説明

毛髪化粧料

【課題】損傷(ダメージ)を受けた毛髪に対しても、うるおいのあるツヤ、なめらかな手触りを付与し、しかも毛先のまとまりが持続すると共に、べたつかないような毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】少なくとも(A)アクリル系ポリマーおよび(B)シリコーン類を配合した毛髪化粧料であり、毛髪化粧料全体に占める割合で、(A)アクリル系ポリマーは、0.3〜9.0%(「質量%」の意味、以下同じ)、前記シリコーン類は、(a)ジメチコノール:1.0〜30.0%、(b)ジメチコン:1.0〜30.0%および(c)シクロメチコン:1.0〜30.0%を夫々含有するものであり、且つ(a)ジメチコノールの含有量と、(b)ジメチコンおよび(c)シクロメチコンの合計含有量との質量割合[(a):{(b)+(c)}]が5:1〜1:8である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、損傷(ダメージ)を受けた毛髪に、ツヤ・すべり・毛先のまとまりを付与することのできる毛髪化粧料に関するものであり、特に毛髪のべたつきを防止しつつ、毛先のまとまり感を持続させることのできる毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
髪のおしゃれを楽しむ方法として、カラーリング、パーマ、コテ処理、アイロン処理等、毛髪に化学的処理や熱処理を用いる方法が汎用されているが、それらを使用することによって、ツヤや毛先のまとまりがなくなる、すべりが悪くなる等、毛髪に深刻なダメージを与えることが分かっている。
【0003】
そのようなダメージの毛髪に、ツヤ・毛先のまとまり・指通りなどを与えるためのケアができるものとして、洗い流さないトリートメントや、毛髪修復効果を持つ成分を配合したスタイリング料(毛髪化粧料)等が広く用いられている。
【0004】
こうした毛髪化粧料としては、シリコーン類やグリセリン等を配合したものが広く用いられている(例えば、特許文献1)。しかしながら、こうした成分を配合したものでは、毛髪がべたつくものが多く、またシリコーン類やグリセリン単体ではダメージ毛髪のツヤや指通りが改善されるものはあっても、毛先のまとまりが持続するものがなかった。
【0005】
一方、毛髪化粧料の外観的特徴をもたせ、或いは毛髪に自然なツヤや光沢を付与するために、パール顔料を配合した毛髪化粧料も用いられている(例えば、特許文献2)。
【0006】
また毛髪化粧料には、増粘剤の一つとして、アクリル系ポリマーが配合されることもある。こうした増粘剤で調整した増粘液は曳糸性・粘着性を示さないため、べたつかず、用途に適した粘度に調節することが可能となるのであるが、この増粘剤単体ではツヤや毛先のまとまりが付与できない。
【特許文献1】特開2007−15954号公報
【特許文献2】特開2004−18413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこうした状況の下でなされたものであり、その目的は、損傷(ダメージ)を受けた毛髪に対しても、うるおいのあるツヤ、なめらかな手触り感を付与し、しかも毛先のまとまりが持続すると共に、べたつかないような毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成することができた本発明の毛髪化粧料とは、少なくとも(A)アクリル系ポリマーおよび(B)シリコーン類を配合した毛髪化粧料であり、毛髪化粧料全体に占める割合で、(A)アクリル系ポリマーは、0.3〜9.0%(「質量%」の意味、以下同じ)、前記(B)シリコーン類は、(a)ジメチコノール:1.0〜30.0%、(b)ジメチコン:1.0〜30.0%および(c)シクロメチコン:1.0〜30.0%を夫々含有するものであり、且つ(a)ジメチコノールの含有量と、(b)ジメチコンおよび(c)シクロメチコンの合計含有量との質量割合[(a):{(b)+(c)}]が5:1〜1:8である点に要旨を有するものである。
【0009】
本発明の毛髪化粧料で用いるアクリル系ポリマーは、具体的なものとして、(アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマー、アクリル酸/アルキルコポリマー、(アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマーおよび(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)クロスポリマーの少なくともいずれかが挙げられる。
【0010】
本発明の毛髪化粧料には、必要によって、更に、(C)グリセリンを1.0〜30.0%の割合で配合したり、(D)無機粉体を0.01〜30.0%の割合で配合することも有用である。また(C)グリセリンを配合する場合には、前記(B)シリコーン類と(C)グリセリンとの質量割合[(B):(C)]が、20:1〜2:3であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、少なくとも(A)アクリル系ポリマーおよび(B)シリコーン類を配合すると共に、上記アクリル系ポリマーの配合割合を適切な量とし、且つシリコーン類を、(a)ジメチコノール:1.0〜30.0%、(b)ジメチコン:1.0〜30.0%および(c)シクロメチコン:1.0〜30.0%を夫々含有させると共に、これら各シリコーン類の質量割合[(a):{(b)+(c)}]を適切な範囲とすることによって、ダメージを受けた毛髪に対しても、うるおいのあるツヤ、なめらかな手触り感を付与し、しかも毛先のまとまりが持続すると共に、べたつかないような毛髪化粧料が実現できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明者は、上記のような特性を発揮する毛髪化粧料を実現するべく、様々な角度から検討した。その結果、少なくとも(A)アクリル系ポリマーおよび(B)シリコーン類を適切な量で配合すると共に、上記シリコーン類として種類の異なる(a)ジメチコノール、(b)ジメチコンおよび(c)シクロメチコンを用い、その含有量およびそれらの質量割合を適切に調整した毛髪化粧料では、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
アクリル系ポリマー[上記(A)成分]は、毛髪化粧料の毛髪への塗布感を良好にすると共に、毛髪化粧料に適度の粘性を付与することによって毛髪化粧料の使用感を良好にする上で有用な成分である。こうした効果を発揮させるためには、上記アクリル系ポリマーは、毛髪化粧料全体に占める割合で、0.3%以上配合する必要がある。しかしながら、その配合量が過剰になって9.0%を超えると使用感が悪くなるばかりか、粘度が増大して塗布性が却って悪くなる。尚、アクリル系ポリマーの配合割合は、好ましくは0.3〜3.0%程度である。
【0014】
ところで、アクリル系ポリマーは増粘剤として、従来から用いられているものである。また、従来から用いられている増粘剤としては、アクリル系ポリマー以外にも、グアーガム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等も知られている。本発明者が検討したところによれば、これらの増粘剤のうち、特にアクリル系ポリマーを所定量配合したものでは、毛髪化粧料の塗布性や使用感が良好になることが判明したのである。
【0015】
本発明で用いるアクリル系ポリマーとしては、例えば(アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマー、アクリル酸/アルキルコポリマー、(アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマーおよび(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)クロスポリマーの少なくともいずれかが挙げられる。
【0016】
このうち、(アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマーは、メタクリル酸およびステアレス−20のエステルと、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの単純エステルとからなるモノマー1種以上との共重合体であり、具体的なものとして、「アキュリン22」(商品名:ローム・アンド・ハース株式会社製)が挙げられる。また(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマーは、メタクリル酸およびベヘネス−25のエステルと、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの単純エステルの中から選ばれた1種以上のモノマーとからなる共重合体であり、具体的なものとして、「アキュリン28」(商品名:ローム・アンド・ハース株式会社製)が挙げられる。上記アクリル酸/アルキルコポリマーは、アクリル酸アルキル(C1−4,C8)およびメタクリル酸アルキル(C1−4,C8)、アクリル酸およびメタクリル酸の中の2種以上の成分からなる共重合体であり、具体的なものとして、「アキュリン33A」(商品名:ローム・アンド・ハース株式会社製)が挙げられる。上記(アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマーは、ネオデカン酸ビニルとアクリル酸、メタクリル酸またはこれらの単純エステルからなるモノマー1種類以上との共重合体を、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものであり、具体的なものとして、「アキュリン38」(商品名:ローム・アンド・ハース株式会社製)が挙げられる。また、上記(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)クロスポリマー は、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの単純エステルからなるモノマー1種類以上と、メタクリル酸ステアレス20の共重合体を、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものであり、具体的なものとして、「アキュリン88」(商品名:ローム・アンド・ハース株式会社製)が挙げられる。
【0017】
尚、上記アクリル系ポリマーは、アルカリ剤で中和することによって増粘するものである。このとき用いるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ、アルギニン等の塩基性アミノ酸が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
一方、本発明で用いるシリコーン類は、毛髪に良好なツヤ感を付与すると共に、指通りを良好にする上で有用な成分である。こうしたシリコーン類は、従来の毛髪化粧料でも用いられている。しかしながら、従来の毛髪化粧料では、シリコーン類を配合することによってツヤ感や指通りは良好にできても、べたつくものが多く、また毛先のまとまりを良好に維持できるものではなかった。
【0019】
本発明者は、シリコーン類を配合したときに生じる不都合を解消するべく、更に検討した結果、シリコーン類として、(a)ジメチコノール、(b)ジメチコンおよび(c)シクロメチコンを選び、(a)ジメチコノールに対する、(b)ジメチコンおよび(c)シクロメチコンの質量割合[(a):{(b)+(c)}]が5:1〜1:8の範囲とすれば、ツヤ感や指通りは良好にしつつ、べたつき感を低減し、しかも毛先のまとまりをも良好に維持できることが判明したのである。
【0020】
本発明の毛髪化粧料においては、配合するシリコーン類を上記(a)〜(c)とすると共に、これらの質量割合を調整する必要があるが、シリコーン類を配合することによる効果を有効に発揮させるためには何れの成分も1.0%以上(毛髪化粧料に対する割合)含有させる必要がある。しかしながら、これらの含有量が過剰になって、少なくともいずれかの含有量が30%を超えると、毛先のまとまり感が却って悪くなる。
【0021】
本発明の毛髪化粧料で用いるシリコーン類である、(a)ジメチコノール、(b)ジメチコンおよび(c)シクロメチコン(シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン)は、例えば、東レ・ダウコーニング社製(以下、商品名):SH200C Fluidシリーズ、FZ−3232、BY11−007、BY11−026、BY11−014、1501 Fluid、1503 Fluid、SH245 Fluid、DC 345 Fluid、DC 246 Fluidや、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製(以下、商品名):TSF451シリーズ、YF3802A、TSF405、SF1258や、信越化学工業社製(以下、商品名):KF−96シリーズ、X―21シリーズ等が挙げられるが、これらのものに限定されるものではない。また、(a)ジメチコノール、(b)ジメチコンについては、その粘度が1〜1000000mPa・sであることが好ましい。
【0022】
本発明の毛髪化粧料には、必要によって、更にグリセリン[前記(C)成分]を配合することも有用であり、こうした成分を含有させることによって上記各特性を更に改善することができる。こうした効果を発揮させるためには、グリセリンの配合量は1.0%以上(毛髪化粧料全体に対する割合)とすることが好ましいが、過剰に含有させると毛髪の「べたつき」が増大するので、30%以下とすることが好ましい。
【0023】
本発明の毛髪化粧料にグリセリンを配合する場合には、ツヤと毛先のまとまりの持続性を調整するために、前記(B)シリコーン類と(C)グリセリンの質量割合も適切な範囲に調整することも有効である。こうした観点から、その質量割合[(B):(C)]は、20:1〜2:3であることが好ましい。
【0024】
本発明の毛髪化粧料には、必要によって無機粉体を含有させることも有用であり、こうした無機粉体を含有させることによって、毛髪表面のツヤ感を更に高めることができる。但し、こうした無機粉体を過剰に含有させることは感触が悪くなるので、その含有量は0.01〜30.0%(毛髪化粧料全体に対する割合)とすることが好ましい。尚、こうした無機粉体としては、雲母チタン、マイカ、酸化チタン、酸化第二鉄、酸化第三鉄、紺青、カーミン、ホウケイ酸等が非限定的に挙げられる。このうち、雲母チタンは、パール顔料として知られているものであり、毛髪化粧料に良好なパール光沢やジェルの感触を付与する上で有用である。
【0025】
本発明の毛髪化粧料には、上記成分以外にも毛髪化粧料に通常添加されるような成分(添加剤)を含有させることもできる。こうした添加剤としては、蛋白質類、アミノ酸類、紫外線吸収剤類、保湿剤類、油脂類、ラノリン類、高級アルコール類、フッ素系化合物類、シリコーン類、カチオン化ポリマー類、界面活性剤類(陽イオン界面活性剤類・陰イオン界面活性剤類・非イオン界面活性剤類・両性界面活性剤類)、増粘・ゲル化剤類、消臭剤類、防腐剤類、キレート剤類、pH調整剤・酸・アルカリ類、溶剤類、抗炎症剤類、香料、色素等を挙げることができ、これらを適宜配合することができる。また、本発明の毛髪化粧料は、日常的に毛髪を処理するために用いることができ、その剤型は、ジェル状のタイプが最適である。
【実施例】
【0026】
次に、実施例によって本発明をより具体的に示すが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0027】
[実施例1]
(ブリーチ処理毛の作製)
化学的処理を全く受けていない毛髪に下記のブリーチ処理をし、以下の評価に用いた。
【0028】
(ブリーチ処理)
トーナーブリーチパウダ−EX(粉末ブリーチ剤:中野製薬株式会社製)とキャラデコオキサイドEX06(過酸化水素系酸化剤:中野製薬株式会社製)を1:3(質量比)となるように混合したブリーチ剤を、毛髪に質量比(ブリーチ剤:毛髪)1:1の割合で塗布し、35℃、30分間の条件で処理した後、10質量%のSDS溶液(ドデシル硫酸ナトリウム溶液)によって洗浄し、その後乾燥した。
【0029】
下記表1に示す配合割合で各種毛髪化粧料(処方例1〜6)を調製し、上記ブリーチ処理した毛髪の毛束(4.0g、15cm)へ適量(0.3g)塗布し、下記の方法で毛髪化粧料の塗布感・使用感について評価した。
【0030】
(塗布感・使用感の評価方法)
専門パネラー10名により、「塗布感・使用感」について下記の5段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均値を求め、下記の基準で判定した。
[評価点]
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:悪い
1点:非常に悪い
[評価基準]
◎:4点以上
○:3点以上、4点未満
△:2点以上、3点未満
×:1点以上、2点未満
【0031】
その結果を、毛髪化粧料の処方例(処方例1〜6)と共に、下記表1に示す。表1の結果は、増粘性高分子の種類を変化させてべたつきの変化を調査したものであるが、アクリル系ポリマーを配合したものでは(処方例6)、良好な塗布感・使用感が得られていることが分かる。
【0032】
【表1】

【0033】
[実施例2]
下記表2に示す配合割合で各種毛髪化粧料(処方例7〜13)を調製し、実施例1と同様にブリーチ処理した毛髪の毛束(4.0g、15cm)へ適量(0.3g)塗布し、下記の方法で毛髪化粧料の使用感について評価した。
【0034】
(使用感の評価方法)
専門パネラー10名により、「使用感」について下記の3段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均値を求め、下記の基準で判定した。
[評価点]
3点:良い
2点:普通
1点:悪い
[評価基準]
○:2.5点以上
△:1.5点以上、2.5点未満
×:1.0点以上、1.5点未満
【0035】
その結果を、毛髪化粧料の処方例(処方例7〜13)と共に、下記表2に示す。表2の結果は、アクリル系ポリマーの配合量を変化させて粘性の変化を調査したものであるが、アクリル系ポリマーを0.3〜9.0質量%配合したものでは(処方例9〜12)、良好な粘性を発揮して良好な使用感が得られていることが分かる。
【0036】
【表2】

【0037】
[実施例3]
下記表3に示す配合割合で各種毛髪化粧料(処方例10,14〜19)を調製し、実施例1と同様にブリーチ処理した毛髪の毛束(4.0g、15cm)へ適量(0.3g)塗布し、毛髪化粧料の使用感について実施例2と同様にして評価した。
【0038】
その結果を、毛髪化粧料の処方例(処方例10,14〜19)と共に、下記表3に示す。表3の結果は、アクリル系ポリマーの種類および配合量を変えて粘性(使用感)の変化を調査したものであるが、いずれのアクリル系ポリマーを用いた場合でも、良好な使用感が得られていることが分かる。
【0039】
【表3】

【0040】
[実施例4]
下記表4に示す配合割合で各種毛髪化粧料(処方例20〜30)を調製し、実施例1と同様にブリーチ処理した毛髪の毛束(4.0g、15cm)へ適量(0.3g)塗布して毛髪を処理したときの「毛髪のツヤ感」、「べたつき感」、「毛先のまとまりの持続性」、および「指通り」について、下記の方法で評価をおこなった。
【0041】
(毛髪のツヤ感の評価方法)
専門パネラー10名により、「ツヤ感」について下記の5段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均値を求め、下記の基準で判定した。
[評価点]
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:悪い
1点:非常に悪い
[評価基準]
◎:4点以上
○:3点以上、4点未満
△:2点以上、3点未満
×:1点以上、2点未満
【0042】
(毛髪のべたつき感の評価方法)
専門パネラー10名により、「べたつき感」について下記の5段階評価(評価点)で官能評価し、評価点の平均値を求め、下記の基準で判定した。
[評価点]
5点:ほとんどベタつきがない
4点:ベタつきが少ない
3点:普通
2点:ベタつきがある
1点:非常にベタつきがある
[評価基準]
◎:4点以上
○:3点以上、4点未満
△:2点以上、3点未満
×:1点以上、2点未満
【0043】
(毛先のまとまりの持続性の評価方法)
毛先のまとまりの持続性を、毛髪の毛先の広がりの度合いから視覚的に評価した。実施例1と同様にブリーチ処理をした毛髪の毛束(4.0g、15cm)を、温度:20℃、湿度:60%の条件に12時間放置し調湿した後、毛束にジェル(毛髪化粧料)を0.3g均一に塗布し、24時間放置後、100回ブラッシングし、毛先の広がりの度合いを評価した。
【0044】
そして、図1(図面代用写真)に示す評価基準に従って(◎、○、△、×)、「毛先のまとまりの持続性」を評価した。
【0045】
(指通りの判定方法:摩擦係数μ)
毛髪の指通りを数値的に評価するために、毛髪の摩擦係数を測定した。このときの測定は、摩擦感テスター「KES−SE」(商品名:カトーテック株式会社製)を用いた。上記した「毛先のまとまりの持続性」の評価と同様に、温度:20℃、湿度:60%の条件で調湿したブリーチ処理毛髪の毛束(4.0g、15cm)にジェル(毛髪化粧料)を適量(0.3g)塗布し、1つの毛束につき3箇所で摩擦係数(μ)を測定し、平均値を算出した。このときの評価基準は下記の通りである。
[評価基準]
◎:μ<0.2
○:0.2≦μ<0.4
△:0.4≦μ<0.6
×:0.6≦μ
【0046】
これらの結果を、毛髪化粧料の処方例(処方例20〜30)と共に、下記表4に示す。表4の結果は、ジメチコノール、ステアリルジメチコン、トリメチルシロキシケイ酸の配合量を変えて、「ツヤ感」、「べたつき感」、「毛先のまとまりの持続性」および「指通り」の変化を調査したものであるが、ジメチコノールを1.0〜30.0質量%配合したものでは(処方例22、23)、これらの特性が良好に発揮されていることが分かる。
【0047】
【表4】

【0048】
[実施例5]
下記表5に示す配合割合で各種毛髪化粧料(処方例31〜40)を調製し、これらの毛髪化粧料を用いて毛髪を処理したときの「ツヤ感」、「べたつき感」、「毛先のまとまりの持続性」、および「指通り」について、実施例4に示した方法(および評価基準)で評価した。
【0049】
その結果を、毛髪化粧料の処方例(処方例31〜40)と共に、下記表5に示す。表5の結果は、ジメチコン、シクロメチコンの配合量を変えて、「ツヤ感」、「べたつき感」、「毛先のまとまりの持続性」および「指通り」の変化を評価したものであるが、ジメチコノールを5.0%配合すると共に、ジメチコンを1.0〜30.0%、シクロメチコンを1.0〜30.0%配合したものでは(処方例38、39)、べたつき感、毛先のまとまりの持続性、指通りにおいて良好な性能を発揮することがわかった。
【0050】
また良好な性能が得られるシリコーン類の比率の範囲は、ジメチコノール:(ジメチコン+シクロメチコン)=5.0:1.0〜5.0:40.0(=5:1〜1:8)である。ジメチコノール:(ジメチコン+シクロメチコン)が5:1を超えると指通りが悪くなり、1:8より小さくなるとツヤ感や毛先のまとまりの持続性に欠ける。処方例37〜39の毛髪化粧料を用いて毛髪を処理したときの「毛先のまとまりの持続性」について、前記実施例4の処方例25で処理したときの場合(×の場合)と共に、図2(図面代用写真)に示す。
【0051】
【表5】

【0052】
[実施例6]
下記表6に示す配合割合で各種毛髪化粧料(処方例41〜45)を調製し、これらの毛髪化粧料を用いて毛髪を処理したときの「ツヤ感」、「べたつき感」、「毛先のまとまりの持続性」、および「指通り」について、実施例4に示した方法(および評価基準)で評価を行った。
【0053】
その結果を、毛髪化粧料の処方例(処方例41〜45)と共に、下記表6に示す。表6の結果は、グリセリンの配合量を変化させて「ツヤ感」、「べたつき感」、「毛先のまとまりの持続性」、「指通り」の変化を調査したものであるが、グリセリンを1.0〜30.0%配合したものでは(処方例43、44)、全ての評価項目において良好な性能を発揮していることが分かる。
【0054】
また良好な性能が得られるシリコーンとグリセリンの比率の範囲は、シリコーン:グリセリン=20.0:1.0〜20.0:30.0=20:1〜2:3である。シリコーン:グリセリンが20:1を超えるとツヤや毛先のまとまりが不十分であり、2:3より小さくなるとベタついたり、指通りが悪くなっている。
【0055】
【表6】

【0056】
[実施例7]
下記表7に示す配合割合で各種毛髪化粧料(処方例46〜52)を調製し、実施例1と同様にブリーチ処理した毛髪の毛束(4.0g、15cm)へ適量(0.3g)塗布し、「剤型外観および毛髪塗布時のパール光沢」について、実施例4に示した「ツヤ感」の評価方法に従って評価すると共に、「ジェルの感触」について下記の基準で官能評価を行った。
【0057】
(ジェルの感触の評価基準:官能評価)
◎:なめらかな感触
○:ややなめらかな感触
△:ややぱさぱさとした感触
×:ぱさぱさと乾燥したような感触
【0058】
その結果を、毛髪化粧料の処方例(処方例46〜52)と共に、下記表7に示す。表7の結果は、雲母チタンの配合量を変えて、「剤型外観および毛髪塗布時のパール光沢」、および「ジェルの感触」の変化を調査したものであるが、雲母チタンを0.01〜30.0%配合したものでは(処方例47〜51)、良好なパール光沢、およびジェルの感触が得られていることが分かる。また雲母チタンの配合量が0.01%未満では光沢がなく(処方例46)、30.0%を超えるとジェルの感触が悪くなる(処方例52)。
【0059】
【表7】

【0060】
[実施例8]
下記表8に示す配合割合で各種毛髪化粧料(処方例53〜60)を調製し、実施例1と同様にブリーチ処理した毛髪の毛束(4.0g、15cm)へ適量(0.3g)塗布し、実施例7と同様の方法で、「剤型外観および毛髪塗布時のパール光沢」について官能評価を行った。
【0061】
その結果を、毛髪化粧料の処方例(処方例53〜60)と共に、下記表8に示す。表8の結果は、無機粉体の種類を変えてパール光沢の変化を調査したものであるが(配合量:0.3%)、いずれにおいても良好なパール光沢が発揮されていることが分かる。
【0062】
【表8】

【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】「毛先のまとまりの持続性」の評価基準を示した図面代用写真である。
【図2】処方例25、37〜39の毛髪化粧料で毛髪を処理したときの毛先のまとまりの持続性を示した図面代用写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(A)アクリル系ポリマーおよび(B)シリコーン類を配合した毛髪化粧料であり、毛髪化粧料全体に占める割合で、(A)アクリル系ポリマーは、0.3〜9.0%(「質量%」の意味、以下同じ)、前記(B)シリコーン類は、(a)ジメチコノール:1.0〜30.0%、(b)ジメチコン:1.0〜30.0%および(c)シクロメチコン:1.0〜30.0%を夫々含有するものであり、且つ(a)ジメチコノールの含有量と、(b)ジメチコンおよび(c)シクロメチコンの合計含有量との質量割合[(a):{(b)+(c)}]が5:1〜1:8であることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
前記アクリル系ポリマーは、(アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマー、アクリル酸/アルキルコポリマー、(アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマーおよび(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)クロスポリマーの少なくともいずれかである請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
更に、(C)グリセリンを1.0〜30.0%の割合で配合したものである請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
前記(B)シリコーン類と(C)グリセリンとの質量割合[(B):(C)]が、20:1〜2:3である請求項3に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
更に、(D)無機粉体を0.01〜30.0%の割合で配合したものである請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪化粧料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−286752(P2009−286752A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142946(P2008−142946)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000213482)中野製薬株式会社 (57)
【Fターム(参考)】