説明

水弁用シール

流量制御弁をシールするためのシールを提供する。シールは流量制御装置に接合するように構成された入口と、ハウジングに接合するように構成された出口と、シール壁に形成されるとともに入口と出口との間に配置された襞とを含む。襞は、襞の両側間の差圧が増加するとシール壁を拡張させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には流量制御弁に関し、特には流量制御弁に用いるシールに関する。
【0002】
本特許出願は、2006年5月18日に出願した米国特許非仮出願No.11/436,361の利益を主張し、その全ての教示と開示とを、引用によって本出願に組み入れる。
【背景技術】
【0003】
例えばバレル弁のような弁は、パイプ部分を通る流体の流量を制御するために用いる流量制御装置である。典型的なバレル弁は、主として、中空のバレル状ハウジングと、その中を貫通するチャネル(流路)を有する回転可能な軸とを含む。回転可能な軸の上部はアクチュエータに結合されている。
【0004】
弁を開くため、アクチュエータは、チャネルがハウジングの入口と出口とに整列するまで、回転可能な軸を動かす。この配置において、弁は流体を弁経由で自由に流通させる。弁を閉じるため、アクチュエータは、チャネルがハウジングによって妨げられ、ハウジングにおける入口と出口とに非整列になるまで、回転可能な軸を動かす。この配置において、弁は流体が弁を通るのを制限する。弁を通る流体の流量を量定するため、アクチュエータは、チャネルがハウジングにおける入口と出口とに部分的に整列するまで、回転可能な軸を動かす。弁が一般的に全開と全閉との間のどこかに位置する状態では、弁は流体が弁を通ることを部分的に許容する、すなわち流体を量定する。
【0005】
バレル弁が開いた位置、閉じた位置、またはそれらの中間の位置にあるとき、流体の漏れを減らすため、または好ましくは無くすため、バレル弁は一般的に1個またはそれ以上のシールを含む。従来のバレル弁においては、これらシールの少なくとも1個は、ハウジングの接合部材どうし間、ハウジングと回転可能な軸との間などに配置して、流体が弁から望ましからぬ流出をしないことを確保している。
【0006】
良好なシールを助長するため、シールは、隣接する構造体と、この場合はハウジングとおよび回転可能な軸と、接触を維持する必要がある。接触要件はしばしば、様々な異なる付勢部品や方法を用いて達成される。例えば、しばしば補助バネをシールに結合させ、またはシールに組み込んで張力を与えている。張力が、シールを拡張すなわち延伸させ、シールの対向端がハウジングと回転可能な軸とに対して付勢される。代替的に、クランプをシールの周りに巻きつけるように用いて圧縮力を与えている。張力と同様に、圧縮力も、シールを拡張すなわち延伸させ、シールの対向端がハウジングと回転可能な軸とに対して押し付けられる。対向端を接合構造体へ向けて強制的に付勢することによって、シール関係が形成され、シールの完全性が保たれ、漏れが防止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
残念ながら隣接する構造体どうし間にシールを維持するためにバネやクランプを用いることには、重大な欠点がある。例えば、ふつう、バネやクランプは金属製である。金属はポリマーや他の典型的な弁構造材料に比べて比較的高価であるので、バネやクランプは弁の全体的コストをかなり増加させる。金属はまた、錆びやすく、したがって故障しやすい。ひいては頻繁な点検を必要とし、場合によっては多くの費用と時間をかけて金属部品を交換する必要に至る。
【0008】
費用がかかり早期に故障しやすいことに加えて、バネやクランプは、弁の組立て中に追加工程を必要とすることが非常に多い。例えば、バネはシールに取付けねばならず、クランプはシールに巻きつけねばならない。これら製造工程は、弁の全体コストを増大させる。更に、バネやクランプを含む弁を製作するのに要する組立て装置は、特別な部品を取扱うため、より進歩した高度なものでなければならない。更に、バネやクランプは、作動中、作動トルクを望ましくないほど高める場合がある。したがって、回転可能な軸を動かして弁を作動させるのには、より大きくより費用のかかるアクチュエータを用いる必要がある。
【0009】
他の流量制御弁においては、隣接構造体どうし間にO−リングが配置されている。O−リングは、ハウジングと回転可能な軸との間の締まり嵌めにより漏れを防止している。O−リングを隣接構造体どうし間のスペースに押し込むことにより、O−リングは一般的に圧縮状態に保持される。圧縮力はO−リングを外側へ、隣接構造体に向けて押し、その結果、O−リングは緊密なシールを促進する。
【0010】
バネやクランプと同様に、O−リングにも重大な欠点がある。例えば、O−リングは、締まり嵌めによって漏れを防ぐ。締まり嵌めは、シールに大きな圧縮負荷をかける。これら大きな圧縮負荷は、シールを更に破損しやすくする。更に、O−リングや隣接構造体の許容差(締まり代)が本来の状態から外れれば、シールは望ましからぬ漏れを生じる。
【0011】
したがって、漏れ防止シールを提供し、作動トルクが低く(すなわち摩擦が低く)、弁の全コストの低減に寄与する、流量制御弁のシールに関する技術における必要性が存在する。本発明はそのようなシールを提供する。本発明の上記およびその他の利点は、本発明の追加特徴も含めて、本発明の以下の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態は、流量制御弁(例えばバレル弁)用のエラストマー(弾性重合体)製のシールを提供し、このシールは、漏れを防止し、作動トルクが低く、コストが安いものである。シールの設計には、シールの出口部分すなわち下流部分の近傍における襞(ひだ、蛇腹)を備えることが好ましい。襞の両側間の圧力差は、例えば弁が閉まり始める時に増加するので、襞は弾力を生じ、これがシールの二つの相対する端を伸長させる。このようにして、二つの端は、接合する部分間で強制的に拡張し、それらの間に形成されるシールを増大させる。二つの端のそれぞれと、それらの接する部分との接触は、差圧が低いとき、例えば弁が開いているときにも維持される。シールに襞を組み入れることにより、シールを流量制御弁に押し付けるためのバネやクランプが不要になる。また、シールするため摩擦嵌めによるO−リングも不要になる。
【0013】
一つの態様において、本発明の一実施形態は、流量制御弁用のシールを提供する。シールは、流量制御装置に接合するように形成された入口と、ハウジングに接合するように形成された出口と、シール壁に形成されて入口と出口との間に配置される襞とを有する。襞は、襞の両側間の差圧が増加すると拡張する。
【0014】
別な態様において、本発明の一実施形態は、流れの経路を選択的に定める流量制御弁を提供する。流量制御弁は、ハウジングと、流量制御装置と、ハウジングと流量制御装置との間に配置されたシールとを有する。ハウジングは、内部キャビティを画成し、内部キャビティに連通する入口と出口とを有する。流量制御装置は、内部キャビティ内に回転可能に配置され、入口と出口とに選択的に連通するように形成された、ほぼ半径方向のチャネル(流路)を画成する。シールは、チャネルによって離間された上流面と下流面と、シール壁に形成された襞とを有する。襞は、シール壁の両側間の差圧が増加すると、上流面を流量制御装置に向けて、また下流面を出口に向けて、次第に強く付勢する。
【0015】
本発明の他の態様と、目的と、利点とは、添付の図面に関連する以下の詳細記述によって、更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に組み入れられ、その一部分を形成する添付図面は、本発明の複数の態様を例示し、記述とともに、本発明の原理の説明に資する。
【0017】
【図1】図1は、本発明の教示に従って構成した流量制御弁の例示的な実施形態の正面図である。
【図2】図2は、図1の流量制御弁の2−2線の縦断面図である。
【図3】図3は、図1の流量制御弁の3−3線の水平断面図である。
【図4】図4は、図1の流量制御弁内に用いられるシールの斜視図である。
【図5】図5は、図4のシールの平面図である。
【図6】図6は、図5のシールの6−6線の断面図である。
【0018】
本発明を、特定の好ましい実施形態(複数)に関連して記述するが、本発明をそれら実施形態に限定する意図はない。むしろ、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神と範囲とに含まれるすべての代替案と、変更案と、均等物、すべてを網羅することが意図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の教示に従って流体の経路を選択的に定める流量制御弁10を示す。流量制御弁10は、例えば水、圧力流体、燃料、ガスなど、種々の異なる流体を量定することができる。図1に示すように、流量制御弁10は、ハウジング12と流量制御装置14とを含む。
【0020】
ハウジング12は、流量制御弁10が使用される用途と環境とによって、鋼、プラスチック、または別の適当な弁材料によって製作される。図示の実施形態において、ハウジング12は、ほぼ円筒形またはバレル(樽)形である。したがって、流量制御弁10はバレル弁と呼ばれる。そうではあっても、一実施形態において、流量制御弁10はボール弁、バタフライ弁、または他の周知のスタイルの弁である。そのような場合、ハウジング12は、使用される特定のタイプの弁に対応する種々の異なる形状と構造の一つを有する。
【0021】
図2に示すように、ハウジング12は、弁入口16と、弁出口18と、内部キャビティ20とを画成する。弁入口16と、弁出口18とは、一般的に互いに離間されていて、ハウジング12の、相対する上流端22、下流端24の側にある。一実施形態において、弁入口16と弁出口18は、ハウジング12の残りの部分と一体に形成されている。図示のように、弁入口16と弁出口18は、上流端22、下流端24に隣接する結合構造体または結合部材26を含む。結合部材26(例えばネジ、外側へフレアした部分など)により、流量制御弁10を、パイプ、コンジット、または他のタイプの流体搬送構造(不図示)の一部へ迅速かつ容易に組み込むことができる。
【0022】
次に図3において、内部キャビティ20は、弁入口16と弁出口18の間に位置し、それらにそれぞれ連通している。内部キャビティ20は、アクチュエータが流量制御装置を回転させ得るような方式で、流量制御装置14を収容するように、全体的に構成されている。流量制御装置14は、本発明の好ましい一実施形態において、内部キャビティ20内で、時計方向、反時計方向いずれの方向にも回転可能である。
【0023】
詳述する実施形態において、流量制御装置14は、シリンダとして提示され、シリンダはその内部を通るラジアルチャネル28を有する。そうではあっても、流量制御装置14は、上記のように使用される流量制御弁10のタイプいかんによって、他の形状、或いは他の構成とすることができる。図示のように、流量制御装置14は、流体の流れ方向30に対してほぼ垂直な軸芯まわりに回転可能である。一方、ラジアルチャネル28は、流量制御弁10が流体の全流量を通すとき、流体の流れ方向30にほぼ平行である。
【0024】
詳述する実施形態において、流量制御装置14は、ハウジング12の上流端22寄りに位置している。したがって、内部キャビティ20の下流部分32は一般的に構造部品に占有されずに残っている。下記に詳細に考察するように、流量制御装置14が図3に示された位置へと回転されると、ラジアルチャネル28は、流体の流れの一部分を内部キャビティ20の下流部分32へ供給する。流量制御装置14が、ラジアルチャネル28が流体の流れ方向30に平行になる位置へ回転すると、流体は弁出口18へのみ吐出され、流量制御弁10から解放すなわち放出される。
【0025】
同じく図3を参照すると、流量制御弁10は更にシール34を備えている。シール34は全体的に流量制御装置14と弁出口18との間に配置されている。このようにして、シール34は、流量制御装置14が流量制御弁10を通る流体を量定し、あるいは全く制限するとき、流体が弁出口18へと望ましくない漏れを起こさないよう、阻止および制限する。一実施形態において、シール34は、エラストマー材料、天然ゴム、または別の同様な物質から形成される。
【0026】
詳細に説明するため、図3の図示実施形態に用いられているシール34を流量制御弁10から取り出して図4に示し、今度はこれに注目する。シール34は入口36と、出口38と、チャネル(流路)40と、襞42とを含む。図4に示すチャネル40は、ほぼ入口36と出口38との間に延在し、シール34を通る流体連通を提供する。チャネル40は、シール34内を通りほぼ軸方向に延びている。本発明の一実施形態において、入口36、出口38、襞42は、全体のシール本体44内で、それぞれ互いに一体に形成されている。
【0027】
入口36は、流量制御装置14をシールしつつそれに接合するよう構成される。これに関して、図示の実施形態における入口36は半径方向外側へ突出する入口フランジ46を含み、これが入口面48を画成する。流体案内部材14(図3が最も見易い)と入口36との間の直接接触を更に補強するとともに、それらどうしのシーリング配置を促進するため、入口は、流体案内部材14の輪郭に合致するように、輪郭形成されている。図示の実施形態において、入口36は、円筒形の流体案内部材14に接合するため、サドル形または放物線形である。当業者が以上の説明から認識するように、異なる形状の流体案内部材14に対応する他の形状、例えば球形の弁部材に接合するための半球状の形状も、本発明の範囲内である。
【0028】
図4に示すように、入口面48は広範かつ十分な面積を有する。その結果、入口面48上に何らかの摩耗があっても広く分散される。制御弁10を多数回使用した後であっても、特定箇所での過度の摩耗は抑制および/または予防される。入口面48上の局部的摩耗を起こりにくくすることによって、漏れが回避される。Oリングを用いる従来の弁においては、シーリング面が限定され、その結果、摩耗によってフラットスポットすなわち摩耗スポットが残る。この摩耗スポットは接合部に接触しなくなり、望ましくない漏れが生じる。
【0029】
出口38は、ハウジング12の一部分(例えば弁出口18)とシール接合するように構成されている。図示の実施形態において、また図5において最もよく示されているように、出口38は、弁出口18に隣接するハウジング12の一部分に接合する、ほぼ平坦で平面状の出口面50を含む。出口38と出口面50とは、ハウジング12に接合し、両者間のシールを促進するため、さまざまに異なる構成を呈することができる。
【0030】
同じく図5において、襞42は、シール本体44内において、入口36と出口38との間に配置されている。襞42は、全体的にシール34の折り目付きまたはヒダ付き部分であって、チャネル40から半径方向外側へ突出している。1個の襞42しか図示してないが、一実施形態においてシール34には複数の襞42を設けている。図5に明示するように、襞42は、シール34の一部分をアコーディオンまたはベロウズに似せることができる。
【0031】
襞42は、一般的にシール34に、拡張および収縮する能力を与える。シール34が拡張するか収縮するかは、ある程度、襞を形成するシール壁56の複数部分どうしの成す角度に依存する。含まれる角度が90度より大きければ、外面60への圧力が内面62への圧力を上回るとき、シール34の長さ52は増加する。襞42を形成するシール壁56の複数部分どうしは、互いに付勢し離間する。一方、含まれる角度が90度より小さければ、外面60への圧力が内面62への圧力を上回るとき、シール34の長さ52は減少する。襞42を形成するシール壁56の複数部分どうしは、互いに付勢し近づき、場合によっては互いに接触する。
【0032】
図示の実施形態において、入口36と出口38とを互いに近付けて、シール34を、その長さ52に沿って圧縮すると、襞42は、長さ方向の動きを吸収するため、単純に更に半径方向外側へ突出する。反対に、入口36と出口38とを互いに離間させて、シール34を、その長さ52に沿って拡張すると、襞42は、長さ方向の動きを吸収するため、半径方向内側へ落ち込む。シール34が十分に拡張されると、襞42は平坦になり、および/またはシール本体44の隣接部分54に対してほぼ平行になる。当業者が認識するように、襞42は拡張および収縮し、それに応じたシール34の拡張と収縮とを可能ならしめる。
【0033】
図6に示すように、シール34はシール壁56を画成する。シール壁56は、厚さ58を有し、これは外面60と内面62との距離によって画成され、制御弁10の用途によって変化する。図示の実施形態において、厚さ58は全シール壁56に沿ってほぼ均一であり、これは襞42を含む。一実施形態において、シール壁56の厚さ58は、シール34内において変化する。
【0034】
一実施形態において、出口38の近傍のシール34の一部分は、弁出口38のテーパー付き端部にかぶせられる。このようにして、内面62は弁出口18のテーパー付き端部に接合し、締まり嵌めを維持する。締まり嵌めは、低圧においてもシールの形成を助成することができる。シール34の両側間の差圧の増加につれて、シールは弁出口18に対して半径方向内側に収縮する。一実施形態において、シール34は、内面62と弁出口18の端部との間の係合にのみ依存してシールを形成し、漏れを抑制または予防する。そのような実施形態においては、シール34の出口面50は、弁出口18またはハウジング12との接触を維持する必要がない。
【0035】
当業者が認識するように、シール壁56の厚さ58は、襞42の可撓性、シール34の強度等に影響を及ぼす。シール壁56の厚さ58はまた、シール34の拡張可能な割合および収縮可能な割合にも関連する。一般的に、シール壁56が厚いほど、シール34の、変化する条件に対する応答、例えばシール壁56の前後の変化する差圧に対する応答、は緩慢になる。
【0036】
作動の際、流量制御弁10の弁入口16と弁出口18とはそれぞれ上流と下流のパイプ部分(不図示)に結合される。パイプ部分は、例えば水などの流体を輸送するように構成されている。水は流体の流れ(図3参照)の方向30に沿って流れるように傾斜しているので、弁入口16は上流パイプ部分から水を受ける。水は、弁入口16を通って入った後、内部キャビティ20の方へ進む。
【0037】
アクチュエータ(不図示)によって流量制御装置14が回転されて、ラジアルチャネル28が弁出口18に対して軸方向の整列から外れるように動かされると(すなわち流体の流れの方向30に対してほぼ直角になると)、それまで流量制御弁10を通って流れていた水の一部は、内部キャビティ20の下流部分32内に捕えられ、流量制御弁10を通る水の流れは完全に停止される。この配置において、流量制御弁10は全閉位置にある。
【0038】
水は囲みの中のスペースへ押し込まれたので、下流部分32内に捕えられ、つまり閉じ込められた水は加圧状態に保持される。一方、弁出口18にある水は、速やかに運び去られ、弁10から排出される。外面60上の圧力が内面62上の圧力より高い結果、シール壁56の両側間の差圧は比較的大きい。
【0039】
シール壁56の両側間の大きな差圧は、可撓性の襞42を半径方向内側へチャネル40内に向けて動かし、シール本体44を、その長さ52に沿って拡張させる(図5)。シール本体44が拡張させられると、入口36は流量制御装置14に向けて強制的に付勢され、出口38はハウジング12および/または弁出口18に向けて強制的に付勢される。したがって、入口面48と出口面50とは、隣接する構造体に対して圧着され、閉じ位置において、緊密なシールが助長され、水漏れが防止される。
【0040】
図3に示すように、ラジアルチャネルが弁入口16と弁出口18とに対して軸方向に部分的に整列するように、流量制御装置14がアクチュエータによって回転させられると、流量制御弁10は半開位置すなわち量定位置にある。そのような配置において、流量制御弁10内において水は分割され、2つの分岐経路に沿って流動する。水の第1部分は、弁入口16から、ラジアルチャネル28と、シール34のチャネル40とを通って弁出口18へと流れる。いったん弁出口18に入ると、水の第1部分は、流量制御弁10から排出され、下流側パイプ部分に流入する。
【0041】
水の第2部分は、弁入口16から、ラジアルチャネル28を通って、内部キャビティ20の下流部分32に流入する。内部キャビティ20の下流部分32には出口がなく、また急速に充填されるので、内部キャビティ20内の圧力は、流量制御弁10から水が自由に流出できる弁出口18内の圧力に比べて上昇する。その結果、シール壁56の外面60上の圧力が内面62上の圧力よりも高くなり、これによっても、シール壁56の両側間に差圧が発生する。
【0042】
半開位置では、差圧は、流量制御弁10が全閉位置にあるときほど大きくはないが、それでもシール壁56の両側間に差圧が存在する。幾分低い差圧でも、可撓性の襞42を半径方向内側へチャネル40内に向けて幾分動かし、シール本体44を強制的にその長さ52に沿って幾分拡張させる(図5)。前と同様に、拡張するシール本体44は入口36を流量制御装置14に向けて付勢し、出口38をハウジング12および/または弁出口18に向けて付勢する。力は弱くても、入口面48と出口面50とは、依然として隣接する構造体に向けて押し付けられる。この作用は、シール34に隣接する部品どうし間のシールを強化するが、それでも流量制御装置14は大した困難および/または難儀もなく回転可能である。シール34を通る何らかの漏れまたは重大な漏れがないことと、流量制御装置14が流量制御弁10内において困難がなく回転可能であることとがあいまって、正確で効率的な量定を保証する。
【0043】
流量制御装置14が、図3の部分的に整列した位置から動いて、内部キャビティ20への水流が減少し、弁出口18への水流が増加すると、シール壁56の両側間の差圧は減少する。差圧が減少すると、襞42は半径方向外側へチャネルから離間するように動いて、シール本体44が収縮する。そうであっても、入口36は依然として流量制御装置14に向けて付勢され、出口38は依然としてハウジング12および/または弁出口18に向けて付勢される。付勢力は、沢山の水が内部キャビティに送り込まれた場合に比較して、単純に幾分弱まる。差圧が減少したにもかかわらず、入口面48と出口面50とは、依然として隣接する構造体に向けて押し付けられている。
【0044】
流量制御装置14がアクチュエータによって、ラジアルチャネル28が弁入口16に軸方向に完全に整列するように回転させられると、水の流量は流量制御弁10を通って自由に流され、水の全量がラジアルチャネル28に流入する。そのような場合、流量制御弁10は全開位置にあり、シール壁56の両側間の差圧は小さいか、または無視できる。このわずかな差圧にもかかわらず、シール34の寸法、可撓性、弾性、および/または他の特性のため、入口面48は依然として流量制御装置14に向けて付勢され、出口面50は、ハウジング12および/または弁出口18に向けて付勢される。更に、流量制御弁10を通る水は流れが滑らかでほぼ層流であるので、シール34への応力は、多くの状況では、微小である。また、万一漏れが起こっても、漏れた水は流れるに任されている水に合流するに過ぎないので、このことは許容できる。
【0045】
上記より、当業者は、本発明が、バネ、クランプ、および/またはO−リングを用いる場合と比較して、漏れのないシールと、低い作動トルク(すなわち低い摩擦)と、より低いコストとを提供する、流量制御弁(例えばバレル弁)用のエラストマーシールを提供することを、認識するであろう。シールは、シール壁の両側間の差圧によってシールを拡張または収縮させる、1つ以上の襞を利用して、上記諸課題を達成する。差圧の上昇とともに、襞によってシールがより大きく拡張し、隣接する部品間のシーリング構造の形成を促進する。
【0046】
本明細書に引用した、刊行物、特許出願、特許を含むすべての引用文献は、各引用文献が引用によってあたかも個別かつ具体的に組み入れられるべく指定され、その全体がここに述べられているかのごとくに、引用によって同じ内容でここに組み入れる。
【0047】
本発明の説明の文脈で(特に特許請求の範囲の文脈で)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数および複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」および「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「〜を含むが限定しない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されるかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中の如何なる言い回しも、本発明の実施に不可欠である、特許請求の範囲に記載されていない要素を示すものとは解釈されないものとする。
【0048】
本明細書中では、発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読んだ上で、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者がこのような変形を適宜用いるであろうことを予期し、本発明が本明細書中で具体的に説明される以外の方法で実施されることを意図している。したがって本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の主題の修正および均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、すべての考えられる変形における上記要素のいずれの組合せも本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量制御弁をシールするためのシールであって;
流量制御装置に接合するように構成された入口と;
ハウジングに接合するように構成された出口と;
シール壁に形成されるとともに前記入口と前記出口との間に配置された襞とを備え;
前記襞は、前記襞の両側間の差圧が増加すると前記シール壁を拡張させる;
シール。
【請求項2】
前記襞の両側間の前記差圧が減少すると前記襞が収縮する;
請求項1に記載のシール。
【請求項3】
前記入口が、少なくとも放物線形かサドル形かのいずれかである;
請求項1に記載のシール。
【請求項4】
前記入口が、半径方向外側へ突出するとともに入口面を形成する入口フランジを有する;
請求項1に記載のシール。
【請求項5】
前記襞が、前記入口と前記出口との間に延在するチャネルから半径方向外側へ突出する;
請求項1に記載のシール。
【請求項6】
前記襞の両側間の差圧が増加すると前記襞が半径方向内側へ動くように構成されている;
請求項1に記載のシール。
【請求項7】
前記入口と、前記出口と、前記襞とが、シール本体において互いに一体形成されている;
請求項1に記載のシール。
【請求項8】
前記シール本体がエラストマー材料から形成されている;
請求項7に記載のシール。
【請求項9】
前記シールが前記入口と前記出口との間に延在するチャネルを更に含む;
請求項1に記載のシール。
【請求項10】
流量制御弁の下流部分における漏れを防止するためのシールであって;
流量制御装置をシールするよう前記流量制御装置に接合するような輪郭に形成された入口と;
ハウジングをシールするよう前記ハウジングに接合するような輪郭に形成された出口と;
シール壁に形成されるとともに前記入口と前記出口との間に配置された襞を備え;
前記襞は、前記シール壁と前記襞の少なくとも一方の両側間の差圧に応答して拡張および収縮の少なくとも一方を行い、前記入口を前記流量制御装置に向けて付勢し、前記出口を前記ハウジングに向けて付勢する;
シール。
【請求項11】
前記襞は、前記差圧が増加すると拡張し、前記差圧が減少すると収縮する;
請求項10に記載のシール。
【請求項12】
前記輪郭に形成された入口が、少なくとも放物線形かサドル形かのいずれかである;
請求項10に記載のシール。
【請求項13】
前記襞が、前記差圧が減少するとチャネルから離れるように半径方向外側へ突出し、前記差圧が増加すると前記チャネルに平行に平坦化する;
請求項10に記載のシール。
【請求項14】
前記入口と、前記出口と、前記襞とが、エラストマー材料から互いに一体形成されてシール本体となっている;
請求項10に記載のシール。
【請求項15】
流体の経路を選択的に定める流量制御弁であって;
内部キャビティを画成するハウジングであって、前記内部キャビティに連通する入口と出口とを含むハウジングと;
前記内部キャビティ内に回転可能に配置された流量制御装置であって、前記入口と、前記出口とを選択的に連通させるように構成されたほぼ半径方向のチャネルを画成する流量制御装置と;
前記流量制御装置と前記出口との間に配置されたシールとを備え;
前記シールは、チャネルによって離間された上流面と下流面と、シール壁に形成された襞とを有し;
前記襞は、前記シール壁の両側間の差圧が増加すると、前記上流面を前記流量制御装置に向けて、また前記下流面を前記出口に向けて、より強く付勢する;
流量制御弁。
【請求項16】
前記流量制御装置を閉じ位置に向けて回転することによって前記シール壁の両側間の差圧が増加する;
請求項15に記載の流量制御弁。
【請求項17】
前記流量制御装置が前記流体を前記内部キャビティに導くとき、前記シール壁の両側間の差圧が増加する;
請求項15に記載の流量制御弁。
【請求項18】
前記上流面と、前記下流面と、前記襞とが、エラストマー材料から互いに一体に形成されている;
請求項15に記載の流量制御弁。
【請求項19】
前記流量制御装置が、前記流量制御装置を貫通する前記ほぼ半径方向のチャネルを有する回転可能なシリンダである;
請求項15に記載の流量制御弁。
【請求項20】
前記上流面が、前記流量制御装置の丸みのある外周に接合するように構成された放物線形の輪郭を有する;
請求項15に記載の流量制御弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−537761(P2009−537761A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511132(P2009−511132)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/066430
【国際公開番号】WO2007/136942
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508340813)ランコ・インコーポレーテッド・オブ・デラウェア (1)
【氏名又は名称原語表記】Ranco Incorporated of Delaware
【住所又は居所原語表記】300 Delaware Avenue,Suite 1704,Wilmington, Delaware 19801−1612,United States of America
【Fターム(参考)】