説明

気液分離器

【課題】 フィルタが目詰まりするまでの期間を延長することのできる気液分離器を提供する。
【解決手段】 上ケーシング3と下ケーシング8と底ケーシング13とからなるケーシング内に二重のほぼ円筒形状の排気管5を配置する。排気管5の内側円筒と外側円筒の間に旋回羽根11を配置する。旋回羽根11の上方を異物捕捉用のフィルタ6を介して入口7に連結し、排気管5の内側円筒の内側を通してその上方を出口12に連結する。排気管5の下方に液溜室15を形成して液溜室15の下端を排液口18に連結する。フィルタ6下方の排気管5の外側円筒の外側と上ケーシング3の内側との間に異物溜空間9を形成する。入口7から流入する異物の一部はフィルタ6へ流下せずに異物溜空間9へ流下して溜まりフィルタ6に捕捉されないので、フィルタ6が目詰まりするまでの期間を延長できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気や圧縮空気や各種ガス等の気体中に混入している復水や凝縮水等の液体をケーシング内に旋回流を起こして遠心力によって分離する気液分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の気液分離器は、例えば特許文献1に開示されている。これは、ケーシング内に二重のほぼ円筒形状の排気管を配置し、排気管の内側円筒と外側円筒の間に旋回羽根を配置し、旋回羽根の上方を異物捕捉用のフィルタを介して入口に連結し、排気管の内側円筒の内側を通してその上方を出口に連結し、排気管の下方に液溜室を形成して該液溜室の下端を排液口に連結したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−276890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の気液分離器は、入口から流入するゴミ、錆、スケール等の異物をフィルタにより捕捉して二次側へ流下させないものであるが、フィルタが比較的短期間で目詰まりしてしまうという問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、フィルタが目詰まりするまでの期間を延長することのできる気液分離器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の気液分離器は、ケーシング内に二重のほぼ円筒形状の排気管を配置し、排気管の内側円筒と外側円筒の間に旋回羽根を配置し、旋回羽根の上方を異物捕捉用のフィルタを介して入口に連結し、排気管の内側円筒の内側を通してその上方を出口に連結し、排気管の下方に液溜室を形成して該液溜室の下端を排液口に連結したものにおいて、フィルタ下方の排気管の外側円筒の外側とケーシングの内側との間に異物溜空間を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィルタ下方の排気管の外側円筒の外側とケーシングの内側との間に異物溜空間を形成したものであるので、入口から流入する異物の一部がフィルタへ流下せずに異物溜空間へ流下して溜まりフィルタに捕捉されないことにより、フィルタが目詰まりするまでの期間を延長できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる気液分離器を減圧弁に組み合わせたものの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。図示の実施例は本発明による気液分離器1を、減圧弁2に一体的に組み合わせたものである。上ケーシング3の中心に位置する減圧弁2の主弁4の周囲に二重のほぼ円筒状の排気管5と異物捕捉用のテーパー状のフィルタ6を同心円に配置する。フィルタ6の外周の上方は入口7に連結する。排気管5の外側円筒は真直ぐな形状で内側円筒よりも低く形成する。排気管5の外側円筒の上にフィルタ6を載せ、排気管5の外側円筒を下ケーシング8の上に載せ、下ケーシング8を上ケーシング3にボルトで締結することにより、フィルタ6を排気管5の外側円筒と上ケーシング3との間で固定し、排気管5を下ケーシング8と上ケーシング3との間で固定する。フィルタ6はステンレス鋼薄板に多数の小円孔を開けたものである。フィルタ6の外周の下方の排気管5の外側円筒の外側と上ケーシング3の内側との間に異物溜空間9を形成する。上ケーシング3には異物溜空間9を外部に連結するブロー口26を設け、ブロー口26にブロー管27を連結し、ブロー管27にブローバルブ28を配置する。
【0010】
フィルタ6の内周の下方は排気管5の内外円筒の間に形成される環状空間10に連結する。環状空間10に排気管5と一体に旋回羽根11を形成する。排気管5の内側円筒の内側は上方の主弁4のある空間を介して出口12に連結する。下ケーシング8に底ケーシング13をボルトで締結して内部に旋回室14と、旋回室14の下方に液溜室15を形成する。底ケーシング13にはフロート座16が形成してあり、排液弁座17が排液口18の内端に取り付けてある。
【0011】
液溜室15に中空球形の弁フロート19を配置する。弁フロート19は液位に応じて浮上降下して排液弁座17の排液弁口を開閉し、液体だけを排液口18から系外に排出する。弁フロート19を逆カップ状の隔壁部材20で覆う。隔壁部材20は上部が半球状で周囲が円筒状の外周壁であり、下端に手前側と向こう側に突出した2つの足を有し、足をねじで底ケーシング13に固定する。隔壁部材20の上部に内外を連通する通気孔23を形成すると共に下部に内外を連通する液体通過孔24を形成する。
【0012】
上記の気液分離器の動作は次の通りである。異物と液体を含む気体が入口7から流入する。入口7から流入する異物の一部はフィルタ6へ流下せずに異物溜空間9へ流下して溜まりフィルタ6に捕捉されないので、フィルタ6が目詰まりするまでの期間を延長できる。異物溜空間9の異物はブローバルブ28により外部にブローされる。入口7から流入する異物の一部はフィルタ6へ流下して捕捉される。フィルタ6を通過した液体を含む気体は旋回羽根11で旋回せしめられる。液体は遠心力の作用で外側に振り出されて分離され、下ケーシング8の内周壁に沿って流下する。中央部の気体は排気管5の内側円筒の内側を通って減圧弁2の主弁4に向かい出口12に流れ出る。分離された液体は隔壁部材20の液体通過孔24を通して内側に流入し、弁フロート19の浮上降下により排液口18から外部に排出される。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、気体中に混入している液体をケーシング内に旋回流を起こして遠心力によって分離する気液分離器に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 気液分離器
2 減圧弁
3 上ケーシング
5 排気管
6 フィルタ
7 入口
8 下ケーシング
9 異物溜空間
11 旋回羽根
12 出口
13 底ケーシング
15 液溜室
18 排液口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内に二重のほぼ円筒形状の排気管を配置し、排気管の内側円筒と外側円筒の間に旋回羽根を配置し、旋回羽根の上方を異物捕捉用のフィルタを介して入口に連結し、排気管の内側円筒の内側を通してその上方を出口に連結し、排気管の下方に液溜室を形成して該液溜室の下端を排液口に連結したものにおいて、フィルタ下方の排気管の外側円筒の外側とケーシングの内側との間に異物溜空間を形成したことを特徴とする気液分離器。

【図1】
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【公開番号】特開2010−214276(P2010−214276A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62533(P2009−62533)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】