説明

毛髪化粧料

【課題】現状の毛髪化粧料による仕上がりがさらに向上した、リンスやコンディショナー等に用いるのに適した毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】下記成分(1)〜(4)を含有する毛髪化粧料。(1)ワセリンを、化粧料の0.01〜20質量%(2)ヒドロキシアルキル尿素を、化粧料の0.001〜30質量%(3)第三級アミン型カチオン界面活性及び/又は第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を、化粧料の0.1〜10質量%(4)水

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料、特に、リンス、コンディショナー等に用いることに適した毛髪化粧料に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
毛髪をシャンプー等で洗髪した後は、一般に、艶や指通りが悪くなるため、リンスやヘアコンディショナー等の毛髪処理剤が用いられている。
【0003】
このような毛髪処理剤には、通常、第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤が配合されている。第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤は、毛髪に対して柔軟性や帯電防止性を付与する効果が高いため、処理剤をはじめ、各種の毛髪化粧料に配合されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、3−メチル−1,3−ブタンジオールとワセリンを含有する、仕上がり後の毛髪のしっとり感と柔らかさに優れた、洗い流し用の毛髪化粧料が開示されている。また、特許文献2には、エーテル型カチオン界面活性剤(第四級アンモニウム塩)とワセリンを含有する、油分の配合により、毛髪を柔軟にし、滑らかさと平滑性、しっとりさに優れる毛髪化粧料が開示されている。また、特許文献3には、多糖類と第三級アミンと高級アルコールを含有する、まとまりと滑り感を付与する毛髪化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−86457号公報
【特許文献2】特開2003−327513号公報
【特許文献3】特開2005−314303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ますます様々な要因で毛髪を傷めている人が増えており、リンスやコンディショナーのような毛髪処理剤に対する要求が高まっている。よって、現状では、使用者が十分に満足できる上記のような毛髪処理剤が提供されているとは言い難い。例えば、上記の特許文献1と2の技術では、全般的に、現在求められているレベルでの十分なしっとり感やなめらかさは得られているとは言い難い。また、引用文献3の技術では、多糖類の配合によって、べたつきやハリ感が認められ、十分な毛髪の柔軟性は得られていない。
【0007】
よって、本発明は、上述したような現状の毛髪化粧料による仕上がりがさらに向上した、リンスやコンディショナー等に用いるのに適した毛髪化粧料を提供することを課題として完成された発明である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、特定のヒドロキシアルキル尿素とワセリンを配合した毛髪化粧料を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、下記成分(1)〜(4)を含有する毛髪化粧料(以下、本発明の毛髪化粧料ともいう)を提供する発明である。
(1)ワセリンを、化粧料の0.01〜20質量%
(2)ヒドロキシアルキル尿素を、化粧料の0.001〜30質量%
(3)第三級アミン型カチオン界面活性及び/又は第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤
(4)水
【0010】
本発明の毛髪化粧料は、さらに、高級アルコールを含有することが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、洗髪後の毛髪の仕上がりのなめらかさ、しなやかさ及びしっとり感に優れる、リンスやコンディショナー等の毛髪処理剤としての使用に適した毛髪化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の毛髪化粧料の必須の配合成分は、上記の(1)〜(4)に示す通りである。
【0013】
(1)ワセリン
本発明の毛髪化粧料に配合可能なワセリンは、石油原油の真空蒸留残液を溶剤にて脱ロウした際に得られる軟膏状の物質を精製して得られる、主成分が炭素原子数24〜34の炭化水素である非晶質の炭化水素油である。ワセリンは、通常化粧料において用いられる精製タイプの市販品を用いることが可能である。
【0014】
本発明の毛髪化粧料におけるワセリンの配合量は、化粧料の0.01〜20質量%であり、好適には0.05〜5質量%である。当該配合量が0.01質量%未満であると、ワセリンの配合による毛髪の仕上がりの向上効果が認められなくなる傾向があり、20質量%を超えると大量配合に見合った効果が実質的に認められなくなり、使用感にも問題が生ずる傾向が認められる。
【0015】
(2)ヒドロキシアルキル尿素
本発明の毛髪化粧料に配合可能なヒドロキシアルキル尿素は、尿素が有する水素原子の少なくとも一つが炭素原子数2〜4のヒドロキシアルキル基で置換された尿素誘導体である。具体的には、N−(2−ヒドロキシエチル)尿素、N−(3−ヒドロキシプロピル)尿素、N−(2−ヒドロキシプロピル)尿素、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)尿素、N−(4−ヒドロキシブチル)尿素、N−(3−ヒドロキシブチル)尿素、N−(2−ヒドロキシブチル)尿素、N−(2,3−ジヒドロキシブチル)尿素等のモノ(ヒドロキシアルキル)尿素;N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)尿素、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)尿素等のビス(ヒドロキシアルキル)尿素等を例示することができる。本発明において用いる好適なヒドロキシアルキル尿素は、モノ(ヒドロキシアルキル)尿素であり、特に好適には、N−(2−ヒドロキシエチル)尿素である。
【0016】
ヒドロキシアルキル尿素は、常法、例えば、低級アルコールと尿素を120℃で数時間程度反応させ、窒素との接触により脱アンモニアを行う等、により製造することが可能である。また、市販品を用いることも可能であり、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)尿素の市販品であるHYDROVANCE(B)(日本エヌエスシー株式会社製)等を用いることができる。
【0017】
本発明の毛髪化粧料におけるヒドロキシアルキル尿素の配合量は、化粧料の0.001〜30質量%であり、好適には0.01〜20質量%である。当該配合量が0.001質量%未満であると、毛髪の仕上がりの向上効果が認められなくなる傾向があり、30質量%を超えると大量配合に見合った効果が実質的に認められなくなる。
【0018】
(3)第三級アミン型カチオン界面活性と第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤
第三級アミン型カチオン界面活性剤と第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、一般的なリンス系の製剤に用いられているものを、本発明に適用することが可能である。
【0019】
第三級アミン型カチオン界面活性剤としては、例えば、下記式(I)にて表される第三級アミン化合物を挙げることができる。
【0020】
【化1】

【0021】
[式中、Rは炭素原子数6〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、Aは、エステル基、アミド基又はエーテル基であり、Aの数を表すmは0又は1であり、Rは炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又はアルキレニル基であり、R及びRは同一又は異なって、水素原子又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基である。]
【0022】
炭素原子数6〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であるRは、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ミリストレイル基、パルミトレイル基、オレイル基、リノイル基、リノレイル基、リシノレイル基、イソステアリル基等が挙げられる。また、炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又はアルキレニル基Rとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。R及びRは、上述のように、同一又は異なって水素原子又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基(典型的にはメチル基)である。
【0023】
また、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩も、第三級アミン型カチオン界面活性剤として挙げられる。これらの第三級アンモニウム塩を構成するアルキル基は、炭素原子数は16〜35程度の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、典型的には、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基等の直鎖型アルキル基が例示される。これらの中でも、ヘキサデシル基(炭素原子数16)、オクタデシル基(炭素原子数18)、ドコシル基(炭素原子数22)等、が好適な直鎖状アルキル基として例示される。また、当該アンモニウム塩を構成する陰イオンは、塩素、ヨウ素、臭素等のハロゲンイオン、又は、メトサルフェート、エトサルフェート、メトフォスフェート、エトフォスフェート等の有機アニオンが挙げられ、典型的には、塩素イオンが挙げられる。
【0024】
第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。当該第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を構成し得るアルキル基と、塩を構成する陰イオンは、上述の第三級アンモニウム塩において例示したものに準ずる。
【0025】
第三級アミン型カチオン界面活性剤と第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、それぞれ1種又は2種以上を選択して用いることが可能であり、第三級アミン型カチオン活性剤と第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤の双方を用いることも可能である。
【0026】
これらのカチオン界面活性剤の配合量は、本発明の毛髪化粧料の剤形や態様等に応じて自由に選択することが可能であるが、概ね化粧料の0.1〜10質量%が好適であり、
0.2〜5質量%が特に好適である。当該配合量が0.1質量%未満では、本発明の毛髪化粧料の基本的な機能を発揮することが困難となり、10質量%を超えて配合しても、配合量の増加に見合った製剤の改善は認められがたい。
【0027】
(4)水
水は、イオン交換水、精製水、水道水、自然水等を用いることが可能であり、本発明の毛髪化粧料の剤形と形態に応じて自由に配合することができる。具体的には、上記の必須成分の配合量(質量%)と、毛髪化粧料の剤形と形態を考慮した他の成分の配合量(質量%)の残分として配合することが典型的である。
【0028】
<選択的配合成分>
上述したように、本発明の毛髪化粧料には、さらに、高級アルコールを配合することにより、特に、本発明の毛髪化粧料が、リンスやコンディショナー等の毛髪処理剤である場合に好適である。すなわち、これらの選択的配合成分と、上記の第三級アミン型カチオン界面活性剤及び/又は第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤と、水とが接触することにより、層状構造(ラメラ構造)のゲルが形成される。従って、この系の中に、上記のワセリンをはじめとする油分を添加して乳化すると、ゲルの中に微細な油的が分散した、乳液状又はクリーム状のリンスやコンディショナーに適した製剤が得られる。
【0029】
高級アルコールとしては、化粧料等の外用組成物に用いられ得る高級アルコールであれば特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、バチルアルコール等が挙げられる。
【0030】
高級アルコールの本発明の毛髪化粧料における配合量は、化粧料の0.1〜20質量%が好適である。
【0031】
その他、本発明の毛髪化粧料には、必要に応じて、上記以外の成分を、本発明の効果を実質上損なわない質的、量的な範囲内で配合することができる。例えば、本発明の毛髪化粧料がシャンプーである場合には、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アシルメチルタウリン酸、N−アシルグルタミン酸塩等のアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤;脂肪酸アルカノールアミン等の非イオン性界面活性剤等が特徴的な一般的配合成分として挙げられる。
【0032】
さらに、毛髪化粧料の形態を問わず、高級脂肪酸、炭化水素油、エステル油、アミノ変性シリコーン、メチルポリシロキサン等のシリコーン油等の、ワセリンと高級アルコール以外の油分;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の保湿剤;カチオン化セルロース等のカチオン性高分子等のコンディショニング剤;トリクロロカルバニリド、イオウ、ジンクピリチオン、イソプロピルメチルフェノール等の抗フケ用薬剤;増粘剤;粘度調整剤;乳濁剤;金属イオン封鎖剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;防腐剤;粉末成分;血行促進剤、局所刺激剤、毛包賦活剤、抗男性ホルモン剤、抗脂漏剤、角質溶解剤、殺菌剤、消炎剤、アミノ酸、ビタミン類、生薬エキス類等の育毛薬剤;pH調整剤;色素;香料;低級アルコール等が挙げられる。
【0033】
<本発明の毛髪化粧料>
本発明の毛髪化粧料は、選択する剤形と形態に応じた方法に従って製造することが可能であり、典型的には、上記の必須配合成分と必要な選択的成分を、水に溶解させることにより製造され、その製品形態としては、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアシャンプー、リンスインシャンプー等が挙げられる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0035】
<評価方法>
本発明の毛髪化粧料に関し用いた評価手法を以下に示す。
【0036】
(1)仕上がりの髪のなめらかさ、しなやかさ及びしっとり感
6名の男性パネルに通常のシャンプー(リンス効果のないもの)にて洗髪をしてもらい、十分にシャンプーを洗い落として濡れた毛髪に対して、手の平で1回試験品を取ってもらいこれを均一に毛髪に塗り込んだ後、十分に濯ぎを行って、タオルドライ後にドライヤーによって乾燥させた際の毛髪の状態についての評価を、上記の「なめらかさ」、「しなやかさ」及び「しっとり感」の各項目において行い、下記の基準で評価を行った。
【0037】
◎(とても良い):6名中全員が「なめらかである」、「しなやかである」又は「しっとりしている」という評価を行った。
○(良い):6名中5名が「なめらかである」、「しなやかである」又は「しっとりしている」という評価を行った。
○△(少し良い):6名中4名が「なめらかである」、「しなやかである」又は「しっとりしている」という評価を行った。
△(普通):6名中3名が「なめらかである」、「しなやかである」又は「しっとりしている」という評価を行った。
△×(やや良くない):6名中2名が「なめらかである」、「しなやかである」又は「しっとりしている」という評価を行った。
×(良くない):「なめらかである」、「しなやかである」又は「しっとりしている」という評価を行ったパネルが、6名中1名のみ又は0名であった。
【0038】
(2)曲げ応力(B値:gf・cm/cm)
毛髪の曲げ応力は、毛髪の硬さやはり・こし感の指標となるパラメーターである。本試験では、市販の人毛束を用いて測定を行った。具体的には、人毛束に対して、上記の実使用試験と同様に洗髪後、リンスを行い濯いだ後、ドライヤー乾燥を行い、これをカトーテック社製KES−SH毛髪曲げ試験機を用いて、これらの人毛束における曲げ応力の評価を行った。曲げ応力が小さい方が、毛髪が柔軟であることを示している。
【0039】
(3)平均摩擦係数
毛髪の平均摩擦係数は、毛髪のなめらかさの指標となるパラメーターである。本試験では、市販の人毛束を用いて測定を行った。具体的には、人毛束に対して、上記の実使用試験と同様に洗髪後、リンスを行い濯いだ後、ドライヤー乾燥を行い、これをカトーテック社製「粗さ付摩擦感テスターKES−SE−U」を用いて、これらの人毛束における平均摩擦係数の評価を行った。平均摩擦係数が小さい方が、毛髪の表面がなめらかであることを示している。
【0040】
<試験例>
(1)実使用試験の評価
下記表1に示す処方において、各配合成分を80℃にて攪拌溶解し、これを冷却することにより、リンス製剤を得、これらに対して上記の「なめらかさ」と「しなやかさ」と「しっとり感」に関する実使用試験を行った。これらの試験の結果も併せて表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
表1の結果より、第三級アミン化合物であるステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドを用いた場合であっても、第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤であるベヘントリモニウムクロリド又はステアリルトリメチルアンモニウムクロリドを配合した場合であっても、ワセリンとヒドロキシエチル尿素(N−(2−ヒドロキシエチル)尿素(HYDROVANCE(B)(日本エヌエスシー株式会社製)、以下同様である。)を組み合わせて配合することにより、毛髪において十分な「なめらかさ」、「しなやかさ」及び「しっとり感」が認められた(実施例1〜3)。逆に、ワセリン又はヒドロキシエチル尿素を抜去した例(比較例2〜7)では、これらの毛髪感触は、上記実施例に比べると劣っていた。
【0043】
(2)曲げ応力試験における評価
下記表2に示す処方のリンス製剤において、上記の要領で曲げ応力試験を行った。その結果を併せて表2に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
※表中、PEGは、ポリエチレングリコールを表す。以下、同様である。
【0046】
表2の結果により、ワセリンとヒドロキシエチル尿素と、高級アルコールであるセタノールを組み合わせて配合することにより、同一の第三級アミン化合物又は第四級アミン型カチオン界面活性剤を用いた系においては、曲げ応力が低下し、毛髪のなめらかさやしっとり感が優れることが認められた(実施例4に対して比較例8、実施例5に対して比較例9、実施例6に対して比較例10)。
【0047】
(3)平均摩擦係数における評価
下記表3に示す処方のリンス製剤において、上記の要領で平均摩擦係数の試験を行った。その結果を併せて表3に示す。
【0048】
【表3】

【0049】
表3の結果より、ワセリンとヒドロキシエチル尿素を組み合わせて配合した、本発明のリンス製剤(実施例7)は、これらのうち片方の成分が抜去されている例(比較例11、12)よりも、平均摩擦係数が小さく、毛髪の表面がなめらかであることが明らかになった。
【0050】
以下に、本発明の処方例を記載する。各処方例の製造方法は、上記表1にて示した製造方法に準ずる。
【0051】
[処方例1] ヘアリンス
配合成分 配合量(質量%)
ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド 2.5
ワセリン 1.2
N−(2−ヒドロキシエチル)尿素 3.5
ステアリルアルコール 5.0
ジプロピレングリコール 5.0
グルタミン酸 0.7
ミネラルオイル 2.0
フェノキシエタノール 0.8
香料 適量
精製水 残余
【0052】
[処方例2] ヘアトリートメント
配合成分 配合量(質量%)
ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド 0.5
ワセリン 0.5
ベヘントリモニウムクロリド 1.4
セタノール 0.8
ステアリルアルコール 4.0
N−(2−ヒドロキシエチル)尿素 1.1
アミノプロピルジメチコン(平均重合度 5000) 3.0
グリセリン 5.0
プロピレングリコール 10.0
フェノキシエタノール 0.6
香料 適量
精製水 残余
【0053】
[処方例3] アフターヘアカラートリートメント剤
配合成分 配合量(質量%)
ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド 3.2
ワセリン 4.0
N−(2−ヒドロキシエチル)尿素 0.8
ジメチコン(平均重合度 7000) 5.0
ベヘニルアルコール 4.5
ジプロピレングリコール 8.0
ソルビトール 10.0
フェノキシエタノール 0.7
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 0.3
香料 適量
精製水 残余

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(1)〜(4)を含有する毛髪化粧料。
(1)ワセリンを、化粧料の0.01〜20質量%
(2)ヒドロキシアルキル尿素を、化粧料の0.001〜30質量%
(3)第三級アミン型カチオン界面活性及び/又は第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を、化粧料の0.1〜10質量%
(4)水
【請求項2】
ヒドロキシアルキル尿素は、N−(2−ヒドロキシエチル)尿素である、請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
前記毛髪化粧料は、さらに高級アルコールを含有する、請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2010−163384(P2010−163384A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6145(P2009−6145)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】