説明

水切り

【課題】仮留めできるとともに施工が行いやすい水切りを提供する。
【解決手段】建築物の構造躯体に固定する背板部と、該背板部の下方において前方斜め下方へ屈曲した水切り板部と、該水切り板部の前端から下方へ屈曲した前板部とを有し、該背板部の表面と背面には接着層を有し、該接着層の表面には剥離紙を有する水切りである。そして、該背板部の上端部は、接着層及び/又は剥離紙により覆われている。剥離紙は切り込み線を有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物に配設されるとともに、外壁材の表面を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する水切りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水切りは、金属板を切断、折り曲げて製造された、水平方向に長い形状であり、建築物の外壁の表面を流下した雨水が建築物内部に侵入するのを防ぐために、建築物の土台部や、上下に配置された外壁板の間などに配設されている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、釘などにより固定される取付壁部と、該取付壁部の下端から前方斜め下方へ屈曲した傾斜突出壁部と、該傾斜突出壁部の前端から下方へ屈曲した突出端壁部とからなる水切りが開示されている。そして、該取付壁部を釘により建築物の土台に固定して、該水切りを建築物の土台部に固定すること、及びそれにより外壁の外面を伝って流下してきた雨水を外方に導いて滴下させることが記載されている。
【0004】
また、特許文献1には、薄板状の塩ビ鋼板を折り曲げて断面視Z状に形成した、取付部と、該取付部の下端に形成された水切り部とを備えた水切りが開示されている。なお、水切り部は、取付部の下端から下側の外装材の表面上端部に向かって、該外装材の裏面側から表面側に傾斜するようにして配置され、該外装材の上端面を覆う延出部と、該延出部の先端部から該外装材の表面に沿って下方に延出し、該外装材の表面上端部を覆う別の延出部と、該別の延出部の先端部から該外装材の裏面側に向かって上方に延出する突起部とを備えることも開示されている。そして、該取付部を、上側の外装材と、下側の外装材との間から挿入し、該取付部にビスなどの止着材を打ち込んで固定し、該水切りにより、上側の外装材と下側の外装材の裏面側に雨水などの水が侵入するのを防止することが記載されている。
【0005】
更に、特許文献2には、一枚の長尺な面材からなり、外壁本体に取り付けられる取付部と、該取付部から曲折して設けられた傾斜面と、該傾斜面から更に曲折する露出面とで構成された水切りが開示されている。そして、該水切りを、外壁と下屋とが接続される下屋接続部に配することにより、該下屋接続部を防水することが開示されている。
【0006】
このように、水切りは、建築物の土台部や、上下に配置された外壁板の間、外壁と下屋とが接続される下屋接続部などに施工され、それにより外壁材の表面を伝って流下してきた雨水を前方へ排出する。
【0007】
そして、いずれの施工構造にも共通することとして、水切りは構造躯体に固定される。また、外壁板と該構造躯体の間には透湿防水シートが配されており、それにより該構造躯体の防水が行われている。該透湿防水シートは、該構造躯体に固定された水切りの表面の一部をも覆うよう設けられており、通常、該透湿防水シートの下端は、粘着テープにより水切りに貼り付けられている。風で該透湿防水シートがばたつくことを防ぐためや、吹き返しなどによる下側からの雨水の浸入を防ぐために、該粘着テープは、水切りの長手方向全体に渡って、該透湿防水シートの下端を塞ぐように貼り付けられる。
【0008】
そのため、水切りに粘着シートを貼る作業は手間がかかる。
【0009】
そこで、特許文献3には、水切りの固定基体となる取付部の前面に、両面粘着テープなどの粘着テープが予め貼付けられている水切りが開示されている。
【0010】
特許文献3の水切りによれば、取付部の前面に粘着テープが予め貼付けられているので、作業は軽減する。
【0011】
しかし、水切りは前述した通り、水平方向に長い形状であり、通常約3mもある。そして、該水切りを構造躯体に固定するには、通常釘で固定するのだが、該水切りを水平にした状態で釘打ちする必要があり、一人では作業しにくいとともに手間がかかる。また、固定した後に、該水切りが若干傾いていることが判明し、該水切りの固定位置を直す場合、釘を抜いて、再度位置を調整し、再度釘を打たなければならないので、手間がかかる。
また、水切りは金属板を切断、折り曲げて製造されるので、運搬、施工する際に、切断部で人が怪我をする恐れや、他の商品が損傷を受ける恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−96931号公報
【特許文献2】特開2002−121871号公報
【特許文献3】特開2004−300873号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】登録実用新案第3031123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、仮留めできるとともに施工が行いやすい水切りを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、建築物の構造躯体に固定する背板部と、該背板部の下方において前方斜め下方へ屈曲した水切り板部と、該水切り板部の前端から下方へ屈曲した前板部とを有する水切りであって、該背板部の表面と背面には接着層を有し、該接着層の表面には剥離紙を有する水切りを提供する。該接着層は、表面に該剥離紙を有するので、保管、運搬の際に、該接着層の接着性能が損なわれないと共に、水切り同士が接着することを防ぐことができる。また、該背板部の背面に該接着層を有するので、施工の際に、該剥離紙を剥がして用いると、構造躯体への該水切りの仮留めが可能となる。更に、該背板部の表面に該接着層を有するので、施工の際に、該剥離紙を剥がして用いると、透湿防水シートを該水切りに固定することが可能となる。なお、該接着層は、該背板部の上端部にも形成されている場合と該背板部の表面と背面にのみ形成されている場合の2通りがある。該背板部の上端部にも接着層が形成されている形態としては、該背板部の表面と、背面と、上端部の接着層が繋がっている形態と、該背板部の表面及び背面に上端部の接着層と繋がっていない接着層を有する形態と、該背板部の表面又は背面に上端部の接着層と繋がっていない接着層を有する形態がある。該背板部の表面と背面にのみ接着層を有する場合には、表面と背面の剥離紙は繋がっており、該背板部の上端部を覆っている。そのため、該背板部の上端部は、剥離紙により必ず覆われているので、該上端部により他の商品が損傷を受けることを防げると共に、運搬、施工する際に、該上端部で人が怪我をすることも防ぐことができる。
更に、該剥離紙は、該背板部の長さ方向に延びた切り込み線を有することが好ましい。該切り込み線は、該背板部の上端部を覆う部分に設けられている、又は、該剥離紙の該背板部の表面を覆う部分に設けられている、又は、該剥離紙の該背板部の背面を覆う部分に設けられているのいずれかであることが更に好ましい。これにより、該背板部の背面の接着層を覆う剥離紙のみを剥がすことができるので、該背板部の表面の接着層は剥離紙に覆われた状態で、該水切りを仮留めすることが可能となり、施工が行いやすい。
なお、水切りは、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ガルタイト鋼板(登録商標)、アルミ鋼板、ステンレス鋼板、合金めっき鋼板、トタン、銅板などの金属板や、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂板を折り曲げ加工、又は押出加工することにより製造されている。また、接着層は、アクリル酸エステル共重合体からなるアクリル系粘着剤、天然ゴムからなるゴム系粘着剤、ウレタン樹脂からなるウレタン系粘着剤などにより形成されているが、一般的な接着剤により形成しても良い。また、前述した接着層を有する両面粘着テープにより形成しても良い。そして、剥離紙は、半晒、上質紙、グラシン紙などからなる紙の接着層との剥離側に、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、クレーコートなどにより目止め層が形成され、更にその上にシリコーン樹脂などにより剥離層を形成しているシートである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、仮留めできるとともに施工が行いやすい水切りを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明にかかる水切りの一実施例の右側面図である。
【図2】図2は、図1に示す水切りを用いて形成された建築物の土台部の施工状態を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明にかかる水切りの他の実施例の右側面図である。
【図4】図4は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
【図5】図5は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
【図6】図6は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
【図7】図7は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
【図8】図8は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
【図9】図9は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
【図10】図10は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
【図11】図11は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
【図12】図12は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明にかかる水切りの一実施例の右側面図である。
図1に示す水切りA1は、1枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折曲加工して製造されており、建築物の構造躯体に固定する背板部1aと、背板部1aの下方において前方斜め下方へ屈曲した水切り板部1bと、水切り板部1bの前端から下方へ屈曲した前板部1cが連結して形成されている。詳しくは、背板部1aは、平坦な板部である。背板部1aの下方端部からは水切り板部1bが、前方斜め下方へ延びている。水切り板部1bの前端からは前板部1cが、下方に延びている。そして、背板部1aの表面と、上端部と、背面には、アクリル系粘着剤からなる接着層1dが、背板部1aの表面から背面にかけて、長さ方向に延びており、接着層1dの表面は一枚の剥離紙1eにより覆われている。なお、剥離紙1eは、接着層1dとの接触面に、シリコーン樹脂からなる剥離層を有し、容易に剥離することができるとともに、剥離紙1eを剥がした後の接着層1dは、接着性能を有する。また、剥離紙1eも背板部1aの表面から背面にかけて、長さ方向に延びている。そのため、背板部1aの上端部は、接着層1dと剥離紙1eにより覆われており、運搬する際に、該上端部により他の商品が損傷を受けることや該上端部で人が怪我をすることも防ぐことができる。
【0020】
図2は、図1に示す水切りを用いて形成された建築物の土台部の施工状態を示す断面図である。
図2では、図1に示す水切りA1は、背板部1aの裏面を建築物の構造躯体に当接するとともに、水切り板部1bと前板部1cが外壁板Dより下方となり、更に前板部1cが建築物の構造躯体より前方になる位置に、釘Bにより固定してある。この施工構造では、水切りA1の背板部1aに釘Bを打ち込むことにより、水切りA1を建築物の構造躯体に固定するが、水切りA1の背板部1aの背面には接着層1dが設けられているので、剥離紙1eを剥がしてから建築物の構造躯体に当接させることにより、釘Bを打ち込む前であっても水切りA1を仮留めすることができる。そのため、一人でも作業を行いやすく、作業性が良い。また、仮留めして固定位置を確認してから釘Bを打ち込むことができる。
また、この施工構造では、水切りA1を建築物の構造躯体に固定し、それから、水切りA1の背板部1aの表面に透湿防水シートBを固定するのだが、水切りA1は、背板部1aの表面に接着層1dを有するので、接着層1dにより透湿防水シートBを確実に固定することができる。
更に、背板部1aの上端部は、接着層1dにより覆われているので、施工する際に、該上端部で人が怪我をすることも防ぐことができる。
よって、図1に示す水切りA1によれば、仮留めできるとともに施工が行いやすく、作業性が良い。
【0021】
図3は、本発明にかかる水切りの他の実施例の右側面図である。
図3に示す水切りA2も、図1に示す水切りA1と同じように、1枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折曲加工して製造されており、背板部2aと、水切り板部2bと、前板部2cが連結して形成されており、背板部2aの表面から背面にかけて、アクリル系粘着剤からなる接着層2dが設けられており、接着層2dの表面は一枚の剥離紙2eにより覆われている。しかし、水切りA2は、水切りA1とは剥離紙に切り込み線を有することが異なる。水切りA2でも、剥離紙2eは背板部2aの表面から背面にかけて、長さ方向に延びているが、背板部2aの上端部を覆う部分には、切り込み線2fが背板部2aの長さ方向に延びており、切り込み線2fを区切りとして、背板部2aの表面にある剥離紙と、背板部2aの背面にある剥離紙を、別々に剥がすことができる。
そのため、図3に示す水切りA2では、背板部2aの背面を覆っている剥離紙2eのみを剥がし、背板部2aの表面の接着層1dは剥離紙2eに覆われたままの状態で、水切りA2を構造躯体に仮留め、及び、固定することができるので、水切りA2を仮留め、及び、固定する作業で背板部2aの表面の接着層2dが汚れて接着性が劣化することを確実に防ぐことができる。なお、水切りA2を建築物の土台部に施工した後は、背板部2aの表面の剥離紙2eを剥がし、背板部2aの表面の接着層2dに透湿防水シートを固定するので、水切りA2を建築物の土台部に施工した状態は、図1に示す水切りA1と同じであり、図2の通りとなる。
よって、図3に示す水切りA2によれば、仮留めできるとともに施工が行いやすく、作業性が良い。
【0022】
図4は、本発明にかかる水切りの他の実施例の右側面図である。
図4に示す水切りA3も、図3に示す水切りA2と同じように、1枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折曲加工して製造されており、背板部3aと、水切り板部3bと、前板部3cが連結して形成されており、背板部3aの表面から背面にかけて、アクリル系粘着剤からなる接着層3dが設けられており、接着層3dの表面は一枚の剥離紙3eにより覆われている。しかし、水切りA3は、水切りA2とは接着層の形状と剥離紙の切り込み線の位置が異なる。水切りA3では、背板部3aの表面の接着層と背板部3aの背面の接着層の長さは異なる。また、剥離紙3eの切り込み線3fは、背板部3aの表面を覆う部分に、背板部3aの長さ方向に延びている。
しかし、図4に示す水切りA3も、図3に示す水切りA2と同じように施工することができ、水切りA2と同じ効果を得ることができる。
【0023】
図5は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
図5に示す水切りA4も、図3に示す水切りA2と同じように、1枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折曲加工して製造されており、背板部4aと、水切り板部4bと、前板部4cが連結して形成されており、背板部4aの表面から背面にかけて、アクリル系粘着剤からなる接着層4dが設けられており、接着層4dの表面は一枚の剥離紙4eにより覆われている。しかし、水切りA4は、水切りA2とは剥離紙の切り込み線の位置が異なる。水切りA4では、剥離紙4eの切り込み線4fは、背板部4aの背面を覆う部分に、背板部4aの長さ方向に延びている。
しかし、図5に示す水切りA4も、図3に示す水切りA2と同じように施工することができ、水切りA2と同じ効果を得ることができる。
【0024】
図6は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
図6に示す水切りA5も、図1に示す水切りA1と同じように、1枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折曲加工して製造されており、背板部5aと、水切り板部5bと、前板部5cが連結して形成されており、背板部5aの表面と、上端部と、背面には、アクリル系粘着剤からなる接着層が設けられており、接着層の表面は剥離紙により覆われている。しかし、水切りA5は、水切りA1とは接着層と剥離紙の形状が異なる。水切りA5では、接着層は、背板部5aの表面にあり、背板部5aの長さ方向に延びた接着層5d1と、背板部5aの表面から背面にかけて設けられた、背板部5aの長さ方向に延びた接着層5d2とからなり、接着層5d1と接着層5d2は繋がっていない。そのため、、剥離紙も、接着層5d1の表面を覆う剥離紙5e1と、接着層5d2の表面を覆う剥離紙5e2とからなり、剥離紙5e1と剥離紙5e2は繋がっていない。そのため、剥離紙5e1と剥離紙5e2は、別々に剥がすことができる。
しかし、図6に示す水切りA5も、図1に示す水切りA1と同じように施工することができ、水切りA1と同じ効果を得ることができる。また、剥離紙5e1と剥離紙5e2を別々に剥がすことができるので、図3に示す水切りA2と同じ効果も得ることができる。
【0025】
図7は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
図7に示す水切りA6も、図6に示す水切りA5と同じように、1枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折曲加工して製造されており、背板部6aと、水切り板部6bと、前板部6cが連結して形成されており、背板部6aの表面には、背板部6aの長さ方向に延びた、アクリル系粘着剤からなる接着層6d1が設けられており、背板部6aの表面から背面にかけては、背板部6aの長さ方向に延びた、アクリル系粘着剤からなる接着層6d2が設けられており、接着層6d1と接着層6d2の表面は剥離紙により覆われている。しかし、水切りA6は、水切りA5とは剥離紙の形状と、剥離紙に切り込み線を有することが異なる。水切りA6では、一枚の剥離紙6eにより、接着層6d1と接着層6d2が覆われており、剥離紙6eの背板部6aの表面を覆う部分に、切り込み線6fが、背板部6aの長さ方向に延びている。
しかし、図7に示す水切りA6も、図6に示す水切りA5と同じように施工することができ、水切りA5と同じ効果を得ることができる。
【0026】
図8は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
図8に示す水切りA7も、図1に示す水切りA1と同じように、1枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折曲加工して製造されており、背板部7aと、水切り板部7bと、前板部7cが連結して形成されており、背板部7aの表面と、上端部と、背面には、アクリル系粘着剤からなる接着層が設けられており、接着層の表面は剥離紙により覆われている。しかし、水切りA7は、水切りA1とは接着層と剥離紙の形状が異なる。水切りA7では、接着層は、背板部7aの表面にあり、背板部7aの長さ方向に延びた接着層7d1と、背板部7aの表面から背面にかけて設けられた、背板部7aの長さ方向に延びた接着層7d2と、背板部7aの背面にあり、背板部7aの長さ方向に延びた接着層7d3とからなり、接着層7d1と、接着層7d2と、接着層7d3は繋がっていない。そのため、剥離紙も、接着層7d1の表面を覆う剥離紙7e1と、接着層7d2の表面を覆う剥離紙7e2と、接着層7d3の表面を覆う剥離紙7e3とからなり、剥離紙7e1と、剥離紙7e2と、剥離紙7e3は繋がっておらず、剥離紙7e1と、剥離紙7e2と、剥離紙7e3は、別々に剥がすことができる。
しかし、図8に示す水切りA7も、図1に示す水切りA1と同じように施工することができ、水切りA1と同じ効果を得ることができる。また、剥離紙を別々に剥がすことができるので、図3に示す水切りA2と同じ効果も得ることができる。
【0027】
図9は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
図9に示す水切りA8も、図8に示す水切りA7と同じように、1枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折曲加工して製造されており、背板部8aと、水切り板部8bと、前板部8cが連結して形成されており、背板部8aの表面には、背板部8aの長さ方向に延びた、アクリル系粘着剤からなる接着層8d1が設けられており、背板部8aの表面から背面にかけては、背板部8aの長さ方向に延びた、アクリル系粘着剤からなる接着層8d2が設けられており、背板部8aの背面には、背板部8aの長さ方向に延びた、アクリル系粘着剤からなる接着層8d3が設けられており、接着層8d1と、接着層8d2と、接着層8d3は、繋がっていない。そして、接着層8d1と、接着層8d2と、接着層8d3の表面は剥離紙により覆われている。しかし、水切りA8は、水切りA7とは剥離紙の形状と、剥離紙に切り込み線を有することが異なる。水切りA8では、一枚の剥離紙8eにより、接着層8d1、接着層8d2、接着層8d3が覆われており、剥離紙8eの背板部8aの上端部を覆う部分に、切り込み線8fが、背板部8aの長さ方向に延びている。
しかし、図9に示す水切りA8も、図8に示す水切りA7と同じように施工することができ、水切りA7と同じ効果を得ることができる。
【0028】
図10は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
図10に示す水切りA9も、図3に示す水切りA2と同じように、1枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折曲加工して製造されており、背板部9aと、水切り板部9bと、前板部9cが連結して形成されており、背板部9aの表面と、上端部と、背面には、アクリル系粘着剤からなる接着層が設けられており、接着層の表面は剥離紙により覆われている。しかし、水切りA9は、水切りA2とは接着層と剥離紙の切り込み線の位置が異なる。水切りA9では、背板部9aの長さ方向に延びた接着層9dが、背板部9aの表面から背面にかけて複数設けられており、各接着層は繋がっていない。しかし、全ての接着層9dの表面は、一枚の剥離紙9eにより覆われており、剥離紙9eの背板部9aの表面を覆う部分に、切り込み線9fが、背板部9aの長さ方向に延びている。
しかし、図10に示す水切りA9も、図3に示す水切りA2と同じように施工することができ、水切りA2と同じ効果を得ることができる。
【0029】
図11は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
図11に示す水切りA10も、図3に示す水切りA2と同じように、1枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折曲加工して製造されており、背板部10aと、水切り板部10bと、前板部10cが連結して形成されており、背板部10aの表面と背面には、アクリル系粘着剤からなる接着層が設けられており、接着層の表面は剥離紙により覆われている。しかし、水切りA10は、水切りA2とは接着層と剥離紙の切り込み線の位置が異なる。水切りA10では、背板部10aの表面には、背板部10aの長さ方向に延びた接着層10d1が設けられており、背板部10aの背面には、背板部10aの長さ方向に延びた接着層10d2が設けられており、接着層10d1と接着層10d2は繋がっていない。しかし、接着層10d1と接着層10d2の表面は、一枚の剥離紙10eにより覆われており、剥離紙10eの背板部10aの表面を覆う部分に、切り込み線10fが、背板部10aの長さ方向に延びている。
しかし、図11に示す水切りA10も、図3に示す水切りA2と同じように施工することができ、水切りA2と同じ効果を得ることができる。
【0030】
図12は、本発明にかかる水切りの更に他の実施例の右側面図である。
図12に示す水切りA11も、図1に示す水切りA1と同じように、1枚のガルバリウム鋼板(登録商標)を折曲加工して製造されており、背板部11aと、水切り板部11bと、前板部11cが連結して形成されており、背板部11aの表面と背面には、アクリル系粘着剤からなる接着層が設けられており、接着層の表面は剥離紙により覆われている。しかし、水切りA11は、水切りA1とは接着層と剥離紙の形状が異なる。水切りA11では、背板部11aの表面には、背板部11aの長さ方向に延びた接着層11d1が設けられており、背板部11aの背面には、背板部11aの長さ方向に延びた接着層11d2が設けられている。そして、接着層11d1と接着層11d2は、幅方向では背板部11aの上端よりも上にまで延びており、背板部11aの上端よりも上方においては、接着層11d1と接着層11d2の互いの背面は接着している。そして、接着層11d1の表面は、剥離紙11e1により覆われており、接着層11d2の表面は、剥離紙11e2により覆われているが、剥離紙11e1と剥離紙11e2は繋がっていない。
しかし、図12に示す水切りA11も、図1に示す水切りA1と同じように施工することができ、水切りA1と同じ効果を得ることができる。また、剥離紙11e1と剥離紙11e2を別々に剥がすことができるので、図3に示す水切りA2と同じ効果も得ることができる。
【0031】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載の発明の範囲において種々の変形態を取り得る。例えば、接着層がゴム系粘着剤でも良いし、接着層の表面が突起部を有しても良いし、接着層を突起状にし、配列しても良い。また、背板部の表面の接着層を、該背板部の中心よりも上方又は下方に設け、背板部の中心に釘を打ち込んでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上説明したように、本発明によれば、仮留めできるとともに施工が行いやすい水切りを提供することができる。
【符号の説明】
【0033】
A1〜A11 水切り
B 釘
C 透湿防水シート
D 外壁板
1a〜11a 背板部
1b〜11b 水切り板部
1c〜11c 前板部
1d〜11d2 接着層
1e〜11e2 剥離紙
2f〜10f 切り込み線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の構造躯体に固定する背板部と、該背板部の下方において前方斜め下方へ屈曲した水切り板部と、該水切り板部の前端から下方へ屈曲した前板部とを有する水切りであって、
背板部の表面と、背面と、上端部には、接着層を有し、
背板部の表面と、背面と、上端部の接着層は繋がっており、
接着層の表面には、剥離紙を有する
ことを特徴とする水切り。
【請求項2】
建築物の構造躯体に固定する背板部と、該背板部の下方において前方斜め下方へ屈曲した水切り板部と、該水切り板部の前端から下方へ屈曲した前板部とを有する水切りであって、
背板部の表面と、背面と、上端部には、接着層を有し、
背板部の表面及び背面には、該背板部の上端部の接着層と繋がっていない接着層を有し、
接着層の表面には、剥離紙を有する
ことを特徴とする水切り。
【請求項3】
建築物の構造躯体に固定する背板部と、該背板部の下方において前方斜め下方へ屈曲した水切り板部と、該水切り板部の前端から下方へ屈曲した前板部とを有する水切りであって、
背板部の表面と、背面と、上端部には、接着層を有し、
背板部の表面又は背面には、該背板部の上端部の接着層と繋がっていない接着層を有し、
接着層の表面には、剥離紙を有する
ことを特徴とする水切り。
【請求項4】
建築物の構造躯体に固定する背板部と、該背板部の下方において前方斜め下方へ屈曲した水切り板部と、該水切り板部の前端から下方へ屈曲した前板部とを有する水切りであって、
背板部の表面と背面にのみ、接着層を有し、
接着層の表面には、剥離紙を有し、
背板部の表面と背面の剥離紙は、繋がっており、該背板部の上端部を覆っている
ことを特徴とする水切り。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の水切りであって、
前記剥離紙の前記背板部の上端部に位置する部分には、切り込み線が該背板部の長さ方向に延びている
ことを特徴とする水切り。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の水切りであって、
前記剥離紙の前記背板部の表面に位置する部分には、切り込み線が該背板部の長さ方向に延びている
ことを特徴とする水切り。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の水切りであって、
前記剥離紙の前記背板部の背面に位置する部分には、切り込み線が該背板部の長さ方向に延びている
ことを特徴とする水切り。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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