説明

水性インクジェットインク

【課題】カールなどの紙媒体の変形を引き起こさずに紙媒体に画像を形成することが可能な水性インクジェットインクを提供することにある。
【解決手段】一実施形態は、インク総量の2〜20質量%の色材、インク総量の41〜70質量%の水、およびインク総量の20〜53質量%の水溶性有機溶媒を含有する水性インクジェットインクである。前記水溶性有機溶媒は、下記一般式(1)で表わされる化合物を含み、前記インク総量の20〜50質量%を占める。下記一般式(1)で表わされる化合物の量が前記水溶性有機溶媒の量と等しい場合には、前記水溶性有機溶媒の全量が下記一般式(1)で表わされる化合物である。前記色材と前記水と前記水溶性有機溶媒との合計は、前記インクの100質量%以下である。


a,bおよびcは、それぞれ同一でも異なっていてもよく1以上の整数であり、3≦a+b+c≦15を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに記載する実施形態は、一般的には水性インクジェットインク、インクジェット印字方法、およびインクジェット印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水性インクジェットインクにおいては、染料または顔料といった色材が水性媒体に分散されている。
【0003】
水のような揮発性の高い水性媒体が用いられる場合でも、水性インクジェットインクは、インクジェットヘッドからの吐出に適した特性を有していなければならない。しかも紙媒体に記録するための水性インクジェットインクは、カールやコックリングなどの紙媒体の変形を極力低減することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−209759号公報
【特許文献2】特開2009−062440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、カールなどの紙媒体の変形を引き起こさずに紙媒体に画像を形成することが可能な水性インクジェットインクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、水性インクジェットインクは、インク総量の2〜20質量%の色材、インク総量の41〜70質量%の水、およびインク総量の20〜53質量%の水溶性有機溶媒を含有する。前記水溶性有機溶媒は、下記一般式(1)で表わされる化合物を含み、下記一般式(1)で表わされる化合物は、前記水性インクジェットインク総量の20〜50質量%を占める。下記一般式(1)で表わされる化合物の量が前記水溶性有機溶媒の量と等しい場合には、前記水溶性有機溶媒の全量が下記一般式(1)で表わされる化合物である。前記色材と前記水と前記水溶性有機溶媒との合計は、前記水性インクジェットインクの100質量%以下である。
【化1】

【0007】
a,bおよびcは、それぞれ同一でも異なっていてもよく1以上の整数であり、3≦a+b+c≦15を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の一形態を適用するインクジェット記録装置の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を具体的に説明する。
【0010】
図1に示すインクジェット記録装置においては、用紙カセット100および101は、サイズの異なる用紙Pを収容している。供紙ローラ102または103は、選択された用紙サイズに対応した用紙Pを用紙カセット100または101から取り出し、搬送ローラ対104、105およびレジストローラ対106に搬送する。
【0011】
搬送ベルト107は、駆動ローラ108と2本の従動ローラ109とによって張力が与えられている。搬送ベルト107には所定間隔で貫通孔が設けられ、搬送ベルト107の内側には用紙Pを搬送ベルト107に吸着させるため、ファン110に連結された負圧チャンバ111が設置されている。搬送ベルト107の用紙搬送方向下流には、搬送ローラ対112、113、および114が設置されている。搬送ベルト107、駆動ローラ108、従動ローラ109、搬送ローラ対112、113、および114によって、搬送部が構成される。
【0012】
搬送ベルト107の上方には、画像データに応じてインクを用紙に吐出するインクジェットヘッドが4列配列されている。上流から、シアン(C)インクを吐出するインクジェットヘッド115C、マゼンタ(M)インクを吐出するインクジェットヘッド115M、イエロー(Y)インクを吐出するインクジェットヘッド115Y、ブラック(Bk)インクを吐出するインクジェットヘッド115Bkの順である。さらに、インクジェットヘッド115C、115M、115Y、および115Bkには、対応したインクが収容されているシアン(C)インクカートリッジ116C、マゼンタ(M)インクカートリッジ116M、イエロー(Y)インクカートリッジ116Y、ブラック(Bk)インクカートリッジ116Bkが設けられている。カートリッジは、それぞれチューブ117C、117M、117Y、117Bkによって、インクジェットヘッドに連結されている。
【0013】
こうした構成のインクジェット記録装置の画像形成動作について述べる。
【0014】
まず、画像処理手段(図示しない)により記録のための画像処理が開始され、記録のための画像データが各インクジェットヘッド115C、115M、115Y、115Bkに転送される。また、用紙カセット100または101から給紙ローラ102または103により選択された用紙サイズの用紙P(紙媒体P)を一枚ずつ取り出し、搬送ローラ対104、105およびレジストローラ対106に搬送する。レジストローラ対106は用紙Pのスキューを補正し、所定のタイミングで各インクジェットヘッド115C、115M、115Y、115Bkへ搬送を行なう。
【0015】
負圧チャンバ111は搬送ベルト107の穴を介して空気を吸い込んでいるので、用紙Pは搬送ベルト107に吸着された状態でインクジェットヘッド115C、115M、115Y、115Bkの下側を搬送される。このことで、インクジェットヘッド115C、115M、115Y、115Bkと用紙Pとは一定の間隔を保つことができる。レジストローラ対106から用紙Pが搬送されるタイミングに同期させて、各インクジェットヘッド115C、115M、115Y、115Bkから各色のインクを用紙Pへ向けて吐出させる。こうして、用紙Pの所望の位置にカラー画像が形成される。画像が形成された用紙Pは搬送ローラ対112、113および114によって排紙トレイ118に排紙される。
【0016】
各インクカートリッジには、一実施形態にかかる水性インクジェットインクが収容される。
【0017】
本実施形態にかかる水性インクジェットインクは、水と水溶性有機溶媒と色材とを含有する。水の量はインク総量の41〜70質量%であり、水溶性有機溶媒の量はインク総量の20〜53質量%である。しかも、水溶性有機溶媒は下記一般式(1)で表わされるポリオキシエチレングリセリルエーテルを含有し、このポリオキシエチレングリセリルエーテルは、インク総量の20〜50質量%を占める。
【化2】

【0018】
a,bおよびcは、それぞれ同一でも異なっていてもよく1以上の整数であり、3≦a+b+c≦15を満たす。
【0019】
それぞれ所定の量で配合された水と、所定のポリオキシエチレングリセリルエーテルを含む水溶性有機溶媒とによって、本実施形態の水性インクジェットインクにおけるインク媒体が構成される。インク媒体中には、色材が溶解または分散される。上述したように、水の量はインク総量の41〜70質量%であり、水溶性有機溶媒の量はインク総量の20〜53質量%である。しかも、ポリオキシエチレングリセリルエーテルは、インク総量の20〜50質量%を占める。こうしたインク媒体が用いられるので、本実施形態にかかる水性インクジェットインクは、紙媒体の変形を極力抑制しつつ、高品質の画像を紙媒体に形成することができる。
【0020】
本実施形態の水性インクジェットインクは、用紙の変形抑制能が優れているので、印刷後の用紙が搬送不可能となるおそれはない。その結果、印字速度が50ppm(page per minute)以上という高速印刷にも対応することが可能となった。
【0021】
本明細書において、紙媒体とは、一般的には、印刷されることを目的に使用される紙製の媒体をさす。印刷特性を高めるための材料が塗布されたアート紙やコート紙などの塗工用紙と、紙自体の特性を生かした非塗工用紙とに大別される。紙媒体は、本、書籍、新聞、包装、およびプリンター用紙など、種々の用途に用いられる。また、段ボール、紙製の容器、およびボール紙などの厚紙も紙媒体に含まれる。例えば、オフィスや家庭で使用する複写機、プリンターに使用されるコピー用紙のような、いわゆる普通紙は、典型的な紙媒体である。
【0022】
一実施形態においては、水と所定のポリオキシエチレングリセリルエーテルを含む水溶性有機溶媒とをそれぞれ所定の量で含有するインク媒体中に、色材が含有される。
【0023】
色材としては、染料および顔料のいずれを用いてもよい。染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、食用染料、反応性染料、および分散染料など、インクジェットインクに用いられる各種染料が使用可能である。
【0024】
具体的には、以下の染料が挙げられる。C.I.Direct Yellow 8、C.I.Direct Yellow 11、C.I.Direct Yellow 24、C.I.Direct Yellow 26、C.I.Direct Yellow 27、C.I.Direct Yellow 28、C.I.Direct Yellow 33、C.I.Direct Yellow 44、C.I.Direct Yellow 50、C.I.Direct Orange 6、C.I.Direct Orange 8、C.I.Direct Orange 29、C.I.Direct Orange 102、C.I.Direct Red 1、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 4、C.I.Direct Red 13、C.I.Direct Red 17、C.I.Direct Red 20、C.I.Direct Red 33、C.I.Direct Red 37、C.I.Direct Red 44、C.I.Direct Red 46、C.I.Direct Red 62、C.I.Direct Red 75、C.I.Direct Blue 1、C.I.Direct Blue 2、C.I.Direct Blue 6、C.I.Direct Blue 15、C.I.Direct Blue 22、C.I.Direct Blue 25、C.I.Direct Blue 76、C.I.Direct Blue 77、C.I.Direct Blue 86、C.I.Direct Blue 108、およびC.I.Direct Blue 120などである。
【0025】
染料は、インク総量の2〜20質量%の量で含有される。この範囲内であれば、インクの保存性や吐出性能に関して不都合を伴なうことなく、必要な画像濃度を有する印刷物を形成することができる。
【0026】
色材として顔料が用いられた場合には、水性インクジェットインクの耐水性および耐光性を、より高めることができる。
【0027】
顔料は特に限定されず、無機顔料および有機顔料のいずれを用いてもよい。無機顔料としては、例えば酸化チタンおよび酸化鉄が挙げられる。さらに、コンタクト法、ファーネス法、またはサーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
【0028】
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
【0029】
ブラックインクとして使用されるカーボンブラックとしては、具体的には、No.2300,No.900,MCF88,No.33,No.40,No.45,No.52,MA7,MA8,MA100,No2200B等(三菱化学製)、Raven5750,Raven5250,Raven5000,Raven3500,Raven1255,Raven700等(コロンビア社製)、Regal 400R,Regal 330R,Regal 660R,Mogul L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400等(キャボット社製)、Color Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black FW18,Color Black FW200, Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex 35,Printex U,PrintexV,Printex 140U,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,およびSpecial Black 4等(デグッサ社製)などが挙げられる。
【0030】
イエローインクに使用される顔料としては、具体的には、C.I.Pigment Yellow 1,C.I.Pigment Yellow2,C.I.Pigment Yellow 3,C.I.Pigment Yellow 12,C.I.Pigment Yellow 13,C.I.Pigment Yellow 14C,C.I.Pigment Yellow 16,C.I.Pigment Yellow 17,C.I.Pigment Yellow 73,C.I. Pigment Yellow 74,C.I.Pigment Yellow 75,C.I.Pigment Yellow 83,C.I.Pigment Yellow93,C.I.Pigment Yellow95,C.I.Pigment Yellow97,C.I.Pigment Yellow 98,C.I.PigmentYellow 109,C.I.Pigment Yellow 110,C.I.Pigment Yellow 114,C.I.Pigment Yellow 128,C.I.Pigment Yellow 129,C.I.Pigment Yellow 138,C.I.Pigment Yellow 150,C.I.Pigment Yellow 151,C.I.Pigment Yellow 154,C.I.Pigment Yellow 155,C.I.Pigment Yellow 180,およびC.I.Pigment Yellow 185等が挙げられる。
【0031】
マゼンタインクに使用される顔料としては、具体的には、C.I.Pigment Red 5,C.I.Pigment Red7,C.I.Pigment Red 12,C.I.Pigment Red 48(Ca),C.I.Pigment Red 48(Mn),C.I.Pigment Red 57(Ca),C.I.Pigment Red 57:1,C.I.Pigment Red 112,C.I.Pigment Red 122,C.I.Pigment Red 123,C.I.Pigment Red 168,C.I.Pigment Red 184,C.I.Pigment Red 202,およびC.I.Pigment Violet19等が挙げられる。
【0032】
シアンインクに使用される顔料としては、具体的には、C.I.Pigment Blue 1,C.I.Pigment Blue 2,C.I. Pigment Blue 3,C.I.Pigment Blue 15:3,C.I.Pigment Blue 15:4,C.I.Pigment Blue 15:34,C.I.Pigment Blue 16,C.I.Pigment Blue 22,C.I.Pigment Blue 60,C.I.Vat Blue 4,およびC.I.Vat Blue 60が挙げられる。
【0033】
インクジェットインクに用いられるので、顔料の平均粒径は10〜300nm程度の範囲内であることが好ましい。さらに顔料の平均粒径は、10〜200nm程度の範囲内であることがより好ましい。
【0034】
顔料の平均粒径は、動的光散乱法を用いた粒度分布計を用いて測定することができる。粒度分布計としては、例えば、HPPS(マルバーン社)が挙げられる。
【0035】
顔料は、顔料分散体の状態で用いることができる。顔料分散体は、例えば、分散剤により水やアルコール中などに顔料を分散させて調製することができる。分散剤としては、例えば、界面活性剤、水溶性樹脂、および非水溶性樹脂などが挙げられる。あるいは、自己分散型顔料を用いてもよい。自己分散型顔料とは、分散剤なしに水等に分散可能な顔料であり、顔料に表面処理を施して、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、およびスルホン基の少なくとも一種の官能基またはその塩を結合させた顔料である。表面処理としては、例えば、真空プラズマ処理、ジアゾカップリング処理、および酸化処理等が挙げられる。こうした表面処理により官能基または官能基を含んだ分子を顔料の表面にグラフトさせることによって、自己分散型顔料が得られる。
【0036】
インク中における顔料の含有量は、インク総量の2〜20質量%の範囲である。この範囲内であれば、インクの保存性や吐出性能に関して不都合を伴なうことなく、必要な画像濃度を有する印刷物を形成することができる。インク総量の3〜10質量%の顔料を含有するインクは、20〜50℃程度という広い温度範囲にわたって、インクジェットヘッドからの吐出に適切な粘度を有する。しかも、かかるインクを用いて形成される画像の画質も良好である。
【0037】
顔料分散体は、水と所定のポリオキシエチレングリセリルエーテルを含む水溶性有機溶媒とから構成されるインク媒体と混合され、本実施形態の水性インクジェットインクが得られる。
【0038】
上述したように一実施形態においては、インク総量の41〜70質量%は水である。インク中における水の量が少なすぎる場合には、インクジェットインクとしての適切な範囲の粘度を確保できず、インクジェットヘッドからの吐出性能が低下する。しかも、顔料の分散安定性が低下するため、インクジェットヘッドの目詰まりが生じやすくなる。一方、インク中における水の量が多すぎる場合には、用紙変形を抑制することが困難となる。水の量は、インク総量の45〜65質量%が好ましい。
【0039】
一実施形態の水性インクジェットインクにおいては、インク総量の20〜53質量%は水溶性有機溶媒である。インク中における水溶性有機溶媒の量が少なすぎる場合には、用紙変形を抑制することが困難となる。一方、インク中における水溶性有機溶媒の量が多すぎる場合には、インクジェットインクとしての適切な範囲の粘度を確保できず、インクジェットヘッドからの吐出性能が低下する。しかも、顔料の分散安定性が低下するため、インクジェットヘッドの目詰まりが生じやすくなる。水溶性有機溶媒の量は、インク総量の30〜50質量%がより好ましい。色材と水と水溶性有機溶媒との合計は、水性インクジェットインクの100質量%以下である。
【0040】
なお、水溶性有機溶媒の量が水の量を超えない場合には、水性インクジェットインクの保存安定性を高いレベルに維持することができる。
【0041】
水溶性有機溶媒には、下記一般式(1)で表わされるポリオキシエチレングリセリルエーテルが含有される。ポリオキシエチレングリセリルエーテルの量は、インク総量の20〜50質量%である。
【化3】

【0042】
a,bおよびcは、それぞれ同一でも異なっていてもよく1以上の整数であり、3≦a+b+c≦15を満たす。
【0043】
用紙変形を抑制するために、一般式(1)における(a+b+c)の値は3以上に規定される。(a+b+c)の値が大きすぎる場合には、インクジェットインクとしての適切な範囲の粘度を確保することができない。しかも、顔料の分散安定性が低下する傾向となるので、(a+b+c)の値の上限は15に規定される。
【0044】
一般式(1)で表わされるポリオキシエチレングリセリルエーテルとしては、例えば、ユニオックスG450(日油製)およびユニオックスG750(日油製)が挙げられる。(a+b+c)の値は、ユニオックスG450では8程度であり、ユニオックスG750では15程度であるとされている。
【0045】
上述したようなポリオキシエチレングリセリルエーテルがインク媒体に含まれるインクジェットインクは、インクジェットヘッドからの吐出性能が向上し、用紙の変形を抑制する効果が高められる。用紙変形の抑制について、本発明者らは次のように考察した。水性インクと接触した際、一般的には次のようなメカニズムによって用紙が変形する。まず、水性インク中の水分によって、紙の主成分であるセルロース繊維の水素結合が膨潤解離して切断される。水分が蒸発して紙が乾燥する際、セルロース繊維の水素結合は再結合する。この再結合は、切断前とは異なる状態あるいは異なる位置で生じ、それによって用紙が変形し、カール等が発生する。
【0046】
上述のポリオキシエチレングリセリルエーテルには、エチレンオキシド基が含まれている。このエチレンオキシド基は、水分子の浸透によって切断された水素結合を再結合させることができる。それによって、用紙の変形が抑制される。
【0047】
こうしたポリオキシエチレングリセリルエーテルを含む水溶性有機溶媒を水と組み合わせたインク媒体を用いることによって、その優れた特性が最大限に発揮され、用紙の変形抑制能が格段に向上した。
【0048】
ただし、ポリオキシエチレングリセリルエーテルの含有量は、インク総量の20〜50質量%である。ポリオキシエチレングリセリルエーテルの量が少なすぎる場合には、その効果を得ることができない。一方、ポリオキシエチレングリセリルエーテルが多すぎる場合には、ノズル内におけるインクの目詰まりが生じて、吐出が困難となる。ポリオキシエチレングリセリルエーテルの量は、インク総量の20〜40質量%が好ましい。
【0049】
水溶性有機溶媒には、次のような化合物がさらに含有されてもよい。例えば、炭素数2〜10の多価アルコール、炭素数2〜6の多価アルコールの低級アルキル(炭素数1〜6)エーテル、複素環化合物、および含硫黄化合物などである。
【0050】
炭素数2〜10の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオールおよびトリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0051】
炭素数2〜6の多価アルコールの低級アルキル(炭素数1〜6)エーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、およびトリエチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
【0052】
複素環化合物としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、およびN−エチルモルホリン等が挙げられ、含硫黄化合物としては、例えば、スルホラン、ジメチルスルホキシド、および3−スルホレン等が挙げられる。
【0053】
さらに、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等から選択される化合物が水溶性有機溶媒中に含まれてもよい。
【0054】
なかでも、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、および1,2−ヘキサンジオールが好ましい。こうした化合物は、保湿剤としても作用する。
【0055】
本実施形態にかかる水性インクジェットインクを得るにあたっては、例えば、水とポリオキシエチレングリセリルエーテルとを含む水溶性有機溶媒を、顔料分散体と混合する。本実施形態にかかるインクには、必要に応じて後述するような添加剤を加えることができる。
【0056】
インクジェット記録用であるので、本実施形態にかかるインクは、インクジェットプリンターにおけるヘッドのノズルからの吐出に適切な粘度を有することが必要である。具体的には、25℃における粘度が5〜30mPa・sであることが好ましく、3〜15mPa・sであることがより好ましい。
【0057】
水性インクジェットインクの吐出性能などを調整するために、効果が損なわれない範囲で、界面活性剤を別途配合してもよい。
【0058】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤およびノニオン界面活性剤のいずれを用いてもよい。アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルフォン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類、および高級アルコールのリン酸エステル塩類等が挙げられる。具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、およびジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等である。
【0059】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類、高級アルコールのエステル塩類、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、アセチレングリコールおよびそのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、およびポリオキシエチレンラウリルエーテルに加えて、サーフィノール104、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノールTG(Air Products and Chemicals Inc.製)、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)等である。
【0060】
界面活性剤は、インク総量の0.01〜10質量%程度の量で含有されていれば、何等不都合を伴なわずに効果を発揮することができる。界面活性剤の量は、インク総量の0.1〜5質量%の範囲内がより好ましい。
【0061】
上述の界面活性剤のうち、例えばノニオン界面活性剤などは、顔料分散体を調製するための分散剤として用いることができる。
【0062】
本実施形態の水性インクジェットインクには、必要に応じて、防腐剤・防かび剤を配合することができる。防腐剤・防かび剤としては、例えば、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩、デヒドロ酢酸ナトリウム、および2−フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0063】
なかでも、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩が好ましく、かかる化合物はプロキセル(商品名)として(アビシア社)から市販されている。
【0064】
防腐・防かび剤は、インク総量の0.001〜3質量%程度の量で含有されていれば、何等不都合を伴なわずにその効果を発揮することができる。防腐・防かび剤の量は、インク総量の0.01〜1質量%がより好ましい。
【0065】
本実施形態の水性インクジェットインクには、酸化防止剤が含有されることが好ましい。酸化防止剤の効果について、本発明者らは次のように考察した。水性インクジェットインクは、輸送の際などに50℃以上の高温にさらされることがある。その場合、一般式(1)で表わされるポリオキシエチレングリセリルエーテルにおいては、エチレンオキシド基が切断されて酸が発生する。酸化防止剤により酸の発生が抑制され、熱履歴によるpHなどのインク物性の変動が抑制される。その結果、インクの保存安定性が高められる。
【0066】
上述したようなエチレンオキシド基の切断は、大気にさらされた際にも生じることがある。用紙に印刷されると、本実施形態にかかる水性インクジェットインクは大気にさらされることから、エチレンオキシド基の切断は時間の経過とともに進行する。エチレンオキシド基の切断によって生じた酸は、セルロース繊維中に新たな水素結合を形成し、その結果、用紙の変形が増大する。酸化防止剤により酸の発生が抑制され、新たな水素結合の形成も低減される。こうして、印刷後に時間が経過した場合でも、カール等の用紙の変形を抑制することができる。
【0067】
酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、およびりん系酸化防止剤等が挙げられる。
【0068】
フェノール系酸化防止剤としては、耐候性および水分散体の安定性の点から、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、および2,6−ジ―tert―ブチル−p−クレゾール(BHT)等が好ましい。
【0069】
アミン系酸化防止剤としては、例えばフェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、およびN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
【0070】
硫黄系酸化防止剤としては、例えばジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、およびジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
【0071】
リン系酸化防止剤としては、例えばトリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイトおよびトリノニルフェニルフォスファイト等が好ましい。
【0072】
その他の酸化防止剤としては、アスコルビン酸またはそのアルカリ金属塩、ジブチルヒドロキシトルエンやブチルヒドロキシアニソール等の立体障害フェノール化合物、クエン酸イソプロピル、dl−α−トコフェロール、ノルジヒドログアイアレチン酸、および没食子酸プロピル等が挙げられる。
【0073】
上述した酸化防止剤の中では、フェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸またはその塩が好ましく、2,6−ジ―tert―ブチル−p−クレゾール(BHT)、アスコルビン酸が特に好ましい。
【0074】
酸化防止剤は、インク総量の0.01〜1質量%で含有されていれば、何等不都合を伴なうことなく所望の効果が得られる。酸化防止剤の含有量は、インク総量の0.05〜0.5質量%がより好ましい。
【0075】
本実施形態の水性インクジェットインクには、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチレート系、シアノアクリレート系、およびニッケル錯塩系などの紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系などの光安定化剤;キノリン系およびフェニレンジアミン系などのオゾン劣化防止剤等を、さらに添加することもできる。
【0076】
上述した添加剤は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。こうした添加剤を配合することによって、インクの保存安定性や得られる印字画像の品質がさらに高められる。
【0077】
以下に、水性インクジェットインクの具体例を示す。
【0078】
水、水溶性有機溶媒、界面活性剤および色材を配合して、インクサンプルを得た。下記表1には、各インクサンプル中における水および水溶性有機溶媒の質量%をまとめる。インクサンプルの残部は、界面活性剤および色材としての顔料である。
【表1】

【0079】
界面活性剤としてはサーフィノール465(日信化学工業製)を用い、その量はインクサンプル総量の1質量%とした。
【0080】
色材は自己分散型の顔料分散体の状態で加えた。用いた顔料分散体は、カーボンブラック分散液CAB−JET−300(キャボット社製)であり、カーボンブラックが水中に分散されている。顔料の平均粒径は120nm程度である。顔料分散体に含まれる水の量は、上記表1中の水の量に含まれている。
【0081】
インクサンプルの調製にあたっては、まず、それぞれの処方で各成分を混合し、スターラーで1時間攪拌した。その後、1μmのメンブレンフィルターでろ過して、サンプルを得た。
【0082】
なお、水溶性有機溶媒は、それぞれ以下の化合物を表わす。
【0083】
AO1:ユニオックスG450(日油製)
AO2:ユニオックスG750(日油製)
AO3:グリセリン
ユニオックスG450およびユニオックスG750は、いずれも下記一般式(1)で表わされる化合物である。
【化4】

【0084】
ユニオックスG450は、上記一般式(1)における(a+b+c)が約8であり、ユニオックスG750は、上記一般式(1)における(a+b+c)が約15である。
【0085】
得られたインクサンプルについて粘度を測定した。粘度の測定には、コーンプレート型粘度計VISCOMETER TV−22(東機産業社製)を用いた。粘度の測定は、0.8°×R24のコーンロータを用いて、25℃20rpmの条件で行なった。
【0086】
各インクサンプルの粘度を、下記表2にまとめる。
【表2】

【0087】
得られたインクサンプルについて、用紙のカール抑制能を調べた。評価方法は、以下のとおりである。
【0088】
東芝テックピエゾヘッドCF1を搭載したインクジェット記録装置により、100dutyで普通紙にベタ印刷を行なって印刷物サンプルを得た。普通紙としては東芝コピーペーパー紙を用いた。印刷直後の印刷物サンプルを平らな机の上におき、1分後に印刷物サンプルの四隅が机の面から持ち上がった高さを定規で測定した。以下の判断基準により、印刷直後のカール抑制能を判断した。
【0089】
A:10mm未満
B:10mm以上20mm未満
C:20mm以上
カール高さが20mm未満であれば、実用上問題ないので、印刷直後のカール抑制能は良好であるといえる。
【0090】
印刷直後のカール抑制能を評価した印刷物サンプルを、25℃55RHの恒温槽中に保存した。3日経過後の印刷物サンプルについて、前述と同様にしてカール抑制能を調べた。前述と同様の評価基準により、3日経過後のカール抑制能を判断した。
【0091】
また、印刷直後の用紙変形の有無を、実機における紙搬送性により評価した。インクジェット記録装置を用いて、前述と同様の普通紙にベタ画像を形成した。ここで用いたインクジェット記録装置は、東芝テックピエゾヘッドCF1を搭載し、搬送速度は100ppm相当である。1画素を形成するために、1つのノズルから4pl(ピコリットル)のインクを連続的に3滴吐出させて、同一位置に着弾させる。600dpi(ドット/インチ)で、片面全面にベタ画像を形成した。
【0092】
紙搬送性は、以下の基準で評価した。用紙の搬送が可能であれば、合格である。
【0093】
A:紙つまりがなく用紙搬送可能であり、カールは10mm未満
B:紙つまりがなく用紙搬送可能であり、カールは20mm未満
C:紙つまりにより用紙搬送不可能
さらに、両面印字の際の紙搬送性についても評価した。両面印刷にあたっては、前述の条件で片面印刷が行なわれた用紙を自動で再度給紙し、裏面にも同様の条件で印刷を行なった。紙搬送性は、以下の基準で評価した。
【0094】
A:紙つまりがなく用紙搬送可能
B:排紙が不揃いであるものの、用紙の搬送は可能
C:紙つまりにより用紙搬送不可能紙搬送性の評価をカール抑制能とともに、下記表3にまとめる。
【表3】

【0095】
上記表3に示されるように、No.1〜6,8,10のインクサンプルは、カール抑制能は良好であり、用紙の搬送能も合格レベルである。これらのインクサンプルは、いずれも水の量がインク総量の41〜70質量%の範囲内であり、水溶性有機溶媒の量はインク総量の20〜53質量%である。しかも、水溶性有機溶媒は特定のポリオキシエチレングリセリルエーテルを含有し、かかるポリオキシエチレングリセリルエーテルはインク総量の10質量%以上50質量%未満を占めている。
【0096】
No.1〜6のインクサンプルは、65℃の恒温槽中で1週間保存した後においても、粘度の増加率が10%未満であった。これは、保存安定性が優れていることを意味する。上記表1に示されるように、水溶性有機溶媒と同等かそれより多い量で水が含有される場合には、インクサンプルの保存安定性も高められることが確認された。
【0097】
No.7のインクサンプルは、経時のカール抑制能に加えて、両面印刷時の用紙搬送能が劣っている。上記表1に示されるように、No.7のインクサンプルにおいては、ポリオキシエチレングリセリルエーテルとしてのユニオックスG450の量がインク総量の9質量%である。ポリオキシエチレングリセリルエーテルが少ないことが、原因であると推測される。
【0098】
No.9のインクサンプルは、全ての特性がNGである。このNo.9のインクサンプルにおいては、ポリオキシエチレングリセリルエーテルとしてのユニオックスG750の量が5質量%であることが、上記表1に示されている。No.7の場合よりもさらにポリオキシエチレングリセリルエーテルが少ないので、所望の特性が得られない。
【0099】
No.11のインクサンプルは、全ての特性がNGである。このNo.11のインクサンプルにおいては、水の量がインク総量の75質量%と多いので、用紙の変形を抑制できない。
【0100】
用紙の変形を抑制して画像を形成できる水性インクジェットインクを得るには、インク総量の41〜70質量%の水と、インク総量の20〜53質量%の水溶性有機溶媒とが含有されなければならない。しかも、所定のポリオキシエチレングリセリルエーテルが、インク総量の20〜50質量%を占めることが必要である。No.1〜6,8および10のインクサンプルは、この条件を全て備えているので、所望の特性が得られた。
【0101】
本実施形態の水性インクジェットインクは、カールなどの紙媒体の変形を引き起こさずに紙媒体に画像を形成することが可能である。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
p…用紙; 100…用紙カセット; 101…用紙カセット; 102…給紙ローラ
103…給紙ローラ; 104…搬送ローラ対; 105…搬送ローラ対
106…レジストローラ対; 107…搬送ベルト; 108…駆動ローラ
109…従動ローラ; 110…ファン; 111…負圧チャンバ
112…搬送ローラ対; 113…搬送ローラ対; 114…搬送ローラ対
115C,115M,115Y,115Bk…インクジェットヘッド
116C,116M,116Y,116Bk…インクカートリッジ
117…チューブ; 118…排紙トレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
総量の2〜20質量%の色材と、
総量の41〜70質量%の水と、
総量の20〜53質量%の水溶性有機溶媒とを含有する水性インクジェットインクであり、前記水溶性有機溶媒は、下記一般式(1)で表わされる化合物を含み、下記一般式(1)で表わされる化合物は、前記水性インクジェットインク総量の20〜50質量%を占め、この化合物の量が前記水溶性有機溶媒の量と等しい場合には、前記水溶性有機溶媒の全量が下記一般式(1)で表わされる化合物であり、前記色材と前記水と前記水溶性有機溶媒との合計は前記水性インクジェットインクの100質量%以下であることを特徴とする水性インクジェットインク。
【化1】

(a,bおよびcは、それぞれ同一でも異なっていてもよく1以上の整数であり、3≦a+b+c≦15を満たす。)
【請求項2】
前記水性インクジェットインクは25℃における粘度が5〜30mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の水性インクジェットインク。
【請求項3】
前記水溶性有機媒体の量は、前記水の量を超えないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
【請求項4】
紙媒体をインクジェットヘッドの方向に搬送する搬送ローラと、
前記紙媒体に向けて水性インクジェットインクを吐出して画像を形成するインクジェットヘッドと、
前記画像が形成された紙媒体を排出する排出ローラとを備えるインクジェット記録装置であって、
前記水性インクジェットインクは
前記水性インクジェットインク総量の2〜20質量%の色材と、
前記水性インクジェットインク総量の41〜70質量%の水と、
前記水性インクジェットインク総量の20〜53質量%の水溶性有機溶媒,前記水溶性有機溶媒は、下記一般式(1)で表わされる化合物を含み、下記一般式(1)で表わされる化合物は、前記水性インクジェットインク総量の20〜50質量%を占め、この化合物の量が前記水溶性有機溶媒の量と等しい場合には、前記水溶性有機溶媒の全量が下記一般式(1)で表わされる化合物であり、前記色材と前記水と前記水溶性有機溶媒との合計は前記水性インクジェットインクの100質量%以下であるインクジェット記録装置。
【化2】

(a,bおよびcは、それぞれ同一でも異なっていてもよく1以上の整数であり、3≦a+b+c≦15を満たす。)
【請求項5】
前記搬送ローラは、前記紙媒体を、50ppm以上の速度で搬送することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−36389(P2012−36389A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165581(P2011−165581)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】