説明

水分散可能な、高官能性ポリイソシアナート

水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナート、この製造方法、並びにこの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狙いを定めて構成された、水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナート、この製造方法並びにこの使用に関する。
【0002】
デンドリマー並びに高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナートは、以下の文献に記載されている。
【0003】
WO 97/02304はデンドリマーを記載するが、これを水分散可能に構成する手段を記載しない。
【0004】
WO 98/52995は同様にデンドリマーを記載するが、これを幅広いpH範囲で水分散可能に構成する手段を記載しない。
【0005】
EP-A 1 134 246及びEP-A 1 134 247は、高官能性のポリイソシアナートを記載する。親水化、疎水化又は官能化の一般的な手段が提案されるが、このための明確な技術的教示は提案されない。
【0006】
EP-A 1 167 413及びEP-A 1 026 185は、高官能性のポリイソシアナートを記載する。この水溶性能又は乳化能の調整を、酸−又は第三級アミン基を有するアダクトを介して行い、しかしながらこれはアルカリ性又は酸性の範囲のみで水乳化性に作用する。
【0007】
本発明に基づく課題は従って、狙いを定めて構成した水分散可能な、高官能性のポリイソシアナートであって、その定義された構造に基づいて有利な特性、例えば高官能性、高反応性、低粘度及び/又は良好な溶解性を兼ね備えることができ、かつ幅広いpH範囲で分散可能であることが望ましいポリイソシアナートを提供すること、並びに係るポリイソシアナートの製造方法を提供することである。係るポリイソシアナートを用いて得られる被覆は、高強度を、同時の低脆性でもって示すことが望ましい。
【0008】
前記課題は、水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナートの製造方法であって、以下の反応工程:
(i) 1つ又は複数のイソシアナート基を含有し、かつイソシアナートと反応性である少なくとも1つの基を含有する付加生成物(A)を製造する工程であって、
(I) (a1)ジ−及び/又は
(I) (a2)ポリイソシアナート
と、
(b1) イソシアナートと反応性である少なくとも3つの基を有する少なくとも1つの化合物及び/又は
(b2) イソシアナートと反応性である2つの基を有する少なくとも1つの化合物
とを反応させ、
その際、前記成分(a)又は(b)の少なくとも1つは、その他の成分の官能基に対して相違する反応性を有する官能基を有し、かつ
この反応比を、平均して、付加生成物(A)がイソシアナートと反応性である少なくとも1つの基及び1つ又は複数のイソシアナート基を含有するように選択する、付加生成物(A)を製造する工程、
(ii) 場合により、(i)からの付加生成物(A)を重付加生成物(P)へと分子間付加反応する工程、前記生成物は、1つ又は複数のイソシアナート基を含有し、かつイソシアナートと反応性である少なくとも1つの基を含有してよい、
(iii) 場合により、(i)からの付加生成物(A)及び/又は(ii)からの重付加生成物(P)を、前記生成物がイソシアナートと反応性である少なくとも1つの基を含有する限りは、単官能性のイソシアナートと反応させる工程、及び/又は
(iv) 場合により、(i)からの付加生成物(A)及び/又は(ii)からの重付加生成物(P)を、前記生成物がイソシアナートと反応性である少なくとも1つの基を含有する限りは、少なくとも1つのジ−又はポリイソシアナート(I)(a1)又は(I)(a2)、及び/又はジ−又はポリイソシアナート(I)とは相違する少なくとも1つのジ−又はポリイソシアナート(II)と反応させる工程、及び
(v) (i)からの付加生成物(A)及び/又は(ii)からの重付加生成物(P)及び/又は(iii)及び/又は(iv)からの反応生成物と、単官能性のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールとを反応させる工程を含む製造方法により解決される。
【0009】
前記工程(ii)、(iii)、(iv)及び(v)は、工程(i)に、任意の順列で引き続いてよい。この際、前記工程(ii)、(iii)及び(iv)は選択的であり、工程(i)は場合により複数回行ってもよい。
【0010】
前記反応工程の可能性のある順序は例えば以下である:
(i)−(v)、(i)−(ii)−(v)、(i)−(v)−(ii)、(i)−(iii)−(v)、(i)−(v)−(iii)、(i)−(iv)−(v)、(i)−(v)−(iv)、(i)−(ii)−(iii)−(v)、(i)−(ii)−(v)−(iii)、(i)−(iii)−(ii)−(v)、(i)−(iii)−(v)−(ii)、(i)−(v)−(ii)−(iii)、(i)−(v)−(iii)−(ii)、(i)−(ii)−(iv)−(v)、(i)−(ii)−(v)−(iv)、(i)−(iv)−(ii)−(v)、(i)−(iv)−(v)−(ii)、(i)−(v)−(ii)−(iv)、(i)−(v)−(iv)−(ii)、(i)−(iii)−(iv)−(v)、(i)−(iii)−(v)−(iv)、(i)−(iv)−(iii)−(v)、(i)−(iv)−(v)−(iii)、(i)−(v)−(iii)−(iv)、(i)−(v)−(iv)−(iii)、(i)−(v)−(ii)−(iii)−(iv)、(i)−(ii)−(v)−(iii)−(iv)、(i)−(ii)−(iii)−(v)−(iv)又は(i)−(ii)−(iii)−(iv)−(v)。
【0011】
この個々の反応工程の間に、そのつど後処理−又は精製工程が行われてよく、例えば抽出、洗浄、ストリッピング、蒸留又は濾過である。必要であれば、この反応混合物を、例えば、活性炭又は金属酸化物、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ホウ素又はこれらの混合物を、例えば0.1〜50質量%、有利には0.5〜25質量%、特に有利には1〜10質量%の量で、例えば10〜100℃、有利には20〜80℃、特に有利には30〜60℃の温度で用いる処理によって脱色に供してよい。この脱色を、粉末形又は顆粒形の脱色剤を反応混合物へ添加し、かつ引き続き濾過することにより、又はこの反応混合物を任意の好適な成形体の形の脱色剤堆積物上を通過させることにより実施してよい。
【0012】
本発明の有利な一実施態様において、この個々の反応工程はしかしながら、同一の反応器中で実施され、特に有利には合間の後処理−又は精製工程なしに実施される。後処理又は精製はこの場合には、場合により、この最後の反応工程(v)の直後に行われる。
【0013】
本発明の更なる主題は、この方法により製造される水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナートである。
【0014】
分散体は本出願において、Roempp Chemie Lexikon - CD Version 1.0, Stuttgart/New York: Georg Thieme Verlag, 1995による上位の概念として使用され、かつエマルション、懸濁体、及び溶液が含まれる。
【0015】
更に、本発明による方法を用いて、デンドリマーのポリイソシアナートも水分散可能に構成することが可能である。
【0016】
本発明の主題は更に、本発明による水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナートの、塗料、被覆物、コイルコーティング、接着剤、シーラント、注型エラストマー(Giesselastomer)、又は発泡材料、及び本発明による水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナートの使用下で得られる重付加生成物の製造のための構成要素としての使用である。
【0017】
本発明による水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナートは更に、皮革又はテキスタイルの含浸のために使用されてよい。含浸のための基材は、例えば合成の又は非合成の繊維又はこの織布又はフリースである。
【0018】
超分枝したポリイソシアナートは、一方では中心分子から出発してデンドリマーと同様に、しかしながらこの枝の単一でない鎖長でもって構成されていてよい。前記の超分枝したポリイソシアナートは、他方では線状に、官能性の側基でもって構成されていてもよいし、又はこの両極端の組合せとして、線状であってかつ分枝した分子部分を有していてもよい。デンドリマー及び超分枝したポリマーの定義のために、P.J. Flory, J.Am.Chem.Soc. 1952, 74, 2718及びH. Frey et al., Chemistry -A European Journal, 6, No.14, 2499も参照されたい。
【0019】
"超分枝した"とは、本発明に関連して、この枝分かれ度(Degree of Branching、DB)、即ち樹枝状結合部の平均数及び一分子当たりの末端基の平均の数が、10〜99.9%、有利には20〜99%、特に有利には20〜95%であることが理解される。"デンドリマー"とは、本発明に関連して、この枝分かれ度が99.9〜100%であることが理解される。"Degree of Branching"の定義については、H. Frey et al., Acta Polym. 1997, 48, 30〜35を参照されたい。
【0020】
高官能性のポリイソシアナートとは、本発明の枠内において、少なくとも3つの、有利には少なくとも5つの、特に有利には少なくとも6つの遊離のイソシアナート基を有するポリイソシアナートが理解される。前記イソシアナート基の数は原則的に上記により制限されず、しかしながらイソシアナート基に関して非常に多い数を有するポリイソシアナートは、不所望の特性、例えば高粘度又は劣悪な溶解性を示す。本発明による高官能性のポリイソシアナートは、大抵は100つ以下のイソシアナート基、有利には50つ以下の、特に有利には30つ以下の、とりわけ特に有利には20つ以下のイソシアナート基を有する。これらは平均して、有利には3.5つ以上の、有利には4.5つ以上の、特に有利には5つ以上のイソシアナート基を有する。
【0021】
本発明によるポリイソシアナートはまた、イソシアナートに対して反応性である基を含有してよく、平均して例えば0〜20つ、有利には0〜15つ、特に有利には0〜10つ、とりわけ特に有利には0〜5つ、そして特に0〜3つを含有してよい。
【0022】
本発明によるポリイソシアナートは、分子量Mw少なくとも500、有利には少なくとも600、特に有利には750g/molを有する。前記分子量Mwの上限値は、有利には100000g/molであり、特に有利にはMwは、80000g/mol以下、特にとりわけ有利には30000g/mol以下である。
【0023】
多分散度(Polydispersitaet)、並びに数平均分子量及び重量平均分子量Mn及びMwのための記載は、この際ゲル濾過クロマトグラフィー測定に関連し、その際ポリメチルメタクリラートが標準として、そしてテトラヒドロフランが溶離剤として使用される。この方法は、Analytiker Taschenbuch .第4版, 433〜442頁 , Berlin 1984に記載されている。
【0024】
本発明によるポリイソシアナートの多分散度は、1.1〜50、有利には1.2〜40、特に有利には1.3〜30、特にとりわけ有利には1.5〜10である。
【0025】
本発明によるポリイソシアナートは通常は極めて良好に溶解性であり、即ち、25℃で明澄な溶液が、本発明によるポリイソシアナートの50質量%までの、いくつかの場合には80質量%までの含量でもって、アセトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン(THF)、エチルアセタート、n−ブチルアセタート、及び数々のその他の溶媒中で、肉眼でゲル粒子を検出できることなしに調整できる。これは、本発明のよるポリイソシアナートの低い架橋程度を示す。
【0026】
ジ−及びポリイソシアナート(I)として、公知技術から公知である脂肪族の、環式脂肪族の、及び芳香族のイソシアナートが考慮される。
【0027】
ジイソシアナート(a1)は、2つの官能性、即ち、2つのイソシアナート基を一分子当たりに有するイソシアナートである。ポリイソシアナート(a2)は、平均して2つより多い、有利には平均して少なくとも3つのNCO基を一分子当たりに有するイソシアナートである。
【0028】
有利なジ−又はポリイソシアナート(I)は、2,4′−及び4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、モノマーのジフェニルメタンジイソシアナート及び前記ジフェニルメタンジイソシアナートのより多核の同族体(ポリマーMDI)からなる混合物、テトラメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート−トリマー、ヘキサメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート−トリマー、イソホロンジイソシアナート−トリマー、2,4′−及び4,4′−メチレンビス(シクロヘキシル)−ジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ドデシルジイソシアナート、リシンアルキルエステル−ジイソシアナート(その際アルキルはC1〜C10−である)、2,2,4−又は2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアナート、1、4−ジ−イソシアナトシクロヘキサン、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、又は4−イソシアナト−メチル−1,8−オクタメチレンジイソシアナート、又は3(又は4)、8(又は9)−ビス(イソシアナトメチル)−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−異性体混合物である。
【0029】
特に有利には、相違する反応性のNCO基を有するジ−又はポリイソシアナート、例えば、2,4−トルイレンジイソシアナート(2.4−TDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート(2,4′−MDI)、トリイソシアナトトルエン、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、2−ブチル−2−エチルペンタメチレンジイソシアナート、2−イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアナート、3(4)−イソシアナトメチル−1−メチルシクロヘキシルイソシアナート、1,4−ジイソシアナト−4−メチルペンタン、2,4′−メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアナート、及び4−メチル−シクロヘキサン−1,3−ジイソシアナート(H−TDI)である。
【0030】
本発明における意味合いにおいて相違する反応性は、反応条件下での一分子内での異なるべき反応性である基の間での反応性の相違を表し、従って当該反応のための、このそれぞれの反応性の基の速度係数k1及びk2の商k1/k2は、少なくとも1.25、有利には少なくとも1.5、特に有利には少なくとも2、とりわけ特に有利には少なくとも2.5、特に少なくとも3である。
【0031】
更に、NCO基が最初は同等に反応性であるイソシアナートが特に有利であり、その際しかしながら、NCO基に対するアルコール、メルカプタン、又はアミンの第一の付加により、この第二のNCO基での反応性の低下が引き起こされる。このための例は、NCO基が非局在化した電子系を介して結合しているイソシアナート、例えば1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート、ジフェニルジイソシアナート、トリジンジイソシアナート、又は2,6−トルイレンジイソシアナートである。
【0032】
ジ−及びポリイソシアナート(II)として、公知技術から公知である脂肪族の、環式脂肪族の、及び芳香族の全てのイソシアナートが考慮される。上記したジ−及びポリイソシアナート(I)の他に更に、例えばオリゴ−又はポリイソシアナートが使用されてよく、前記イソシアナートは、前記したジ−又はトリイソシアナート又はこれらの混合物から、ウレタン−、アロファネート−、尿素−、ビウレット−、ウレトジオン(Uretdion)−、アミド−、イソシアヌラート−、カルボジイミド−、ウレトンイミン−、オキサジアジントリオン−又はイミノオキサジアジンジオン構造を用いた連結により製造される。
【0033】
本発明による方法において使用されるジ−又はポリイソシアナート(II)は、しかしながら、工程(i)において使用されるジ−又はポリイソシアナート(I)とは異なるものである。
【0034】
有利な一実施態様において、化合物(I)は、2つの官能性を有するジイソシアナート(a1)であり、かつ前記化合物(II)は、2つより多くの、有利には少なくとも2.5つの、特に有利には少なくとも2.8つの、とりわけ特に有利には少なくとも3つの官能性を有するイソシアナートである。
【0035】
ジ−及びポリイソシアナート(II)として特に有利には、2,4′−及び4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート及び前記ジフェニルメタンジイソシアナートのより多核の同族体(ポリマーMDI)からなる混合物、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアナート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソシアヌラート−、ウレトジオン−、ウレタン−、アロファネート−、イミノオキサジアジンジオン−又はビウレット基を有するオリゴマーであって、ヘキサメチレンジイソシアナート又はイソホロンジイソシアナート(IPDI)からのオリゴマー、ウレタン−、アロファネート−、カルボジイミド−、又はウレトンイミン基を有するオリゴマーであって、MDIからのオリゴマー、又はウレタン−、アロファネート−、カルボジイミド−又はウレトンイミン基を有するオリゴマーであって、TDIからのオリゴマーが使用される。
【0036】
前記のジ−及びポリイソシアナート(I)のために、また同様に前記のジ−及びポリイソシアナート(II)のために、上記したイソシアナートの混合物をも使用してよい。
【0037】
モノイソシアナートとして、例えばフェニルイソシアナート、o−、m−、又はp−トリルイソシアナート、ナフチルイソシアナート、フェニルスルホニルイソシアナート、トルエンスルホニルイソシアナート、ブチルイソシアナート、ヘキシルイソシアナート、シクロヘキシルイソシアナート、又はドデシルイソシアナートが考慮される。有利には、フェニルイソシアナート、トルエンスルホニルイソシアナート、及びシクロヘキシルイソシアナートが使用される。
【0038】
本発明によるイソシアナートにとっては、どのような経路でこれらのモノイソシアナート、ジ−及びポリイソシアナート(I)又は(II)が製造されたかは、即ち、前記イソシアナートがホスゲン化方法又はホスゲン不含方法いずれにより得られたかは重要な役割を果たさない。
【0039】
付加生成物(A)の製造の際に使用される、イソシアナートと反応性である少なくとも3つの基を有する化合物(b1)、及びイソシアナートと反応性である2つの基を有する使用される化合物(b2)は、ヒドロキシ基、メルカプト基、及び/又はアミノ基を有する化合物から選択される。有利には、ヒドロキシ−及び/又はアミノ基であり、特に有利にはヒドロキシ基である。
【0040】
有利な一実施態様において、イソシアナートと反応性である少なくとも3つの基を有する化合物(b1)は、イソシアナートと反応性である基を、有利には3〜6つ、特に有利には3〜5つ、とりわけ特に有利には3つ又は4つ有する。
【0041】
同様に、付加生成物(A)の製造のために、イソシアナートと反応性である少なくとも3つの基を有する化合物(b1)及び/又はイソシアナートと反応性である2つの基を有する化合物(b2)が使用されてよく、これは、上記した官能基又は前記基の混合したものから選択され、かつこれらの官能基が、NCO基に対して相違する反応性を有する。有利には、この際少なくとも1つの第一級及び少なくとも1つの第二級又は第三級のヒドロキシ基、少なくとも1つのヒドロキシ基及び少なくとも1つのメルカプト基又は少なくとも1つのヒドロキシ基及び少なくとも1つのアミノ基を一分子中に有する化合物であり、というのもこのアミノ基のヒドロキシ基に対する反応性は、イソシアナートとの反応の際に通常は著しく高いからである。
【0042】
更に有利には、イソシアナートと反応性である官能基が、最初に同等に反応性であり、しかしながら少なくとも1つのイソシアナートの付加による反応性の低下が、イソシアナートと反応性であるこの残りの基により引き起こされる立体的又は電子的な影響により条件付けられている、イソシアナートと反応性である化合物である。これは、例えばトリメチロールプロパン又はペンタエリトリトールを成分(b1)として使用する場合である。
【0043】
イソシアナートと反応性である少なくとも3つの基を有する前記化合物(b1)のための例は、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノエタン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールプロパノールアミン、ビス(アミノエチル)アミン、ビス(アミノプロピル)アミン、トリス(アミノエチル)アミン、トリス(アミノプロピル)アミン、トリスアミノノナン、トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、ビス(トリメチロールプロパン)、糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルチトール、又は糖、例えばグルコース、三−又はより高官能性の出発分子及びエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドベースの三−又はより高官能性のポリエーテルオール(Polyetherol)、又はアミノ基を末端基とするこれらの誘導体、これは一般的にJeffamine(R)として公知であり、又は三−又はより高官能性のポリエステルオール(Polyestherol)である。この際、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリトリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、又はペンタエリトリトールベースのポリエーテルオール、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが特に有利である。
【0044】
イソシアナートと反応性である2つの基を有する化合物(b2)のための例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,2−、1,3−及び1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、プロパン−1,2−ジチオール、ブタン−1,2−ジチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、エチレンジアミン、トルイレンジアミン、イソホロンジアミン、システアミン、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、1,2−又は1,3−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(シクロヘキシルアミノ)エタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−(2′−アミノエトキシ)エタノール、又はこのアンモニアの高アルコキシル化生成物、4−ヒドロキシピペリジン、1−ヒドロキシエチルピペラジン、アミノプロパンチオール、又は二官能性のポリエーテル−又はポリエステルオール、並びに二官能性のポリエーテルアミン(一般的にJeffamine(R)として公知である)である。この際、エチレングリコール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−及び1,4−ブタンジオール、エタノールアミン、1,2−プロパノールアミン、メルカプトエタノール、4−ヒドロキシピペリジン、及び1−ヒドロキシエチルピペラジン、又はポリエーテルオールが特に有利である。
【0045】
この際挙げた、Huntsman社のJeffamine(R)は、モノ−、ジ−、又はトリアミンであり、これはポリエーテルベース、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、又は混合したポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドに由来し、かつ約5000g/molまでのモル質量を有してよい。
【0046】
係るモノアミンのための例は、いわゆるJeffamine(R) M系列であり、これは、アミノ官能基を有するメチルキャップしたポリアルキレンオキシドであり、例えばM−600(XTJ−505)(プロピレンオキシド(PO)/エチレンオキシド(EO)比、約9:1及びモル質量約600を有する)、M−1000(XTJ−506)(PO/EO比3:19、モル質量約1000を有する)、M−2005(XTJ−507)(PO/EO比29:6、モル質量約2000)、又はM−2070(PO/EO比10:31、モル質量約2000)である。
【0047】
係るジアミンのための例は、いわゆるJeffamine(R) D−又はED−系列である。前記D−系列は、アミノ官能化したポリプロピレンジオールであって、3〜4つの1,2−プロピレン単位(Jeffamine(R) D−230、平均モル質量230)、6〜7つの1,2−プロピレン単位(Jeffamine(R) D−400、平均モル質量400)、平均して約34つの1,2−プロピレン単位(Jeffamine(R) D−2000、平均モル質量2000)、又は平均して約69つの1,2−プロピレン単位(Jeffamine(R) XTJ−510(D−4000)、平均モル質量4000)からなるアミノ官能化したポリプロピレンジオールである。この製品は部分的に、またアミノアルコールとして存在してもよい。前記ED−系列は、ポリエチレンオキシドベースのジアミンであり、これは理想的には、両側でプロポキシル化されていて、例えばJeffamine(R) HK−511(XTJ−511)(2つのエチレンオキシド−及び2つのプロピレンオキシド単位からなり、平均モル質量220を有する)1、Jeffamine(R) XTJ−500(ED−600)(9つのエチレンオキシド−及び3,6プロピレンオキシド単位からなり、平均モル質量600を有する)、並びにJeffamine(R) XTJ−502(ED−2003)(38.7エチレンオキシド−及び6つのプロピレンオキシド単位からなり、平均モル質量2000を有する)である。
【0048】
トリアミンのための例は、Jeffamine(R) T−403、5〜6つの1,2−プロピレン単位で変性したトリメチロールプロパンベースのトリアミン、Jeffamine(R) T−5000、約85つの1,2−プロピレン単位で変性したグリセリンベースのトリアミン、並びにJeffamine(R) XTJ−509(T−3000)、50つの1,2−プロピレン単位で変性したグリセリンベースのトリアミンである。
【0049】
更に、上記した化合物の混合物も使用可能である。
【0050】
付加生成物(A)の製造の際に、ジ−(a1)又はポリイソシアナート(a2)対、イソシアナートと反応性である少なくとも3つの基を有する化合物(b1)又はイソシアナートと反応性である2つの基を有する化合物(b2)又は(b1)及び(b2)からなる混合物の比を、この生じる付加生成物(A)が、イソシアナート基を含有することができ、かつイソシアナートと反応性である基を平均して少なくとも1つ含有するように調整することが必要である。
【0051】
例えば、ジイソシアナート(a1)及び三価のアルコール(b1)からの付加生成物(A)の製造の際には、一般式1
【化1】

により説明されるようにこの反応比が2:1であり、かつジイソシアナート(a1)及び四価のアルコール(b1)からの付加生成物(A)の製造の際には、図式により一般式2
【化2】

により説明されるように反応比3:1であり、
その際式1及び2中の、R1及びR2は有機残基であり、かつUはウレタン基を表す。
【0052】
更に、付加生成物(A)の製造が、例えば、トリイソシアナート(a2)及び二価の、イソシアナートと反応性である成分(b2)から、一般式3により説明されるように行われてよく、その際この反応比は、1:1モルであり、R1及びR2は、式1及び2中の意味と同じ意味を有し、かつYは例えば尿素基を表す。
【化3】

【0053】
成分(b1)に、イソシアナートと反応性である2つの基を有する化合物(b2)が付加的に添加される場合には、これは従って、通常は、この鎖の伸長をもたらす。例えば、一般式4中に説明されるように、成分(b2)1Molに対して、ジ−又はポリイソシアナート(a1)又は(a2)(I)に関する更なる1Molが添加されなくてはならない。
【化4】

【0054】
式4中で、R3は有機残基を表わし、R1、R2及びUは、前記の記載と同様に定義されている。
【0055】
付加生成物(A)への反応は、通常は、−20〜120℃、有利には−10〜100℃の温度で行われる。有利な一実施態様において、前記ジ−(a1)及び/又はポリイソシアナート(a2)が装入され、そして成分(b1)及び/又は(b2)又は(b1)及び(b2)からの混合物が添加される。付加生成物(A)はしばしば長時間安定でなく、従って、所望の場合には、有利には直接的にジ−又はポリイソシアナート(II)と反応させてよい。
【0056】
有利な一実施態様において、付加生成物(A)は、付加生成物(A)の分子間付加反応により重付加生成物(P)へと変換されてよい。この際、付加生成物(A)のイソシアナートと反応性である基が、存在する限りは、更なる付加生成物(A)のイソシアナート基に付加し、特に有利には、ヒドロキシ−及び/又はアミノ基がイソシアナート基と、ウレタン−、又は尿素基の形成下で反応する。重付加生成物(P)に付加する付加生成物(A)の数は、一般的に制限されない。実際的な見解から、通常は、重付加生成物(P)が、例えば高分子量のために又は立体的な理由から、不利な特性、例えば高粘度又は極めて劣悪な溶解性を示す前に、付加反応は中断される。
【0057】
付加生成物(A)の状態に基づいて、付加反応から相違する重付加生成物(P)が生じることが可能であり、しかしながらこの枝分かれは実質的に架橋を示さない。更に、重付加生成物(P)は、2つより多いイソシアナート基を有し、かつイソシアナートと反応性である1つ又は複数の基を有してよい。この場合、イソシアナート基の数は、使用された付加生成物(A)の状態及び重付加程度から生じる。
【0058】
例えば、一般式1による付加生成物(A)は、3回の分子間付加によって、一般式5及び6で記載される2つの相違する重付加生成物(P)へと反応することができる。
【化5】

【化6】

【0059】
式5及び6中では、R1、R2及びUは前記したように定義される。
【0060】
付加生成物(A)の重付加生成物(P)への分子間重付加反応は、付加生成物がイソシアナートに対して反応性である基を少なくとも1つ、有利にはちょうど1つ有する場合に、通常は、かつ有利には、in situで付加生成物(A)への反応の終了後に、温度の上昇により実施されてよい。
【0061】
更に、適した触媒の添加によっても、また同様に適した温度の選択によってもこの分子間重付加反応を制御することも可能である。
【0062】
更に、促進のために、適した触媒又は適した触媒混合物を添加してもよい。適した触媒は、ウレタン反応を触媒する一般的な化合物であり、例えばアミン、アンモニア化合物、アルミニウム−、スズ−、チタン−、ジルコニウム−、又はビスマス−有機の又はセシウム−化合物である。
【0063】
例えば、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、及びジアザビシクロウンデセン(DBU)、チタンテトラブチラート、ジブチルスズジラウラート、ジルコニウムアセチルアセトナート、又はこれらの混合物を挙げてよい。
【0064】
有利なルイス酸の有機金属化合物は、ジメチルスズ−ジアセタート、ジブチルスズ−ジブチラート、ジブチルスズ−ビス(2−エチルヘキサノアート)、ジブチルスズ−ジラウレート、ジオクチルスズ−ジラウレート、ジルコニウム−アセチルアセトナート及びジルコニウム−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナートである。
【0065】
セシウム化合物としてこの際、以下のアニオンが使用される化合物が考慮される:F-、Cl-、ClO-、ClO3-、ClO4-、Br-、I-、IO3-、CN-、OCN-、NO2-、NO3-、HCO3-、CO32-、S2-、SH-、HSO3-、SO32-、HSO4-、SO42-、S222-、S242-、S252-、S262-、S272-、S282-、H2PO2-、H2PO4-、HPO42-、PO43-、P274-、(OCn2n+1-、(Cn2n-12-、(Cn2n-32-並びに(Cn+12n-242-、その際nは1〜20の数である。
【0066】
有利にはこの際セシウムカルボキシラートであり、この際このアニオンは、式(Cn2n-12-並びに(Cn+12n-242-(式中、nは1〜20)に従う。特に有利なセシウム塩は、アニオンとして、一般式(Cn2n-12-(式中、nは1〜20)のモノカルボキシレートを示す。この際特に、ホルマート、アセタート、プロピオナート、ヘキサノアート、及び2−エチルヘキサノアートが挙げられる。
【0067】
触媒の添加は、一般的に、使用されるイソシアナートの量に対して50〜10000質量ppm、有利には100〜5000質量ppmの量で行なわれる。
【0068】
分子間重付加反応の中断のために様々な手段が存在する。例えば温度を、この付加反応が停止状態に達し、かつこの付加生成物(A)又は重付加生成物(P)が貯蔵安定性である範囲に低下させてよい。
【0069】
有利な一実施態様において、付加生成物(A)の分子間付加反応に基づいて、所望の重付加度を有する重付加生成物(P)が存在し次第、重付加生成物(P)に、この重付加反応の中断のためにモノイソシアナート又はジ−又はポリイソシアナート(II)を添加する。重付加生成物(P)と、モノイソシアナート又はジ−又はポリイソシアナート(II)との反応により、本発明による高官能性のポリイソシアナートが得られる。
【0070】
例えば、一般式5の重付加生成物(P)でもってジイソシアナート(II)を(P):(II)=2:1の比で反応させる場合には、従って、一般式7の本発明による高官能性のポリイソシアナートが得られる。
【化7】

【0071】
式7中で、R1、R2、及びUは上記で定義したようであり、かつR4は有機残基を表し、これは有利にはR2と同一でない。
【0072】
代替的に、ジ−又はポリイソシアナート(II)を、未だ分子間付加反応において重付加生成物(P)へと反応していない付加生成物(A)に添加してもよい。
【0073】
しかしながら、分子間付加反応を少なくとも小規模で実施することが大抵は技術的に有利であり、というのは場合により付加生成物(A)はまだなお少量のジ−又はポリイソシアナート(I)を汚染物質として含有している可能性があり、かつこの汚染物質は次いで、分子間重付加反応により重付加生成物(P)中に一緒に組み入れられる可能性があるからである。
【0074】
記載された方法により製造されるポリイソシアナートは、自体公知の方法で、例えば薄層蒸留(Deunnschichtdestillation)により温度100〜180℃で、場合により真空中で、場合により付加的に不活性なストリップガスの導通でもって、又は場合により存在する溶媒又は希釈剤の抽出により、及び/又は有利には過剰の、未反応の(環式)脂肪族ジイソシアナート(I)から取り除かれてよく、この結果、このポリイソシアナートは、モノマーのジイソシアナートの含量、例えば1.0質量%未満、有利には0.5質量%未満、特に有利には0.3質量%未満、とりわけ特に有利には0.2質量%未満、特に多くとも0.1質量%でもって得られる。
【0075】
付加生成物(A)及び/又は重付加生成物(P)とジ−又はポリイソシアナート(II)との反応の際に、通常はジ−又はポリイソシアナート(II)の少なくとも1つのイソシアナート基が、付加生成物(A)又は重付加生成物(P)のイソシアナートと反応性である基との反応に供される。有利な一実施態様において、少なくとも10%、特に少なくとも40%、特に有利には50〜100%の、ジ−又はポリイソシアナート(II)の遊離のイソシアナート基を、付加生成物(A)及び/又は重付加生成物(P)の均等物の相応する数と一緒に、本発明による高官能性のポリイソシアナートへと反応させる。
【0076】
更なる一実施態様において、まずジ−又はポリイソシアナート(II)のイソシアナート基を、付加生成物(A1)又は重付加生成物(P1)と反応させ、引き続きジ−又はポリイソシアナート(II)の少なくとも1つの更なるイソシアナート基を、付加生成物(A2)又は重付加生成物(P2)と反応させ、その際付加生成物(A1)及び(A2)又は重付加生成物(P1)及び(P2)は同一でない。係る実施態様のために、有利には成分(A)及び/又は(P)のイソシアナートと反応性である基に対して相違する反応性を有するイソシアナート基を有する、ジ−又はポリイソシアナート(II)が使用される。
【0077】
本発明による高官能性のポリイソシアナートの製造は、大抵は溶媒中で行われる。この際、一般的に、それぞれのエダクトに対して不活性である全ての溶媒が使用されてよい。有利には、有機溶媒、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、ブタノン−2、メチルイソブチルケトン、酢酸エステル、ブチルアセタート、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、メトキシエチルアセタート、メトキシプロピルアセタート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、又はソルベントナフサが使用される。
【0078】
更なる例は、ケトン、例えばアセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、ヘキサノン、イソブチルメチルケトン、ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、又はシクロヘプタノンである。
【0079】
更なる例は、エーテル、例えばジオキサン又はテトラヒドロフランであり、エステルのための例は、アルコキシアルキルカルボキシラート、例えばトリエチレングリコールジアセタート、ブチルアセタート、エチルアセタート、1−メトキシプロピル−2−アセタート、プロピレングリコールジアセタートであり、更に、2−ブタノン又は4−メチル−2−ペンタノンも使用できる。
【0080】
特に有利には、一回又は複数回アルキル化したベンゼン及びナフタレン、並びにこれらの混合物である。
【0081】
芳香族炭化水素混合物としては、主として芳香族のC7〜C14−炭化水素を含み、かつ沸点範囲110〜300℃を含んでよい芳香族炭化水素混合物が有利であり、特に有利にはトルエン、o−、m−又はp−キシレン、トリメチルベンゼン異性体、テトラメチルベンゼン異性体、エチルベンゼン、クメン、テトラヒドロナフタレン及びこれらを含有する混合物である。
【0082】
このための例は、ExxonMobil Chemical社の商標Solvesso(R)であり、特にSolvesso(R)100(CAS-Nr. 64742-95-6, 主にC9〜C10−芳香族、沸点範囲約154〜178℃)、150(沸点範囲約182〜207℃)、及び200(CAS-Nr. 64742-94-5)、並びにShell社の商標Shellsol(R)である。パラフィン、シクロパラフィン、及び芳香族からなる炭化水素混合物は、名称ホワイトスピリット(Kristalloel)(例えばKristalloel 30、沸点範囲約158〜198℃、又はKristalloel 60:CAS-Nr. 64742-82-1)、ホワイトスピリット(Testbenzin)(例えば同様にCAS-Nr. 64742-82-1)、又はソルベントナフサ(軽:融点範囲約155〜180℃、重:融点範囲225〜300℃)でも市販されている。係る炭化水素混合物の芳香族含量は、通常は90質量%よりも多く、有利には95質量%よりも多く、特に有利には98質量%よりも多く、特に有利には99質量%よりも多い。特に少ないナフタレン含量を有する炭化水素混合物を使用することが重要であってよい。
【0083】
トリメチルホスファート、トリ−n−ブチルホスファート及びトリエチルホスファート又は係る化合物の任意の混合物も考慮できる。
【0084】
本発明による高官能性ポリイソシアナートの製造は、多くの場合に2mbar〜20barの圧力範囲、有利には常圧で、反応器中または反応器カスケード中で行われ、これは、バッチ式運転で、半連続的に、又は連続的に運転される。
【0085】
反応条件を前記のように調節し、場合によっては適した溶媒を選択することによって、本発明による生成物は、製造後に更なる精製なしに後加工されることができる。
【0086】
本発明による高官能性のポリイソシアナートのイソシアナート基は、キャップされた形で存在してもよい。NCO基のためのキャップ剤として、例えばオキシム、フェノール、イミダゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピラゾリノン、ジケトピペラジン、カプロラクタム、マロン酸エステル、又はZ. W. Wicks, Prog. Org. Coat. 3 (1975), 73 - 99及びProg. Org. Coat. 9 (1981), 3 - 28による開示において並びに Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie, XIV/2巻, 61〜., Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1963において挙げられた化合物、又はtert−ブチル−ベンジルアミンが適し、例えばこれはDE-A1 102 26 925に記載されている。
【0087】
工程(v)では、前記した工程の1つからの付加生成物(A)及び/又は重付加生成物(P)を、適した出発分子のアルコキシル化により得られる単官能性のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールと反応させる。この際工程(v)は、所望の場合には、工程(iii)又は(iv)の前に実施されてもよい。
【0088】
一価のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールの製造のために適した出発分子は、チオール化合物又は一般式
【化8】

のモノヒドロキシ化合物又は一般式
【化9】

の第二級モノアミン
[前記式中、R5、R6及びR7は相互に独立して、そのつどC1〜C18−アルキル、場合により1つ又は複数の酸素−及び/又は硫黄原子及び/又は1つ又は複数の置換又は非置換のイミノ基により中断されているC2〜C18−アルキル、C6〜C12−アリール、C5〜C12−シクロアルキル又は五員又は六員環の、酸素−、窒素−及び/又は硫黄原子を有する複素環を表すか、又はR6及びR7は一緒になって不飽和の、飽和の、又は芳香族の、及び場合により1つ又は複数の酸素−及び/又は硫黄原子及び/又は1つ又は複数の置換又は非置換のイミノ基により中断されている環を形成し、その際この挙げた残基はそのつど官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、異種原子及び/又は複素環により置換されていてよい]
である。
【0089】
有利には、R5、R6及びR7は相互に独立してC1−〜C4−アルキルであり、即ちメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、又はtert−ブチル、特に有利にはR5、R6及びR7はメチルである。
【0090】
例示的に適した一価の出発分子は、飽和のモノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、異性体のペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、及びノナノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、異性体のメチルシクロヘキサノール、又はヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、又はテトラヒドロフルフリルアルコール;不飽和のアルコール、例えばアリルアルコール、1,1−ジメチル−アリルアルコール、又はオレインアルコール、芳香族のアルコール、例えばフェノール、異性体のクレゾール、又はメトキシフェノール、アラリファティック(araliphatisch)アルコール、例えばベンジルアルコール、アニスアルコール又はケイ皮アルコール;第二級モノアミン、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ビス−(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチル−及びN−エチルシクロヘキシルアミン、又はジシクロヘキシルアミン、複素環式第二級アミン、例えばモルホリン、ピロリジン、ピペリジン、又は1H−ピラゾール、並びにアミノアルコール、例えば2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール、2−ジブチルアミノエタノール、3−(ジメチルアミノ)−1−プロパノール、又は1−(ジメチルアミノ)−2−プロパノールであってよい。
【0091】
アルコキシル化反応に適したアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、ビニルオキシラン、及び/又はスチレンオキシドであり、これは任意の順序で又は混合して、このアルコキシル化反応の際に使用されてよい。
【0092】
有利なアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びこれらの混合物であり、特に有利にはエチレンオキシドである。
【0093】
有利なポリエーテルアルコールは、ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールベースのポリエーテルアルコールであり、この製造の際に、前記した種類の飽和の脂肪族の又は環式脂肪族アルコールが、出発材料として使用される。特にとりわけ有利には、アルキル基中に1〜4つの炭素原子を有する飽和の脂肪族のアルコールの使用下で製造されるポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールベースのものである。特に有利には、メタノールに基づいて出発したポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである。
【0094】
この一価のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、統計学的平均で、通常は少なくとも2つのアルキレンオキシド単位を、有利には5つのエチレンオキシド単位を一分子当たりに有し、特に有利には少なくとも7つ、とりわけ有利には少なくとも10つ、特に少なくとも15つである。
【0095】
前記の一価のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、統計学的平均で、通常は50つまでのアルキレンオキシド単位を、有利にはエチレンオキシド単位を一分子当たりに有し、有利には45つまでの、特に有利には40つまでの、とりわけ有利には30つまでの前記単位を有する。
【0096】
前記の一価のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールの分子量は、有利には4000までであり、特に有利には2000g/molを上回らず、とりわけ有利には500g/molを下回らず、特に1000±200g/molである。
【0097】
有利なポリエーテルアルコールは従って、式
【化10】

[前記式中、R5は、上記した意味を有し、
kは、5〜40、有利には7〜45、特に有利には10〜40の整数であり、かつ
各Xi(i=1〜k)は、相互に独立して以下のグループ:−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−、−CH(CH3)−CH2−O−、−CH2−C(CH32−O−、−C(CH32−CH2−O−、−CH2−CHVin−O−、−CHVin−CH2−O−、−CH2−CHPh−O−及び−CHPh−CH2−O−、有利には以下のグループ:−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−及び−CH(CH3)−CH2−O−から選択されていてよく、特に有利には−CH2−CH2−O−である(前記式中Phはフェニル、かつVinはビニルである)]
の化合物である。
【0098】
工程(v)の実施のために、出発成分(A)及び/又は(P)を温度40〜180℃、有利には50〜150℃で、NCO−/OH−当量比1:1〜100:1、有利には1:1〜50:1、特に有利には1.5:1〜20:1の維持下で相互に反応させる。
【0099】
この際、工程(v)のために使用される材料はNCO基を有しなくてはならず、有利にはDIN53185によるNCO数少なくとも1質量%、特に有利には少なくとも2質量%、とりわけ特に有利には少なくとも5質量%を有する。
【0100】
有利には、付加−(A)又は重付加生成物(P)中に存在するイソシアナー基のうち50%までをポリエーテルアルコールと反応させ、特に有利には40%まで、とりわけ有利には30%まで、特に25%まで、そして殊に20%までを反応させる。この存在するイソシアナート基を、少なくとも1mol%まで、有利には少なくとも2mol%まで、特に有利には少なくとも3mol%まで、とりわけ有利には少なくとも4mol%まで、特に少なくとも5mol%まで、殊に少なくとも7mol%まで反応させる。
【0101】
この反応時間は、通常は10分間〜5時間、有利には15分間〜4時間、特に有利には20〜180分間、特にとりわけ有利には30〜120分間である。
【0102】
この反応の促進のために、場合により適した触媒を使用してよい。
【0103】
この際、前記触媒は、通常のこの目的のために公知である触媒、例えば金属カルボキシラート、金属キレート又は第三級アミン(これはGB A 0 994 890に記載されている種類の)、US A 3 769 318に記載されている種類のアルキル化剤、又はEP A 0 000 194に例示的に記載されている強酸である。
【0104】
適した触媒は、特に亜鉛化合物であり、例えば亜鉛−(II)−ステアラート、亜鉛(II)−n−オクタノアート、亜鉛−(II)−2−エチル−l−ヘキサノアート、亜鉛−(II)−ナフテナート又は亜鉛−(II)−アセチルアセトナート、スズ化合物、例えばスズ−(II)−n−オクタノアート、スズ−(II)−2−エチル−l−ヘキサノアート、スズ−(II)−ラウラート、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジマレアート又はジオクチルスズジアセタート、アルミニウム−トリ(エチルアセトアセタート)、鉄−(III)−クロリド、カリウムオクトアート、マンガン−、コバルト−、又はニッケル化合物並びに強酸、例えばトリフルオロ酢酸、硫酸、塩化水素、臭化水素、リン酸、又は過塩素酸、又はこれらの触媒の任意の混合物である。
【0105】
更に、ウレタン化の触媒のために使用される上記触媒もまた使用されてよく、有利にはアルカリ金属水酸化物及び−カルボキシラート、特に有利にはナトリウム−及びカリウム水酸化物、及び−カルボキシラート、特にとりわけ有利にはナトリウム−及びカリウム水酸化物、及び−アセタート、特に水酸化カリウム及び酢酸カリウムである。
【0106】
使用される触媒とは無関係に、アロファナート基を形成してもよい。
【0107】
本発明によるポリウレタン組成物の製造のための反応はまた、セシウム塩の存在下で行われてもよく、例えばこれはDE 10161156に記載されている。有利なセシウム塩はこの際、以下のアニオンが使用される化合物である:F-、Cl-、ClO-、ClO3-、ClO4-、Br-、I-、IO3-、CN-、OCN-、NO2-、NO3-、HCO3-、CO32-、S2-、SH-、HSO3-、SO32-、HSO4-、SO42-、S222-、S242-、S252-、S262-、S272-、S282-、H2PO2-、H2PO4-、HPO42-、PO43-、P274-、(OCn2n+1-、(Cn2n-12-、(Cn2n-32-並びに(Cn+12n-242-(式中、nは1〜20の数である)。
【0108】
有利にはこの際、アニオンが式(Cn2n-12-並びに(Cn+12n-242-(式中、nが1〜20である)で示されるセシウムカルボキシラートが有利である。特に有利なセシウム塩は、アニオンとして、一般式(Cn2n-12-(式中、nが1〜20の数である)のモノカルボキシラートを有する。この際、特にホルマート、アセタート、プロピオナート、ヘキサノアート及び2−エチルヘキサノアートが言及される。
【0109】
前記セシウム塩は、溶媒不含のバッチ1kgにつきセシウム塩0.01〜10mmolの量で使用される。有利には、前記セシウム塩は溶媒不含のバッチ1kgにつきセシウム塩0.05〜2mmolの量で用いられる。
【0110】
前記セシウム塩は、固体の形で、しかしながら有利には溶解した形でバッチに添加されてよい。溶媒としては、極性の、非プロトン性溶媒又はプロトン性溶媒が適する。
【0111】
この方法のために適するが、にもかかわらず余り有利ではない触媒は、例えばEP-A-0 649 866 4頁, 7行〜5頁,15行に記載されている触媒でもある。
【0112】
本発明による方法のために有利な触媒は、上記した種類の亜鉛化合物である。特に有利には、亜鉛−(II)−n−オクタノアート、亜鉛−(II)−2−エチル−l−ヘキサノアート及び/又は亜鉛−(II)ステアラートの使用である。特にとりわけ有利には、ジブチルスズジラウラートの使用である。
【0113】
前記触媒は、使用される場合には、この反応パートナーの総質量に対して、0.001〜5質量%、有利には0.005〜1質量%の量で使用される。
【0114】
反応混合物への添加はこの際、任意の方法により行われてよい。従って、例えば、場合により併用すべき触媒を、ポリイソシアナート成分(A)、(P)及び/又はポリエーテルアルコールに、この本来の反応の開始前に混合することは可能である。同様に、前記触媒を前記反応混合物に、任意の時間点で、この反応の間に又は2工程の反応実施の意味合いにおいて、ウレタン化に引き続いて、即ち、イソシアナート及びヒドロキシ基の完全な反応に理論的に相当するNCO含量が達成されている場合に、添加することが可能である。
【0115】
この反応の触媒のための触媒が使用されるエダクト中に含有される場合には、触媒の添加を完全に又は部分的に断念してよい。これは、例えば、工程(i)における反応が適した触媒により触媒され、かつこれらが未だ工程(v)で使用される反応混合物中に含有されている場合である。更に、これは、この使用されるポリエーテルアルコールが、まだなお少量の、例えば水酸化カリウム又は酢酸カリウムを含有する場合に考慮することができ、これはポリエーテルアルコールの製造を触媒するか、又はこの後処理の際に使用されるか、又は発生しかつまだなお生成物中に見出される。
【0116】
成分(A)、(P)及びポリエーテルアルコールの混合の順序は、この際本発明により重要でなく、例えば前記成分を同程度に相互に混合するか、ポリエーテルアルコールを少なくとも部分的に装入し、かつ(A)及び/又は(P)をここに添加するか、又は(A)又は(P)を少なくとも部分的に装入し、ポリエーテルアルコールを添加し、この残りの成分を添加してよい。
【0117】
この反応の経過は、例えばDIN53185によるNCO含量の滴定による測定により追跡されてよい。この目的とするNCO含量の達成後に、この反応は中断される。これは、純粋に熱による反応の実施の際には、例えば反応混合物の室温への冷却により行われてよい。上記した種類の触媒の使用の際には、しかしながら一般的には適した失活化剤(Desaktivator)の添加によりこの反応は停止される。失活化剤として、例えば無機又は有機酸が適し、これは相応する酸ハロゲン化物及びアルキル化剤である。例示的に、リン酸、モノクロロ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、塩化ベンゾイル、ジメチルスルファート、有利にはジブチルホスファート並びにジ−2−エチルヘキシルホスファートが挙げられる。前記失活化剤は、触媒のMolに対して1〜200Mol−%、有利には20〜100Mol−%の量で使用されてよい。
【0118】
この生じるポリイソシアナート混合物は、通常は、有利には2.0〜23.0質量%、特に有利には4.0〜22.0質量%のNCO含量を有する。
【0119】
この生じるポリイソシアナート混合物は、通常は、23℃で50Pasまでの、有利には40Pasまでの、特に有利には30Pasまでの、とりわけ特に有利には20Pasまでの、特に15Pasまでの粘度を有する。
【0120】
この生じるポリイソシアナート混合物は、通常は、23℃で少なくとも0.2Pas、有利には少なくとも0.3Pas、特に有利には少なくとも1Pas、特にとりわけ有利には少なくとも2Pas、特に少なくとも5Pasの粘度を有する。
【0121】
この生じるポリイソシアナート混合物は固体であってもよい。この場合には、前記混合物は例えば、このガラス転移温度を上回る温度への加熱により液化させてよく、又は溶液として適した溶媒中で使用してよく、例えば上記した溶媒、有利にはブチルアセタート、ブタノン、イソブチルメチルケトン、メトキシプロピルアセタート、アセトン、又は酢酸エチルエステル中で使用してよい。
【0122】
この方法は、場合により、適した、イソシアナート基に対して不活性である溶媒中で実施してよい。適した溶媒は、例えば、自体公知である通常の塗料溶媒、例えばエチルアセタート、ブチルアセタート、エチレングリコールモノメチル−又は−エチルエーテルアセタート、1−メトキシプロピル−2−アセタート、3−メトキシ−n−ブチルアセタート、アセトン、2−ブタノン、イソブチルメチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ホワイトスピリット、高度に置換された芳香族(例えばこれは、名称Solventnaphtha(R)、Solvesso(R)、Shellsol(R)、Isopar(R)、Nappar(R)及びDiasol(R)で市販されている)、プロピレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチル−及び−ブチルエーテルアセタート、N−メチルピロリドン、及びN−メチルカプロラクタム、並びに有利には炭酸エステル又はラクトン(これは、EP-A1 697 424, 4頁, 4〜32行に挙げられている)、特に有利にはジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、1,2−エチレンカルボナート、及び1,2−プロピレンカルボナート、ラクトン、例えばβ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、及びε−メチルカプロラクトンであり、しかしながら係る溶媒の任意の混合物でもある。
【0123】
本発明によるイソシアナートの製造をまず溶媒なしで実施し、この得られた生成物を引き続き溶媒中に吸収させることも可能である。
【0124】
本発明によるポリイソシアナートを用いて製造される分散された粒子は、通常は、動的光散乱により、Malvern(R)Autosizer 2 Cを用いて測定して、一般的に<1000nm、有利には<500nm、特に有利には<100nmの平均粒径(z−平均値)を有する。通常の場合には、直径20〜80nmを有する。
【0125】
本発明によるポリイソシアナートを用いた分散体の製造のためには、大抵の場合には、例えば機械攪拌機、例えばディスク型−、角度付き羽根型−(Schraegblatt-)、アンカー型−、強力−、又はガス吹き込み(Begasungs)攪拌機を用いた単純な分散技術が、又はしばしば手動による又は振盪によるこの両方の成分の単純な混合も、極めて良好な特性を有する分散体を達成するために十分である。無論、より高い剪断エネルギーを有する混合技術、例えばジェット分散、強力−、ウルトラチュラックス−、又は超音波分散を用いた混合技術を使用してもよい。
【0126】
本発明による混合物は無論、塗料技術の通常の助剤及び添加剤と混合してよい。前記剤には、例えば消泡剤、増粘剤、レベリング助剤、顔料、乳化剤、分散助剤、及び溶媒も属する。この所望の処理粘度は、水の添加により調整される。
【0127】
本発明の更なる主題は、本発明による水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナートのポリウレタン分散体中での使用並びにこのポリウレタン分散体である。有利な一実施態様において、前記ポリウレタン分散体は、更に、更なる低粘度のポリイソシアナートと混合されてよく、有利には1200mPasまでの粘度、特に有利には700mPasまでの粘度、とりわけ特に有利には300mPasまでの粘度を有するポリイソシアナートと混合されてよい。係るポリイソシアナートとして、公知技術において公知である脂肪族の、環式脂肪族の、及び芳香族の全てのイソシアナートが考慮され、特にアロファネート−、イソシアヌラート−及び/又は非対称なイソシアナート基を有するイソシアナートが考慮される。
【0128】
本発明による水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナートのための被覆材料又はポリウレタン分散体中での反応パートナーとして、原則的に、水中で分散可能な全ての結合剤が適し、これはポリイソシアナートに対して反応性の基を有する。
【0129】
係る結合剤は、例えばポリアクリラートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリ尿素ポリオール、ポリエステルポリアクリラートポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリウレタンポリアクリラートポリオール、ポリウレタン変性したアルキド樹脂、脂肪酸変性したポリエステルポリウレタンポリオール、アルキルエーテルとの共重合体、例えば相違するガラス転移温度を有する前記物質グループからのグラフト重合体、並びに前記した結合剤の混合物である。有利には、ポリアクリラートポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオールである。また、付加的に、メラミンホルムアミド樹脂も添加してよい。本発明による高官能性のポリイソシアナートのイソシアナート基は、キャップした形で存在していてもよい。
【0130】
特に有利な一実施態様において、前記ポリオール成分は分散体として存在し、例えば一次分散体又は二次分散体(Sekundaerdispersion)として存在する。例えば、これは、分散されて存在するポリオール成分であり、例えばこれは、DE-A1 42 06 044, 3頁, 1行〜4頁, 30行に記載されていて、この記載は明文をもって参照される。
【0131】
このモル質量は、基本的に限定されない。
【0132】
係るポリアクリラートポリオール、ポリエステルオール及び/又はポリエーテルオールは、二次分散体中で、有利には分子量Mn少なくとも500、特に有利には少なくとも1000、特にとりわけ有利には少なくとも2000、特に5000g/molを有する。前記分子量Mnは、例えば200000まで、有利には100000まで、特に有利には80000まで、特にとりわけ有利には50000g/molまでである。アクリラート分散体では、Mnは1000000までであってもよい。
【0133】
オレフィン性不飽和モノマー、例えばポリアクリラートの重合体の一次分散体の場合には、前記分子量は、例えば1500000g/molまでであり、有利には1000000を上回らず、特に有利には500000g/molを有してよい。
【0134】
前記分散体は、例えばイオン性基又はイオン性基に移行可能である基でもって、分散可能にされる。有利には、カルボン酸−、スルホン酸、それぞれのカルボキシラート及び/又はスルホナート基である。
【0135】
本発明によるポリイソシアナートの分散体及び前記した結合剤の中和を行ってよく、有利にはアミン、有利にはジメチルエタノールアミン;トリエチルアミン;エチルジイソプロピルアミン、アミノメチルプロパノール又はアンモニアを用いた中和を行ってよい。アンモニアが一次分散体の際に特に有利である。
【0136】
本発明による混合物を含有するコーティング剤は、特に、工業−、特に航空機−、又は大型車両塗装、木材−、自動車−、特にOEM−、又は自動車修理塗装、又は装飾的塗装の領域における、プライマー、充填剤、着色したトップコート、及びクリアー塗料として使用されてよい。特に適するのは、とりわけ高い適用信頼性、屋外耐候性、外観、耐溶剤性及び/又は耐化学薬品性が必要とされる適用のためのコーティング剤である。
【0137】
本発明によるコーティング材料又はポリウレタン分散体のポットライフは、通常は少なくとも4時間、特に有利には少なくとも8時間である。
【0138】
このコーティングの乾燥及び硬化は、一般的には、通常の温度条件下で、即ちこのコーティングの加熱なしに行う。しかしながら、本発明による混合物は、適用後に高温で、例えば40〜250℃、有利には40〜150℃、特に有利には40〜100℃で乾燥及び硬化するコーティングの製造のために使用されてもよい。
【0139】
コーティングのための基材として任意の支持体が考慮され、有利には木材、紙、テキスタイル、皮革、フリース、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物性の建材、例えばセメント−整形石材、及び繊維セメントプレート、又は金属又はコーティングされた金属、特に有利にはプラスチック又は金属が考慮され、これらはまたシートとして存在してもよい。
【0140】
前記基材のコーティングは、通常の、当業者に公知の方法により行われ、その際塗料組成物中の少なくとも1つの本発明による分散可能な樹脂が、このコーティングすべき基材上に所望の濃度で設けられ、かつ前記分散体の揮発性成分は、場合により加熱下で、取り除かれる。この工程は、所望であれば、1回又は複数回繰り返して行ってよい。本発明によるポリイソシアナートを含有するコーティング剤は、様々な噴霧法、例えば、1又は2成分噴霧装置の使用下での空気圧−、無気−又は静電噴霧法によって、又は、吹付け、こて塗、ナイフ塗布、はけ塗、ロール塗、圧延、キャスト、成層、背面射出(Hinterspritzen)又は同時押出によって設けてもよい。前記コーティングの厚さ(Beschichtungsstaerk)は、通常は、約3〜約1000g/m2、有利には10〜200g/m2の範囲内である。
【0141】
次の実施例は本発明の特性を説明するが、それにより本発明は制限されない。
【0142】
実施例
高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナート:
ポリイソシアナート X1:
攪拌機、還流冷却機、ガス導入管、及び滴下漏斗を備えた反応容器中に、イソホロンジイソシアナート(IPDI)333gを窒素ガスシール下で装入し、かつ1分間の良好な撹拌下で無水アセトン433g中に溶解したトリメチロールプロパン(TMP)100gを添加した。ジブチルスズジラウラート0.1gの計量供給後、この反応混合物を撹拌下で60℃に加熱し、かつこのNCO含量の減少をDIN53185により滴定して追跡した。5.4質量%のNCO含量の達成の際に、無水アセトン167g中に溶解したBASONAT(R)HA 300 167gを添加し、かつこの混合物を更に30分間60℃で撹拌した。この終生成物は、5.8質量%のNCO含量を示した。
ポリイソシアナート X2:
攪拌機、還流冷却機、ガス導入管、及び滴下漏斗を備えた反応容器中に、イソホロンジイソシアナート(IPDI)500gを窒素ガスシール下で装入し、かつ1分間の良好な撹拌下で無水酢酸エチルエステル650g中に溶解したトリメチロールプロパン(TMP)150gを添加した。ジブチルスズジラウラート0.2gの計量供給後、この反応混合物を撹拌下で40℃に加熱し、かつこのNCO含量の減少をDIN53185により滴定して追跡した。7.2質量%のNCO含量の達成の際に、BASONAT(R)HA 300 1250gを添加し、この混合物を60℃に加熱し、かつ1時間この温度で撹拌した。引き続き、酢酸エチルエステルを60℃かつ8mbarで、回転蒸発器で除去した。この終生成物は、14.6質量%のNCO含量を示した。
ポリイソシアナート X3:
攪拌機、還流冷却機、ガス導入管、及び滴下漏斗を備えた反応容器中に、イソホロンジイソシアナート(IPDI)500gを窒素ガスシール下で装入し、かつ1分間の良好な撹拌下で無水酢酸エチルエステル650g中に溶解したトリメチロールプロパン(TMP)150gを添加した。ジブチルスズジラウラート0.2gの計量供給後、この反応混合物を撹拌下で40℃に加熱し、かつこのNCO含量の減少をDIN53185により滴定して追跡した。7.2質量%のNCO含量の達成の際に、BASONAT(R)HI 100 1075gを添加し、この混合物を60℃に加熱し、かつ1時間この温度で撹拌した。引き続き、酢酸エチルエステルを60℃かつ8mbarで、回転蒸発器で除去した。この終生成物は、16.2質量%のNCO含量を示した。
BASONAT(R)HA 300、BASF AG:アロファネート基の高含量を有するHDIポリイソシアナート、粘度約350mPas、固形含量=100%、NCO含量=19.5質量%。
【0143】
BASONAT(R)HI 100、BASF AG:イソシアヌラート基の高含量を有するHDIポリイソシアナート、粘度23℃で(DIN EN ISO 3219)=2500〜4000mPas、固形含量=100%、NCO含量(DIN EN ISO11909)=21.5〜22.5質量%。
【0144】
ポリエーテルオール
Y1=メタノールに対して開始し、かつ水酸化カリウム触媒下で製造された、単官能性の、平均OH数53mg KOH/g(DIN53240により測定)を有するポリエチレンオキシド、平均分子量約1000g/molに相当。まだなお存在する塩基性触媒残留物を、引き続き酢酸を用いて中和し、この生成物を脱塩した。
【0145】
Y2=メタノールに対して開始し、かつ水酸化カリウム触媒下で製造された、単官能性の、平均OH数29mg KOH/g(DIN53240により測定)を有するポリエチレンオキシド、平均分子量約2000g/molに相当。まだなお存在する塩基性触媒残留物を、引き続き酢酸を用いて中和し、この生成物を脱塩した。
【0146】
Y3=メタノールに対して開始し、かつ水酸化カリウム触媒下で製造された、単官能性の、OH数112mg KOH/g(DIN53240により測定)を有するポリエチレンオキシド、平均分子量約500g/molに相当。まだなお存在する塩基性触媒残留物を、引き続き酢酸を用いて中和した。この塩基性は、HClを用いた10.6mmol/kgまでの滴定により測定された。
このポリエーテル75gに、次いで約0.12gの水不含のp−トルエンスルホン酸を添加し、これによりこの塩基性を2mmol/kg(HCl滴定)に調整した。
【0147】
ポリイソシアナート
Z1=80%の2,4− 及び20%の2,6−トルイレンジイソシアナートからなる異性体混合物
Z2=Basonat(R) HI 100 、BASF AG (上記参照)
Z3=イソシアヌラート化したヘキサメチレンジイソシアナートベースの市販の乳化剤変性したポリイソシアナート、NCO含量〜17±0.5%(Basonat(R) HW 100、BASF AG)
Z4=イソシアヌラート化したヘキサメチレンジイソシアナートベースの市販の乳化剤変性したポリイソシアナート、Solvenon(R) PC中で80%:NCO含量〜13.5±0.5%(Basonat(R) HW 180、BASF AG)。
【0148】
Z5=イソシアヌラート化したヘキサメチレンジイソシアナートベースの市販の低粘度ポリイソシアナート、NCO含量〜23±1.0%(Tolonate(R) HDT LV2、Rhodia)。
【0149】
実施例1
超分枝したポリイソシアナート X1 250gに、ポリエーテルオールY2 40gを室温で添加した。撹拌下で、この反応溶液を3時間50〜60℃で反応させた少量の試料の取り出しにより、この試料が分散後に水中でまだなおわずかに沈殿することが示された;従って、これにアセトン150g中のポリエーテルオール Y2を更に10g添加した。更なる2時間後に、試料の取り出しにより、この生成物が微粒子状のエマルションを水中で形成し、これはもはや沈殿しないことが示された。
【0150】
アセトンの除去後、わずかに黄色の樹脂が得られ、これは粘度12000mPas(23℃)及びNCO値2.95%を示した。
【0151】
この樹脂から、プロピレンカルボナート中の67%溶液を、塗料組成物中で使用すべく製造した。
【0152】
実施例2
予備生成物−ポリイソシアナートZ1 53gに、ポリエーテルオール Y3 320gを添加し、1〜2時間75〜80℃で窒素下で撹拌し、次いで室温に冷却した。試料をもとに、IRにおいてNCOのバンドがもはや存在しないことが示された。
【0153】
ポリイソシアナート Z2 400g及び超分枝したポリイソシアナート X2 100gからなる混合物に、前記予備生成物88gを添加した。50〜70℃での四時間の撹拌後に、少量の試料を取り出し、これは水中で容易に分散した。
【0154】
ほぼ無色の樹脂が生成物として得られ、これは粘度7590mPas(23℃)及びNCO値16.5%を示した。
【0155】
実施例2A;実施例2と同様に、NCO含量16.1%及び粘度9710mPa*sを有する相応する生成物を製造した。
【0156】
実施例3
予備生成物−実施例2と同様
ポリイソシアナート Z2 400g及び超分枝したポリイソシアナート X3 100gからなる混合物に、実施例2からの予備生成物88gを添加した。50〜60℃での五時間の撹拌後に、少量の試料を取り出し、これは水中で容易に分散した。
【0157】
わずかに黄色の樹脂が生成物として得られ、これは粘度8890mPas(23℃)及びNCO値16.5%を示した。
【0158】
実施例3A;実施例3と同様に、NCO含量16.4%及び粘度11400mPa*sを有する相応する生成物を製造した。
【0159】
実施例4
ポリイソシアナート Z2 400g及び超分枝したポリイソシアナート X2 100gからなる混合物に、ポリエーテルオール Y1 56gを添加した。70〜80℃での四時間の撹拌後に、少量の試料を取り出し、これは水中で容易に分散した。
【0160】
この生成物は冷却後に、固形であり、このNCO値を17.4%と測定した。
【0161】
塗料での適用技術的試験:
本発明によるポリイソシアナート並びに比較ポリイソシアナート(硬化剤)を、例示的に、水性のヒドロキシ官能性成分と混合した。
【0162】
ヒドロキシ官能性成分1(ポリエステルポリオールベース):
第1工程:
OH官能性ポリエステル樹脂、Plusaqua(R)V 608 (約80%)(Omya AG) 328g
中和のためのアミン、AMP 90[2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、水中で90%、Angus-Chemie] 18g、
完全に脱塩した水 454g;以下を生じる;
ヒドロキシ官能性混合物(約33%) 800g。
【0163】
第2工程:
ヒドロキシ官能化した、ポリエステル変性したポリウレタン分散体、Daotan(R)(VTW) 1225(約40%)(Vianova Resins社) 240g
ヒドロキシ官能性混合物(約33%、工程1から) 290g
AMP 90(pH8.6) 3g
完全に脱塩した水 107g
消泡剤、Fluorad(R) FC 430(10%)(3M社) 16g
;以下を生じる;
ヒドロキシ官能性成分(約29.3%) 656g。
【0164】
このヒドロキシ官能性成分1を、以下の比に相応して、前記ポリイソシアナート成分と混合した。実施例4からのバッチをこのために、80:20の比で1,2−プロピレンカルボナートで希釈した。
【0165】
【表1】

【0166】
フィルム圧伸枠(Filmziehrahmen)を用いて、温度勾配炉処理した切片(Gradientenofenblech)をコーティングした(180μm、湿式)。このように得られたクリアー塗料を、30分間60〜120℃で対流炉中で硬化させ、次いで通常の条件、23℃/50%空気湿分下で冷却させた。前記塗料は、乾燥して〜40μmの層厚を生じた。
【0167】
【表2】

【0168】
本発明によるポリイソシアナートを用いて製造された塗料は、標準イソシアナート(対照例、5及び6)に対してより高い(より良好な)硬度を示した。対照例6に対して、更にまだなおより少ない脆性が見出された(格子切り込み試験(Gitterschnitt))。
【0169】
この硬度を、Koenigによる振子硬度として測定した(EN ISO 1522;振子衝撃試験)。高いほどこの硬度は良好である。
【0170】
この格子切り込み試験値は、DIN53151により測定した(0=極めて良好、5=極めて脆性)。
【0171】
振子硬度:
【表3】

【0172】
格子切り込み:
【表4】

【0173】
付加的に、全てのフィルムの弾性をエリクセン試験として測定した(DIN EN ISO 1520による押込み試験(Tiefungspruefung))。全ての塗料フィルムはこの際、9より大きい値を生じた。前記フィルムは従って、この試験の枠内で極めて弾性であると言うことができる。
【0174】
付加的に、いわゆるアセトン試験を耐溶媒性のための程度として測定した。全てのフィルムはこの際、少なくとも100回の往復工程を経た。
【0175】
ヒドロキシ官能性成分2(アクリラートエマルションベース):
OH官能性アクリラートエマルション、Macrynal(R)VSM 6299w/42WA(約42%)(Surface Specialties (UCB)) 858.1g
架橋剤/分散剤及び消泡剤、Surfynol(R)104(約50%、ブチルグリコール中で)(Air Products) 17.9g
増粘剤、Borchi(R)Gel LW 44 (1:1、水中で)(Borchers) 3.3g
15分間、1800rpmで更に撹拌
レベリング剤/湿潤剤、Additol(R)XW 390(Surface Specialties, (UCB) 3.3g
平滑剤、Borchi(R)Gol LAC80(約10%、ブトキシル中で)(Borchers) 14.7g
5分間、800rpmで更に撹拌
蒸留水 102.7g
24時間、ガス抜き
以上により以下が生じる;
ヒドロキシ官能性成分2(約36%) 1000g
ヒドロキシ官能性成分2との反応のためのポリイソシアナート成分
【表5】

一晩放置。
【0176】
前記のヒドロキシ官能性成分2を、以下の比に相応して、ポリイソシアナート成分と混合した。
【0177】
【表6】

【0178】
実施5〜9と同様に、40μmで層厚を得た。
【0179】
振子硬度試験において、実施例11の切片は対照よりもより良好:
【表7】

【0180】
【表8】

【0181】
格子切り込み試験において、実施例12は対照よりも良好である:
【表9】

【0182】
付加的に、全てのフィルムの弾性をエリクセン試験として測定した(押込み試験、DIN EN ISO 1520)。全ての塗料フィルムはこの際、9よりも大きい値を生じた(温度8.5での対照の際に)。前記フィルムは従って、この試験の枠内で、極めて弾性であると言うことができる。
【0183】
付加的に、いわゆるアセトン試験を耐溶媒性のための程度として測定した。全てのフィルムはこの際、少なくとも100回の往復工程を経た。
【0184】
付加的に、硫酸に対して耐酸性を、そして耐引掻性を測定した。
【0185】
硫酸を用いたエッチング試験:ピペットを用いて、25μlの滴を、30分間80〜130℃で硬化させた塗膜を有する温度勾配炉処理した切片に付与し、かつ前記切片を温度勾配炉中で30分間30〜75℃に加熱した。この切片を水で洗浄かつ乾燥した。記載したのは、24時間後の室温での、肉眼でもってまだなおエッチングを確認できる最も低い温度である。
【0186】
摩擦試験、Scotch-Brite試験における耐引掻性:ボールピーン型ハンマー(Schlosserhammer)500gをヘッドで両側の接着テープ及びこの上の繊維フリース(Scotchbrite, 7448 S型 ultrafine)でもって接着した。このハンマーを、柄で2本の指でもってつかみ、かつ傾けることなしに同程度の往復工程でもって、付加的な圧力の付与なしに、一本の線上にこの塗膜(80〜130℃で硬化)の上を前後に動かした。50回の往復工程、及び対流炉中で60℃での付加的な30分間の温度処理及び室温への冷却後に、この光沢を、摩擦方向に対して斜に測定した。このフリースを、50回の往復工程後に交換した。光沢測定:光沢測定装置、Mikro TRI-Gloss、60゜の入射角。
【0187】
【表10】

【0188】
80℃でこの耐酸性はおよそ同等に良好であり、その一方で本発明による生成物の耐引掻性は、対照よりもより良好であった。
【0189】
130℃で本発明による生成物の耐酸性はわずかにより良好であり、耐引掻性は対照と比較可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナートの製造方法であって、以下の反応工程:
(i) 1つ又は複数のイソシアナート基を含有し、かつイソシアナートと反応性である少なくとも1つの基を含有する付加生成物(A)を製造する工程であって、
(I) (a1)ジ−及び/又は
(I) (a2)ポリイソシアナート
と、
(b1) イソシアナートと反応性である少なくとも3つの基を有する少なくとも1つの化合物及び/又は
(b2) イソシアナートと反応性である2つの基を有する少なくとも1つの化合物
とを反応させ、
その際、前記成分(a)又は(b)の少なくとも1つは、その他の成分の官能基に対して相違する反応性を有する官能基を有し、かつ
この反応比を、平均して、付加生成物(A)がイソシアナートと反応性である少なくとも1つの基及び1つ又は複数のイソシアナート基を含有するように選択する、付加生成物(A)を製造する工程、
(ii) 場合により、(i)からの付加生成物(A)を重付加生成物(P)へと分子間付加反応する工程、前記生成物は、1つ又は複数のイソシアナート基を含有し、かつイソシアナートと反応性である少なくとも1つの基を含有してよい、
(iii) 場合により、(i)からの付加生成物(A)及び/又は(ii)からの重付加生成物(P)を、前記生成物がイソシアナートと反応性である少なくとも1つの基を含有する限りは、単官能性のイソシアナートと反応させる工程、及び/又は
(iv) 場合により、(i)からの付加生成物(A)及び/又は(ii)からの重付加生成物(P)を、前記生成物がイソシアナートと反応性である少なくとも1つの基を含有する限りは、少なくとも1つのジ−又はポリイソシアナート(I)(a1)又は(I)(a2)、及び/又はジ−又はポリイソシアナート(I)とは相違する少なくとも1つのジ−又はポリイソシアナート(II)と反応させる工程、及び
(v) (i)からの付加生成物(A)及び/又は(ii)からの重付加生成物(P)及び/又は(iii)及び/又は(iv)からの反応生成物と、単官能性のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールとを反応させる工程
を含む製造方法。
【請求項2】
工程(v)で使用されるポリイソシアナートが、遊離のイソシアナート基少なくとも3つを有することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(v)で使用されるポリイソシアナートが、100つ以下のイソシアナート基を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
工程(v)で使用されるポリイソシアナートが、イソシアナートに対して反応性である基を平均して0〜20つ有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
工程(v)で使用されるポリイソシアナートが、分子量Mw100000g/mol以下を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
工程(v)で使用されるポリイソシアナートが、多分散度1.1〜50を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ジ−又はポリイソシアナート(I)が、2,4′−及び4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、モノマーのジフェニルメタンジイソシアナート及び前記ジフェニルメタンジイソシアナートのより多核の同族体(ポリマーMDI)からなる混合物、テトラメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート−トリマー、ヘキサメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート−トリマー、イソホロンジイソシアナート−トリマー、2,4′−及び4,4′−メチレンビス(シクロヘキシル)−ジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ドデシルジイソシアナート、リシンアルキルエステル−ジイソシアナート(その際アルキルはC1〜C10である)、2,2,4−又は2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアナート、1,4−ジ−イソシアナトシクロヘキサン、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4−イソシアナト−メチル−1,8−オクタメチレンジイソシアナート、2,4−トルイレンジイソシアナート(2,4−TDI)、トリイソシアナトトルエン、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、2−ブチル−2−エチルペンタメチレンジイソシアナート、2−イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアナート、3(4)−イソシアナトメチル−1−メチルシクロヘキシルイソシアナート、1,4−ジイソシアナト−4−メチルペンタン、2,4′−メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアナート、4−メチル−シクロヘキサン−1,3−ジイソシアナート(H−TDI)、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート、ジフェニルジイソシアナート、トリジンジイソシアナート、及び2,6−トルイレン−ジイソシアナート、又は3(又は4)、8(又は9)−ビス(イソシアナトメチル)−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−異性体混合物からなるグループから選択されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
イソシアナートと反応性である少なくとも3つの基を有する前記化合物(b1)が、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノメタン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールプロパノールアミン、ビス(アミノエチル)アミン、ビス(アミノプロピル)アミン、トリス(アミノエチル)アミン、トリス(アミノプロピル)アミン、トリスアミノノナン、トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、ビス(トリメチロールプロパン)、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルチトール、グルコース、三−又はより高官能性の出発分子及びエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドベースの三−又はより高官能性のポリエーテルオール、又はアミノ基を末端基とするこれらの誘導体、及び三−又はより高官能性のポリエステルオールを含むグループから選択されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
イソシアナートに対して反応性である2つの基を有する前記化合物(b2)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−、1,3−、及び1,4−ブタンジオール、1,2−、1,3−、及び1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、プロパン−1,2−ジチオール、ブタン−1,2−ジチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、エチレンジアミン、トルイレンジアミン、イソホロンジアミン、システアミン、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、1,2−及び1,3−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(シクロヘキシルアミノ)エタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−(2′−アミノエトキシ)エタノール、及びこのアンモニアの高アルコキシル化生成物、4−ヒドロキシピペリジン、1−ヒドロキシエチルピペラジン、アミノプロパンチオール、及び二官能性のポリエーテル−又はポリエステルオール、並びに二官能性のポリエーテルアミンを含むグループから選択されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
単官能性のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、チオール化合物又は一般式
【化1】

のモノヒドロキシ化合物又は一般式
【化2】

の第二級モノアミン
[前記式中、R5、R6及びR7は相互に独立して、そのつどC1〜C18−アルキル、場合により1つ又は複数の酸素−及び/又は硫黄原子及び/又は1つ又は複数の置換又は非置換のイミノ基により中断されているC2〜C18−アルキル、C6〜C12−アリール、C5〜C12−シクロアルキル又は五員又は六員環の、酸素−、窒素−及び/又は硫黄原子を有する複素環を表すか、又はR6及びR7は一緒になって不飽和の、飽和の、又は芳香族の、及び場合により1つ又は複数の酸素−及び/又は硫黄原子及び/又は1つ又は複数の置換又は非置換のイミノ基により中断されている環を形成し、その際この挙げた残基はそのつど官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、異種原子及び/又は複素環により置換されていてよい]
と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、ビニルオキシラン及び/又はスチレンオキシドとのアルコキシル化により得られるものであることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
この一価のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールが、統計学的平均で、少なくとも2つのアルキレンオキシド単位を有することを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
この一価のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールが、統計学的平均で、50つまでのアルキレンオキシド単位を有することを特徴とする、請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の方法により得られる、水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナート。
【請求項14】
請求項13記載の水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナートの、ポリウレタン分散体中での使用。
【請求項15】
少なくとも1つの、請求項13記載の水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナート並びに場合により、1200mPasまでの粘度を有する更なるポリイソシアナートを含有する、ポリウレタン分散体。
【請求項16】
請求項13記載の、水乳化可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナートを含有する、コーティング剤。
【請求項17】
請求項13記載の、水分散可能な、高官能性の、高−又は超分枝したポリイソシアナートの、塗料、被覆物、コイルコーティング、接着剤、シーラント、注型エラストマー又は発泡材料及び重付加生成物の製造のための構成要素としての、並びに皮革又はテキスタイルの含浸のための使用。
【請求項18】
請求項14記載のコーティング剤の、工業−、特に航空機−、又は大型車両塗装、木材−、自動車−、特にOEM−、又は自動車修理塗装、又は装飾的塗装の領域における、プライマー、充填剤、着色したトップコート、及びクリアー塗料としての使用。

【公表番号】特表2008−513591(P2008−513591A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532811(P2007−532811)
【出願日】平成17年9月17日(2005.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010056
【国際公開番号】WO2006/032424
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】