説明

比較監視システム及び比較監視方法

【課題】相関性があるデータ列間で、データの出現順番や送信回数が変化する場合でも、一定の相関性を比較監視する。
【解決手段】監視プローブ装置20,30それぞれが取得したデータの内容からチェックコードを算出し、チェックコードの値が直前に生成したチェックコードと異なる場合に、そのチェックコードとデータのタイムスタンプを含む比較情報を比較装置40へ送信し、比較装置40は監視プローブ装置20,30それぞれから受信した比較情報を比較し、比較情報に相違が検出された場合にアラートを出力する。これにより、同じチェックコードが連続した場合、つまり同じデータを連続して受信した場合には、比較処理を行わないので、データの送信回数の違いを無視してデータストリーム間の相関性を比較監視することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ列間の相関性を比較監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを用いた映像配信サービスの提供が広まり、近年では、地上デジタル放送あるいはBSデジタル放送を、リアルタイムでネットワークを用いて送信するIP再送信も行われている。IP再送信を行う際、映像データをより符号化効率の高い映像データに変換したり、同じデータを繰り返し送信されているデータ放送や番組情報などは、その繰り返す回数を減らしたりして、使用する帯域を抑制している。
【0003】
IP再送信時には、IP再送信放送に障害が発生していないか地上デジタル放送、BSデジタル放送と比較して監視する必要がある。例えば、特許文献1には、IP再送信されるテレビジョン放送を監視する技術が開示されている。
【0004】
IP再送信放送を監視する方法として人間が視聴して監視する方法が考えられるが、映像、音声、字幕、データ放送、番組情報などを常に視聴し続け、地上デジタル放送、BSデジタルと比較して、IP再送信放送に障害が発生しているかどうかをリアルタイムに確認する作業はきわめて困難である。地上デジタル放送、BSデジタル放送をCATVで再送信する場合も同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−284184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、地上デジタル放送、BSデジタル放送とIP再送信放送のそれぞれのデータをリアルタイムに比較し、異常があった際には通知を行う比較監視システムが必要とされた。
【0007】
ところが、IP再送信データは、地上デジタル放送データ、BSデジタル放送データと比較して、出現するデータの順番が違っている場合や、同じデータの繰り返し回数が異なる場合があるが、このような違いは実際の視聴に影響がないので、比較監視するときにはこれを無視する必要がある。このように、出現頻度や送信回数が変化する場合には、単純にデータを1対1で比較できないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、相関性があるデータ列間で、データの出現順番や送信回数が変化する場合でも、一定の相関性を比較監視することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明に係る比較監視システムは、第1の伝送路からデータを取得する第1の監視プローブ装置、第2の伝送路からデータを取得する第2の監視プローブ装置、前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれが取得したデータのうち所定のデータが同一であるか否か比較する比較装置を備えた比較監視システムであって、前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれは、伝送路からデータを取得する取得手段と、取得した前記データの内容からチェックコードを生成するチェックコード生成手段と、前記チェックコードの値が直前に生成したチェックコードの値と異なる場合に当該チェックコードと前記データのタイムスタンプを含む比較情報を前記比較装置に送信する送信手段と、を有し、前記比較装置は、前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれから受信した前記比較情報をそれぞれ蓄積する第1及び第2の比較情報バッファと、前記第1及び第2の比較情報バッファそれぞれから前記比較情報に含まれる前記チェックコードの値が一致する前記比較情報の組を検索し、当該比較情報の組に含まれるタイムスタンプの時間差が所定の時間を超える場合にアラートを出力する比較手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
上記比較監視システムにおいて、前記比較手段は、前記比較情報を受信した時刻から所定の時間以内に、当該比較情報のチェックコードの値と一致する前記比較情報を検索できない場合にアラートを出力することを特徴とする。
【0011】
上記比較監視システムにおいて、前記第1及び第2の伝送路には複数の種別のデータが伝送されるものであって、前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれは、取得した前記データを種別毎に分類する分類手段と、種別毎に前記チェックコード生成手段及び前記送信手段を有し、前記比較装置は、種別毎に前記比較手段を有することを特徴とする。
【0012】
上記比較監視システムにおいて、前記第1及び第2の監視プローブ装置は、一番最後に取得した前記データのタイムスタンプを最終タイムスタンプとして取得し、前記比較装置に送信する最終タイムスタンプ取得手段を有し、前記比較装置は、前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれから受信した前記最終タイムスタンプの時間差が所定の時間を超える場合にアラートを出力する最終タイムスタンプ比較手段を有することを特徴とする。
【0013】
上記比較監視システムにおいて、前記チェックコード生成手段は、前記第1及び第2の伝送路それぞれから取得する前記データ間の一部に存在する既知の相違箇所については、当該相違箇所を同一に変更した後で前記チェックコードを生成することを特徴とする。
【0014】
上記比較監視システムにおいて、前記送信手段は、前記比較情報とともに当該比較情報に対応する前記データを前記比較装置に送信し、前記比較装置は、前記比較手段がアラートを出力する場合に前記第1及び第2の監視プローブ装置から受信した前記データ間の相違部分を表示する表示手段を有することを特徴とする。
【0015】
第2の本発明に係る比較監視方法は、第1の伝送路からデータを取得する第1の監視プローブ装置、第2の伝送路からデータを取得する第2の監視プローブ装置、前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれが取得したデータのうち所定のデータが同一であるか否か比較する比較装置による比較監視方法であって、前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれによる、伝送路からデータを取得するステップと、取得した前記データの内容からチェックコードを生成するステップと、前記チェックコードの値が直前に生成したチェックコードの値と異なる場合に当該チェックコードと前記データのタイムスタンプを含む比較情報を前記比較装置に送信するステップと、を有し、前記比較装置による、前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれから受信した前記比較情報を第1及び第2の比較情報バッファそれぞれに蓄積するステップと、前記第1及び第2の比較情報バッファから前記比較情報に含まれる前記チェックコードの値が一致する前記比較情報の組を検索し、当該比較情報の組に含まれるタイムスタンプの時間差が所定の時間を超える場合にアラートを出力するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、相関性があるデータ列間で、データの出現順番や送信回数が変化する場合でも、一定の相関性を比較監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態における比較監視システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】データストリームのイメージを示す模式図である。
【図3】上記比較監視システムの比較情報生成部の処理を説明する模式図である。
【図4】上記比較監視システムの比較装置の処理を説明する模式図である。
【図5】比較装置が有する変化データ取り出し部の構成を示す機能ブロック図である。
【図6】上記変化データ取り出し部の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態における比較監視システムの構成を示す機能ブロック図である。同図に示す比較監視システムは、監視プローブ装置20,30及び比較装置40を備え、データストリーム(1)とデータストリーム(2)とを比較し、相違する場合に警告を出力するシステムである。データストリーム(2)は、データストリーム変換部10によりデータストリーム(1)を変換したものである。
【0020】
データストリーム変換部10は、データストリーム(1)(例えば、地デジ放送データ)を入力し、変換処理してデータストリーム(2)(例えば、地デジIP再送信データ)を出力する。具体的には、データストリーム変換部10は、地デジ放送データの映像データをより符号化効率の高い映像データに変換し、地デジ放送データの音声データ、字幕、データ放送、番組情報等の他のデータを別の形式に変換することなく出力する。データ放送や番組情報など同じ内容のデータが周期的に送られるものに関しては、回数を減らして出力する。例えば、データ放送において同じデータが2回入力された場合に、データストリーム変換部10は、2回目のデータを出力しない。あるいは、1分間に3回送信されるデータを1分間に2回に減らして送信する。なお、本実施の形態における比較監視システムは、データストリーム変換部10が、例えば、音声データや番組情報の符号化方式は変換されずに映像データの符号化方式については変換されるような場合、データの内容が変化しない音声データや番組情報等を比較監視の対象とする。つまり、変換の前後で符号化の形式が異なる映像データは比較監視の対象としない。変換前後の形式が異なる場合として、例えば、元の映像がMPEG2で変換後がH.264の場合、あるいは変換後がMPEG2のままビットレートを下げた場合、あるいは変換後の形式としてMPEG4を用いる場合などがある。本実施の形態では、変換前後の形式が異なる映像データは比較監視の対象としないので、映像データに関していかなる変換が行われてもよい。
【0021】
図2は、データストリームのイメージを示す模式図である。図2(a)に、変換前のデータストリーム(1)のイメージを示し、図2(b)に、変換後のデータストリーム(2)のイメージを示す。図2中の四角はTransport Stream(TS)パケットを表す。
【0022】
データストリームでは、複数のデータ種別が混在して流れている。データのサイズが大きいものは、パケットに分割されている。図2中のパケット内のA,B,・・・Xなどの英字がデータ種別を示し、英字の横の数字がそのデータ種別のパケットの番号を示している。パケットの右側のボックス内の模様は、データの内容を模式している。データ種別が同じで連続する番号を有し、ボックス内の模様が同じものは、同じ1つのデータから分割されたパケットを示している。例えば、図2(a)のA−5,A−4,A−3のパケットは、1つのデータを分割したパケットである。パケットの下の数字は、各プローブ装置がパケットを受信した時刻を表すタイムスタンプを示している。
【0023】
なお、データストリーム変換部10によるデータストリームの変換前後において、パケットの並び順は保証されていない。つまり、データストリーム間でパケットの並び順は一致しないこともある。例えば、図2(a)ではパケット「X−1」は、パケット「A−3」の次に出現しているが、図2(b)ではパケット「X−1」は、パケット「A−1」の次に出現している。
【0024】
また、データストリームの変換前後において相関のあるデータのパケットが出現する時刻に差が存在している。図2に示す例では、データストリーム(1)においてパケット「X−1」に付されたタイムスタンプは「10:12:20.010」であるのに対し、データストリーム(2)においてパケット「X−1」に付されたタイムスタンプは「10:12:20.845」となっている。本実施の形態における比較監視システムは、データが欠落していないか、データストリーム(1),(2)間で対応するデータのタイムスタンプの差が所定の範囲内であるか否かを判定する。
【0025】
図1に戻り、比較監視システムの説明を続ける。監視プローブ装置20は、データストリーム変換部10の入力側の伝送路からデータストリーム(1)を入力して比較情報を生成し、パケットから再構成したデータと比較情報を比較装置40に送信する。監視プローブ装置30は、データストリーム変換部10の出力側の伝送路からデータストリーム(2)を入力して比較情報を生成し、パケットから再構成したデータと比較情報を比較装置40に送信する。比較装置40は、監視プローブ装置20,30から受信した比較情報を比較し、相違を発見したときに警告を出力する。なお、監視プローブ装置20,30は、データ及び比較情報をすべて比較装置40へ送信するのではなく、所定の条件を満たすデータについてのみ、そのデータとそのデータから生成した比較情報を比較装置40に送信する。監視プローブ装置20,30及び比較装置40の詳細については後述する。
【0026】
監視プローブ装置20,30及び比較装置40が備える各部は、演算処理装置、記憶装置、メモリ等を備えたコンピュータにより構成して、各部の処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムは各装置が備える記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。なお、本実施の形態では、監視プローブ装置20,30及び比較装置40を別々の装置として構成したが、もちろん各部を1つの装置で構成するものでもよい。以下、各装置の詳細について説明する。
【0027】
監視プローブ装置20と監視プローブ装置30は、取得するデータストリームが異なる以外は同じであるので、ここでは監視プローブ装置20について説明する。監視プローブ装置20は、パケット解析部21と複数の比較情報生成部22A,22B,・・・,22Xを有する。
【0028】
パケット解析部21は、複数のデータ種別のパケットが混在して伝送されるデータストリームを入力し、入力したパケットをデータ種別毎に分類する。データ種別は、例えば、音声、字幕、データ放送、番組情報などである。データ種別毎に分類されたパケットは、データ種別毎に用意された比較情報生成部22A,22B,・・・,22Xへ送信される。
【0029】
比較情報生成部22A,22B,・・・,22Xは、パケット解析部21からパケットを受信してデータを再構成し、比較情報を生成して比較装置40へ送信する。比較情報生成部22A,22B,・・・,22Xそれぞれは、受信するデータ種別が異なる以外は同じである。監視プローブ装置30は、監視プローブ装置20と同様に、データ種別毎の比較情報生成部32A,32B,・・・,32Xを有する。つまり、監視プローブ装置20,30は、それぞれ同数の比較情報生成部を有する。
【0030】
比較情報生成部22A,22B,・・・,22Xのそれぞれは、パケットを結合してデータを再構築する結合部221A,221B,・・・,221X、再構築したデータの内容からチェックコードを生成するチェックコード生成部222A,222B,・・・,222X、および再構築したデータと比較情報を比較装置40へ送信するか否か判定する変化検出部223A,223B,・・・,223Xを有する。比較情報は、チェックコード生成部222A,222B,・・・,222Xが生成したチェックコードと再構築したデータのタイムスタンプを含む情報である。チェックコードは、例えばCyclic Redundancy Check(CRC:巡回冗長検査)を用いてデータから生成した数バイト程度の値である。
【0031】
図3は、比較情報生成部の処理を説明する模式図である。図3(a)〜(c)は、監視プローブ装置20が有する比較情報生成部22A,22B,22Xの処理の様子を示し、図3(d)〜(f)は、監視プローブ装置30が有する比較情報生成部32A,32B,32Xの処理の様子を示す。同図では、パケットを受信した順に下から上に並べている。いずれも同様の処理を行うので、ここでは比較情報生成部22Aの処理を示す図3(a)に着目して説明する。
【0032】
監視プローブ装置20において、データ種別が「A」のパケットは、比較情報生成部22Aに送信される。図3(a)では、A−5,A−4,A−3,・・・,A6のデータ種別「A」のパケットを受信している。結合部221Aは、同じ1つのデータを分割したパケットを結合してデータを再構築する。図3(a)では、例えばA−5,A−4,A−3のパケットを結合してデータを再構築している。このとき再構築したデータのタイムスタンプを、一番最後のパケットであるA−3に付されたタイムスタンプ「10:12:19.099」とする。なお、図3(b),(e)の最上段の点線は、データを再構築するためのパケットがまだ揃っていないことを示している。また、図3(c),(f)のように、データが分割されておらず1つのパケットが1つのデータに対応しているものもある。
【0033】
チェックコード生成部222Aは、再構築したデータのCRCを計算してチェックコードを生成する。例えば、図3(a)において、A−5,A−4,A−3から再構築したデータのチェックコードは、0x995Cであり、A−2,A−1,A0から再構築したデータのチェックコードは、0xD238である。
【0034】
なお、データストリーム変換部10が特定のデータ種別の所定の箇所のビットを書き換えるものである場合、チェックコード生成部222Aは、書き換えられる箇所をビットマスクしてチェックコードを生成する。例えば、データストリーム変換部10がデータ種別「B」のデータの先頭から10〜15ビット目を書き換えて出力するものである場合、チェックコード生成部222B,322Bは、データの10〜15ビット目を固定値で上書きしてチェックコードを生成する。これにより、書き換えられた箇所以外が同じならば同じ値のチェックコードが生成される。あるいは、データストリーム変換部10が所定の規則に従ってデータの一部を変更する場合、変更前のデータを扱うチェックコード生成部222Bは、変更されるデータの一部が変更後と同一となるように、そのデータの一部を変更した後でチェックコードを生成する。
【0035】
変化検出部223Aは、チェックコード生成部222Aが生成したチェックコードが変化する変化点を検出し、変化点を検出した場合、再構築したデータと比較情報を比較装置40へ送信する。図3(a)では、下から2番目と3番目のチェックコードは共に0xD238で変化せず、下から2番目、4番目においてチェックコードが変化している(図3では「変化点」として示している)。したがって、下から2番目、4番目においてデータと比較情報を比較装置40へ送信する。比較装置40へ送信する比較情報はチェックコードとタイムスタンプを含む。例えば、図3(a)の下から2番目のデータの比較情報は、チェックコード「0xD238」とタイムスタンプ「10:12:20.124」を含む。なお、生成したチェックコードの値を直前に生成したチェックコードの値と比較するため、生成したチェックコードは変化検出部223Aの有する記憶手段に一時的に蓄積される。
【0036】
続いて比較装置40について説明する。比較装置40は、監視プローブ装置20,30それぞれから受信した対応する比較情報同士を比較し、比較した比較情報が相違していればアラートを出力する。比較装置40は、監視プローブ装置20,30それぞれが送信するデータと比較情報を受信して蓄積する比較情報受信部42,43、データ種別毎に比較情報を比較する比較部44A,44B,・・・,44Xを有する。
【0037】
比較情報受信部42は、データ種別毎に比較情報バッファ421A,421B,・・・,421X、および蓄積部422A,422B,・・・,422Xを有する。比較情報バッファ421A,421B,・・・,421Xは、監視プローブ装置20が送信した比較情報をデータ種別毎に一時的に蓄積する。蓄積部422A,422B,・・・,422Xは、監視プローブ装置20が送信したデータをデータ種別毎に蓄積する。例えば、比較情報バッファ421Aには、監視プローブ装置20の比較情報生成部22Aが送信した比較情報、つまり、データストリーム(1)のデータ種別「A」のデータに関する比較情報が一時的に蓄積される。蓄積部422Aには、データストリーム(1)のデータ種別「A」のデータが蓄積される。なお、比較情報受信部43も同様に、データ種別毎に比較情報バッファ431A,431B,・・・,431X、および蓄積部432A,432B,・・・,432Xを有し、監視プローブ装置30が送信した比較情報とデータを蓄積する。
【0038】
比較部44A,44B,・・・,44Xはデータ種別毎に用意され、比較情報受信部42,43それぞれから対応するデータ種別の比較情報を読み出して比較し、比較情報が相違している場合にアラートを出力する。比較部44A,44B,・・・,44Xは、比較情報バッファ421A,421B,・・・,421Xと比較情報バッファ431A,431B,・・・,431Xそれぞれから対応する比較情報を取得し、その比較情報の組のタイムスタンプの時間差が所定の時間以内であるか否かを判定する。そして、対応する比較情報が取得できない場合、あるいは、タイムスタンプの時間差が所定の時間を超えている場合にアラートを出力する。また、対応する比較情報が取得できない場合もアラートを出力する。
【0039】
比較部44Aを例にとり、アラートを出力する処理をより具体的に説明する。
【0040】
まず、比較部44Aは、比較情報バッファ421A,431Aそれぞれから比較情報を古い順に取り出し、比較情報のチェックコードを比較する。
【0041】
同一のチェックコードを有する比較情報が見つからない場合、その比較情報を受信した時刻から所定の時間以上経過したか否か判定し、所定の時間以上経過していた場合は、タイムアウトのアラートを出力する。なお、比較情報に含まれるタイムスタンプを比較情報を受信した時刻として用いてもよい。
【0042】
同一のチェックコードを有する比較情報が比較情報バッファ421A,431Aそれぞれから見つかった場合、比較情報それぞれのタイムスタンプの差が所定の時間以内であるか否か判定し、タイムスタンプの差が所定の時間を超えていた場合は、時間差エラーのアラートを出力する。
【0043】
チェックコードが同一で、タイムスタンプの差が所定の時間以内の比較情報はマッチング成立と判断し、比較情報バッファ421A,431Aそれぞれからその比較情報を取り除く。そして、マッチングが成立した比較情報より前に受信した比較情報が比較情報バッファ421A,431Aに残っている場合、その比較情報に対応する比較情報は欠落したものと判断し、欠落エラーを出力する。
【0044】
マッチングが成立した比較情報より後に受信した比較情報が比較情報バッファ421A,431Aに存在する場合は、上記の処理を繰り返す。
【0045】
図4は、比較装置40の処理を説明する模式図である。図4(a)は図3(a),(d)、図4(b)は図3(b),(e)、図4(c)は図3(c),(f)の比較情報を比較する様子を示す。図4(a)〜(c)では、左側にデータストリーム(1)側(比較情報受信部42)の比較情報バッファ、右側にデータストリーム(2)側(比較情報受信部43)の比較情報バッファの内容を示している。
【0046】
図4(a)では、チェックコードが同一の対応する比較情報が取得でき、各比較情報のタイムスタンプの時間差も1000ミリ秒以内である。この場合、正常と判断してアラートは出力されない。
【0047】
図4(b)では、チェックコードが同一の対応する比較情報が取得できているが、下から3番目の比較情報[n+2]のタイムスタンプの時間差が1000ミリ秒を超えているので、時間差エラーのアラートが出力される。
【0048】
図4(c)では、データストリーム(1)側の下から2番目の比較情報[n+1]に対応するデータストリーム(2)側の比較情報が取得できないので、欠落エラーのアラートが出力される。図4(c)に示す例では、データストリーム(1)の下から3番目の比較情報[n+2]に対応するデータストリーム(2)側の比較情報が取得できたときに、データストリーム(2)側の、データストリーム(1)側の比較情報[n+1]に対応する比較情報が欠落したと判断する。
【0049】
また、図示していないが、どちらかのデータストリームの比較情報が比較情報バッファに蓄積されてから、所定の時間以上経過しても、対応する比較情報が別のデータストリーム側から取得できない場合、タイムアウトのアラートが出力される。
【0050】
図5は、比較装置40がデータの相違部分を表示するための変化データ取り出し部45を示す図である。変化データ取り出し部45は、比較部44A,44B,・・・,44Xが相違していると判定した比較情報に対応するデータを各蓄積部422A,432Aから読み出し、読み出したデータ間の相違部分を表示する。蓄積部422A,422B,・・・,422Xがデータにタイムスタンプを関連付けて蓄積することで、比較情報に対応するデータを容易に検索することができる。図6に相違部分を表示した例を示す。
【0051】
次に、比較監視システムの処理の流れについて説明する。
【0052】
まず、監視プローブ装置20,30それぞれが変換前後のデータストリームを取得する。監視プローブ装置20が変換前のデータストリーム(1)を取得し、監視プローブ装置30が変換後のデータストリーム(2)を取得する。
【0053】
続いて、監視プローブ装置20のパケット解析部21がパケットをデータ種別毎に分類し、対応する比較情報生成部22A,22B,・・・,22Xに送信する。監視プローブ装置30のパケット解析部31も同様の処理を行う。以下、監視プローブ装置30において行われる同様の処理については説明を省略する。
【0054】
続いて、結合部221A,221B,・・・,221Xがパケットを結合してデータを再構成し、チェックコード生成部222A,222B,・・・,222Xがデータのチェックコードを生成する。
【0055】
そして、変化検出部223A,223B,・・・,223Xがチェックコードが変化したか否かを調べることにより、比較対象のデータであるか否か判定する。比較対象のデータでない場合は、そのデータについての処理を終了する。本実施の形態では、繰り返して送信されるデータの送信回数の違いを無視して相関性を比較監視するために、データ種別毎にチェックコードが変化した場合、つまりデータが変化した場合を比較対象のデータとする。例えば、データストリーム(1)では1分間に3回送信されたデータがデータストリーム(2)では1分間に2回しか送信されない場合でも、どちらも比較対象となるデータは最初の1つである。
【0056】
比較対象のデータの場合、比較情報生成部22A,22B,・・・,22Xは、再構成したデータおよびチェックコードとタイムスタンプを含む比較情報を比較装置40へ送信し、比較装置40は、受信した比較情報を比較情報バッファ421A,・・・,421Xに、受信したデータを蓄積部422A,422B,・・・,422Xに蓄積する。
【0057】
そして、比較部44A,44B,・・・,44Xは、比較情報バッファ421A,・・・,421X、比較情報バッファ431A,・・・,431Xそれぞれから比較情報を読み出して比較し、比較情報に相違を検出した場合は、アラートを出力するとともに、本実施の形態では、相違を検出した比較情報に対応するデータを比較情報受信部42,43それぞれから読み出して相違部分を比較表示する。
【0058】
また、本実施の形態における比較監視システムは、監視プローブ装置20,30が入力したパケットのタイムスタンプを比較して、一方のデータストリームが停止しているか否か判定する。具体的には、監視プローブ装置20,30は、データ種別毎に、最後に入力したパケットのタイムスタンプを最終タイムスタンプとして取得して比較装置40に送信する。最終タイムスタンプはパケットを取得すると更新される。比較装置40は、監視プローブ装置20,30それぞれから受信した最終タイムスタンプを比較し、その差が所定の時間を超えていた場合にアラームを出力する。なお、データストリームの帯域を比較してデータストリームの停止を判定してもよい。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態によれば、監視プローブ装置20,30それぞれが取得したデータの内容からチェックコードを算出し、チェックコードの値が直前に生成したチェックコードと異なる場合に、そのチェックコードとデータのタイムスタンプを含む比較情報を比較装置40へ送信し、比較装置40は監視プローブ装置20,30それぞれから受信した比較情報を比較し、比較情報に相違が検出された場合にアラートを出力することにより、同じチェックコードが連続した場合、つまり同じデータを連続して受信した場合には、比較処理を行わないので、データの送信回数の違いを無視してデータストリーム間の相関性を比較監視することができる。
【0060】
本実施の形態によれば、比較装置40がデータを直接比較せず、データの内容から算出したチェックコードを比較するので、データ量にばらつきがある場合でも、比較装置40の比較処理の処理量のバラツキを抑制することができる。
【0061】
本実施の形態によれば、パケット解析部21が入力したパケットをデータ種別毎に分類し、データ種別毎に比較情報生成部22A,22B,・・・,22Xを有することにより、データストリーム間で出現するデータの順番が異なる場合でも、データの相関性を比較監視することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、データストリーム変換部10が入力したデータの送信回数を減らす処理を行う場合について説明したが、データストリーム変換部10が入力したデータの送信回数を増やす場合でも、データストリーム間の相関性を比較監視することができる。
【0063】
本実施の形態では、変化検出部がチェックコードの変化点を検出することで比較対象のデータを検出したが、変化検出部の判定条件は、データストリーム変換部10の仕様に合わせて変更できる。例えば、データストリーム変換部10が音声データの無音部分を削除する処理を行う場合、変化検出部が無音部分を検出し、無音部分以外のデータを比較対象のデータとして、そのデータの内容から生成したチェックコードを比較装置40に送信することで比較監視することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
10…データストリーム変換部
20,30…監視プローブ装置
21,31…パケット解析部
22A,22B,22X,32A,32B,32X…比較情報生成部
221A,221B,…結合部
222A,222B,222X,322A,322B,322X…チェックコード生成部
223A,223B,223X,323A,323B,323X…変化検出部
40…比較装置
42,43…比較情報受信部
421A,421B,421X,431A,431B,431X…比較情報バッファ
422A,422B,422X,432A,432B,432X…蓄積部
44A,44B,44X…比較部
45…変化データ取りだし部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の伝送路からデータを取得する第1の監視プローブ装置、第2の伝送路からデータを取得する第2の監視プローブ装置、前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれが取得したデータのうち所定のデータが同一であるか否か比較する比較装置を備えた比較監視システムであって、
前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれは、
伝送路からデータを取得する取得手段と、
取得した前記データの内容からチェックコードを生成するチェックコード生成手段と、
前記チェックコードの値が直前に生成したチェックコードの値と異なる場合に当該チェックコードと前記データのタイムスタンプを含む比較情報を前記比較装置に送信する送信手段と、を有し、
前記比較装置は、
前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれから受信した前記比較情報をそれぞれ蓄積する第1及び第2の比較情報バッファと、
前記第1及び第2の比較情報バッファそれぞれから前記比較情報に含まれる前記チェックコードの値が一致する前記比較情報の組を検索し、当該比較情報の組に含まれるタイムスタンプの時間差が所定の時間を超える場合にアラートを出力する比較手段と、を有すること
を特徴とする比較監視システム。
【請求項2】
前記比較手段は、前記比較情報を受信した時刻から所定の時間以内に、当該比較情報のチェックコードの値と一致する前記比較情報を検索できない場合にアラートを出力することを特徴とする請求項1記載の比較監視システム。
【請求項3】
前記第1及び第2の伝送路には複数の種別のデータが伝送されるものであって、
前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれは、
取得した前記データを種別毎に分類する分類手段と、
種別毎に前記チェックコード生成手段及び前記送信手段を有し、
前記比較装置は、
種別毎に前記比較手段を有すること
を特徴とする請求項1又は2記載の比較監視システム。
【請求項4】
前記第1及び第2の監視プローブ装置は、
一番最後に取得した前記データのタイムスタンプを最終タイムスタンプとして取得し、前記比較装置に送信する最終タイムスタンプ取得手段を有し、
前記比較装置は、
前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれから受信した前記最終タイムスタンプの時間差が所定の時間を超える場合にアラートを出力する最終タイムスタンプ比較手段を有すること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の比較監視システム。
【請求項5】
前記チェックコード生成手段は、前記第1及び第2の伝送路それぞれから取得する前記データ間の一部に存在する既知の相違箇所については、当該相違箇所を同一に変更した後で前記チェックコードを生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の比較監視システム。
【請求項6】
前記送信手段は、前記比較情報とともに当該比較情報に対応する前記データを前記比較装置に送信し、
前記比較装置は、
前記比較手段がアラートを出力する場合に前記第1及び第2の監視プローブ装置から受信した前記データ間の相違部分を表示する表示手段を有すること
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の比較監視システム。
【請求項7】
第1の伝送路からデータを取得する第1の監視プローブ装置、第2の伝送路からデータを取得する第2の監視プローブ装置、前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれが取得したデータのうち所定のデータが同一であるか否か比較する比較装置による比較監視方法であって、
前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれによる、
伝送路からデータを取得するステップと、
取得した前記データの内容からチェックコードを生成するステップと、
前記チェックコードの値が直前に生成したチェックコードの値と異なる場合に当該チェックコードと前記データのタイムスタンプを含む比較情報を前記比較装置に送信するステップと、を有し、
前記比較装置による、
前記第1及び第2の監視プローブ装置それぞれから受信した前記比較情報を第1及び第2の比較情報バッファそれぞれに蓄積するステップと、
前記第1及び第2の比較情報バッファから前記比較情報に含まれる前記チェックコードの値が一致する前記比較情報の組を検索し、当該比較情報の組に含まれるタイムスタンプの時間差が所定の時間を超える場合にアラートを出力するステップと、を有すること
を特徴とする比較監視方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−244277(P2011−244277A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115587(P2010−115587)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(500197143)株式会社NTTぷらら (4)
【出願人】(398035604)株式会社トラフィック・シム (8)
【出願人】(399035766)エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 (321)
【Fターム(参考)】