理和回路EXORの出力において、Hレベルの期間が少ないほど2つの信号が似ていることになる。
【0018】
このように、本実施形態においては、入力INA、INBという2つの入力信号をスイッチトキャパシタ回路を用いて正転、反転信号を作り、これを直接コンパレータで比較することで、比較結果を得ることができる。そこで、比較の前に全波整流などを行う必要がなく、オペアンプを不要として回路規模を小さくできる。
【0019】
映像信号のYC分離回路においては、処理対象となる水平走査ラインの信号について、隣接する2つの水平走査ラインの信号のうち、いずれがより類似している隣接ラインかを判定する必要がある。本実施形態の回路をこの判定に用いることが好適である。なお、スイッチトキャパシタを利用した映像信号処理回路については、本出願人が特願2005−219375号において提案している。
【0020】
図3には、他の構成例を示してある。この例では、コンデンサCa、Cb1,Cb2についてダブルで設け、一方から出力しているときに他方を入力信号で充電するように構成している。
【0021】
すなわち、コンデンサCaの他にコンデンサCa−0を設け、この入力側はスイッチSW1−0が接続され、このスイッチSW1−0の入力端は入力INAに出力端はコンパレータCom1の正入力端に接続されている。そして、スイッチSW1がコンデンサCaの入力側を入力端に接続しているときは、スイッチSW1−0はコンデンサCa−0の入力側を出力端に、スイッチSW1がコンデンサCaの入力側を出力端に接続しているときは、スイッチSW1−0はコンデンサCa−0の入力側を入力端に接続する。これによって、コンデンサCaとコンデンサCa−0を交互に利用して入力INAをコンパレータCom1の正入力端に供給することができる。
【0022】
同様に、コンデンサCb1に対しては、コンデンサCb1−0およびスイッチSW2−0、コンデンサCb2に対しては、コンデンサCb2−0およびスイッチSW3−0、スイッチSW4−0を設け、これらを2つのコンデンサを交互に利用できるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態の比較回路を示す図である。
【図2】比較の内容を示す図である。
【図3】他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
Ca,Cb1,Cb2 コンデンサ、Com1,Com2 コンパレータ、EXOR 排他的論理和回路、SW1,SW2,SW3,SW4 スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力と第2入力を比較してその比較結果を出力する、スイッチトキャパシタを使用した比較回路であって、
入力側が第1入力または出力に接続され、リファレンス側がリファレンスに接続され、第1入力を記録して出力する第1コンデンサと、
入力側が第2入力または出力に接続され、リファレンス側がリファレンスに接続され、第2出力を記録して出力する第2−1コンデンサと、
入力側が第2入力またはリファレンスに接続され、リファレンス側がリファレンスまたは出力に接続され、第2入力を記録した後、反転して出力する第2−2コンデンサと、
前記第1コンデンサの出力と、前記第2−1コンデンサの出力を比較する第1コンパレータと、
前記第1コンデンサの出力と、前記第2−2コンデンサの出力を比較する第2コンパレータと、
を含み、
前記第1コンパレータおよび第2コンパレータの比較結果に基づき、第1入力と第2入力との比較を行うことを特徴とする比較回路。
【請求項2】
請求項1に記載の比較回路において、
前記第1コンパレータは、前記第1コンデンサの出力を正入力、前記第2−1コンデンサの出力を負入力に入力し、両者の比較を行い、
前記第1コンパレータは、前記第1コンデンサの出力を正入力、前記第2−2コンデンサの出力を負入力に入力し、両者の比較を行い、
これら第1および第2のコンパレータの出力は排他的論理和回路に入力され、この排他的論理和回路の出力が比較結果の出力となることを特徴とする比較回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−267201(P2007−267201A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91504(P2006−91504)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】