説明

水処理システムの前処理装置及び前処理方法

【課題】逆浸透膜を使用した水処理システム等に用いられる前処理装置及び前処理方法であって、大きな設置面積を必要としない、凝集剤の添加を必要とせずに前処理による十分な濁質除去を達成できる、かつ単位膜面積当たりの処理流量(流束)が高い水処理システムを与えることができる前処理装置及び前処理方法を提供する。
【解決手段】1μm以上、10μm未満の平均孔径を有する濾過膜を用いた第1の膜濾過手段と精密濾過膜又は限外濾過膜を用いた第2の膜濾過手段を有することを特徴とする水処理システム用の前処理装置、及びこの前処理装置により行うことができる前処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜を用いた水処理等を行う水処理システムにおける前処理装置及び前処理方法に関する。より具体的には、逆浸透膜による水処理等において、その前処理のために使用される濁質除去手段を有する前処理装置、及びその前処理装置を用いて行うことができる前処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透膜(Reverse Osmosis、RO)は、0.1〜0.5nm程度の径の超微細孔を有する半透膜である。この逆浸透膜の一方の側に塩等の不純物を溶解する原水を接触させ他方の側に純水を接触させると浸透圧が生じ純水が原水側に浸透するが、原水側に浸透圧を越える圧力を加えると逆に原水中の水分子が選択的に逆浸透膜を純水側に透過し、塩等の不純物が除去された純水を得ることができる。そこで、原水から塩等の不純物を除去する手段として逆浸透膜を使用した水処理システムが使用されており、海水淡水化の脱塩処理や、その他地下水、排水、水リサイクル等に広く適用されている。
【0003】
逆浸透膜を使用した水処理システムの原水としては、粗大な粒子からなる濁質を含むものも多い。そこで、濁質による逆浸透膜の汚染を防ぐため、一般的に、逆浸透膜による処理手段の前に、原水中から濁質を除去する前処理手段が設けられている。この前処理手段としては、砂濾過や、逆浸透膜の孔より大きな孔を有する膜による濾過、例えば精密濾過(microfiltration、MF)もしくは限外濾過(ultrafiltration、UF)、又はこれらの組合せ等が行われている。
【0004】
ここで砂濾過とは、砂(アンスラサイト、硅砂等)と支持砂利の層からなる濾過材が設けられた濾過池に原水を導き、原水を濾過材に通すことにより濁質を取り除く方法である。精密濾過(MF)とは、100nm(0.1μm)程度以上で1000nm(1μm)未満の径の孔を有する精密濾過膜(MF膜)に原水を通すことにより濁質を取り除く方法を言う。又、限外濾過(UF)とは、1〜100nm程度の径の孔を有する限外濾過膜(UF膜)に原水を通すことにより濁質を取り除く方法を言う。
【0005】
逆浸透膜を使用しその前処理手段を備える水処理システムとしては、具体的には、砂濾過を1段又は2段以上行って前処理した水を逆浸透膜により濾過(逆浸透膜濾過と言う。)するシステム、精密濾過(MF)又は限外濾過(UF)により前処理した水を逆浸透膜濾過するシステム、さらに前記の前処理方法を組み合わせた方法、例えば、砂濾過を行った後、精密濾過(MF)又は限外濾過(UF)を行い、このようにして前処理した水を逆浸透膜濾過するシステム(非特許文献1)等を挙げることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】福岡地区水道企業団“淡水化のしくみ”、[online]、[平成21年7月17日検索]、インターネット<URL:http://www.f-suiki.or.jp/seawater/facilities/mechanism.php>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記の砂濾過は、濾過池を使用するので大きな設置面積を必要とし、又、その設置のために大規模土木工事を伴い大きな設置費用を要するとの問題がある。又、砂濾過により除去可能な濁質は径1μm程度以上の粒子のみであり、より小さい粒子の除去はできない。そこで、十分な濁質除去のためには凝集剤の添加が必要となり、処理コストアップの要因となる。
【0008】
一方、精密濾過(MF)又は限外濾過(UF)による前処理によれば、小さい粒子の除去が可能であり、十分な濁質除去を行うことができるが、単位膜面積当たりの流量(流束)が低いとの問題がある。従って、大きな処理量を得るためには、膜面積を大きくする必要があり、その結果、精密濾過(MF)又は限外濾過(UF)を行う装置(モジュール)を大きくする、又は装置の数を増やす等が必要となり、設置費用が増大するとの問題が生じる。
【0009】
又、海水中にはプランクトンや微生物が細胞外に分泌するTEP(transparent exopolymer particles:透明細胞外高分子粒子)と呼ばれる粘着性物質が1〜数ppm程度存在する。主成分は糖類であり、1〜200μm程度の粒径の変形する粒子である。TEP等の有機性粒子は変形するため砂濾過では十分に取りきれない。又、これを直接MF膜やUF膜で濾過すると、膜表面に粘着して広がり、MF膜やUF膜をファウリング(目詰まり)させてしまうとの問題がある。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題を解決することを目的とする。すなわち、逆浸透膜を使用した水処理装置及び水処理方法において、大きな設置面積を必要とせず、かつ単位膜面積当たりの処理流量(流束)を高くする、逆の見方をすれば同じ処理量をより小さな設備で達成でき設置費用の低減を可能にするための前処理装置及び前処理方法を提供することを課題とする。本発明は、さらに、前記の課題を達成するとともに、凝集剤の添加を必要とせずに前処理により十分な濁質及びTEP等の有機性粒子の除去ができる前処理装置及び前処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、前記課題を解決するために検討を行った結果、1μm以上で10μm未満の平均孔径を有する濾過膜(以後、LF膜と言う。)と、精密濾過膜又は限外濾過膜からなる膜濾過手段を逆浸透膜濾過の前処理に用いることにより、大きな設置面積を必要とせず、かつ小さな設備で大きな処理量を得ることができ、かつ凝集剤の添加を必要とせずに前処理により十分な濁質及びTEP等の有機性粒子の除去ができることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち前記の課題は、LF膜を用いた第1の膜濾過手段、及びMF膜又はUF膜を用いた第2の膜濾過手段を有することを特徴とする水処理システム用の前処理装置(請求項1)により達成される。
【0013】
この前処理装置を用いた水処理システムでは、原水(被処理液)は先ず第1の膜濾過手段に供給され、LF膜を通り、その被処理液が、MF膜又はUF膜を用いた第2の膜濾過手段を通り、さらにその被処理液が逆浸透膜濾過手段等の後処理工程に供給される。第1の膜濾過手段により、原水から、LF膜の平均孔径に対応した大きさ以上の粗大粒子が除去されるとともに、LF膜によるTEP等の有機性粒子の捕捉も行われ、原水中の濁質及びTEP等の有機性粒子が低減される。さらにMF膜又はUF膜を通ることにより濁質中の微細な粒子及びTEP等の有機性粒子が除去され、逆浸透膜濾過手段等の後処理工程に供給される前に、濁質やTEP等の有機性粒子の十分な除去が行われる。
【0014】
ここで、LF膜の平均孔径が10μm以上となると濁質の除去やTEP等の有機性粒子を低減するとの効果が不十分になることも考えられる。さらに、製造が容易なLF膜は平均孔径が5μm程度以下のものである。一方、単位膜面積当たりの高い処理流量(流束)を得るためには、2μm以上の平均孔径を有するものが好ましい。そこで、LF膜は、好ましくは2μm以上、5μm以下のものである。
【0015】
ここで、濾過膜の平均孔径とは、バブルポイント法(エアーフロー法)で求めた孔径を意味する。具体的には、この孔径は、イソプロピルアルコールを用いASTM F316に基づき測定されたIPAバブルポイント値(圧力)をP(Pa)、液体の表面張力(dynes/cm)をγ、Bを毛細管定数としたとき、次の式で表わされる径d(μm)を意味する。なお、MF膜、UF膜等の平均孔径についても同じである。
d=4Bγ/P
【0016】
LF膜は1μm以上の平均孔径を有するので、単位膜面積当たりの流量(流束)を大きくすることができ、逆に見ればより小さい設備で所望の処理量を得ることができる。
【0017】
LF膜の平均孔径が小さい程、より小さな粒子の除去が可能になり、前処理における濁質やTEP等の有機性粒子の除去率は向上する。一方、LF膜の平均孔径が小さい程、単位膜面積当たりの流量(流束)は小さくなる。従って、濁質やTEP等の有機性粒子の所望の除去率及び単位膜面積当たりの流量(流束)を考慮して最適の孔径が選択される。
【0018】
LF膜を用いた膜濾過手段は、大きな設置面積を必要とせず、砂濾過と比較して設置面積をはるかに小さくすることができる。特に、この膜濾過手段にLF膜からなる中空糸膜モジュールを用いることにより、設置面積をさらに小さくすることができる。又、設置のための設備費用も砂濾過と比較してはるかに小さくすることができる。
【0019】
又、LF膜により被処理液中の粗大な濁質粒子が除去されTEP等の有機性粒子が効率よく捕捉されるので、後段のMF膜又はUF膜の目詰まりが抑制される。
【0020】
本発明の水処理システム用の前処理装置を用いれば、次の効果が達成される。
1)MF膜又はUF膜による処理により、原水中の微細粒子まで除去され濁質の十分な除去が行われるので、凝集剤の添加が不要である。従って、水処理システムのランニングコストの低下にもつながる。
2)逆浸透膜濾過等の前処理を、MF膜又はUF膜のみで行う場合に比べて、同じ処理量を達成するために必要な濾過膜の総面積を低減できる。その結果、水処理システムの装置全体を小型にすることができ、設備費の低減、設置面積の低減を図ることができる。
【0021】
すなわち、MF膜又はUF膜は、単位膜面積当たりの流量(流束)が低いとの問題があり、同じ処理量を得るためには膜面積を大きくする必要があるが、精密濾過(MF)又は限外濾過(UF)の前にLF膜による処理を行えば、濁質中の比較的粗大な粒子がLF膜により除かれ、又TEP等の有機性粒子の含有量も低減されるので、MF膜又はUF膜の濾過負荷が低減され、同じ処理量を得るために必要なMF膜又はUF膜の面積を小さくすることができる。この効果を得るために必要なLF膜の面積は、通常MF膜又はUF膜の全面積よりはるかに小さいので、LF膜が必要であることを考慮しても膜の全面積を低減できる。その結果、装置(モジュール)の大きさや装置の数を減らすことが可能になり、設置費用の低減を図ることができる。
【0022】
請求項2の発明は、LF膜が、ポリテトラフルオロエチレン膜であることを特徴とする請求項1に記載の水処理システム用の前処理装置である。
【0023】
LF膜の材質は、1μm以上で10μm未満の平均孔径を有する均一な孔が形成でき、濾過の際の加圧や通液逆洗等に耐えられる機械的強度を有するものであれば特に限定されないが、フッ素樹脂、特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましく用いられる。PTFEは、機械的強度に優れるのみではなく、2〜5μmの範囲内にある平均孔径を有する均一な孔を容易に高気孔率で形成でき、さらに耐薬品性にも優れる。
【0024】
なお、LF膜がPTFE膜等の疎水性の材質からなる高分子膜(疎水性高分子膜)である場合、海水等の被処理液との親和性が低く、単位膜面積当たりの処理流量(流束)が低くなる。LF膜の後段に用いるMF膜又はUF膜がPTFE膜等の疎水性高分子膜である場合、この問題はさらに顕著である。従って、処理流量(流束)の向上のためには、ポリエーテルスルホン(PES)やポリスルホン(PS)等の親水性の材質からなる高分子膜(親水性高分子膜)が好ましい。一方、機械的強度や耐薬品性に優れたPTFE膜等の疎水性高分子膜を用いた場合であっても、LF膜、MF膜又はUF膜を親水性の液体で処理する方法や、又はLF膜、MF膜又はUF膜を構成する材質を親水化する親水化加工を施すことにより、処理流量(流束)を向上させることができるので、これらの処理や加工を施すことが好ましい。
【0025】
LF膜、MF膜又はUF膜を親水性の液体で処理する方法としては、被処理液を透過させる前に、LF膜、MF膜又はUF膜と親水性アルコールを接触させ、膜の表面(孔内を含む)を親水性アルコールで覆う方法を挙げることができる。親水性アルコールとしては、エタノール、プロパノール等を挙げることができ、特にイソプロパノールが好ましく用いられる。親水性アルコールをLF膜、MF膜又はUF膜と接触させる方法としては、親水性アルコールをLF膜、MF膜又はUF膜に透過させる方法、LF膜、MF膜又はUF膜を親水性アルコールに浸漬する方法等を挙げることができる。又、LF膜、MF膜又はUF膜がPTFE膜である場合、膜を構成する材質を親水化する親水化加工の方法としては、例えば、PTFE膜をビニルアルコール等の親水化化合物で表面架橋する方法を挙げることができる。
【0026】
請求項3の発明は、前記LF膜が、親水化加工を施していない疎水性高分子膜であり、前記MF膜又はUF膜が、親水性高分子膜又は親水化加工を施した疎水性高分子膜であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水処理システム用の前処理装置である。
【0027】
前記のように、単位膜面積当たりの処理流量(流束)を向上させるためには、LF膜、MF膜又はUF膜として親水性高分子膜又は親水化加工を施した疎水性高分子膜を用いることが好ましいが、一方、LF膜と逆浸透膜濾過手段の間に、さらにMF膜又はUF膜が設けられている場合、LF膜として親水化加工を施していない疎水性高分子膜を用いると、処理流量(流束)の経時的低下をさらに抑制できることが、本発明者の検討により見出された。すなわち、LF膜として親水化加工を施していない疎水性高分子膜を用いた場合は、親水性高分子膜又は親水化加工を施した疎水性高分子膜をLF膜として用いる場合より、濾過運転時における処理流量(流束)の経時的低下を小さくすることができる。
【0028】
LF膜をMF膜又はUF膜の前段に設けることにより、MF膜又はUF膜の目詰まりによる処理流量(流束)の経時的低下を抑制できるが、被処理液の種類によっては、LF膜を設けても、処理流量(流束)の経時的低下を十分に防げない場合がある。この問題は、被処理液中のTEP等の有機性粒子の含量が大きい場合等で見られる。しかし、LF膜として親水化加工を施していない疎水性高分子膜を用いると、このような場合でも、MF膜又はUF膜の目詰まりによる処理流量(流束)の経時的低下を防ぐ効果が大きく、経時的低下を防止する効果がさらに向上する。なお、疎水性高分子膜としては、PTFE膜の他に、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)膜やポリエーテル(PE)膜等を挙げることができる。
【0029】
請求項4の発明は、LF膜が、2μm以上、5μm以下の平均孔径を有する濾過膜であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の水処理システム用の前処理装置である。前記のように、LF膜としては、2μm以上、5μm以下の平均孔径を有する濾過膜が好ましいが、請求項4の発明は、この好ましい態様に該当するものである。
【0030】
請求項5の発明は、前記水処理システムが逆浸透膜濾過手段を備えた淡水化処理システムであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の水処理システム用の前処理装置である。本発明の水処理システム用の前処理装置が適用される水処理システムとしては、逆浸透膜濾過手段を備えた淡水化処理システムをその代表的なものとして挙げることができる。
【0031】
請求項6の発明は、原水を、LF膜により濾過する粗濾過工程、及び粗濾過工程の濾過水をMF膜又はUF膜により濾過する精濾過工程を有することを特徴とする水処理システムにおける前処理方法である。請求項1の発明を方法の側面からとらえた発明であり、LF膜による濾過(粗濾過工程)、MF膜又はUF膜による濾過(精濾過工程)については前記の説明のとおりであり、又、この方法に使用するLF膜、MF膜及びUF膜についても前記の説明のとおりである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、逆浸透膜処理工程を有する水処理システム等の水処理システムにおいて、単位膜面積当たりの処理流量(流束)を大きくすることができるので小さい設備で所望の処理量を得ることができる。又、大きな設置面積を必要とせず、砂濾過と比較して設置面積をはるかに小さくすることができる。さらに、凝集剤の添加が不要であり、水処理システムのランニングコストの低下を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の前処理装置を用いた水処理システムの一例を示す概略図である。
【図2】本発明の水処理システム用の前処理装置に用いられるLF膜を用いた濾過手段の一例を示す模式断面図である。
【図3】実験データ1における濾過時間と濾過流束、差圧の関係を示すグラフである。
【図4】実験データ1における濾過時間と濾過流束、差圧の関係を示すグラフである。
【図5】実験データ2における濾過時間と濾過流束の関係を示すグラフである。
【図6】実験データ3における濾過時間と濾過流束の関係を示すグラフである。
【図7】実験データ4における濾過時間と濾過流束の関係を示すグラフである。
【図8】実験データ5における濾過時間と濾過流束の関係を示すグラフである。
【図9】実験データ5における積算流量と濾過流束の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明するが本発明の範囲はこの形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
【0035】
図1は、本発明の前処理装置を用いた水処理システムの一例を示す概略図である。図1に示す装置は請求項1に記載の水処理システム用の前処理装置に該当する。
【0036】
先ず原水が、図1中の実線の矢印が示すように、ポンプP1によりLF膜を用いた第1の膜濾過手段に圧入され、第1の膜濾過手段中のLF膜を通過し、濁質中の比較的粗大な粒子が除去され、又TEP等の有機性粒子の捕捉も行われる。ここで行われる工程は、請求項6における粗濾過工程に該当する。第1の膜濾過手段の作動圧は、通常100kPa以下が採用される。
【0037】
第1の膜濾過手段の構造は特に限定されず、例えば、膜の取扱い性や物理的耐久性を向上させるためには、平膜のLF膜をフレームに挟んだ平膜構造のエレメントを用いることができる。しかし、同じ装置サイズでの濾過膜の面積をより大きくするためには、中空糸膜のLF膜を用いたエレメントが好ましく用いられる。図2は、中空糸膜を用いたエレメントの例を示す。
【0038】
LF膜として好ましく用いられる膜、すなわちPTFEからなり径2〜5μmの範囲内の均一な孔を有する膜は、例えば、乳化重合によりPTFEの粉末を製造し、これに懸濁重合により得られたPTFEの粉末を一部混合し、この粉末の混合物を膜状に成形し、加熱して粉末間を溶融した後、得られた膜を延伸することにより製造することができる。懸濁重合により得られたPTFEの粉末の混合がない場合、延伸によっては、2〜5μmの範囲内の平均孔径を有しかつ機械的強度に優れた膜の製造は困難である。懸濁重合により得られたPTFEの粉末の混合割合は、所望の平均孔径、機械的強度を考慮して適宜調整される。
【0039】
LF膜には、機械的強度を付与するために、1μm以上で10μm未満の平均孔径を有する前記多孔質膜と、より大きな孔を有する多孔質体とを組み合わせた複合膜を用いることもできる。又、この多孔質体の材質としては、ポリブタジエン、エチレンプロピレンラバー、ネオプレンゴム等のゴム状高分子を用いることができる。
【0040】
なお、LF膜等の濾過膜は、その使用中に濁質が侵入して孔を目詰まりさせ、濾過流量の低下や濾過圧の増大が生じる。そこで、適時膜の洗浄を行い、孔を目詰まりさせている濁質を洗浄、除去する必要がある。従って、LF膜を用いた第1の膜濾過手段には、原水の通液により孔を目詰まりさせている濁質の洗浄、除去手段を備えているものが好ましい。
【0041】
濾過膜の洗浄方法としては、濾過時の液体の流れとは逆方向に気体を濾過膜に通して洗浄する方法(エアー逆洗)、濾過時の液体の流れとは逆方向に通水する逆洗により洗浄する方法(以下「通液逆洗」と言う。)、薬液を注入して膜を洗浄する方法(薬液洗浄)、膜に超音波を印加して洗浄する方法(超音波洗浄)等が知られている。
【0042】
ここで薬液洗浄には、洗浄に要する時間が長い、廃液処理を要する、薬液コストを要する等の問題があり、薬液の種類によっては安全上の問題もあるので、薬液を使用しない洗浄方法が望まれる。通液逆洗には、このような問題もなく、洗浄効率的にも優れているので広く採用されている。LF膜は1μm以上の平均孔径を有するので、膜表面に付着し又は膜の孔内に侵入して孔を目詰まりさせている濁質を、通液逆洗により洗浄、除去することが容易であるとの特徴を有する。
【0043】
この洗浄が容易であるとの特徴は、通液逆洗と超音波洗浄を組み合わせた場合特に顕著である。すなわち、通液逆洗及び超音波洗浄を、LF膜に同時に施すことにより、孔の目詰まりを充分に除去することができ、濾過流量を濾過工程開始時と同程度まで回復できる。この洗浄は具体的には、LF膜を洗浄に供する液体(通常、濁質を含まない水)と接触させ、濾過時の流れとは逆方向の流れが生じるように差圧を前記液体に加えると同時に、前記LF膜に接触する液体を通してLF膜に超音波を印加して行われる。
【0044】
図1の例における第1の膜濾過手段には、LF膜を通液逆洗により洗浄する手段が設けられている。すなわち、図1中の破線の矢印が示すように、逆洗用水がポンプP2により、LF膜を用いた第1の膜濾過手段に圧入され、第1の膜濾過手段中のLF膜を濾過時とは逆の方向に通過し、LF膜の孔を目詰まりしていた濁質を洗浄、除去する。逆洗用水としては、濁質を含まない水が好ましく用いられる。
【0045】
前記のように、通液逆洗と超音波洗浄を組み合わせると、洗浄が容易であるとの効果が特に顕著になり、その結果、十分な洗浄を行うことができ、薬品洗浄を省くことができ、又は薬品洗浄の負荷を低減することができる。そこで、好ましくは、第1の膜濾過手段内には超音波発振手段が設けられ、通液逆洗と同時に超音波が印加される。
【0046】
逆洗後、LF膜を通過した濁質を含む水は、図中の破線の矢印が示すように、逆洗排水として排出される。
【0047】
第1の膜濾過手段より流出した水は、図中の実線の矢印が示すように、ポンプP3によりMF膜又はUF膜を用いた第2の膜濾過手段に圧入され、第2の膜濾過手段中のMF膜又はUF膜を通過し、濁質中の微細な粒子が除去される。ここで行われる工程は請求項6における精濾過工程に該当する。
【0048】
第2の膜濾過手段は、通常はMF膜又はUF膜を用いる膜エレメント、耐圧容器等で構成される。第2の膜濾過手段を設けることにより、凝集剤を使用しなくても、前処理による濁質やTEP等の有機性粒子の十分な除去が可能になる。
【0049】
作動圧については、MF膜は200kPa以下で運転され、UF膜は300kPa以下で運転される場合が多い。
【0050】
MF膜又はUF膜としては、特に限定されるものではないが、ポリアクリロニトリル多孔質膜、ポリイミド多孔質膜、PES多孔質膜、ポリフェニレンスルフィドスルホン多孔質膜、PTFE多孔質膜、PVdF多孔質膜、ポリプロピレン多孔質膜、ポリエチレン多孔質膜等が挙げられる。中でも、PTFE多孔質膜は機械的強度、耐薬品性等に優れ好ましい。前記LF膜と同様に複合膜として用いることもできる。
【0051】
第2の膜濾過手段より流出した水は、図中の実線の矢印が示すように、ポンプP5により逆浸透膜濾過手段に圧入され、逆浸透膜を通過し、溶解している塩分等が除去される。
【0052】
逆浸透膜濾過手段は、通常は逆浸透膜エレメント、耐圧容器等で構成される。逆浸透膜濾過手段の作動圧は、通常、0.1MPa〜15MPaの範囲であり、被処理液の種類等により適宜選択されるが、海水の淡水化や工業廃水等を原水とする場合には比較的高圧で使用される。逆浸透膜の素材としては、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材が、一般的に使用されている。また、その構造としては、膜の少なくとも片側に緻密層を持ち、該緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜やその他の複合膜等を挙げることができる。
【0053】
逆浸透膜濾過手段より流出した水は、図中の実線の矢印が示すように、濁質や塩等の不純物を含まない被処理液として流出し、種々の用途に使用される。
【0054】
図1の例では、第2の膜濾過手段及び逆浸透膜濾過手段のいずれも、第1の膜濾過手段と同様に、膜を洗浄する手段を有する。すなわち、図1中の破線の矢印が示すように、第2の膜濾過手段ではポンプP4により、又逆浸透膜濾過手段ではポンプP6により、逆洗用水が圧入され濾過時とは逆の方向に膜を通過し膜を洗浄(逆洗)する。逆洗後は、図中の破線の矢印が示すように逆洗排水として排出される。第2の膜濾過手段及び逆浸透膜濾過手段のいずれにおいても、超音波発振手段を設け、通液逆洗と同時に超音波を印加すると、より十分な洗浄を行うことができる。その結果、薬品洗浄を省くことができ、又は薬品洗浄の負荷を低減することができる。
【0055】
第2の膜濾過手段におけるMF膜又はUF膜、及び逆浸透膜濾過手段における逆浸透膜のいずれについても、LF膜の場合と同様に、膜の形態としては、中空糸膜、平膜等を挙げることができる。
【0056】
第1の膜濾過手段、第2の膜濾過手段、逆浸透膜濾過手段のいずれにおいても、大きな処理流量を得るために、膜エレメントを含む膜モジュールは、通常複数並列に設けられる場合もある。又、濁質や塩分等の除去をより完全に行うために複数直列に設ける場合もある。
【0057】
図2は、図1の例におけるLF膜を用いた第1の膜濾過手段を模式的に示す模式断面図である。図中、1はLF膜を用いる中空糸膜モジュールであり、2は中空糸膜モジュール1の筺体であり、3及び4は、それぞれ、中空糸膜モジュール1の内にある原水側及び濾過水取出し部であり、5はLF膜からなる中空糸膜である。(図中では、中空糸膜5は、3本のみ表わされているが、通常は、はるかに多数の中空糸膜が中空糸膜モジュールに設けられている。)
【0058】
P1及びP2はポンプ(それぞれ図1中のP1及びP2に該当する。)であり、B1及びB2はバルブである。さらに、中空糸膜モジュール1内には、超音波印加手段である超音波振動子21及び22が設けられており、これらは、中空糸膜モジュール1の外にある超音波発振器23と接続している。超音波は、LF膜を浸漬する液体に印加されこの液体を媒体としてLF膜に印加される。そこで、この液体により満たされる中空糸膜モジュール1内に、超音波振動子21及び22が設けられている。なお、図2の例においては、その設置の方向が異なる2つの超音波振動子21及び22が設けられているが、一方のみが設置されていてもよい。図2中の太字矢印は、LF膜により原水中の濁質除去やTEP等の有機性粒子の捕捉を行う場合の水の流れを示している。
【0059】
先ず原水が、ポンプP1により加圧されて配管11、バルブB1、配管13を通り、中空糸膜モジュール1の原水側3に送られる。このとき、超音波振動子21及び22は作動していない。
【0060】
原水側3に送られた原水は、ポンプP1により加圧されているので、差圧により、図2中の太字矢印が示すように、中空糸膜5(LF膜)を透過する。原水が中空糸膜5を透過する際に原水中の比較的粗大な濁質が中空糸膜5でトラップされて除去されるとともに、原水中のTEP等の有機性粒子も中空糸膜5により捕捉されて含有量が低減される。中空糸膜5を透過した濾過水は、中空糸膜5内の中空部、濾過水取出し部4、配管14、バルブB2、配管16を通り、比較的粗大な濁質が除去されTEP等の有機性粒子の含有量が低減された被処理液として流出する。流出した被処理液は、図1に示されるようにポンプP3により第2の膜濾過手段に圧入される。
【0061】
LF膜を通液逆洗等により洗浄する場合は、バルブB1、B2の向きを変え、又ポンプP1の代わりにポンプP2を作動させ、逆洗用水を、ポンプP2により加圧し、配管15、バルブB2、配管14、中空糸膜モジュール1の濾過水取出し部4を通し、中空糸膜5内の中空部に送る。この逆洗用水は加圧されているので、中空糸膜5を、濾過水取出し部4から原水側3に向かって透過し、この際に中空糸膜5の孔を目詰まりさせている濁質を洗い出す。
【0062】
さらに、この洗い出しと同時に、超音波発振器23、超音波振動子21及び22を作動させて、中空糸膜5に超音波を印加する。その結果、中空糸膜5の孔を目詰まりさせている濁質をより充分に洗い出すことが可能になり、短時間の洗浄で、中空糸膜5の孔内を濾過開始時と同様な(目詰まりのほとんどない)状態にすることができる。
【0063】
中空糸膜5を透過した洗浄水(孔を目詰まりさせていた懸濁物質も含む)は、中空糸膜モジュール1の原水側3、配管13を通り、さらにバルブB1の向きが変えられているので、バルブB1から配管12を通り、逆洗排水として排出される。
【0064】
なお、以上LF膜を用いた第1の膜濾過手段について説明したが、第2の膜濾過手段及び逆浸透膜濾過手段における被処理液や逆洗用水の流れも同様である。
【実施例】
【0065】
実験データ1
図3は、濁度0.1NTUの海水を、膜面積36m、平均孔径0.1μm(100nm)のUF膜で濾過したときの濾過時間と濾過流束との関係(図3中の実線で表す。)及び濾過時間と差圧との関係(図3中の破線で表す。)を示すグラフである。作動圧は50kPaである。図4は、海水を、先ず膜面積7m、平均孔径2μmのLF膜で濾過し、その流出水を膜面積36m、平均孔径0.1μm(100nm)のUF膜で濾過したときの濾過時間と濾過流束との関係(図4中の実線で表す。)及び濾過時間と差圧との関係(図4中の破線で表す。)を示す。作動圧は50kPaである。なお、単位NTU(比濁計濁度単位)とは、ホルマジンを標準液として散乱光を測定した場合の測定単位であるホルマジン濁度を表す。精製水1リットルに1mgのホルマジンを溶かしたもののNTUは1度である。なお、海水の濾過を行う前に、イソプロパノールを濾過膜に通液する処理を行っている。以下に示す実験においても同じである。
【0066】
図3と図4を比較すると、いずれの場合でも濾過時間30分程度で濾過流束が安定するが、濾過流束が安定した段階での濾過流束を比較すると、図4の場合は、図3の場合より1.6倍程度の濾過流束が得られている。すなわち、同じ処理量を達成するためには、図4の場合は、図3の場合の約60%の膜面積でよい。図4の場合は、LF膜を必要とするがその膜面積を考慮しても、図3の場合の約70%の膜面積でよい。この結果より、前処理をLF膜とUF膜の2段処理とすることにより、UF膜のみを用いて前処理を行う場合より、膜面積を3割程度減少することができ、設備の設置面積や設置費用の低減を図れることが示されている。
【0067】
なお、前処理に砂濾過を行う場合は、広大な濾過池を必要とする(例えば、非特許文献1に記載されている設備は、濁度0.1NTUの海水を5万トン/日で淡水化する能力を有するが、前処理の砂濾過に必要な濾過池の面積は10,000mを超える。)。従って、図4の場合の設備の設置面積は、前処理に砂濾過を行う場合の設置面積よりはるかに小さいことは明らかである。
【0068】
実験データ2
図5は、平均孔径5μmのLF膜(LF−A)及び平均孔径3μmのLF膜(LF−B)(いずれも膜厚50μm)を用いて、澱粉粒子を50ppm添加した純水を、50kPaの作動圧で濾過したときの濾過時間と濾過流束の関係を示すグラフである。いずれも濾過流束は濾過時間とともに低下して行くが、濾過時間15分程度でも10m/dを超える濾過流束が得られている。この実験結果より、平均孔径3μm、5μmのLF膜も、前記の平均孔径2μmのLF膜と同様、単位膜面積当たりの高い処理流量(流束)が得られ、逆浸透膜濾過の前処理に使用できることが示されている。
【0069】
実験データ3
図6は、平均孔径2μmのLF膜からなる外径2.3mm/内径1.1mm/長さ20cmのLF膜を用いて、平均粒径12μmのシリカ粒子を50ppm添加した純水を、50kPaの作動圧で濾過したときの濾過時間と濾過流束の関係を示すグラフである。濾過時間15分及び30分で、水による通液逆洗を行い、濾過時間45分で薬液洗浄を行っている。通液逆洗及び薬液洗浄の条件は、以下の通りである。
通液逆洗: 90kPa、1分間
薬液洗浄:NaOH(1%)+NaClO(200ppm)、1時間
【0070】
実験データ4
図7は、実験データ3と同じ条件にて濾過を行い、濾過時間15分で、実験データ3と同じ条件での通液逆洗を行い、さらに、濾過時間30分、45分、60分、75分(図7中で白抜矢印で示したとき)で、実験データ3と同じ条件での通液逆洗を行うと同時に超音波の印加をした場合の、濾過時間と濾過流束の関係を示すグラフである。超音波の印加の条件は50kHz、100W、30秒である。
【0071】
図6及び図7より明らかなように、通液逆洗により濾過流束を回復することができるが、通液逆洗と同時に超音波の印加を行ってLF膜の洗浄を行った場合は、濾過開始時と同等程度まで濾過流束を回復することができる。
【0072】
実験データ5
海水(舞洲海水:プランクトン2ppm、TEP4ppm、有機濁質1ppm、無機濁質3ppmを含む海水を平均的な処理水と想定している。)を、以下に示す濾過システム1、2又は3で、50kPaの作動圧で濾過した。図8は、このときの濾過時間と濾過流束の関係を示すグラフであり、図9は、濾過の積算流量と濾過流束の関係を示すグラフである。
濾過システム1:親水性MF膜のみによる濾過(LF膜による前処理なし。)
濾過システム2:疎水性LF膜による濾過の後、親水性MF膜による濾過
濾過システム3:親水性LF膜による濾過の後、親水性MF膜による濾過
【0073】
なお、濾過システム1〜3で使用したLF膜、MF膜の形状及び構成材質は、以下のとおりである。
・疎水性LF膜:(ポアフロンTB−2311200:商品名)
外径2.3mm/内径1.1mm/長さ20cm、平均孔径2.0μmの中空糸膜
材質:疎水性PTFE膜(親水化加工は施していない)
・親水性LF膜:(ポアフロンWTB−2311200:商品名)
外径2.3mm/内径1.1mm/長さ20cm、平均孔径2.0μmの中空糸膜
材質:親水性PTFE膜(PTFE膜をビニルアルコールで表面架橋したもの。)
・親水性MF膜:(ポアフロンWTB−2311/005:商品名)
外径2.3mm/内径1.1mm/長さ20cm、平均孔径は0.1μmの中空糸膜
材質:親水性PTFE膜(PTFE膜をビニルアルコールで表面架橋したもの。)
【0074】
図8及び図9より次の事実が明らかである。
1)LF膜による前処理を行わず、親水性MF膜のみで処理を行った場合は、処理流量(流束)の経時的低下が大きい。MF膜が被処理液中の濁質やTEP等の有機性粒子により目詰まりするためと思われる。
2)疎水性LF膜による前処理を行った後、親水性MF膜で処理を行った場合は、処理流量(流束)の経時的低下は、親水性MF膜のみで処理を行った場合や親水性LF膜による前処理を行った後親水性MF膜で処理を行った場合と比べて、非常に小さく、このシステムにより長時間にわたり継続的濾過が可能であることが示されている。疎水性LF膜により被処理液中のTEP等の有機性粒子が効率よく捕捉され、LF膜を流出したTEP等の有機性粒子によるMF膜の目詰まりが低減されているためと思われる。
3)親水性LF膜による前処理を行った後、親水性MF膜で処理を行った場合、処理流量(流束)の経時的低下は、親水性MF膜のみで処理を行った場合よりは抑制されているものの、疎水性LF膜による前処理を行った後、親水性MF膜で処理を行った場合と比べて、かなり大きい。親水性LF膜による被処理液中のTEP等の有機性粒子の捕捉は、疎水性LF膜によるTEP等の有機性粒子の捕捉より小さく、LF膜を流出したTEP等の有機性粒子によるMF膜の目詰まりが比較的大きいためと思われる。
【符号の説明】
【0075】
1 中空糸膜モジュール
2 筺体
3 原水側
4 濾過水取出し部
5 中空糸膜
11、12、13、14、15、16 配管
21、22 超音波振動子
23 超音波発振器
P1、P2、P3、P4、P5、P6 ポンプ
B1 B2 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1μm以上、10μm未満の平均孔径を有する濾過膜を用いた第1の膜濾過手段、及び精密濾過膜又は限外濾過膜を用いた第2の膜濾過手段を有することを特徴とする水処理システム用の前処理装置。
【請求項2】
1μm以上、10μm未満の平均孔径を有する前記濾過膜が、ポリテトラフルオロエチレン膜であることを特徴とする請求項1に記載の水処理システム用の前処理装置。
【請求項3】
1μm以上、10μm未満の平均孔径を有する前記濾過膜が、親水化加工を施していない疎水性高分子膜であり、前記精密濾過膜又は限外濾過膜が、親水性高分子膜又は親水化加工を施した疎水性高分子膜であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水処理システム用の前処理装置。
【請求項4】
1μm以上、10μm未満の平均孔径を有する前記濾過膜が、2μm以上、5μm以下の平均孔径を有する濾過膜であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の水処理システム用の前処理装置。
【請求項5】
前記水処理システムが逆浸透膜濾過手段を備えた淡水化処理システムであることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の水処理システム用の前処理装置。
【請求項6】
原水を、1μm以上、10μm未満の平均孔径を有する濾過膜により濾過する粗濾過工程、及び粗濾過工程の濾過水を、精密濾過膜又は限外濾過膜により濾過する精濾過工程を有することを特徴とする水処理システムにおける前処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−121007(P2011−121007A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281381(P2009−281381)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【特許番号】特許第4525857号(P4525857)
【特許公報発行日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】