説明

気体密封袋及び梱包材、広告宣伝媒体

【課題】輸送、製造が容易であり、かつ、気体を供給して気体密封袋を膨満すると、梱包物の角部分を保護する形状が形成され、あらゆる大きさや形状の梱包物体の、角部の保護に対応できる保護機能を有する気体密封袋を提供する。
【解決手段】 プラスチックフィルムを重ね合わせ、周縁部を熱溶着等により密閉し、内部に気体を封入してなる気体密封袋において、底面を二等辺三角形Qとする三角柱形状を有し、その頂角と対面する面が空いている気体密封袋10′である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包物の角部分の保護のため、気体を緩衝材として利用したプラスチック製気体密封袋及び梱包材、広告宣伝媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ノートパソコン等の電気製品は発泡スチロールを緩衝材として梱包されているが、この発泡スチロールは、梱包作業前の保管場所や物流コスト等の面で大きな負担となっている。また、廃棄処分の際、その燃焼に伴うダイオキシン発生等の、環境ホルモンの影響も懸念されており、これらの問題点を解決するために、プラスチックフィルムを梱包用エアー緩衝材として使用する需要が高まってきている。
【0003】
プラスチックフィルムを材料とする気体密封袋を梱包用エアー緩衝材として使用するものとしては、従来より各種のものが提供されている。特に、特開2002−225945号公報に記載の気体密封袋は、図19で示すように、プラスチックフィルムを重ね合わせ、その所要箇所を接着してなる空気の供給路2と、その一側縁に連接した空気の密封用袋3とから構成され、この密封用袋3に、密封用袋3を複数個所で接着してなる複数の空気の区画密封用袋4と、各区画密封用袋4と供給路2を各別に連通、遮断可能に構成して配設した逆止弁5とが設けられて構成されているものである。この気体密封袋は、各区画密封用袋4を横切る方向に、密封用袋3の両側において二列ずつ各別に接着して形成した折目6により、内部に所要の深さを備えた被包装物の収容スペースが自然に形成されるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記気体密封袋にあっては、密封袋本体が梱包物全体を覆うだけの大きさを有する事を要するため、梱包物の容積が大きい場合に大量のプラスチックフィルムを必要とする、という問題点を有している。
また発泡スチロールと比べ厚さが足りないため、角部分の保護が十分でなく、搬送等の際に梱包品の角部が傷付くというおそれがあった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、輸送、製造が容易であり、かつ、気体を供給して空気密封袋を膨満すると、梱包物の角部分を保護する形状が形成され、あらゆる大きさや形状の梱包物体の角部の保護に対応できる保護機能を有する気体密封袋、この気体密封袋を用いる梱包材、広告宣伝媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
1.本発明の気体密封袋は、2枚のプラスチックフィルムで構成され、周縁部を重ね合わせて熱溶着により密閉し、内部に気体を封入する気体密封袋において、前記気体密封袋は、外部から気体を注入する気体注入部を備え、前記気体注入部は、2枚のプラスチックフィルムの間にシート部材を入れて、前記シート部材は、1部を残して、2枚のいずれかの1枚のプラスチックフィルムと周縁部を熱溶着して逆止弁とし、気体を充満させ、かつ、充満させた気体を外部に漏洩させないことを特徴とする。
2.また、本発明の気体密封袋は、前記2枚のプラスチックフィルムは、両表面に熱溶着性があり、前記シート部材は、柔軟で、熱溶着性があることを特徴とする。
【0007】
3.また、本発明の気体密封袋は、前記2枚のプラスチックフィルムは、ポリアミド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂の何れかをポリエチレン又はポリプロピレンでラミネートし、前記シート部材は、ポリアミド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂の何れかを金属製フィルムでラミネートしていることを特徴とする。
ことを特徴とする。
【0008】
4.また、本発明の気体密封袋は、前記気体注入部は、シート部材の端部までの間にジクザグの迷路構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
上記解決する手段により、本発明の気体密封袋は、様々な大きさと形状を有する梱包物体の角部を安定に保護することができる気体密封袋を提供するものである。また、使用の際にその場で空気を注入することができるため、密封袋自体の保管、輸送が容易に行えるものである。
【0010】
また、本発明の梱包材は、上述の気体密封袋を用いることで、梱包物体を保護することができ、とくに、角部を包むことで保護することができるものである。
また、本発明の広告宣伝媒体は、空気を注入しても平面を形成することができる気体密封袋の表面に広告宣伝を記載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る気体密封袋の基体10の平面図である。
【図2】シート部材X周辺の構造を拡大して示したものである。
【図3】気体密封袋の基体10を立体成形し、内部に空気を供給充填して膨満させた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る気体密封袋の基体20の平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る気体密封袋の基体30の平面図である。
【図6】気体密封袋の基体30を立体成形し、内部に空気を供給充填して膨満させた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る気体密封袋の基体40の平面図である。
【図8】気体密封袋の基体40を立体成形し、内部に空気を供給充填して膨満させた状態を示す斜視図である。
【図9】第3実施形態に係る気体密封袋の立体図である。
【図10】図9で示した気体密封袋の側面の断面部を拡大して示したものである。
【図11】図10で示した断面部の、気体を注入する前の状態を示したものである。
【図12】第3実施形態に係る間仕切りを施した気体密封袋を、梱包物に装着した状態を示したものである。
【図13】図9ないし図12で示した、中芯による間仕切り構造を、複数段設けた構造を示したものである。
【図14】本発明の第5実施形態に係る気体密封袋50′の斜視図である。
【図15】図14における付属の気体密封袋C及び接続部Dの位置を拡大して示したものである。
【図16】第6実施形態に係る気体密封袋の基体60の平面図である。
【図17】気体密封袋の基体60を立体成形し、内部に空気を供給充填して膨満させた状態を示す図である。
【図18】気体密封袋70′を、梱包物体Aに装着した状態を横から見た状態を示す図である。
【図19】基体を折り畳み重ね合わせて構成した、従来の緩衝包装袋の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0013】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る気体密封袋の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る気体密封袋の基体の平面図である。10は本発明に係る気体密封袋の基体であって、この実施の形態では、三角形―長方形―三角形―長方形の形状からなる二枚の同形、同大の熱溶着製プラスチックフィルム(シート)を重ね合わせ、所要の個所を加熱接着して形成した気体密封袋本体11と、気体密封袋本体11のQあるいはPの位置に、気体密封袋本体11を構成する二枚のシートの間に挟んで備えられた、一種の逆止弁であるシート部材Xとから構成されている。なお、このシート部材Xは、注気口としての役割も果たすものである。
【0014】
また、前記気体密封袋の基体10には、気体密封袋内に空気を供給して膨満させた際に、該密封袋を三角柱構造に成形するための折り曲げ部9aないし11a、及び、密封袋表面に段構造を形成するための間仕切り部12aないし19aが設けられている。
【0015】
なお、長方形の面における間仕切り部16aないし19aは、それぞれの列の幅が均等となるように設けられており、また三角形の面における間仕切り部12aないし15aは、底辺と平行な直線であり、それぞれの列の幅が下列にいくにつれ少しずつ小さくなるよう設けられている。なお、この間仕切りによる列は三列以上設けることとしても良い。
【0016】
前記シート部材Xは、一種の逆止弁の効果を果たすものであり、ポリエチレンフィルム等の柔軟にして肉薄の材質の、二枚の長方形状の加熱接着性プラスチックフィルムを重ね合わせて構成されたものである。
図2は、シート部材X周辺の構造を拡大して示したものであり、シート部材Xを、気体密封袋本体11を構成する2枚のプラスチック製フィルムと一体に支持するための熱溶着部2xないし4xと、気体の流通路を形成する、部分的溶着部5x及び6xが設けられている。また、図中斜線で示した気体注入部Jの位置には、シート部材Xの内面に対して一帯に剥離処理を施し、加熱処理を受けないようにすることとする。
【0017】
前記気体密封袋本体10は、重ね合わせた上記二枚の同形、同大のプラスチックフィルムを、周縁部1aないし8a及び折り曲げ部9aないし11a及び間仕切り部12aないし19aを加熱溶着することにより形成される。
なお、この加熱溶着の際、予め二枚のプラスチックフィルムの間に前述のシート部材Xを挟んで、熱溶着部2xないし4xと、部分的溶着部5x、6xに対しても同時に加熱接着を施すことにより、シート部材Xを一体に備えた気体密封袋の基体10を、効率よく形成することができる。
なお、部分的溶着部5x及び6xは、シート部材Xに、狭い気体の流通路q及びrによる迷路構造を形成し、シート部材Xに一種の逆止弁としての機能を持たせるためのものである。
【0018】
また、前記折り曲げ部分9aないし11aは、部分的接着部と部分的連通部を交互に設けるよう加熱接着が施されている。この部分的連通部により、各折り曲げ部9aないし11aは、気体の流通が可能に構成されている。
同様に、シート部材Xの溶着部4xにおいても、気体密封袋本体の各列に対して気体流通可能となるよう、部分的連通部pを設ける必要がある。
なお、間仕切り部12aないし19aに対しては、この実施形態においては部分的連通部を設けず、全面に熱溶着を施す事とする。
【0019】
なお、この実施形態においては、前記気体密封袋を構成するプラスチックフィルムは、ポリエチレンやポリプロピレンなどヒートシール性を有するフィルムと、ポリアミドやフッ素樹脂、シリコン等のフィルムと、ポリエチレンやポリプロピレンなどヒートシール性を有するフィルムとをラミネートしたものである。
また、間に挟むフィルムは、アルミ製フィルム等の、金属製フィルムを挟むこととしてもよい。
プラスチックフィルムの両表面にヒートシール性のある材質が現れるようにしたのは、気体密封袋本体を製袋するために、内側の表面同士を熱溶着する必要があり、またさらに、製袋された気体密封袋本体を立体成形するため、その外側の表面同士を熱溶着する必要があるからである。また、中間のフィルムは、ガス透過性を考慮して設けたものである。
【0020】
本発明に係る気体密封袋の基体10の製袋工程においては、気体密封袋本体11を構成する前記2枚のプラスチックフィルムの間に、前記シート部材Xを挟み、気体密封袋本体11の部分的連通部にあたる個所の表フィルム及び裏フィルムの内部に、予め耐熱性インク等の溶着阻害物質を塗布又はグラビア印刷しておく事等により剥離処理を施し、周縁部1aないし8a及び折り曲げ部9aないし11a及び間仕切り部12aないし19a及び溶着部2xないし4x及び部分的溶着部5x、6xに対して一様に加熱接着を施しても、部分的連通部を備えた気体密封袋の基体10を形成することができるため、製袋作業を簡易化する事ができる。
なお、この剥離処理に関しては、セロハン等の加熱接着性を有しない物質を部分的連通部にあたる個所に挟むことで、インク等を塗布する事の代わりとすることもできる。
【0021】
本発明の気体密封袋は、さらに、前記のように構成した図1に示す気体密封袋の基体10を、折り曲げ部9a、10a、11aにより折り曲げて、周縁部1aと4a及び周縁部2aと3aを接続し、その全域を加熱接着することにより図3に示すような構造を得るようにしたものである。
なお、この実施形態では、気体密封袋の基体10の、P面及びQ面の二等辺三角形の頂角を78°とすることで、立体成形後の気体密封袋10′において、梱包物Aの角部を挿入される箇所の角部が直角となる構造を実現したが、この角度の値は、筒状間仕切り幅の大きさが異なれば、それぞれの場合毎に設定することが必要である。
【0022】
なお、図1においては、三角形の一辺1aと長方形の一辺4aとを接続することにより、図3に示す気体密封袋10′を形成する気体密封袋の基体10を示しているが、これを図4で示すような、半三角形―長方形―二等辺三角形―長方形―半三角形で構成される基体密封袋の基体20により形成することも可能である。ここにいう半三角形とは、中心に位置する二等辺三角形を中線で二等分したものを表している。この形態の場合は、半三角形の一辺である周縁部1bと4bを、その接続部が密封袋の上面に現れるように接続し、さらに2bと3bを接続して加熱接着することにより、図2と同様の形状の気体密封袋を得ることができる。
なお、気体密封袋本体21においては、折り曲げ部16b〜19bに加えて、間仕切り部10b〜15b及び20b〜23bにも気体連通部を設け、一つの逆止弁により気体密封袋全体を膨満できるように構成した。
【0023】
次に、上記のように構成した気体密封袋の使用状態を作用、効果と共に説明する。
前記シート部材Xは注気口としての役割を備えた一種の逆止弁であり、剥離剤を一帯に塗布し、溶着処理が施されないようにした気体注入部Jの位置に、図2中J′で示す方向で空気の注入管を挿入し、該注入管から空気を圧入すると、空気は各列の部分的連通部pを通り、さらに各列の迷路構造なる気体の流通路q及びrを通って、最終的に、シート部材端部1xから気体密封袋本体11へ流れ出る構造となっている。
【0024】
すなわち、前記シート部材端部1xから供給された空気は、気体密封袋本体11全体を膨満し、その内圧によりシート部材Xにおける気体の流通路が塞がれ、内部に圧入された空気が逆流できない構造となっているものである。
【0025】
なお、前記シート部材Xの代わりに、注気口の役割を備えた逆止弁を設け、内部に注入した気体が逆流するのを防ぐ手段としてもよい。この逆止弁は、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムを二枚の長方形状にして重ね合わせ、その間に溶着阻害層を形成したもので、一体に備えられた注気口から、密封袋本体の方向に気体を流通させて、気体密封袋本体11内に気体を導入し、その逆方向には気体の流通を阻止する構造を有している。
この際、図1に示す気体密封袋の基体においては、間仕切り部の全域に熱溶着を施すこととしているため、この場合逆止弁は、周縁部1aまたは4aの位置の各列毎に、気体密封袋本体11を構成する二枚のプラスチックフィルムの間に挟んで備える必要がある。
この種のプラスチック製逆止弁は周知であり、(例えば実開平1−164142号公報、特開平7−10159号公報参照)その詳細は省略する。
【0026】
さらに、折り曲げ部9a〜11a対しては、部分的接着部と部分的連通部を交互に設けて加熱溶着を施してあるので、上記のように気体密封袋本体11内に供給された空気は、折り曲げ部9a〜11aの部分的連通部を通って、気体密封袋本体11全体を確実に膨満する事ができる。
また、折り曲げ部9a〜11aに部分的連通部を設けることにより、前記折り曲げ部9a〜11aを一様に加熱溶着した場合と比べ、前記折り曲げ部周辺に自由度が生まれ、これにより当該部分における折り曲げを可能とする効果もある。
なお、この実施形態においては間仕切り部12aないし19aに対しては一様に熱溶着が施されており、列同士の気体の流通ができない構造となっているが、これにより、一つの列が衝撃等によって破損しても、気体密封袋全体に影響が出ず、使用継続を可能とすることができる構造となっている。
【0027】
また、気体密封袋10′の側面部R及びSには、均等な高さに設けられた間仕切り部16aないし19aにより、膨らみの体積の等しい段が形成され、気体密封袋10′が側面から受ける衝撃を均等に受け止める事ができる。
また、気体密封袋10′の上面P及び底面Qには、間仕切り部12aないし15aにより、下にいくほど縦幅の小さい列が形成されるように構成されている。
これについて詳述すれば、三角形の面の場合、下の列ほど間仕切り部方向の長さが長くなるため、列の幅を同じにした場合、空気を挿入して筒状にした際、下列の筒ほど体積が大きくなり、結果として下列の筒ほど大きい直径を有するようになる。このような構造では、三角形の面が平面に対して安定に当たらなくなり、梱包物を安定に装着することができなくなるため、こうした構造が形成されるのを回避するため、上記のような工夫を行い、三角形の面が平面に対して平坦に当たり、物体を安定に装着できる構造を得られるようにしたものである。
【0028】
上記のように形成された気体密封袋10′は、その開口部28から挿入された被包装物Aの角部を保護するものである。またさらに、梱包物Aの残り3つの角についても同様に、それぞれ気体密封袋10′に挿入する事により、梱包物Aの四つ角でもって梱包物A全体を安定に保護する事ができるようにしたものである。
なお、側面部の厚さは適宜変えることが可能であり、被包装物Aの種々の高さに対応する事が可能である。
【0029】
また、本発明における気体密封袋10′は、梱包物の保護を行った状態で積み重ねる場合、間に段ボール等を挟むことなく、気体密封袋単独で積み重ねを行うことができるため、梱包物の保護に伴う廃棄物の量を軽減し、かつ安定に保護を行うことを可能とするものである。
【0030】
また、図1及び図3、4では、立体成形後の気体密封袋10′の頂角が閉じている構造のものを示したが、本発明の気体密封袋は、その頂角が空いている構造のものであってもよい。この構造の場合、挿入された梱包物Aの角部は、気体密封袋本体頂上部の空いている部分から、わずかにはみ出した状態で保護されることとなる。
また、図1及び図3、図4では、三角形の面における間仕切りを底辺と平行に引いた直線により設けることとしたが、これを頂点から底辺に向けて引いた、複数の直線により設けることとしてもよい。
【0031】
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る気体密封袋の基体30の平面図である。この実施の形態では、気体密封袋本体31は、長方形―三角形―長方形の形状からなる二枚の同形、同大のプラスチックフィルムで構成されている。この実施形態では、前記二枚のプラスチックフィルムの間に、注気口としての役割を備えた逆止弁33を、1cまたは4cの位置に各列毎に挟み、周縁部1cないし7c及び折り曲げ部16c、17c及び間仕切り部8cないし15cを加熱溶着することにより、気体密封袋の基体30が形成される。
なお、この実施形態においては、折り曲げ部16c、17cに気体連通部が設けられているが、この気体連通部を設けるために、該当する個所の表フィルム及び裏フィルムの間に溶着阻害物質を塗布して加熱接着を行う事が必要である。
また、実施形態1と同様に、この実施形態でも、長方形の面における間仕切り部8cないし13cは均等な高さとなるよう設けられており、三角形の面における間仕切り部14c、15cは、下の段にいくにつれ高さが小さくなるよう設けられている。
【0032】
この実施形態における気体密封袋は、さらに、前記のように構成した気体密封袋の基体30を、折り曲げ部16c、17cで折り曲げ、周縁部2cと3cを接続し、加熱接着することにより、気体注入後図6に示すような被包装物の角部を保護する構造を得るようにしたものである。
この形態の気体密封袋は、実施形態1の場合と異なり上面が無いため、被包装物の高さに拘わらず角部の保護を行うことができるものである。
【0033】
図7は、気体密封袋30と同様、上面の無い構造のものであり、底面が四角形の形状をとる気体密封袋の基体40を示すものである。
この場合も、気体密封袋の基体40は、前記気体密封袋10、20及び30の場合と同様、二枚の同形のプラスチックフィルムの間に、注気口としての役割を備えた逆止弁43を、3d及び1dの位置に挟み、加熱溶着して形成される。なお、1dの位置に挟む逆止弁は、7dと17dの間の領域に挟むこととする。この際、折り曲げ部9d、10dに加え間仕切り部11d〜16dにも、気体連通部を設けるよう、該当位置に剥離処理を施して加熱溶着を行う必要がある。そして、空隙Yでもって、折り曲げ部9d、10d及び17dにより、底面Tが底面U上にくるよう直角に回し込むように折り曲げ、図8で示すような、折り曲げ部9d、10d及び17dにより角部を形成する構造を得るようにしたものである。この場合底面は、T面及びU面による二重構造をとる。
【0034】
なお、図7においては、間仕切り部に適宜気体連通部を設け、各筒間の気体の流通を可能にすることにより、気体密封袋本体の一辺につき逆止弁を一つ備えれば、気体密封袋全体を膨満できる構造を示したが、これを、間仕切り部の全域に熱溶着を施し、各列毎に逆止弁43を備える構造としてもよい。
また、第一実施形態で示したのと同様、内圧で止める機構の逆止弁を備えて、気体の逆流を防ぐ手段としてもよい。
【0035】
<第3実施形態>
また、前述の実施形態においては、熱溶着により間仕切り部を設けたが、この間仕切りを、基体を構成するプラスチックフィルムの間に加熱接着して増設した、短巾のプラスチックフィルムにより設けることとしてもよい。
図9は、第3実施形態に係る気体密封袋の立体図であり、図10は、その側面の断面部を拡大して示したものである。
さらに図11は、図10で示した断面部の、気体を注入する前の状態を示したものであり、K点、L点、M点にはそれぞれ、気体密封袋本体を構成する二枚のプラスチックフィルムの間に増設された、間仕切り用プラスチックフィルムk、l、mが、山形状に折り畳まれたて備えられている。この状態で、K点、L点、M点において加熱処理を施すことにより、前記間仕切り用プラスチックフィルムk、l、mは、気体密封袋本体を形成する上下のプラスチックフィルムと一体に支持され得る。なお、間仕切り用プラスチックフィルムk、l、mの内側の面には、それぞれ剥離処理が施され、熱溶着がされない構造となっている。また、間仕切り用プラスチックフィルムk、l及びl、mは、一部重なった状態となっているが、これも、間仕切り用プラスチックフィルムl及びmの内側に施された剥離処理により、重なったフィルム同士が溶着されない構造となっており、K点、L点、M点が近くても、加工が可能な構造となっている。
この状態の気体密封袋に空気を挿入すると、気体密封袋の図11で示した部位は図10のような形態となり、気体密封袋を構成する上下のプラスチックフィルム間に、増設したフィルムによる中芯が備わった状態となる。本実施形態は、この増設したフィルムにより、図9で示すように気体密封袋に間仕切り構造を設けることとしたものである。
なお、本実施形態において、気体連通部を設けた状態で間仕切りを施す必要がある場合は、増設するフィルムの、図9中y方向の端部を、気体密封袋本体の中途位置から備えることにより、気体流通部を確保することが可能である。
【0036】
本実施形態により間仕切りされた面は、熱溶着によって間仕切りされた面と比べて、面自体に厚さが備わる。
また、熱溶着による間仕切りの場合、面を構成する各筒同士の接点は一点となり、内圧はこの点に集中するが、増設したフィルムによる間仕切りの場合、各筒同士の接点が2点となり、内圧が分散され得るため、クッション性が格段に大きくなる。
【0037】
図12は、図10で示した気体密封袋を、梱包物に装着した状態を示したものである。上記のような効果により、増設したフィルムにより間仕切りを施された気体密封袋は、熱溶着により間仕切りを施されたものと比べ、より重量物体の保護にも耐えうる構造を有するものである。
なお、各間仕切り間の間隔を狭くとれば、面に形成される柱の数が多くなり、梱包物の重量に対して耐える力が大きくなる。
さらに、間仕切りの間隔に対して、フィルムの高さ(図9中yで示す)を高くとれるほど、間仕切りを施した面の凹凸が少なくなり、梱包物に装着した際、より安定に保護することが可能となる。
なお、本実施形態においては、間仕切りを形成するフィルムを板状にして装着したものを示したが、これをリング状にして装着することとしてもよい。この場合も、フィルム同士が重なり合う箇所には、剥離処理を行う必要がある。
またさらに、図9においては、本実施形態に係る間仕切り構造を、第一実施形態に係る気体密封袋の側面に施した例を示したが、この間仕切り構造を、他の実施形態に係る気体密封袋の各面に適用することも可能である。
【0038】
図13は、図9ないし12で示した、増設したフィルムによる間仕切り構造を、複数段設けた構造を示したものである。
図13のA図は、気体を注入する前の、気体密封袋の一面の断面部であり、図Bはここに気体が注入された場合の状態を示したものである。図11で示したのと同様に、間仕切りとして増設されたフィルムの内側面には、剥離処理が施されている。図13では、1段目と2段目の間仕切り部のセンターを、半分ずつずらした構造となっているが、これにより、複数段の構造を安定に実現しているものである。
このような、増設したフィルムによる間仕切り構造を3段以上設けると、断面図の内側部は蜂の巣状となり、面を構成する筒が複数重なり合うことで、各筒間の相乗効果が生まれ、重量物体の圧力を均等に分散する事ができる。
このため、前述の気体密封袋の各面に、図13で示した複数段の間仕切り構造適用する事により、より重さに耐えうる構造の気体密封袋を実現することができる。
なお、図13では、間仕切り部のセンターを、半分ずつずらした構造を示しているが、これを各段の間仕切りが一列上に並ぶ構造にして構成することも可能である。
また、このような複数段の構造を気体密封袋の面に適用する場合、上段から下段にいくにつれ、徐々に面積を大きくし、階段上の構造とすることもできる。
図18に、上記階段構造を底面に適用した気体密封袋70′を、梱包物体Aに装着した状態を横から見た状態を示す。このような構造とすることにより、装着した梱包物が外れた場合、梱包物体に大きな破損が生じるのを防ぎ、複数段の面を適用した気体密封袋においても、梱包物を安定に保護できる効果が得られるものである。
【0039】
<第4実施形態>
また、第3実施形態に係る間仕切り構造を、長方形のプラスチックフィルムを重ね合わせて構成する気体密封袋に適用し、平板な板状の気体密封袋を形成して、これを広告用の看板等に使用することも可能である。この際、気体密封袋本体内に、空気より軽い気体を注入する事により、空中に浮かぶようにすることも可能であり、また、基体密封袋内に照明を入れた状態で使用する事も可能である。
【0040】
<第5実施形態>
また更に、気体密封袋本体と同時に端部の、任意の場所に曲げの構造を設けることにより、気体密封袋本体と一部隙間ができるような形状の物体の保護にも対応できるようにする事ができる。
図14は、第5実施形態に係る気体密封袋50′であり、第2実施形態において、底面が四角形の形状をとる気体密封袋(図7、8参照)の基体40に、曲げの構造を設けたものである。この実施形態では、気体密封袋本体と付属の気体密封袋Cとが、接続部Dにより気体連通可能に接続されており、接続部Dは、気体連通用通路において径の小さい細路通路を設けることにより、柔軟に折り曲げを行うことが可能な構造となっている。
図15は、図14における付属の気体密封袋C及び接続部Dの位置を拡大して示したものである。
このような構造を、気体密封袋50′と梱包物との間に隙間が生じる個所に設けることにより、この隙間に対し、付属の気体密封袋Cを接続部Dで折り曲げて差し込むことができるため、複雑な形状の梱包物をより安定に保護することが可能となる。
なお、この実施形態においては、第2実施形態に係る気体密封袋の基体40に対して、付属の気体密封袋C及び接続部Dを備えた構造を示したが、これらを他の実施形態に係る気体密封袋に備えることも可能である。
【0041】
<第6実施形態>
また、第6実施形態に係る気体密封袋60′は、気体密封袋本体端部の任意の場所に、あそびの構造を設け、梱包物体の体積が小さく、四つの角を保護することができない場合に、梱包物の二対角のみを保護する形態に対応できるようにしたものである。
図16は、第6実施形態に係る気体密封袋の基体60の平面図であり、第1実施形態における気体密封袋10(図1,3参照)の周縁部6a及び8aに沿って、あそび部E及びFを備えた構造を有している。図17に、気体密封袋の基体60を立体成形し、内部に空気を供給充填して膨満させた状態を示す。
このあそび部E及びFは、気体密封袋の基体60を立体成形した後も、前後の折り曲げが自由に行える構造となっており、被梱包物の2対角を保護した場合、気体密封袋の開口部同士が対向して重なりあっても、このあそび部を互いに上下に重ね合わせることができ、体積の小さい物体も安定に保護することができるような構造となっている。
なお、この実施形態においては、第1実施形態に係る気体密封袋の基体10に対して、あそび部E及びFを備えた構造を示したが、これらを他の実施形態に係る気体密封袋に備えることも可能である。
【符号の説明】
【0042】
10、20、30、40、60、 気体密封袋の基体
10′、30′、40′、50′、60′ 気体密封袋
11、21、31、41、61 気体密封袋本体
23、33、43、53、63 逆止弁
1a〜8a、1b〜9b、1c〜7c、
1d〜8d、1f〜8f 周縁部
9a〜11a、16b〜19b、
16c、17c、9d〜10d、
17d、19f〜21f 折り曲げ部
12a〜19a、10b〜15b、20b〜23b、
8c〜15c、11d〜16d、9f〜18f 間仕切り部
28 開口部
1x シート部材端部
2x、3x、4x 溶着部
5x、6x 部分的溶着部
A 梱包物
C 付属の気体密封袋
D 接続部
E、F あそび部
K、L、M 加熱溶着点
J 気体注入部
J′気体注入方向
P、Q、R、S 気体密封袋10における各面
T、U 気体密封袋40における底面
X シート部材
Y 空隙部
R′ 図9における気体密封袋の側面
k、l、m 間仕切り用フィルム
p 部分的連通部
q、r 気体の流通路
y プラスチックフィルムによる間仕切りの高さ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】特開2002−225945号公報
【特許文献2】特開2003−175944号公報
【特許文献3】実開平1−164142号公報
【特許文献4】特開2002−104520号公報
【特許文献5】特開平7−10159号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のプラスチックフィルムで構成され、周縁部を重ね合わせて熱溶着により密閉し、内部に気体を封入する気体密封袋において、
前記気体密封袋は、外部から気体を注入する気体注入部を備え、
前記気体注入部は、2枚のプラスチックフィルムの間にシート部材を入れて、
前記シート部材は、1部を残して、2枚のいずれかの1枚のプラスチックフィルムと周縁部を熱溶着して逆止弁とし、気体を充満させ、かつ、充満させた気体を外部に漏洩させない
ことを特徴とする気体密封袋。
【請求項2】
請求項1に記載の気体密封袋において、
前記2枚のプラスチックフィルムは、両表面に熱溶着性があり、
前記シート部材は、柔軟で、熱溶着性がある
ことを特徴とする気体密封袋。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の気体密封袋において、
前記2枚のプラスチックフィルムは、ポリアミド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂の何れかをポリエチレン又はポリプロピレンでラミネートし、
前記シート部材は、ポリアミド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂の何れかを金属製フィルムでラミネートしている
ことを特徴とする気体密封袋。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の気体密封袋において、
前記気体注入部は、シート部材の端部までの間にジクザグの迷路構造を有する
ことを特徴とする気体密封袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−143630(P2009−143630A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69896(P2009−69896)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【分割の表示】特願2006−527607(P2006−527607)の分割
【原出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(308030732)
【Fターム(参考)】