説明

気泡検出を用いた流れの測定および制御

さまざまな異なるタイプの液体流れ測定および制御システムとともに使用される液体の流れの検知および制御のためのシステムならびに方法を提供する。液体流量センサシステムは、センサ導管の中を流れる液体の流量を示す流れ信号を検知し、信号の特徴的な変化を検出することによってセンサ導管の中に気泡が存在するかどうかを判断するために流れ信号を分析する。気泡が存在することをシステムが判断する場合、システムは気泡の存在を示す警告信号を発生させることができる。流量センサをフィードバックソースとして組入れる流れ制御システムは、気泡がセンサ導管を出るまで流れ制御パラメータを一時的にフリーズさせることによって気泡の検出に応答し得る。流れ制御システムは、気泡が詰まったことをシステムが検出する場合にセンサ導管から気泡を取除くための手順を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
この発明は、液体の流れを測定および制御するためのシステムならびに方法に関し、より具体的には、気泡が液体の流れの中に存在し得る環境で液体の流れを測定および制御するためのシステムならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
導管、パイプまたは管の中を流れる液体の流量を測定するためのいくつかの技術が存在する。これらは、熱流量計、コリオリの力の流量計、差圧流量計および超音波流量計を含む。概して液体流量計は、液体の流量(たとえば、体積流量または質量流量)に対応するように較正され得る流れの1つ以上のパラメータを検知する。このような流量計は、対象のシステムを通る液体の流れの受動モニタとして使用されることができ(すなわち、流量計として使用されることができ)、または対象のシステムにおいて液体の流れを制御する閉ループフィードバックシステムにおけるセンサ要素として(すなわち、流量コントローラにおける流量計として)使用されることができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の概要
気泡が任意のタイプの流量計のセンサ導管に入ると、流量計の流れの測定の基礎となる信号が妨害される可能性がある。これは偽の測定値をもたらし得る。流量計が閉ループ流量コントローラのセンサ要素として動作している場合には、閉ループシステムは、偽の信号に反応するかもしれず、液体の流量の変化として解釈したものを補償しようと試みるかもしれない。これは制御された流れの不安定さに繋がる可能性があり、この不安定さは、(典型的にはユーザによって設定された)セットポイントに対応する速度で安定した流れをコントローラがもたらすという目的の妨げになる。
【0004】
気泡の存在は、任意のタイプの流量計またはコントローラに(さまざまな程度に)影響を及ぼす可能性があるが、比較的低い流量(たとえば、5から50ml/minの間、もしくはそれ未満)を測定または制御するためにこのような超音波流量計が使用される場合には特に、気泡の存在は超音波タイプの流量計にはとりわけ問題である。出願人は、従来の超音波流量計および流量コントローラがセンサ導管の中の気泡の存在を検出し、センサ導管の中の気泡の存在に応答する能力に欠けており、特に従来の超音波流量計および流量コントローラがこのような比較的低い流量を測定および/または制御するために使用される場合には、センサ導管の中の気泡の存在にかかわらず安定した状態にとどまる能力に欠けていることを認識した。
【0005】
出願人は、気泡がセンサシステムを貫通するときでさえ液体流れ制御の安定した動作を達成するためのシステムおよび方法を開発してきた。出願人によって開発されたシステムおよび方法は、液体の流れの測定値または制御された液体流量に対する気泡の影響を最小限にできる。
【0006】
例示的な実施例では、この発明の液体流量センサシステムは、センサ導管の中を流れる液体の流量を示す流れ信号を検知する。このシステムは、たとえば信号の特徴的な変化を検出することによってセンサ導管の中に気泡が存在するかどうかを判断するために流れ信
号を分析する。気泡が存在することをシステムが判断する場合、システムは気泡の存在を示す警告信号を発生させることができる。閉ループ制御のためのフィードバックソースとして流量センサを組入れかつ気泡検出を含む流れ制御システムの例示的な実施例では、流れ制御システムは、気泡がセンサ導管を出るまで流れ制御パラメータを一時的にフリーズさせることによって気泡の検出に応答し得る。このように、このシステムは、気泡の存在によって生じる偽の流量センサ信号を追跡しようとする閉ループ流れ制御によって引起される流量の不安定さを回避できる。
【0007】
この発明の局面によれば、液体流量センサの中を流れる液体の流量を測定する方法が提供され、液体流量センサは、センサ導管と、その中に形成された複数の気泡を含む液体とを含む。上記方法は、センサ導管の中を流れる液体の流量を示す流れ信号を繰返し検知する行為と、流れ信号の少なくとも1つのパラメータに基づいて、センサ導管内の液体に少なくとも1つの気泡が配置されているかどうかを判断する行為と、センサ導管内の液体に気泡が配置されていないという判断に応答して、最も最近検知された流れ信号に基づく、液体流量センサの中を流れる液体の流量を示す流量信号をもたらす行為と、センサ導管内の液体に少なくとも1つの気泡が配置されているという判断に応答して、a)最も最近検知された流れ信号に基づく流量信号および少なくとも1つの気泡の存在を示す警告信号、ならびにb)最も最近検知された流れ信号以外に基づく、液体流量センサの中を流れる液体の流量を示す流量信号のうちの少なくとも1つをもたらす行為とを備える。
【0008】
液体流量センサが超音波液体流量センサを含む一実施例によれば、流れ信号の少なくとも1つのパラメータは、超音波流れ信号振幅を含む。この実施例によれば、上記方法は、繰返し検知する行為に応答して、超音波流れ信号振幅の値の流動平均などの加重和を計算する行為をさらに備えることができ、判断する行為は、超音波流れ信号振幅の最も最近検知された値が、定められた量を超えて加重和から逸脱するかどうかを判断する行為を含む。
【0009】
液体流量センサが超音波液体流量センサを含み、流れ信号が超音波飛行時間差流れ信号を含む別の実施例によれば、流れ信号の少なくとも1つのパラメータは、超音波飛行時間差流れ信号の大きさを含む。さらなる実施例によれば、判断する行為は、超音波飛行時間差流れ信号の大きさが閾値を超えて事前の超音波飛行時間差流れ信号の大きさから逸脱するかどうかを判断する行為を含む。この発明のさらなる実施例によれば、超音波飛行時間差流れ信号の大きさは、センサ導管の中の気泡の存在の早い検出をもたらすために、超音波流れ信号振幅に基づく気泡の検出と組合せられて使用され得る。
【0010】
この発明の別の局面によれば、制御可能な弁および液体流量センサに結合された流れ導管を通る液体の流量を制御する方法が提供される。液体流量センサは、センサ導管と、その中に形成された複数の気泡を含む液体とを含み、上記方法は、センサ導管の中を流れる液体の流量を示す流れ信号を繰返し検知する行為と、流れ信号の少なくとも1つのパラメータに基づいて、センサ導管内の液体に少なくとも1つの気泡が配置されているかどうかを判断する行為と、センサ導管内の液体に気泡が配置されていないという判断に応答して、最も最近検知された流れ信号に基づく、制御可能な弁についての制御パラメータをもたらす行為と、センサ導管内の液体に少なくとも1つの気泡が配置されているという判断に応答して、最も最近検知された流れ信号以外に基づく、制御可能な弁についての制御パラメータをもたらす行為と、制御パラメータに従って制御可能な弁を制御する行為とを備える。
【0011】
一実施例によれば、上記方法は、繰返し検知する行為に応答して、流れ信号の少なくとも1つのパラメータの値の流動平均などの加重和を計算する行為をさらに備え、判断する行為は、流れ信号の少なくとも1つのパラメータの最も最近検知された値が、定められた
量を超えて加重和から逸脱するかどうかを判断する行為を含む。別の実施例によれば、最も最近検知された流れ信号以外に基づく制御パラメータをもたらす行為は、センサ導管内の液体に気泡が配置されていないことが以前に判断された、最も最近もたらされた制御パラメータをもたらすことを含む。
【0012】
さらなる実施例によれば、上記方法は、センサ導管内の液体に少なくとも1つの気泡が配置されているという判断に応答して、予め定められた期間待機する行為と、予め定められた期間の後、流れ信号の少なくとも1つのパラメータに基づいて、センサ導管内の液体に少なくとも1つの気泡が依然として配置されているかどうかを判断する行為と、センサ導管内の液体に少なくとも1つの気泡が依然として配置されているという判断に応答して、センサ導管内の液体から少なくとも1つの気泡を除去するために制御された強制手順を実行する行為とをさらに備える。一実施例では、制御された強制手順は、制御可能な弁の開閉を含む。
【0013】
この発明のさらなる局面によれば、流れ導管の中を流れる液体の流量を測定するためのシステムが、中に形成された複数の気泡を含み得る液体に提供される。上記システムは、流れ導管に流動的に結合されたセンサ導管を含む液体流量センサと、気泡検出モジュールとを備える。液体流量センサは、センサ導管の中を流れる液体の流量を検知し、センサ導管の中を流れる液体の流量を示す流れ信号をもたらすように構成される。気泡検出モジュールは、液体流量センサに結合されて、流れ信号を受信し、流れ信号の少なくとも1つのパラメータに基づいて、センサ導管内の液体に少なくとも1つの気泡が配置されているかどうかを判断する。気泡検出モジュールは、センサ導管内の液体に気泡が配置されていないという判断に応答して、最も最近検知された流れ信号に基づく、液体流量センサの中を流れる液体の流量を示す流量信号をもたらすように構成され、センサ導管内の液体に少なくとも1つの気泡が配置されているという判断に応答して、a)最も最近検知された流れ信号に基づく流量信号および少なくとも1つの気泡の存在を示す警告信号、ならびにb)最も最近検知された流れ信号以外に基づく、液体流量センサの中を流れる液体の流量を示す流量信号のうちの少なくとも1つをもたらすように構成される。
【0014】
流量コントローラに向けられる一実施例によれば、上記システムは、制御可能な弁にもたらされた制御パラメータに基づいて流れ導管の中を流れる流体の流量を制御するための、流れ導管と流体連通する制御可能な弁と、液体流量センサから流れ信号を受信し、制御パラメータを制御可能な弁にもたらすための、液体流量センサおよび制御可能な弁に結合されたコントローラとをさらに備える。一実施例によれば、気泡検出モジュールはコントローラにおいて実現され、センサ導管内の液体に気泡が配置されていないと判断すると、コントローラは、最も最近検知された流れ信号に基づいて制御パラメータを制御可能な弁にもたらし、センサ導管内の液体に少なくとも1つの気泡が配置されていると判断すると、コントローラは、最も最近検知された流れ信号以外に基づいて制御パラメータを制御可能な弁にもたらす。
【0015】
気泡検出モジュールが、センサ導管内の液体に少なくとも1つの気泡が配置されているという判断に応答して、最も最近検知された流れ信号に基づく流量信号および少なくとも1つの気泡の存在を示す警告信号をもたらす、流量コントローラに向けられる代替的な実施例では、上記システムは、制御可能な弁にもたらされた制御パラメータに基づいて流れ導管の中を流れる流体の流量を制御するための、流れ導管と流体連通する制御可能な弁と、流量信号および警告信号を受信し、制御パラメータを制御可能な弁にもたらすための、気泡検出モジュールに結合されたコントローラとをさらに備える。
【0016】
さらなる実施例では、警告信号に応答して、コントローラは、制御可能な弁にもたらされた制御パラメータを事前の値においてフリーズさせる。さらに別の実施例では、警告信
号に応答して、コントローラは、予め定められた期間待機するように構成され、センサ導管内の液体に少なくとも1つの気泡が依然として配置されておりかつ予め定められた期間が経過したと判断すると、センサ導管内の液体から少なくとも1つの気泡を除去するために制御された強制手順を実現するように構成される。
【0017】
この発明によるシステムおよび方法の例示的な実施例は、添付の図面を参照して理解されることになり、添付の図面は一定の比例に応じて描かれるように意図されていない。図面中、さまざまな図に示される各々の同一のまたはほぼ同一の構成要素は、同様の符号によって表わされる。明確にする目的で、すべての構成要素がすべての図面に表記されるとは限らないであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
詳細な説明
図1を参照して、この発明の局面による液体制御システムの一例の概略的なブロック図が示されている。示されるシステム100は制御可能な弁108を含み、この制御可能な弁108を通って、線/矢印104によって示されているように液体が流れる。以下の説明は主に要素108が制御可能な弁または可変弁であることに言及するが、要素108はさらにたとえばポンプなどの別のタイプの液体アクチュエータであってもよいことを理解すべきである。弁108はたとえば、システムを通る液体の流量を変化させるように調整され得る、電子的に制御される可変弁であってもよい。弁108は、線114によって示されているように、コントローラ120によって制御される。コントローラ120はたとえばマイクロプロセッサベースのコントローラであってもよい。液体流量計110は、示されるように、弁108の下流に位置決めされてもよい。代替的には、液体流量計110は弁108の上流に配置されてもよい。液体の流れは、線119を介して直接にまたは線118および122によって示されているように間接的にコントローラ120と連通し得る流量計110によって測定されることができる。図1に示されているように、一例では、流量計110は液体線104に一体化していてもよいため、液体線104を流れる液体は流量計110も通って流れる。流量計110は液体線104と一体化している場合もあれば、流量計110は液体流全体のうちの一部のみを測定するように分岐または迂回液体線に位置決めされる場合もあることを理解すべきである。
【0019】
従来の液体流れ制御システムでは、液体流量を示す流量計からの信号はコントローラ120に送信されることができ、コントローラ120は、流量計110によってもたらされた液体の流量などの情報を使用して液体の流量を監視するように、および所望の流量を達成するために弁108を制御するように適合されることができ、それによって、システム100における液体の流れの閉ループ制御がもたらされる。たとえば、一実施例では、液体流量の制御は、液体流量計110が閉ループシステムにおけるフィードバック要素である制御システムによって達成される。流量計110は、液体線104を通る液体の流量を示す電子信号を生成する。流量計信号は、液体の流れのリアルタイムフィードバックをもたらすことができ、コントローラ120に入力されることができる。コントローラ120によってもたらされる信号は、(線114によって示されているように)弁108を駆動するアクチュエータに入力され、必要に応じて流量を変化させて所望の液体流量を達成するように弁108を制御するために使用され得る。所望の液体流量はさらにコントローラ120への入力パラメータであってもよい。たとえば、液体は供給源102からシステム100の示される部分に入ってもよく、供給源102はたとえばシステム100における上流の要素、貯蔵要素などであってもよい。供給源102は、線112によって示されているように、利用可能な液体の量、温度、圧力、濃度、密度などのセットポイントおよび限界、ならびにおそらく液体の最初の流量などの情報をコントローラ120にもたらし得るセンサも含んでもよい。コントローラ120は、このような情報および他の入力を使用して、液体線104における液体の流量を調整するように適合され得る。
【0020】
この発明による流れ制御システムの例示的な実施例では、気泡検出モジュール124は、線118によって表わされるように流量計によってもたらされた1つ以上の信号を分析できる。気泡検出モジュール124は次いで、線122によって示されているように、コントローラ120に情報を渡すことができる。コントローラ120に渡された情報は、現在の流量計信号118、1つ以上の事前の流量計信号、および/または流量計110の中の気泡の有無を示す(ブールフラグ(Boolean flag)などの)警告信号を含んでもよい。気泡検出モジュール124は、図1では別個のモジュールとして示されているが、他の実施例では流量計110またはコントローラ120に組入れられてもよい。気泡検出モジュール124が流量計110に組入れられる場合、気泡検出モジュール124は、情報をコントローラに渡す前に気泡の存在について流量計信号を分析できる。気泡検出モジュールがコントローラ120に組入れられる実施例では、気泡検出モジュールは、以下でさらにより詳細に説明されるように、コントローラがそれに従って応答するように気泡の存在について流量計から入ってくる信号118を分析できる。
【0021】
さらに、図1に示されているように、コントローラ120は、たとえばグラフィカルベースのユーザインターフェイスであり得るユーザインターフェイス128に結合されてもよい。ユーザインターフェイス128によって、線126によって示されているように、ユーザはシステムを監視でき、コントローラ120に入力をもたらすことができる。ユーザは、ユーザインターフェイス128を介して、(コントローラ120によってまたは流量計110によってもたらされた)システムのパラメータを観察でき、ならびに/またはたとえば所望の液体流量(すなわち、液体流量セットポイント)および/もしくは流量上限および下限などの入力をコントローラ120にもたらすことができるであろう。コントローラ120は、たとえば実際の流量、限界外警告ならびにデータ管理およびデータ決定サポート情報を含むさまざまな情報をユーザインターフェイス128に出力できる。コントローラ120はユーザインターフェイス128に結合される代わりに、またはユーザインターフェイス128に結合されるのと同様に、別のシステムコンピュータに結合されてもよいことを理解すべきである。気泡検出モジュール124も、線130によって概略的に示されているように、ユーザインターフェイス128に結合されてもよい。したがって、たとえばユーザインターフェイス128は、警告を表示することによって気泡の存在を示す正の警告信号を気泡検出モジュール124から受信することに応答し得る。気泡検出モジュールが流量計110またはコントローラ120に組入れられる実施例では、ユーザインターフェイスは流量計110またはコントローラ120から直接に気泡警告状態を受信できる。
【0022】
コントローラ120は弁108を制御するためのさまざまなプログラムでプログラムされてもよいことを理解すべきである。たとえば、コントローラは、比例積分(proportional integral)(PI)制御、比例積分微分(proportional integral differential)(PID)制御などを利用するようにプログラムされてもよく、これはたとえば引用によって全文が本明細書に援用される、共通に所有されている米国特許第6,962,164号における熱質量流量計/コントローラに関連して詳細に記載される。別の例では、コントローラは「モデルのない」適応制御アルゴリズムを使用して弁108を駆動するように適合されてもよい。この方法は、システムの中を流れる特定の液体から独立しておりかつシステムの動力学の事前知識を必要としないフィードバック「ニューロンベース」制御アルゴリズムを含む。この方法の少なくとも1つの実施例は、ジョージ・シュ−シン・チェン(George Shu-Xing Cheng)への米国特許第6,684,112号に詳細に記載され、これは引用によって全文が本明細書に援用される。
【0023】
一実施例によれば、流量計110は、液体を通って伝播する超音波のパラメータを使用して液体の流量を求めるように適合される超音波流量計であってもよい。このようなパラ
メータは、液体を通って伝播する超音波信号の振幅、周波数および/または飛行時間を含んでもよい。液体の流量を求めるために超音波信号が使用され得る態様の例示的な例は、たとえばUS20050288873A1として公開された、「超音波液体流量コントローラ(Ultrasonic Liquid Flow Controller)」と題される、共通に所有されている米国出願番号第10/878,974号に記載され、これは引用によって全文が本明細書に援用される。他の実施例では、コリオリの力の流量計、熱流量計、または当該技術分野において公知の他の流量計を含むがこれらに限定されない他のタイプの流量計が利用されてもよい。
【0024】
図2は、センサ導管の中の気泡の存在を検出し、センサ導管の中の気泡の存在に応答するように流量計および/または流量コントローラシステムによって実行され得る例示的な方法を概観で機能的に示すフロー図である。システムは、たとえば流れ制御を開始させる始動またはユーザからの入力で開始し得る(ブロック200)。例示的な実施例では、システムは流量計を通る流れを周期的に測定し、流量計信号を受信する(ブロック202)。流量計信号の特性は、システムにおいて使用される流量計のタイプに依存することになる。受信された流量計信号は、流量計からの未加工の信号である場合もあれば、システム全体における液体流量に対応する較正された信号である場合もあり、未加工の信号のパラメータおよび較正された測定値の何らかの組合せである場合もある。いくつかの実施例では、受信された流量計信号は、コントローラ120、流量計110または気泡検出モジュール124に関連付けられるメモリに記録される場合もあれば、そのメモリに格納される場合もある。
【0025】
ブロック204では、システムは流量計信号を分析し、流量計のセンサ導管の中に気泡が存在することを信号が示すかどうかを判断する(ブロック208)。気泡の存在は、気泡がセンサ導管の中に入ったことおよび/または気泡がセンサ導管から出たことを検出するために流量計信号(または経時的な流量計信号パラメータの展開)を分析することを可能にする特徴的な方法で流量計信号の妨げになる可能性がある。流量計信号のこのような特徴的な変化の例についてさらに以下で説明する。
【0026】
センサ導管の中に気泡が存在することを流量計信号またはいくつかの受信された流量計信号の分析が示す場合、例示的なシステムは、流量計および気泡検出システムが図1に示されているものなどの流れ制御システムの一部として配備されるか、またはシステムを通る液体の流れのパラメータの測定値を表示、記録もしくはログ記録するために使用されているかに応じて(ブロック210)、さまざまな方法で応答し得る。流量計が液体の流れの測定値を表示、記録またはログ記録するために使用されている場合、気泡を検出すると、システムは気泡の検出の前に記録された1つ以上の流量信号に基づく流量信号をもたらすことができる。たとえば、このシステムは、表示、記録またはログ記録された値を、気泡の検出の前に測定された最後の流量において、または気泡の検出の前に取られた何らかの一定数の流量測定値の平均においてフリーズさせることが可能である(ブロック212)。このように、気泡が流量計の動作を妨げる結果起こる流量の偽の読取は表示または記録されないことになる。流量をフリーズさせる(ブロック212)代わりに、または流量をフリーズさせることに加えて、流量計は気泡が検出されたこと(および、したがって、気泡が存在する間にもたらされた流量測定値はいずれも正確なものではない可能性があること)をシステムのユーザおよび/または他の部分に知らせるために使用され得る警告信号を発生させることができる。たとえば、警告信号はブールフラグであってもよく、このブールフラグは設定されることができ、(たとえば、別個の信号としてまたは図1における信号122の一部として)コントローラに渡されることができ、および/もしくはユーザインターフェイスに渡されることができ(すなわち、図1における信号130)、ならびに/または測定ログに書込まれることができる。
【0027】
流量計および気泡検出システムが流れ制御システムに組入れられる場合(すなわち、流れ制御YES)、システムは、コントローラ120が制御可能な弁108を制御する流れ制御パラメータをフリーズさせること(ブロック214)によってセンサ導管の中の気泡の検出に応答し得る。このように、流量コントローラがセンサ導管の中の気泡の存在によって生じる偽の流量計信号を追跡し、それに応答する代わりに、気泡が存在しながら安定した流れを維持できる。制御パラメータをフリーズさせること(ブロック214)はさまざまな方法で達成されることができる。例示的な一実施例では、コントローラ120は、気泡の存在を示す正の警告信号を気泡検出モジュール124から受信し、その信号に応答して(制御可能な弁の設定などの)制御パラメータをフリーズさせる。(気泡検出モジュール124が流量計110と一体化している実施例を含む)他の実施例では、たとえば事前の流量計信号に基づいて固定された流量計信号をコントローラ120にもたらすことによって事実上制御パラメータをフリーズしてもよい。コントローラ120が、受信する流量計信号に基づいて制御パラメータを計算する実施例では、コントローラ120は固定された流量計信号を受信している限り制御パラメータを変更することはない。この固定された流量計信号は、気泡の検出の前に収集された最後の流量計信号であってもよい。代替的には、固定された流量計信号は、いくつかの事前の記録された流量計信号の(平均などの)加重和である場合もあれば、センサ導管の中に気泡が存在しながらコントローラの応答(したがって、導管104を通る流れ)を安定化させるのに好適な任意の固定された流量計信号である場合もある。
【0028】
図3は、気泡がセンサ導管から出たことに対する流量計または流量コントローラシステムの例示的な実施例の応答を示すフロー図である。例示的なシステムは、ブロック214(図2)において気泡を検出すると制御パラメータおよび/または流れ測定値をフリーズさせ、気泡がセンサ導管から出たことの特徴を示す流量計信号の検出をここで待機することが可能である(ブロック300)。システムは、流量計からの信号を周期的に記録でき(ブロック302)、気泡がセンサ導管から出たことの特徴を示す特色についてこれらの信号を分析できる(ブロック304)。センサ導管の中の気泡の存在を検出する場合のように、システムは、以下でさらに詳細に説明されるように、気泡がセンサ導管から出たことの特徴を示す変化を検出するために、流量計信号、いくつかの記録された流量計信号の集まり、および/または流量計信号パラメータの時間展開を分析できる。システムは、流量計および気泡検出システムが図1に示されているものなどの流れ制御システムの一部として配備されるか、またはシステムを通る液体の流れの測定値を表示、記録もしくはログ記録するために受動的に使用されているかに応じて(ブロック310)、いくつかの異なる方法で気泡が出たことの検出(ステップ308)に応答し得る。液体の流れの測定値を表示、記録またはログ記録するために流量計および気泡検出システムが使用されている例示的な実施例では、気泡が出たことを検出すると、システムは新しい測定値の表示、記録またはログ記録を単に再開させることができる(ブロック318)。いくつかの実施例では、流量計システムは(測定値の表示もしくは記録の再開に加えて、または測定値の表示もしくは記録の再開の代わりに)警告信号をリセットしてもよく、および/または気泡がないことを示す信号を送信してもよい。このような信号は、たとえばユーザインターフェイス128および/またはコントローラ120によって受信されることができる。
【0029】
流量計および気泡検出システムが流れ制御システムに組入れられる実施例では、システムは流れ制御を再開させることによって、すなわち、コントローラ120が流量計信号に応答して流れ制御パラメータを変更できるようにすることによって(ブロック320)、気泡がセンサ導管から出たことの検出に応答し得る。これはさまざまな方法で達成されることができる。例示的な一実施例では、コントローラ120は、気泡が出たことを示す信号(たとえば、気泡の検出に応答して発生した警告信号の否定)を気泡検出モジュール124から受信し、その信号に応答して動的な流れ制御を再開させる。(気泡検出モジュール124が流量計110と一体化している実施例を含む)他の実施例では、流量計110
からコントローラ120へ現在の流量計信号をもたらすことを再開させることによって事実上制御パラメータを解凍してもよい。
【0030】
流量計および気泡検出システムが、図1に示されているものなどの流れ制御システムの一部として配備されていようと、またはシステムを通る液体の流れの測定値を表示、記録またはログ記録するために受動的に使用されていようと、いずれの場合でも、システムは、気泡が出たことの検出と、動的な流れ制御の再開および/または測定値の表示もしくは記録との間に遅延を含み得る(ブロック312、314)。このような遅延は、気泡がセンサ導管を貫通することによって生じる流量計信号、流量、または滑らかで層状の流れの妨げがいずれも、測定値の記録を再開させる前または動的な流れ制御を再開させる前に収まることができるようにするのに有用であろう。
【0031】
したがって、例示的な実施例では、気泡がセンサ導管から出たことの検出(ブロック308)に応答して、予め定められた量の時間(または、デジタル制御ループの場合には、予め定められた数のプロセスまたはスレッドサイクルの間)カウントダウンが開始されることができ、カウントダウンが終わるまで、一時停止された流量計測定値および/またはコントローラパラメータを延長できる。この遅延ラッチングによって、いずれの偽の信号も、気泡がセンサ導管を通過した後に測定および/または流れ制御を再開させる前に収まることが可能である。例示的な実施例では、遅延は、偽の信号または流れの乱れがまだ収まっていないかもしれないほどに小さくなく、流れパラメータがセットポイントから離れる機会を有するほどに長くもないように最適化される。例示的な実施例では、約100〜150msの遅延が、リアルタイムの測定および制御の再開を不必要に遅延させることなくいずれの偽の信号または流れの乱れも消散し得るのに十分であるが、いくつかの実施例ではより長い遅延が必要であるかもしれない。適切な遅延は、流量、液体の粘性、典型的な気泡のサイズ、センサ導管の直径または向きなどのようなパラメータを含む流量計および流れ制御システムの特定の実現例に依存することになる。
【0032】
例示的な流量計または流れ制御システムはさらに、第1の気泡が出ることによって開始されるカウントダウンプロセス中にセンサ導管に入る第2の気泡に応答するように適合されてもよい。第1の気泡が出た直後に、すなわちブロック312および/または314によって表わされる遅延期間中に第2の気泡がセンサ導管に入る一実施例では、流量計測定値および/またはコントローラパラメータの再開はさらに遅延する可能性がある。一旦第2の気泡が出たことが検出されると、新しいカウントダウンが開始し得る。
【0033】
代替的な実施例では、上述のように気泡がセンサ導管から出たことを検出する代わりに、流量計および/または流量コントローラシステムは、予め設定された量の時間もしくは予め設定された数のプロセスもしくはスレッドサイクルの後、警告信号をリセットするように、測定ロギングを再開させるように、および/または動的な流れ制御を再開させるように構成されてもよい。適切な予め設定された期間は、実験によって決定されることができ、流量、液体の粘性、典型的な気泡のサイズ、センサ導管の直径または向きなどのようなパラメータを含むさまざまなシステムパラメータに依存し得る。
【0034】
たとえば流れが低い流量によっておよび/または低い液体圧のために特徴付けられる特定の状況では、気泡はセンサ導管を通って通過するのに比較的長い時間を要する可能性があり、正確な流れパラメータの検知を妨げることを長引かせる。そのため、流量コントローラのいくつかの実施例は、気泡が詰まっているように見える場合には特に、センサ導管からの気泡の制御された強制のための手段を含み得る。制御された強制は典型的には、気泡が導管から出るように促すためにセンサ導管を通る流量を一時的に変更することを伴う。例示的な実施例では、制御された強制のための手段は、導管から気泡をたたき出すために弁を急速に開閉させるようにプログラムコードを含み得る。
【0035】
いくつかの実施例では、コントローラは、流れ制御システムの中の気泡の存在を検出すると、または気泡の存在を示す警告信号を流量計もしくは気泡検出モジュールから受信すると、時間および/またはスレッドサイクルをカウントし始めることができる。さらに、コントローラは、(たとえば、ユーザインターフェイスまたは他のデータソースを介して)センサ導管を通る気泡の予想通過時間でプログラムされる場合もあれば、センサ導管を通る気泡の予想通過時間を備える場合もある。その情報によって、システムは、気泡の通過が予想通過時間よりもはるかに長くかかった場合に、制御された強制手順で応答できる。気泡の推定通過時間は、(液体の流量、粘性、導管の直径などの)さまざまなシステムパラメータに、およびシステムの中に発生する傾向がある気泡のサイズにも依存する可能性がある。たとえば、液体は導管に沿って気泡を押すよりも気泡の周りを移動する傾向があるので、より小さな気泡はよりゆっくりと移動する。それに対して、より大きな気泡は液体流量とともに流れる傾向があるが、(導管の直径に対する気泡のサイズの比率に応じて)導管の中で詰まりがちであり、および/または不安定な流れ、乱れた流れまたはスラグ流れを引起こしがちである可能性がある。センサ導管の向き(たとえば、センサ導管が重力もしくは加速度の他の力に整列した方向に配置されるか、またはそれらの力を横切る方向に配置されるか)に依存して、特定の実現例は詰まった気泡を検出するおよび/またはそれに応答するための備えを含んでもよいが、他の実現例は含まないかもしれないことを理解すべきである。
【0036】
例示的な一実施例では、気泡が出たことをシステムが検出することなく予想通過時間よりも大きな時間が経過した場合、コントローラは応答して制御弁の急速な開閉を実行でき、気泡を強制的に出すためにセンサ導管を通る流量を瞬間的に増加させる。このような実施例では、閉ループ動作はこの手順を実行する前に一時停止されることができ、その後再開されることができ、流量をその制御されたレベルに戻す。制御された強制手順を実行した後、気泡が依然として流れ導管内にあることを流量計信号の分析が示す場合には、特徴的に通常の流れ信号が達成されるまで、および/または気泡がもはや存在しないことを気泡検出信号が示すまで、制御された強制手順が繰返され得る。
【0037】
流量コントローラとは異なって、受動的な流量計は、閉塞した気泡を強制的にセンサ導管から出すことができない。流量計の用途では、気泡がセンサ導管の中で詰まったように見える場合に異常なまたは妨げられた流れの状態を信号で伝えるために、構成可能な警告出力が使用されてもよい。いくつかの実施例では、このようなフラグが設定されることができ、ユーザインターフェイスに渡されることができ、および/または流量計からの測定値とともに記録もしくはログ記録されることができる。
【0038】
上述のように、センサ導管の中の気泡の存在またはセンサ導管から気泡が出たことは、特徴的な変化について流量計信号パラメータを分析することによって検出され得る。ここで、例示的な気泡検出システムについて説明する。
【0039】
当該技術分野において公知の流量コントローラの一例は、超音波流量センサを利用してコントローラに液体流量フィードバックをもたらす。超音波流量センサは、1つ以上の超音波信号を液体を通して伝播させ、流れる液体が伝播信号に及ぼし得る1つ以上の影響を測定することによって、センサ導管を通る液体流量を測定する。たとえば、超音波液体流量センサは、通過時間(飛行時間)を求めて流量を測定するために、流れる液体を通って伝播する超音波信号の周波数、位相または時間の変化を検出してもよい。このような超音波センサおよびそれらを組入れるコントローラは、たとえば米国特許第6,055,868号、第5,974,897号、および第3,575,050号、ならびに公開された出願US2005/0288873A1に記載される。
【0040】
例示的な超音波流量センサの中の気泡の存在を示す特徴的な信号の例は、図7A〜図7Gに示されている。超音波流量センサ700は、センサ導管712と、超音波トランスデューサ702および704とを含む。超音波流量計において使用される代替的なセンサ導管1000は、図10に示されているものおよび代理人整理番号C1138−700910の下で2006年8月10日に出願され、引用によって本明細書に援用されるトーマス・オーウェン・マギニス(Thomas Owen Maginnis)およびキム・ニョック・ブ(Kim Ngoc
Vu)による、「超音波流量センサ(Ultrasonic Flow Sensor)」と題される共通に所有されている同時係属中の米国特許出願に記載されるものなどの異なる形状を有してもよい。図7Aの示される実施例では、液体は流れの方向710に沿って導管712を通って流れる。動作中に、超音波信号は、トランスデューサ702および704の各々において発生し、他のトランスデューサによる検出のために、流れる液体を通って伝播することが可能である。液体流量は、たとえば周波数もしくは位相の相互相関分析、または飛行時間を確立するために流れの方向710に逆らって伝播する超音波信号と比較した、流れの方向710に沿って伝播する超音波信号の時間差から求められることができる。
【0041】
例示的な実施例では、図7Aにおける参照番号720によって表わされているものなどのチャープ信号がトランスデューサ702において発生し、液体を通ってトランスデューサ704に伝播することが可能である。その振幅の変化は、センサ導管712の中に気泡708が存在するかどうかを判断するために分析され得る。これらの変化は、図7A〜図7Gに概略的に示されており、図8では時間に対して概略的にプロットされている。(この説明は、超音波信号が流れの方向に沿って伝播する例示的な場合を考慮しているが、いくつかの実施例では、チャープ信号720はトランスデューサ704において発生し、トランスデューサ702の方へ上流に伝播する。さらなる実施例では、両方の方向に伝播する信号が利用される。)
図7Aでは、気泡708がセンサ導管に入る前は、受信された信号振幅は比較的時間に対して定常である(図8におけるポイントA)。図7Bに示されているように気泡708がセンサ導管の測定セクションへの入口に近づくと、図7Bにおける参照番号722によっておよび図8におけるポイントBにおいて示されているように、受信された信号の振幅は瞬間的に増加する。受信された信号の振幅のこの瞬間的な増加は、(流量計電子機器における利得制御の応答時間よりも典型的にははるかに小さい期間にわたって発生するので)流量計電子機器によって受信された流れ信号に与えられる利得の変化に関連しているようには見えず、導管712への入口において気泡708から反射して戻り、トランスデューサ704の方向に向かって伝わっている伝送波面と位相が合って強まる超音波信号に起因すると考えられている。物理的な仕組みにかかわらず、信号振幅のこの観察された変化は気泡の存在の特徴を示しており、したがって、気泡を検出するために使用されることができる。
【0042】
図7Cに示されているように気泡708がトランスデューサ702に到達すると、トランスデューサ704において検出される信号の振幅は、参照番号724(図8におけるポイントC)によって示されているように、急激に減衰し始める。図7Dは、気泡708がセンサ導管712の中央領域を横断しているときの受信された信号728を示している(図8におけるポイントD)。これらの図は、なぜ気泡708の存在を補償するためのシステムが価値あるものであるかを示しており、このようなシステムがない状態では、信号振幅のこれらの過渡的な変化は、制御システムが補償しようとする流量の変化として制御システムに現われることになり、これは不安定な流れをもたらす可能性がある。
【0043】
図7Eに示されているように気泡708がトランスデューサ704に到達し、そこを通り過ぎると、受信された信号730は急激に上昇する(図8におけるポイントE)。概して、信号のレベルは、定常値に安定する前は行き過ぎる場合がある。この行き過ぎは少なくとも一部にはトランスデューサ702から伝わる第1の超音波波面の位相における強ま
りおよび気泡708がトランスデューサ704に到達したときの気泡708から反射される波に起因する可能性がある。反射された信号は、図7Fに示されているように気泡708がセンサ導管の測定セクションを通って移動するにつれて徐々に消える(図8におけるポイントF)。最後に、図7Gに示されているように気泡708がセンサ導管712を出ると、受信された信号振幅734はその定常値に戻る(図8におけるポイントG)。
【0044】
例示的な気泡検出プロセスは、気泡708の存在を検出するために、図7A〜図7Gおよび図8に示されているものなどの検出された信号振幅の特徴的な時間展開を利用する。図7A〜図7Gおよび図8に示されている検出された信号振幅の時間展開は特定の範囲の流量にわたって特定の流量センサを用いて得られた測定値を反映すること、および検出された信号振幅の特徴的な時間展開は他のセンサ構成および他の流量とともに使用されると変化する可能性があることを理解すべきである。気泡の存在が、検出された信号振幅に影響を及ぼし得る態様を特定するために他のセンサ構成とともにおよび他の流量で実験的な測定がなされてもよく、気泡検出プロセスは次いでその特徴的な形跡を反映するように適合されてもよい。
【0045】
この発明によれば、連続的な検出された信号振幅を以前の信号振幅と比較し、図7A〜図7Gおよび図8に示されているものなどの、気泡の存在を示す特徴を探す、図4に機能的に示されている例示的な気泡検出プロセスが提供される。例示的な一実施例では、気泡検出システムは、流量計から信号振幅値を受信できる(ブロック402)。一実施例では、いくつかの受信された信号振幅は、流量計、流量コントローラまたは気泡検出モジュールに関連付けられるメモリに格納されてもよい。システムは受信された振幅を、以前に受信されかつ格納された振幅、または代替的には複数の以前に受信されかつ格納された振幅と周期的に比較する(ブロック404)。システムが(図7A〜図7Gおよび図8に示されているものなどの)信号振幅の特徴的な変化を検出する場合(ブロック408)、システムは、上述のように、応答して警告信号を発生し得る(ブロック410)。
【0046】
さらなる例示的な実施例は、検出された流量計信号振幅の加重和を計算し、流量計信号振幅の振幅の受信された値がたとえば何らかの予め定められた閾値または量だけその加重和から逸脱する場合に、応答して正の気泡検出信号を送信する。たとえば、図5に示されている実施例は、検出された超音波信号振幅の流動平均を計算し、流量計信号の振幅の受信された値が流動平均から逸脱する場合に、応答して正の気泡検出信号を送信する。検出された超音波信号振幅の流動平均がこの実施例では使用されるが、この発明はそのように限定されないので、検出された超音波信号振幅の加重和の他の形態が使用されてもよいことを理解すべきである。たとえば、単に流動平均を計算するのではなく、流量計信号の振幅のより最近受信された値が、それほど最近でないときに受信された値とは異なる(たとえば、より高い)加重値を与えられてもよい。加重和は、流量計、流量コントローラまたは気泡検出モジュールに関連付けられるプロセッサによって計算されることができるが、このような加重和は代替的には受信された流量計信号をたとえばローパスフィルタを使用してフィルタリングすることによって求められ得るであろうということを理解すべきである。
【0047】
図5に示されている実施例によれば、受信された信号の振幅は周期的にサンプリングされることができ、バッファに格納されることができ(ブロック502)、何らかの予め定められた時間間隔で流れ測定値をサンプリングする。何らかの個数Nのサンプル(たとえば、例示的な一実施例では20個のサンプル)が格納され得る。例示的な一実施例では、信号サンプルは、受信された新しい信号がサンプリングされるときに新しいデータが上に置かれ、古いデータが押されて積重ねの下になるように積重なった状態で格納されることができる。データが予め定められた数のN個のサンプルについて収集された後、平均的な信号振幅が計算される。予め設定された値を格納するのではなくリアルタイムで流動平均
振幅を求める利点は、センサの物理的な実装、特定の配置における流れパラメータおよび他の要因に応じて、異なるセンサ構成が異なる信号強度に繋がる可能性があるということである。したがって、振幅の予め定められた(すなわち、類似のセンサなどからの測定値に基づいて較正中に求められた)値を基準として利用でき、リアルタイムで流動平均信号振幅を求めることが好ましい。
【0048】
新しいサンプルが取られるとき、最新のサンプルは積重ねの上部に格納され、(積重ねの底部における)最も古いサンプルは廃棄される。バッファの中のN個のサンプルの流動平均が周期的に計算される(ブロック504)。例示的な実施例では、新しいサンプルがバッファに置かれるたびに、流動平均信号振幅が計算されることができる。
【0049】
例示的な一実施例では、流動平均値の上および下に延在する閾値レベルウインドウが気泡検出閾値として選択され、そのため、流量計信号の振幅の受信された値がこの閾値を超えるかまたはこの閾値を割ると、気泡は検出されたと推定され、正の気泡検出信号が発生する(ブロック508、510)。閾値は、流動平均値を何パーセントか上回るおよび下回る逸脱であるように選択され得る。たとえば、閾値は流動平均値からの10%、15%または20%の逸脱であってもよい。閾値は、いくつかのシステムパラメータおよび動作条件に応じてより大きい可能性もあれば、より小さい可能性もある。閾値は流動平均値について対称である必要はない。閾値の決定に寄与する要因は、流れが測定されている液体の粘性、動作温度および圧力、液体がスラリーであるときには粒子含量などを含んでもよい(が、これらに限定されない)。実際には、最適な閾値は、たとえば故意に気泡をセンサ導管の中に注入し、気泡検出の所望の効率を可能にする(すなわち、検出されない気泡の数および偽陽性の数を最小限にする)閾値レベルを設定することによって、試行錯誤によってまたは較正中に求められることができる。流量計信号の振幅の受信された値と閾値との比較によって、偽陽性の気泡検出の可能性が低減される。
【0050】
流れ信号の受信された振幅値が上限値を超えるまたは下限値を下回る、図5に示されている実施例によれば、このシステムは応答して正の気泡検出信号を発生させる(ブロック508)。例示的な一実施例では、正の気泡検出信号は単に気泡存在フラグをアサートする(すなわち、ブール気泡存在変数を何からの特定の値に設定する)ことを必然的に伴い得る。気泡存在フラグは、気泡がセンサ導管(または、少なくともセンサ導管の測定セクション)を離れるまでアサートされたままであろう。気泡存在フラグは、上述のように、制御パラメータをフリーズさせるまたは記録された測定値をフリーズさせるなどの他の制御およびデータ格納動作のためのトリガ信号として使用されることができる。
【0051】
例示的な実施例では、気泡存在フラグがアサートされると、システムは応答して時間(CPUクロックサイクル、またはいくつかのプロセスもしくはスレッドサイクル)をカウントするタイマを開始させることができる。このタイマは、気泡存在フラグをアサートすることが、真の気泡が存在していることに起因するのか、またはデータ収集の際の瞬間的な障害に起因するのかを判断するために使用されることができる。すなわち、気泡存在フラグが予め定められた最小限の数のクロックサイクルまたはスレッドサイクル未満の時間アサートされたままである場合、システムは応答して、真の気泡の事象ではなく障害として、閾値を超えた偏位を処理できる。一方、気泡存在フラグが何らかの予め定められた最大の間隔(または数のクロックもしくはスレッドサイクル)よりも長い時間アサートされる場合、気泡はセンサ導管を塞ぎ、完全に流れを止めているものと思われる。このような状況では、システムは応答して、上述のように、流れを通常の定常状態の動作条件に戻すために気泡の制御された強制のための処置を開始させることができる。制御された強制手順が開始され得る予め定められた最大の間隔(または数のサイクル)は、流量、液体の粘性などの動作条件に依存する。
【0052】
いくつかの実施例では、センサ導管を通って通過する際に非常に早く気泡の存在を検出することが望ましい。特に、超音波流量計が流量コントローラにおけるセンサ構成要素として使用される場合には、気泡が制御信号を妨げる前、好ましくは気泡の存在によって生じる偽の信号に応答してコントローラがフィードバックパラメータ(したがって、流量)を変更する見込みがある前にできる限り早く気泡を検出することが望ましい。
【0053】
場合によっては、上述の移動または流動平均閾値検出はタイムリーな態様で気泡を検知することになり、コントローラは正の気泡検出信号に応答することになり、気泡がセンサ導管を通る通過を完了するまでコントローラパラメータを保持する。しかしながら、信号の振幅が急激に上昇する図7bおよび図8におけるポイントBで示されているように、流動平均信号振幅(または何らかの他の加重和)が信号スパイクを反映する前、および制御システムが変化に反応する前に、早くこの信号スパイクについてコントローラに警告を出すことが有益であり得る。したがって、気泡検出を有する流量計の例示的な一実施例は、コントローラが動作パラメータの変化にかかわる前に、非常に早い段階で気泡を検出することを助ける差動閾値検出スキームを利用し得る。
【0054】
一実施例では、差動閾値検出は飛行時間遅延差パラメータの値の変化に基づいており、この飛行時間遅延差パラメータは、本明細書ではx0として表示され、振幅の変化よりも感度が高い。飛行時間遅延差パラメータx0は、トランスデューサ702からトランスデューサ704に伝わる超音波信号(たとえば、チャープ信号)の通過時間と、逆方向にトランスデューサ704からトランスデューサ702に伝わる超音波信号の通過時間との間の差(すなわち、下流への通過時間と上流への通過時間との間の差)である。現在の値x0[t]と以前の値x0[t−1]との間の差は周期的に計算されることができ、この結果として生じる差は次いで、予め定められた閾値と比較される(ブロック608、610)。
【0055】
図9は、図7A〜図7Gおよび図8に示されている気泡通過シーケンス全体についての、時間に対する飛行時間差の値x0[t]−x0[t−1]の対応するプロットを示している。x0の差を使用するとき、気泡の存在は、図8において観察された特徴的な信号のシーケンスの初めに非常に近い急激なスパイクとして現われることが図9からわかる。
【0056】
このような差動測定を利用する気泡検出プロセスの例示的な実施例が図6に機能的に示されている。飛行時間遅延差パラメータの値x0は、下流への飛行時間を測定し(ブロック602)、上流への飛行時間を測定し(ブロック604)、その差を取る(ブロック606)ことによって周期的に計算されることができる。ブロック602および604は逆の順序でまたは同時に行なわれてもよいことを理解すべきである。
【0057】
例示的な一実施例では、新しいx0の値が得られるたびに、飛行時間差x0[t]−x0[t−1]が計算される。この差が予め定められた閾値(差動閾値)を超えると判断すると、気泡の疑いがあり、気泡存在フラグをアサートするなどの正の気泡検出信号が発生し得る(ブロック610、612)。代替的には、偽陽性応答の発生率を最小限にするために、差動閾値条件は次のスレッドサイクルにおいて再びチェックされてもよく、閾値条件が再び満たされた場合にのみ正の気泡検出信号が発生する。いずれの場合でも、閾値はセットポイント値などのシステムパラメータの階段状変化に起因して発生し得るであろうx0の最大の変化よりも大きいように選択されることができ、そのため、流れパラメータが故意に変更されるときに偽陽性気泡検出信号は発生しない。代替的には、差動気泡検出は、セットポイント値が変化する間、一時的にロックアウトまたは一時停止されてもよい。
【0058】
差動閾値を超えるx0の変化の結果として発生する正の気泡検出信号は、フィードバックパラメータまたは測定値をフリーズさせるために上述のように使用されることができ、
気泡の存在によって発生する偽の信号に不安定なシステムが応答することを防ぐ。
【0059】
差動検出基準は流動平均検出よりも早く気泡の存在を検出でき、したがって、早い警告をもたらすことができ、気泡の存在によって生じる偽の信号によってコントローラの状態が破損される前にシステムがコントローラの状態をフリーズさせることが可能である。差動検出がわずか1つまたは2つのスレッドサイクルだけ流動平均検出に先行する場合でさえ、差動検出は、気泡が通過する間の制御システムの安定した動作を容易にすることに有用であり得る。
【0060】
例示的な実施例では、差動検出は上述の流動平均検出を補完し、気泡がセンサ導管の中に入る間、主に動作する。しかしながら、図9における第2のより小さなピークによって示されているように、差動検出は気泡がセンサ導管から出たことを検出するためにも使用されることができる。
【0061】
この発明は主に、気泡が存在する状態で流体流量の正確な測定および/または制御をもたらすために使用されるように本明細書において記載されてきたが、この発明の局面は、気泡の存在が測定および/または制御プロセスに影響を及ぼす可能性がある他の目的のために使用されてもよい。たとえば、米国特許第5,569,844号は、超音波を使用して、CMPスラリーなどの溶液中の固体が浮遊する状態で粒径および固体の分布を測定することを記載する。第′844号特許は、気泡の存在がこのような測定値の精度を制限する可能性があることを記載し、気泡は典型的には測定の前に排除される必要があることを示す。この発明の局面は、気泡の存在を検出するため、および/または気泡が検出されない期間に粒径および分布測定を制限するために、このような粒径および分布測定スキームに容易に適合され得る。気泡の存在が測定および/または制御に影響を及ぼす可能性がある他の技術への適合についても容易に思い描くことができる。
【0062】
このように、液体の流れを測定および制御するためのこのシステムならびに方法の実施例のいくつかの局面を記載してきたが、さまざまな変形、修正および改善が容易に当業者に想起されることを理解すべきである。このような変形、修正および改善は、この開示の一部であるように意図され、この発明の範囲内であるように意図される。したがって、先の説明および図面は一例にすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】液体流れ測定および/または制御システムの例示的な実施例の概略図である。
【図2】液体流れ測定および/または制御システムのセンサ導管の中の気泡の存在を検出し、センサ導管の中の気泡の存在に応答する方法の例示的な実施例を示すフロー図である。
【図3】液体流れ測定および/または制御システムのセンサ導管から気泡が出たことを検出し、センサ導管から気泡が出たことに応答する方法の例示的な実施例を示すフロー図である。
【図4】液体流れシステムのセンサ導管の中の気泡の存在を検出する方法の例示的な実施例を示すフロー図である。
【図5】液体流れシステムのセンサ導管の中の気泡の存在を検出する方法の例示的な実施例を示すフロー図である。
【図6】液体流れシステムのセンサ導管の中の気泡の存在を検出する方法の例示的な実施例を示すフロー図である。
【図7A】気泡がセンサ導管に入る前の超音波センサ導管における信号を示す。
【図7B】気泡がセンサ導管の入口に到達したときの超音波センサ導管における信号を示す。
【図7C】気泡が第1のトランスデューサを通り過ぎるときの超音波センサ導管における信号を示す。
【図7D】気泡が導管の中央を横切ったときの超音波センサ導管における信号を示す。
【図7E】気泡が第2のトランスデューサに到達したときの超音波センサ導管における信号を示す。
【図7F】気泡が導管の出口端部に到達したときの超音波センサ導管における信号を示す。
【図7G】気泡がセンサ導管を出た後の超音波センサ導管における信号を示す。
【図8】気泡が流量センサのセンサ導管を横切ったときの、時間に対してプロットされた超音波流量センサ信号を示す。
【図9】気泡が流量センサのセンサ導管を横切ったときの、時間に対してプロットされた、超音波流量センサから得られた飛行時間差信号を示す。
【図10】この発明に従って使用され得る超音波流量計センサ導管の例示的な実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体流量センサの中を流れる液体の流量を測定する方法であって、前記液体流量センサは、センサ導管と、その中に形成された複数の気泡を含む前記液体とを含み、前記方法は、
前記センサ導管の中を流れる前記液体の前記流量を示す流れ信号を繰返し検知する行為と、
前記流れ信号の少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記センサ導管内の前記液体に少なくとも1つの気泡が配置されているかどうかを判断する行為と、
前記センサ導管内の前記液体に気泡が配置されていないという判断に応答して、最も最近検知された流れ信号に基づく、前記液体流量センサの中を流れる前記液体の前記流量を示す流量信号をもたらす行為と、
前記センサ導管内の前記液体に前記少なくとも1つの気泡が配置されているという判断に応答して、a)前記最も最近検知された流れ信号に基づく流量信号および前記少なくとも1つの気泡の存在を示す警告信号、ならびにb)前記最も最近検知された流れ信号以外に基づく、前記液体流量センサの中を流れる前記液体の前記流量を示す流量信号のうちの少なくとも1つをもたらす行為とを備える、方法。
【請求項2】
制御可能な弁および液体流量センサに結合された流れ導管を通る液体の流量を制御する方法であって、液体流量センサは、センサ導管と、その中に形成された複数の気泡を含む前記液体とを含み、前記方法は、
前記センサ導管の中を流れる前記液体の前記流量を示す流れ信号を繰返し検知する行為と、
前記流れ信号の少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記センサ導管内の前記液体に少なくとも1つの気泡が配置されているかどうかを判断する行為と、
前記センサ導管内の前記液体に気泡が配置されていないという判断に応答して、最も最近検知された流れ信号に基づく、前記制御可能な弁についての制御パラメータをもたらす行為と、
前記センサ導管内の前記液体に前記少なくとも1つの気泡が配置されているという判断に応答して、前記最も最近検知された流れ信号以外に基づく、前記制御可能な弁についての制御パラメータをもたらす行為と、
前記制御パラメータに従って前記制御可能な弁を制御する行為とを備える、方法。
【請求項3】
判断する前記行為は、前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの変化を検出する行為を含み、前記変化は、前記センサ導管内の前記液体に配置された前記少なくとも1つの気泡の存在の特徴を示す、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記液体流量センサは超音波液体流量センサを含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータは、超音波流れ信号振幅を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
判断する前記行為は、前記超音波流れ信号振幅の変化を検出する行為を含み、前記変化は、前記センサ導管内の前記液体に配置された前記少なくとも1つの気泡の存在の特徴を示す、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
繰返し検知する前記行為に応答して、前記超音波流れ信号振幅の値の流動平均を計算する行為をさらに備え、
判断する前記行為は、前記超音波流れ信号振幅の最も最近検知された値が閾値を超えて前記流動平均から逸脱するかどうかを判断する行為を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記流れ信号は超音波飛行時間差流れ信号を含み、前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータは、前記超音波飛行時間差流れ信号の大きさを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
判断する前記行為は、前記超音波飛行時間差流れ信号の前記大きさが閾値を超えて事前の超音波飛行時間差流れ信号の大きさから逸脱するかどうかを判断する行為を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
繰返し検知する前記行為に応答して、前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータの値の加重和を計算する行為をさらに備え、
判断する前記行為は、前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータの最も最近検知された値が、定められた量を超えて前記加重和から逸脱するかどうかを判断する行為を含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
繰返し検知する前記行為に応答して、前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータの値の流動平均を計算する行為をさらに備え、
判断する前記行為は、前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータの最も最近検知された値が閾値を超えて前記流動平均から逸脱するかどうかを判断する行為を含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記最も最近検知された流れ信号以外に基づく、前記液体流量センサの中を流れる前記液体の前記流量を示す前記流量信号をもたらす前記行為は、前記センサ導管内の前記液体に気泡が配置されていないことが以前に判断された、以前に検知された流れ信号をもたらすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記以前に検知された流れ信号は、前記センサ導管内の前記液体に気泡が配置されていないことが以前に判断された、前記最も最近検知された流れ信号を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記最も最近検知された流れ信号以外に基づく、前記液体流量センサの中を流れる前記液体の前記流量を示す前記流量信号をもたらす前記行為は、前記センサ導管内の前記液体に気泡が配置されていないことが以前に判断された、以前に検知された流れ信号を前記警告信号とともにもたらすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記最も最近検知された流れ信号以外に基づく制御パラメータをもたらす前記行為は、前記センサ導管内の前記液体に気泡が配置されていないことが判断された、以前にもたらされた制御パラメータをもたらすことを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記以前にもたらされた制御パラメータは、前記センサ導管内の前記液体に気泡が配置されていないことが以前に判断された、前記最も最近もたらされた制御パラメータを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記センサ導管内の前記液体に前記少なくとも1つの気泡が配置されているという判断に応答して、予め定められた期間待機する行為と、
前記予め定められた期間の後、前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記センサ導管内の前記液体に前記少なくとも1つの気泡が依然として配置されているかどうかを判断する行為と、
前記センサ導管内の前記液体に前記少なくとも1つの気泡が依然として配置されているという判断に応答して、前記センサ導管内の前記液体から前記少なくとも1つの気泡を除去するために制御された強制手順を実行する行為とをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記センサ導管内の前記液体に前記少なくとも1つの気泡が依然として配置されているかどうかを判断する前記行為は、前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの変化を検出することを含み、前記変化は、a)前記センサ導管内の前記液体に配置された前記少なくとも1つの気泡の存在、およびb)前記センサ導管内の前記液体から前記少なくとも1つの気泡が出ることのうちの1つの特徴を示す、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
制御された強制手順を実行する前記行為は、前記制御可能な弁についての前記制御パラメータを一時的に変更することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
制御された強制手順を実行する前記行為は、前記制御可能な弁を開閉することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
流れ導管の中を流れる液体の流量を測定するためのシステムであって、前記液体は、その中に形成された複数の気泡を含み、前記システムは、
前記流れ導管に流動的に結合されたセンサ導管を含む液体流量センサを備え、前記液体流量センサは、前記センサ導管の中を流れる前記液体の流量を検知し、前記センサ導管の中を流れる前記液体の前記流量を示す流れ信号をもたらすように構成され、前記システムはさらに、
前記液体流量センサに結合されて、前記流れ信号を受信し、前記流れ信号の少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記センサ導管内の前記液体に少なくとも1つの気泡が配置されているかどうかを判断するための気泡検出モジュールを備え、前記気泡検出モジュールは、
前記センサ導管内の前記液体に気泡が配置されていないという判断に応答して、最も最近検知された流れ信号に基づく、前記液体流量センサの中を流れる前記液体の前記流量を示す流量信号をもたらすように構成され、
前記センサ導管内の前記液体に前記少なくとも1つの気泡が配置されているという判断に応答して、a)前記最も最近検知された流れ信号に基づく流量信号および前記少なくとも1つの気泡の存在を示す警告信号、ならびにb)前記最も最近検知された流れ信号以外に基づく、前記液体流量センサの中を流れる前記液体の前記流量を示す流量信号のうちの少なくとも1つをもたらすように構成される、システム。
【請求項22】
前記気泡検出モジュールは、前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの変化を検出し、前記変化は、前記センサ導管内の前記液体に配置された前記少なくとも1つの気泡の存在の特徴を示す、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記液体流量センサは超音波液体流量センサを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータは、超音波流れ信号振幅を含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記気泡検出モジュールは前記超音波流れ信号振幅の変化を検出し、前記変化は、前記センサ導管内の前記液体に配置された前記少なくとも1つの気泡の存在の特徴を示す、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記気泡検出モジュールはさらに、
前記超音波流れ信号振幅の値の流動平均を計算するように構成され、
前記超音波流れ信号振幅の最も最近検知された値が閾値を超えて前記流動平均から逸脱するかどうかを判断するように構成される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記流れ信号は超音波飛行時間差流れ信号を含み、前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータは、前記超音波飛行時間差流れ信号の大きさを含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項28】
前記気泡検出モジュールはさらに、
前記超音波飛行時間差流れ信号が検出閾値を超えて、以前に求められた超音波飛行時間差流れ信号から逸脱するかどうかを判断するように構成される、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記気泡検出モジュールはさらに、
前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータの前記値の加重和を計算するように構成され、
前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータの前記最も最近検知された値が、定められた量を超えて前記加重和から逸脱するかどうかを判断するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項30】
前記気泡検出モジュールはさらに、
前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータの前記値の流動平均を計算するように構成され、
前記流れ信号の前記少なくとも1つのパラメータの前記最も最近検知された値が閾値を超えて前記流動平均から逸脱するかどうかを判断するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項31】
前記最も最近検知された流れ信号以外に基づく、前記液体流量センサの中を流れる前記液体の前記流量を示す前記流量信号は、前記センサ導管内の前記液体に気泡が配置されていないことが以前に判断された、以前に検知された流量信号を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項32】
前記以前に検知された流量信号は、前記センサ導管内の前記液体に気泡が配置されていないことが以前に判断された、最も最近検知された流量信号を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
制御可能な弁にもたらされた制御パラメータに基づいて前記流れ導管の中を流れる流体の前記流量を制御するための、前記流れ導管と流体連通する制御可能な弁と、
前記液体流量センサから前記流れ信号を受信し、前記制御パラメータを前記制御可能な弁にもたらすための、前記液体流量センサおよび前記制御可能な弁に結合されたコントローラとをさらに備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項34】
前記気泡検出モジュールは前記コントローラにおいて実現され、
前記センサ導管内の前記液体に気泡が配置されていないと判断すると、前記コントローラは、前記最も最近検知された流れ信号に基づいて前記制御パラメータを前記制御可能な弁にもたらし、
前記センサ導管内の前記液体に前記少なくとも1つの気泡が配置されていると判断すると、前記コントローラは、前記最も最近検知された流れ信号以外に基づいて前記制御パラメータを前記制御可能な弁にもたらす、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記気泡検出モジュールは、前記センサ導管内の前記液体に前記少なくとも1つの気泡が配置されているという判断に応答して、前記最も最近検知された流れ信号に基づく前記流量信号および前記少なくとも1つの気泡の存在を示す前記警告信号をもたらし、前記システムは、
制御可能な弁にもたらされた制御パラメータに基づいて前記流れ導管の中を流れる流体の前記流量を制御するための、前記流れ導管と流体連通する制御可能な弁と、
前記流量信号および前記警告信号を受信し、前記制御パラメータを前記制御可能な弁にもたらすための、前記気泡検出モジュールに結合されたコントローラとをさらに備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項36】
前記警告信号に応答して、前記コントローラは、前記制御可能な弁にもたらされた前記制御パラメータを事前の値においてフリーズさせる、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記警告信号に応答して、前記コントローラは、予め定められた期間待機するように構成され、前記センサ導管内の前記液体に前記少なくとも1つの気泡が依然として配置されておりかつ前記予め定められた期間が経過したと判断すると、前記センサ導管内の前記液体から前記少なくとも1つの気泡を除去するために制御された強制手順を実現するように構成される、請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
前記制御された強制手順は、前記制御可能な弁の開閉を含む、請求項37に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−505079(P2009−505079A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526275(P2008−526275)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/031579
【国際公開番号】WO2007/022052
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(505194192)セレリティ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】CELERITY, INC.
【Fターム(参考)】