説明

水力機械

【課題】流体から受ける力による破損や脱落が起きにくく、かつ取り付けの作業性に優れた整流部材を有する水力機械を提供することを課題とする
【解決手段】整流部材9は、断面形状が弧状の部材であり、弧状の凸部がケーシング3の流路3aの側に向くように、ステーリング4の外周縁に固定する。さらに、ステーリング4の外周縁には、支持部材11が固定され、整流部材9は支持部材11にも固定する。このように、整流部材9は、ケーシング3とは非接続にステーリング4に保持され、整流部材9が受ける力をケーシング3に伝達しない構造とすることで、ケーシング3の破損や整流部材9の脱落を抑制するとともに、溶接という比較的簡単な工程だけで設置可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水力発電に用いられる水車、ポンプ水車などの水力機械は、長年の運転による経年劣化、土砂磨耗、腐食による損傷等に対する補修、及び、水力機械の特性改善のため、構成部品を更新することが一般的である。しかしながら、例えば水力発電の場合、水力機械の主要部品の多くはコンクリート等による埋設部品となっているため、更新作業において作業領域(空間)が制限されることが多く、更新作業時間が多くかかることがある。そのため、保守費用の低減などの目的から補修や更新の範囲が限定される場合も多いことから、更新作業の回数を可能な範囲で減らすことが望まれる。
【0003】
水力機械である水車は、水力発電に用いられる場合、高所にあるダムや溜池などの貯水設備から流れ落ちる水を、流路が形成されているケーシングに圧力水として流し込み、ステーリングを介して水車の回転体に備わるランナに導水し、回転体を回転する構造を有する。
ケーシングは、回転体の周囲を取り囲むように例えば円形状に流路を形成し、ステーリングは、上下の略円盤状の板材の間に形成される空間によって、ケーシングを流れる水を、回転体のランナに導く構造である。そして、ステーリングを形成する上下の板材は、複数のステーベーンによって支持され、構造強度を保っている。そして、ステーリングを形成する上下の板材はケーシングに溶接などの手段で固定され、構造強度を保つためにその先端部はケーシングの流路に突き出た状態で固定される。
【0004】
水力発電において、貯水設備から流れ落ちる水の落差が小さい設備に使用される小型の水車においては、上下の板材を、ケーシングからランナに向けて傾斜して配置することで整流作用を大きくできる、ベルマウス型のステーリングを用いることができる。しかしながら、水の落差が大きい設備に使用される大型の水車においては、構造強度の観点からベルマウス型のステーリングを用いることが困難であるため、上下の板材を平行に配置する平行平板型のステーリングが用いられることが多い。平行平板型のステーリングは、ベルマウス型のステーリングに比べて整流作用が小さいため、例えばケーシングからステーリングに流れ込むときに、ステーリングの外周縁がケーシングの内部に突き出た部分で流れが乱されて流体損失が大きくなり、性能低下につながる。
【0005】
そこで、ケーシングからステーリングに流れ込むときの流れの乱れの発生を抑えるために、ステーリングの外周縁に整流部材を備える技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1に開示される整流部材には、ケーシングの流路を流れる圧力水の圧力によって変動応力が作用する。そして、この変動応力が長期にわたって整流部材に作用することで、整流部材の例えばステーリングとの接合部が疲労破壊することがある。
【0007】
そこで、整流部材とステーリングとケーシングとで囲まれた領域に、コンクリートミルク等の充填材を充填して補強する。このようにコンクリートミルク等の充填材を充填することで、整流部材に変動応力が作用することを抑止できる。
【特許文献1】特開2002−147327号公報(段落0022、図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のように、コンクリートミルク等の充填材を充填することで、整流部材に変動応力が作用することは防止できるが、充填材を充填する作業や充填材の硬化に相当の時間を要するため作業性が悪化するなどの問題が知られている。
【0009】
そこで、本発明は、圧力水から受ける力による破損や脱落が起きにくく、かつ取り付けの作業性に優れた整流部材を有する水力機械を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、非拘束部を有し、支持部材によってステーリングに固定される整流部材を備えることを特徴とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、圧力水から受ける力による破損や脱落が起きにくく、かつ取り付けの作業性に優れた整流部材を有する水力機械を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、適宜図を用いて詳細に説明する。
まず、比較のため、図1、図2を参照して従来の構造を説明する。図1は、水力発電に用いられるフランシス水車の概略断面図、図2は従来の整流部材を取り付けたことを示す図である。
【0013】
図1に示すように、水力機械であるフランシス水車1は、発電機Gに接続される回転軸2aの周りに回転する回転体2、回転軸2aを回転自在に保持することで回転体2を回転自在に保持し、回転体2にケーシング3の流路3aを流れる圧力水を導水する導水路5dを備える固定部5、回転体2の周囲を下方に傾斜して取り囲むように配置することで渦巻状をなし、断面が円形状の流路3aを形成するケーシング3及び、ケーシング3の流路3aを流れる圧力水を固定部5の導水路5dに導水する導水路4cを備えるステーリング4を含んで構成される。
【0014】
そして、矢印で示すように、ケーシング3の流路3aを流れる圧力水は、ステーリング4の導水路4cと固定部5の導水路5dを介して回転体2に導水され、回転体2を回転する。回転体2を回転した圧力水は、固定部5の下部に開口する吸出し管5cを介して下池等に排出される。
【0015】
図1に示すように、ステーリング4は、上部板4aと下部板4bとで形成される。上部板4aと下部板4bの外周縁は、上面視で略円形であって、ケーシング3の内周に接続して備わる。そして、上部板4aと下部板4bとは相対して平行に配置され、間に導水路4cが形成される。
上部板4aと下部板4bとの間には、ステーベーン8が溶接などの手段で固定されて、ステーリング4の強度を保つ。ステーベーン8は例えば板状の部材であって、ステーリング4の外周縁の側から回転体2の中心の側に向かって備わり、上端部と下端部とがそれぞれ上部板4aと下部板4bに固定される。なお、ステーベーン8の回転体2の中心の側の端を、ステーリング4の外周縁の側の端よりケーシング3を流れる圧力水の流れの方向に傾斜して固定してもよい。すなわち、ステーリング4の外周縁の側から回転体2の中心の側に向かって、流れの方向に向かう傾斜を設ける。このように、ステーベーン8を流れの方向に向かう傾斜を設けて固定することで、ケーシング3からステーリング4への導水の効率が向上する。そして、ステーリング4には、円周方向に複数のステーベーン8が備わることが好ましい。
【0016】
ステーリング4の上部板4aと下部板4bとはそれぞれケーシング3に溶接などの手段で固定され、上部板4aと下部板4bの間は、ケーシング3の側面が開口して、ステーリング4の導水路4cとケーシング3の流路3aとが連通する。このような構成によって、ケーシング3の流路3aを流れる圧力水は、ステーリング4の導水路4cに流れ込むことができる。
【0017】
固定部5は導水路5dを形成する上カバー5aと下カバー5bとで構成され、ステーリング4の上部板4aと上カバー5aとが水密固定され、下部板4bと下カバー5bとが水密固定される。このような構成によって、ステーリング4の導水路4cと固定部5の導水路5dとは連通し、ステーリング4の導水路4cを流れる圧力水は、固定部5の導水路5dに流れ込む構造となる。
【0018】
固定部5には、上カバー5aと下カバー5bに保持される上下方向に伸びる回転軸7aの周りに回転可能なガイドベーン7が備わる。ガイドベーン7は板状の部材であって、固定部5の導水路5dを流れる圧力水の方向に対して垂直に回転(首振り)し、その回転角度(首振り角度)によって固定部5の導水路5dを流れる水量を調節する機能を有する。
【0019】
回転体2は、固定部5に形成される導水路5dに連通するように開口部が形成され、開口部には複数のランナ2bが備わる。そして、固定部5の導水路5dを流れてきた圧力水がランナ2bに当たることで、圧力水の持つ圧力エネルギと速度エネルギが回転運動エネルギに変換され、回転体2が回転する。
【0020】
以上のように構成されるフランシス水車1においては、前記のように、ステーリング4とケーシング3は溶接によって接合される。このとき、構造強度を考慮して、ケーシング3は上部板4aと下部板4bを支持するステーベーン8の上部でステーリング4と溶接接合されることが好ましく、ステーリング4の最外周より内側に接合部ができる。したがって、図1に示すように、ケーシング3の内部に形成される流路3aにステーリング4の外周縁が突き出る構造となる。
そして、ケーシング3の流路3aに突き出たステーリング4の外周縁によって圧力水の流れが乱され、ケーシング3の流路3aからステーリング4の導水路4cに圧力水が流入するときの流体損失が大きくなる。
【0021】
そこで、従来、図2に示すように、ケーシング3の流路3aに突き出たステーリング4の外周縁に整流部材9を備える。整流部材9は、例えば断面形状の一端から他端までが弧を描くように湾曲した板状の部材であって、ケーシング3の流路3aの側に凸面が向くように配置され、一端をステーリング4の外周縁の先端部に溶接などで固定し、他端をケーシング3の内側に溶接などで固定する。このような整流部材9を備えることで、ケーシング3の流路3aからステーリング4の導水路4cに、圧力水が滑らかに流入することになり流れの乱れの発生を抑えることができる。
【0022】
しかしながら、図2に示すケーシング3は、流路3aを流れる圧力水から、流路3aの外側に向かう力が作用するため、図2に示すように固定された整流部材9にも、ケーシング3の流路3aを流れる圧力水から外側に向かう力が作用する。そして、これらの力の多くは時間変化するものであるため、整流部材9には変動応力として作用し、疲労破壊の一因となる。
このような疲労破壊を防止すべく、図2に示すように、ケーシング3、ステーリング4及び整流部材9で囲まれた領域にコンクリートミルクなどの充填材10を充填する。このように充填材10を充填することで、整流部材9に作用する変動応力を抑えることができる。また、変動応力が作用しても充填材10によって分散するために応力が集中することがなく、応力集中による破壊を防止することができる。
しかしながら、前記したように、充填材10を充填する工数が必要になるとともに、充填材10の硬化に相当の時間を要するため作業効率が悪化するなどの問題がある。
【0023】
そこで、本実施形態においては、非拘束部を有するとともに、支持部材によってステーリングに固定される整流部材を特徴とする。図3の(a)は、フランシス水車における、本実施形態にかかる整流部材を示す図、(b)は、図3の(a)におけるX−X断面の斜視図、図4は、図3の(a)におけるX−X断面の斜視図において、直線状の部材で形成された整流部材を固定したことを示す図である。なお、図1および図2に示すフランシス水車と同等の部材については、同じ符号を付して適宜説明は省略する。
【0024】
図3の(a)に示すように、本実施形態にかかる整流部材9は、例えば断面形状が弧状をなす板状の部材であって、ケーシング3の流路3aの側に凸面が向くように配置され、一端がステーリング4の外周縁の先端に溶接部9aを形成するように溶接されて固定される。そして、図3の(a)に示すように、整流部材9の少なくとも一端は固定されることなく、開放された状態にある。すなわち、整流部材9は非拘束部を有し、ケーシング3と非接続にステーリング4の外周縁に保持される。
【0025】
また、整流部材9には、弧状の凹面の側に支持部材11が備わる。支持部材11は、ステーリング4の外周縁の先端部に固定された整流部材9の一端の側から他端の側に向けてリブ状に備わる板状の部材であって、その一端は、ケーシング3の流路3aに突き出したステーリング4の外周縁に溶接部11aを形成するような溶接などの手段によって固定される。すなわち、整流部材9は、ステーリング4の外周縁に固定される支持部材11に固定される。そして、整流部材9と同様に、他端は固定されることなく非拘束部を有し、ケーシング3と非接続にステーリング4の外周縁に保持される。
【0026】
なお、整流部材9の一端をステーリング4の外周縁の先端部に固定するとしたが、これは限定されるものではなく、整流部材9をステーリング4の外周縁の先端部に固定せずに支持部材11のみに固定する構成であってもよい。この場合、整流部材9は支持部材11のみでステーリング4に保持される。
【0027】
このように、整流部材9および支持部材11が、ともにケーシング3と接続されないことから、整流部材9はケーシング3とは非接続に設置される。
【0028】
ここで、支持部材11の個数は限定されるものではなく、整流部材9に作用する変動応力の大きさおよび、整流部材9に要求される強度などに基づいて、支持部材11を適宜設置すればよい。
【0029】
図3の(a)に示すように形成される整流部材9は、ステーリング4のみによって片持ち状態に保持され、整流部材9とケーシング3とは非接続であり、整流部材9とケーシング3とは直接に接することがない。したがって、圧力水の流れによって整流部材9に変動応力が発生しても、ケーシング3に伝達されることがない。
一般的に、軽量化などのためケーシング3の部材はステーリング4に比べて肉厚が薄く強度も弱いので、強度の弱いケーシング3に整流部材9からの変動応力が伝達されないことによって、ケーシング3の耐久性が向上することになる。
【0030】
さらに、前記のようにケーシング3は薄い部材であるため、流路3aを流れる圧力水の圧力の変化に伴って、断面形状が微小に膨張・縮小を繰り返す。従前の技術のように、例えば図2に示す如くケーシング3と整流部材9とが連結されている場合、ケーシング3の断面形状の微小な膨張・縮小によって、ケーシング3と整流部材9との接合部分に応力集中を発生させることから、強度の面において改善の余地がある。
これに対して、本実施形態においては、図3の(a)に示すように整流部材9とケーシング3は非接続であるため、ケーシング3の断面形状の微小な膨張・縮小の繰り返しによって、整流部材9とケーシング3の接続部分に応力が集中することもなく、接続部分が破損することはない。このように、本実施形態においては、ケーシング3と整流部材9との接合部に破損が発生しないという、優れた効果を奏する。
【0031】
また、本実施形態にかかる整流部材9は、ケーシング3との溶接をしないことから、溶接にかかる工数を削減することができるため、フランシス水車1(図1参照)を設置や改修するのに要する工期を短縮できる。
そして、図3の(a)に示すように、整流部材9は支持部材11によってステーリング4に固定されるため、ケーシング3の流路を流れる圧力水からの流体反力を支えることができることから、コンクリートミルク等の充填材10(図2参照)が必要なくなる。このことによって、充填材10を充填する工数の削減および充填材10が硬化するまでの待機時間の削減が可能であることからも、フランシス水車1を設置や改修する工期を短縮できる。
【0032】
なお、図3の(a)に示すように整流部材9を取り付ける方法は限定するものではないが、ケーシング3の直径が、作業人が中で作業可能なほど大きい場合は、例えば作業人がケーシング3の中に入って、ケーシング3が固定されたステーリング4の外周縁に、支持部材11を予め溶接などの方法で固定し、その支持部材11に整流部材9を溶接などの方法で固定する方法が考えられる。
また、本実施形態においては、整流部材9をケーシング3の内部に固定(溶接)する必要がないので、ケーシング3が固定されない状態のステーリング4の外周縁に、支持部材11を予め溶接などの方法で固定し、その支持部材11に整流部材9を溶接などの方法で固定した後に、ケーシング3を固定する方法も考えられる。
【0033】
ここで、整流部材9の長手方向の形状について考える。図3の(b)に示すように、整流部材9はケーシング3の外壁部およびステーリング4の最外周に沿って備わるため、整流部材9の長手方向は、ケーシング3の外壁部およびステーリング4の最外周と同じ曲率半径で湾曲する。特に、図2に示すように、ケーシング3、ステーリング4及び整流部材9で囲まれた領域にコンクリートミルクなどの充填材10を充填する場合には、充填材10を充填する領域を密封することが必要になるため、整流部材9がステーリング4およびケーシング3と密着するように、すなわち、整流部材9とステーリング4およびケーシング3との間に隙間が生じないように、整流部材9の長手方向を湾曲させる必要がある。
【0034】
これに対して、本実施形態においては、整流部材9は、ステーリング4に支持部材11を介して固定されるとともに、整流部材9がステーリング4およびケーシング3と密着する必要がないため、例えば図4に示すように、直線状に形成される部材をつなぎ合わせて整流部材9を形成してもよい。
【0035】
整流部材9は、例えば中空のパイプ部材を長手方向に切断した、断面が半円形の部材を使用して形成できる。そして、図4に示すように、直線状の部材をつなぎ合わせて整流部材9を形成するには、断面が半円形の部材を適宜切断して、例えば溶接などでつなぎ合わせればよい。このことによって、断面が半円形の部材を、図3の(b)に示すようにケーシング3の外壁部およびステーリング4の最外周に沿った形状に長手方向に湾曲するよりも、作業しやすい工程で整流部材9を形成できる。したがって作業性が向上し、フランシス水車1(図1参照)を設置や改修する工期の短縮および生産コストの削減が可能という優れた効果を奏する。
【0036】
なお、整流部材9(図3の(a)参照)は、ケーシング3(図3の(a)参照)の流路3a(図3の(a)参照)に突き出たステーリング4(図3の(a)参照)の外周縁の全周にわたって備わる構造であってもよいし、ステーリング4の外周縁の一部分にのみ整流部材9が備わる構造であってもよい。
ケーシング3を流れる圧力水は、その上流部が下流部に比べて流量が多く圧力も高い。したがって、上流部は下流部に比べて流路3aからステーリング4の導水路4cに流入する水量も多く、流路3aからステーリング4の導水路4cに圧力水が流入するときに発生する流れの乱れも発生しやすい。このことから、例えば整流部材9をステーリング4の外周縁の全周にわたって備えることなく、ケーシング3の上流部にのみ備えてもよい。
さらに、整流部材9を上部板4a(図3の(a)参照)もしくは下部板4b(図3の(a)参照)のどちらか一方に備える形態であってもよい。
【0037】
以上、本発明にかかる整流部材9(図3参照)をフランシス水車1(図1参照)に適用した例を示したが、本発明にかかる整流部材9の適用はフランシス水車1に限定されるものではない。
図5は、本発明にかかる整流部材をフランシスポンプ水車に適用した例を示す図であり、図6は、本発明にかかる整流部材を斜流水車に適用した例を示す図であり、図7は、本発明にかかる整流部材をカプラン水車に適用した例を示す図である。
【0038】
図5乃至図7に示すように、使用する水車がフランシスポンプ水車1a(図5参照)、斜流水車1b(図6参照)およびカプラン水車(図7参照)のように異なる種類であっても、ステーリング4とケーシング3との接合部の形状は、図1に示すフランシス水車1の場合と同じであるため、ケーシング3の流路3aにステーリング4の外周縁が突き出た形状になる。
したがって、例えば図3の(a)に示す整流部材9と同じ形状の整流部材9を、ステーリング4の外周縁に備えることができる。そして、作業性の向上、工期の短縮および生産コストの削減が可能であるという、フランシス水車1(図1参照)の場合と同様な作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】水力発電に用いられるフランシス水車の概略断面図である。
【図2】従来の整流部材を取り付けたことを示す図である。
【図3】(a)は、フランシス水車における、本実施形態にかかる整流部材を示す図、(b)は、図3の(a)におけるX−X断面の斜視図である。
【図4】図3の(a)におけるX−X断面の斜視図において、直線状の部材で形成された整流部材を固定したことを示す図である。
【図5】本発明にかかる整流部材をフランシスポンプ水車に適用した例を示す図である。
【図6】本発明にかかる整流部材を斜流水車に適用した例を示す図である。
【図7】本発明にかかる整流部材をカプラン水車に適用した例を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 フランシス水車(水力機械)
2 回転体
3 ケーシング
3a 流路
4 ステーリング
4a 上部板
4b 下部板
4c、5d 導水路
7 ガイドベーン
8 ステーベーン
9 整流部材
11 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周縁が円形の上部板と下部板とが平行に配置され、前記上部板と前記下部板との間を水が流れて導水路となる平行平板型のステーリングと、
前記ステーリングの周囲に、円周方向に水が流れる渦巻状の流路を形成し、前記上部板と前記下部板の外周縁が前記流路に突き出るように前記ステーリングを固定するとともに、前記流路に突き出た前記上部板と前記下部板の外周縁の間を開口して、前記流路と前記導水路とを連通させるケーシングと、
前記流路から前記導水路に流れ込む水の流れを整流する整流部材と、を含んで構成され、前記水の流れによって回転体を回転させる水力機械であって、
前記整流部材は、前記流路に突き出した前記ステーリングの外周縁に固定される支持部材に固定され、前記整流部材および前記支持部材は、前記ケーシングとは非接続に前記ステーリングの外周縁に保持されることを特徴とする水力機械。
【請求項2】
前記整流部材が、前記ステーリングの外周縁の全周もしくは一部分に備わることを特徴とする請求項1に記載の水力機械。
【請求項3】
前記整流部材が、前記上部板と前記下部板の両方もしくはどちらか一方に備わることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水力機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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