説明

毛髪用染料除去剤

【課題】おもに酸性色素を用いて染毛された毛髪からメラニン色素を脱色することなく、さらには毛髪にダメージを与えることなく、効果的に酸性色素を除去することができるとともに、除去後の毛髪の風合いを損なわない毛髪用染料除去剤を提供する。
【解決手段】(a)尿素、チオ尿素、およびヒドロキシエチル尿素の中から選ばれる1種または2種以上を0.5〜50質量%と、(b)芳香族アルコール(ベンジルアルコール、フェノキシエタノール等)を2〜30質量%と、(c)亜硫酸塩および/またはピロ亜硫酸塩を1〜5質量%と、(d)水を45質量%以下含有し、pHが6.5超で9.5以下である、毛髪用染料除去剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪用染料除去剤に関する。さらに詳しくは、おもに酸性染料を用いて染毛された毛髪から、毛髪へのダメージを与えることなく、染料を効果的に除去する毛髪用染料除去剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪用染毛剤として、パラフェニレンジアミン、アミノフェノール、レゾルシン、メタフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン等の酸化染料を主成分とする酸化染毛剤(永久染毛剤。ヘアダイ等)が広く使用されてきたが、近年、タール系色素(酸性色素。酸性染料)を着色成分とするセミパーマネントヘアカラー(ヘアマニキュア等)が提案され、市場において急速に普及している。このセミパーマネントヘアカラーは、赤色、青色、黄色などの多彩な色素(酸性色素)により髪をファッショナブルに染め分けたり、髪の色の微妙な変化を楽しむこともできる。したがってこのセミパーマネントヘアカラーでは、それまで染めていた色を脱染し、新たな色に染め換えることも頻繁に行われることから、染毛と同時に脱染が重要な技術となる。
【0003】
従来、このような着色成分除去剤として、亜硫酸塩、ベンジルアルコールおよびカチオン界面活性剤を含有し、pHが7〜9の毛髪用脱染剤(例えば、特許文献1参照)、尿素および/またはチオ尿素と、亜硫酸塩および/またはアルカリ成分を配合する染着除去剤(例えば、特許文献2参照)、芳香族アルコール、有機溶剤、陽イオン性界面活性剤、ジチオ化合物およびアルカリ成分を含有し、pHが8.5〜13.0であるセミパーマネントヘアカラー染毛の毛髪用脱染剤(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平4−356413号公報
【特許文献2】特開平8−239309号公報
【特許文献3】特開2003−252728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の毛髪用脱染剤は、染料除去効果が十分満足し得る程度ではなく、毛髪損傷も懸念される。特許文献2の染着除去剤は、皮膚への染着脱染を目的としたものであり、毛髪に使用した場合、染料除去効果が十分満足し得る程度ではなく、毛髪損傷も懸念される。特許文献3の毛髪用脱染剤は、染料除去効果が十分満足し得る程度ではなく、また毛髪損傷のおそれもあり、さらにジチオ化合物配合による基剤臭が強く、使用時にも不快臭を伴うという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、おもに酸性色素を用いて染毛された毛髪からメラニン色素を脱色することなく、さらには毛髪にダメージを与えることなく、効果的に酸性色素を除去することができるとともに、除去後の毛髪の風合いを損なわない毛髪用染料除去剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、(a)尿素、チオ尿素、およびヒドロキシエチル尿素の中から選ばれる1種または2種以上を0.5〜50質量%と、(b)芳香族アルコールを2〜30質量%と、(c)亜硫酸塩および/またはピロ亜硫酸塩を1〜5質量%と、(d)水を45質量%以下含有し、pHが6.5超で9.5以下である、毛髪用染料除去剤を提供する。
【0008】
また本発明は、(a)成分が尿素および/またはチオ尿素であり、(c)成分が亜硫酸塩である、上記毛髪用染料除去剤を提供する。
【0009】
また本発明は、(a)成分が尿素および/またはチオ尿素であり、(c)成分がピロ亜硫酸塩である、上記毛髪用染料除去剤を提供する。
【0010】
また本発明は、(a)成分がヒドロキシエチル尿素であり、(c)成分が亜硫酸塩および/またはピロ亜硫酸塩である、上記毛髪用染料除去剤を提供する。
【0011】
また本発明は、(b)成分がベンジルアルコールおよび/またはフェノキシエタノールである、上記毛髪用染料除去剤を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、おもに酸性色素を用いて染毛された毛髪からメラニン色素を脱色することなく、さらには毛髪にダメージを与えることなく、効果的に酸性色素を除去することができるとともに、除去後の毛髪の風合いを損なわない毛髪用染料除去剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について詳述する。
【0014】
本発明の毛髪用染料除去剤には(a)成分として、尿素、チオ尿素、およびヒドロキシエチル尿素の中から選ばれる1種または2種以上が用いられる。(a)成分は膨潤剤としての役割を果たす。
【0015】
(a)成分の配合量は、毛髪用染料除去剤全量中に0.5〜50質量%であり、好ましくは1〜30質量%である。0.5質量%未満では十分な染料除去効果が得られず、一方、50質量%を超えると毛髪損傷(ごわつき、ぱさつき)がみられるようになってくる。
【0016】
(b)成分としての芳香族アルコールは、一般に化粧料に用いられ得るものであれば特に限定されるものでなく、例えばベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p−メチルベンジルアルコール、α−ジメチルフェネチルアルコール、α−フェニルエタノール、フェノキシエタノール等が例示される。中でも染料除去効果等の点からベンジルアルコール、フェノキシエタノールが好ましい。(b)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0017】
(b)成分の配合量は、毛髪用染料除去剤全量中に2〜30質量%であり、好ましくは3〜20質量%である。2質量%未満では十分な染料除去効果が得られず、一方、30質量%を超えると毛髪損傷(ごわつき、ぱさつき)がみられるようになってくる。
【0018】
(c)成分としては、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩の中の1種または2種以上が用いられる。なお本発明において亜硫酸塩には亜硫酸水素塩も含む。ここで塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が好適例として挙げられる。具体的には、例えばリチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、タウリンナトリウム塩、N−メチルタウリンナトリウム塩等が挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。(c)成分は還元剤としての役割を果たす。(c)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0019】
(c)成分の配合量は、毛髪用染料除去剤全量中に1〜5質量%である。1質量%未満では十分な染料除去効果が得られず、一方、5質量%を超えると毛髪損傷(ごわつき、ぱさつき)がみられるようになってくる。
【0020】
(d)成分としての水は、毛髪用染料除去剤全量中に45質量%以下の割合で配合される。配合量下限値は、本願発明効果が得られる限りにおいて特に限定されるものでないが、30質量%程度以上配合するのが好ましい。(d)成分を45質量%超配合した場合、毛髪の形状変化(波状びびり)を起す可能性がある。
【0021】
なお「形状変化(波状びびり)」とは、ほぼ直毛であった毛髪が捩れや細かいうねり、波状の縮れ等を伴う様子をいう。
【0022】
本発明毛髪用染料除去剤は、系のpHが6.5超で9.5以下であり、好ましくは7〜9.5である。pH6.5以下では毛髪の形状変化(波状びびり)を起す可能性が高く、一方、pH9.5超では毛髪損傷、使用感触の低下を生じる。
【0023】
本発明毛髪用染料除去剤のpHを上記範囲とするために、pH調整剤として略中性〜アルカリ剤などを好適に配合することができる。略中性〜アルカリ剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、クエン酸ナトリウム、アンモニア水、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、塩基性アミノ酸等が例示される。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0024】
本発明毛髪用染料除去剤の最も好ましい態様として以下の(i)〜(iii)に示す3つの態様が挙げられる。
【0025】
(i)(a)成分として尿素および/またはチオ尿素を0.5〜50質量%、(b)芳香族アルコールを2〜30質量%、(c)成分として亜硫酸塩を1〜5質量%、および(d)水を45質量%以下含有し、pHが6.5超で9.5以下の毛髪用染料除去剤。
【0026】
(ii)(a)成分として尿素および/またはチオ尿素を0.5〜50質量%、(b)芳香族アルコールを2〜30質量%、(c)成分としてピロ亜硫酸塩を1〜5質量%、および(d)水を45質量%以下含有し、pHが6.5超で9.5以下の毛髪用染料除去剤。
【0027】
(iii)(a)成分としてヒドロキシエチル尿素を0.5〜50質量%、(b)芳香族アルコールを2〜30質量%、(c)亜硫酸塩および/またはピロ亜硫酸塩を1〜5質量%、および(d)水を45質量%以下含有し、pHが6.5超で9.5以下の毛髪用染料除去剤。
【0028】
本発明毛髪用染料除去剤はおもに(a)成分、(c)成分によって毛髪を膨潤させ、コーミングやすすぐことによって、毛髪内部に残留している酸性染料を(b)成分により外部へと誘い出し、洗い流して除去する。
【0029】
なお本発明毛髪用染料除去剤は特に、酸性染料を着色成分とするセミパーマネントヘアカラーを用いて染毛した毛髪の脱染に効果的である。このような酸性染料としては、例えば、トリフェニルメタン染料、アゾ染料、キノリン染料、チアゾール染料、ザンセン染料、インジゴイド染料、アクリジン染料、アジン染料、スチルベン染料、オキサジン染料、アントラキノン染料等が例示される。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0030】
本発明毛髪用染料除去剤を使用する方法の一例を以下に示す。ただしこの方法に限定されるものでない。すなわち、まず、酸性染料の残っている毛髪に本発明染料除去剤を適量塗布する。必要に応じて塗布前に軽く毛髪を湿らせてもよい。塗布後はそのまま放置、あるいはキャップ等を用いて放置する。必要に応じて加温してもかまわない。約5〜30分間放置した後、よく水洗する。必要に応じてコーミングしながら余分は液をこそぎ落としてもよい。
【0031】
本発明の毛髪用染料除去剤には、上記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常化粧料に配合し得る成分を配合することができる。このような任意添加成分として、例えば、保湿剤、液体油脂、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、天然の水溶性高分子、半合成の水溶性高分子、合成の水溶性高分子、増粘剤、低級アルコール、界面活性剤、カチオン化ポリマー等が挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0032】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物等が挙げられる。
【0033】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0034】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン等が挙げられる。
【0035】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0036】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0037】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0038】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0039】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0040】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオン性ポリマー等が挙げられる。
【0041】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0042】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、n-ブタノール等が挙げられる。
【0043】
さらに有機溶剤としてN−メチルー2−ピロリドン等が挙げられる。
【0044】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(以下、「POE」と略記)セチルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル等の非イオン性界面活性剤や、アニオン界面活性剤(例えば、アルキル硫酸塩型、アルキルエーテル硫酸塩型、アルキルスルホコハク酸塩型、脂肪酸塩型等)が挙げられる。
【0045】
カチオン化ポリマーとしてはカチオン化セルロース等が挙げられる。
【0046】
また、剤型も特に限定されるものでなく、例えばクリーム状、乳液状、エマルジョン状、ジェル状、ムース状等、任意の剤型のものに適用し得る。
【実施例】
【0047】
次に実施例によりさらに本発明を詳述するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。なお、配合量はすべて質量%である。
【0048】
(実施例1〜24、比較例1〜33)
白髪人毛4gの毛束をブリーチ(マシェリ ハイブリーチ:資生堂(株)製)にて37℃、120分間処理し、シャンプー(プロズプロト ナチュラルシャンプー:資生堂プロフェッショナル(株)製)を2回行い乾燥させた。
【0049】
次に、ヘアマニキュア(ゾートス アクティブカラー:資生堂プロフェッショナル(株)製のナチュラルブラウン、ピンク、アプリコットオレンジ、レッドの4色を同一比率で混合したもの)にて30℃、20分間染色し、シャンプー(プロズプロト ナチュラルシャンプー:資生堂プロフェッショナル(株)製)を2回、リンス(プロズプロト ナチュラルリンス:資生堂プロフェッショナル(株)製)を1回行い、乾燥させた。
【0050】
この毛束に表1〜6に示す毛髪用染料除去剤8gを均一に塗布し、ラップ剤で覆い、30℃、10分間放置した。その後、ラップ剤を除き毛束にシャンプー(プロズプロト ナチュラルシャンプー:資生堂プロフェッショナル(株)製)を1回、リンス(プロズプロト ナチュラルリンス:資生堂プロフェッショナル(株)製)を1回行い、乾燥させた。この毛束を下記評価基準に基づき、染料除去効果、毛髪損傷(ごわつき・ぱさつき)、感触(しっとりさ・滑らか)、形状変化(波状ビビリ)の各項目について、美容技術者(7名)により評価判定した後、平均の回答を選定した。結果を表1〜6に示す。
【0051】
なお表1〜6中、表1〜2は上記(i)の態様の染料除去剤を、表3〜4は上記(ii)の態様の染料除去剤を、表5〜6は上記(iii)の態様の染料除去剤を、それぞれ示す。
【0052】
〔染料除去効果〕
◎: 非常によく除去できた
○: よく除去できた
△: 若干除去できた
×: 全く除去できなかった
【0053】
〔毛髪損傷(ごわつき・ぱさつき)〕
◎: ごわつき・ぱさつきを全く感じなかった
○: ごわつき・ぱさつきをほとんど感じなかった
○△:ごわつき・ぱさつきをやや感じた
△: ごわつき・ぱさつきを感じた
×: ごわつき・ぱさつきを非常に感じる
【0054】
〔感触(しっとりさ・滑らかさ)〕
◎: しっとりさ・滑らかさを非常に感じた
○: しっとりさ・滑らかさを感じた
○△:しっとりさ・滑らかさをやや感じた
△: しっとりさ・滑らかさをほとんど感じなかった
×: しっとりさ・滑らかさを全く感じなかった
【0055】
〔形状変化(波状ビビリ)〕
◎: 形状変化(波状ビビリ)が全くなかった
○: 形状変化(波状ビビリ)がほとんどなかった
△: 形状変化(波状ビビリ)が若干あった
×: 形状変化(波状ビビリ)がかなりあった
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
【表4】

【0060】
【表5】

【0061】
【表6】

【0062】
表1〜6の結果から明らかなように、本発明の毛髪用染料除去剤は、染料除去効果、毛髪損傷(ごわつき・ぱさつき)防止効果、感触(しっとりさ・滑らかさ)に優れ、形状変化(波状ビビリ)の発生を防止し得た。
【0063】
以下にさらに他の処方例を示す。
【0064】
(実施例25: クリームタイプ処方例)
(配 合 成 分) (配 合 量)
脱臭セタノール 16
ダイナマイトグリセリン 5
ジプロピレングリコール 10
流動パラフィン 3
POEセチルエーテル(20E.O.) 0.5
POEオレイルエーテル(50E.O.) 0.2
ステアロイルメチルタウリンNa 7
亜硫酸水素ナトリウム 2.5
尿素 5
チオ尿素 2
ベンジルアルコール 5
水酸化ナトリウム 適 量(pH8.5)
イオン交換水 残 余
【0065】
(実施例26: 乳液タイプ処方例)
(配 合 成 分) (配 合 量)
脱臭セタノール 2
ベヘニルアルコール 3
ジプロピレングリコール 10
dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム 10
カルボキシビニルポリマー 0.8
POEステアリルエーテル(4E.O.) 0.3
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.8
塩化ジココイルジメチルアンモニウム 0.2
亜硫酸水素ナトリウム 3
ピロ亜硫酸ナトリウム 2
尿素 10
チオ尿素 5
ベンジルアルコール 6
エタノール95度合成 5
アンモニア水 適 量(pH9.0)
イオン交換水 残 余
【0066】
(実施例27: ジェルタイプ処方例)
(配 合 成 分) (配 合 量)
プロピレングリコール 20
ソルビット液 5
亜硫酸水素ナトリウム 3
尿素 10
ヒドロキシエチル尿素 2
ベンジルアルコール 8
n−ブタノール 2
n−メチルピロリドン 2
キサンタンガム 1.8
ポリクオタニウム−10 2.5
ポリクオタニウム−7 0.2
アンモニア水 適 量(pH9.3)
エデト酸二Na 0.05
イオン交換水 残 余

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)尿素、チオ尿素、およびヒドロキシエチル尿素の中から選ばれる1種または2種以上を0.5〜50質量%と、(b)芳香族アルコールを2〜30質量%と、(c)亜硫酸塩および/またはピロ亜硫酸塩を1〜5質量%と、(d)水を45質量%以下含有し、pHが6.5超で9.5以下である、毛髪用染料除去剤。
【請求項2】
(a)成分が尿素および/またはチオ尿素であり、(c)成分が亜硫酸塩である、請求項1記載の毛髪用染料除去剤。
【請求項3】
(a)成分が尿素および/またはチオ尿素であり、(c)成分がピロ亜硫酸塩である、請求項1記載の毛髪用染料除去剤。
【請求項4】
(a)成分がヒドロキシエチル尿素であり、(c)成分が亜硫酸塩および/またはピロ亜硫酸塩である、請求項1記載の毛髪用染料除去剤。
【請求項5】
(b)成分がベンジルアルコールおよび/またはフェノキシエタノールである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の毛髪用染料除去剤。

【公開番号】特開2007−131569(P2007−131569A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325412(P2005−325412)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】