説明

毛髪処理剤

【課題】優れた脱色力を有し、また毛髪の色調を明るく良好な色合いにむらなく染め上げることができる二剤型、又は三剤型の染毛剤又は脱色剤を得る。
【解決手段】アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤を混合して用いる染毛剤又は脱色剤であって、混合後に(A)ベンジルアルコール等の浸透促進能を有する有機溶剤、(B)ホスホン酸系等の特定のキレート剤、(C)モノエタノールアミン等のアルカリ剤(D)過酸化水素及び(E)水を含有し、pH8〜13となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた脱色力を有し、また毛髪の色調を明るく良好な色合いにむらなく染め上げることができる二剤型、又は三剤型の毛髪処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の脱色や染色には、アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤として過酸化水素を含有する第2剤よりなる二剤型の脱色剤や永久染毛剤が広く利用されている。第1剤のアルカリ剤は、脱色及び染色効果を高め、また酸化剤の働きを活性化して毛髪中のメラニン顆粒の酸化分解を進行させて、明るい色調を得るために配合されるものである。毛髪を地色より明るい色調に脱色・染色するためには、十分な脱色力が必要とされるが、毛髪脱色力は一般にアルカリ量に依存するため、このような目的で使用する場合には、特に十分なアルカリ量が要求される。
【0003】
従来、一般にアルカリ剤としては、アンモニアが使用されている。しかしながら、アンモニアは刺激臭を有しているため、アンモニア量を減らす試みがなされている。例えば、浸透促進能を有する有機溶剤を用いる(特許文献1〜3参照)方法が提案されている。しかし、浸透促進能を有する有機溶剤を用いる方法では、毛髪を十分に明るい色合いに脱色するのが必ずしも容易でない。
【特許文献1】特開平11-29443号公報
【特許文献2】特開2002-193771号公報
【特許文献3】特開2002-193773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、優れた脱色力を有し、また毛髪の色調を明るく良好な色合いにむらなく染め上げることができる毛髪処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤を混合して用いる脱色剤や染毛剤において、浸透促進能を有する有機溶剤とともに特定のキレート剤を用いると上記目的を達成できることを見出して本発明を完成した。
【0006】
本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤を混合して用いる組成物であって、混合後において、次の成分(A)〜(E) を含有し、pHが8〜13である毛髪処理剤を提供するものである。
【0007】
(A) 25℃におけるオクタノール−水−分配係数(logP)が0.3〜6であり、かつ分子量が200以下である有機溶剤、1〜70重量%
(B)アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、メチレングリシン二酢酸、ニトリロトリ酢酸、アスパラギン酸二酢酸、グルタミン酸二酢酸及びエチレンジアミン二コハク酸から選ばれるキレート能を有する酸又はその塩、0.01〜2.5重量%(酸として)
(C) アルカリ剤、0.1〜10重量%
(D) 過酸化水素、0.1〜12重量%
(E) 水、20〜80重量%
【発明の効果】
【0008】
本発明の二剤型、又は三剤型の毛髪処理剤、すなわち染毛剤又は脱色剤は、優れた脱色力を有し、また毛髪の色調を明るく良好な色合いにむらなく染め上げることができる。また、優れた脱色力を示すので、アンモニア量を低減することにより、刺激臭を緩和することもできる。さらに、染毛又は脱色剤の第1剤と第2剤を混合したときの酸素ガス発生速度を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
成分(A)の25℃におけるオクタノール−水−分配係数(logP)が0.3〜6であり、かつ分子量が200以下である有機溶剤は、ベンジルアルコール等、直接染料の浸透促進剤として知られているものを包含する。ここで、logPとは、オクタノール相と水相の間での物質の分配のための尺度であって下式で定義されるものをいい、A.レオ,C.ハンシュ,D.エルキンス,ケミカルレビューズ,71巻,6号(1971)にその計算値の例が記載されている。なお本発明では25℃において、化審法化学物質改定第4版「化学物質の分配係数(1-オクタノール/水)測定法について<その1>」(化学工業日報社刊)記載の方法で測定した値をいう。
【0010】
logP=log([物質]Octanol/[物質]Water
〔式中、[物質]Octanolはオクタノール相中の物質のモル濃度を、[物質]Waterは水相中の物質のモル濃度を示す。〕
成分(A)のlogPは、脱色成分であるアルカリ剤と過酸化水素を効率的に毛髪中で働かせるという観点より、0.3〜6であることが必要であり、0.5〜3、特に0.7〜1.3が好ましい。また、成分(A)の分子量は、同じ観点より、200以下であることが必要であり、185以下、特に160以下が好ましい。また、成分(A)の分子量は、50以上であることが好ましい。このような成分(A)としては、分子内に水酸基を1つ有する有機溶剤が好ましく、例えばベンジルアルコール(25℃におけるlogP=1.1;以下同様)、2-ベンジルオキシエタノール(1.2)、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル(0.8)、ジエチレングリコールモノn-ブチルエーテル(0.9)、n-ブタノール(0.8)、2-フェノキシエタノール(1.2)、2−フェニルエタノール(1.2)、1-フェノキシ-2-プロパノール(1.1)、シクロヘキサノール(1.2)等が挙げられ、なかでもベンジルアルコール及び2-ベンジルオキシエタノールが好ましい。
【0011】
これらの有機溶剤は、成分(A)として2種以上を使用してもよく、第1剤及び第2剤の少なくとも一方に含有される。またその含有量は、十分な脱色・染色効果の点から、全組成〔第1剤及び第2剤(三剤型の場合には更に第3剤)の混合後の全組成。以下同じ〕中の1〜70重量%とされるが、2〜50重量%が好ましく、更には3〜40重量%、特に5〜25重量%が好ましい。
【0012】
成分(B)は、キレート剤として知られているものであり、脱色力の向上に寄与する。その結果、染毛剤の場合には染色力が向上する。また、本成分は、第1剤と第2剤を混合したときのガス発生速度の抑制にも寄与する。本成分は、酸性領域での過酸化水素の安定化効果は知られているが、本発明のような中性からアルカリ性領域での脱色力向上効果や酸素ガス発生速度抑制効果は知られていない。
【0013】
これらの化合物は、成分(B)として2種以上を併用してもよく、第1剤及び第2剤の少なくとも一方に含有される。またその含有量は、十分な脱色・染色効果の点から、全組成中の0. 01〜2.5重量%(酸に換算した場合の量、以下同様)であり、好ましくは0.03〜1.5重量%、より好ましくは0.06〜1重量%である。成分(B)の具体例としては、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)5Na塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)5Na塩、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)7Na塩、メチレングリシン二酢酸、ニトリロトリ酢酸、アスパラギン酸二酢酸、グルタミン酸二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸が挙げられる。
【0014】
成分(C)のアルカリ剤としては、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノブタノール等のアルカノールアミン、グアニジン;アンモニア等が挙げられ、なかでもアルカノールアミン、特にモノエタノールアミンが好ましい。
【0015】
これらのアルカリ剤は、成分(C)として2種以上を併用してもよく、その含有量は、十分な脱色・染色効果の点、及び頭皮への刺激低減の点から、全組成中の0.1〜10重量%とされるが、0.5〜6重量%、特に1〜3重量%が好ましい。本発明の染色剤組成物は、アルカリ剤としてアンモニアを用いなくても、十分な脱色・染色効果が得られるため、この場合、アンモニアによる刺激臭が無く、使用中に不快感を生じないので好ましい。なお、アンモニアを用いれば、更に強力な脱色・染色効果を得ることができる。モノエタノールアミンとアンモニア(炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の塩由来のものを含む)を併用する場合、アンモニア/モノエタノールアミン(モル比)が1以下であるのが好ましく、更には0.5以下、特に0.3以下、とりわけ0.1以下であるのが好ましい。
【0016】
成分(D)の過酸化水素の含有量は、十分な脱色・染色効果及び頭皮の刺激低減の点から、全組成中の0.1〜12重量%とされるが、1〜9重量%、特に2〜6重量%が好ましい。
【0017】
成分(E)の水の含有量は、全組成中の20〜80重量%とされるが、25〜70重量%、特に30〜65重量%が好ましい。水が20重量%以上であると染色力が向上し、80重量%以下であると脱色成分であるアルカリ剤と過酸化水素が毛髪中で有効に作用し、脱色力が向上する。
【0018】
本発明の毛髪処理剤のアルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤の混合比は、第1剤:第2剤(重量比)が1:0.5〜1:3の範囲が、実用性の点で好ましい。
【0019】
また第1剤は25℃でpHが8〜13.5、第2剤はpHが2〜5であるのが好ましく、第1剤と第2剤を混合した毛髪処理剤のpHは8〜13であるが、脱色・染色効果と皮膚刺激性の点でpH8〜12、特にpH8〜11が好ましい。
【0020】
本発明の毛髪処理剤は、更に成分(F)として25℃におけるオクタノール−水−分配係数(logP)が−5以上0.3未満の低級アルコール、多価アルコール及び多価アルコールの低級アルキルエーテルから選ばれるアルコール類を使用すると、成分(A)の含有量を高くすることができ好ましい。このような成分(F)としては、エタノール(25℃におけるlogP=-0.3;以下同様)、イソプロパノール(0.1)等の炭素数3以下の低級アルコール;グリセリン(-2.2)、エチレングリコール(-1.4)、ジエチレングリコール(-1.3)、プロピレングリコール(-1.1)、1,3-ブタンジオール(-1.4)、ヘキシレングリコール(-0.7)等の多価アルコール;エチルセロソルブ(-0.2)、エチルカルビトール(-0.2)等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが挙げられる。
【0021】
これらの化合物は成分(F)として2種以上を併用してもよい。成分(F)は、成分(A)に対し重量比(F)/(A)を0.05〜0.5とするとアルカリ剤と過酸化水素が毛髪内でより効率的に作用し好ましい。
【0022】
また、本発明の毛髪処理剤は、毛髪の感触を向上させるため、成分(G)高級脂肪アルコールを含有するのが好ましい。このような成分(G)としては、炭素数12〜22の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖の一価アルコール、例えばミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられ、セチルアルコール、オレイルアルコール等が好ましい。飽和直鎖高級脂肪アルコールを用いて乳化系にすると、クリーム状にできる。
【0023】
高級脂肪アルコールは、成分(G)として2種以上を使用でき、またその含有量は、全組成中の0.1〜20重量%、特に0.2〜10重量%が好ましい。
【0024】
本発明の毛髪処理剤は、高級脂肪アルコールを乳化し、また系を増粘させるため、非イオン界面活性剤を含有するのが好ましい。この場合、HLBの異なる2種以上の非イオン界面活性剤、すなわち、成分(H):HLB10〜20の親水性非イオン界面活性剤、及び成分(I):HLB10未満の親油性非イオン界面活性剤を併用するのが、乳化安定化及び系の増粘のために好ましい。
【0025】
成分(H)の親水性非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオシキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;アルキルグリコシド等でHLB10〜20のものが挙げられる。
【0026】
成分(I)の親油性非イオン界面活性剤としては、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルでHLB1〜10のものや、ポリオキシエチレンポリプロピレンアルキルエーテル、アルキルグリセリルエーテル、アルキルグリセリルペンタエリスリトイルエーテル、アルキルジグリセリルエーテル、アルキルトリグリセリルエーテル等でHLB10未満のものが挙げられる。特に、イソステアリルグリセリルエーテル、イソステアリルジグリセリルエーテル及びイソステアリルグリセリルペンタエリスリトイルエーテルが好ましい。
【0027】
成分(H)と成分(I)は、平均のHLBが8〜12、好ましくは9〜11になるように、重量比で1/10〜10/1の割合で、第1剤と第2剤からなる全組成中に合計で1〜60重量%、特に2〜30重量%となるように含有させると、第1剤、第2剤のいずれか一方又は両方が液状になり、かつ混合すると増粘して毛髪への塗布時に液だれし難いものとなる。ここで、HLB値は、Griffinの方法により求めたものをいい、また、液状とは、25℃、B型回転粘度計で測定した粘度が3000mPa・s以下、好ましくは1000mPa・s以下の状態をいう。第1剤と第2剤の混合後の粘度は、1000〜20000mPa・s、特に5000〜15000mPa・sとなるのが好ましい。
【0028】
本発明の毛髪処理剤には、更に過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩を加えることで、脱色効果をより強力なものとすることができる。これら過硫酸塩は、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、全組成中の1〜30重量%、特に3〜15重量%とすることが好ましい。過硫酸塩を使用する場合は、別途第3剤として、過硫酸塩造粒物からなる粉末状酸化剤の形態に調製するのが好ましい。
【0029】
本発明の毛髪処理剤は、単に毛髪の脱色を目的とする場合は、酸化染料中間体又は直接染料を含有しないで毛髪脱色剤(ヘアブリーチ)として使用されるが、毛髪の染色を目的とする場合は、更に酸化染料中間体又は直接染料を第1剤中に含有させ、染毛剤として使用される。
【0030】
かかる酸化染料中間体としては、通常染毛剤に使用されている公知の顕色物質及びカップリング物質を用いることができる。顕色物質としては、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、N-メトキシエチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2-(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラフェニレンジアミン、4,4′-ジアミノジフェニルアミン、1,3-ビス(N-(2-ヒドロキシエチル)-N-(4-アミノフェニル)アミノ)-2-プロパノール、PEG-3,3,2′-パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-アミノメチル-4-アミノフェノール、2-(2-ヒドロキシエチルアミノメチル)-4-アミノフェノール、オルトアミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、2-アミノ-5-アセタミドフェノール、3,4-ジアミノ安息香酸、5-アミノサリチル酸、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-4-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-1-(4′-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾールとこれらの塩等が挙げられる。
【0031】
また、カップリング物質としては、例えばメタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチルアミノ)アニソール、2,4-ジアミノ-5-メチルフェネトール、2,4-ジアミノ-5-(2-ヒドロキシエトキシ)トルエン、2,4-ジメトキシ-1,3-ジアミノベンゼン、2,6-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、2,4-ジアミノ-5-フルオロトルエン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、メタアミノフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、2-メチル-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2,4-ジクロロ-3-アミノフェノール、2-クロロ-3-アミノ-6-メチルフェノール、2-メチル-4-クロロ-5-アミノフェノール、N-シクロペンチル-メタアミノフェノール、2-メチル-4-メトキシ-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2-メチル-4-フルオロ-5-アミノフェノール、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、4-クロロレゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、4-ヒドロキシインドール、5-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、7-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,4-メチレンジオキシフェノール、2-ブロモ-4,5-メチレンジオキシフェノール、3,4-メチレンジオキシアニリン、1-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメトキシ-3,5-ジアミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-メチルアミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2,6-ジアミノピリジンとこれらの塩等が挙げられる。
【0032】
顕色物質とカップリング物質は、それぞれ2種以上を併用してもよく、またそれらの含有量はそれぞれ、全組成中の0.01〜5重量%、特に0.1〜4重量%が好ましい。
【0033】
また、直接染料としては、酸性染料、塩基性染料、分散染料、反応性染料等を用いることができる
塩基性染料としては、例えばベーシックブルー7(C.I.42595)、ベーシックブルー16(C.I.12210)、ベーシックブルー22(C.I.61512)、ベーシックブルー26(C.I.44045)、ベーシックブルー99(C.I.56059)、ベーシックブルー117、ベーシックバイオレット10(C.I.45170)、ベーシックバイオレット14(C.I.42515)、ベーシックブラウン16(C.I.12250)、ベーシックブラウン17(C.I.12251)、ベーシックレッド2(C.I.50240)、ベーシックレッド12(C.I.48070)、ベーシックレッド22(C.I.11055)、ベーシックレッド51、ベーシックレッド76(C.I.12245)、ベーシックレッド118(C.I.12251:1)、ベーシックオレンジ31、ベーシックイエロー28(C.I.48054)、ベーシックイエロー57(C.I.12719)、ベーシックイエロー87、ベーシックブラック2(C.I.11825);特公昭58-2204号公報、特開平9-118832号公報等に記載されている、芳香環の側鎖に4級化窒素原子を含有する塩基性染料;特表平10-502946号公報、特開平10-182379号公報、特開平11-349457号公報等に記載されている塩基性染料などが挙げられる。
【0034】
また酸性染料及び塩基性染料以外の直接染料としては、例えば2-アミノ-3-ニトロフェノール、2-アミノ-4-ニトロフェノール、2-アミノ-5-ニトロフェノール、4-アミノ-3-ニトロフェノール、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、3-ニトロパラヒドロキシエチルアミノフェノール、2-ニトロパラフェニレンジアミン、4-ニトロオルトフェニレンジアミン、4-ニトロメタフェニレンジアミン、6-ニトロオルトトルイジン、6-ニトロパラトルイジン、ヒドロキシエチル-2-ニトロパラトルイジン、N,N′-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロパラフェニレンジアミン、2-クロロ-5-ニトロ-N-ヒドロキシエチルパラフェニレンジアミン、2-ニトロ-5-グリセリルメチルアニリン、3-メチルアミノ-4-ニトロフェノキシエタノール、N-エチル-3-ニトロPABA、ピクラミン酸、2-ヒドロキシエチルピクラミン酸、4-ニトロフェニルアミノエチルウレア、紫色201号(C.I.60725)、ソルベントイエロー44(C.I.56200)、ディスパーズレッド17(C.I.11210)、ディスパーズバイオレット1(C.I.61100)、ディスパーズバイオレット4(C.I.61105)、ディスパーズブルー3(C.I.61505)、ディスパーズブルー7(C.I.62500)、HCブルーNo.2、HCブルーNo.8、HCオレンジNo.1、HCオレンジNo.2、HCレッドNo.1、HCレッドNo.3、HCレッドNo.7、HCレッドNo.8、HCレッドNo.10、HCレッドNo.11、HCレッドNo.13、HCレッドNo.16、HCバイオレットNo.2、HCイエローNo.2、HCイエローNo.5、HCイエローNo.6、HCイエローNo.7、HCイエローNo.9、HCイエローNo.12等が挙げられる。
【0035】
直接染料は、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、全組成中の0.001〜5重量%、特に0.01〜4重量%が好ましい。また、酸化染料中間体と直接染料を併用することもできる。
【0036】
本発明の毛髪処理剤には、香料を配合することもできる。本発明の毛髪処理剤はアルカリ剤としてアンモニアを用いなくても、十分な脱色・染色効果が得られることから、調香の自由度が大きくなり、フルーティーな香り、フローラルな香り等の様々な香りが付けやすくなるという利点を有する。
【0037】
本発明の毛髪処理剤には、上記成分以外に、通常化粧品分野で用いられる成分を、目的に応じて加えることができる。このような任意成分としては、天然又は合成の高分子化合物、脂肪酸、油脂、炭化水素、シリコーン誘導体、成分(H)及び(I)以外の非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アミノ酸誘導体、蛋白誘導体、防腐剤、酸化防止剤、植物抽出物、ビタミン類、紫外線吸収剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0038】
本発明の毛髪処理剤は、現在広く利用されている酸化型毛髪脱色剤又は染色剤と同様に、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤よりなる二剤型として、又は脱色力向上のため、更に過硫酸塩等の造粒物からなる粉末状酸化剤(第3剤)を組み合わせてなる三剤型として提供される。これらの第1剤及び第2剤の剤形は、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、ムース状などとすることができ、エアゾール形態とすることもできる。また、半密閉容器に収納され、容器内で第1剤と第2剤(又は更に第3剤)を混合し、吐出口から混合液を吐出させて毛髪に塗布する形態としてもよい。本発明の毛髪処理剤は、混合後の酸素ガス発生速度を抑制できるので、混合後、半密閉容器内に混合液を放置してしまったような場合にも、ガス発生による容器の変形、破裂、混合液の流出等が起きるまでの時間が長く、個人向けの製品として極めて有用である。
【0039】
本発明の毛髪処理剤を用いて毛髪を脱色又は染色処理するには、例えば本発明の毛髪処理剤の第1剤と第2剤(又は更に第3剤)を混合した後、15〜45℃の温度で毛髪に適用し、5〜50分間、好ましくは10〜30分間の作用時間をおいて水ですすぎ、次いでシャンプーした後、乾燥すればよい。
【実施例】
【0040】
表1に示すブリーチ第1剤(1-1)と表2に示すブリーチ第2剤(2-1)〜(2-11)を、常法に従って調製し、ブリーチ第1剤をブリーチ第2剤と重量比2:3で混合した(混合後のpHは約10)。得られた表2に示す混合物(3-1〜3-11)の毛髪脱色力を比較し、結果を表3に示した。脱色力の評価としてはミノルタCR-200で処理前・後の毛髪のb値を測定し、Δb値によって脱色力を評価した。
Δb = (処理後の毛髪のb値) − (処理前の毛髪のb値)
このΔb値が大きいほど脱色力が優れている。
本発明の成分(B)を含有しない場合(2-10)やブリーチ第2剤に配合することが公知のエチレンジアミン四酢酸を含有する場合(2-11)に比べ、本成分(B)を含有した第2剤を使用した場合(2-1〜2-9)は明らかに脱色力が優れていた。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤を混合して用いる毛髪処理剤であって、混合後において、次の成分(A)〜(E) を含有し、pHが8〜13である毛髪処理剤。
(A) 25℃におけるオクタノール−水−分配係数(logP)が0.3〜6であり、かつ分子量が200以下である有機溶剤、1〜70重量%
(B)アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、メチレングリシン二酢酸、ニトリロトリ酢酸、アスパラギン酸二酢酸、グルタミン酸二酢酸及びエチレンジアミン二コハク酸から選ばれるキレート能を有する酸又はその塩、0.01〜2.5重量%(酸として)
(C) アルカリ剤、0.1〜10重量%
(D) 過酸化水素、0.1〜12重量%
(E) 水、20〜80重量%
【請求項2】
更に成分(F)25℃におけるオクタノール−水−分配係数(logP)が0.3未満の低級アルコール、多価アルコール及び多価アルコールの低級アルキルエーテルから選ばれるアルコール類を成分(A)に対し重量比(F)/(A)で0.05〜0.5含有する請求項1記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
更に高級脂肪アルコールを含有する請求項1又は2記載の毛髪処理剤
【請求項4】
更に非イオン界面活性剤を含有する請求項1〜3いずれか記載の毛髪処理剤。
【請求項5】
更に過硫酸を含有する第3剤を含む請求項1〜4いずれか記載の毛髪処理剤。

【公開番号】特開2006−56835(P2006−56835A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241160(P2004−241160)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】