説明

水廻りユニット

【課題】横方向への撓みが少なく、強度の大なる自立型の水廻りユニットを提供する。
【解決手段】柱3と連結部材4からなる額縁状のフレーム2で開口Kが形成された水廻りユニットにおいて、額縁状フレーム2を構成する柱3と連結部材4をL型に溶接等で一体化させて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立型のシャワールームやユニットバスなどの水廻りユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、方形筒状に形成されて開口を有する木造ユニットを連結して構成される木造移動建築物が存在する。
【特許文献1】特開2004−137859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されている木造ユニットでは、構造材の外周に壁を貼り付けて方形筒状に形成した構造であり、強度的に弱いという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、強度的に優れた自立型の水廻りユニットを提供することを目的の1つとし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明は、柱と連結部材からなる額縁状のフレームで開口が形成された水廻りユニットにおいて、前記フレームを構成する前記柱と前記連結部材を一体化したことである。
【発明の効果】
【0005】
額縁状のフレームを構成する柱と連結部材を溶接等で一体化したことにより、横方向の撓みに対し額縁状のフレームの強度が大となり、撓み等の生じない強固な水廻りユニットとして部屋の任意の位置等に自立状に設置できるものとなる。
【0006】
また、前記フレームを構成する柱と、該柱の外側に設けられる外壁との間にガラス枠を納め、該ガラス枠を前記柱に固定するとともに、前記外壁でガラス枠を隠した構成とすることもできる。
こうすれば、額縁状のフレームを構成する柱にガラス枠を固定して、ガラスを開口に設置することができ、また、柱とガラス枠の結合部位を外壁で隠すことができ、設置状態の意匠性が向上し、また強度も向上するものとなる。
【0007】
また、額縁状のフレームを用いた水廻りユニットにおいて、前記フレームを構成する柱に沿ってドア枠と別体のフレームを立設し、該ドア枠と別体のフレームに跨るようにドア用のヒンジを取り付けた構造とすることもできる。
こうすれば、ドア枠と別体のフレーム間に跨るようにしてドア用のヒンジを取り付け固定することができ、従来では、ドア枠の厚みを大きくしないとヒンジを取り付けることができなかったが、ドア枠の厚みを小さくしても良好にヒンジを取り付けでき、しかも意匠性を向上させて綺麗に収めることができるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、シャワールームやユニットバスとなる水廻りユニットの構成部材の分解斜視構成図である。
この水廻りユニット1は、建物内のどこにでも設置できる自立型のものであり、四角形状に枠組み形成された額縁状フレーム2,2が一対用いられており、例えば、この額縁状フレーム2は、図2に分解斜視図で示すように構成されている。
【0009】
額縁状フレーム2は、図2では、左右に一対の柱3,3が立設されており、この各柱3,3間を連結する連結部材4,4が上下に平行状に設けられたものであり、柱3に対し上下にそれぞれ直交状に設けられる連結部材4,4が、柱3の上端および下端にそれぞれ溶接で一体化されて、柱3と連結部材4がL字状に一体化されている。
【0010】
上下の連結部材4,4は、途中が分割されて、分割部材4aで繋げられるものであり、この分割部材4aは伸縮可能な部材で構成しても良く、また、複数種類の長さのものを用意しておき、構築する水廻りユニット1の左右寸法を適宜この分割部材4aで変更できるように構成されている。
この分割部材4aをそれぞれ上下の連結部材4,4間に連結して、一対の柱3,3と上下の連結部材4,4,4aで四角形状の額縁状フレーム2が形成され、この額縁状フレーム2の内周に四角形状の開口Kが形成される。
この額縁状フレーム2,2を一対前後方向に間隔をおいて配置させ、前後の一対の額縁状フレーム2,2を複数の連結アングル5,5,5,5で連結して、前後に開口Kを有するフレームを組み立てることができる。
【0011】
なお、図3は、額縁状フレーム2の変更例を示すものであり、図3の額縁状フレーム2においては、上下の連結部材4,4間が分割部材4aで繋げられるとともに、柱3も途中が分割部3aとなっており、この分割部3aで上下方向の寸法を調整できるように、複数の長さの分割部3aが用意されるか、或いはこの分割部3a自体が伸縮できて長さを調整できるように構成されている。
このように柱3にも分割部3aを設けることで、水廻りユニットの上下高さ寸法をも適宜変更させることができるものとなる。
【0012】
このように前後一対の額縁状フレーム2,2間を複数の連結アングル5,5,5で連結して、任意の寸法のフレームを形成させ、更に天井部分には補強バー6などを取り付けて補強することができ、その後、図1に示すように、組み立てたフレームの内周側には複数枚の内壁8,8,8を設置して、水廻りユニット内の底面および側面および天井面を形成させることができ、更にフレームの外側に外壁7,7,7を取り付けて、左右外周面および天井面を形成させて、内壁8と外壁7で二重天井構造および二重壁構造の水廻りユニット1が構築される。
また、前後の開口K側周囲に、細長い外壁7a,7bをそれぞれ額縁状フレーム2の柱3,3に取り付けて化粧処理することができ、また、額縁状フレームの上下の連結部材4,4にもそれぞれ細長状の外壁7,7を取り付けて、開口Kの周囲を化粧処理することができる。
【0013】
このように、内壁8と外壁7で二重天井構造および二重壁構造とすることで、内壁8と外壁7の間に生まれるスペースを、配管スペースや収納スペースなどとして使うことができるものとなる。なお、外壁7を外すことで配管スペースや収納スペースなどは簡単に点検することができる。
また、二重天井構造内に、ダクトや照明,換気扇などの機器を納めることができ、自立したユニットであっても天井の機器が外側から見えるのを防ぎ、見た目が綺麗な収まりとなる。
また、二重天井構造および二重壁構造内に、防音材・断熱材を収めることで、防音・断熱性を向上させことが可能となる。
また、外壁7,7,7の種類を自由に選ぶことができるものとなり、さらには、外壁7を天井や壁の躯体に固定することも可能となる。また、外壁7を取り除くフレームのみで建築躯体に組み込むことが可能となる。
このように二重壁構造を形成することで、家に合わせたコーディネートやプランに合わせた提案が可能となる。
【0014】
本例の水廻りユニット1においては、額縁状のフレーム2は柱3と連結部材4が溶接等で一体化されているため、強度が大なものとなり、特に横方向の撓みを強固に防ぐことができるものとなり、建物の任意の場所に強固に額縁状フレーム2,2を自立させて水廻りユニット1を構築することができるものである。
しかも、連結部材4間を分割部材4aで連結した構造とすることで、左右方向の寸法を変更させて水廻りユニット1の大きさを変更できるものであり、また、柱に分割部3aを用いれば、上下高さ寸法も調節して、任意の大きさの水廻りユニット1を構築できるものとなる。
【0015】
次に、図4の要部拡大斜視図で、また、図5に図4の平面構成図を示すように、水廻りユニット1の前面側の開口K内の左側半分にはガラスが配設されるものであり、この開口Kの半分を蓋するガラス10の外周のガラス枠9の設置構造を示す。
図4および図5に示すように、水廻りユニット1の前面左側の外壁7aは、前側の額縁状フレーム2の柱3の前面に取り付けられるものであるが、この額縁状フレーム2の柱3の前面と、その前面に取り付けられる外壁7a間に、ガラス枠9の固定片9aを隠蔽状に固定するのである。
【0016】
即ち、ガラス10の外周のガラス枠9は、固定片9aと平面断面コの字状の枠片9bが一体化されており、固定片9aを柱3の前面に重ね合わせた状態で、ビス或いはネジにより柱3の前面にこの固定片9aを固定することができ、さらに、このガラス枠9の固定片9aの前面に外壁7aを取り付けることで、ガラス枠9の固定片9aを前側から隠すことができ、額縁状フレーム2を構成する柱3とガラス枠9の固定片9aとの連結部を完全に外壁7aで隠して意匠性を高めることができる。
【0017】
また、このガラス枠9の内側には、柱3の側面に角パイプ状のバックアップ材11を立設させて、柱3にバックアップ材11を固定しておき、このバックアップ材11の側面に略L字状の横フレーム12を固定して、この横フレーム12の内端に形成されている引っ掛け片12aに対し内壁8の先端を引っ掛けて、この横フレーム12に内壁8を取り付けることができるものである。
なお、内壁8は鋼板パネルで構成されており、鋼板8aの裏側に石膏ボード8bを貼り付けたものである。
【0018】
このように額縁状フレーム2を構成する柱3の前面にガラス枠9を固定するとともに、側面にパックアップ材11を固定して横フレーム12を取り付け、良好に内壁8を取り付け施工することができ、また、ガラス枠9の固定片9aの前面には、外壁7aを取り付けて化粧処理し、この外壁7aとガラス枠9の枠片9bを面一状にして、意匠性を高めてガラス10を開口Kに取り付けることができるものである。
【0019】
次に、図6の要部拡大斜視図で、また図7の平面図で示すものは、開閉扉となるドアガラスの取付構造を示すものである。
即ち、前面側の額縁状フレーム2の図1における図示右側の柱3の前面には外壁7bが取り付けられるが、この外壁7b側の開口Kには、ヒンジ14を介して開閉可能にドアガラス15が取り付けられるものである。
額縁状フレーム2を構成する右側の柱3の前面には、ドア枠13の固定片13aがビス等で固定されるものであり、また、柱3の側面には、柱3に沿って立設された角パイプ状のバックアップ材11が固定されるものであり、このバックアップ材11には、L字状の横フレーム12が固定され、この横フレーム12の引っ掛け片12aに、内壁8を構成する鋼板8aの端縁が引っ掛けられて、内壁8が取り付けられるものである。
【0020】
前記ドア枠13は、固定片13aと角パイプ状の角柱部13bが一体化されたものであり、この角柱部13bの内側に前記横フレーム12が配置されるが、さらにその内側に角パイプ状のヒンジ取付用フレーム16が立設されて、このヒンジ取付用フレーム16は、横フレーム12とともにバックアップ材11に固定されるものである。
このヒンジ取付用フレーム16とドア枠13の角柱部13b側面は、ほぼ面一状に内壁8と同一面内に配置されており、このドア枠13の角柱部13bとヒンジ取付用フレーム16間に跨ってヒンジ14のヒンジ固定片14aがビス或いはネジで固定されるものである。
【0021】
ヒンジ14は、ヒンジ固定片14aの前端側に、平行状の2枚のヒンジ挟持片14bが回動可能に連結されており、この2枚のヒンジ挟持片14b間にドアガラス15が嵌め込まれて、ビス等でドアガラス15がヒンジ挟持片14bに固定されるものである。
このように、額縁状フレーム2を構成する柱3に沿ってドア枠13とヒンジ取付用フレーム16を立設させ、ドア枠13の角柱部13bとヒンジ取付用フレーム16間に跨って横方向にヒンジのヒンジ固定片14aを固定して、ヒンジ14を強固に取り付けることができる。
【0022】
なお、従来では、ドア枠13の角柱部13bの厚みを相当大きなものとしないとヒンジ14のヒンジ固定片14aを取り付けることはできなかったが、別体のヒンジ取付用フレーム16を用いることで、ドア枠13の角柱部13bの厚みを小さくしても強固にヒンジ14のヒンジ固定片14aの取り付けが可能となる。また、ドア枠13の厚みを小さくすることで周囲のガラス枠や沓ずりの厚みを小さくすることができる。そのため、ドア枠13とヒンジ14さらにガラス枠,沓ずりを綺麗に収めた状態で施工することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】水廻りユニットの構成部材の分解斜視構成図である。
【図2】一対の額縁状フレームの分解斜視構成図である。
【図3】額縁状フレームの変更例を示す分解斜視構成図である。
【図4】額縁状フレームの左側の柱にガラスを取り付ける構造の要部拡大斜視構成図である。
【図5】図4の平面拡大構成図である。
【図6】額縁状フレームの右側の柱の内側にドアガラスを開閉可能に取り付ける構造の要部拡大斜視構成図である。
【図7】図6の平面拡大構成図である。
【符号の説明】
【0024】
1 水廻りユニット
2 額縁状フレーム
3 柱
3a 分割部
4 連結部材
4a 分割部材
5 連結アングル
7,7a,7b 外壁
8 内壁
8a 鋼板
8b 石膏ボード
9 ガラス枠
9a 固定片
9b 枠片
10 ガラス
11 バックアップ材
12 横フレーム
12a 引っ掛け片
13 ドア枠
13a 固定片
13b 角柱部
14 ヒンジ
14a ヒンジ固定片
14b ヒンジ挟持片
15 ドアガラス
16 ヒンジ取付用フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と連結部材からなる額縁状のフレームで開口が形成された水廻りユニットにおいて、前記フレームを構成する前記柱と前記連結部材を一体化したことを特徴とする水廻りユニット。
【請求項2】
前記フレームを構成する柱と、該柱の外側に設けられる外壁との間にガラス枠を納め、該ガラス枠を前記柱に固定するとともに前記外壁でガラス枠を隠したことを特徴とする請求項1に記載の水廻りユニット。
【請求項3】
前記フレームを構成する柱に沿ってドア枠と別体のフレームを立設し、該ドア枠と別体のフレームに跨るようにドア用のヒンジを取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の水廻りユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−121021(P2009−121021A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292600(P2007−292600)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】