説明

水力発電装置

【課題】従来の水力発電装置の作動動機構と防護装置にかなりの難点が見られる。設置に関しても水流の性質たとえば流量や水深、また川幅や川岸の形状などの設置環境に制限されやすかったり、流量の急激な変化の対応にも難点が見られるものが多い。
【解決手段】発電機構部分が常に水上にあるような方式を採用する。また発電機構部分と一体化したユニット形式の可動構造物を設け、水流の性質や設置環境と関係なく任意の適切な場所に容易に設置できるようにする。このユニット形式は、複数のユニットを川幅に合わせて並列に、また水流に沿って直列に、あるいは必要に応じて斜列に比較的容易に設置できるようにする。さらに水流の性質や河川及び川岸の形状などの条件や環境による設置条件の制約を最小限にとどめる。また水流の急激な変化にも極力耐えうるように工夫する。またこの方式によって設置場所の変更や移動、原状復帰も比較的容易にできるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川および用水路等に設置する中小型の水力発電装置である。
【背景技術】
【0002】
一本の軸に多数のプロペラを串団子状に付設し、流れの中に浮遊回転させて発電動力を得る方式のものがある。(例えば、特開昭59−180070号報)
【0003】
水車発電装置を河川の水流に浮かべ、水流の常時流速によって発電する方式のものがある。(例えば、特開昭60−132078号報)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開昭59−180070号報
【特許文献2】 特開昭60−132078号報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1、2の内容は、設置に関しては水流や川幅、川岸の形状などの設置環境に制限されやすい。構造的にも作動機構の主要部分が水中にあるものなどはその作動機構や防護装置にかなり難点がある。また大雨などによる急激な増水によって流失したり、流木や流石などの障害物に対して装置が破壊されるなどの難点が見られる。
【0006】
本発明は、このような従来の方式や構成が有していた問題を解決しようとするものであり、水流の性質や河川の形状などの条件や環境による設置条件上の制約を最小限にとどめようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、防護装置や流速加増装置を取り付けた付属の可動構造物を設け、発電装置部分と一体になるユニット形式とする。また設置環境と関係なく任意の場所に容易に設置できるようにする。このユニットは川幅に合わせて並列に、また水流に沿って直列に、あるいは必要に応じて斜列に複数機の設置を容易に可能にする。
【発明の効果】
【0008】
この方式の有力な要素として、ユニットを設置する場所の適切な選定や設置配列方法により、河川の湾曲部などに見られる不規則な水流の変動や集中的な水流による川岸や堤防の損傷、損壊、決壊などの予防装置あるいは緩衝装置として応用できるという点にある。
また融雪期の増水、大雨や台風時期の水流の急激な増減や変化による破壊力によって生じる河川の変形、たとえば中州の肥大化による橋梁や護岸構造物など各種の河川構造物に対する悪影響を軽減させるためにも利用できる。
【0009】
さらにこの方式はその構造上において落差堰と同じような機能も果たすので、既存の落差堰の一部をユニットの幅に合わせて切除して設置することができる。また川幅に合わせてユニットを並列に設置すれば落差堰としての活用も可能になり、新たな落差堰の建設工事費が不用になる、または大きく節減できる。
【0010】
上述したように、本発明の水力発電装置は、装置本体の構造の単純さと設置の容易さを追求するとともに、河川環境及び河川や用水路に関する各種構造物の保護にも有用な公共性を持つ装置として提供できるものである。
【0011】
加えて本発明による発電は、電力ネットワ−クシステムの最新技術と言われる「スマ−トクリッド方式」の自然エネルギ−による電力源の主要素の一つとして活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明の実施形態を示す水力発電装置の全体図(図2の断面A−A)
【図2】 同水力発電装置の平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1、図2に基づいて説明する。
【0014】
図においては、ユニットの本体をなす架台(1)は河川及び用水路などの適切な場所に設置するものである。この架台の入水側には流水と共に流れ下ってくる流木など種々の障害物を除去するための傾斜のついた金網状の障害物除去カバ−(9)が付いている。またこの架台の内部には流速を増すための水流調整板(10)が取り付けられてあり、架台の最下部の各コ−ナ−には架台をしっかりと川床に固定するためのくい込みツメ(11)が取り付けられている。
【0015】
この架台(1)には水流の増減や急変によっても容易に移動しないよう必要かつ十分な重量を持たせてあり、また水流調整板(10)にかかる水流及び水圧によって発生するベクトル量(作用力)の大部分は架台とくい込みツメ(11)を川床に向かって押しつけるように作用する。
【0016】
フロ−トア−ム(3)は支点軸(2)を中心として旋回作動し、これと一体化している動力軸(4)、水車(5)、発電機(6)、増速機(7)、フロ−トドラム(8)と共に水位の変化に合わせて自動的に上下するようになっている。
【0017】
動力軸(4)には水車(5)と発電機(6)、増速機(7)が取り付けられている。
【0018】
フロ−トア−ム(3)の先端に取り付けられたフロ−トドラム(8)は、動力軸(4)に取り付けられたすべての部品の総重量から割り出された必要十分な浮力が保たれるように計算されている。
【符号の説明】
【0019】
1 架台 7 増速機
2 支点軸 8 フロ−トドラム
3 フロ−トア−ム 9 障害物除去カバ−
4 動力軸 10 水流調整板
5 水車 11 くい込みツメ
6 発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害物除去カバ−と流速を増すための水流調整板及び固定用のくい込みツメを取り付けた架台と、水流の増減に合わせて自動的に上下するように工夫されかつ一体化されたフロ−トア−ム、水車、発電機、増速機、フロ−トドラムからなる水力発電装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−229687(P2012−229687A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111858(P2011−111858)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(595104770)
【Fターム(参考)】