説明

水性塗装体およびそのような塗装体を用いて表面を装飾する方法

【課題】新しい水性塗装体であって、従来の塗装体を用いて得られるものとはかなり異なる特徴ある独特の装飾効果が得られるものを提供する。
【解決手段】白または着色アンダーコートペイント、ニュートラルベースペイント、該ニュートラルベースペイントに混合されうる少なくとも一つのトナーまたはその一部、前記ニュートラルベースペイントおよびトナーに混合されうる少なくとも2グループのフレークであって、その2グループのフレークの両方が互いに対比する色および調合で着色されたものを包含する水性塗装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、水性塗装体(aqueous-phase painting product)およびそのような塗装体を用いて表面、典型的には壁構造体、を装飾する方法である。
【背景技術】
【0002】
長年、出願人は、水性の塗装体であって、それで装飾される表面上に、濃いカラートーンと少しのシェードと、点状汚れがある古めかしい特定の独特の審美的な効果、例えば多色を得ることが可能な水性塗装体、例えば特許文献EP−B−1004638およびEP−A−1477533に「アンティーク・テレ・フィオレンティン(Antiche Terre Fiorenntine)」と呼ばれるものを製造し、販売してきた。
【0003】
これらの従来の塗料では、上記の装飾効果は水性相で白単色フレークを用い、塗装体に適用された時に、白単色フレークが破断して、通常着色されたベース上に白色スポット(spot)及びストリークを形成することによって得られている。
【0004】
上記のアンティーク・テレ・フィオレンティン塗装のいくつかの変形、例えば「コメット(Comete)」や「エフェッティ(Effetti)」と呼ばれるものでは、着色フレーク、特に多色フレークを白単色フレークに添加して、塗装後に白色フレークで形成されたスポット効果に着色汚点(spot)効果が組み合わされたものを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP−B−1004638
【特許文献2】EP−A−1477533
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新しい水性(aqueous-phase)塗装体(painting product)であって、それを適用したときに、上述の従来の塗装体を用いて得られるものとはかなり異なる特徴ある独特の装飾効果が得られるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記目的は、白または着色アンダーコートペイント、
ニュートラル(neutral)ベースペイント、
該ニュートラルベースペイントに混合されうる少なくとも一つのトナーまたはその一部、
前記ニュートラルベースペイントおよびトナーに混合されうる少なくとも2グループのフレークであって、その2グループのフレークの両方が互いに対比する色および調合で着色されたもの
を包含する水性塗装体により達成される。
【0008】
上記の少なくとも2グループの着色フレークの色は、便利には一方は明るい色で、他方は暗い色であり、トナーは好ましくは明るい色である。2以上のグループの着色フレークは、トナーの色に対して対比する(contrasting)色および調合を有する。
【0009】
本発明はまた、以下の工程を包含する表面を水性塗装体で装飾する方法であって、
前記表面上に白色または着色アンダーコートペイントの少なくとも一つの被膜を提供および塗装し、かつそれらの乾燥を待つ工程、
ニュートラルベースペイント、少なくとも一つのトナーまたはその一部、および少なくとも2グループのフレークであって、その両方が互いに対比する色および調合で着色されたものを提供する工程、
前期ニュートラルベースペイントを前記の少なくとも一つのトナーと前記2グループの着色フレークと混合する工程、
上記混合物を乾燥した白色または着色アンダーコートペイント上に広げ(laying out)、その間に前記着色フレークの少なくとも一部を破断して前記少なくとも一つのトナーと共にニュートラルベースペイント中の個々の色を表すようにするのに十分な圧力を加えて最終の装飾効果を形成する工程
を包含する表面を水性塗装体で装飾する方法を提供する。
【0010】
トナーおよび着色フレークのグループで着色されたニュートラルベース塗料によって形成された混合物を広げることは、ブラシ、ローラー、パテナイフ(putty knife)、トローウェル(trowel)、グローブ、布、ゴム、スプレーおよびそれらの組合せを用いて行われうる。
【発明の効果】
【0011】
この解決策により、本発明の水性塗装体が装飾されるべき表面に広げ、その間に着色フレークの少なくとも一部を破断してトナーと共に混合されたニュートラルベース塗料中のそれぞれの着色を表すのに十分な圧力を加える時に、従来の白単色フレークからの塗装体において誘導された白汚点(white spot)やストリーク(streak)が無いために、前述の従来技術の他の塗料と比べて特に特徴的な、特に装飾効果を得ることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を以下に詳細に説明する。
【0013】
本発明の水性塗装体は常套のタイプの白または着色アンダーコートペイント、および少なくとも一つのトナー(即ち、少なくとも一つのトナーを添加した液体、または常套のタイプの着色トナー)を添加したニュートラルベースペイントを包含する。トナーは通常標準容量バイアル、例えば250mlバイアルで市販されているが、その全部をニュートラルベースペイントに添加する必要はなく、実際はその一部を添加することで十分である。
【0014】
塗装体はまた、少なくとも第1のグループのフレークおよび第2のグループのフレークを含有しているが、フレークは例えば本出願人のEP−100463BおよびEP−1477533Aの記載のタイプが例示される。一つの違いは、各グループのフレークが共に白ではなく、着色されていて、一つのグループのフレークの色が、他のグループのフレークの色(即ち、よりくらい色)、よりも明るい色であることである。ニュートラルベースペイントに混合するために用いることができるトナーは必ず明るい色である必要は無いが、そうであることが有利であり、二つのグループのフレークの色が好ましくはトナーの色に対して対比する色または調合で着色されている。
【0015】
以下は非限定的な色の差の例の例示である:
−第1のグループのフレークがイエローで、第2のグループのフレークがブラックで、ベースペイントがグレー;
−第1のグループのフレークがオレンジで、第2のグループのフレークがアマランス(amaranth)であり、ベースペイントがイエロー
−第1のグループのフレークがライトグリーンで、第2のグループのフレークがダークグリーンで、ベースペイントがピンク。
【0016】
ニュートラルベースペイント/フレークの混合物の成分の割合は、典型的には、ベースペイント40〜80%で、各グループのフレークが10〜30%である。
【0017】
第1のグループのフレークおよび第2のグループのフレークの色とは異なる色または調合の別のグループのフレークを、それらが白でない限り、提供しうるものと考えられる。
【0018】
更に、添加剤が塗装体を広げた後に特定の装飾的効果を付与するために添加しても良く、例えば、金属顔料、金属化顔料、パール色顔料、虹色顔料、燐光顔料、蛍光顔料またはそれらと同種の顔料が挙げられる。
【0019】
更に、ニュートラルベースペイントは透明および不透明の両方であってよく、少なくとも一つのグループのフレークが金属化色(例えば、金または銀メッキ化物)を有してもよく、可能であれば、パール色、虹色、蛍光、燐光顔料などを含んでもよい。
【0020】
本発明の塗装体を用いる表面も装飾方法を以下に説明する。
【0021】
ます、白または着色アンダーコートペイントの少なくとも一つのコートを表面の上に広げて、それの乾燥を待つ。
【0022】
次いで、ニュートラルベースペイントと、少なくとも一つのトナーまたはその一部および互いに異なりかつ対比する色または調合の二つのグループのフレークとを混合した後、その混合物を乾燥したアンダーコートペイントの上に広げ、その間に前記着色フレークの少なくとも一部を破断するのに十分な圧力を加えて、着色ベースペイント上に広げかつ表して最終の装飾効果を形成する。広げることは、ブラシ、パテナイフ(putty knife)、トローウエル(trowel)、グローブ、ローラー、スポンジ、布、ゴム、スプレーまたはそれらの組合せによって行い得る。
【0023】
塗装体の成分および塗装方法の両方とも、本発明の以下の請求項に記載する保護範囲から逸脱説に、上記の新規かつ特徴的な審美的な効果を得ることができる限り、記載し表現したことに関して変更することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白または着色アンダーコートペイント、
ニュートラルベースペイント、
該ニュートラルベースペイントに混合されうる少なくとも一つのトナーまたはその一部、
前記ニュートラルベースペイントおよびトナーに混合されうる少なくとも2グループのフレークであって、その2グループのフレークの両方が互いに対比する色および調合で着色されたもの
を包含する水性塗装体。
【請求項2】
少なくとも2グループの着色フレークの色が一つは明るい色であり、かつもう一つは暗い色である請求項1記載の水性塗装体。
【請求項3】
前記トナーが明るい色に着色されている請求項1または2記載の水性塗装体。
【請求項4】
前記少なくとも2グループのフレークが前記トナーの色に対して対比する色または調合で着色されている請求項1〜3いずれかに記載の水性塗装体。
【請求項5】
前記ニュートラルベースペイントがニュートラルベースペイント/フレーク混合物の約40〜80%の量で含有し、各々のフレークがニュートラルベースペイント/フレーク混合物の約10〜30%の量で含有する請求項1〜4いずれかに記載の水性塗装体。
【請求項6】
以下の工程を包含する表面を水性塗装体で装飾する方法であって、
前記表面上に白色または着色アンダーコートペイントの少なくとも一つの被膜を提供および塗装し、かつそれらの乾燥を待つ工程、
ニュートラルベースペイント、少なくとも一つのトナーまたはその一部、および少なくとも2グループのフレークであって、その両方が互いに対比する色および調合で着色されたものを提供する工程、
前期ニュートラルベースペイントを前記の少なくとも一つのトナーと前記2グループの着色フレークと混合する工程、
上記混合物を乾燥した白色または着色アンダーコートペイント上に広げ、その間に前記着色フレークの少なくとも一部を破断して前記少なくとも一つのトナーと共にニュートラルベースペイント中の個々の色を表すようにするのに十分な圧力を加えて最終の装飾効果を形成する工程
を包含する表面を水性塗装体で装飾する方法。
【請求項7】
少なくとも2グループのフレークの色が、一つは明るい色であり、かつもう一つは暗い色である請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記トナーが明るい色を有する請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2グループのフレークが前記トナーの色に対して対比する色または調合で着色されている請求項6〜8いずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ニュートラルベースペイントが前期ニュートラルベースペイント/フレーク混合物の約40〜80%の量で含有し、各々のフレークが前記混合物の約10〜30%の量で含有する請求項6〜9いずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記混合物を広げる工程がブラシ、パテナイフ、こて(trowel)、グローブ、ローラー、スポンジ、布、ゴム、スプレーまたはそれらの組合せによって行われる請求項6〜10いずれかに記載の方法。

【公開番号】特開2011−206761(P2011−206761A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−19842(P2011−19842)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(504280263)カンディス・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (1)
【氏名又は名称原語表記】CANDIS S.r.l.
【Fターム(参考)】