説明

水性カーボンブラック分散液およびその製造方法、水性インク

【課題】 普通紙に対しては高いO.D.値を与え、専用紙、特に光沢を有する基材を具備する紙もしくはフィルムに対しては高い光沢性を与え、かつ長期放置しても物性が大きく変化することのない、すなわち経時安定性に優れる水性カーボンブラック分散液およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の水性カーボンブラック分散液は、少なくともA)表面改質カーボンブラック、B)HLB値が7〜18の範囲であり、かつアセチレン骨格を有するノニオン系界面活性剤、とを含有する水性カーボンブラック分散液であって、上記表面改質カーボンブラックの50%平均粒子径が40〜90nmの範囲であり、上記表面改質カーボンブラックの固形分含有量が10〜30wt%であり、かつ25℃における表面張力が30〜55mN/mの範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面改質水性カーボンブラック分散液およびその製造方法に関する。より詳細には、普通紙に対しては高いO.D.値を与え、専用紙、特に光沢を有する基材を具備する紙もしくはフィルムに対しては高い光沢性を与え、かつ長期放置しても物性が大きく変化することのない、すなわち経時安定性に優れる表面改質水性カーボンブラック分散液およびその製造方法に関する。またその水性カーボンブラック分散液を使用して調整された水性インク、ならびにそのインクを使用してなされることを特徴とする記録方法および記録物に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー用カーボンブラックは、筆記具や転写記録、インクジェットインク、電子写真トナーなどに幅広く使用されているが、その各々の用途に対して、より好ましい特性を得るための改良が続けられている。例えばインクジェット記録用色剤として用いられるカーボンブラックを例に取ると、耐水性、耐候性を染料インクに対して飛躍的に向上させる目的で種々開発、実用化がなされている。例えば、カーボンブラックを界面活性剤や高分子分散剤で分散した水性顔料インクが提案されている。しかしながらこれらのインクでは、記録物の印字濃度を上げる為に着色剤のインク含有量を増やすと、それに伴いインク粘度も急激に増加してしまう場合がある。またカーボンブラックをインク中に安定に分散させるためには過剰の界面活性剤または高分子分散剤が必要であり、起泡発生や消泡性低下を原因とする印字安定性の悪化を引き起こす場合がある、という課題を有する。
【0003】
一方で、カーボンブラック表面に一定量以上の表面活性水素あるいはその塩を導入して、界面活性剤や高分子分散剤等の分散剤がなくてもカーボンブラック単独で水系溶媒に分散させることができる、表面改質カーボンブラック分散液や、カーボンブラック表面にスルホン酸基を導入する方法が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。このような分散剤を必要としない、いわゆる自己分散型顔料は、着色剤としてインクに用いた場合、画像のO.D.値(光学濃度)が高くなる、またインク中の粘度を適正な範囲に合わせやすいため取り扱いが容易である、分散剤と種々の添加溶媒との相溶性を考慮する必要がない、等のメリットが大きい。カーボンブラック表面に結合してなる親水性官能基としては、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基、アンモニウム基等が提案されている。
【0004】
一方近年になり、普通紙の高O.D.値化のみならず専用紙、特に光沢を有する基材を具備する紙もしくはフィルムに対して高い光沢性を与えるインクが求められている。一般に、上述した高分子分散剤で分散した水性顔料分散液を使用すると、その成膜性に由来して、高い光沢性を与え易いが、逆に普通紙のO.D.値が低下し易い。また、表面改質顔料であっても、その顔料粒子の平均粒子径を120nm以下、より好ましくは90nm以下にすることで、普通紙のO.D.値を大きくは下げずに光沢性を与えることが知られている。
【0005】
表面改質顔料において顔料粒子の平均粒子径を小さくすることは、単位重量あたりの表面積が増大し、その結果として、水系分散において重要な役割を果たしている表面官能基の単位表面積あたりの存在量が低下することを意味する。したがって、低粒子径の表面改質顔料は、分散が不安定になりやすく経時的に増粘・増粒・沈降等の問題が発生する場合があった。特に近年のインクジェット用インクに適用されるカーボンブラックの場合、普通紙上の高O.D.値化の要求に対する方策として、インク中の顔料濃度が増加する傾向がある。この場合は、カーボンブラック粒子間の平均距離が急激に小さくなるため、さらに分散が不安定になりやすいという課題がある。
【0006】
【特許文献1】特公平6−8437号公報
【特許文献2】特公平8−30200号公報
【特許文献3】特開平4−261476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的とするところは、普通紙に対しては高いO.D.値を与え、専用紙、特に光沢を有する基材を具備する紙もしくはフィルムに対しては高い光沢性を与える水性インクに好適に適用される表面改質カーボンブラック分散液、およびその製造方法を提供することにある。本発明のカーボンブラック分散液は顔料粒子の平均粒子径が40〜90nmと小さいにも関わらず優れた経時安定性を示すものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討の結果、平均粒子径が特定の範囲である表面改質カーボンブラックと特定要件の界面活性剤とを少なくとも含有し、かつ表面張力を特定の範囲に調整することで、前記課題を解決するカーボンブラック分散液を製造し得るとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。すなわち本発明の構成は以下の通りである。
【0009】
(1)本発明の水性カーボンブラック分散液は、少なくともA)表面改質カーボンブラック、B)HLB値が7〜18の範囲であり、かつアセチレン骨格を有するノニオン系界面活性剤、とを含有する水性カーボンブラック分散液であって、上記表面改質カーボンブラックの50%平均粒子径が40〜90nmの範囲であり、上記表面改質カーボンブラックの固形分含有量が10〜30wt%であり、かつ25℃における表面張力が30〜55mN/mの範囲であることを特徴とする。
【0010】
(2)本発明の水性カーボンブラック分散液は、前記(1)に記載の水性カーボンブラック分散液であって、前記ノニオン系界面活性剤が、その分子中にエチレンオキサイドの繰り返し構造を有し、かつそのエチレンオキサイドの分子中の含有割合が35〜90wt%であることを特徴とする。
【0011】
(3)本発明の水性カーボンブラック分散液は、前記(1)または(2)に記載の水性カーボンブラック分散液であって、前記表面改質カーボンブラックとノニオン系界面活性剤の重量比率が、90:1〜3:2の範囲であることを特徴とする。
【0012】
(4)本発明の水性カーボンブラック分散液は、前記(1)〜(3)に記載の水性カーボンブラック分散液であって、グリセリン、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテルからなる群より選ばれる1種または2種以上の水溶性有機溶剤をさらに含有することを特徴とする。
【0013】
(5)本発明の水性カーボンブラック分散液の製造方法は、水性カーボンブラック分散液を製造する方法であって、少なくともa)カーボンブラックを酸化処理して表面改質する工程、b)得られたスラリを濃縮または希釈して顔料濃度を調整する工程、c)HLB値が7〜18の範囲であり、かつアセチレン骨格を有するノニオン系界面活性剤を添加・混合する工程、とを別個に、または並行して行うことを特徴とする。
【0014】
(6)本発明の水性インクは、前記(1)〜(4)に記載の水性カーボンブラック分散液を用いて製造される水性インクであって、全インク量に対する表面改質カーボンブラックの配合量が1〜12wt%の範囲であることを特徴とする。
【0015】
(7)本発明の水性インクは、前記(6)に記載の水性インクであって、インクジェット記録用であることを特徴とする。
【0016】
(8)本発明の記録方法は、インクを付着させて記録媒体に印字を行う記録方法であって、インクとして前記(6)または(7)のいずれかに記載の水性インクを用いることを特徴とする。
【0017】
(9)本発明のインクジェット記録方法は、インクの液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、インクとして前記(7)に記載の水性インクを用いることを特徴とする。
【0018】
(10)本発明の記録方法は、前記(8)または(9)に記載の記録方法であって、前記記録媒体が光沢を有する基材を具備する紙もしくはフィルムであることを特徴とする。
【0019】
(11)本発明の記録物は、前記(8)〜(10)のいずれかに記載の記録方法によって記録が行われたことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明について、その好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】
本発明の水性カーボンブラック分散液は、少なくともA)表面改質カーボンブラック、B)HLB値が7〜18の範囲であり、かつアセチレン骨格を有するノニオン系界面活性剤、とを含有する水性カーボンブラック分散液であって、上記表面改質カーボンブラックの50%平均粒子径が40〜90nmの範囲であり、上記表面改質カーボンブラックの固形分含有量が10〜30wt%であり、かつ25℃における表面張力が30〜55mN/mの範囲であることを特徴とする。
【0022】
以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0023】
本発明における表面改質カーボンブラックとは、着色剤として水性分散液中に含有されるものであり、カーボンブラック表面に多数の親水性官能基および/またはその塩(以降、分散性付与基という)を、直接またはアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させたもので、分散剤なしに水性媒体中に分散および/または溶解することが可能なカーボンブラックである。ここで「分散剤なしに水性媒体中に分散および/または溶解」とは、顔料が前述のような分散剤を用いなくても水性媒体中に分散可能な最小粒子径で安定に存在している状態をいう。ここで「分散可能な最小粒子径」とは、分散時間を増してもそれ以上小さくならない顔料の粒子径をいう。
【0024】
前記表面改質カーボンブラックの表面に結合される分散性付与基としては、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン基、燐酸基および第4級アンモニウム、およびそれらの塩が例示できる。また前記表面改質カーボンブラックの原料となるカーボンブラックとしてはカラー用カーボンブラックとして一般に市販されているものを使用することができる。具体的には、pHによって分類すると酸性カーボンブラック、中性カーボンブラック、塩基性カーボンブラックであり、また製造法で分類すると、ファーネス式カーボンブラック、チャンネル式カーボンブラック、アセチレン式カーボンブラック、サーマル式カーボンブラックのいずれをも用いることが可能である。本発明における前記表面改質カーボンブラックは、前記のカーボンブラックの分類の中でも特に酸性カーボンブラックを酸化処理して得られたものであることが好ましい。通常カーボンブラックの酸化処理は、原料カーボンブラックを粉砕する工程と、粉砕されたカーボンブラックを酸化する工程が引き続いて、または、ほぼ同時に行われ、両方の工程で酸化剤が必要となる。酸性カーボンブラックは表面にカルボキシル基等の親水性基が多いため、水系媒体になじみやすく粉砕が容易である。そのため、粉砕時の酸化剤が不要であり、酸化処理に使用する酸化剤の量を少なくすることができる。
【0025】
また、本発明の表面改質カーボンブラックは、50%平均粒子径が40〜90nmの範囲に調整されることが好ましい。50%平均粒子径は、たとえば以下のようにして測定される。すなわち、水性カーボンブラック分散液を、表面改質カーボンブラックの濃度が0.02重量%程度になるようにイオン交換水で希釈・調整した希薄水分散体を用いて、粒度分布計MICROTRAC UPA−150(マイクロトラック社製)で粒度分布を測定する。得られた粒度分布において、累積分率が50%となるときの粒子径を求めて、その値を50%平均粒子径とする。50%平均粒子径が40nmに満たない場合、普通紙や再生紙等に記録した場合のO.D.値が低くなり好ましくない。また、カーボンブラックの単位重量あたりの相対的な表面積が急激に大きくなることによって、分散を安定状態に保つことが難しくなる場合がある。この場合は、経時的に物性が大きく変動したり、例えばインクジェット用インクに適用した場合にノズル細孔を目詰まりさせたりする、などの重大な不具合が発生する恐れがある。一方で50%平均粒子径が90nmを超えた場合、専用紙、特に光沢を有する基材を具備する紙もしくはフィルムに対して記録を行った際に、十分な光沢性が得られない恐れがある。すなわち、50%平均粒子径を40〜90nmの範囲に調整することによって、普通紙上でのO.D.値と専用紙上での光沢性とをバランスよく両立することができる。また、後述するように、特定要件の界面活性剤をさらに含有し、表面張力を特定範囲内に調整することにより、上記の記録品質の両立に加えて、カーボンブラックの分散安定性を高いレベルで付与することが可能となる。
【0026】
表面改質カーボンブラックの50%平均粒子径の調整は、表面改質を施すカーボンブラック原末の種類、分散機種や分散強度、分散時間などの分散条件、表面改質剤種や量などの表面改質条件等を適宜組み合わせて調整することで達成される。特にカーボンブラック原末のパラメータ、中でも1次粒子径、比表面積、吸油量等が大きな因子であると考えられる。本発明において好適に使用されるカーボンブラック原末の具体的な例としては、#45、#45L、#47(以上、三菱化学株式会社製)、プリンテックス75(以上、デグサ社製)などが挙げられる。なお、これら記載は本発明に好適に使用されうるカーボンブラック原末の一例であり、これらの例示によって本発明が限定されるものではない。
【0027】
本発明の水性カーボンブラック分散液に含有される表面改質カーボンブラックの固形分含有量は10〜30wt%の範囲であることが好ましい。この値が10wt%未満と低い場合には、該分散液と後述するその他の添加剤等を併用して水性インク組成物を調整する際に、固形分濃度の制約からその他の添加剤の添加量に制限が生じて、目的に合致する好ましいインクが配合しにくい、という課題が発生する場合がある。また一方で、この値が30wt%よりも大きい場合、後述するある特定範囲のHLB値を有するアセチレン骨格ノニオン系界面活性剤の分散安定化効果を持ってしても、十分な安定性が発現しにくくなり、凝集、沈降等の不具合が起きる恐れがある。
【0028】
前記表面改質カーボンブラックを着色剤として含有する水性分散液は、通常のカーボンブラックを分散させるために含有させる前述のような分散剤を含む必要が無いため、分散剤に起因する消泡性の低下や発泡がほとんど無く取り扱いが容易である。
【0029】
前記表面改質カーボンブラックは、例えば、カーボンブラックに物理的処理または化学的処理を施すことで、前記分散性付与基または前記分散性付与基を有する活性種を顔料の表面に結合(グラフト)させることによって製造される。前記物理的処理としては、例えば真空プラズマ処理等が例示できる。また前記化学的処理としては、例えば水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、気相中でオゾン等の酸化剤により表面を酸化する乾式酸化法、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法等が例示できる。
【0030】
本発明において、前記表面改質カーボンブラックの水性分散液中に占める含有量は12〜30wt%であることがより好ましい。さらに好ましい含有量は15〜25wt%の範囲である。近年になり、より高画質でかつ高品質なインクが求められるようになっているが、このひとつの方策としてより少ないインク使用量でより高いO.D.値を実現させるべく要求が高まってきており、この要求に伴い、インク中におけるカーボンブラック含有量は次第に大きくなる傾向にある。一方通常水性インクは、ハンドリング性等を考慮して、特定の顔料濃度を有する水性顔料分散液に、保湿剤、浸透促進剤、pH調整剤、粘度調整剤等の機能性材料を加えて混合することで製造される。上述のようなインク中のカーボンブラック含有量の増大に伴い、上記顔料分散液中のカーボンブラック含有量はさらに高いことが求められる。表面改質カーボンブラックの水性分散液中に占める含有量が12%以上である場合、上記の要求に応え易い。一方で、水性分散液中の表面改質カーボンブラック含有量が高い場合、カーボンブラック粒子間平均距離の急激な減少により分散状態が不安定となり、増粘・増粒・沈降等の不具合が発生しやすくなる。本発明においては後述する特定要件を有する界面活性剤を併用し、かつ表面張力を特定の範囲内に調整することでこの課題の解決を図ったものであるが、カーボンブラック含有量が30wt%を超えるとき、その効果が発揮されにくく、場合によっては吐出ノズル目詰まり等の不具合を生じさせる懸念がある。
【0031】
本発明の態様によれば、本発明の水性カーボンブラック分散液は、HLB値が7〜18の範囲であり、かつアセチレン骨格を有するノニオン系界面活性剤を含有してなることが好ましい。また前記ノニオン系界面活性剤が、その分子中にエチレンオキサイドの繰り返し構造を有し、かつそのエチレンオキサイドの分子中の含有割合が35〜90wt%であることがより好ましい。このような界面活性剤の例として、例えば式(1)〜式(4)の一般式で表される化合物が挙げられるが、これらの例示により本発明は何ら限定されるものではない。
【0032】
【化1】

【0033】
【化2】

【0034】
【化3】

【0035】
【化4】

【0036】
これらの特定構造のノニオン系界面活性剤が、本発明の表面改質カーボンブラック分散液中で分散安定に大きく寄与する要因は明らかではないが、以下のように推察される。すなわち、本発明の上記ノニオン系界面活性剤はその分子構造中に非常に疎水性の強いアセチレン骨格を有しているにも関わらず、HLBが7〜18であり化合物として比較的高い親水性を示す。すなわち非常に高い親水性ユニットと疎水性ユニットが分子構造中で比較的明確に分かれて存在していることがその大きな特徴の一つである。本発明で着色剤として含有される表面改質カーボンブラックは特に分散剤を必要とすることなく、カーボンブラック表面の親水性官能基と周囲の水分子との相互作用および/またはカーボンブラック表面上の電荷による粒子同士の静電反発力の作用によって、水系で分散安定を保っていると考えられる。50%平均粒径が40〜90nmの範囲である本発明の表面改質カーボンブラックにおいて、本発明の上記ノニオン系界面活性剤はその特徴的な分子構造により効率的にカーボンブラック表面に吸着し、カーボンブラックと周囲の水分子の間および/またはカーボンブラック粒子間の相互作用を安定化に向けて補助する働きをするものと考えられる。また上記ノニオン系界面活性剤は一般の高分子分散剤等に比較して非常に分子量が小さいことが、そのもう一つの構造的特長である。このため分散液中での移動がしやすく、カーボンブラック表面への効率的な吸着に寄与していると予想される。その結果として本発明のの分散系においても安定な分散状態を保ち、経時による増粘・増粒・沈降等の不具合を有効に解消し得る。本発明においては、要件を満たす界面活性剤を単独で使用することもでき、また2種類以上の化合物を併用してもよい。
【0037】
本発明に適用されるノニオン系界面活性剤は市販品をそのまま使用することもできる。好適な例として、サーフィノール440、465、485(Air Products社製)、オルフィンE1004、E1010(日信化学社製)、等が挙げられる。
【0038】
本発明の態様によれば、本発明の水性カーボンブラック分散液は25℃における表面張力が30〜55mN/mの範囲に調整されることが好ましい。表面張力がこの範囲内に調整されることにより、前記アセチレングリコール系界面活性剤の分散安定化効果がより効果的に発現される。表面張力の上記範囲内への調整は、本発明の上記アセチレングリコール系界面活性剤のみの添加で行われてもよく、また一般に水系において表面張力を調整する目的で使用される界面活性剤等をさらに適用しても良い。表面張力を調整する目的で使用される界面活性剤としては、一般的なアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤から選択できるが、発泡・起泡の少ない水性分散液を得るという観点からノニオン性界面活性剤が特に好ましい。ノニオン性界面活性剤のさらなる具体例として、アセチレンアルコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、ジメチルポリシロキサン等のシリコン系界面活性剤、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等の含フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
【0039】
本発明の態様によれば、本発明の水性カーボンブラック分散液中の前記表面改質カーボンブラックと前記ノニオン系界面活性剤の重量比率が、90:1〜3:2の範囲であることが好ましい。前記ノニオン系界面活性剤の比率がカーボンブラックに対して90:1よりも小さいとき、上述した分散安定化の効果が発現しにくくなる場合がある。また3:2よりも大きいときは、それ以上添加しても期待される効果が頭打ちになる場合が多く、また本発明の水性分散液を使用して製造される水性インクの組成を制限する可能性がある。
【0040】
本発明の水性カーボンブラック分散液はさらに、グリセリン、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテルからなる群より選ばれる1種または2種以上の水溶性有機溶剤をさらに含有することが好ましい。これらの水溶性有機溶剤をさらに含有することにより、上記表面改質カーボンブラックの分散を安定化する効果をより一層高めることができる。これは、これらの水溶性有機溶剤が、上述した前記ノニオン系界面活性剤が水系を移動して顔料表面に吸着する作用をより効率的に起させるためであると推察される。また一方で、一般に粒子を水に分散させている系が氷点下環境に放置された場合、凍結および/または融解の過程において分散が極端に不安定となり、解凍後に増粘・増粒等の不具合が生じることが多い。しかしながら本発明においては、上記水溶性有機溶剤をさらに含有することで、本発明の水性分散液が氷点下環境に放置された場合にも、凍結しにくくなり、また万が一凍結した場合でも分散が不安定になることを抑制する効果が期待できる。
【0041】
本発明に好適に使用できる上記水溶性有機溶剤は具体的に、グリセリン類として、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパンなどの固体グリセリン、アルキレングリコール類として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどが、またアルキレングリコールアルキルエーテル類として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルなどが例示できる。
【0042】
本発明に適用される上記水溶性有機溶剤の添加量に特に制限はなく、期待される分散安定効果、分散液を使用して製造される水性インクの組成による制約等を考慮して適宜決定されうる。
【0043】
本発明においては、好ましい水性カーボンブラックの製造方法も開示される。すなわち、本発明の水性カーボンブラック分散液の製造方法は、少なくともa)カーボンブラックを酸化処理して表面改質する工程、b)得られたスラリを濃縮または希釈して顔料濃度を調整する工程、c)HLB値が7〜18の範囲であり、かつアセチレン骨格を有するノニオン系界面活性剤を添加・混合する工程、とを別個に、または並行して行うことを特徴とする。
【0044】
a)カーボンブラックを酸化処理して表面改質する工程においては、例えば、空気接触による酸化法、窒素酸化物、オゾンとの反応による気相酸化法、硝酸、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウム、亜塩素酸、過塩素酸、次亜ハロゲン酸塩、過酸化水素、臭素水溶液、オゾン水溶液等の酸化剤を用いる液相酸化法、プラズマ処理等により表面を改質する方法等が例示でき、そのいずれをも好適に利用することができる。この工程ではより均一にカーボンブラックの粉砕・表面改質処理を行うために、負荷の高い分散機や高速攪拌機などを用いることができる。具体的な分散機または粉砕機としては、ジェットミル、ボールミル、アトライター、フーロジェットミキサー、インペラーミル、コロイダルミル、サンドミル(例えば、「スーパーミル」、「アジテーターミル」、「ダイノーミル」、「ビーズミル」の商品名で市販のもの)等が例示できる。得られた分散体は、粗大粒子や不純物等を取り除くために、金属メッシュ濾過、限外濾過、遠心分離機やフィルター等を用いて精製しても良い。特にインクジェット用水性インクの製造を目的とした水性カーボンブラック分散液を製造する場合、微細なノズル目詰まり等の不具合の要因となり得るため、このような精製工程を行うことがより好ましい。また、得られた表面改質カーボンブラックの表面にはカルボキシル基やスルホン酸基などのイオン性官能基が多く存在する。得られた分散体のpH調整や上記イオン性官能基の中和の目的で、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等)、アンモニア(水)、各種のアミン化合物(ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等)等を使用した中和工程を引き続き行うことも有用である。
【0045】
b)得られたスラリを濃縮または希釈して顔料濃度を調整する工程では、水相酸化法においては、得られた水分散体を濃縮または希釈して最終的なカーボンブラック分散液中のカーボンブラック濃度が所望の範囲になるように調整する。また気相酸化法においては、得られた表面改質カーボンブラックを水に分散し所望の濃度に調整することもできる。なお、上記工程a)で記載した中和工程を本工程b)において行うことも可能である。
【0046】
c)HLB値が7〜18の範囲であり、かつアセチレン骨格を有するノニオン系界面活性剤を添加・混合する工程では、上述した特定の界面活性剤を、製造した水性分散液に添加し十分に混合する。これにより50%平均粒径が40〜90nmの範囲である本発明の表面改質カーボンブラックにおいても、経時による増粘・増粒・沈降などの不具合を抑制することができる。上記特定のノニオン系界面活性剤は1種類を単独で使用してもよく、また2種類以上を併用することも可能である。ここで使用する混合機としてはディゾルバなどの混合機のほかに、上述したジェットミル、ボールミル、アトライター、フーロジェットミキサー、インペラーミル、コロイダルミル、サンドミル等の分散機、粉砕機も好適に使用できる。混合時間、温度等の条件はカーボンブラックの種類と使用する界面活性剤との組み合わせや製造スケール等により適宜決定される。
【0047】
以上詳細に説明した工程a)、b)およびc)は、別個順次に行われてもよく、または並行同時に行われても良い。いずれの場合でも本発明の好ましい表面改質カーボンブラック分散液を好適に製造できる。
【0048】
本発明においては、好ましい水性インクについても開示される。すなわち本発明の水性インクは、以上詳細に説明してきた表面改質カーボンブラック分散液を用いて製造される水性インクであって、全インク量に対する表面改質カーボンブラックの配合量が1〜12wt%の範囲であることを特徴とする。本発明の水性分散液を使用することで、容易に表面改質カーボンブラックの配合量が1〜12wt%の水性インクを設計、調整することができる。本発明において、表面改質カーボンブラックの配合量を1〜12wt%の範囲に調整することによって、普通紙上でのO.D.値と専用紙上での光沢性とをバランスよく両立することができる。ここでインク中のカーボンブラック配合量が1wt%未満であるとき、プリントしたときのO.D.値が低く、所望の品質に満たない場合がある。また12wt%よりも大きいとき、それ以上カーボンブラックを増やしてもO.D.値は頭打ちになり上がらない場合があることに加え、専用紙上に記録した際の光沢性が大きく劣化する場合がある。また、急激なインクの初期粘度上昇によるプリント時吐出不安定等の不具合が発生する場合がある。
【0049】
本発明の水性インクは、上述した本発明の表面改質カーボンブラック分散液に、必要に応じて保湿剤、浸透促進剤、定着剤、pH調整剤、粘度調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤等を適宜添加・混合することで製造される。
【0050】
保湿剤は一般に耐目詰まり性や間欠印刷時の吐出不良を抑止することを目的に添加される材料であり、一般に水溶性かつ吸湿性の高い材料から選ばれる。保湿剤の例としては、前述したグリセリン、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパンなどの固体グリセリン等のグリセリン類や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのアルキレングリコール類がこの目的に対しても有効に機能することが知られている他、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等のポリオール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクラム類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等の糖類、等が例示できる。これらの保湿剤の使用量は特に限定されないが、一般には0.5〜50重量%の範囲である。
【0051】
浸透促進剤は、記録媒体への濡れ性を向上することで浸透性を早めることを目的に添加される材料であり、一般に水溶液の表面張力が小さくなる水溶性有機溶剤や界面活性剤等から選ばれる。浸透促進剤の添加により高速印刷に対応することが可能になる他、普通紙や再生紙等の様々な紙種に対して同様に優れた印刷品質を与えるインクを提供できる。浸透促進剤の例としては、前述したジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールアルキルエーテル類がこの目的に対しても有効に機能することが知られている他、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、1,2−ヘキサンジオ−ル、1,2−オクタンジオール等の1,2−アルキルジオール類等が例示できる。また、界面活性剤としては、本発明の要件であるアセチレン骨格を有するノニオン系界面活性剤がこの目的に対しても有効に機能することが知られている他、脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等を用いることもできる。
【0052】
定着剤は本発明のインクを用いて印刷を行った際の印刷物の耐水性、耐摩擦性、耐溶剤性等を高めることを目的に添加される材料であり、一般に水溶性の樹脂類や水性エマルジョン、水性ポリマー微粒子等から選ばれる。水溶性の樹脂類としては、水溶性ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−マレイン酸半エステル樹脂、アクリル酸−アクリル酸エステル樹脂、イソブチレン−マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチ、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン等が例示できる。水性エマルジョンや水性ポリマー微粒子としては、スチレン−アクリル酸エマルジョン、アクリル酸エマルジョン等が例示できる。これらの定着剤の使用量は特に限定されないが、一般には0.5〜50重量%の範囲である。
【0053】
pH調整剤はインクのpHを所望の範囲内に設定する目的で添加される材料であり、従来から水性インクに用いられているものを特に制限なく利用することができる。具体的には、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類等が例示できる。これらは前述した顔料の中和工程で使用される材料と同じ例示であるが、同種のものを使用してもよく、また異種の材料を組み合わせて使用することも可能である。また、この目的に対して、上述の材料の他にも、一般にpH緩衝剤として知られているコリジン、イミダゾール、燐酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ほう酸等も好適に使用可能である。これらの材料を使用して調整されるインクのpHは、他部材とのマッチングや印刷品質等を考慮して適宜決定される。
【0054】
酸化防止剤・紫外線吸収剤としては、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩等、チバガイギー社製のTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物等が用いられる。
【0055】
防腐剤・防かび剤としては、例えば安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(アビシア社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)などの中から選ぶことができる。
【0056】
本発明の水性インキは、筆記具用、スタンプ用等のような各種のインキとしても用いられる。特に、水性ボールペン等の筆記用インキ組成物として使用した場合に記録・筆記特性が良好で筆跡ムラのない筆記ができ、また、速記した場合に文字がかすれることはない。また本発明の水性インキは、インキの液滴を吐出し、前記液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録用インキとして、更に好適に使用することができる。
【0057】
本発明のインクジェット記録方法は、インキを微細なノズルより液滴として吐出して、その液滴を記録媒体に付着させるいかなる方式も使用することができる。
【0058】
その幾つかを説明する。先ず静電吸引方式がある。この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印可し、ノズルからインキを液滴状で連続的に噴射させ、インキ滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、あるいはインキ滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式がある。
【0059】
第二の方法としては、小型ポンプでインキ液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインキ滴を噴射させる方式である。噴射したインキ滴は噴射と同時に帯電させ、インキ滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
【0060】
第三の方法は圧電素子を用いる方式であり、インキに圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インキ滴を噴射・記録させる方式である。
【0061】
第四の方式は熱エネルギーの作用によりインキを急激に体積膨張させる方式であり、インキを印刷情報信号に従って微小電極で加熱発泡させ、インキ滴を噴射・記録させる方式である。
【0062】
以上のいずれの方式も本発明の水性インキを用いたインクジェット記録方法に使用することができる。
【0063】
本発明の記録方法は、光沢を有する基材を具備する紙もしくはフィルムからなる記録媒体を用いて行われることがより好ましい。本発明に適用される平均粒子径が40〜90nmの範囲である表面改質カーボンブラックは、上記光沢性記録媒体に記録した際の光沢性が優れる。
【0064】
本発明の記録物は、少なくとも上記水性インクを用いて記録が行われて得られたものである。この記録物は、本発明の水性インクを用いることにより、普通紙である場合には高いO.D.値を示し、専用紙、特に光沢を有する基材を具備する紙もしくはフィルムである場合には高い光沢性を示す。
【0065】
<実施例>
以下、本発明の水性カーボンブラック分散液および水性インクについて実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0066】
(水性カーボンブラック分散液の製造)
【実施例1】
【0067】
(カーボンブラック分散液1;本発明の適用範囲内のカーボンブラック分散液)
市販の酸性カーボンブラックであるPrintex75(Degusa社製) 400gをイオン交換水4400gに加え、ディゾルバーで30分間攪拌した。その後攪拌速度を上げながら、5.5〜6.0wt%濃度に調整されたオゾンガスを毎分4.5リットルの流速で容器内に注入して、約3時間反応を行った。この反応液にNaOHを添加・攪拌してpHを約7に調整した後、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製)で約5時間循環させて分散を行った。ここで得られた分散液にさらにNaOHを添加してpHを7付近に調整した後、金属メッシュフィルター(400メッシュ)および限外濾過膜による精製を経てから、顔料濃度が13wt%になるまで濃縮した。この濃縮液100部に対してそれぞれ1.95部および28.05部のサーフィノール465(Air Products社製)およびイオン交換水を添加・攪拌して、顔料濃度10wt%、サーフィノール465濃度1.5wt%の最終分散液を得た。これをカーボンブラック分散液1とする。分散液1の表面張力を25℃環境において測定したところ39mN/mであった。また、前述の方法で50%平均粒子径を測定したところ、71nmであった。なお、ここで使用したサーフィノール465は、分子中にエチレンオキサイドの繰り返し構造を65wt%の割合で含有し、HLB値が13であるアセチレン骨格のノニオン系界面活性剤である。
【実施例2】
【0068】
(カーボンブラック分散液2;本発明の適用範囲内のカーボンブラック分散液)
反応液の濃縮工程まではカーボンブラック分散液1と同様の製法にて、顔料濃度が20wt%の濃縮液を得た。この濃縮液100部に対してそれぞれ6.67部、2.00部、4.00部、20.66部のグリセリン、サーフィノール465、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、およびイオン交換水を添加・攪拌して、顔料濃度15wt%、グリセリン濃度5wt%、サーフィノール465濃度1.5wt%、トリエチレングリコールモノブチルエーテル濃度3wt%の最終分散液を得た。これをカーボンブラック分散液2とする。分散液2の表面張力を25℃環境において測定したところ33mN/mであった。また、前述の方法で50%平均粒子径を測定したところ、70nmであった。
【実施例3】
【0069】
(カーボンブラック分散液3;本発明の適用範囲内のカーボンブラック分散液)
市販の酸性カーボンブラックである#45(三菱化学社製)100gを水1kgに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液に次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度 12%)1400gを滴下して、ボールミルで粉砕しながら5時間反応させ、さらに攪拌しながら4時間煮沸して湿式酸化を行った。得られた分散原液をガラス繊維ろ紙GA−100(商品名、アドバンテック東洋株式会社製)でろ過して、さらに水で洗浄した。このウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜にて電導度2mS/cmまで脱塩・精製して、さらに顔料濃度13wt%まで濃縮した。この濃縮液100部に対してそれぞれ6.50部、1.30部、22.2部のトリエチレングリコール、サーフィノール485およびイオン交換水を添加・攪拌して、顔料濃度10wt%、トリエチレングリコール濃度5wt%、サーフィノール485濃度1.0wt%の最終分散液を得た。これをカーボンブラック分散液3とする。分散液3の表面張力を25℃環境において測定したところ42mN/mであった。また、前述の方法で50%平均粒子径を測定したところ、55nmであった。なお、ここで使用したサーフィノール485は、分子中にエチレンオキサイドの繰り返し構造を85wt%の割合で含有し、HLB値が17であるアセチレン骨格のノニオン系界面活性剤である。
【実施例4】
【0070】
(カーボンブラック分散液4;本発明の適用範囲内のカーボンブラック分散液)
市販の酸性カーボンブラックである#45(三菱化学社製)25gをスルホラン250g中に混合し、アイガーモーターミル(アイガージャパン社製)で約1時間製粒分散した。この混合液からエバポレータで水分を除去した後、反応槽内で三酸化硫黄250gを加えて6時間反応させた。この反応液を過剰なスルホランおよびイオン交換水で洗浄したのち濾過を行い、スルフィン基またはスルホン酸基をカーボンブラック表面に持つ表面改質顔料スラリーを得た。次いで、イオン交換水400gにp−アミノ安息香酸エチル5g、濃硝酸3gを添加して攪拌しながら5℃に冷却した。この懸濁液に上記顔料スラリーを添加し、水50g、亜硝酸ナトリウム2gからなる水溶液をゆっくり添加して10時間攪拌した後、水洗と濾過を繰り返すことで、フェニル基を介してカルボン酸エチル基を導入した表面改質カーボンブラック顔料のスラリーを得た。さらに、ポリエチレングリコール(Mw:5,000)40gとジアザビシクロウンデセン(DBU)0.5gをエタノール200gに溶かし、上記で合成した表面改質カーボンブラックをゆっくり添加攪拌した。混合物のpHを10に調製して24時間還流した後、得られた混合物をエタノールによる洗浄、濾過を繰り返して、最終的に硫黄含有分散性付与基を表面に直接導入し、さらにフェニル基を介してポリエチレンオキシドプロピレンオキシドベンズアミドを導入した表面改質カーボンブラックを得た。この表面改質カーボンブラックをイオン交換水中に分散し濃度調整をして、顔料濃度13wt%の分散体を得た。この分散体100部に対してそれぞれ1.95部、3.90部、24.15部のオルフィンE1010(日信化学株式会社製)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、およびイオン交換水を添加・攪拌して、顔料濃度10wt%、オルフィンE1010濃度1.5wt%、トリエチレングリコールモノブチルエーテル濃度3wt%の最終分散液を得た。これをカーボンブラック分散液4とする。分散液4の表面張力を25℃環境において測定したところ34mN/mであった。また、前述の方法で50%平均粒子径を測定したところ、58nmであった。なお、ここで使用したオルフィンE1010は、分子中にエチレンオキサイドの繰り返し構造を65wt%の割合で含有し、HLB値が13であるアセチレン骨格のノニオン系界面活性剤である。
【実施例5】
【0071】
(カーボンブラック分散液5;本発明の適用範囲内のカーボンブラック分散液)
市販の酸性カーボンブラックである#47(三菱化学社製)300gをイオン交換水4400gに加え、ディゾルバーで30分間攪拌した。その後攪拌速度を上げながら、5.5〜6.0wt%濃度に調整されたオゾンガスを毎分4.5リットルの流速で容器内に注入して、約3時間反応を行った。この反応液にNaOHを添加・攪拌してpHを約7に調整した後、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製)で約5時間循環させて分散を行った。ここで得られた分散液にさらにNaOHを添加してpHを7付近に調整した後、金属メッシュフィルター(400メッシュ)および限外濾過膜による精製を経てから、顔料濃度が20wt%になるまで濃縮した。この濃縮液100部に対してそれぞれ5.56部、1.67部、3.33部、0.55部のグリセリン、サーフィノール465、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、およびイオン交換水を添加・攪拌して、顔料濃度18wt%、グリセリン濃度5wt%、サーフィノール465濃度1.5wt%、トリエチレングリコールモノブチルエーテル濃度3wt%の最終分散液を得た。これをカーボンブラック分散液5とする。分散液5の表面張力を25℃環境において測定したところ33mN/mであった。また、前述の方法で50%平均粒子径を測定したところ、84nmであった。
【0072】
〔比較例1〕
(カーボンブラック分散液6;本発明の適用範囲外のカーボンブラック分散液)
市販の酸性カーボンブラックであるMA600(三菱化学社製) 400gをイオン交換水4400gに加え、ディゾルバーで30分間攪拌した。その後攪拌速度を上げながら、5.5〜6.0wt%濃度に調整されたオゾンガスを毎分4.5リットルの流速で容器内に注入して、約3時間反応を行った。この反応液にNaOHを添加・攪拌してpHを約7に調整した後、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製)で約5時間循環させて分散を行った。ここで得られた分散液にさらにNaOHを添加してpHを7付近に調整した後、金属メッシュフィルター(400メッシュ)および限外濾過膜による精製を経てから、顔料濃度が13wt%になるまで濃縮した。この濃縮液100部に対してそれぞれ1.95部および28.05部のサーフィノール465(Air Products社製)およびイオン交換水を添加・攪拌して、顔料濃度10wt%、サーフィノール465濃度1.5wt%の最終分散液を得た。これをカーボンブラック分散液6とする。分散液6の表面張力を25℃環境において測定したところ39mN/mであった。また、前述の方法で50%平均粒子径を測定したところ、172nmであった。
【0073】
〔比較例2〕
(カーボンブラック分散液7;本発明の適用範囲外のカーボンブラック分散液)
反応液の濃縮工程まではカーボンブラック分散液1と同様の製法にて、顔料濃度が10wt%の濃縮液を得た。この濃縮液をカーボンブラック分散液7とする。分散液7の表面張力を25℃環境において測定したところ69mN/mであった。また、前述の方法で50%平均粒子径を測定したところ、71nmであった。
【0074】
(分散液の保存安定性評価)
上記実施例1〜5および比較例1〜2で調整したカーボンブラック分散液1〜7各60gをそれぞれ100gプラスティックボトルに入れた後、密栓してから50℃環境下で1ヶ月放置した。放置前後のカーボンブラック分散液の粘度および平均粒子径を測定し、その変化率から以下の基準に基づいて保存安定性を判定した。
判定A; 放置による粘度、平均粒子径の変化率がともに±5%以内である場合
判定B; 放置による粘度、平均粒子径の変化率がともに±10%以内である場合
判定C; 放置による粘度、平均粒子径の変化率のいずれか一つでも±10%を超える場合
評価結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
表1から明らかなように、本発明の適用範囲内であるカーボンブラック分散液1〜5(実施例1〜5)は判定AまたはBを与え、優れた保存安定性を示す。中でもグリセリン、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテルからなる群より選ばれる1種または2種以上の水溶性有機溶剤をさらに含んでなるカーボンブラック分散液2〜5は判定Aを与え、さらに優れた保存安定性を示す。一方、本発明の要件であるHLB値が7〜18の範囲であり、かつアセチレン骨格を有するノニオン系界面活性剤を含まないカーボンブラック分散液7(比較例2)は判定Cを与え、保存安定性に劣る結果となった。
【0077】
(水性インクの調整)
【実施例6】
【0078】
(水性インク1;本発明の適用範囲内の水性インク)
実施例1で調整したカーボンブラック分散液1 60部、グリセリン12部、トリエタノールアミン1部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10部、およびイオン交換水17部を混合・攪拌した後、ポリテトラフルオロエチレン製で孔径5μmのメンブランフィルター(ミリポア社製)により濾過して、カーボンブラック濃度6wt%の水性インクを得た。これを水性インク1とする。
【実施例7】
【0079】
(水性インク2;本発明の適用範囲内の水性インク)
実施例2で調整したカーボンブラック分散液2 40部、グリセリン9.5部、トリエタノールアミン1部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル8.5部、およびイオン交換水41部を混合・攪拌した後、ポリテトラフルオロエチレン製で孔径5μmのメンブランフィルター(ミリポア社製)により濾過して、カーボンブラック濃度6wt%の水性インクを得た。これを水性インク2とする。
【実施例8】
【0080】
(水性インク3;本発明の適用範囲内の水性インク)
実施例3で調整したカーボンブラック分散液3 60部、グリセリン10部、トリイソプロパノールアミン1部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10部、およびイオン交換水19部を混合・攪拌した後、ポリテトラフルオロエチレン製で孔径5μmのメンブランフィルター(ミリポア社製)により濾過して、カーボンブラック濃度6wt%の水性インクを得た。これを水性インク3とする。
【実施例9】
【0081】
(水性インク4;本発明の適用範囲内の水性インク)
実施例4で調整したカーボンブラック分散液4 60部、グリセリン12部、トリエタノールアミン1部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10部、およびイオン交換水17部を混合・攪拌した後、ポリテトラフルオロエチレン製で孔径5μmのメンブランフィルター(ミリポア社製)により濾過して、カーボンブラック濃度6wt%の水性インクを得た。これを水性インク4とする。
【実施例10】
【0082】
(水性インク5;本発明の適用範囲内の水性インク)
実施例5で調整したカーボンブラック分散液5 50部、グリセリン10部、トリエタノールアミン1部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル2部、およびイオン交換水37部を混合・攪拌した後、ポリテトラフルオロエチレン製で孔径5μmのメンブランフィルター(ミリポア社製)により濾過して、カーボンブラック濃度9wt%の水性インクを得た。これを水性インク5とする。
【0083】
〔比較例3〕
(水性インク6;本発明の適用範囲外の水性インク)
比較例1で調整したカーボンブラック分散液6 60部、グリセリン12部、トリエタノールアミン1部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10部、およびイオン交換水17部を混合・攪拌した後、ポリテトラフルオロエチレン製で孔径5μmのメンブランフィルター(ミリポア社製)により濾過して、カーボンブラック濃度6wt%の水性インクを得た。これを水性インク6とする。
【0084】
〔比較例4〕
(水性インク7;本発明の適用範囲外の水性インク)
比較例2で調整したカーボンブラック分散液7 60部、グリセリン12部、トリエタノールアミン1部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10部、およびイオン交換水17部を混合・攪拌した後、ポリテトラフルオロエチレン製で孔径5μmのメンブランフィルター(ミリポア社製)により濾過して、カーボンブラック濃度6wt%の水性インクを得た。これを水性インク7とする。
【0085】
(水性インクの評価)
上記実施例6〜10および比較例3〜4で調整した水性インク1〜7をそれぞれ、オンデマンド型インクジェットプリンタであるPX−V700(セイコーエプソン株式会社製)に充填した後、普通紙−はやいモードで100%ベタ印刷を行った。記録媒体として、中性普通紙としてゼロックスP、ゼロックス4024(以上、富士ゼロックス株式会社製)、酸性普通紙としてEPP(セイコーエプソン株式会社製)、再製紙としてゼロックスR(富士ゼロックス株式会社製)の4種類の紙を用い、記録物を得た。印刷後、記録物を一般環境で1時間放置した後、グレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いてベタ部分のO.D.値を測定した。測定した結果を以下の基準に基づいて判定した。
判定A; O.D.値が1.35以上である場合
判定B; O.D.値が1.25以上1.35未満である場合
判定C; O.D.値が1.25未満である場合
【0086】
さらに、水性インク1〜7をそれぞれ、上記のプリンタPX−V700に充填した後、MC光沢紙−きれいモードで印刷を行った。記録媒体として、写真用紙<光沢>(セイコーエプソン社製)を用い、記録物を得た。印刷後、記録物を一般環境で1時間放置した後、記録物表面への移りこみ(写像)のシャープさ、および光沢の好ましさを目視により主観評価した。評価した結果を以下の基準に基づいて判定した。
判定A; 写像物のエッジがシャープに見え、好ましい光沢を与える場合
判定B; 写像物のエッジが若干ぼやけて見えるものの、比較的好ましい光沢を与える場合
判定C; 写像物のエッジが不明瞭であり、光沢が好ましくない場合
上記O.D.値と光沢感の評価結果をまとめて表2に示す。
【0087】
【表2】

【0088】
表2から明らかなように、本発明の適用範囲内である水性インク1〜5(実施例6〜10)は判定AまたはBを与え、優れたO.D.値および光沢感を示す。一方、表面改質カーボンブラックの50%平均粒子径が本発明の適用範囲外である水性インク6(比較例3)は光沢感の評価において判定Cを与えた。このように、表面改質カーボンブラックの50%平均粒子径が90nmを超える場合には、好ましい光沢感が得られにくい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上詳細に述べてきたように、本発明によれば、普通紙に対しては高いO.D.値を与え、専用紙、特に光沢を有する基材を具備する紙もしくはフィルムに対しては高い光沢性を与える水性インクに好適に適用される表面改質カーボンブラック分散液、およびその製造方法を提供される。また本発明のカーボンブラック分散液は、顔料粒子の平均粒子径が40〜90nmと小さいにも関わらず優れた経時安定性を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともA)表面改質カーボンブラック、B)HLB値が7〜18の範囲であり、かつアセチレン骨格を有するノニオン系界面活性剤、とを含有する水性カーボンブラック分散液であって、上記表面改質カーボンブラックの50%平均粒子径が40〜90nmの範囲であり、上記表面改質カーボンブラックの固形分含有量が10〜30wt%であり、かつ25℃における表面張力が30〜55mN/mの範囲であることを特徴とする水性カーボンブラック分散液。
【請求項2】
前記ノニオン系界面活性剤が、その分子中にエチレンオキサイドの繰り返し構造を有し、かつそのエチレンオキサイドの分子中の含有割合が35〜90wt%であることを特徴とする請求項1に記載の水性カーボンブラック分散液。
【請求項3】
前記表面改質カーボンブラックとノニオン系界面活性剤の重量比率が、90:1〜3:2の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性カーボンブラック分散液。
【請求項4】
グリセリン、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテルからなる群より選ばれる1種または2種以上の水溶性有機溶剤をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性カーボンブラック分散液。
【請求項5】
水性カーボンブラック分散液を製造する方法であって、少なくともa)カーボンブラックを酸化処理して表面改質する工程、b)得られたスラリを濃縮または希釈して顔料濃度を調整する工程、c)HLB値が7〜18の範囲であり、かつアセチレン骨格を有するノニオン系界面活性剤を添加・混合する工程、とを別個に、または並行して行うことを特徴とする水性カーボンブラック分散液の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4に記載の水性カーボンブラック分散液を用いて製造される水性インクであって、全インク量に対する表面改質カーボンブラックの配合量が1〜12wt%の範囲であることを特徴とする水性インク。
【請求項7】
インクジェット記録用であることを特徴とする請求項6に記載の水性インク。
【請求項8】
インクを付着させて記録媒体に印字を行う記録方法であって、インクとして請求項6または7のいずれかに記載の水性インクを用いることを特徴とする、記録方法。
【請求項9】
インクの液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、インクとして請求項7に記載の水性インクを用いることを特徴とする、インクジェット記録方法。
【請求項10】
前記記録媒体が光沢を有する基材を具備する紙もしくはフィルムであることを特徴とする、請求項8または9のいずれかに記載の記録方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれかに記載の記録方法によって記録が行われたことを特徴とする記録物。

【公開番号】特開2006−219584(P2006−219584A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34222(P2005−34222)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】