説明

気液分離装置及びビール貯蔵装置

【課題】 本発明の課題は、貯留タンク内への急激な排液の流入に対して応答性に優れ且つ自動的に配管を洗浄することができる気液分離装置及びビール貯蔵装置を提供することである。
【解決手段】 本発明の気液分離装置1は、配管4、5内を洗浄した排液が流入された排液を気体と液体とに分離する貯留タンク11と、気体を大気中に排出する排気口15と、気体を分離した後の排液を排出する排液口17とを備え、排液口17には貯留タンク11内の水位に応じて開閉する開閉弁19が設けられており、開閉弁19は貯留タンク11内に一定以上の排液が溜まった際に開いて、排液口17から排液が排出されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を洗浄した後の排液を気体と液体とに分けて夫々排出する気液分離装置及びビール貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ビール貯蔵タンクと貯蔵タンクに接続された配管とを備え、配管を洗浄液で洗浄する技術が開示されている。
【0003】
従来、貯蔵タンク内及び配管を洗浄する場合、排液にビールの二酸化炭素が混合されるため、排液を一旦貯留タンクに溜めて、二酸化炭素を大気中に放出した後、貯留タンクの出口を開いて排液を排水溝に排水するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−306151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の従来技術は、貯留タンクの出口を開くのに人手による作業が必要であり、作業が大変で自動的に洗浄できないという問題がある。また、貯留タンク内に大量の排液が急激に流入した場合には、開閉に手間取って排液が溢れ出る可能性があり、応答性が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、貯留タンク内への急激な排液の流入に対して応答性に優れ且つ自動的に配管を洗浄することができる気液分離装置及びビール貯蔵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、配管内を洗浄した排液が流入された排液を気体と液体とに分離する貯留タンクと、気体を大気中に排出する排気口と、気体を分離した後の排液を排出する排液口とを備え、排液口には貯留タンク内の水位に応じて開閉する開閉弁が設けられており、開閉弁は貯留タンク内に一定以上の排液が溜まった際に開いて、排液口から排液が排出されることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、貯留タンク内には水位に応じて上下動するフロートが設けられており、開閉弁はフロートに接続されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、排液口から排出された排液は導出管により導出されており、導出管の出口と排水溝との間に隙間を設けてあることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の気液分離装置はビール貯蔵タンクに接続されており、ビール貯蔵タンク内に残った残液を配管から貯留タンク内に流入させていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載の発明において、ビール貯蔵装置は配管に接続された洗浄水供給装置を備え、洗浄水供給装置の切換え操作により配管内に洗浄液と高温の洗浄水とを流していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、配管内の汚れを洗浄した後の排液は配管から貯留タンク内に流入する。貯留タンク内では排液中に含まれる気体が排気口から排気されると共に、貯留タンク内に排液が溜められる。貯留タンク内に一定量の排液が溜まると、開閉弁が開いて排液口から溜まった排液が排出される。
【0013】
貯留タンク内に排液が流れ込んだ場合、開閉弁が開いて排液が貯留タンクの外部に排出されるので、排液の流量変動にも対応できる。しかも、大量の排液が貯留タンク内に流れ込んだ際にも、貯留タンク内で炭酸ガスを分離した後、スムーズに排液を排出することができ、貯留タンク内への急激な排液の流入に対しても応答性に優れる。
【0014】
貯留タンク内に排液が流れ込んだ場合、開閉弁が開いて排液が貯留タンクの外部に排出されるので、例えば従来技術のように人手によって貯留タンクの排液を外部に排出させる作業が要らず、自動的に配管を洗浄することができる。
【0015】
請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、貯留タンク内の排液による浮力によりフロートが上昇し、開閉弁が開くので、貯留タンク内への急激な排液の流入に対して、簡易な構成で、応答性が良い。
【0016】
請求項3に記載された発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られると共に、導出管の出口と排水溝との間に隙間を設けることで、大量の排液が貯留タンクから排出される場合でも、排液が導出管を逆流して貯留タンク内に流れ込み難く、貯留タンク内が汚れるのを防止できる。
【0017】
導出管の出口と排水溝との間に隙間を設けることで、屋内の排水溝を利用して貯留タンク内から排液を排出することができる。
【0018】
請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜3の何れか一項に記載の気液分離装置をビール貯蔵タンクに接続することで、ビール内に含まれる炭酸ガスをスムーズに大気中に放出できる。また、配管内を自動的に洗浄できるので、ビール貯蔵タンクから排出されるビール残液による配管内の汚れも容易に除去することができる。
【0019】
請求項5に記載された発明によれば、請求項4に記載された発明と同様の効果が得られるとともに、配管内に高温の洗浄水を流すことで、低温の洗浄水では除去し難い配管内に付着した微生物を殺菌することができ、配管内を清潔に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係る気液分離装置の貯留タンクを示す断面図、図2は図1に示す貯留タンク内から屋内の排水溝に排液を排出している状態を示す斜視図、図3は本発明の実施形態に係る気液分離装置を備えたビール貯蔵装置の配管図である。
【0021】
図3に示すように、本実施の形態に係るビール貯蔵装置100は、複数のビール貯蔵タンク3と、配管4、5と、配管4、5の下流位置に設けられた気液分離装置1と、配管4、5の上流位置に設けられた洗浄水供給装置7とを備え、配管4、5内を洗浄した後の排液を気液分離装置1で溜めておき、気体を大気中に放出した後、液体を屋内の排水溝9に排出するようになっている。配管4、5は、ビール貯蔵タンク3に接続した主配管4と、主配管4から分岐した分岐配管5とからなり、ビール貯蔵タンク3内の残液排出時及び配管4、5内の洗浄時に、バルブの切り換えにより主配管4から分岐配管5に排水が流れるようになっている。
【0022】
洗浄水供給装置7は配管4、5内にカセイソーダ等のアルカリ洗浄液(CIP)を供給していると共に、切換え操作によって高温の洗浄水を供給するようになっている。
【0023】
気液分離装置1は貯留タンク11と、貯留タンク11の側部に形成された排液の流入口13と、貯留タンク11の上部に形成された排気口15と、貯留タンク11の下部に形成された排液口17と、導出管18とを備え、排液口17には貯留タンク11内の水位に応じて開閉する開閉弁23が設けられている。
【0024】
開閉弁23は弁棒25を介してフロート21に接続されており、貯留タンク11内の水位に応じて上下動するフロート21に連動するようになっている。貯留タンク11内に一定量の排液が溜まるとフロート21が浮力によって上昇し、フロート21に接続された開閉弁23が上方に移動して、排液口17が開いて貯留タンク11内に溜まった排液が排出されるようになっている。また、導出管18の出口18aは縁切りされており、導出管18と排水溝9との間に隙間が設けられている。
【0025】
尚、貯留タンク11の内壁11aにはガイド27が形成されており、フロート21がガイド27に案内されることで、フロート21が上下に移動する際にふらつかないようになっている。
【0026】
次に、上記した構成に基づき、本実施の形態の作用及び効果を説明する。配管4、5内を洗浄する場合、主配管4の上流位置に設けられた洗浄水供給装置7から洗浄液が配管4、5内に供給される。洗浄液によって配管4、5の内壁に付着したビール汚れが除去されると共に、ビール貯蔵タンク3から排出されるビール残液も配管4、5を通って貯留タンク11内に搬送される。貯留タンク11内にビール汚れやビール残液等の排液が搬送されると、ビールの炭酸ガスが排気口15から大気中に排気されると共に、貯留タンク11内に排液が溜められる。貯留タンク11内に一定量の排液が溜まると、図1中一点鎖線で示すように、排液の浮力によってフロート21が上方に移動し、その動きに連動してフロート21に接続された開閉弁23が上方に移動して排液口17が開き、導出管18から貯留タンク11内に溜まった排液が排出される。導出管18から排出された排液は屋内の排水溝9に排出される。貯留タンク11内の排液が排出されると、フロート21が元の位置に戻って、排液口17が閉じる。また、配管4、5内を洗浄液で洗浄した後、洗浄水供給装置7から高温の洗浄水を供給して、配管4、5内を殺菌している。
【0027】
貯留タンク11内に排液が流れ込んだ場合、フロート21の浮上により開閉弁23が開いて排液が貯留タンク11の外部に排出されるので、排液の流量変動にも対応できる。しかも、大量の排液が貯留タンク11内に流れ込んだ際にも、貯留タンク内で炭酸ガスを分離した後、スムーズに排液を排出することができ、貯留タンク11内への急激な排液の流入に対しても応答性に優れる。
【0028】
貯留タンク11内に排液が流れ込んだ場合、開閉弁23が開いて排液が貯留タンク11の外部に排出されるので、例えば人手によって貯留タンク11の排液を外部に排出させる作業が要らず、自動的に配管4、5を洗浄することができる。
【0029】
開閉弁23にフロート21を接続しているので、貯留タンク11内の排液による浮力によりフロート21が上昇し、開閉弁23が開くので、貯留タンク11内への急激な排液の流入に対して、簡易な構成で、応答性が良い。
【0030】
導出管18の出口18aは縁切りされており、導出管18と排水溝9との間に隙間を設けているので、大量の排液が貯留タンク11から排出される場合でも、排液が導出管18を逆流して貯留タンク11内に流れ込み難く、貯留タンク11内が汚れるのを防止できる。導出管18の出口18aは縁切りされているので、屋内の排水溝9を利用して貯留タンク11内から排液を排出することができる。
【0031】
配管4、5内を自動的に洗浄できるので、ビール貯蔵タンク3から排出されるビール残液による配管4、5内の汚れも容易に除去することができる。
【0032】
配管4、5内に高温の洗浄水を流すことで、低温の洗浄水では除去し難い配管4、5内に付着した微生物を殺菌することができ、配管4、5内を清潔に保つことができる。
【0033】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0034】
気液処理装置1はビール貯蔵装置に用いる場合に限定されず、例えば発泡酒、炭酸清涼飲料水の貯蔵装置に用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る気液分離装置の貯留タンクを示す断面図である。
【図2】図1に示す貯留タンク内から屋内の排水溝に排液を排出している状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る気液分離装置を備えたビール貯蔵装置の配管図である。
【符号の説明】
【0036】
1 気液分離装置
3 ビール貯蔵タンク
4、5 配管
7 洗浄水供給装置
9 排水溝
11 貯留タンク
15 排気口
17 排液口
19 開閉弁
21 フロート
23 開閉弁
100 ビール貯蔵装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管内を洗浄した排液が流入された排液を気体と液体とに分離する貯留タンクと、気体を大気中に排出する排気口と、気体を分離した後の排液を排出する排液口とを備え、排液口には貯留タンク内の水位に応じて開閉する開閉弁が設けられており、開閉弁は貯留タンク内に一定以上の排液が溜まった際に開いて、排液口から排液が排出されることを特徴とする気液分離装置。
【請求項2】
貯留タンク内には水位に応じて上下動するフロートが設けられており、開閉弁はフロートに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の気液分離装置。
【請求項3】
排液口から排出された排液は導出管により導出されており、導出管の出口と排水溝との間に隙間を設けてあることを特徴とする請求項2に記載の気液分離装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の気液分離装置はビール貯蔵タンクに接続されており、ビール貯蔵タンク内に残った残液を配管から貯留タンク内に流入させていることを特徴とするビール貯蔵装置。
【請求項5】
ビール貯蔵装置は配管に接続された洗浄水供給装置を備え、洗浄水供給装置の切換え操作により配管内に洗浄液と高温の洗浄水とを流していることを特徴とする請求項4に記載のビール貯蔵装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−116486(P2006−116486A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309155(P2004−309155)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】