説明

気液混合圧送システム

【課題】液体に混合する気体の量を精密に制御可能な気液混合圧送システムを提供する。
【解決手段】気液混合流体を圧送する圧送ポンプ10と、この圧送ポンプ10の吸入側で液体に気体を混合する気体混合手段とを備え、この気体混合手段は、複数のソニックノズル481−484を並列に備え、いずれかのソニックノズル481−484を流通制限し、気体混合量を制御可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液混合流体を圧送する気液混合圧送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気体と液体とが混合した気液混合流体をポンプによって吸入し、吸入した気液混合流体を加圧、攪拌した上でポンプから吐出し、吐出した気液混合流体を抵抗器に流入させ、抵抗器にて気液混合流体に対しマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、マイクロバブル、さらには、マイクロバブルより微細なバブルである、マイクロナノバブル、ナノバブルについて説明する。
【0003】
マイクロバブルには、3種類のマイクロバブルが存在するものと考えられる。
1方の種類のマイクロバブルは、タービンや遠心式ポンプ、あるいは、水動力計等、ブレードやインペラが高速回転する機器において、液体が撹拌されるせん断領域で発生するもので、所謂、キャビテーションと呼ばれる。以下、このような状況下で発生するマイクロバブルを「マイクロ負圧バブル」と区分する。この「マイクロ負圧バブル」は、基本として、溶存気体や液体の気化成分から成るため、時間経過に伴って消滅するが、この時に、バブルが占めていた空間が急激に消滅するため、下記の如く、バブル領域は、高温高圧と成る可能性が有る。
【0004】
すなわち、キャビテーション由来のマイクロバブルの場合は、「マイクロ負圧バブル」を発生させた時の容積をVf、その時の外周部圧力をPf、温度をTf、収縮した時の状態量を、Ve、Pe、Te、そしてその過程をポリトロープ変化(n=ポリトロープ指数)とすると、次式の関係が成り立つ。
Pe=(Vf/Ve)・Pf・・・・・・・・(A)
Te=(Vf/Ve)n−1・Tf・・・・・・・(B)
式中の「n」は、単純に言えば、極めて短時間で「Vf→Ve」の変化が起これば、「n=1.4」の断熱変化となり、長い時間での「Vf→Ve」の変化の場合は「n=1」の等温変化と成る。式(A)、(B)の中で、最も問題なのが「(Vf/Ve)」の値で、キャビテーションで生成された気泡{マイクロ負圧バブル}のように、これが消滅すると言う事は、「Vf」の大きさに関わらず、「(Vf/Ve)=(Vf/0)→∞」と、無限大と成る傾向に有る。この結果、収縮する「マイクロ(ナノ)バブル」領域は、超高圧・超高温と成る可能性が有る。
なお、このような、微細気泡である「マイクロバブル」や更に微細な「ナノバブル」は、表面が帯電しており、圧壊すると大量のフリーラジカルが発生すると言われているが、これは「マイクロ負圧バブル」の種別と考えられる。
【0005】
他方の種類のマイクロバブルは、大気圧近傍の圧力条件で、エジェクター(あるいは、アスピレーター)等を用いて気体を供給して発生させた「マイクロバブル」である。このマイクロバブルは、その内部に、正圧の当該気体を核としており、所謂、「マイクロ正圧バブル」と区分され、周囲液体への溶存を生じない限り、簡単に消滅する事は無いと同時に、寧ろ、気泡は緩やかに膨張して拡散すると考えられる。
更に高圧の液体中に分散した気泡は、周囲の高圧液体に圧縮されて存在しており、「マイクロ高圧バブル」と区分され、例えば、最新の自動車用ディーゼル・エンジンの燃料噴射圧力である、200(MPa)の高圧下で生成された気泡は、噴射環境との圧力差で、噴射と同時に、気泡は音速で膨張し、周囲の液体を急激に分散させると考えられる。
【0006】
次いで、マイクロバブルの効果について説明する。
地球環境には、微細物質として、例えば、家シロアリの腸内細菌=〜10(μm)、細菌=0.5〜(μm)程度、マイコプラズマ=0.125〜0.25(μm)、リケッチア=0.3〜0.5(μm))×0.3(μm)の小さな球桿菌、ウイルス=0.02〜0.3(μm)、サルモネラ=0.5〜2(μm)、ブドウ球菌=1(μm)、ピロリ菌=4(μm)、結核菌=2(μm)、クラジミア=0.8(μm)等の微細物質が存在する。これを踏まえ、マイクロバブルが「1(μm)〜20(nm)」の大きさに成ると、マイクロバブルは魚や植物等の生物に違和感無く体内に取り込まれる事となる。従って、マイクロバブルが酸素等の生態に有用な気体に由来する場合は、当該生態に有益な結果をもたらす。一方、エンジン等では、燃料中のスラッジ等の異物を除去するため、舶用ディーゼル・エンジンでは「≦50(μm)」フィルターが、自動車用ガソリン・エンジンでは、「≦0.5(μm)」フィルターが最終フィルターとして使用されている。すなわち、通常は、燃料中の「空気」の存在は、摺動部の磨耗を促進させるが、このレベル以下の大きさの「気体」は、エンジン寿命への影響を与えないばかりか、寧ろ摩擦損失を低減する事が予測される(例えば、特許文献2参照)。この2つの意味で、液中の“気体の大きさ”は重要な要素である。なお、従来、「マイクロバブル」とは、発生時に気泡の直径が10(μm)〜数十(μm)以下の微細な気泡の事を言い、発生後に、「マイクロバブル」は収縮して、「マイクロナノバブル」へと変化する事が有る、と考えられている。
【0007】
ここで、「マイクロナノバブル」とは、気泡の直径が数百(nm)〜10(μm)以下の微細な気泡の事を言う。「マイクロバブル」と「マイクロナノバブル」の相違は、その収縮速度に大きな違いが有るとされている。この原因は、上述したように、「マイクロバブル」の製造過程に起因し、「マイクロ負圧バブル」の場合は、作用時の圧力に関わらず消滅し、気体供給による「マイクロバブル」の場合は、基本的には、後述のように、生成時と作用時の圧力差が小さい場合は、「時間」には基本特性が影響されない事が特徴で、瞬間消滅する事はなく、寧ろ、膨張して拡散する。
なお、液中気泡を、細菌やウイルスの大きさと同じレベルの「〜≦1(μm)」の大きさに「マイクロ(ナノ)バブル」化する事は、当該物質を、生体に違和感無く、取り込ませ、有用気体の場合は、良い効果を与える。そして、この効果は、「ミリバブル」→「マイクロバブル」→「ナノバブル」に移行するにつれて、効果が大となると推測される。
【0008】
さらに、マイクロバブルの他の効果について説明する。
例えば、浴槽内で、供給液体の効果によりエジェクターを用いて気泡発生する場合など、生成時圧力Pf(MPa(abs))と作用時圧力Pe(MPa(abs))の差が無い場合は、効果は限定的である。
しかし、通常、「マイクロ(ナノ)バブル」流体をポンプ圧送する関係から、「生成時圧力Pf(MPa(abs))≧作用時圧力Pe(MPa(abs))の関係に有る。すなわち、バブルの温度が同じ場合、生成時の容積をVf(m)、作用時の容積をVe(m)とすると、『(Ve/Vf)=(Pf/Pe)』の関係に有る。通常の遠心式ポンプ(渦流ポンプ、カスケード・ポンプ等)の場合は、「Pf≧0.2(MPa(abs))」程度で有るため、浴槽等の大気圧力下では、「Pe=0.1(MPa(abs))」のため、その膨張度は、『(Ve/Vf)=(Pf/Pe)≒0.2/0.1=2』程度に過ぎない。しかし、ディーゼル・エンジンやガソリン・エンジンの場合のように、燃料噴射圧力Pf(MPa(abs))が高い場合は、仮に、「Pf=20(MPa(abs))」とし、燃料噴射時の圧縮圧力を「Pf=3.5(MPa(abs))」とすると、『(Ve/Vf)=(Pf/Pe)≒20/3.5=5.7』に増加し、噴射後に、液中気泡が音速で膨張し、噴射燃料の微細化(内部爆発)に貢献し、更には、ディーゼル・エンジンでは、噴射雰囲気が高温のため、燃料内部空気(酸化剤)が任意の値に有る場合、気泡内で内部着火して爆発を起こし、燃料の拡散を更に促進させる。同時に、燃料中に酸素を含有する燃料(=ジメチルエーテル(慣用名:Dimethylether)等の含酸素燃料)と同じ効果により、燃料の完全燃焼に貢献し、排気煙の低減効果を招く。また、吸気管からの空気に対して、過給効果が期待されるため、燃焼改善により排気煙等の未燃成分の現象と燃焼温度の低下によるNOxの低減も期待される。
【0009】
ここで、生成時圧力Pf(MPa(abs))と作用時圧力Pe(MPa(abs))との圧力差が大きい場合は、前述の急激な膨張により、バブルが周囲液体を慣性効果で拡大し過ぎた場合は、気泡は自己収縮を起こすと予測される。キャビテーションで発生した気泡の場合は、収縮する場合、収縮後の容積が“ゼロ”近くなるため、当該領域は、高温と成り、衝撃波を発する。
但し、潅水や養殖場等での場合は、膨張と共に、周囲の液体に、「マイクロ(ナノ)バブル」化した気体の一部は、液体に溶解するとすれば、キャビテーション由来の「マイクロバブル」程の大きな効果は不可能で有るが、逆収縮により、気泡部分の温度が上昇し、酸素のような気体の場合は、殺菌作用の機能増加を招く事が有ることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−117365号公報
【特許文献2】特開2007−009900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1のように、ポンプによって気液混合流体を吸入した後、圧縮して吐出し、ポンプから吐出された気液混合流体に上述したマイクロバブルを発生させた上で、供給先に供給するマイクロバブル発生装置では、液体の量に対する気体の量を供給先に応じて簡単、適切、かつ、精密に調整した上で、マイクロバブルを発生し、供給先に供給したいとするニーズがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、液体に混合する気体の量を、簡単且つ精密に制御可能な気液混合圧送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、気液混合流体を圧送する圧送ポンプと、この圧送ポンプの吸入側で液体に気体を混合する気体混合手段とを備え、前記気体混合手段は、複数のソニックノズルを並列に備え、いずれかのソニックノズルを流通制限し、気体混合量を制御可能としたことを特徴とする。
【0013】
ここで、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記気体混合手段は、各ソニックノズルに対応して開閉弁を備え、いずれかの開閉弁を遮断して、対応するソニックノズルを流通制限し、気体混合量を制御するようにしてもよい。
【0014】
また、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記圧送ポンプの駆動を開始してから所定の間は、各前記開閉弁を遮断して気体の混合を停止するようにしてもよい。
【0015】
また、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記ソニックノズルに一定の圧力で気体を供給する一定圧力印加手段を備えるようにしてもよい。
【0016】
また、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記一定圧力印加手段は、前記ソニックノズルの上流に設けられた圧縮機であるようにしてもよい。
【0017】
また、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記圧送ポンプに対し、気体を供給する気体供給手段をさらに備え、前記圧送ポンプは、吸入した気液混合流体に、前記気体供給手段から供給された気体を混合した上で、気液混合流体を圧縮し、吐出するようにしてもよい。
【0018】
また、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記圧送ポンプは、軸ケースにピストン軸を往復駆動自在に収納し、前記軸ケースを貫通した前記ピストン軸の一方の外端部にピストンを固着し、前記ピストンを前記軸ケースに連結したシリンダー内に収容し、前記シリンダー内で前記ピストンの外に向かう面側に第1ポンプ室を形成し、この第1ポンプ室に第1吸入口及び第1吐出口を設ける一方、前記ピストンの内に向かう面側に第2ポンプ室を形成し、この第2ポンプ室に第2吸入口及び第2吐出口を設け、前記ピストンの往復駆動に応じて、第1ポンプ室での吸入動作及び第2ポンプ室での吐出動作と、第1ポンプ室での吐出動作及び第2ポンプ室での吸入動作とを交互に行うポンプであるようにしてもよい。
【0019】
また、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記圧送ポンプによって吸入される気液混合流体が流通する気液吸入管を2つに分岐し、一方の管を前記第1吸入口に接続すると共に、他方の管を前記第2吸入口に接続し、前記圧送ポンプから吐出される気液混合流体が流通する気液吐出管を2つに分岐し、一方の管を前記第1吐出口に接続すると共に、他方の管を前記第2吐出口に接続したようにしてもよい。
【0020】
また、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記第1吸入口及び前記第2吸入口のうち、いずれか一方の吸入口に、前記圧送ポンプによって吸入される気液混合流体が流通する気液吸入管を接続し、前記一方の吸入口と対応する吐出口と他方の吸入口とを管接続し、前記他方の吸入口と対応する吐出口に、前記圧送ポンプから吐出される気液混合流体が流通する気液吐出管を接続したようにしてもよい。
【0021】
また、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記一方の吸入口と対応する吐出口と前記他方の吸入口とを接続する管にバブル発生装置を設けたようにしてもよい。
【0022】
また、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記ピストン軸が、前記ピストンから外側に向かって突出しないように、前記ピストン軸の外側の先端に前記ピストンを固着し、前記第1吸入口に、前記気液吸入管を接続し、前記第1吐出口と前記第2吸入口とを管接続し、前記第2吐出口に前記気液吐出管を接続したようにしてもよい。
【0023】
また、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室のうち、いずれかの一方のポンプ室で気体を吸入して吐出する気体用ポンプ室として機能させ、他方のポンプ室を気液混合流体を吸入して吐出する気液用ポンプ室として機能させ、気体用ポンプ室として機能させたポンプ室から吐出された空気を、気液用ポンプ室として機能させたポンプ室に吸入された気液混合流体に混合可能に構成したようにしてもよい。
【0024】
また、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記ピストン軸が、前記ピストンから外側へ突出しないように、前記ピストン軸の外側の先端に前記ピストンを固着し、前記第2ポンプ室を気体用ポンプ室として機能させ、前記第1ポンプ室を気液用ポンプ室として機能させるようにしてもよい。
【0025】
また、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記圧送ポンプは、軸ケースにピストン軸を往復駆動自在に収納し、前記軸ケースを貫通した前記ピストン軸の両方の外端部のそれぞれにピストンを固着し、前記ピストンのそれぞれを前記軸ケースに連結したシリンダーのそれぞれの内部に収容し、前記シリンダーのそれぞれにおいて、それぞれの前記ピストンの外に向かう面側に第1ポンプ室を形成し、この第1ポンプ室に第1吸入口及び第1吐出口を設ける一方、前記ピストンの内に向かう面側に第2ポンプ室を形成し、この第2ポンプ室に第2吸入口及び第2吐出口を設け、前記ピストンの往復駆動に応じて、一方の前記シリンダーにおける第1ポンプ室での吸入動作及び第2ポンプ室での吐出動作、及び、他方の前記シリンダーにおける第1ポンプ室での吐出動作及び第2ポンプ室での吸入動作と、一方の前記シリンダーにおける第1ポンプ室での吐出動作及び第2ポンプ室での吸入動作、及び、他方の前記シリンダーにおける第1ポンプ室での吸入動作及び第2ポンプ室での吐出動作と、を交互に行うポンプであるようにしてもよい。
【0026】
また、上記発明の気液混合圧送システムにおいて、前記ピストン軸を等速動力伝達機構にて駆動するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、液体に混合する気体の量を精密に制御できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係る気液混合圧送システムの構成を示す図である。
【図2】ソニックノズルの流量特性を示す図である。
【図3】ソニックノズルの流量特性を示す図である。
【図4】気体流量調整部において、気体を流通させるソニックノズルの組み合わせの一例を示す図である。
【図5】バブル発生装置の断面図である。
【図6】ミキシングエレメントの側面図である。
【図7】(A)は、図3のA−A断面図であり、(B)は、図3のB−B断面図であり、(C)は、図3のC−C断面図である。
【図8】第2実施形態に係る気液混合圧送システムの構成を示す図である。
【図9】第3実施形態に係る気液混合圧送システムの構成を示す図である。
【図10】第4実施形態に係る気液混合圧送システムの構成を示す図である。
【図11】第5実施形態に係る気液混合圧送システムの構成を示す図である。
【図12】第6実施形態に係る気液混合圧送システムの構成を示す図である。
【図13】第7実施形態に係る気液混合圧送システムの構成を示す図である。
【図14】第8実施形態に係る気液混合圧送システムの構成を示す図である。
【図15】第9実施形態に係る気液混合圧送システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る気液混合圧送システム1の構成を示す図である。
図1に示すように、気液混合圧送システム1は、圧送ポンプ10を備え、この圧送ポンプ10の吸入口11には気液吸入系12が接続され、圧送ポンプ10の吐出口13には気液吐出系14が接続されている。
【0030】
気液吸入系12は、気体吸入管15と、液体吸入管16と、を備えている。
気体吸入管15には、フィルター部17が設けられている。本実施形態では、フィルター部17によって清浄化された外気が気体吸入管15に導入される。なお、気体吸入管15に、酸素、水素、メタン、CNG、LPG等、特定の気体を導入する場合は、気体吸入管15にこの特定の気体を貯留するボンベ等が設けられる。
気体吸入管15において、フィルター部17の下流側には、気体吸入管15を流通する気体の流量を調整するための気体流量調整部20(詳細は後述)が接続されている。この気体流量調整部20の下流側には、気体吸入管15を流通する気体の逆流を防止する逆止弁21が接続されている。
一方、液体吸入管16は、水やガソリン等の所定の液体の供給源たる液体供給源22に接続されている。
【0031】
気体吸入管15と、液体吸入管16とは、連結部23において連結されており、この連結部23には、気液吸入管24の一端が接続されている。この気液吸入管24の他端は、圧送ポンプ10の吸入口11に接続されている。
圧送ポンプ10の駆動時は、圧送ポンプ10の負圧によって、フィルター部17を介して気体吸入管15に導入された空気が気体流量調整部20において流量調整された後、連結部23を介して気液吸入管24に流入すると共に、液体供給源22から液体吸入管16に導入された液体が連結部23を介して気液吸入管24に流入する。そして、気液吸入管24においてこれら気体と液体とが混合されて気液混合流体が生成され、生成された気液混合流体が吸入口11を介して圧送ポンプ10に吸入される。
【0032】
圧送ポンプ10は、ベーン式回転ポンプであり、吸入口11から吸入した気液混合流体を圧縮した上で、吐出口13から吐出する。なお、圧送ポンプ10は、容積型ポンプであればよく、ベーン式回転ポンプ以外のポンプを適用可能である。このように、本実施形態では、圧送ポンプ10が容積型ポンプであるため、圧送ポンプ10から非常に強い吐出圧力によって気液混合流体を吐出することができる。
【0033】
圧送ポンプ10の吐出口13には、気液吐出管26の一端が接続されている。
気液吐出管26において、吐出口13の下流には、気液吐出管26を流通する気液の逆流を防止する逆止弁27が接続されている。なお、本実施形態に係る圧送ポンプ10のように、回転式の容積型ポンプは、吸入弁及び吐出弁を持たない構造のため、圧送ポンプ10停止時の逆流防止のために、逆止弁27が設けられるが、吸入弁及び吐出弁が装備された往復動ポンプの場合は、逆止弁27は必須ではない。
【0034】
気液吐出管26において、逆止弁27の下流には、バブル発生装置28が接続されている。このバブル発生装置28は、気液混合流体内にマイクロバブルや、ナノバブルを発生する装置である。バブル発生装置28の下流には、圧力調整弁29が設けられている。
圧送ポンプ10の駆動時は、圧送ポンプ10の吐出口13から吐出された気液混合流体が、逆止弁27を介して、バブル発生装置28に流入する。そして、このバブル発生装置28によって気液混合流体中にマイクロバブルやナノバブルが発生された後、圧力調整弁29によって圧力が調整され、供給先へ供給される。
【0035】
次いで、気体流量調整部20について説明する。
なお、本実施形態では、気体流量調整部20が、圧送ポンプ10と協働して、気体混合手段として機能する。
気体流量調整部20は、気体吸入管15を流通する気体の流量を調整する部位であり、気体吸入管15に対し複数(本実施形態では4個)のソニックノズル48(ソニックノズル481−484)が並列に接続されている。そして、これらソニックノズル481−484のそれぞれの下流には、電磁弁49(電磁弁491−電磁弁494)(開閉弁)がそれぞれ設けられている。各電磁弁49は、図示せぬ制御部によってその開閉が制御される。なお、電磁弁49の代わりに、マニュアル切替可能な、機械的な開閉弁を用いても良い。圧送ポンプ10の駆動時において、電磁弁49が開状態の場合、当該電磁弁49と対応するソニックノズル48を気体が流通する一方、電磁弁49が閉状態の場合、当該電磁弁49と対応するソニックノズル48における気体の流通が停止される。
【0036】
ソニックノズル48は、ソニックノズル48から流出する気体の流量が一定となるように断面積が設定されたノズル本体50を備え、ソニックノズル48内を通る気体の流速を音速に制御することにより、当該気体の流量を一定の流量に制御する。ソニックノズル48として、例えば、特開平6−201417号公報に記載のものを用いることができる。ソニックノズル48は、「気体流量の二次較正原器」として知られており、下記の(式1)に示すように、ソニックノズル48を通る臨界流量Qcは、気体の種類とソニックノズル48の上流側の条件が同一ならば、「ノズル最小断面積Aとノズル部気体温度Tsの平方根」により、一義的に決定される。
(式1)・・・Qc=ψ・A・(ρ/ρ)・(k・g・R・Ts)0.5(ただし、ψ=流量係数、A=ノズル部の最小断面積、(ρ/ρ)=流量計測時/較正試験時気体の密度比、k=比熱比、g=重力加速度、R=一般ガス定数、Ts=スロート部流体温度(=ソニックノズル48の上流側の温度))。
【0037】
図2は、気体流量Qg=約1.7リットル/minを与えるソニックノズル48の流量特性を示す図であり、横軸にソニックノズル48の出口圧力と入口圧力との圧力比(入口圧力/出口圧力)、縦軸にソニックノズル48の気体流量をとっている。図3は、気体流量Qg=約2.7リットル/minを与えるソニックノズル48の流量特性を示す図である。
図2及び図3に示すように、1.7リットル/minと2.7リットル/minのいずれの気体流量Qgを与えるソニックノズル48であっても、「入口圧力/出口圧力≧2」付近から、ソニックノズル48の気体流量が一定となる。本実施形態では、「入口圧力/出口圧力≧2」を成立させる圧送ポンプ10の吸引圧力の条件は、「吸引圧力≦50(kPa)」であり、吸引圧力について当該条件が成立する場合、圧送ポンプ10の駆動条件にかかわらず、気体流量が略一定となる。特に、容積型ポンプたる圧送ポンプ10では、液体吸入管16において極端に液体の流量を絞ることが無ければ、液体吸入管16から気液吸入管24を経て圧送ポンプ10に至る液体の流量Qf(リットル/min)が一定となるため、圧送ポンプ10駆動時における「気液混合割合=Qg/Qf」もほぼ一定に制御可能となる。
【0038】
さらに、ソニックノズル48について、所望の気体流量を与えるような形状となるように精密加工すれば、圧送ポンプ10の駆動時の負圧を利用してソニックノズル48の気体流量を一定とすることができる。従って、気体の流量調整の部材として、ソニックノズル48を適用することにより、比較的高価な流量センサーや流量制御機器を用いることなく、気体流量を制御することができ、コストの削減、メンテナンス性の向上を図ることができる。
さらに、圧送ポンプ10の吸入動作に対応して、液体の吸入、及び、気体の吸入が行われる。このため、吸入速度が遅く、液体流量が少ない場合(往復動ポンプにおいては、ピストンの上下死点付近、回転式ポンプにおいては、吸入始め、吸入終わり時期)、圧送ポンプ10による負圧も小さいため、ソニックノズル48を介して流入する気体流量も小さくなる。これにより、液体流量に比して気体流量が過剰に供給されることがなく、液体流量に比例した「気体流量の自動制御」が可能である。
【0039】
上述したように、ソニックノズル48単体では、非常に精密に気体流量を一定とすることができるものの、ソニックノズル48単体の気体流量自体は変更することができない。従って、従来は、例えば、気体吸入管15に流量調整弁を設け、当該流量調整弁によって気体流量を制御していた。
これを踏まえ、本実施形態では、気体流量調整部20の4つのソニックノズル481−484について、4つのソニックノズル481−484の中から気体を流通させるソニックノズル48を選択的に組み合わせることができるように構成した。これにより、気体を流通させるソニックノズル48を適切に組み合わせて、多数の気体流量の中から任意の気体流量に気体流量調整部20の気体流量を制御可能とした。
【0040】
具体的には、本実施形態では、ソニックノズル481−484の気体流量がそれぞれ異なっている。なお、「ソニックノズル48の気体流量」とは、上述した入口圧力/出口圧力が所定の値を上回り、気体流量が安定したときの気体流量のことである。
すなわち、ソニックノズル481の気体流量はaリットル/minであり、ソニックノズル482の気体流量はソニックノズル481の2倍の2aリットル/minであり、ソニックノズル483の気体流量はソニックノズル481の4倍の4aリットル/minであり、ソニックノズル484の気体流量はソニックノズル481の8倍の8aリットル/minである。
そして、電磁弁491−494の開閉を制御することにより、ソニックノズル481−484の中から気体を流通させるソニックノズル48を選択的に組み合わせ、気体流量調整部20によって所望の気体流量を実現する。
【0041】
図4は、気体流量調整部20において、気体を流通させるソニックノズル48の組み合わせの一例を示す図である。
本実施形態では、気体を流通させるソニックノズル481−484を組み合わせることによって、気体流量調整部20によって、図4の「レコード4」に係るレコードの「設定可能ノズル流量」フィールドが示すように、以下の15種類の気体流量を実現可能である。
【0042】
1.aリットル/min。すなわち、ソニックノズル481のみについて気体が流通するようにすることにより、aリットル/minの気体流量を実現することができる。ソニックノズル481のみについて気体が流通するようにするためには、電磁弁491を開状態とする一方、電磁弁492−494を閉状態とする。以下も同様である。
2.2aリットル/min。ソニックノズル482のみについて気体が流通するようにすることにより実現される。
3.4aリットル/min。ソニックノズル483のみについて気体が流通するようにすることにより実現される。
4.8aリットル/min。ソニックノズル484のみについて気体が流通するようにすることにより実現される。
5.3aリットル/min。ソニックノズル481及びソニックノズル482について気体が流通するようにすることにより実現される。
6.5aリットル/min。ソニックノズル481及びソニックノズル483について気体が流通するようにすることにより実現される。
7.9aリットル/min。ソニックノズル481及びソニックノズル484について気体が流通するようにすることにより実現される。
8.6aリットル/min。ソニックノズル481及びソニックノズル483について気体が流通するようにすることにより実現される。
9.10aリットル/min。ソニックノズル482及びソニックノズル484について気体が流通するようにすることにより実現される。
10.12aリットル/min。ソニックノズル483及びソニックノズル484について気体が流通するようにすることにより実現される。
11.7aリットル/min。ソニックノズル481、ソニックノズル482及びソニックノズル483について気体が流通するようにすることにより実現される。
12.11aリットル/min。ソニックノズル481、ソニックノズル482及びソニックノズル484について気体が流通するようにすることにより実現される。
13.13aリットル/min。ソニックノズル481、ソニックノズル483及びソニックノズル484について気体が流通するようにすることにより実現される。
14.14aリットル/min。ソニックノズル482、ソニックノズル483及びソニックノズル484について気体が流通するようにすることにより実現される。
15.15aリットル/min。ソニックノズル481、ソニックノズル482、ソニックノズル483及びソニックノズル484について気体が流通するようにすることにより実現される。
【0043】
このように、本実施形態では、気体吸入管15に複数のソニックノズル481−484を並列に接続した上で、気体を流通させるソニックノズル48を選択可能に構成している。ここで、ソニックノズル48単体は、非常に精密に一定の気体流量を実現可能であるため、複数のソニックノズル481−484の中から気体を流通させるソニックノズル48を選択的に組み合わせることにより、幅広い範囲で、精密に気体流量を制御することができる。さらに、ソニックノズル48を用いた気体流量調整部20によって気体流量を調整しているため、簡単に、気体流量を調整することができる。
なお、図4に示すように、ソニックノズル48の台数は4台に限らない。例えば、2台のソニックノズル48の場合は、3種類の気体流量を実現可能であり、また、3台のソニックノズル48の場合は、7種類の気体流量を実現可能である。ただし、1台のソニックノズル48の場合は、その内径に対応した気体流量の発生のみとなるため、使用する圧送ポンプ10の容量に応じて、最適なソニックノズル48を選定することが重要である。
なお、圧送ポンプ10の種類によっては、気液混合流体を吸入するにあたり、気液混合流体における液体に対する気体の量がある一定の範囲にある場合に、気液混合流体を正常に吸入できる場合がある。これを踏まえ、本実施形態のように圧送ポンプ10の吸入側に気体流量調整部20を設けることにより、気液混合流体における液体に対する気体の量をある一定の範囲内にすることが確実に可能となり、圧送ポンプ10の正常な吸入を確実に実現できる。このことは、他の実施形態についても同様である。
【0044】
なお、本実施形態では、圧送ポンプ10の駆動初期において、圧送ポンプ10内部に空気が充填されている状況下では、制御部の制御の下、全ての電磁弁491−494が閉状態とされ、圧送ポンプ10内に過剰に空気が吸入されることが防止される。そして、圧送ポンプ10が駆動してから所定の時間が経過し、圧送ポンプ10内部が液体で満たされて初めて、制御部の制御の下、適切な電磁弁49が開状態となり、液体と気体との混合が開始される。
【0045】
また、一般に、「バーナー」や「ガス・タービン」、あるいは、「ガソリン・エンジン」や「ディーゼル・エンジン」等の燃焼器に、気液混合圧送システム1を適用する場合は、液体(燃料)を完全燃焼するためには、液体流量Vfに対する気体流量Vgは、理論空燃比を15、空気の比重量を1.29×10−3(kg/m)とすると、「(Vg/Vf)=(15/1.29×10−3)/(1/0.9)≒10465(比重;ガソリン≒0.75、灯油≒0.79、重油≒0.86〜0.93)」が必要であり、「マイクロ(ナノ)バブル」空気による燃料の分散効果の観点からも、(Vg/Vf)が大きいほど、すなわち、上述した気液混合割合(Qg/Qf)が大で有るほど、優れる。このため、供給すべき気体の気体流量は大きい程よいが、この結果、圧送ポンプ10の液体吐出能力を低下させるため、実稼動時の(Qg/Qf)は、精々、「(Qg/Qf)≦0.5」程度とすることが望ましい。
【0046】
次いで、バブル発生装置28について説明する。
図5は、バブル発生装置28の縦断面図である。図6は、バブル発生装置28が備えるミキシングエレメント31の側面図である。図7(A)は、図6のA−A断面図であり、図7(B)は、図6のB−B断面図であり、図7(C)は、図6のC−C断面図である。
図5において、バブル発生装置28は、管体32を備え、この管体32の両端には気液吐出管26接続用に雌ネジ部33、33が形成されている。この管体32の内周には環状座部34が一体的に形成され、この環状座部34に位置決めされて、管体32の流路35内には3個のミキシングエレメント31が順に収納されている。
【0047】
このミキシングエレメント31は、図6に示すように、鍔部37と筒部38とを一体的に有する部材であり、この鍔部37の外周部は管体32の内周部に嵌め合されている。また、ミキシングエレメント31の間には該エレメント2の間隔を規制するスリーブ39が介装されており、このスリーブ39の外周部は管体32の内周部に嵌め合されている。ミキシングエレメント31は、その外周部に、上流側に連通する入口室40を有している。この例では、管体32の内周部またはスリーブ39の内周部と、筒部38の外周部との間に環状の入口室40が形成されている。また、このミキシングエレメント31は、その内周部に、下流側に連通する出口室41を有している。この例では、筒部38の内側に断面円形の出口室41が穿設されている。
【0048】
図6に示すように、ミキシングエレメント31の筒部38の周壁部には、軸方向に間隔をあけて、入口室40と出口室41とを連通する3列の第1連通孔43、第2連通孔44、第3連通孔45が穿設されている。
各列の第1連通孔43、第2連通孔44、第3連通孔45のうち最上流側の第1連通孔43は、図7(A)に示すように、内周円46のほぼ接線方向に沿って穿孔されている。一方、最下流側の第3連通孔45は、図7(C)に示すように、内周円46のほぼ接線方向に沿って、しかも第1連通孔43とほぼ逆向きに穿孔されている。また、第1連通孔43と、第3連通孔45との中間に位置する第2連通孔44は、図7(B)に示すように、内周円46のほぼ半径方向に沿って穿孔されている。
【0049】
次いで、バブル発生装置28の動作について説明する。
バブル発生装置28には、圧送ポンプ10から吐出された気液混合流体が流入する。バブル発生装置28に流入した気液混合流体は、バブル発生装置28のミキシングエレメント31において、第1連通孔43、第2連通孔44、第3連通孔45を通って出口室41に排出されるが、その過程で気液混合流体の撹拌、拡散、混合がなされる。具体的には、最上流側の第1連通孔43を通して出口室41に排出される流体は、流路35内の流れに直交する垂直面内にて、図7(A)に示すように、図中で時計方向に第1方向旋回力を受け、先ずこの過程で充分に撹拌される。次に、第2連通孔44を通った流体は、第4(B)に示すように、内周円46の半径方向に噴出され、上流側で充分に撹拌されて流れてくる流体に衝突し、拡散混合される。最下流側の第3連通孔45を通った流体は、図7(C)に示すように、図中で反時計方向に第2方向旋回力を受け、この過程で充分に撹拌されるとともに、この流れは、出口室41内で上流側の第1方向旋回力を受けた流れに衝突して、この第1方向旋回力を打ち消すように作用する。このようにして、気液混合流体の撹拌、拡散、混合がなされる。
【0050】
さらに、バブル発生装置28に流入した気液混合流体は、3列の第1連通孔43、第2連通孔44、第3連通孔45を通るように細かく、かつ、多数に、分割されるが、この分割されるときに働くせん断力に応じて、マイクロバブルやナノバブルが発生する。
本実施形態では、第1連通孔43、第2連通孔44、第3連通孔45によって気液混合流体が細かく、かつ、多数に分割されるため、確実、かつ、効率的に、マイクロバブルやナノバブルが発生される。
さらに、本実施形態では、圧送ポンプ10が容積型ポンプであり、非常に強い吐出圧力で圧送ポンプ10から気液混合流体が吐出される。このため、バブル発生装置28に対し、強い圧力で気液混合流体を流入させることが可能である。従って、各ミキシングエレメント31に形成された第1連通孔43、第2連通孔44、第3連通孔45に気液混合流体を通過させて、気液混合流体中にマイクロバブルやナノバブルを確実に発生することができる。つまり、本実施形態に係る気液混合圧送システム1では、圧送ポンプ10とバブル発生装置28との組み合わせによって、気液混合流体中にマイクロバブルやナノバブルを確実に発生することができる。このため、バブルを発生させる機能をポンプに持たせる必要が無い。
【0051】
以上説明したように、本実施形態では、気液混合流体を圧送する圧送ポンプ10を備え、この圧送ポンプ10の吸入側で液体に気体が混合される。そして、気体流量調整部20において、気体吸入管15に対して複数のソニックノズル48が並列に設けられ、いずれかのソニックノズル48を流通制限することにより、液体に対する気体の混合量を制御する。
この構成によれば、いずれかのソニックノズル48を流通制限することにより、気体吸入管15を流通する空気の量を精密に制御可能となる。
【0052】
また、本実施形態では、各ソニックノズル48に対応して、電磁弁49が設けられている。そして、電磁弁49の開閉を制御することにより、ソニックノズル48の流通制限が行われる。
この構成によれば、電磁弁49を用いて、確実にソニックノズル48の流通制限が可能となる。マニュアル制御の場合は、電磁弁の代わりに、開閉弁であっても良い〔不図示〕。
【0053】
また、本実施形態では、圧送ポンプ10の駆動初期において、圧送ポンプ10内部に空気が充填されている状況下では、制御部の制御の下、全ての電磁弁491−494が閉状態とされ、圧送ポンプ10内に過剰に空気が吸入されることが防止される。そして、圧送ポンプ10が駆動してから所定の時間が経過し、圧送ポンプ10内部が液体で満たされて初めて、制御部の制御の下、適切な電磁弁49が開状態となり、液体と気体との混合が開始される。
【0054】
<第2実施形態>
次いで、第2実施形態について説明する。
図8は、本実施形態に係る気液混合圧送システム1bの構成を示す図である。
なお、本実施形態において、上述した実施形態における構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態に係る気液混合圧送システム1bは、以下の点で第1実施形態に係る気液混合圧送システム1と異なっている。
すなわち、液体吸入管16において、液体供給源22の下流側には、液体吸入管16を流通する液体の流量を絞る絞り部52が設けられている。この絞り部52の下流には、絞り部52を通過した後における液体の圧力を検出する液体圧力センサー53と、この液体圧力センサー53によって検出された液体の圧力を明示的に表示する液体圧力表示計54とが設けられている。
【0055】
また、本実施形態に係る圧送ポンプ10bは、自吸性能を有するポンプ(いわゆる、容積型ポンプに区分される型式のポンプ)であり、具体的には、ルーツポンプである。なお、圧送ポンプ10bに、第1実施形態に係る圧送ポンプ10と同様のベーン式回転ポンプや、ルーツポンプ以外の回転式様式型ポンプ、ダイアフラム・ポンプ、プランジャー・ポンプ等の一般の「往復動ポンプ」、あるいは、後述する直動式ポンプ等を用いてもよい。これらのポンプを用いることにより、非常に高い吐出圧力で、圧送ポンプ10bから気液混合流体を吐出させることができると共に、バブル発生装置28と組み合わせることによってマイクロバブルやナノバブルを発生させることができる。
【0056】
次いで、気液混合圧送システム1bの動作について説明する。
まず、液体圧力センサー53の検出値に基づいて、絞り部52を制御することによって、圧送ポンプ10の吸入終わり時における気液混合流体の内圧が、僅かに、大気圧(=液体の飽和蒸気圧力)以下となるようにして、上述した「マイクロ負圧バブル」を生成させる。この状態にした上で、圧送ポンプ10bによって、気液混合流体を圧縮し、吐出させ、吐出した気液混合流体をバブル発生装置28に流入させる。これにより、気液混合流体中に含まれる「気泡」を急激に、収縮・消滅させる。このような動作により、特に、マイクロバブルやナノバブルの消滅効果による殺菌効果の増大を図ることができる。
特に、気体流量調整部20によって液体の量に対する気体の量を精密に調整した上で、上述した動作を実行可能であるため、マイクロ負圧バブルの量、状態を調整した状態でマイクロ負圧バブルの生成が可能となる。
【0057】
<第3実施形態>
次いで、第3実施形態について説明する。
図9は、本実施形態に係る気液混合圧送システム1cの構成を示す図である。
なお、本実施形態において、上述した実施形態における構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態に係る気液混合圧送システム1cは、以下の点で第1実施形態に係る気液混合圧送システム1と異なっている。
すなわち、液体吸入管16にフィードポンプ56が設けられている。このフィードポンプ56は、圧送ポンプ10cの吸入圧損を補うために設けられるポンプであり、例えば、タンク等の液体供給源22と、圧送ポンプ10cとの距離が遠い場合や、液体吸入管16を流通する液体の粘度が高い場合等に設けられる。フィードポンプ56の下流には、フィードポンプ56により吐出された後における液体の圧力を検出する液体圧力センサー53cと、この液体圧力センサー53cによって検出された液体の圧力を明示的に表示する液体圧力表示計54cとが設けられている。
また、気体吸入管15において、フィルター部17の上流側には、圧縮機57と、この圧縮機57を駆動するためのモーター58が設けられている。さらに、気体吸入管15において、フィルター部17の下流側には、気体流量調整部20の上流側の気体の圧力、すなわち、ソニックノズル48の入口圧力を検出するための気体圧力センサー59と、この気体圧力センサー59によって検出された気体の圧力を明示的に表示する気体圧力表示計69とが設けられている。
また、本実施形態に係る圧送ポンプ10cは、往復動ポンプである。
【0058】
次いで、本実施形態に係る気液混合圧送システム1cの動作について説明する。
本実施形態では、ソニックノズル48の上流側に圧縮機57を設け、この圧縮機57によってソニックノズル48に対して一定圧力Pを印加することにより、ソニックノズル48の入口圧力を、フィードポンプ56の圧送能力の圧力以上とする。
【0059】
ここで、「ρ/ρ=(P/P)・(T/T)」(ただし、P=圧縮機57が存在する場合における入口圧力、P=圧縮機57が存在しない場合における入口圧力、T=圧縮機57が存在しない場合におけるソニックノズル48の入口温度、T=圧縮機57が存在する場合におけるソニックノズル48の入口温度)であるため、これを上述した(式1)に代入して、下記の(式2)を得る。
(式1)・・・Qc=ψ・A・(ρ/ρ)・(k・g・R・Ts)0.5
(式2)・・・Qc=ψ・A・(P/P)・(T/T)・(k・g・R・Ts)0.5
すなわち、ソニックノズル48を流れる流量Qcは、入口温度T等の他の条件が固定ならば、「P」に一義的に比例するが、当該「P」で一定圧力制御を行なえば、「P」の増加により「Qc」が増加するものの、気体流量を一定とすることが可能であることが分かる。
すなわち、「P=P=大気圧」で、「P」の増加に関わらず、「T=T」の場合の「Qc」にサフィックス“0”を付けて、「Qc」とすると、「P」時の流量Qcは、
(式3)・・・Qc=Ps・Qc
で表され、基本のソニックノズル48の流量「Qc」と「P」の管理により、気体流量の制御を行なうことが可能である。
【0060】
これを踏まえ、本実施形態では、圧縮機57を駆動させることにより、ソニックノズル48に対し、フィードポンプ56の圧送能力の圧力以上の一定の圧力で気体を供給し、ソニックノズル48の気体流量を一定に維持する。これにより、より精密な気体流量の制御が可能となる。
【0061】
<第4実施形態>
次いで、第4実施形態について説明する。
図10は、本実施形態に係る気液混合圧送システム1dの構成を示す図である。
なお、本実施形態において、上述した実施形態における構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態に係る気液混合圧送システム1dは、以下の点で第1実施形態に係る気液混合圧送システム1と異なっている。
すなわち、液体吸入管16において、液体供給源22の下流には、第2実施形態と同様、絞り部52が設けられ、この絞り部52の下流には、液体圧力センサー53及び液体圧力表示計54が設けられている。
【0062】
また、本実施形態に係る気液混合圧送システム1dは、圧送ポンプ10dに気体供給系60が接続されている。気体供給系60は、気体供給管61を備え、この気体供給管61には、圧縮機62が接続されており、この圧縮機62には、圧縮機62を駆動するためのモーター63が接続されている。気体供給管61において、圧縮機62の下流側には、フィルター部64が設けられ、このフィルター部64の下流には、気体圧力センサー65が設けられている。気体圧力センサー65には、気体圧力センサー65によって検出された気体の圧力を明示的に表示する気体圧力表示計66が接続されている。気体圧力センサー65の下流には、気体供給管61を流通する気体の流通を制御する電磁弁67が設けられている。
この気体供給系60は、圧縮機62の駆動によって、圧送ポンプ10dに対し気体を供給することにより、気液吸入管24から圧送ポンプ10dに吸入される気液混合流体に、さらに気体を混合する。この気体供給系60により、圧送ポンプ10dから吐出される気液混合流体について、液体の量に対する気体の量を確実、かつ、大幅に増大することができる。
【0063】
次いで、本実施形態に係る気液混合圧送システム1dの動作について説明する。
圧送ポンプ10dの駆動に伴って、気液吸入管24から圧送ポンプ10dに気液混合流体が吸入される。これと同時に、モーター63によって圧縮機62が駆動し、気体供給管61から圧送ポンプ10dに対し気体が供給される。そして、圧送ポンプ10dにおいて、気液混合流体に対し気体供給管61からさらに気体が混合された上で、気液混合流体が圧縮され、吐出される。このように動作するため、圧送ポンプ10dから吐出される気液混合流体について、液体の量に対する気体の量を非常に高くすることが可能となる。これにより、バブル発生装置28によってバブルが発生された気液混合流体についても、気体混合量の多い気液混合流体となる。
液体の量に対する気体の量を非常に高く求められる場合において、本実施形態に係る気液混合圧送システム1dを用いれば、より好適に上記要求を実現することができる。
【0064】
<第5実施形態>
次いで、第5実施形態について説明する。
図11は、本実施形態に係る気液混合圧送システム1eの構成を示す図である。
なお、本実施形態において、上述した実施形態における構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態に係る圧送ポンプ10eは、ピストン軸70を収納した軸ケース71を備え、この軸ケース71は端壁72、73を備えている。軸ケース71の内部において端壁72、73によって囲まれた空間には気密室74が形成されている。
各端壁72、73には、各々ベアリング75、76が配置され、一対のベアリング75、76にはピストン軸70が回転自在、かつ軸ケース71内を往復動自在に支持されている。軸ケース71の端壁72を貫通したピストン軸70の外端部には、ピストン固定ネジ98によってピストン77が固着されており、このピストン77は、軸ケース71の端壁72側に連結されたシリンダー79内に摺動自在に収容されている。ピストン77の外周には、ピストンリング105が嵌め込まれており、このピストンリング105によって、ピストン77の外周と、シリンダー79の内周との間隙が閉塞されている。
【0065】
シリンダー79は、シリンダーヘッド80によって閉塞されており、このシリンダーヘッド80の頭頂部には、圧力連通孔87が形成されている。シリンダーヘッド80においてピストン軸70が貫通する貫通孔には、O−リング93が設けられ、同様に、シリンダー79のシリンダーヘッド80と逆側に設けられた端壁94においてピストン軸70が貫通する貫通孔には、O−リング95が設けられており、これらO−リング93、95によってシリンダー79の内部の気密性が確保されている。
また、軸ケース71の端壁73側には、ピストン軸カバー86が設けられている。このピストン軸カバー86の頭頂部には、圧力連通孔88が形成されている。
【0066】
シリンダー79の外周のシリンダーヘッド80側(図11中左側)の端部には、第1吸入口81が設けられ、この第1吸入口81に対応して第1吐出口82が設けられている。これら第1吸入口81及び第1吐出口82には、各々ばねで付勢された第1吸入弁体83及び第1吐出弁体84が設けられている。第1吸入弁体83は、第1ポンプ室100が、後述する膨張・吸入工程にあり、所定の負圧が加わった場合に、ばねの付勢に抗して変動する。一方、第1吐出弁体84は、第1ポンプ室100が、後述する圧縮・吐出工程にあり、所定の圧が加わった場合に、ばねの付勢に抗して変動する。
一方、シリンダー79の外周のピストン軸カバー86側(図11中右側)の端部には、第2吸入口90が設けられ、この第2吸入口90に対応して第2吐出口91が設けられている。これら第2吸入口90及び第2吐出口91には、各々ばねで付勢された第2吸入弁体96及び第2吐出弁体97が設けられている。
また、シリンダー79において、ピストン77のシリンダーヘッド80側の面側(外に向かう面側)には第1ポンプ室100が形成され、ピストン77のピストン軸70側の面側(内に向かう面側)には第2ポンプ室101が形成されている。
【0067】
軸ケース71の外側には正逆回転可能なモーター102が配置され、モーター102の出力軸103にはカップリング104を介して駆動軸107が連結されている。駆動軸107は封止部108、及びベアリング109を介して気密室74内に延出し、駆動軸107の先端にはピニオンギア110が固着されている。
ピニオンギア110は、ピストン軸70に固定されたラックギア111に噛み合い、モーター102の駆動によりピニオンギア110が回転すると、これに噛み合うラックギア111を介してピストン軸70が気密室74内を往復運動する。モーター102、ピニオンギア110、ラックギア111等は動力伝達機構を構成している。特に、本実施形態に係る動力伝達機構は、ピストン軸70が一定の速度で往復運動可能な、等速動力伝達機構である。
【0068】
軸ケース71の外周のシリンダーヘッド80側(図11中左側)の端部には、近接センサー114が設けられ、ピストン軸カバー86側(図11中右側)の端部には、近接センサー115が設けられている。一方、ピストン軸70において、ピストン77が第1ポンプ室100における上死点(すなわち、第2ポンプ室101における下死点)に至ったときに、近接センサー114によって検出される位置に上死点マーカー112が形成されている。同様に、ピストン軸70において、ピストン77が第2ポンプ室101における上死点(すなわち、第1ポンプ室100における下死点)に至ったときに、近接センサー115によって検出される位置に上死点マーカー113が形成されている。
【0069】
モーター102には、パルス・モーターやサーボ・モーター等の正逆回転モーターが使用され、制御部(不図示)の制御により、ピストン軸70は、一定の速度で往復運動するよう制御される。このため、ピストン軸70は、一定の速度で往復運動するように制御されるため、等しい吸気・吐出流速で流体の吐出が行われ、脈動のない吐出が確保される。
【0070】
モーター102の駆動に伴うピストン軸70の動作について詳述すると、モーター102の駆動に伴い、ピストン軸70がシリンダーヘッド80側向かって等速で動いた場合、第1ポンプ室100では、圧縮・吐出工程が実行され、第2ポンプ室101では、膨張・吸入工程が実行される。すなわち、第1ポンプ室100では第1吸入口81が第1吸入弁体83によって閉塞されると共に、ピストン77によって圧縮された気液混合流体が圧縮された上で、第1吐出口82を介して第1気液吐出管121に吐出される。一方、第2ポンプ室101では第2吐出口91が第2吐出弁体97によって閉塞されると共に、第2吸入口90から気液混合流体が吸入される。
そして、ピストン77が第1ポンプ室100の上死点(すなわち、第2ポンプ室101の下死点)に達すると、ピストン軸70に設けた上死点マーカー112が、軸ケース71に取り付けた近接センサー114により検知され、その旨の信号が制御部に出力される。信号の入力を受けた制御部は、モーター102を制御して、モーター102を逆回転させることにより、ピストン軸70を逆方向(ピストン軸カバー86に向かう方向)に向かって等速運動させる。
【0071】
ピストン軸70がピストン軸カバー86に向かって等速で動いた場合、第1ポンプ室100では、膨張・吸入工程が実行され、第2ポンプ室101では、圧縮・吐出工程が実行される。そして、ピストン77が第2ポンプ室101の上死点(すなわち、第1ポンプ室100の下死点)に達すると、ピストン軸70に設けた上死点マーカー113が、軸ケース71に取り付けた近接センサー115により検知され、その旨の信号が制御部に出力される。信号の入力を受けた制御部は、モーター102を制御して、モーター102を逆回転させ、ピストン軸70を逆方向(シリンダーヘッド80に向かう方向)に向かって等速運動させる。
このようにして、ピストン軸70は、往復運動する。
なお、上述した説明では、回転モーターとラック&ピニオン等の回転――直動変換システムを用いたが、電気により直接直動する――シャフト・モーター、電動シリンダー、あるいは電動アクチェーターを用いても良い(不図示)。
【0072】
本実施形態では、気液吸入管24が分岐部117において、第1気液吸入管118と、第2気液吸入管119の2つの管に分岐している。そして、一方の管である第1気液吸入管118の一端が、第1吸入口81に接続されると共に、他方の管である第2気液吸入管119の一端が、第2吸入口90に接続されている。気液混合流体は、分岐部117で分岐し、第1吸入口81又は第2吸入口90を介して圧送ポンプ10eに吸入される。
また、本実施形態では、気液吐出管26が分岐部120において、第1気液吐出管121と、第2気液吐出管122とに分岐されており、第1気液吐出管121の一端が、第1吐出口82に接続され、第2気液吐出管122の一端が、第2吐出口91に接続されている。圧送ポンプ10eから吐出された気液混合流体は、第1吐出口82又は第2吐出口91から吐出された後、バブル発生装置28に流入する。
【0073】
本実施形態に係る圧送ポンプ10eでは、モーター102の回転を直線運動に変換させる手段を備えると共に、ピストン77に連接するピストン軸70をベアリング75,76で保持して軸方向に移動させているため、シリンダー79とピストン77の芯出し精度を高めることにより、シリンダー79とピストン77との直接摺動が零となり、従来問題となっていたピストン77とシリンダー79の磨耗から解消される。
【0074】
次いで、本実施形態に係る気液混合圧送システム1eの動作について説明する。
モーター102の駆動に伴い、ピストン軸70がシリンダーヘッド80側(図11中左側)に向かって等速直線運動すると、上述したように、第1ポンプ室100では、圧縮・吐出工程が行われる。この圧縮・吐出工程によって第1ポンプ室100から第1吐出口82を介して吐出された気液混合流体は、バブル発生装置28に流入し、このバブル発生装置28によってマイクロバブルや、ナノバブルが発生された後、供給先へ供給される。
同時に、第2ポンプ室101では、膨張・吸入工程が実行される。この膨張・吸入工程によって第2ポンプ室101には、第2吸入口90を介して、気液混合流体が吸入される。
【0075】
一方、ピストン軸70がピストン軸カバー86側(図11中右側)に向かって等速直線運動すると、上述したように、第1ポンプ室100では、膨張・吸入工程が行われる。この膨張・吸入工程によって第1ポンプ室100には、第1吸入口81を介して、気液混合流体が吸入される。
同時に、第2ポンプ室101では、圧縮・吐出工程が行われる。この圧縮・吐出工程によって第2ポンプ室101から第2吐出口91を介して吐出された気液混合流体は、バブル発生装置28に流入し、このバブル発生装置28によってマイクロバブルや、ナノバブルが発生された後、「マイクロ高圧バブル」が供給先へ供給される。
【0076】
このように、本実施形態では、シリンダー79において、ピストン77のシリンダーヘッド80側の面側の第1ポンプ室100には、第1吸入口81と、第1吐出口82とが設けられ、ピストン77のピストン軸カバー86側の面側には、第2吸入口90と、第2吐出口91とが設けられている。そして、第1ポンプ室100及び第2ポンプ室101のうち、一方のポンプ室が圧縮・吐出行程にある時、他方は、膨張・吸入行程にあり、これにより1サイクルで2回のポンプ作用が行われる。このため、ピストン軸70の移動速度が等速で、充分なストロークで稼働され、且つ、反転時間が短い場合は、脈動の少ない吐出作用が期待される。
また、シリンダー内径φDの中央に、ピストン軸70の内径φdを有するため、同じストロークの場合、行程容積が「(D−d)/D={1−(d/D)}」と小さくなる欠点を有する。しかし、「ピストンやシリンダー部品が少なくなること」、「運動部分として重要なピストンリングからの漏れは、完全ゼロは難しいのが現状で有るが、本方式の場合は、次の行程への漏洩であり、機能・性能上、駆動系への漏洩でないため、大きな問題を生じない」等の特徴も有する。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態では、圧送ポンプ10eは、軸ケース71にピストン軸70を往復駆動自在に収納し、軸ケース71を貫通したピストン軸70の一方の外端部にピストン77を固着し、ピストン77を軸ケース71に連結したシリンダー79内に収容し、シリンダー79内でピストン77の外に向かう面側に第1ポンプ室100を形成し、この第1ポンプ室100に第1吸入口81及び第1吐出口82を設ける一方、ピストン77の内に向かう面側に第2ポンプ室101を形成し、この第2ポンプ室101に第2吸入口90及び第2吐出口91を設け、ピストン77の往復駆動に応じて、第1ポンプ室100での吸入動作及び第2ポンプ室101での吐出動作と、第1ポンプ室100での吐出動作及び第2ポンプ室101での吸入動作とを交互に行うポンプである。
このため、圧送ポンプ10eによって脈動の少ない吐出が確保される。
【0078】
また、本実施形態では、圧送ポンプ10eによって吸入される気液混合流体が流通する気液吸入管24を2つに分岐し、一方の第1気液吸入管118を第1吸入口81に接続すると共に、他方の第2気液吸入管119管を第2吸入口90に接続している。さらに、圧送ポンプ10eから吐出される気液混合流体が流通する気液吐出管26を2つに分岐し、一方の第1気液吐出管121を第1吐出口82に接続すると共に、他方の第2気液吐出管122を第2吐出口91に接続した。
このため、圧送ポンプ10eを用いて、確実に、気体と液体との混合、混合して生成された気液混合流体の圧送ポンプ10eによる吸入、圧縮、吐出、及び、圧送ポンプ10eが吐出した気液混合流体についてのバブルの発生を実現することができる。特に、圧送ポンプ10eから脈動の少ない吐出を確保した上で、これらを実現可能である。
【0079】
<第6実施形態>
次いで、第6実施形態について説明する。
図12は、本実施形態に係る気液混合圧送システム1fの構成を示す図である。
なお、本実施形態において、上述した実施形態における構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態に係る気液混合圧送システム1fでは、圧送ポンプ10fの構成が、第5実施形態に係る圧送ポンプ10eの構成と以下の点で異なっている。
すなわち、ピストン軸70のシリンダーヘッド80f側の一端の上面89を、ピストン77のシリンダーヘッド80f側(図12における左側)の面と一致させた状態で、ピストン軸70に対しピストン77を取り付けている。すなわち、ピストン軸70がシリンダーヘッド80f側(外側)に向かって突出しないように、ピストン軸70に対しピストン77を取り付けられている。
このため、シリンダー79の内径をφD、ピストン軸70の外径をφd、ストロークをSとした場合、第1ポンプ室100の行程容積が「π(D・S)/4」、第2ポンプ室101の行程容積が「(D−d)・S/4」と、第1ポンプ室100の行程容積が大きい。
【0080】
また、本実施形態では、第1ポンプ室100の第1吸入口81には、第1実施形態と同様の気液吸入系12が接続されている。
さらに、第1ポンプ室100の第1吐出口82と、第2ポンプ室101の第2吸入口90とが、配管125によって接続されており、この配管125には、バブル発生装置281fが設けられている。
さらに、第2ポンプ室101の第2吐出口91には、第1実施形態と同様の気液吐出系14が接続されている。
【0081】
次いで、本実施形態に係る気液混合圧送システム1fの動作について説明する。
モーター102の駆動に伴い、ピニオンギア110が一方向へ回転すると、ピストン軸70が、シリンダーヘッド80f側(図12中左側)に向かって直線運動する。このとき、第1ポンプ室100では圧縮・吐出工程が行われる一方、第2ポンプ室101では膨張・吸入工程が行われる。ここで、第1ポンプ室100の第1吐出口82を介して配管125に吐出された気液混合流体は、バブル発生装置281fにおいてマイクロバブルやナノバブルが発生された後、第2ポンプ室101の第2吸入口90を介して第2ポンプ室101に吸入される。
一方で、ピストン軸70がピストン軸カバー86側(図12中右側)に向かって直線運動する場合、第1ポンプ室100では、膨張・吸入工程が行われ、第2ポンプ室101では、圧縮・吐出工程が行われる。ここで、第2ポンプ室101では、バブル発生装置28によって既にマイクロバブルやナノバブルが発生した状態の気液混合流体が圧縮されることとなり、内包するマイクロバブルやナノバブルを含む気泡の液中への溶存と微小化が促進される。第2ポンプ室101における圧縮・吐出工程により、第2ポンプ室101から第2吐出口91を介して吐出された気液混合流体は、バブル発生装置28に流入し、バブル発生装置28によってさらにマイクロバブルやナノバブルの発生が行われる。
【0082】
ここで、上述したように、第1ポンプ室100の行程容積は、第2ポンプ室101の行程容積と比して大きい。本実施形態では、これを利用して、第1ポンプ室100に気液混合流体を吸入し、この気液混合流体が圧縮され、気体と液体との混在が促進されると、気体の圧縮性により、吐出圧力が低下する欠点を、第2ポンプ室101で再加圧することにより、高圧化を図っている点に特徴が有る。
また、第1ポンプ室100の第1吐出口82と、第2ポンプ室101の第2吸入口90とを接続する配管125に、バブル発生装置281fが接続され、気液混合流体の強制撹拌による混合により、マイクロバブルやナノバブルの発生と気液混合流体の均質化が図られる。この状態の気液混合流体が、第2ポンプ室101においてさらに圧縮され、高圧化されることにより、内包する気泡の、液中への溶存と微小化が図られる。
【0083】
そして、本実施形態では、さらに、第2ポンプ室101から吐出された気液混合流体が、バブル発生装置28に流入し、このバブル発生装置28によってマイクロバブルや、ナノバブルが発生される。このようなシステム構成のため、第1ポンプ室100及び第2ポンプ室101における2段階の気液混合流体の圧縮、及び、バブル発生装置281f及びバブル発生装置28による2段階のバブルの発生が行われることとなり、高圧な気液混合流体中に効率的にマイクロバブルや、ナノバブルを発生可能である。すなわち、上述した「マイクロ高圧バブル」が生成される。
特に、バブル発生装置281fにおいて、気体と液体との均質混合、及び、気液混合流体内にマイクロバブルやナノバブルの発生が行われる。これを踏まえ、本実施形態に係る圧送ポンプ10fを、第4実施形態に係る気液混合圧送システム1dに適用し、ピストン77が第1ポンプ室100における上死点に存在する場合に、シリンダーヘッド80fを介して、第4実施形態に係る気体供給系60から、第1ポンプ室100に、気体を供給するようにすれば、液体に混合する気体の量を大幅に増大することができ、燃焼に関わる酸素量の増加、噴射(供給)後の、「マイクロ高圧バブル」の音速での急激な膨張による燃料の微細化の結果、バーナーや、ガス・タービン、ガソリン・エンジン、ディーゼル・エンジン等の燃焼器においては、燃焼改善に大きく貢献出来る。
【0084】
<第7実施形態>
次いで、第7実施形態について説明する。
図13は、本実施形態に係る気液混合圧送システム1gの構成を示す図である。
なお、本実施形態において、上述した実施形態における構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、圧送ポンプ10gの構成は、第6実施形態の圧送ポンプ10fの構成と同様である。
【0085】
圧送ポンプ10gの第2ポンプ室101の第2吸入口90には、気体吸入管130が接続される。この気体吸入管130には、フィルター部171gが接続されており、第2ポンプ室101が膨張・吸入工程にある場合、フィルター部171gによって清浄化された空気が気体吸入管130及び第2吸入口90を介して第2ポンプ室101に吸入されることとなる。
また、第2ポンプ室101の第2吐出口91と、シリンダーヘッド80gに形成された気体加圧孔87gは、配管131を介して接続されている。この配管131には、電磁弁132が設けられている。第2ポンプ室101が圧縮・吐出工程にある場合、かつ、電磁弁132が開状態の場合、第2吐出口91を介して気体が配管131に吐出され、この配管131に吐出された気体が気体加圧孔87gを介して第1ポンプ室100に供給される。
また、第1ポンプ室100の第1吸入口81には、第1実施形態と同様の気液吸入系12が接続されており、第1ポンプ室100の第1吐出口82には、第1実施形態と同様の気液吐出系14が接続されている。
【0086】
次いで、本実施形態に係る気液混合圧送システム1gの動作について説明する。
第1ポンプ室100が膨張・吸入工程にあり、かつ、第2ポンプ室101が圧縮・吐出工程にある場合、第2ポンプ室101では、気体が圧縮された上で、第2吐出口91から吐出される。この場合、第2ポンプ室101は、気体を圧縮し、吐出する圧縮機として機能する。
同時に、第1ポンプ室100では、気液吸入系12から気液混合流体が第1吸入口81を介して吸入される。ここで吸入される気液混合流体は、ソニックノズル48によって気体の量が精密に制御された流体である。
そして、吸入終わり時期付近、すなわち、ピストン77が第1ポンプ室100における下死点近傍に至ったときに、電磁弁132が任意時間の間開状態となり、配管131及び気体加圧孔87gを介して、第2ポンプ室101によって圧縮された高圧の気体が第1ポンプ室100に噴出、供給される。これにより、第1ポンプ室100に吸入された気液混合流体に対し、多量の空気が混合される。
次いで、ピストン77が下死点に至った後、逆方向に向かって運動することにより、第1ポンプ室100において圧縮・吐出工程が開始されると、電磁弁132が閉状態とされる。この第1ポンプ室100における圧縮・吐出工程では、液体に対し多量の気体が混合された上で圧縮・吐出が行われる。このため、第1ポンプ室100から吐出される気液混合流体には、多量の気体が含まれることとなり、当該気液混合流体に対しバブル発生装置28によってマイクロバブルやナノバブルを発生させることにより、気体含有量の大きい「マイクロ(ナノ)バブル」流体を供給可能である。
なお、第1ポンプ室100が圧縮・吐出工程にある場合、第2ポンプ室101では、膨張・吸入工程が行われ、第2吸入口90を介して気体が吸入される。
【0087】
ここで、大量の気体(例えば、空気)を混在させるには、通常、液体用ポンプの他に、圧縮機や高圧ガス・ボンベを別途用意する必要が有るが、本実施形態では、第2ポンプ室101が圧縮機として機能するため、これら装置を別途用意する必要が無く、コストの削減を実現することができる。
また、行程容積(=容量)が「π(D・S)/4」と大きい第1ポンプ室100を気液圧送ポンプとして用い、行程容積(=容量)が「π(D−d)・S/4」と小さい第2ポンプ室101を気体圧送ポンプ(=圧縮機)として用いて、第1ポンプ室100の吸入終わり時、圧縮された気体を噴射して、気体含有量の大きい「マイクロ(ナノ)バブル」流体を供給可能な特徴を有する。
さらに、第2ポンプ室101を気体用の圧縮機として活用する利点として、上述した利点の他にも、「仮に、ピストン77のピストンリング105から第1ポンプ室100側に些少の漏れが発生したとしても、気体に混在させて、再度、第2ポンプ室101に戻す事が可能」、「第1ポンプ室100では、空気等の気体が主で有るため、仮に、ピストン軸70を介して、直動部分に漏洩が有ったとしても、非腐食性流体のため、大きなトラブルを発生させない」等の優れた特徴を有する。
【0088】
<第8実施形態>
次いで、第8実施形態について説明する。
図14は、本実施形態に係る気液混合圧送システム1hの構成を示す図である。
なお、本実施形態において、上述した実施形態における構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態に係る圧送ポンプ10hは、ピストン軸160を収納した軸ケース161を備え、この軸ケース161は端壁162、163を備えている。各端壁162、163には各々ベアリング164、165が配置され、一対のベアリング164、165にはピストン軸160が回転自在、かつ軸ケース161内を往復動自在に支持されている。軸ケース161の端壁162、163を貫通したピストン軸160の両外端部には、各々ピストン166、167が固着されており、これらピストン166、167は、軸ケース161の両端に連結されたシリンダー168、169内に摺動自在に収容されている。ピストン166、167の外周には、ピストンリング175がそれぞれ取り付けられている。
【0089】
シリンダー168、169にはバルブシート170が取り付けられ、バルブシート170には吸入口171及び吐出口172が設けられ、吸入口171及び吐出口172には、各々ばねで付勢された吸入弁体173及び吐出弁体174が設けられている。
ピストン166、167の押し退け側にはポンプ室176、177が形成され、ピストン166、167のピストン軸側には背圧室178、179が形成されている。各背圧室178、179は、軸ケース161の端壁162、163に形成された連通孔180を通じて軸ケース161の気密室181に連通している。軸ケース161の外側には正逆回転可能なモーター183が配置され、該モーター183の出力軸184にはカップリング185を介して駆動軸186が連結されている。駆動軸186は封止部187、及びベアリング188を介して気密室181内に延出し、該駆動軸186の先端にはピニオンギア190が固着されている。
ピニオンギア190は、ピストン軸160に固定されたラックギア191に噛み合い、モーター183の駆動によりピニオンギア190が回転すると、これに噛み合うラックギア191を介してピストン軸160が気密室181内を往復運動する。
【0090】
モーター183には、「パルス・モーター」や「サーボ・モーター」等の正逆回転モーターが使用され、「制御装置(不図示)」により、任意の“一定の”「ピストン速度で制御」される。このため、前掲の例と同じく、等しい「吸気・吐出流速」で流体の吐出が行われ、脈動のない吐出が確保される。これらの作動行程は、前掲の場合と同じで、一方のポンプが「圧縮・吐出行程」に有る時、他方のポンプは「膨張・吸入行程」が行われる。そして、ピストン166が上死点に達すると、上死点マーカー193が、近接センサー194により検知されと共に、ピストン167が上死点に達すると、上死点マーカー195が、近接センサー196に検出される。
【0091】
本実施形態に係る圧送ポンプ10eでは、モーター183の回転を直線運動に変換させる手段を備えると共に、ピストン166、167に連接するピストン軸160をベアリング164、165で保持して軸方向に移動させているため、シリンダー168、169とピストン166、167の芯出し精度を高めることにより、シリンダー168、169とピストン166、167との直接摺動が零となり、従来問題となっていたピストンとシリンダーの磨耗から解消される。
つまり、本実施形態に係る圧送ポンプ10eでは、ベアリング164、165に保持されて、ピストン軸160が、シリンダー168、169の中心軸を水平に移動するため、クランク軸機構の往復動ポンプのような、シリンダー壁面への回転時の押し付け力発生が無い。この結果、ピストン166,167がシリンダー壁との摺動摩擦がゼロで、ピストンリン175グが摺動するのみで、滑り性能に優れるピストンリン175を使用する事で、気液流体に関わらず、磨耗の少ない稼働が可能となる。
【0092】
また、気液吸入管24は、分岐部198で第1気液吸入管199と、第2気液吸入管200とに分岐しており、第1気液吸入管199が、シリンダー168側の吸入口171に接続され、第2気液吸入管200が、シリンダー169側の吸入口171に接続されている。
さらに、気液吐出管26は、分岐部201で第1気液吐出管202と、第2気液吐出管203とに分岐しており、第1気液吐出管202がシリンダー168側の吐出口172に接続され、第2気液吐出管203がシリンダー169側の吐出口172に接続されている。
【0093】
次いで、本実施形態に係る気液混合圧送システム1hの動作について説明する。
モーター183の駆動に伴い、ピストン軸160がシリンダー168に向かう方向(図14中左方向)に等速運動すると、ポンプ室176で圧縮・吐出工程が実行されると共に、ポンプ室177で膨張・吸入工程が実行される。ポンプ室176における圧縮・吐出工程により、シリンダー168側の吐出口172から吐出された気液混合流体は、バブル発生装置28に流入し、バブル発生装置28においてナノバブルやマイクロバブルが発生された後、供給される。
一方、ピストン軸160がシリンダー169に向かう方向(図14中右方向)に等速運動すると、ポンプ室177で圧縮・吐出工程が実行されると共に、ポンプ室176で膨張・吸入工程が実行される。ポンプ室177における圧縮・吐出工程により、シリンダー169の吐出口172から吐出された気液混合流体は、バブル発生装置28に流入し、バブル発生装置28においてナノバブルやマイクロバブルが発生された後、供給される。
このように、ポンプ室176において圧縮・吐出工程が実行され、かつ、ポンプ室177において膨張・吸入工程が実行される状態と、ポンプ室176において膨張・吸入工程が実行され、かつ、ポンプ室177において圧縮・吐出工程が実行される状態とが交互に変位するため、圧送ポンプ10hから脈動の少ない状態で気液混合流体を吐出可能である。
【0094】
<第9実施形態>
次いで、第9実施形態について説明する。
図15は、本実施形態に係る気液混合圧送システム1iの構成を示す図である。
なお、本実施形態において、上述した実施形態における構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態に係る圧送ポンプ10iは、第6実施形態に係る圧送ポンプ10fと以下の点で異なっている。すなわち、軸ケース71についてシリンダー79が設けられている端と反対側の端には、シリンダー79iが設けられている。このシリンダー79i及びシリンダー79iに関連する部材の構造は、シリンダー79及びシリンダー79に関連する部材の構造と同一である。簡単に説明すると、シリンダー79iは、ピストン77iによって第1ポンプ室100iと、第2ポンプ室101iとに区分けされ、第1ポンプ室100iには、第1吸入口81iと、第1吐出口82iが設けられ、第2ポンプ室101iには、第2吸入口90iと、第2吐出口91iが設け設けられている。
【0095】
シリンダー79の第1ポンプ室100の第1吸入口81には、気液吸入系12が接続されている。また、第1吐出口82と、第2吸入口90とは、配管210で接続されており、この配管210には、バブル発生装置281が設けられている。また、第2ポンプ室101の第2吐出口91には、第1気液吐出管282が接続されている。
一方、シリンダー79iの第1ポンプ室100iの第1吸入口81iには、気液吸入系12iが接続されている。この気液吸入系12iの構成は、気液吸入系12の構成と同一であるため、その説明を省略する。また、第1吐出口82iと、第2吸入口90iとは、配管210iで接続されており、この配管210iには、バブル発生装置281iが設けられている。また、第2ポンプ室101iの第2吐出口91iには、第2気液吐出管282iが接続されている。
第1気液吐出管282と第2気液吐出管282iとは、分岐部285において連結しており、この分岐部285に気液吐出系14が接続されている。
【0096】
次いで、本実施形態に係る気液混合圧送システム1iの動作について説明する。
ピストン軸70がシリンダー79側(図15中左側)に向かって運動すると、シリンダー79の第1ポンプ室100では、圧縮・吐出工程が実行される。すなわち、ピストン77によって気液混合流体が圧縮され、第1吐出口82から吐出される。第1吐出口82から吐出された気液混合流体は、バブル発生装置281においてマイクロバブルやナノバブルが発生され、膨張・吸入工程を実行する第2ポンプ室101に吸入される。
さらに同時に、シリンダー79iの第1ポンプ室100iでは、膨張・吸入工程が実行される。すなわち、気液吸入系12iから気液混合流体が第1ポンプ室100iに吸入される。同時に、シリンダー79iの第2ポンプ室101iでは、圧縮・吐出工程が実行される。すなわち、第2ポンプ室101iにおいて、圧縮された気液混合流体が第2吐出口91iから吐出される。ここで第2吐出口91iから吐出された気液混合流体は、バブル発生装置28に流入し、このバブル発生装置28においてマイクロバブルや、ナノバブルが発生される。
【0097】
一方、ピストン軸70がシリンダー79i側(図15中右側)に向かって運動すると、シリンダー79の第1ポンプ室100では、膨張・吸入工程が実行される。すなわち、気液吸入系12から気液混合流体が第1ポンプ室100に吸入される。同時に、シリンダー79の第2ポンプ室101では、圧縮・吐出工程が実行される。すなわち、第2ポンプ室101において、圧縮された気液混合流体が第2吐出口91から吐出される。ここで第2吐出口91から吐出された気液混合流体は、バブル発生装置28に流入し、このバブル発生装置28においてマイクロバブルや、ナノバブルが発生される。
さらに同時に、シリンダー79iの第1ポンプ室100iでは、圧縮・吐出工程が実行される。すなわち、ピストン77iによって気液混合流体が圧縮され、第1吐出口82iから吐出される。第1吐出口82から吐出された気液混合流体は、バブル発生装置281iにおいてマイクロバブルやナノバブルが発生され、膨張・吸入工程を実行する第2ポンプ室101iに吸入される。
【0098】
本実施形態によれば、圧送ポンプ10iによって脈動の少ない吐出が確保される。さらに、第2ポンプ室101、101iが圧縮・吐出工程を実行する場合、バブル発生装置281、281iによって既にマイクロバブルやナノバブルが発生した状態の気液混合流体が圧縮されることとなり、内包するマイクロバブルやナノバブルを含む気泡の液中への溶存と微小化が促進される。また、第2ポンプ室101、101iにおける圧縮・吐出工程により、第2ポンプ室101、101iから第2吐出口91、90iを介して吐出された気液混合流体は、バブル発生装置28によってさらにマイクロバブルやナノバブルの発生が行われるため、効率的に、かつ、確実にマイクロバブルやナノバブルが発生される。
【0099】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、気体流量調整部20におけるソニックノズル48の個数は、「4」であったが、ソニックノズル48の個数はこれに限らず、システムによって実現した期待流量に応じて適切な個数を設けることができる。
【符号の説明】
【0100】
1、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i 気液混合圧送システム
10、10b、10、10d、10e、10f、10g、10h、10i 圧送ポンプ
11 吸入口
13 吐出口
20 気体流量調整部(気体混合手段)
28、281、281f、281i バブル発生装置
48、481、482、483、484 ソニックノズル
49、491、492、493、494 電磁弁(開閉弁)
57 圧縮機
70、160 ピストン軸
71、161 軸ケース
77、77i、166、167 ピストン
79、79i、168、169 シリンダー
81、81i 第1吸入口
82、82i 第1吐出口
90、90i 第2吸入口
91、92i 第2吐出口
100、100i 第1ポンプ室
101、101i 第2ポンプ室
171 吸入口
172 吐出口
176、177 ポンプ室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気液混合流体を圧送する圧送ポンプと、
この圧送ポンプの吸入側で液体に気体を混合する気体混合手段とを備え、
前記気体混合手段は、複数のソニックノズルを並列に備え、いずれかのソニックノズルを流通制限し、気体混合量を制御可能としたことを特徴とする気液混合圧送システム。
【請求項2】
前記気体混合手段は、各ソニックノズルに対応して開閉弁を備え、いずれかの開閉弁を遮断して、対応するソニックノズルを流通制限し、気体混合量を制御することを特徴とする請求項1に記載の気液混合圧送システム。
【請求項3】
前記圧送ポンプの駆動を開始してから所定の間は、各前記開閉弁を遮断して気体の混合を停止することを特徴とする請求項2に記載の気液混合圧送システム。
【請求項4】
前記ソニックノズルに一定の圧力で気体を供給する一定圧力印加手段を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の気液混合圧送システム。
【請求項5】
前記一定圧力印加手段は、前記ソニックノズルの上流に設けられた圧縮機であることを特徴とする請求項4に記載の気液混合圧送システム。
【請求項6】
前記圧送ポンプに対し、気体を供給する気体供給手段をさらに備え、
前記圧送ポンプは、吸入した気液混合流体に、前記気体供給手段から供給された気体を混合した上で、気液混合流体を圧縮し、吐出することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の気液混合圧送システム。
【請求項7】
前記圧送ポンプは、
軸ケースにピストン軸を往復駆動自在に収納し、
前記軸ケースを貫通した前記ピストン軸の一方の外端部にピストンを固着し、
前記ピストンを前記軸ケースに連結したシリンダー内に収容し、
前記シリンダー内で前記ピストンの外に向かう面側に第1ポンプ室を形成し、この第1ポンプ室に第1吸入口及び第1吐出口を設ける一方、前記ピストンの内に向かう面側に第2ポンプ室を形成し、この第2ポンプ室に第2吸入口及び第2吐出口を設け、
前記ピストンの往復駆動に応じて、第1ポンプ室での吸入動作及び第2ポンプ室での吐出動作と、第1ポンプ室での吐出動作及び第2ポンプ室での吸入動作とを交互に行うポンプであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の気液混合圧送システム。
【請求項8】
前記圧送ポンプによって吸入される気液混合流体が流通する気液吸入管を2つに分岐し、一方の管を前記第1吸入口に接続すると共に、他方の管を前記第2吸入口に接続し、
前記圧送ポンプから吐出される気液混合流体が流通する気液吐出管を2つに分岐し、一方の管を前記第1吐出口に接続すると共に、他方の管を前記第2吐出口に接続したことを特徴とする請求項7に記載の気液混合圧送システム。
【請求項9】
前記第1吸入口及び前記第2吸入口のうち、いずれか一方の吸入口に、前記圧送ポンプによって吸入される気液混合流体が流通する気液吸入管を接続し、前記一方の吸入口と対応する吐出口と他方の吸入口とを管接続し、前記他方の吸入口と対応する吐出口に、前記圧送ポンプから吐出される気液混合流体が流通する気液吐出管を接続したことを特徴とする請求項7に記載の気液混合圧送システム。
【請求項10】
前記一方の吸入口と対応する吐出口と前記他方の吸入口とを接続する管にバブル発生装置を設けたことを特徴とする請求項9に記載の気液混合圧送システム。
【請求項11】
前記ピストン軸が、前記ピストンから外側に向かって突出しないように、前記ピストン軸の外側の先端に前記ピストンを固着し、
前記第1吸入口に、前記気液吸入管を接続し、前記第1吐出口と前記第2吸入口とを管接続し、前記第2吐出口に前記気液吐出管を接続したことを特徴とする請求項9又は10に記載の気液混合圧送システム。
【請求項12】
前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室のうち、いずれかの一方のポンプ室を気体を吸入して吐出する気体用ポンプ室として機能させ、他方のポンプ室を気液混合流体を吸入して吐出する気液用ポンプ室として機能させ、
気体用ポンプ室として機能させたポンプ室から吐出された空気を、気液用ポンプ室として機能させたポンプ室に吸入された気液混合流体に混合可能に構成したことを特徴とする請求項7に記載の気液混合圧送システム。
【請求項13】
前記ピストン軸が、前記ピストンから外側へ突出しないように、前記ピストン軸の外側の先端に前記ピストンを固着し、
前記第2ポンプ室を気体用ポンプ室として機能させ、前記第1ポンプ室を気液用ポンプ室として機能させることを特徴とする請求項12に記載の気液混合圧送システム。
【請求項14】
前記圧送ポンプは、
軸ケースにピストン軸を往復駆動自在に収納し、
前記軸ケースを貫通した前記ピストン軸の両方の外端部のそれぞれにピストンを固着し、
前記ピストンのそれぞれを前記軸ケースに連結したシリンダーのそれぞれの内部に収容し、
前記シリンダーのそれぞれにて、それぞれの前記ピストンの外に向かう面側に第1ポンプ室を形成し、この第1ポンプ室に第1吸入口及び第1吐出口を設ける一方、前記ピストンの内に向かう面側に第2ポンプ室を形成し、この第2ポンプ室に第2吸入口及び第2吐出口を設け、
前記ピストンの往復駆動に応じて、
一方の前記シリンダーにおける第1ポンプ室での吸入動作及び第2ポンプ室での吐出動作、及び、他方の前記シリンダーにおける第1ポンプ室での吐出動作及び第2ポンプ室での吸入動作と、
一方の前記シリンダーにおける第1ポンプ室での吐出動作及び第2ポンプ室での吸入動作、及び、他方の前記シリンダーにおける第1ポンプ室での吸入動作及び第2ポンプ室での吐出動作と、
を交互に行うポンプであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の気液混合圧送システム。
【請求項15】
前記ピストン軸を等速動力伝達機構にて駆動することを特徴とする請求項7ないし14のいずれかに記載の気液混合圧送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−11154(P2011−11154A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158104(P2009−158104)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(591160338)株式会社技術開発総合研究所 (12)
【出願人】(509188252)ロハス株式会社 (1)
【出願人】(509188263)川口販売株式会社 (1)
【出願人】(509188274)
【Fターム(参考)】