説明

気密容器及び画像表示装置の製造方法

【課題】第一の基板12と第二の基板13の間に、両者間の隙間の周囲を囲む枠部材14が挟み込まれ、第一の基板12と第二の基板13がそれぞれ枠部材14に接合された気密容器10の製造方法において、気密容器10を多面取りする場合の接合時においても、基板を傷付けることなく、簡便な制御により効率良く加圧できるようにする。
【解決手段】第一の基板12と、第二の基板13と、枠部材14と、第一の基板12及び第二の基板13の少なくとも一方と枠部材14との間に設けられた接合材11とを備えたアッセンブリ構造体30を用意し、内部圧力を外部圧力より低くすることで上面部45を引き下げ可能な閉容器40内に収納し、密閉容器40の内部圧力を外部圧力より低くすることで上面部45を引き下げて、上面部に対向する第一の基板12又は第二の基板13を加圧した状態で、接合材11に接合を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向する第一の基板と第二の基板の間に、両者間の隙間の周囲を囲む枠部材を挟み込み、第一の基板と第二の基板をこの枠部材にそれぞれ接合材で接合した気密容器の製造方法及びこの気密容器を外囲器とする画像表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機LEDディスプレイ(OLED)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のフラットパネル型の画像表示装置が知られている。これらの画像表示装置は、互いに対向するガラス板等の二枚の基板を気密接合することで製造される、内部空間が外部空間に対して仕切られた外囲器を備えている。フラットパネル型の画像表示装置の外囲器等の気密容器を製造するには、互いに対向する基板の間に、必要に応じて間隔規定部材及びそれを接合するための局所的な第二の接合材を配置し、周辺部に連続した枠状に第二の接合材を配置して、加熱接合を行う。第二の接合材の加熱方法としては、基板全体を加熱炉によってベークする方法や、局所加熱により第二の接合材周辺を選択的に加熱する方法が知られている。局所加熱は、加熱冷却時間、加熱に要するエネルギー、生産性、容器の熱変形防止、容器内部に配置された機能デバイスの熱劣化防止等の観点から、全体加熱より有利である。特に、局所加熱の手段としてレーザ光が知られている。局所加熱手段による気密容器の製造方法は、内部に機能デバイスを具備しない真空断熱ガラスの製造方法として適用可能であることも知られている。
【0003】
特許文献1には、接合材としてガラスフリットを用いた気密容器の製造方法が開示されている。この方法では、まず、第一の基板と第二の基板とを、両者間に接合材を挟持して対向させる。この状態で、加圧ローラと半導体レーザ装置と加圧シリンダを備えた接合装置を、XY駆動装置にて、接合材を挟んだ部位に沿って走査させる。この走査と同時に、加圧シリンダを駆動して、制御コンピュータにより計算された加圧力で加圧ローラで基板を加圧する。この加圧を行いながら、加圧ローラを回転移動させ、同時に半導体レーザ装置からレーザ光を照射することで、接合材を溶融させ、第一及び第二の基板を接合することで気密容器を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−070687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、接合装置を走査させながら加圧ローラで加圧するのでは、局所的な加圧力が回転体によって加えられるため、加圧される基板に傷が入り易い問題がある。特に接合装置を高速で走査させると、一層基板に傷が入りやすくなる。このため、走査速度や加圧力の制御も繊細となり、制御系が複雑になりやすい。また、気密容器を多面取りする場合、基板が大型化し、加圧ローラで加圧する範囲も広くなることから、効率的な接合処理が行いにくい問題もある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、気密容器を多面取りする場合の接合時においても、基板を傷付けることなく、簡便な制御により効率良く加圧できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的のために、隙間を開けて対向する第一の基板と第二の基板の間に、前記隙間の周囲を囲む枠部材が挟み込まれており、前記第一の基板と第二の基板がそれぞれ前記枠部材に接合材で接合された気密容器の製造方法において、
対向配置された前記第一の基板及び第二の基板と、前記第一の基板と第二の基板との間に挟まれた枠部材と、前記第一の基板及び第二の基板の少なくとも一方と前記枠部材との間に設けられた接合材とを備えたアセンブリ構造体を用意する工程と、
上面部、下面部及び周側部を有し、内部圧力を外部圧力より低くすることで上面部を引き下げ可能な閉容器の中に、前記アセンブリ構造体を、前記第一の基板又は第二の基板を上面部に対向させて収納する工程と、
前記密閉容器の内部圧力を外部圧力より低くすることで前記上面部を引き下げて、前記上面部に対向する前記第一の基板又は第二の基板を加圧した状態で、前記接合材により、前記第一の基板及び第二の基板の少なくとも一方と前記枠部材とを接合する工程と
を有することを特徴とする気密容器の製造方法を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、上記気密容器の製造方法で製造された気密容器を外囲器として構成することを特徴とする画像表示装置の製造方法を提供するものでもある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、密閉容器の内部圧力を外部圧力より低くすることで、上面部を引き下げ、これによって、上面部に対向する第一の基板又は第二の基板を加圧することができる。この加圧は、上面部に対向する第一の基板又は第二の基板の全面を押圧する静的な加圧である。このため、上面部に接する第一の基板又は第二の基板を傷付ける恐れがないと共に、大型のマザー基板を用いた多面取りでも、対応する大きさの密閉容器さえ用意すれば、一度に押圧することができ、効率的な接合処理が可能である。また、加圧力は、基本的には密閉容器内の圧力制御で調整することができ、簡便な制御システムで制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の気密容器の製造方法の第一の例を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の気密容器の別の製造方法の第二の例を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の気密容器の別の製造方法の第三の例を示す模式的断面図である。
【図4】本発明の気密容器の別の製造方法の第四の例を示す模式的断面図である。
【図5】本発明の気密容器の別の製造方法の第五の例を示す模式的断面図である。
【図6】本発明の気密容器の製造方法を適用して外囲器を製造可能なFEDの構成を示す一部を切欠した模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の気密容器の製造方法は、内部空間が外部雰囲気から気密遮断されることが必要なデバイス(内部構造部材)を有するFED、OLED、PDP等の画像表示装置の外囲器の製造方法に適用することが可能である。また、本発明の気密容器の製造方法は、上述の気密容器の製造に限定されるものではなく、対向するガラス等の基材の周縁部に、気密性が要求される接合部を有する気密容器の製造に広く適用することができる。例えば、気密容器は真空断熱ガラスであってもよい。
【0012】
以下、本発明の製造方法の実施の形態についてについて説明する。なお、画像表示装置の外囲器として用いる気密容器を製造する場合を例に説明する。また、以下に参照する図面の符号で同じ符号は同様の構成要素を示す。
【0013】
第一の例について図1に基づいて説明する。まず、図6で説明する蛍光体25、ブラックストライプ26及びメタルバック27を具備した第一の基板12と、枠部材14と、第二の基板13とを準備する。なお、以下の説明においては、画像表示装置の外囲器として用いる気密容器10を製造する場合を例とし、第一の基板12をフェースプレート12とし、第二の基板13をリアプレート13として説明する。フェースプレート12、リアプレート13及び枠部材14としては、透明で透光性を有する材料が用いられる。また、局所加熱光48の使用波長及び接合材11の吸収波長域において、これらの部材が良好な波長透過性を有していることが望ましい。具体的には、ソーダライムガラス、高歪点ガラス、無アルカリガラス等が使用可能である。
【0014】
枠部材14は、例えばフェースプレート13に予め接合して一体化させておくことができる。この接合は、フェースプレート12の蛍光体25の形成面に、不図示の接合材を連続した周状に配置し、この接合材と枠部材14とを接触させて、不図示の加圧部材により仮組みし、例えば雰囲気焼成炉にて加熱することで行うことができる。
【0015】
枠部材14のフェースプレート12との接合面とは反対側の面に、後述する接合工程の接合に使用する接合材11を配置する。この接合材11も、周状に連続して設けられる。本例では、気密容器10を画像表示装置20(図6参照)用の外囲器として利用することを想定していることから、枠部材14及び接合材11は略長方形の連続した枠状になっている。しかし、製造する気密容器10の用途によっては、枠部材14及び接合材11は閉じた周状の図形とであれば、例えば長円形その他の任意の形状とすることができる。
【0016】
リアプレート13には、図6で説明する複数のX方向配線23及び複数のY方向配線24から構成されたマトリクス配線と、このマトリクス配線の交差部分に接続された電子放出素子22とが設けられている。
【0017】
上記のように、枠部材14とフェースプレート12は、予め一体化しておくことができるが、枠部材14とリアプレート13とを予め一体化しておき、フェースプレート12と枠部材14とで挟まれる位置に接合材11を配置することもできる。また、枠部材14を、フェースプレート12とリアプレート13のいずれとも一体化せずにおき、フェースプレート12と枠部材14とで挟まれる位置と、リアプレート13と枠部材14とで挟まれる位置とにそれぞれ接合材11を配置することもできる。この場合、後述する接合工程において、フェースプレート12と枠部材14の間と、リアプレート13と枠部材14の間との両者を接合することができる。更には、枠部材14を、フェースプレート12とリアプレート13のいずれとも一体化せず、フェースプレート12と枠部材14の間と、リアプレート13と枠部材14の間のいずれか一方のみに接合材11を配置することもできる。この場合、フェースプレート12と枠部材14の間と、リアプレート13と枠部材14の間とのうち、接合材11を配置したいずれか一方のみを後述する接合工程で接合し、他方はその後別途接合することになる。
【0018】
接合材11及び不図示の接合材(予め枠部材14を一体化しておくための接合材)としては、例えばガラスフリット、金属、無機接着剤、有機接着剤を用いることができる。気密容器10を、内部空間を高真空度に維持することが要求されるFED用の外囲器等として用いる場合、接合材11としては、残留ハイドロカーボンの分解を抑制できるガラスフリットや無機接着剤が好適に用いられる。ガラスフリットを用いる場合、ペーストの印刷焼成により所定の周状の形状に接合材11を配置形成することができる。また、シートフリットによって接合材11を配置形成することも可能である。接合材11として用いるガラスフリットは、粘度が負の温度係数(温度依存性)を有し、高温で軟化し、フェースプレート12、リアプレート13及び枠部材14のいずれよりも軟化点が低いことが望ましい。また、後述する局所加熱光48の波長に対して高い吸収性を示すことが好ましい。
【0019】
接合に際しては、まず図1(a)に示すように、フェースプレート12、リアプレート13、枠部材14及び接合材11を備え、内部空間17が区画されたアセンブリ構造体30を用意する(アセンブリ構造体30の準備工程)。フェースプレート12とリアプレート13は対向配置されている。枠部材14は、フェースプレート12とリアプレート13との間の隙間の周囲を囲んで挟まれている。また、図1(a)においては、リアプレート13と枠部材14との間に設けられた接合材11を備えている。なお、接合材11は、前記のように、フェースプレート12及びリアプレート13の少なくとも一方と枠部材14との間に設けられるものとなる。また、内部空間17を外部に対して負圧にする場合、必要に応じて、間隔規定部材(スペーサ)21(図6参照)を配置して耐圧性を高めることができる。
【0020】
アセンブリ構造体30の組み立て前に、フェースプレート12、リアプレート13又は枠部材14のいずれかに排気孔18を設けておと、後述する接合工程後にこの排気孔18を用いて内部空間17を高真空にすることもできる。内部空間17の高真空を必ずしも必要としないOLEDの外囲器や真空断熱ガラス等として気密容器10を製造する場合、排気孔18は省略することもできる。なお、内部空間17内の気体を排気するための排気孔18の位置は、気密容器10の使用形態及び用途に合わせて、気密容器10を構成する部材のうちから任意に選択することが可能である。
【0021】
次に、図1(b)に示すように、アセンブリ構造体30を密閉容器40内に収納する(アセンブリ構造体30の収納工程)。密閉容器40は、上面部45、下面部44、周側部42を備えている。図1においてアセンブリ構造体30は、フェースプレート12を上面部45に対向させ、リアプレート13を下面部44に対向させて収納されている。但し、アセンブリ構造体30は、図1とは逆に、リアプレート13を上面部45に対向させ、フェースプレート12を下面部44に対向させて収納することもできる。
【0022】
接合材11がガラスフリット又は金属であって、局所加熱光48で加熱溶融させて接合する場合、局所加熱光48の照射側の表面を構成する部材(図1では上面部45)としては、局所加熱光48の透過率が良好な材料が用いられる。具体的には、例えばソーダライムガラス板、高歪点ガラス板、無アルカリガラス板、アクリル板等を用いることができる。後述する局所加熱光48の使用波長及び接合材11の吸収波長域において、これらの部材が良好な波長透過性を有していることが望ましい。局所加熱光48をアセンブリ構造体30の両面から照射する場合、密閉容器40の上面部45と下面部44を局所加熱光48が透過する材質にする。図1においては、アセンブリ構造体30のフェースプレート12面から局所加熱光48を照射することを想定しているため、アセンブリ構造体30のフェースプレート12に対向する上面部45を局所加熱光48の透過率が良好な上記材料で構成している。
【0023】
密閉容器40の周側部42は、高さ方向の少なくとも一部が全周に亘って上下方向に伸縮可能な可撓性部となっている。従って、密閉容器40の内部圧力を外部圧力より低くすることで、周側部42が高さ方向に収縮して、上面部45を引き下げてフェースプレート12を加圧することができるようになっている。フェースプレート12の加圧により、接合材11をリアプレート13と枠部材14の間に挟圧することができる。可撓性部は弾性的に伸縮可能であることが好ましい。
【0024】
密閉容器40は、例えばアルミ製の下面部44の外周部にアルミ製の周側部42を溶接やねじ止めすることでアセンブリ構造体30の収納空間を作り、周側部42上に前記ソーダライムガラスの上面部45を配置することで構成することができる。また、アセンブリ構造体30の収納空間は、アルミのブロック材を掘ることで形成してもよい。材質は、アルミである必要はなく、密閉容器40が気密性を確保できる材質であれば良い。密閉容器40は、その内圧を外圧に対して小さくすることで、上面部45を引き下げて、アセンブリ構造体30の接合材11に圧縮力を印加できれば、その材質、構成に特に制限はない。
【0025】
この密閉容器40内にアセンブリ構造体30を配置した後、密閉容器40の内部の圧力を外部よりも小さくし、接合材11を挟圧して接合を行う(接合工程)。密閉容器40の内外で差圧を作る手段としては、密閉容器40に貫通孔41を作り、そこに排気装置49を接続し密閉容器40内を減圧する方法と、密閉容器40の外を加圧する方法が考えられる。また、密閉容器40内を減圧するとともに密閉容器40外を加圧する方法もある。実施形態では、図1(c)に示すように、密閉容器40の一部に密閉容器40内を排気するための貫通孔41を設けてある。貫通孔41は、密閉容器40の壁面に配置しているが、貫通孔41の位置は、密閉容器40の中にアセンブリ構造体30を設置したときに、アセンブリ構造体30により塞がれない位置であればどこに配置しても良い。
【0026】
密閉容器40の内部の圧力を外部の圧力より低くすることで、密閉容器40には、外周に密閉容器40の内圧と外圧の差に対応する力が掛かる。これにより、密閉容器40の可撓部が変形して、図1(c)に示すように、密閉容器40の正面部45が引き下げられ、対向するアセンブリ構造体30のフェースプレート12に当接し、密閉容器40の外圧と内圧の差圧を印加する。また、この時点では、アセンブリ構造体30の内部空間17は気密空間ではないため、密閉容器40内を排気して内部の圧力を外部の圧力より低くする場合、この排気に伴って減圧される。アセンブリ構造体30の内部空間17の排気は、アセンブリ構造体30に排気孔18を設けていない場合でも、接合材11とリアプレート13間の微小な隙間から行われる。
【0027】
この時、接合材11に掛かる圧縮力は、密閉容器40の寸法、接合材11の当接面積、そして、密閉容器40の内圧と外内の差圧により決定される。そのため、接合材11に最適な圧縮力を印加するためには、それらの面積から必要な密閉容器40の内圧と外内の差圧値を算出し、調整することで可能となる。
【0028】
接合材11が無機接着剤や有機接着剤である場合、上面部45の引き下げによる加圧状態を維持したまま接合材11を硬化させることで接合工程を完了することができる。接合材11がガラスフリットである場合、図示される例においては、図1(d)に示すように、枠部材14、リアプレート13に挟持された接合材11が枠状に延びる方向に沿って局所加熱光48を走査する。光源としては半導体レーザが好適である。接合材11を局所的に加熱する性能や上面部45及びフェースプレート12の透過性等の観点から、赤外域に波長を有する加工用半導体レーザが好ましい。
【0029】
接合材11は局所加熱光48の照射によって、接合材11の長さ方向に沿って順次加熱されて溶融し、その後軟化点以下まで冷却する。これにより、図示される例においては、枠部材14とリアプレート13が接合材11により接合される。接合材11の全長に亘って封止し、接合工程が終了すると、排気孔18を設けていない場合、ある程度減圧された気密な内部空間17を有する気密容器10が構成される。
【0030】
次に、密閉容器40内の排気を停止させて、密閉容器40内の圧力を大気圧に戻し、図1(e)に示す密閉容器40内から接合工程が終了した気密容器10を取り出す。なお、排気孔18を有する気密容器10の内部空間17を高真空にする場合は、取り出し後に内部空間17内を排気する工程を行ってから排気孔18を封止すればよい。また、排気孔18の無い場合は、図1(e)の時点で既に内部空間17は密閉状態となっており、密閉容器40内を排気した場合には内部空間17の減圧状態が保たれる。
【0031】
本発明の製造方法の第二の例では、図2に示すように、密閉容器40の周側部42上に弾性を有する伸縮可能なリング状のシール材43を設けてある。このシール材43は、上面部45の周縁と周側部42の上面間に挟み込まれており、気密容器40の内部の圧力を外部の圧力より低くすることで、潰れて収縮し上面部45の引き下げを許容するものとなっている。シール材43としては、例えば表面にスキン層を有する発泡ウレタンを用いることができる。本例における気密容器40内の排気は、下面部44に設けられた貫通孔41から行われるものとなっている。また、フェイスプレート12とリアプレート13は、それぞれ気密容器10を多面取りすることができる大型のマザー基板となっており、両者間には複数の枠部材14が挟み込まれている。これらの点以外は基本的には前記第一の例と同様である。
【0032】
本発明の製造方法の第三の例では、図3に示すように、局所加熱光48の照射を上面部45側と下面部41側の両側から行うものとなっている。従って、下面部41も、上面部45と同様に、局所加熱光48の透過率が良好な材料で構成している。下面部41側からの局所加熱光48の照射は、例えば、下面部41の周縁を支持する不図示の架台上に密閉容器40を載置することで容易に行うことができる。これらの点以外は基本的には上記第二の例と同様である。
【0033】
本発明の製造方法の第四の例では、図4に示すように、密閉容器40の下面部44と周側部43は剛性のある材料で構成されているが、上面部45は気密性を有する可撓性シートで構成されている。本例は上面部45側から局所加熱光48を照射すものとなっていることから、可撓性シートとしては、局所加熱光48の透過率が良好な材料が用いられる。具体的には、本例の上面部45を構成する可撓性シートとしては、ポリエチレンテレフタレートのシートを用いることができる。この密閉容器40内にアセンブリ構造体30を収納し、周側部43に設けられた貫通孔41から排気して密閉容器40の内部圧力を外部圧力より低くして、接合工程を行う。密閉容器40の内部圧力を外部圧力より低くすると、上面部45を構成する可撓性シートが引き下げられ、対向するアセンブリ構造体30のフェースプレート12を押圧することになる。これらの点以外は基本的には前記第二の例と同様である。
【0034】
本発明の製造方法の第五の例では、図5に示されるように、密閉容器40の上面部45として可撓性シートを用いているのは上記第四の例と同様であるが、下面部45側から局所加熱光48を照射すものとなっている。本例における上面部45を構成する可撓性シートとしては、第四の例と同様に、ポリエチレンテレフタレートのシートを用いることもできる。しかし、局所加熱光48の照射面ではないことから、例えば不透明なシリコーンゴムシートを用いることもできる。また、本例における密閉容器40の下面部45は、局所加熱光48の透過率が良好な材料で構成されている。これらの点以外は基本的には上記第四の例と同様である。
【0035】
次に、本発明により製造することができる気密容器10を外囲器として備えた画像表示装置20について図6で説明する。図6に示される画像表示装置20の気密容器10は、画像表示装置20の外囲器を構成しており、いずれもガラス製のフェースプレート12、リアプレート13及び枠部材14を有している。枠部材14は平板状のフェースプレート12と平板状のリアプレート13との間に位置し、フェースプレート12とリアプレート13との間に密閉された内部空間17が形成されている。具体的には、フェースプレート12と枠部材14が接合材11で接合され、アプレート13と枠部材14が不図示の接合材で接合されることによって、密閉された内部空間17を有する気密容器10が形成されている。気密容器10の内部空間17は高真空に維持され、フェースプレート12とリアプレート13との間の間隔を規定する間隔規定部材21が、所定のピッチで設けられている。フェースプレート12と枠部材14又はリアプレート13と枠部材14は、あらかじめ接合しても良くまたは一体的に形成されているものであってもよい。
【0036】
リアプレート13には、画像信号に応じて電子を放出する多数の電子放出素子22が設けられ、画像信号に応じて各電子放出素子22を作動させるための駆動用マトリクス配線(X方向配線23,Y方向配線24)が形成されている。リアプレート13と対向して位置するフェースプレート12には、電子放出素子22から放出された電子の照射を受けて発光し画像を表示する蛍光体25が設けられている。フェースプレート12上にはブラックストライプ26が更に設けられている。蛍光体25とブラックストライプ26とは、交互に配列して設けられている。蛍光体25の上にはアルミニウム(Al)薄膜よりなるメタルバック27が形成されている。メタルバック27は、電子を引き寄せる電極としての機能を有し、気密容器10に設けられた高圧端子Hvから電位の供給を受ける。メタルバック27の上にはチタン(Ti)薄膜よりなる不図示の非蒸発型ゲッタが形成されている。
【0037】
フェースプレート12、リアプレート13及び枠部材14は、透明で透光性を有していればよく、ソーダライムガラス、高歪点ガラス、無アルカリガラス等が使用可能である。図1〜図5に示される局所加熱光48の使用波長及び接合材11の吸収波長域において、これらの部材が良好な波長透過性を有していることが望ましい。リアプレート13、枠部材14及びフェースプレート12は、線膨張係数が一致していると、気密容器10への残留応力を抑制できるので好ましい。
【実施例】
【0038】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳しく説明する。
【0039】
<実施例1>
本実施例では、図2で説明した気密容器10の製造方法を適用し、枠部材14とフェースプレート12の一体物とリアプレート13の気密接合を行い、更に、排気孔18から内部空間17を再排気しつつ、蓋部材で排気孔18を封止した。これによりFED用の外囲気として適用可能な真空気密容器10を製造した。
【0040】
まず、フェースプレート12を準備する。フェースプレート12は、1.8mmの厚みの高歪点ガラス基材を、切削加工により外形1000mm×400mm×1.8mmの板ガラス状としたものとした。次に、有機溶媒洗浄、純水リン、及びUV−オゾン洗浄により、フェースプレート12の表面を脱脂した。次に、図6で説明した蛍光体25、ブラックマトリクス26、メタルバック(アノード)27をフェースプレート12上にパターン形成することで、画像形成領域をフェースプレート12の片面に形成した。画像形成領域の大きさは、300mm×170mmであり、フェースプレート12上に3列×2行の合計6セット形成した。次に、フェースプレート12上の画像形成領域の外側に、ガラスフリットからなる接合材(図示せず)を、スクリーン印刷および雰囲気加熱により形成した。以上のようにして、不図示の接合材付きのフェースプレート12を準備した。
【0041】
次に、枠部材14を準備した。具体的には、1.5mm厚の高歪点ガラス基材を、外形320mm×190mmの大きさに形成した。この大きさのガラス基材の中央部の310mm×180mmの領域を切削加工によって切り出して、直線部が幅5mm、高さ(厚さ)1.5mmの略長方形の枠部材14を成形した。次に、フェースプレート12と同様に、有機溶媒洗浄、純水リンス、及びUV−オゾン洗浄により、枠部材14の表面を脱脂した。この略長方形の枠部材14を6ケ成形した。
【0042】
次に、用意した接合材付きのフェースプレート12の蛍光体25を付設した面に画像形成領域を囲うように枠部材14を6ケ配置した。枠部材14は、フェースプレート12上の不図示の接合材と接触させ、不図示の加圧具により仮組みし、雰囲気焼成炉にて隙間なく接合して一体化し、一体化した枠部材14付きフェースプレート12を用意した。
【0043】
次に、6ケの枠部材14上にそれぞれ接合材11を形成した。本実施例では、接合材11としてガラスフリットを用いた。使用したガラスフリットは、熱膨張係数α=79×10-7/℃、転移点357℃、軟化点420℃のBi系鉛レスのガラスフリットを母材とし、バインダーとして有機物を分散混合したペーストである。次に、枠部材14上の周長に沿って、スクリーン印刷にて、幅1mm、厚さ5μmの接合材11を形成し、枠部材14付きフェースプレート12と一緒に120℃で乾燥した。そして、有機物をバーンアウトするため460℃で加熱、焼成し、接合材11を形成した。このようにして、接合材11と枠部材14とフェースプレート12との一体物を用意した。
【0044】
次に、リアプレート13として、高歪点ガラスからなるガラス基材1000mm(長さ)×400mm(幅)×1.8mm(厚さ)を用意した。次に、フェースプレート12や枠部材14と同様に、リアプレート13を洗浄した後、フェースプレート12の画像形成領域に対向する位置に図6に示す電子放出素子22と駆動用マトリクス配線(X方向配線23、Y方向配線24)を6セット形成した。次に、6セット各々の画像形成領域外に、直径1mmの排気孔18を1ケずつ切削加工により形成した。駆動用マトリクス配線上には、不図示の金属(Ti)からなる非蒸発型ゲッタをスパッタ法にて形成してある。そして、間隔規定部材21をX方向配線23上に配置した。
【0045】
次に、接合材11と枠部材14とフェースプレート12との一体物と、電子放出素子22及び駆動用マトリクス配線を形成したリアプレート13とを、蛍光体25の形成面と電子放出素子22形成面を対向させて配置した。これにより、図2(a)に示すように、6セットの内部空間17を規定したアセンブリ構造体30を形成した。
【0046】
次に、図2(b)に示すように、密閉容器40を準備した。密閉容器40は、アルミ製の1050mm(長さ)×450mm(幅)×10mm(厚さ)の板材の外周部に10mm(幅)×3.5mm(高さ)の周側面42を溶接により接合した容器とした。この周側面42の一部に容器内を排気するための貫通孔41を設けてある。この容器の周側面42の上面に、周長に沿ってシール材43を配置した。シール材43は、外皮をスキン層とする発泡ウレタンであり、無負荷状態でφ3mmの外形をもつ。尚、密閉容器40の周側面42の高さAは3.5mmで、内部空間17を有するアセンブリ構造体30の厚みBの5.1mmより小さくなるように設定した。この密閉容器40内に、内部空間17を有するアセンブリ構造体30を収納し、密閉容器40のシール材43上に厚み3mmのソーダライムガラス板を上面部45として配置した。
【0047】
次に密閉容器40の貫通孔41にスクロールポンプとターボ分子ポンプからなる排気装置49を接続し、図2(c)に示すように、密閉容器40内の圧力が40KPaになるまで排気した。アセンブリ構造体30の内部空間17は、この時点では密閉空間ではないため、内部空間17の排気は凹凸形状を持つ接合体1とリアプレート13の隙間から行われて、内部空間17の圧力も密閉容器40内と同じとなった。この排気により、密閉容器40を形成している上面部45は、密閉容器40の内圧と外圧の差圧により密閉容器40の内側方向に移動し、アセンブリ構造体30に圧接した。尚、この際に密閉容器40の周側部42上に配置したシール材43は、1.6mmまで潰れ、これにより密閉容器40の上面部45は、すり鉢状に変形することなくアセンブリ構造体30に当接した。この時、接合材11には、約3MPaの圧力が掛かった。接合材11に掛かる圧力は、密閉容器40の寸法と接合材11の設置面積、密閉容器40の内圧と外圧の差圧により決まる。
【0048】
次に、図2(d)に示すように、密閉容器40の上面部45から接合材11に、局所加熱光48としてのレーザ光を、接合材11に沿うように走査しなから照射した。これにより、接合材11が溶融して、枠部材14とリアプレート13を局所的に接合し、フェイスプレート12、枠部材14及びリアプレート13で囲われた気密容器10を6セット形成した。このとき、局所加熱光48は、不図示の加工用半導体レーザ装置を2つ用意し、第一のレーザ光源と第二のレーザ光源との照射スポットが、一直線上に整列するように配置した。第一のレーザ光源は、波長980nm、レーザパワー250W、有効径2mmのレーザ光とし、1000mm/sの速度で走査した。第2のレーザ光源は、第一のレーザ光源に遅れて、0.05秒、即ち照射スポットとして50mmの距離だけ走査方向の後ろ側に配置し、走査する間もこの間隔を維持した。この時、第二のレーザ光源からのレーザ光は、波長980nm、レーザパワー250W、有効径2mmのレーザ光であった。
【0049】
次に、スクロールポンプとターボ分子ポンプからなる排気装置49を停止させて、密閉容器40内の圧力を大気圧に戻した。その後、密閉容器40の上面部45を取り外して、密閉容器40内のアセンブリ構造体30を取り出した。
【0050】
次に、アセンブリ構造体30に形成した6セットの気密容器10を破損しないように、フェースプレート12及びリアプレート13を接合材11の間で切断し、6セットの気密容器10に切り分けた。図2(e)は単一の気密容器10を示す。切断は、フェースプレート12及びリアプレート13の所定位置をガラス切りで加傷した後、外力を加えることで、フェースプレート12及びリアプレート13を加傷部から割ることで行った。
【0051】
次に、加熱炉内部に不図示の蓋封止装置を具備した加熱炉にて、内部空間17を排気孔18から排気しながら気密容器10全体を加熱して、内部空間17を非蒸発型ゲッタで排気し、蓋を封止して気密容器10を完成させた。
【0052】
以上の様にして気密容器10を製造し、さらに通常の方法に従って、駆動回路等を実装して、気密容器10を外囲器として備えたFEDを完成させた。完成したFEDを作動させたところ、長時間安定した電子放出と画像表示が可能であり、FEDに適用可能な程度の安定した気密性が確保されていることが確認された。
【0053】
<実施例2>
実施例2について、図3に基づいて説明する。アセンブリ構造体30は、図3(a)に示すように、実施例1と同様のものを準備した。次に、図5(b)に示すように、密閉容器40を準備した。密閉容器40は、上面部45と下面部44共に3mm厚みのソーダライムガラス板とし、上面部45をアセンブリ構造体30のフェースプレート12に対向させ、下面部44をリアプレート13に対向させた。そして、上面部45と下面部44の間に、アセンブリ構造体30を囲うようにシール材43を配置した。シール材43は、外皮をスキン層とする発泡ウレタンであり、無負荷状態でφ7mmの外径を持つ。また、下面板44には貫通孔41を設けた。
【0054】
次に、図3(c)に示すように、密閉容器40内を排気し、上面部45を引き下げて、アセンブリ構造体30に密閉容器40の外圧と内圧の差圧を印加する。この時、シール材43は、高さ5.1mmまで押し潰れた。排気方法及び圧力の発生方法等は、実施例1に示す通りである。
【0055】
次に、図5(d)に示すように、密閉容器40の上面板45と下面板44の外側から、局所加熱光48としてのレーザ光を、接合材11に沿うように走査しなからそれぞれ接合材11に照射した。
【0056】
以上の様にして気密容器10を製造し、さらに通常の方法に従って、駆動回路等を実装して、気密容器10を外囲器として備えたFEDを完成させた。完成したFEDを作動させたところ、長時間安定した電子放出と画像表示が可能であり、FEDに適用可能な程度の安定した気密性が確保されていることが確認された。
【0057】
<実施例3>
実施例3について、図4に基づいて説明する。アセンブリ構造体30に配置する接合材11は、実施例1と同様のガラスフリットをディスペンスにより幅1mm、厚み50μmに塗布した。このガラスフリットは、後述するように、局所加熱光48で溶融、接合する際に、厚み40μmまで押し潰して使用するものとした。
【0058】
次に、図4(b)に示すように、密閉容器40を準備した。密閉容器40は、アルミ製の1050mm(長さ)×450mm(幅)×10mm(厚さ)の板材の外周部に10mm(幅)×5.1mm(高さ)の周側部42を溶接により接合した容器であり、この容器の周側部42の一部に容器内を排気するための貫通孔41を設けた。この密閉容器40内に、内部空間17を有するアセンブリ構造体30を置き、密閉容器40の周側部42上及びアセンブリ構造体30上に上面部45として可撓性シートを配置した。可撓性シートは、0.3mmの厚みを持つポリエチレンテレフタレートのシートであり、別部材(不図示)を使って、密閉容器40の周側部42上に周状に密閉性良く固定した。
【0059】
次に、施例1と同様に密閉容器40内を40KPaになるまで排気した。この排気により、密閉容器40の上面部45を構成しているポリエチレンテレフタレートのシートは、密閉容器40の内圧(40KPa)と大気圧の差圧により密閉容器40の内側方向に移動し、アセンブリ構造体30を押圧した。接合材11には、リアプレート13とフェースプレート12を介して約3MPaの圧縮応力が加わった。接合材11に掛かる圧力は、密閉容器40の寸法と接合材11の設置面積、密閉容器40の外圧と内圧の差圧により決まる。尚、アセンブリ構造体30の内部空間17に配置した間隔規定部材21は、フェースプレート12に設置した枠部材14と接合材11を合わせた厚みよりも10μm程度小さく設定した。即ち、50μm厚みで配置した接合材11が厚み40μmになることで、間隔規定部材21がフェースプレート12とリアプレート13に接触するように設計した。
【0060】
次に、図4(d)に示すように、密閉容器40の上面部45であるポリエチレンテレフタレートのシートの上面から、接合材11に、局所加熱光48としてのレーザ光を接合材11に沿うように走査しなから照射した。これにより、接合材11が溶融して枠部材14とリアプレート13とを局所的に接合し、リアプレート13、フェースプレート12、枠部材14及び接合材11で囲われた気密容器10を6セット形成した。6セットの接合材11の照射順序は、特に規定するものはないが今回は、リアプレート13の一つの隅にある枠部材14上の接合材11から時計回りに照射を行った。粘度が負の温度係数(温度依存性)を有している接合材11は、局所加熱光48の照射によって加熱され軟化するが、フェースプレート12に圧接しているポリエチレンテレフタレートのシートは、フェースプレート12よりも柔らかく十分な可撓性を持つため、フェースプレート12を撓ませて、間隔規定部材21がフェースプレート12とリアプレート13の両方に当接するまで接合材11を押し潰すことができる。
【0061】
このように、フェースプレート12を変形させながら接合材11を押し潰すことができるので、多面取りにおいても、隣接する未溶融の接合材11が柱状に突っ張ることで、局所加熱光を照射した接合材11の溶融接合を阻害することがない。
【0062】
以上の様にして気密容器10を製造し、更に通常の方法に従って駆動回路等を実装して、気密容器10を備えたFEDを完成させた。完成したFEDを作動させたところ、長時間安定した電子放出と画像表示が可能であり、FEDに適用可能な程度の安定した気密性が確保されていることが確認された。
【0063】
<実施例4>
実施例4について、図5に基づいて説明する。アセンブリ構造体30は、実施例3と同様のものを準備した。但し、図5(a)に示すように、実施例3とは上下逆転させた状態で準備した。次に、図5(b)に示すように、密閉容器40を準備した。密閉容器40は、1050mm(長さ)×450mm(幅)×5mm(厚さ)のガラス板の外周部に10mm(幅)×5.1mm(高さ)のアルミ製の周側部42を接着剤を使い接合した容器であり、この周側部42の一部に容器内を排気するための貫通孔41を設けた。
【0064】
この密閉容器40内に、内部空間17を有するアセンブリ構造体30を、フェイスプレート12を下、リアプレート13を上にして置いた。そして、密閉容器40の周側部42上及びアセンブリ構造体30上を覆う0.5mm厚のシリコンゴムシートである上面部45の周縁部を、別部材(不図示)を使って、密閉容器40の周側部42上に沿って周状に密閉性良く固定した。
【0065】
次に図5(c)に示すように、密閉容器40内を排気し、接合材11に密閉容器40の外圧と内圧の差圧を印加した。排気方法、及び圧力の発生方法等は、実施例1に示す通りである。
【0066】
次に、図5(d)に示すように、接合材11に局所加熱光48を照射した。局所加熱光48は、密閉容器40の下面部44から照射し、接合材11による接合を行った。
【0067】
以上の様にして気密容器10を製造し、更に通常の方法に従って駆動回路等を実装して、気密容器10を外囲器として備えたFEDを完成させた。完成したFEDを作動させたところ、長時間安定した電子放出と画像表示が可能であり、FEDに適用可能な程度の安定した気密性が確保されていることが確認された。
【符号の説明】
【0068】
10:気密容器、11:接合材、12:フェースプレート(第一の基板)、13:リアプレート(第二の基板)、14:枠部材、17:内部空間、18:排気孔、20:画像表示装置、21:間隔規定部材(スペーサ)、22:電子放出素子、23:X方向配線、24:Y方向配線、25:蛍光体、26:ブラックストライプ、27:メタルバック、30:アセンブリ構造体、40:密閉容器、41:貫通孔、42:周側部、43:シール材、44:下面部、45:上面部、48:局所加熱光、49:排気装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隙間を開けて対向する第一の基板と第二の基板の間に、前記隙間の周囲を囲む枠部材が挟み込まれており、前記第一の基板と第二の基板がそれぞれ前記枠部材に接合材で接合された気密容器の製造方法において、
対向配置された前記第一の基板及び第二の基板と、前記第一の基板と第二の基板との間に挟まれた枠部材と、前記第一の基板及び第二の基板の少なくとも一方と前記枠部材との間に設けられた接合材とを備えたアセンブリ構造体を用意する工程と、
上面部、下面部及び周側部を有し、内部圧力を外部圧力より低くすることで上面部を引き下げ可能な閉容器の中に、前記アセンブリ構造体を、前記第一の基板又は第二の基板を上面部に対向させて収納する工程と、
前記密閉容器の内部圧力を外部圧力より低くすることで前記上面部を引き下げて、前記上面部に対向する前記第一の基板又は第二の基板を加圧した状態で、前記接合材により、前記第一の基板及び第二の基板の少なくとも一方と前記枠部材とを接合する工程と
を有することを特徴とする気密容器の製造方法。
【請求項2】
前記密閉容器の周側部が、高さ方向の少なくとも一部が全周に亘って上下方向に伸縮可能で、前記密閉容器の内部圧力を外部圧力より低くすることで、前記周側部が高さ方向に収縮して、前記上面部が引き下げられることを特徴とする請求項1に記載の気密容器の製造方法。
【請求項3】
前記密閉容器の上面部が気密性を有する可撓性シートで構成されており、前記密閉容器の内部圧力を外部圧力より低くすることで、前記上面部を構成する可撓性シートが引き下げられることを特徴とする請求項1に記載の気密容器の製造方法。
【請求項4】
前記接合材が、ガラスフリット又は金属で、前記密閉容器の上面部と、該上面部に対向する前記第一の基板又は第二の基板とが、前記接合材を加熱溶融させるための局所加熱光に対する透光性を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の気密容器の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項の気密容器の製造方法で製造された気密容器を外囲器として構成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−221642(P2012−221642A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84195(P2011−84195)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】