説明

水性液用ゲル化剤、水性液ゲル及び水性液ゲルの製造方法

【課題】 従来の水性液ゲル化剤及び水性液ゲルは、経日による品質変化を起こす、水系ゲル作成時の原料の水への溶解性が不良、生成した水系ゲルの透明性が低い、架橋剤であるポリアミドエポキシ樹脂の臭気が芳香剤として好ましくない等の問題がある。
【解決手段】 オニウムカチオン置換ゼラチン(A)と、下記反応生成物(B)とを含んでなる水性液(C)用ゲル化剤。
反応生成物(B):エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体とアンモニウムとの反応による反応生成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性液用ゲル化剤、水性液ゲル及び水性液ゲルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲルタイプの消臭及び/又は芳香剤として、溶剤として水を、ゲル化剤として寒天、カラギーナンなどを用いて形成させた水系タイプの芳香剤(特許文献1〜4)、および溶剤としてテルペン系炭化水素などを、ゲル化剤として金属せっけんなどを用いて形成させた油性ゲルタイプの芳香剤(特許文献5〜8)が知られおり、市販されているのは水系ゲルタイプのものが主流を占めている。
しかし、このような水系ゲルタイプの芳香剤は、有機系溶液、例えばアルコール−水混合溶液の吸収能力が極めて低かったり、あるいは吸収後のゲル強度が低いという欠点がある。
上記の問題を解決したものとして、
(1)香料と水及び/又はエタノールとの混合物を主剤とする液体を、カルボキシルビニルポリマーとアルカリとの中和によりゲル化せしめてなる透明ゲル芳香剤(特許文献9参照)。
(2)N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートにN−ビニルピロリドン、ステアリルアクリレート及び架橋性モノマーを共重合したカチオン性増粘剤(特許文献10参照)。
(3)N−ビニルアセトアミド共重合体の架橋物(特許文献11参照)。
(4)ジアセトンアクリルアミド共重合変性ポリビニルアルコールを架橋剤で架橋させたもの(特許文献12参照)。
(5)(a)N,N−ジメチルアクリルアミド(共)重合体架橋物、(b)揮発性物質及び(c)水及び/又は水溶性溶剤を含有することを特徴とする透明ゲル状組成物(特許文献13参照)が知られている。
【特許文献1】特公昭55−1812号公報
【特許文献2】特開昭50−70532号公報
【特許文献3】特開昭56−57451号公報
【特許文献4】特開平10−226749号公報
【特許文献5】特開昭53−91149号公報
【特許文献6】特開昭56−89261号公報
【特許文献7】特開昭60−53148号公報
【特許文献8】特開昭61−4310号公報
【特許文献9】特開平1−119258号公報
【特許文献10】特開平9−66095号公報
【特許文献11】特開2002−80681号公報
【特許文献12】特開2003−3029号公報
【特許文献13】特開2005−8832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記(1)、(2)、(5)は、容器を移動したり倒した場合、ゲルが変形したりゲルがこぼれたりするなどの不都合があり、上記(3)、(4)は、離液現象を起こす不都合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記問題点を改善した水性液用ゲル化剤及び水性液ゲルの製造方法を得るべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、ゼラチンのカルボキシル基のプロトンがオニウムカチオンで置換されてなるオニウムカチオン置換ゼラチン(A)と、下記反応生成物(B)とを含んでなる水性液用(C)用ゲル化剤;このゲル化剤で(C)をゲル化させてなる水性液ゲル;並びに、(A)、(B)及び(C)を含んでなる組成物を、架橋反応させることを特徴とする水性液ゲルの製造方法である。
反応生成物(B):エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体とアンモニウムとの反応による反応生成物
【発明の効果】
【0005】
本発明の水性液用ゲル化剤、水性液ゲル及び水性液ゲルの製造方法は、以下の効果を奏する。
(1)本発明の水性液用ゲル化剤で水性液をゲル化したゲル及び本発明の製造方法で得られたゲルは保形性が良いため、容器を移動したり倒した場合、ゲルが変形したり、ゲルがこぼれることがなく、取り扱いやすい。
(2)本発明の水性液用ゲル化剤で水性液をゲル化したゲル及び本発明の製造方法で得られたゲルは透明感があるので、美観に優れる。
(3)本発明の水性液用ゲル化剤で水性液をゲル化したゲル及び本発明の製造方法で得られたゲルは、ゲルからの離液現象やゲルのひび割れなどが発生しないので,貯蔵安定性に優れる。
(4)高濃度のアルコールを含有する水性液に香料を混合・ゲル化できるので、冬場の気温が低い場合でも香料などの揮散性に優れる。
また、本発明の水性液ゲルの製造方法は、以下の効果を奏する。
(5)本発明の製造方法は、低い温度でゲルを製造できるので、製造時の香料の揮散や香料の変質が起こりにくい。
以上のことから、本発明の水性液用ゲル化剤で得られた水性液ゲル及び水性液ゲルの製造方法により得られたゲルは、消臭及び/又は芳香剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明においてオニウムカチオン置換ゼラチン(A)は、ゼラチンのカルボキシル基のプロトンに対して同当量以下のオニウムカチオンで置換された組成物並びに同当量を超えるオニウムカチオンが存在してなる組成物である。ゼラチンとしては、アルカリ処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを用いてもよく、またゼラチン加水分解物も用いることができ、少なくとも1個の遊離のカルボキシル基と1個の遊離のアミノ基を持っていればよい。例えば、牛骨の無機物をとり除いてオセインとした後、消石灰の懸濁液中に漬けておき、牛皮は適当な大きさに切断し、水洗してから石灰液中に通常2〜3ケ月間漬ける。このような石灰液による前処理を行って得られるゼラチンをアルカリ処理ゼラチンという。これに対して豚皮を希塩酸又は希硫酸に数十時間漬けて処理して得られるゼラチンを酸処理ゼラチンという。ゼラチンの形状としては、粒状、粉末、シート状のものが市販されており、通常、数万〜数百万の分子量分布をもっている。
【0007】
本発明においてオニウムカチオンとしては、第4級アンモニウムカチオン(I)、3級スルホニウムカチオン(II)、第4級ホスホニウムカチオン(III)及び3級オキソニウムカチオン(IV)からなるカチオンの群から選ばれる1種又は2種以上である。第4級アンモニウムカチオン(I)としては、下記(I−1)〜(I−11)が挙げられる(以下カチオンの言葉は省略)。
(I−1)炭素数4〜30又はそれ以上のアルキル及び/又はアルケニル基を有する脂肪族第4級アンモニウム;
テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、ジメチルプロピルアンモニウム、エチルメチルジプロピルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ジメチルジブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等;
【0008】
(I−2)炭素数6〜30又はそれ以上の芳香族第4級アンモニウム;
トリメチルフェニルアンモニウム、ジメチルエチルフェニルアンモニウム、トリエチルフェニルアンモニウム等;
【0009】
(I−3)炭素数3〜30又はそれ以上の脂環式第4級アンモニウム;
N,N−ジメチルピロジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウム、N,N−ジエチルピロジニウム、N,N−ジメチルモルホリニウム、N−エチル−N−メチルモルホリニウム、N,N−ジエチルモルホリニウム、N,N−ジメチルピペリジニウム、N,N−ジエチルピペリジニウム等;
【0010】
(I−4)炭素数3〜30又はそれ以上のイミダゾリニウム;
1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム,4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メトキシ−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム等;
【0011】
(I−5)炭素数3〜30又はそれ以上のイミダゾリウム;
1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−フェニルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−ベンジルイミダゾリウム、1−ベンジル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−カルボキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メチルカルボキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、N,N’−ジメチルベンゾイミダゾゾリム、N,N’−ジエチルベンゾイミダゾゾリム、N−メチル−N’−エチルベンゾイミダゾリウム等;
【0012】
(I−6)炭素数4〜30又はそれ以上のテトラヒドロピリミジニウム;
1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチルテトラヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチル−テトラヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム等;
【0013】
(I−7)炭素数4〜30又はそれ以上のジヒドロピリミジニウム;
1,3−ジメチル−2,4−もしくは−2,6−ジヒドロピリミジニウム[これらを1,3−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウムと表記し、以下同様の表現を用いる。]、1,2,3−トリメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−2,4,(6)−ジヒドロピミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,9(10)−ウンデカンジエニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5,7(8)−ノナジエニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボキシメチル−1,2,3−トリメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム等;
【0014】
(I−8)炭素数3〜30又はそれ以上のイミダゾリニウム骨格を有するグアニジウム;
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリエチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジエチルイミダゾリニウム、1,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]イミダゾリニウム、1,5,6,7−テトラヒドロ1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]イミダゾリニウム、1,5−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]イミダゾリニウム、2−ジメチル−3−シアノメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−メチルカルボキシメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−メトキシメチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−4−ホルミル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシエチル−1−メチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム等;
【0015】
(I−9)炭素数3〜30又はそれ以上のイミダゾリウム骨格を有するグアニジウム;
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリエチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]イミダゾリウム、1,5,6,7−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]イミダゾリウム、1,5−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド−[1,2a]イミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−シアノメチル−1−メチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−アセチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−4−メチルカルボキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−4−メトキシ−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−メトキシメチル−1−メチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−3−ホルミルメチル−1−メチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム等;
【0016】
(I−10)炭素数4〜30又はそれ以上のテトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジウム;
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジエチルテトラヒドロピリミジニウム、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]ピリミジニウム、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、2,3,4,6−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−シアノメチル−1−メチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−アセチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−メチルカルボキシメチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−メチルカルボキシメチル−1−メチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−メトキシメチル−1−メチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−ホルミル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−ヒドロキシエチル−1−メチルテトラヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム等;
【0017】
(I−11)炭素数4〜30又はそれ以上のジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジウム;
2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリエチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1−エチル−3−メチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,6,7,8−テトラヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]ピリミジニウム、1,6−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−イミド[1,2a]ピリミジニウム、1,6−ジヒドロ−1,2−ジメチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−シアノ−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−アセチル−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−アセチルメチル−1−メチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−メチルカルボキシメチル−1−メチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−メトキシ−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−ホルミル−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−3−ホルミルメチル−1−メチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジメチル−2,4(6)−ジヒドロピリミジニウム等;
【0018】
3級スルホニウムカチオン(II)としては、下記(II−1)〜(II−3)が挙げられる。
(II−1)炭素数1〜30又はそれ以上のアルキル及び/又はアルケニル基を有する脂肪族3級スルホニウム;
トリメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム、エチルジメチルスルホニウム、ジエチルメチルスルホニウム等;
(II−2)炭素数6〜30又はそれ以上の芳香族3級スルホニウム;
フェニルジメチルスルホニウム、フェニルエチルメチルスルホニウム、フェニルメチルベンジルスルホニウム等;
(II−3)炭素数3〜30又はそれ以上の脂環式3級スルホニウム;
メチルチオラニウム、フェニルチオラニウム等;
【0019】
第4級ホスホニウムカチオン(III)としては、下記(III−1)〜(III−3)が挙げられる。
(III−1)炭素数1〜30又はそれ以上のアルキル及び/又はアルケニル基を有する脂肪族第4級ホスホニウム;
テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、メチルトリエチルホスホニウム、メチルトリプロピルホスホニウム、メチルトリブチルホスホニウム、ジメチルジエチルホスホニウム、ジメチルジプロピルホスホニウム、ジメチルジブチルホスホニウム、トリメチルエチルホスホニウム、トリメチルプロピルホスホニウム、トリメチルブチルホスホニウム等;
(III−2)炭素数6〜30又はそれ以上の芳香族4級ホスホニウム;
トリフェニルメチルホスホニウム、ジフェニルジメチルホスホニウム、トリフェニルベンジルホスホニウム等;
(III−3)炭素数3〜30又はそれ以上の脂環式4級ホスホニウム;
【0020】
3級オキソニウムカチオン(IV)としては、下記(IV−1)〜(IV−3)が挙げられる。
(IV−1)炭素数1〜30又はそれ以上のアルキル及び/又はアルケニル基を有する脂肪族3級オキソニウム;
トリメチルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、エチルジメチルオキソニウム、ジエチルメチルオキソニウム等;
(IV−2)炭素数6〜30又はそれ以上の芳香族3級オキソニウム;
フェニルジメチルオキソニウム、フェニルエチルメチルオキソニウム、フェニルメチルベンジルオキソニウム等;
(IV−3)炭素数3〜30又はそれ以上の脂環式3級オキソニウム;
メチルオキソラニウム、フェニルオキソラニウム等;
【0021】
これらの中で、好ましいオニウムカチオンは(I)であり、ゲル化後のゲルの透明性、ゲルの保形性及びゲル強度の観点から、更に好ましいものは(I−1)、(I−4)及び(I−5)であり、特に好ましいのは(I−4)及び(I−5)である。
これらオニウムカチオンは、1種又は2種以上を併用しても良い。
【0022】
本発明において、ゼラチンのカルボキシル基のプロトンをオニウムカチオンで置換する方法としては、所定量オニウムカチオンに置換できる方法であればいずれの方法でも良いが、例えば、上記オニウムカチオンの水酸化物(例えば、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド)やモノメチル炭酸塩(例えば、1,2,3,4−トリメチルイミダゾリニウムモノメチル炭酸塩等)をゼラチン水溶液に添加し、必要により脱水や脱炭酸、脱メタノールを行うことで容易に置換できる。
【0023】
ゼラチンのカルボキシル基のプロトンを前記オニウムカチオンにより置換する度合い(オニウムカチオンの添加量)については、オニウムカチオン置換ゼラチン(A)がゲル化させる水性液(C)に溶解できる置換度合いであればよく、ゲル化後のゲルの透明性、ゲル化能及びゲル強度の観点から、(A)が水性液(C)に透明に溶解できる置換度合いが好ましい。アルカリ処理ゼラチン、ゼラチン加水分解物にあっては、これらのゼラチン水溶液は通常pH約5以下を示すが、オニウムカチオンによる置換により、(A)の水溶液のpHがオニウムカチオン置換前のアルカリ処理ゼラチン水溶液のpH値を上回り、且つ(A)の水溶液のpHが7〜14となるようにオニウムカチオンを添加することが、水性液への(A)の溶解性、ゲル化後のゲルの透明性及びゲル化能、並びに、水性液に溶解した場合の(A)水溶液の臭気抑制及びゲル化後のゲルの強度の観点から、好ましい。酸処理ゼラチンにあっては、このゼラチン水溶液は通常pH約6〜9を示すが、オニウムカチオンによる置換により、(A)の水溶液のpHがオニウムカチオン置換前のアルカリ処理ゼラチンのpH値を上回り、且つ(A)の水溶液のpHが7〜14となるようにオニウムカチオンを添加することが水性液への(A)の溶解性、ゲル化後のゲルの透明性及びゲル化能、並びに、水性液に溶解した場合の(A)水溶液の臭気抑制及びゲル化後のゲルの強度の観点からの観点から、好ましい。
pHの測定値は、JIS K6503:2001[にかわ及びゼラチン]に準拠する。
【0024】
オニウムカチオン置換ゼラチン(A)の含有量は、ゲル化剤の重量を基準として、ゲル化後のゲルの保形性及びゲル強度の観点から、9.0〜99.0重量%が好ましく、さらに好ましくは11.7〜98.3重量%、次にさらに好ましくは14.1〜98.2重量%、特に好ましくは16.6〜97.5重量%、最も好ましくは16.6〜91.0重量%である。
又、水性液ゲル中のオニウムカチオン置換ゼラチン(A)の含有量は、ゲル強度及び水性液ゲルの美観(ゲルから水分や揮発成分が飛散した後の残存オニウム置換ゼラチンの量が多くなり残存するゲルの美観が悪くなる)の観点から、1.0〜10.0重量%が好ましく、さらに好ましくは1.2〜9.0重量%、次にさらに好ましくは1.4〜8.5重量%、特に好ましくは1.6〜8.0重量%である。
【0025】
反応生成物(B)の含有量は、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、ゲル化剤の重量を基準として、ゲル化後のゲルの保形性及びゲルの強度の観点から、1.0〜91.0重量%が好ましく、さらに好ましくは1.7〜88.3重量%、次にさらに好ましくは1.8〜85.9重量%、特に好ましくは2.5〜83.4重量%、最も好ましくは9.0〜83.4重量%である。
又、水性液ゲル中の反応生成物(B)の含有量は、ゲル化後のゲルの透明性、ゲルの保形性及びゲルの強度、ゲルの臭気抑制の観点から、0.01〜10.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.02〜9.0重量%、特に好ましくは0.1〜8.0重量%、最も好ましくは1.0〜8.0重量%である。
【0026】
本発明のゲル化剤におけるゲル化剤の重量を基準とする(A)の含有量とゲル化剤の重量を基準とする(B)の含有量の比{(A)の含有量/(B)の含有量}は、0.1〜99が好ましく、さらに好ましくは0.13〜58、次にさらに好ましくは0.16〜55、特に好ましくは0.20〜39、最も好ましくは0.20〜10である。
【0027】
本発明において反応生成物(B)は、エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体を作成した後に、アンモニアと反応させたものでもよいし、無水マレイン酸とアンモニアとの反応物をエチレン性不飽和化合物と共重合したものでもよい。前者はエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸とを溶媒中で共重合して得られる共重合体に、アンモニアを反応させることによって得られるものであり、後者は溶剤の存在下又は不存在下に無水マレイン酸とアンモニアとの反応物をエチレン性不飽和化合物と共重合して得られるものである。共重合体の反応し易さの観点から、好ましくは前者である。
【0028】
エチレン性不飽和化合物は、無水マレイン酸と共重合しうる不飽和化合物なら特に限定はなく、具体的には例えば、
(1)オレフィン系不飽和化合物
(i)直鎖状又は分岐状の炭素数2〜24のオレフィン[エチレン、プロピレン、ブテン−1,ブテン−2、イソブチレン、n−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキサン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、ジイソブチレン、2−メチル−4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−4−ジメチル−2−ペンテン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、ビニリデン(塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等)];
(ii)芳香族系オレフィン(スチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンスルホン酸等);
(iii)ハロゲン含有オレフィン(塩化ビニル、フッ化ビニル、四フッ化エチレン等);
(iv)窒素含有オレフィン(ニトロエチレン、アクリロニトリル等);
(v)その他オレフィン(アリルアミン、ビニルスルホン酸等);
【0029】
(2)非オレフィン系不飽和化合物
(i)ビニルエーテル(メチルビニルエーテル等)、ポリオキシアルキレン(n=2〜200)モノアリルモノアルキル(炭素数1〜24)エーテル等;
(ii)アルキル基、ヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜22の(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はヒドロキシアルキルエステル(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ベヘニル等);
(iii)カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸グリコールモノエーテル等];
(iv)スルホン酸基含有不飽和化合物[3−スルホプロピル(メタ)アクリレート等];
(v)燐酸基含有不飽和化合物[(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル燐酸モノエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート等];
【0030】
(vi)アクリルアミド[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等];
(vii)3級アミン又は第4級アンモニウム塩基含有不飽和化合物[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、その4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等];
(viii)エポキシ基含有不飽和化合物[グリシジル(メタ)アクリレート等];
(ix)その他(N−ビニルピロリドン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニルをケン化して得られるビニルアルコール等);等である。
これらのエチレン性不飽和化合物を単独で用いても良いし、また2種類以上を組み合わせても良い。
【0031】
これらの内好ましくは、ゲル化後のゲルの保形性及びゲル強度の観点から、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜24のオレフィン及びビニルエーテルであり、好ましくはイソブチレン、メチルビニルエーテル及びポリオキシアルキレンモノアリルモノアルキルエーテルであり、特に好ましくはイソブチレン及びメチルビニルエーテルである。
【0032】
重合は上記エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸とを溶媒の存在下又は不存在下、熱ラジカル重合、光ラジカル重合、アニオン重合等の公知の方法で重合出来る。重合は例えば0〜200℃で常圧下又は加圧下にて行われる。
熱ラジカル重合の場合はアゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、過酸化物(t−ブチルパーオキシベンゾエート等)等の重合触媒が、光ラジカル重合の場合は光ラジカル開始剤(ベンゾインアルキルエーテル等)、増感剤(アントラキノン等)が、アニオン重合の場合はチーグラーナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が重合開始剤として使用される。得られた共重合物は溶媒を脱溶媒して使用してもよいし溶媒が存在したままで使用しても良い。好ましくは脱溶媒したものである。
【0033】
重合体中におけるエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との組成比は、反応生成物(B)が水性液(C)に溶解するものであればどの程度であっても差し支えない。無水マレイン酸とエチレン性不飽和化合物との組成比はモル比(無水マレイン酸:エチレン性不飽和化合物)で、ゲル化後のゲルの保形性及びゲル強度の観点から、好ましくは100:1〜1:100であり、より好ましくは10:1〜1:10、特に好ましくは5:1〜1:5である。また、生成した反応生成物(B)の分子量は、ゲル化後のゲルの保形性及びゲル強度の観点から、好ましくは2,000〜5,000,000であり、より好ましくは3,000〜3,000,000である。
【0034】
共重合体とアンモニアとの反応は種々の方法を採用することができるが、共重合体の固体粉末を溶剤中にスラリー状に分散させてアンモニアガスを溶媒中にバブリングしながら接触させる方法あるいは共重合体粉末をアンモニア水に溶解する方法等が好ましく採用される。
【0035】
アンモニアとの反応において、反応生成物(B)のアンモニアの反応量は共重合体に含まれる無水マレイン酸基1モルに対して、ゲル化後のゲルの保形性及びゲル強度の観点から、アンモニア0.5〜2.0モルが好ましく、より好ましくは0.6〜1.9モル、次により好ましくは0.8〜1.8モル、特に好ましくは1.0〜1.7モルである。
【0036】
反応生成物の水溶液(5重量%の濃度)の25℃における架橋剤(B)の粘度は、ゲル化後のゲルの透明性、ゲルの保形性及びゲル強度の観点から、好ましくは5〜100,000mPa・sであり、より好ましくは10〜10,000mPa・sであり、特に好ましくは15〜5,000mPa・sである。
【0037】
水性液(C)としては、水単独、又は水に混合可能な水溶性アルコールと水との混合物のことであり、オニウムカチオン置換ゼラチン(A)、反応生成物(B)の何れも溶解できるものが好ましい。水溶性アルコールとしては、炭素数1〜6で、価数が1〜5の脂肪族アルコールが好ましく挙げられ、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等が好ましく挙げられる。疎水性化合物(消臭剤及び/又は芳香剤等)を可溶化させる観点から、メタノール、エタノール、i−プロパノール、プロピレングリコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールが好ましい。
【0038】
水性液(C)において、水溶性アルコールと水の重量比(水溶性アルコールの重量/水の重量)は、オニウムカチオン置換ゼラチン(A)、反応生成物(B)の何れも溶解できる水性液となる重量比が好ましく、疎水性化合物(消臭剤及び/又は芳香剤等)の溶解のし易さ及びゲル化後の疎水性化合物(消臭剤及び/又は芳香剤等)本来の香りを阻害しない観点から、0/100〜50/50が好ましく、より好ましくは0.5/99.5〜40/60、次に好ましくは1/99〜30/70、特に好ましくは10/90〜20/80である。
【0039】
本発明のゲル化剤の使用方法としては、ゲル化剤と水性液(C)を使用して、公知の方法(特開2000−192011号公報等)と同様の方法が用いられ、具体的には(i)(A)と(B)と(C)を直接混合した後、反応させる方法、(ii)(A)の水性液(C)溶液に(B)を混合した後、反応させる方法、(iii)(A)に(B)の水性液(C)溶液を混合した後、反応させる方法、(iv)(A)の水性液(C)溶液、(B)の水性液(C)溶液をそれぞれ予め調整した後、両者を混合し、反応させる方法等で水性液ゲルを作成することができる。均一なゲルを得やすい観点から、好ましいゲル化剤の使用方法は(iv)である。
【0040】
水性液ゲルとしては、オニウムカチオン置換ゼラチン(A)、反応生成物(B)及び水性液(C)の他に消臭性及び/又は芳香性を有する物質(D)や他の添加剤等を混合しゲル化させることが出来る。他の添加剤としては水溶性又は水不溶性であれ特に制限はないが、例えば溶剤(アルコール、アセトンなど)、顔料、染料、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、界面活性剤、防腐剤等が挙げられる。目的に応じこれらの配合物の任意の濃度のものが使用出来る。水性液に不溶性の添加物を配合すれば透過率が低下するので、水性液ゲルの透明性の観点から、水不溶性のものは水性液ゲルの透過率が70%以上になる様に少なく配合することが好ましい。
【0041】
本発明において、消臭性及び/又は芳香性を有する物質(D)としては、消臭性、芳香性又は消臭兼芳香性を有する物質として一般的に使用されているものでよく、特に制限されない。
消臭性を有する物質としては、例えばイネ、松、ヒノキ、笹等の植物からの抽出物質、酸又はアルカリ性の水性液等があり、このものを水又は一部溶剤を含んだ水溶液で希釈した水性液とすることができる。
芳香性を有する物質としては、例えば天然香料や合成香料が挙げられ、これらは水溶性のものであればその水溶液、非水溶性のものであれば水と乳化剤、必要により溶剤などからなる水性エマルジョン又は水性液とすることができる。ここで、芳香性を有する物質はマスキング効果を兼備するため、実用上消臭性を有するとも言えることがある。
【0042】
天然香料としては、じゃ香、霊猫香及び竜挺香等の動物性香料、アビエス油、アジヨクン油、アルモンド油、アンゲリカルート油、ベージル油、ベルガモット油、バーチ油、ボアバローズ油、カヤブテ油、カナンガ油、カブシカム、キャラウエー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シンナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、キュベブ油、クミン油、樟脳油、ジル油、エストゴラン油、ユーリカ油、フエンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、ジュニパーベリー油、ローレルリーフ油、レモン油、レモングラス油、ロベージ油、メース油、ナツメグ油、マンダリン油、タンゼリン油、カラシ油、はっか油、燈花油、玉ねぎ油、こしょう油、オレンジ油、セイジ油、スターアニス油、テレピン油、ウォームウッド油及び、ワニラ豆エキストラクト等の植物性香料等が含まれる。
【0043】
合成香料としては、ピネン、リモネンなどの炭化水素、リナロール、ゲラニオール、シトロネオール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェニルエチルアルコール等のアルコール、アネノール、オイゲノール等のフェノール、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデフド、ヘプチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、ワニリン等のアルデヒド、メチルアミルケトン、メチルノニルケトン、ジアセチル、アセチルプロピオニル、アセチルブチリン、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、P−メチルアセトフェノン、イオノン等のケトン、アミルブチロラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ−ノニルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトン又はオキシド、メチルフオーメート、イソプロピルフオーメート、リナリールフオーメート、エチルアセテート、オクチルアセテート、メンチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ吉草酸ゲラニル、カプロン酸アリル、ヘプチル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ヘプチンカルボン酸メチル、ベラハゴン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、カプリン酸イソアシル、ラウリル酸メチル、ミリスチン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸ブチル、桂皮酸メチル、桂皮酸シンナミル、サルチン酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、エチルビルベート、エチルα−ブチルブチレート等のエステル等が含まれる。
【0044】
消臭性及び/又は芳香性を有する物質(D)は一種類のみでもよいし、二種類以上を調合した調合物質でもよい。
上述した消臭性及び/又は芳香性を有する物質(D)とともに、バッチュリ油などの揮発保留剤、オイゲノールなどの変調剤、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル等の可溶化溶剤もしくは揮散調整剤、その他香料工業に使用される種々の成分を添加しても差し支えない。
消臭性及び/又は芳香性を有する物質(D)の使用量は、その種類により多少異なるが消臭性能及び/又は香りの持続性の観点から、水性液ゲルの重量を基準として、0.1〜15重量%が好ましい。
本発明において消臭性及び/又は芳香性を有する物質(D)単独又は(D)の水性液には、必要により他の添加物を配合することができる。この添加物としては、例えば顔料(蛍光性顔料や蓄光顔料を含む)、染料、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、脱酸素剤、酸化防止剤、界面活性剤、アルコール、充填剤、増量剤などが挙げられる。
【0045】
本発明の水性液ゲルの製造方法は、例えば(i)(A)と(B)と(C)を直接混合した後、反応させる方法、(ii)(A)の水性液(C)溶液に(B)を混合した後、反応させる方法、(iii)(A)に(B)の水性液(C)溶液を混合した後、反応させる方法、(iv)(A)の水性液(C)溶液、(B)の水性液(C)溶液をそれぞれ予め調整した後、両者を混合した後、反応させる方法等があるが、均一なゲルを得やすく、好ましい方法は(iv)である。
【0046】
(A)と(B)との反応が進むと反応系の粘度が上昇してくる。更に進むとゲル化する。(A)と(B)とを反応する際の温度及び反応時間は特に限定はないが、水性液が揮散せず、且つ架橋反応のし易さの観点から、反応温度としては、5〜60℃が好ましく、さらに好ましくは15〜58℃、次にさらに好ましくは20〜55℃、特に好ましくは30〜50℃である。
反応時間としては、5〜39℃で反応させる場合は、半日から10日間で反応が完結し、40〜60℃で反応させる場合には数時間〜1日間を要する。
【0047】
オニウムカチオン置換ゼラチン(A)と反応生成物(B)との反応において、(A)の含有量と(B)の含有量はゼラチンの遊離アミノ基の数により調整すればよいが、ゲル化剤の重量{(A)の重量と(B)の重量との合計}を基準として、ゲル化後のゲルの保形性及びゲル強度の観点から、ゼラチン(A)の含有量は、9.0〜99.0重量%が好ましく、さらに好ましくは11.7〜98.3重量%、次にさらに好ましくは14.1〜98.2重量%、特に好ましくは16.6〜97.5重量%、最も好ましくは16.6〜91.0重量%である。同じく反応生成物(B)の含有量は、1.0〜91.0重量%が好ましく、さらに好ましくは1.7〜88.3重量%、次にさらに好ましくは1.8〜85.9重量%、特に好ましくは2.5〜83.4、最も好ましくは9.0〜83.4重量%重量%である。同じく(A)の含有量と(B)の含有量の比{(A)の含有量/(B)の含有量]}は、0.1〜99が好ましく、さらに好ましくは0.13〜58、次にさらに好ましくは0.16〜55、特に好ましくは0.20〜39、最も好ましくは0.20〜10で反応させるのがよい。
【0048】
又、水性液ゲルの重量を基準として、ゲル強度及び水性液ゲルの美観(ゲルから水分や揮発成分が飛散した後の残存ゼラチンの量が多くなると残存するゲルの美観が悪くなる)の観点から、オニウムカチオン置換ゼラチン(A)の含有量は1.0〜10.0重量%が好ましく、さらに好ましくは1.2〜9.0重量%、次にさらに好ましくは1.4〜8.5重量%、特に好ましくは1.6〜8.0重量%である。同じく、同様の観点から、反応生成物(B)の含有量は、0.01〜10.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.02〜9.0重量%、次にさらに好ましくは0.025〜8.5重量%、特に好ましくは0.04〜8.0重量%、最も好ましくは1.0〜8.0重量%である。同じく水性液(C)の含有量は、80.0〜98.99重量%が好ましく、さらに好ましくは82.0〜98.78重量%、次にさらに好ましくは83.0〜98.575重量%、特に好ましくは84.0〜98.36重量%である。同じく、同様の観点から、(C)の含有量に対する(A)と(B)との合計含有量の比率は、0.010〜0.25が好ましく、さらに好ましくは0.012〜0.21、次にさらに好ましくは0.014〜0.20、特に好ましくは0.016〜0.19である。
【0049】
本発明により、透明性の大きな水性液ゲルが得られる。水性液ゲルの透明性は透過率(%)で測定が出来る。水性液ゲルの透過率(%)は水性液ゲルの美観及びインテリア性の観点(特に、消臭剤及び/又は芳香剤として使用した場合)から、70〜100が好ましく、さらに好ましくは75〜100、特に好ましくは80〜100である。
【0050】
(透過率の測定法)
密栓付きの10mm厚のガラス製セル中に架橋前の水性液ゲルを仕込み密閉とし、50℃で24時間架橋反応させて水性液ゲルを作成する。更に25℃で6時間温調した後、分光光度計(島津製作所製、UV−1200)にて可視光(700nm)の透過率を測定する。
【0051】
本発明の水性液ゲル及び本発明の製造方法により得られる水性液ゲルは、消臭及び/又は芳香剤に広く用いることができる。
【実施例】
【0052】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を表す。
【0053】
製造例1 オニウムカチオン置換ゼラチン(A1)の調整
ゼラチンSE−1(9.5部)にイオン交換水(85.7部)を加え60〜70℃に加温して均一に溶解後、TEAH−40W(4.8部)を加え均一で透明な水溶液を調整した。このようにして得られた水溶液を、減圧乾燥機を用いて乾燥温度80℃、減圧度−100kPaで3時間乾燥した後、クッキングミキサーで粉砕して体積平均粒径450μm(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)のオニウムカチオン置換ゼラチン(A1)を得た。
ゼラチンSE−1:アルカリ処理ゼラチン、ニッピゼラチン工業社製。
TEAH-40W:テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(分子量:147)の40%水溶液、ライオン・アクゾ社製。
【0054】
製造例2 オニウムカチオン置換ゼラチン(A2)の調整
実施例1のオニウムカチオン置換ゼラチン(A1)の調整において、ゼラチンSE−1(9.5部)に代えて9.7部、イオン交換水(85.7部)に代えて87.4部、TEAH−40W(4.8部)に代えて2.9部を用いた以外は同様な方法により体積平均粒径450μm(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)のオニウムカチオン置換ゼラチン(A2)を得た。
【0055】
製造例3 オニウムカチオン置換ゼラチン(A3)の調整
実施例1の オニウムカチオン置換ゼラチン(A1)の調整において、ゼラチンSE−1(9.5部)に代えて9.4部、イオン交換水(85.7部)に代えて84.3部、TEAH−40W(4.8部)に代えて6.3部を用いた以外は同様な方法により体積平均粒径450μm(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)のオニウムカチオン置換ゼラチン(A3)を得た。
【0056】
製造例4 オニウムカチオン置換ゼラチン(A4)の水性液(A−1)の調整
ゼラチンSE−1(6部)にイオン交換水(45.4部)を加え50〜60℃に加温して均一に溶解し、TEAH−40W(2部)を加え均一に溶解後、更にエタノール(46.6部)を加え均一に溶解し、オニウムカチオン置換ゼラチン(A4)の水性液(A−1)を得た。
【0057】
製造例5 反応生成物(B1)の調整
イソバン04(8.0部)にイオン交換水(91.0部)、アンモニア含有量28%のアンモニア水溶液(0.79部)を加え50〜60℃で攪拌すると4時間で均一に溶解した。このようにして得られた水溶液を、減圧乾燥機を用いて乾燥温度80℃、減圧度−100kPaで3時間乾燥した後、クッキングミキサーで粉砕して体積平均粒径350μm(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)、アンモニア中和率25.0モル%の反応生成物(B1)を得た。
なお、中和率は無水マレイン酸由来のカルボキシル基全てに対する比率であり、以下の製造例、実施例及び比較例においても同様である。
イソバン−04:イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、分子量6×104、クラレ社製。
【0058】
製造例6 反応生成物(B2)の調整
製造例5において、アンモニア含有量28%のアンモニア水溶液(0.79部)に代えて1.58部を用いた以外は同様な方法によりアンモニア中和率50.0モル%の反応生成物(B2)を得た。
【0059】
製造例7 反応生成物(B3)の調整
製造例5において、アンモニア含有量28%のアンモニア水溶液(0.79部)に代えて2.37部を用いた以外は同様な方法によりアンモニア中和率75.0モル%の反応生成物(B3)を得た。
【0060】
製造例8 反応生成物(B4)の調整
製造例5において、アンモニア含有量28%のアンモニア水溶液(0.79部)に代えて3.16部を用いた以外は同様な方法によりアンモニア中和率100.0モル%の反応生成物(B4)を得た。
【0061】
製造例9 反応生成物(B5)の調整
製造例5において、イソバン−04に代えてGANTREZ AN139、アンモニア含有量28%のアンモニア水溶液(0.79部)に代えて2.34部を用いた以外は同様な方法によりアンモニア中和率75.0モル%の反応生成物(B5)を得た。
GANTREZ AN139:メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、分子量6.90×105、アイエスピー・ジャパン社製。
【0062】
製造例10 反応生成物(B6)の水性液(B−1)の調整
イソバン04(8.0部)にイオン交換水(45.32部)、アンモニア含有量28%のアンモニア水溶液(0.79部)を加え50〜60℃で攪拌すると4時間で均一に溶解した。さらに、エタノール(45.89部)を加え均一に溶解し、アンモニア中和率25.0モル%の反応生成物(B6)の水性液(B−1)を得た。
【0063】
製造例11 水性液(C1)の調整
イオン交換水(90部)にエタノール(10部)を加えて均一で透明な水性液(C1)を調整した。
【0064】
製造例12 水性液(C2)の調整
イオン交換水(50部)にエタノール(50部)を加えて均一で透明な水性液(C2)を調整した。
【0065】
製造例13 水性液(C3)の調整
イオン交換水(30部)にエタノール(70部)を加えて均一で透明な水性液(C3)を調整した。
【0066】
製造例14 水性液(C4)の調整
イオン交換水(10部)にエタノール(90部)を加えて均一で透明な水性液(C4)を調整した。
【0067】
製造例15 水性液(C5)の調整
イオン交換水(90部)にプロピレングリコールモノメチルエーテル(10部)を加えて均一で透明な水性液(C5)を調整した。
【0068】
製造例16 水性液(C6)の調整
消臭性を有する物質としてエポリオンSK−500(5部)にイオン交換水(85.2部)とエタノール(9.8部)を加え均一に溶解し、水性液(C6)を調整した。
エポリオンSK−500:ベタイン化合物、アルコールアミン、有機酸塩化合物及びリン酸の混合物の水溶液(純分40%)、新エポリオン社製
【0069】
製造例17 水性液(C7)の調整
フローラル系香料(0.5部)にノニポール120(0.5部)、エタノール(9.9部)およびイオン交換水(89.1部)を加え均一に溶解し、水性液(C7)を調整した。
フローラル系香料:品名”ラベンダー”、品番”OFR−2321”、長谷川香料社製
ノニポール120:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル系非イオン界面活性剤、三洋化成工業株式会社製
【0070】
実施例1 水性液ゲル(E1)の調整
製造例1で調整したA1(3.57部)に製造例11で調整したC1(94.28部)を加え50℃で2時間攪拌して均一に溶解した後、さらに製造例5で調整したB3(1.43部)を加え、50℃で30分間攪拌して均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水性液を50℃恒温槽で加熱し24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(E1)を得た。本水性液ゲル(E1)は、オニウムカチオン置換ゼラチン(A)の量3.57%、反応生成物(B1)の量1.43%、オニウムカチオン置換ゼラチン(A)/反応生成物(B)比2.5、及びエタノール/水の比率10/90であった。
【0071】
実施例2〜15
実施例1において、仕込み量を表1及び表2に示す値にした以外は、実施例1と同様にして、水性ゲル(E2)〜(E14)を得た。水性ゲル(E2)〜(E14)の(1)水性液ゲル中のオニウム置換ゼラチン(A)の量、(2)水性液ゲル中の反応生成物(B)の量、(3)(A)/(B)の比、(4)アルコール/水の比を表1及び表2に示した。
【0072】
実施例15 水性液ゲル(E15)の調整
製造例4で調整した水性液(A−1)(70部)に製造例10で調整した水性液溶液(B−1)(30部)を加えた後、30℃で30分間攪拌して均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水性液を50℃恒温槽で加熱し24時間反応を行い、均一で透明な水性液ゲル(E15)を得た。本水性液ゲル(E15)は、オニウムカチオン置換ゼラチン(A)の量4.76%、反応生成物(B)の量2.47%、オニウムカチオン置換ゼラチン(A)/反応性生物(B)比1.93、及びアルコール/水の比率50/50であった。
【0073】
比較例1〜4
実施例1において、製造例1で調整したA1に代えてゼラチンSE−1、仕込み量を表2に示す値にした以外は、実施例1と同様にして、水性ゲル(E16)〜(E19)を得た。水性ゲル(E16)〜(E19)の(1)水性液ゲル中のオニウム置換ゼラチン(A)の量、(2)水性液ゲル中の反応生成物(B)の量、(3)(A)/(B)の比、(4)アルコール/水の比を表2に示した。
【0074】
比較例5
特許文献9(特開平1−119258号公報)に準じて、次の様にゲルを作成した。カーボポール980(1.5部)に、製造例13で調整したC3(94.5部)を加え、攪拌しながら沸騰するまで加熱しカーボポール980を溶解させた後、25℃まで冷却し(a)液と得た。製造例17で使用したフローラル系香料(0.5部)に製造例17で使用したノニポール120(0.5部)を加え、攪拌し溶解して、(b)液を得た。トリエタノールアミン(3.0部)を(c)液とした。次に、(b)液と(c)液を混合し、この混合液に(a)液を加えながら混合すると瞬時に透明なゲルが生成した。このゲルを水性ゲル(E20)とした。
カーボポール980:カルボキシビニルポリマー、ビーエフグットリッチ(BF Goodrich)社製
【0075】
比較例6
特許文献12(特開2003−3029号公報)の実施例1に準じて、次の様にジアセトアクリルアミド共重合体変性ポリビニルアルコールを作成した。攪拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器を取り付けたフラスコ内に、酢酸ビニル(672部)、ジアセトンアクリルアミド(10部)、およびメタノール(178部)を仕込み、系内の室素置換を行なった後、内温を60℃まで昇温した。この系に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(1部)をメタノール(50部)に溶解した溶液を添加し重合を開始した。重合開始後、5時間かけて、ジアセトンアクリルアミド(55部)をメタノール(35部)に溶解した溶液を一定速度で滴下し、6時間後に冷却し、重合を停止した。重合収率は78%であった。得られた反応混合物にメタノール蒸気を加えながら残存する酢酸ビニルを留出し、ジアセトンアクリルアミド共重合体成分を含有する酢酸ビニル系重合体の50%メタノール溶液を得た。この混合物(500部)にメタノール(50部)と水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液(10部)とを加えて良く混合し、40℃で鹸化反応を行なった。得られたゲル状物を粉砕し、メタノールでよく洗浄した後に乾燥して、ジアセトンアクリルアミド共重合体変性ポリビニルアルコールを得た。得られたジアセトアクリルアミド共重合変性ビニルアルコール(4部)をイオン交換水(77.4部)に分散させ、90℃に加熱し30分間攪拌を続け完全に溶解させた。次いで、得られた溶液を50℃以下に冷却した後、界面活性剤として、製造例17で使用したノニポール120(0.6部)、エタノール(9.4部)、製造例17で使用したフローラル系香料(0.6部)及び架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジド10重量%水溶液(8部)を混合し、水性ゲル状芳香剤用組成物を調整した。続いて、得られた組成物を25℃で二日間放置してゲル化反応させることによって透明な水性ゲル状芳香剤を得た。このゲルを水性ゲル(E21)とした。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
実施例1〜15及び比較例1〜6の評価結果を表3に示す。
【0079】
【表3】

【0080】
評価方法は、以下の通りである。
(1)ゲルの外観(1)
上記に記載した透過率の評価方法に準じて作成したゲルの透過率を測定し、ゲルの外観を透過率により次のように評価した。
○…透過率100〜70のもの
△…透過率69〜31のもの
×…透過率30〜0のもの
(2)ゲルの外観(2)
ゲルの外観(1)で使用したゲルを−20℃で16時間冷却させたものを25℃で8時間放置し、上記に記載した透過率の評価方法に準じてゲルの外観を透過率により次のように評価した。
○…透過率100〜70のもの
△…透過率69〜31のもの
×…透過率30〜0のもの
【0081】
(3)透過率
上記ゲルの外観(1)で測定した透過率を記載した。
(4)低温安定性
直径4cmの円柱状の密栓付き容器に試料50gとり、50℃で24時間反応させて作成したゲルを4℃恒温槽中に1週間放置し、さらに25℃で8時間放置した後、ゲルの表面の分離物をキムワイフで拭き取り、キムワイフの重量増加分により次のように評価した。
○…重量増加分0.10g以下のもの
△…重量増加分0.11〜0.19gのもの
×…離水する重量増加分0.20以上のもの
【0082】
(5)ゲルの保形性
直径3.5cm、高さ12cmの円柱状密栓付きガラス製の容器に半量(底面から6cm)のゲルを密栓をして50℃で24時間反応させてゲルを調整し、さらに25℃で6時間放置した。ゲル上部表面に接する位置(A)に印を付けた後、容器を真横に寝かせ、寝かせてから1時間後のゲルの先端からガラス面に垂直に下ろした位置(B)に印を付けた。位置(A)から位置(B)までの距離をゲルの移動距離とし、ゲルの保形性を評価した。
○…ゲルの移動距離が2cm以下のもの
△…ゲルの移動距離が2cmを超えて、4cm以下のもの
×…ゲルの移動距離が6cmを超えて、流動したもの
(6)高温安定性
上記に記載の「ゲルの保形性」評価方法で作成した試料を50℃恒温槽中に72時間放置し、50℃の雰囲気下で容器を真横に寝かせ、寝かせてから1時間後に上記に記載の「ゲルの保形性」評価方法に準じてゲルの移動距離を測定し、高温安定性を次のように評価した。
○…ゲルの移動距離が2cm以下のもの
△…ゲルの移動距離が2cmを超えて、4cm以下のもの
×…ゲルの移動距離が6cmを超え、流動したもの
【0083】
表3の結果から、実施例1〜15の実施例は、ゲルの外観、透過率、低温安定性、保形性及び高温安定性に優れることが分かる。比較例2〜4では、高濃度のエタノール溶液にゼラチンSE−1が溶解せず、その結果ゲル化しなかった。比較例1では、低濃度のエタノール溶液のためゼラチンSE−1が溶解でき、その結果ゲル化し、ゲルの外観、透過率、低温安定性、保形成及び高温安定性も良好であった。比較例5〜6は、低温でゲルからの離水が発生し、低温安定性が悪かった。又、比較例5は、架橋構造が形成されていないため保形性及び高温安定性が不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の水性液用ゲル化剤、水性液ゲル及び水性液ゲルの製造方法は、以下の効果を奏する。
(1)本発明の水性液用ゲル化剤で水性液をゲル化したゲル及び本発明の製造方法で得られたゲルは保形性が良いため、容器を移動したり倒した場合、ゲルが変形したり、ゲルがこぼれることがなく、取り扱いやすい。
(2)本発明の水性液用ゲル化剤で水性液をゲル化したゲル及び本発明の製造方法で得られたゲルは透明感があるので、美観に優れる。
(3)本発明の水性液用ゲル化剤で水性液をゲル化したゲル及び本発明の製造方法で得られたゲルは、ゲルからの離液現象やゲルのひび割れなどが発生しないので,貯蔵安定性に優れる。
(4)高濃度のアルコールを含有する水性液に香料を混合・ゲル化できるので、冬場の気温が低い場合でも香料などの揮散性に優れる。
また、本発明の水性液ゲルの製造方法は、以下の効果を奏する。
(5)本発明の製造方法は、低い温度でゲルを製造できるので、製造時の香料の揮散や香料の変質が起こりにくい。
以上のことから、本発明の水性液用ゲル化剤で得られた水性液ゲル及び水性液ゲルの製造方法により得られたゲルは、消臭及び/又は芳香剤として有用である。
また、本発明の水性液ゲルの製造方法は、以下の効果を奏する。
(6)本発明の製造方法は、低い温度でゲルを製造できるので、製造時の香料の揮散や香料の変質が起こりにくい。
以上のことから、本発明の水性液用ゲル化剤で得られた水性液ゲル及び水性液ゲルの製造方法により得られたゲルは、消臭及び/又は芳香剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼラチンのカルボキシル基のプロトンがオニウムカチオンで置換されてなるオニウムカチオン置換ゼラチン(A)と、下記反応生成物(B)とを含んでなる水性液(C)用ゲル化剤。
反応生成物(B):エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体とアンモニウムとの反応による反応生成物
【請求項2】
ゲル化剤の重量を基準として、オニウムカチオン置換ゼラチン(A)の含有量が9.0〜99.0重量%、反応生成物(B)の含有量が1.0〜91.0重量%、及び(A)の含有量と(B)の含有量の比{(A)の含有量/(B)の含有量}が0.1〜99である請求項1に記載の水性液用ゲル化剤。
【請求項3】
反応生成物(B)が、エチレン不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体に含まれる無水マレイン酸基1モルに対してアンモニアが0.5〜2モル反応している反応生成物である請求項1又は2に記載の水性液用ゲル化剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の水性液用ゲル化剤で水性液(C)をゲル化させてなる水性液ゲル。
【請求項5】
透過率が70〜100%である請求項4に記載の水性液ゲル。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の水性液用ゲル化剤、消臭性及び/又は芳香性を有する物質(D)並びに水性液(C)を含んでなる消臭及び/又は芳香剤。
【請求項7】
ゼラチンのカルボキシル基のプロトンがオニウムカチオンで置換されてなるオニウムカチオン置換ゼラチン(A)、下記反応生成物(B)及び水性液(C)を含んでなる組成物を架橋反応させることを特徴とする水性液ゲルの製造方法。
反応生成物(B):エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体とアンモニウムとの反応による反応生成物
【請求項8】
ゲル化剤の重量を基準として、オニウムカチオン置換ゼラチン(A)の含有量が9.0〜99.0重量%、反応生成物(B)の含有量が1.0〜91.0重量%、及び(A)の含有量と(B)の含有量の比{(A)の含有量/(B)の含有量}が0.1〜99である請求項7に記載の水性液ゲルの製造方法。
【請求項9】
反応生成物(B)が、エチレン不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体に含まれる無水マレイン酸基1モルに対してアンモニアが0.5〜2モル反応している反応生成物である請求項7又は8に記載の水性液ゲルの製造方法。
【請求項10】
架橋反応させる温度が5〜60℃である請求項7〜9のいずれかに記載の水性液ゲルの製造方法。

【公開番号】特開2009−298893(P2009−298893A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153729(P2008−153729)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】