説明

気体封入体の製造方法及び気体封入体製造型

【課題】 気体封入体の溶断工程において、確実に溶断し気体封入体を形成することができる気体封入体の製造方法及び気体封入体製造型を提供する。
【解決手段】2枚の合成樹脂シート16,16を重ねる工程と、重ねられた合成樹脂シート16,16の上方より気体封入体製造型18を押圧して2枚の合成樹脂シート16,16を溶着することで、2枚の合成樹脂シート16,16間において、気体導入部11と、気体導入部11から分岐された細巾の通管13と、通管13を介して連設された気体封入部14が形成される工程と、気体導入部11より気体を導入することで、通管13を介して連設された気体封入部11が膨張形成される工程と、通管13の気体封入部側端部15を溶断することで、気体封入部14内に気体を封入して気体封入部14を所定形状に形成する工程と、所定形状の気体封入部14を合成樹脂シート16,16内から取り出す工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体封入体の製造方法及び気体封入体製造型に係り、特に、合成樹脂シートからの溶断を容易かつ確実に行なえる気体封入体の製造方法及び、合成樹脂シートからの溶断を容易かつ確実に行ない得る気体封入体を形成しうる気体封入体製造型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2枚の合成樹脂シートを重ね合わせて高周波溶着等を行ない、空気導入管と上記空気導入管から分岐した複数の連通管と上記連通管に連設される動物等の形状の膨出部とを形成する工程と、上記連通管を介して空気を注入することにより上記膨出部を形成する工程と、上記連通管を、上記膨出部側端部において同様に高周波溶着等により溶着することにより、上記連通管を、膨出部側端部において閉塞して溶断し、上記膨出部内に空気を密封する溶断工程と、上記膨出部を1個ずつ分割して摘出する工程とからなる空気入りビニール人形の製造法が存在する(特許文献1)。
【特許文献1】特開昭54−6636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、特許文献1に係る発明は、上記高周波溶着等により上記連通管を溶着し、上記膨出部内に空気を密封する工程は、空気注入工程の後に行われるものであるため、注入された空気により上記連通管も膨張している。
従って、上記連通管を形成する2枚の上記合成樹脂シート間が離間しているため、高周波溶着等により、上記連通管を膨出部側端部において溶着する際に、上記連通管の溶断が確実に行えず、上記溶断工程の後に、膨出部を摘出する際に容易に摘出が行ない場合がある、という不具合が存していた。
【0004】
また、このように上記連通管の溶断が確実に行なえない場合には、使用の際に上記溶断部が破損し、上記溶断部から空気が漏洩する場合があり、膨出部により形成される製品としての耐久性に問題がある場合もあった。
そこで、本発明にあっては、気体封入体の溶断工程において、確実に溶断することにより気体封入体を形成することができる気体封入体の製造方法及び気体封入体製造型を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0005】
このような技術的課題解決のため、請求項1の記載の発明にあっては、溶着により縫合して作成する気体封入体10の製造方法であって、2枚の合成樹脂シート16,16を重ねる工程と、上記重ねられた合成樹脂シート16,16の上方より気体封入体製造型18を押圧して上記2枚の合成樹脂シート16,16を溶着することにより、上記2枚の合成樹脂シート16,16間において、気体導入部11と、上記気体導入部11から分岐された細巾の通管13と、上記通管13を介して連設された気体封入部14が形成される工程と、上記気体導入部11より気体を導入することにより、上記通管13を介して連設された上記気体封入部11が膨張形成される工程と、上記通管13の気体封入部側端部15を溶断することにより、上記気体封入部14内に気体を封入して気体封入部14を所定形状に形成する工程と、上記所定形状の気体封入部14を上記合成樹脂シート16,16内から取り出す工程とを有することを特徴とする気体封入体10の製造方法に関するものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、上記通管13は、上記気体導入部11から分岐されて上記合成樹脂シート16,16外方に向かって複数形成され、上記通管13に連設された気体封入部14が複数形成されることを特徴とする上記請求項1記載の気体封入体10の製造方法に関するものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、上記気体導入部11に、外部より気体を導入可能であって、上記導入した気体を封入しうる気体封入弁部12を設ける工程をさらに有することを特徴とする請求項1又は2記載の気体封入体10の製造方法に関するものである。
【0008】
請求項4記載の発明は、合成樹脂シート16,16を溶着して気体封入体10を形成するのに用いられる気体封入体製造型18であって、上記気体封入体製造型18は、気体導入部形成枠部20と、上記気体導入部形成枠部20から分岐された細巾の通管形成枠部21と、上記通管形成枠部21に連設された気体封入部形成枠部22とにより形成されたことを特徴とする気体封入体製造型18に関するものである。
【0009】
請求項5記載の発明は、上記気体封入体製造型18は、形成しようとする気体封入体10の平面輪郭形状を形成しうる枠体により形成され、上記細巾の通管形成枠部21は上記気体封入部形成枠部22の巾寸法の1/8以下に形成されていることを特徴とする上記請求項4記載の気体封入体製造型18に関するものである。
【0010】
請求項6記載の発明は、上記通管形成枠部15は、通路状に形成された上記気体導入部形成枠部20の両側に一対に設けられ、上記気体封入部形成枠部22は、上記通管形成枠部21の端部に夫々形成されていることを特徴とする上記請求項5記載の気体封入体製造型18に関するものである。
【0011】
請求項7記載の発明は、上記合成樹脂シート16,16を溶着して気体封入体10を形成するのに用いられる気体封入体製造型18は、ウェルダー溶着用金型であることを特徴とする上記請求項6記載の気体封入体製造型18に関するものである。
【0012】
請求項8記載の発明は、上記通管形成枠部21には、上記気体封入部形成枠部側端部36において、上記通管形成枠部21の巾寸法よりも小さい巾寸法を有する部位37が形成されていることを特徴とする上記請求項7記載の気体封入体製造型。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、上記通管21の溶断工程において、上記通管21の巾寸法が細巾に形成されているため上記気体封入側端部15を容易に溶断を行なうことができ、かつ、上記気体封入部14の形成を確実に行うことができる。
その結果、気体封入部14を合成樹脂シート16,16から個別に摘出し、それぞれ製品として使用した場合であっても、溶着部位が確実に形成されていることから、溶着部位からの空気漏れを防止することができ、製品に対する信頼性を確保することができる。
【0014】
また、合成樹脂シート16,16からの摘出に際しても、確実に溶断されていることから容易に摘出することができ、気体封入体14を迅速に作製することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、上記通管13及び、上記通管13に連設された気体封入部14が複数形成されることから、一工程により同時に複数の気体封入体14を形成することが可能となり、気体封入体14の製造作業の効率化を図ることができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加え、
上記気体封入弁部12を介し上記気体導入部11内に気体の封入が可能となるため、上記気体封入体12内への気体の導入が容易になるとともに、上記気体封入部14内への気体封入後に上記気体封入弁部12を閉塞することにより、上記気体封入部14内に気体を封入した状態を保持することが可能となる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、上記気体封入体製造型18により、細巾の通管13を形成することが可能となるため、上記通管13内に気体が封入された場合であっても、上記気体封入体製造型18により形成された上記気体封入部の気体封入部側端部15を溶断する溶断工程を容易にかつ確実に行うことが可能となる
その結果、請求項3記載の発明にあっては、気体封入部14を合成樹脂シート16,16から個別に摘出し、それぞれ製品として使用した場合であっても、溶着部位が確実に形成されていることから、溶着部位からの空気漏れを防止することができ、製品に対する信頼性を確保することができる。
また、合成樹脂シート16,16からの摘出に際しても、確実に溶断されていることから容易に摘出することができ、気体封入体14を迅速に作製することができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項4の発明の効果に加え、上記気体封入体製造型18は、形成しようとする気体封入体の形状に合わせた枠体を有することから、種々の形状の気体封入体の形成が可能となるとともに、上記通管形成枠部21は、上記気体封入部形成枠部22の巾寸法の1/8以下であることから、上記気体封入部14の気体封入側端部15を溶断する溶断工程を容易にかつ確実に行うことが可能となる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、請求項4及び請求項5の発明の効果に加え、上記通管形成枠部21は、上記気体導入部形成枠部20の両側に一対に設けられていることから、一工程により同時に複数の気体封入体の形成が可能となり、生産作業の効率化を図ることが可能となる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の発明の効果に加え、上記気体封入体製造型18は、ウェルダー溶着用金型であることから、上記ウェルダー溶着用金型を用いて、ウェルダー溶着による気体封入体10の製造を行うことが可能となる。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明の効果に加え、上記通管形成枠部21は、上記気体封入部形成枠部側端部36において、上記通管形成枠部21の巾寸法よりも小さい巾寸法を有する部位37が形成されていることから、製作時には、上記通管13よりも小さい巾寸法を有する気体封入側端部15を形成しうることが可能となり、上記気体封入側端部15を溶断することにより、上記気体封入部14の溶断工程を容易にかつ確実に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づき、本発明にかかる気体封入体の製造方法及び気体封入体製造型を詳細に説明する。
【0023】
本実施の形態に係る気体封入体10の製造方法は、図1に示すように、2枚の合成樹脂シート16,16を重ねる工程Aと、上記重ねられた合成樹脂シート16,16の上方より気体封入体製造型18を押圧して上記2枚の合成樹脂シート16,16を溶着することにより、上記2枚の合成樹脂シート16,16間において、気体導入部11と、上記気体導入部11から分岐された細巾の通管13と、上記通管13を介して連設された気体封入部14が形成される工程Cと、上記気体導入部11より気体を導入することにより、上記通管13を介して連設された上記気体封入部11が膨張形成される工程Dと、上記気体封入部14の上記気体封入側端部15を溶断することにより、上記気体封入部14内に気体を封入して気体封入部14を所定形状に形成する工程Eと、上記所定形状の気体封入部14を上記合成樹脂シート16,16内から取り出す工程Fとを有している。
【0024】
また、本実施の形態に係る製造法にあっては、同様にして図1に示すように上記通管13は、上記気体導入部11から分岐されて上記合成樹脂シート16,16外方に向かって複数形成され、上記通管13に連設された気体封入部14が複数形成されるように構成されている。
また、本実施の形態にあっては、さらに、2枚の合成樹脂シート16,16を重ねる工程Aの後には、上記気体導入部11に、外部より気体を導入可能であって、上記導入した気体を封入しうる気体封入弁部12が設けられる工程Bを有している。
【0025】
また、本実施の形態に係る合成樹脂シート16,16を溶着して気体封入体10を形成するのに用いられる気体封入体製造型18は、気体導入部形成枠部20と、上記気体導入部形成枠部20から分岐された細巾の通管形成枠部21と、上記通管形成枠部21に連設された気体封入部形成枠部22とにより形成されている。
また、上記気体封入体製造型18は、形成しようとする気体封入体10の平面輪郭形状を形成しうる枠体により形成され、上記細巾の通管形成枠部21は上記気体封入部形成枠部22の巾寸法の1/8以下に形成されている。
【0026】
また、上記通管形成枠部15は、通路状に形成された上記気体導入部形成枠部20の両側に一対に設けられ、上記気体封入部形成枠部22は、上記通管形成枠部21の端部に夫々形成されている。
また、上記合成樹脂シート16,16を溶着して気体封入体10を形成するのに用いられる気体封入体製造型18は、ウェルダー溶着用金型である。
また、上記通管形成枠部21は、上記気体封入部形成枠部側端部36において、上記通管形成枠部21の巾寸法よりも小さな巾寸法を有する溶断部37が形成されている。
【実施例】
【0027】
本実施例に係る気体封入体10は、内部に空気等を封入し種々の形状を有し、例えば、広告媒体、空気玩具等各種の用途に用いられる。
本実施の形態に係る気体封入体10の製造方法は、図1に示すように、2枚の合成樹脂シート16,16を重ねる予備工程Aと、2枚の合成樹脂シート16,16を重ねる工程Aの後には、上記気体導入部11に、外部より気体を導入可能であって、上記導入した気体を封入しうる気体封入弁部12が設けられる気体封入弁部取り付け工程Bと、上記合成樹脂シート16,16を溶着することにより、気体導入部11と、上記気体導入部11から分岐された細巾の通管13と、上記通管13を介して連設された気体封入部14が形成される溶着工程Cと、上記気体封入部14が膨張形成される気体導入工程Dと、上記気体封入部14の上記気体封入側端部15を溶断することにより、上記気体封入部14内に気体を封入して上記気体封入部14を所定形状に形成する溶断工程Eと、上記気体封入部12を上記合成樹脂シート16内から取り出す摘出工程Fとにより構成されている。
【0028】
図2に示すように、上記2枚の合成樹脂シート16,16を重ねる予備工程Aにおいては、矩形平面板状の2枚の熱可塑性樹脂シートを重ね合わせて型台35上に載置する。
上記2枚の合成樹脂シート16,16のうち、表面側樹脂シート16aの上面側及び裏面側樹脂シート16bの下面側には、上記気体封入体10の形成箇所に表現すべき所望の模様を予め印刷または着色処理がなされている。
上記合成樹脂シート16a,16bは、透明、半透明、不透明もしくは着色不透明の樹脂材料により形成され、比較的軟質の樹脂素材により形成され、ポリ塩化ビニール、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン等素材により形成される。
【0029】
この合成樹脂シート16,16を溶着する場合には、図3に示す気体封入体製造型18が使用される。
本実施例にあっては、上記気体封入体製造型18は、全体平面略長方形状に形成され、幅方向中央部において長さ方向に形成された気体導入部形成枠部20と、上記気体導入部形成枠部20から幅方向に複数分岐して形成された細巾の通管形成枠部21と、上記通管形成枠部21に夫々連設された気体封入部形成枠部22とを有している。
上記気体封入体製造型18の高さ寸法は、製造対象となる気体封入体10の寸法形状により異なり、本実施例においては厚さ寸法5mm、高さ寸法40mmの金属枠体により形成される。
【0030】
上記気体導入部形成枠部20は、平面長楕円形状を有する通路状に形成されている。
本実施例にあっては、長さ方向の端部には、膨出部31が形成されている。
上記通管形成枠部21は、上記気体導入部形成枠部20から幅方向に沿って所定間隔毎に分岐して形成され、本実施例においては上記気体導入部形成枠部20の幅方向両側において各々5ヶ所に、気体導入部形成枠部壁面部20aに直交して、上記壁面部20aと同一の深さ寸法の金属枠体により形成されている。
上記通管形成枠部21は、細幅に形成され、本実施例にあっては、気体封入部形成枠部22の内径寸法の1/8の内径寸法に形成されている。また、上記通管形成枠部21の気体封入部形成枠部側端部36においては、幅寸法がより小さい溶断部形成部30が形成されている。
【0031】
この通管形成枠部21の端部には気体封入部形成枠部22がそれぞれ形成され、全体として10個の気体封入部形成枠部22が形成されている。本実施例においては、上記気体封入部形成枠部22は、平面略円形の気体封入体10を形成しうるように、平面略円形の短円筒からなる平面輪郭形状に形成されている。
上記気体封入体製造型18には、上記両側において気体封入部形成枠部22、通管形成枠部21及び気体導入部形成枠部20を保持しうる枠部内固定軸部23と、気体封入部形成枠部22を保持しうる枠部外固定軸部26が設けられている。
【0032】
上記枠部内固定軸部23は、短固定軸部24と長固定軸部25とにより形成され、上記短定軸部24は、上記気体封入部形成枠部21の両側において、夫々5個配置された気体封入部形成枠部22内において直径方向に、上記気体導入部形成枠部20と略平行に配置されている。
また、上記長固定軸部25は、上記気体導入部形成枠部20と、上記通管形成枠部21と、上記気体封入部形成枠部22とを貫通して上記気体導入部形成枠部20と直交方向に設けられ、上記気体封入部形成枠部22において、上記短固定軸部24と直交方向に交差して配置されている。
上記長固定軸部25は、上記通管形成枠部21に対してネジ又はボルト等により固定されている。
【0033】
上記枠部外固定軸部26は、上記気体封入部形成枠部22の外方において、上記気体導入部形成枠部20と略平行方向に配設され、両側において5個づつ形成された上記気体封入部形成枠部22同士を互いに接合固定されている。
【0034】
上記枠部外固定軸部26は、上記気体封入部形成枠部22に対してネジやボルト等により固定されている。上記枠部内固定軸部26及び上記枠部内固定軸部23により、上記気体封入体製造型18のねじれ強度が向上し、長年の使用による寸法変化の少ない強固な気体封入体製造型18を形成することができる。
また、上記気体封入部11内に気体が封入され、上記気体封入部11内が膨張した場合に、上記膨張する気体封入部11が上記枠部内固定軸部23に当接することにより、上記気体封入部11の膨張を適切なものとすることができる。
【0035】
次に、図2に示すように、気体封入体を成形する場合には、上記気体封入弁部取り付け工程Bにおいて、表面側の合成樹脂シートに、幅方向略中央部であって、気体封入弁部12を溶着固定する。この気体封入弁部12は、気体封入体製造型18を合成樹脂シート16上に配置した場合に、気体導入部形成枠部20の膨出部31内に配置される位置に固定する。
上記気体封入弁部12は、図6に示すように上記気体導入部11内に気体が挿通可能な穴部38と、上記穴部を封止しうる弁蓋部39により構成される。上記弁蓋部39は上記穴部38と連設された比較的軟質素材により形成された係止継手40により係止される。
その後、図5に示すように、溶着工程Cにおいて、上記気体封入体製造型18を、合成樹脂シート16,16の上方から載置押圧し、この状態で、気体封入体製造型18に高周波を印加することにより、上記合成樹脂シート16a,16bを溶着する。
この高周波溶着により、図6に示すように、重ねあわされた合成樹脂シート16,16上に、気体導入部11と、上記気体導入部11から分岐された細巾の通管13と、上記通管13を介して連設された気体封入部14が形成される。
【0036】
このようにして、合成樹脂シート16,16上に形成された上記気体導入部11は、所定の長さに形成された上記合成樹脂シート16,16の幅方向中央部において、上記合成樹脂シート16の長さ方向に沿って略長楕円形状に形成されている。
本実施例においては、上記気体導入部11の巾寸法は32mm、長さ寸法は370mmに形成されている。
上記気体導入部11の長さ方向の端部には、上記気体導入部形成枠部20の膨出部31により弁部取付け部32が形成され、この弁部取付け部32内に気体封入弁部12が配置される。
【0037】
上記通管13は、上記気体導入部11より分岐され、所定の間隔を置いて上記気体導入部11に連設されている。本実施例においては、上記通管13の巾寸法Nは、上記気体封入部14の巾寸法Mの略1/8に形成されている
【0038】
上記気体封入部14は、上記通管13を介して上記通管13の端部方向に連設され、形成しようとする気体封入体10の輪郭形状と同形の輪郭形状に形成されている。
【0039】
次に、上記気体導入工程Dにおいては、上記気体封入弁部12を介して、上記気体導入部14に形成された気体封入弁部12の穴部38内に、外部より圧縮空気等の気体を導入し、上記気体導入部12内に充満した気体が上記通管13を介して、上記気体封入部14内に流入されることにより行われる。
これにより、図7及び図8に示すように、気体封入部14が半球状となって膨出し、合成樹脂シート16の表面上に膨出形成されるものである。
【0040】
次に、上記溶断工程Eにおいて、気体封入部14内に気体を封入して気体封入部を所定形状に形成する。即ち、本工程にあっては、上記気体封入部14が膨張形成される上記工程Dにより所望の所定形状にまで膨張形成された場合に、気体封入部14において、上記気体封入部14と上記通管13との気体封入部側端部15に形成された、通管13よりも細幅の溶断部37に、上方よりウェルダー溶断刃を押圧することにより上記溶断部37を溶断することにより行なわれる。
上記気体封入側端部15の溶断工程Eにより、上記気体封入部14内に封入された気体が封入され、上記気体封入部を所望の所定形状に保持することができる。
【0041】
図6に示すように、上記通管13には、上記気体封入体製造型18の溶断部形成部30により、巾寸法Pが上記通管13の巾寸法Nよりも小さく形成された溶断部37が形成されている。
従って、本実施例にあっては、細幅に形成された通管13の、気体封入部側端部15に形成された、幅寸法がより小さな溶断部37においてウェルダー溶断刃により溶断されることから、導入された圧縮空気により通管13は膨張しているが、上記溶断部37における合成樹脂シート16a,16bとの間は非常に近接していることから、溶断刃による溶着の際にも、圧縮空気の圧力反撥を考慮してもなお溶着されやすく、確実に、気体封入体10を、通管13の気体封入側端部15において溶断することが可能となる。
また、同時に、溶断部37において確実に溶断されることから、溶着部位も確実に溶着され、気体封入体10において溶着部位から気体が漏れる事態を防止できる。
【0042】
最後に、上記気体封入部14を合成樹脂シート16,16内から取り出す工程Fにおいて、上記溶断工程Eにおいて、成型分離された各気体封入体10を摘出することにより行なわれる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本件発明は、気体封入体の製造方法及び気体封入体製造用気体封入体製造型に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る気体封入型の製造方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る空気封入型の製造方法の一実施例を示し、2枚の合成樹脂シート16,16を重ねた状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る気体封入体製造型の一実施例を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る気体封入体製造型の一実施例を示す平面図である。
【図5】本発明に係る空気封入体の製造方法の一実施例を示し、製造型を用いて溶着する工程を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る空気封入体の製造方法の一実施例を示し、製造型により溶着成型された合成樹脂シートを示す斜視図である。
【図7】本発明に係る空気封入体の製造方法の一実施例を示し、溶着成型された合成樹脂シート内に空気を導入した状態を示す平面図である。
【図8】本発明に係る空気封入体の製造方法の一実施例を示し、溶着成型された合成樹脂シートに空気が導入された膨出成型された空気封入体を拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
10 気体封入体
11 気体導入部
12気体封入弁部
13通管
14気体封入部
15気体封入側端部
16 合成樹脂シート
17 幅方向中央部
18 気体封入体製造型
20気体導入部形成枠部
21通管形成枠部
22気体封入部形成枠部
23枠部内固定軸部
24短固定軸部
25長固定軸部
26枠部外固定軸部
30 溶断部形成部
31 膨出部
32 弁部取付け部
35 型台
36 気体封入部形成枠部側端部
37 溶断部
38 穴部
39 弁蓋部
40 係止継手
M 巾寸法(気体封入体)
N 巾寸法(通管)
P 巾寸法(溶断部)
A 予備工程
B 気体封入弁部取り付け工程
C 溶着工程
D 気体導入工程
E 溶断工程
F 摘出工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶着により縫合して作成する気体封入体の製造方法であって、
2枚の合成樹脂シートを重ねる工程と、
上記重ねられた合成樹脂シートの上方より気体封入体製造型を押圧して上記2枚の合成樹脂シートを溶着することにより、上記2枚の合成樹脂シート間において、気体導入部と、上記気体導入部から分岐された細巾の通管と、上記通管を介して連設された気体封入部が形成される工程と、
上記気体導入部より気体を導入することにより、上記通管を介して連設された上記気体封入部が膨張形成される工程と、
上記通管の上記気体封入部側端部を溶断することにより、上記気体封入部内に気体を封入して気体封入部を所定形状に形成する工程と、
上記所定形状の気体封入部を上記合成樹脂シート内から取り出す工程とを有することを特徴とする気体封入体の製造方法。
【請求項2】
上記通管は、上記気体導入部から分岐されて上記合成樹脂シート外方に向かって複数形成され、
上記通管に連設された気体封入部が複数形成されることを特徴とする上記請求項1記載の気体封入体の製造方法。
【請求項3】
上記気体導入部に、外部より気体を導入可能であって、上記導入した気体を封入しうる気体封入弁部を設ける工程をさらに有することを特徴とする請求項1又は2記載の気体封入体の製造方法。
【請求項4】
合成樹脂シートを溶着して気体封入体を形成するのに用いられる気体封入体製造型であって、
上記気体封入体製造型は、気体導入部形成枠部と、上記気体導入部形成枠部から分岐された細巾の通管形成枠部と、上記通管形成枠部に連設された気体封入部形成枠部とを有することを特徴とする気体封入体製造型。
【請求項5】
上記気体封入体製造型は、形成しようとする気体封入体の平面輪郭形状を形成しうる枠体により形成され、上記通管形成枠部の内径巾寸法は上記気体封入部形成枠部の内径巾寸法の1/8以下に形成されていることを特徴とする上記請求項4記載の気体封入体製造型。
【請求項6】
上記通管形成枠部は、通路状に形成された上記気体導入部形成枠部の両側に一対に設けられ、上記気体封入部形成枠部は、上記通管形成枠部の端部に夫々形成されていることを特徴とする上記請求項5記載の気体封入体製造型。
【請求項7】
上記合成樹脂シートを溶着して気体封入体を形成するのに用いられる気体封入体製造型は、ウェルダー溶着用金型であることを特徴とする上記請求項6記載の気体封入体製造型。
【請求項8】
上記通管形成枠部には、上記気体封入部形成枠部側端部において、上記通管形成枠部の巾寸法よりも小さい巾寸法を有する部位が形成されていることを特徴とする上記請求項7記載の気体封入体製造型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−62264(P2006−62264A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−249220(P2004−249220)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(395004438)株式会社金澤ビニール (2)
【Fターム(参考)】