説明

水性組成物

【課題】香り立ちや香りの持続性に優れると共に併用する水溶性色素の変色を酸性条件下で抑制できる、特に液体洗浄剤組成物に応用するのに好適な水性組成物を提供する。
【解決手段】賦香かつ着色された水性組成物であって、(a)1級アミノ基を有する色素化合物、(b)リラール、リリアール、リグストラール、ベンズアルデヒドから1つ以上選ばれるアルデヒド系香料成分を20〜250ppm、及び水を含有し、組成物中の(b)成分以外のアルデヒド系香料成分の含有量が25ppm以下である酸性水性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水溶性色素及び香料を含有する水性組成物、並びに酸性液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
硬質表面用の液体洗浄剤などは、洗浄時の視認性などから水溶性染料で着色することが行われている(特許文献1〜4)。このような水溶性色素は酸性条件下で一般に様々な温度条件において安定なものが用いられるが、夏場の高温時にはこのような染料を用いても変色を引き起こすことが知られており、水溶性染料が少量でも変色しない方法が求められる。
【0003】
一方、特許文献1、2、4、5にみられるように香料組成物は液体洗浄剤には汎用されている。その中でもアルデヒド系香料成分は、香り立ちや香りの持続性に効果があり、特に界面活性剤を含有する洗浄剤組成物には、このような特徴を生かすため配合されている。
【特許文献1】特開2005−29756号公報
【特許文献2】特開2004−210961号公報
【特許文献3】特開2003−193097号公報
【特許文献4】特開2001−98300号公報
【特許文献5】特開2005−206726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗浄剤組成物を硬質表面に使用する場合、直後に香りが感じられ、また、しばらく時間が経過した後も、空間に爽やかで清潔感のある香りが持続することが好ましい。アルコール系香料や炭化水素系香料などは、香りが弱く持続性に乏しいが、アルデヒド系香料成分はその点優れている。ところがアルデヒド系香料成分を多く含有する場合、上記水溶性染料の変色を抑制することが困難になる。特許文献2では高温保存時の色素安定性、特許文献4では香料の香気安定性、特許文献5では基剤の損傷性、非着色性を取り上げているが、洗浄液の液色の高温安定性に関しては議論されていなかった。
【0005】
従って、本発明が解決しようとする課題は、香り立ちや香りの持続性に優れると共に併用する水溶性色素の変色を酸性条件下で抑制する水性組成物、特に液体洗浄剤組成物に応用するのに好適な水性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、賦香かつ着色された水性組成物であって、(a)1級アミノ基を有する色素化合物、(b)リラール、リリアール、リグストラール、ベンズアルデヒドから1つ以上選ばれるアルデヒド系香料成分を20〜250ppm、及び水を含有し、組成物中の(b)成分以外のアルデヒド系香料成分の含有量が25ppm以下である酸性水性組成物に関する。
【0007】
また、本発明は、賦香かつ着色された液体洗浄剤組成物であって、(a)1級アミノ基を有する色素、(b)リラール、リリアール、リグストラール、ベンズアルデヒドから1つ以上選ばれるアルデヒド系香料成分を20〜250ppm、(c)界面活性剤、(d)有機酸を2〜15質量%、及び水を含有し、(b)成分以外のアルデヒド系香料成分の含有量が25ppm以下である酸性液体洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、酸性条件下においても香り立ちや香りの持続性に優れると共に併用する染料の変色を抑制する水性組成物が提供される。本発明の水性組成物は、賦香、着色などの目的で、液体洗浄剤組成物に配合することができ、その場合には香り立ちや香りの持続性に優れると共に染料の変色が抑制された液体洗浄剤組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で用いる色素〔以下(a)成分という〕は、分子内に1級アミノ基を有する化合物を含有することが必要であり、酸性溶液中で安定で有る上に審美性に優れる。このような(a)成分の色素としては、水溶性染料が好ましく、具体的には、C.I. Acid Black 1(黒色401号)、C.I. Acid Red 33(赤色227号)を挙げることができる。
【0010】
本発明の水性組成物は、使用時の視認性から(a)成分を組成物中に0.00001〜0.02質量%、更に0.0001〜0.015質量%、特に0.0005〜0.01質量%含有することが好ましく、このような範囲で高温での変色を満足できるレベルまで抑制することが可能になる。
【0011】
本発明の水性組成物は、リラール、リリアール、リグストラール、ベンズアルデヒドから選ばれる1種以上のアルデヒド系香料成分〔以下(b)成分という〕、好ましくはリラールおよびリグストラールから選ばれる1種以上のアルデヒド系香料成分を含有する。(b)成分の含有量は、組成物中、20〜250ppm、好適には50〜200ppmの範囲であり、これを満たすように(b)成分を調整することが好ましい。
【0012】
本発明の効果においては、(b)成分のアルデヒド系香料成分、より好ましくはリラール、リグストラールが、染料の変色に与える影響が小さく、30℃のpHが1〜4において安定である。
【0013】
一方、(b)成分以外のアルデヒド系香料成分は、染料の変色への影響が大きく、30℃のpHが1〜4において安定性に欠ける。また、色素の変色に影響するだけでなく、当該水性組成物の長期保存後の香調に影響する。したがって(b)成分以外のアルデヒド系香料成分の含有量は組成物中25ppm以下、更に20ppm以下であることが望ましい。
【0014】
(b)成分以外のアルデヒド系香料成分としては、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、トリデシルアルデヒド、トリメチルヘキシルアルデヒド、メチルオクチルアセトアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、トランス−2−ヘキセナール、シス−4−ヘプテナール、2,6−ノナジエノール、シス−4−デセナール、ウンデシレンアルデヒド、トランス−2−ドデセナール、トリメチルウンデセナール、2,6,10−トリメチル−5,9−ウンデカジエナール、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、ペリラアルデヒド、メトキシジヒドロシトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、イソシクロシトラール、センテナール、ベルンアルデヒド、デュピカール、マセアール、ボロナール、セトナール、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヒドラトロピックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェニルアセトアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、3−(p−t−ブチルフェニル)−プロピルアルデヒド、p−エチル−2,2−ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、2−メチル−3−(p−メトキシフェニル)−プロピルアルデヒド、p−t−ブチル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、10−ウンデセナール、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−8,8−ジメチル−2−ナフトアルデヒド、1−メチル−4−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、ノナナール、マイラックアルデヒド、3,6(4,6)−ジメチル−3−シクロヘキセン−1カルボアルデハイド(商品名=シクロベルタール/花王)を挙げることができる。
【0015】
本発明者らは(a)成分の変色を詳細に検討した結果、アルデヒド系香料成分が水性組成物の酸性領域において、特定の色素を変色させる原因となっていることを見出し、更には、アルデヒド系香料成分の中でも前記のような特定のアルデヒド系香料を用いると、水性組成物のpHが酸性、具体的には30℃のpHが1〜4の比較的強い酸性域にあっても、(a)成分の変色への影響を抑制することができ、かつ長期保存しても安定に保てることができることを見出した。
【0016】
本発明の水性組成物は(b)成分および(c)成分の分散又は可溶化の目的から、界面活性剤を含有してもよい。
【0017】
本発明の技術思想は、酸性の賦香かつ着色された水性組成物全般に利用できるものであるが、具体的な用途として、液体洗浄剤組成物に応用することが好ましく、特には上記の分散性の観点からしても、界面活性剤を含有する液体洗浄剤組成物に応用することが好ましい。
【0018】
水性組成物ないし液体洗浄剤組成物に用いられる好適な界面活性剤〔以下(c)成分という〕としては、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、及び双性又は両性界面活性剤から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0019】
陽イオン界面活性剤〔以下(c1)成分という〕としては、炭素数8〜16の炭化水素基を1〜3個と残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、もしくはベンジル基である4級アンモニウム化合物が好適である。(c1)成分としては下記一般式(1)〜(3)の化合物を挙げることができる。
【0020】
【化1】

【0021】
〔式中、R1及びR6は、それぞれ独立して炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R3及びR4は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。Xは芳香環又は−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−から選ばれるエステル基あるいはアミド基であり、R2は、Xがエステル基又はアミド基である場合には水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり、Xが芳香環の場合には、水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基又は−(O−R11)k−である。ここでR11はエチレン基又はプロピレン基であり、kは平均1〜10の数である。R5は炭素数1〜3のアルキレン基である。R7〜R10はこれらの内1つ以上が炭素数8〜18のアルキル基であり、残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。また、mは0又は1の数である。さらにY-は、陰イオンである。〕
【0022】
陰イオン界面活性剤〔以下(c2)成分という〕としては、炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル(又はアルケニル)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(炭素数10〜18が好ましい)硫酸エステル塩、アルキル(炭素数10〜18が好ましい)エーテル硫酸エステル塩を挙げることができる。
【0023】
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、洗剤用界面活性剤市場に一般に流通しているものの中で、アルキル鎖の平均炭素数が10〜18のものであればいずれも用いることができ、例えば花王(株)製のネオペレックスF25、Shell社製のDobs102等を用いることができる。また、工業的には、洗剤用原料として広く流通しているアルキルベンゼンをクロルスルホン酸、亜硫酸ガス等の酸化剤を用いてスルホン化して得ることもできる。アルキル基の平均炭素数は10〜14が好ましい。
【0024】
アルキルエーテル硫酸エステル塩は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩であるが、そのアルキル基は分岐鎖であってもよく、またエチレンオキサイド平均付加モル数は1.0〜5.0、特には1.0〜4.0のものが用いられる。しかしながら、アルキルエーテル硫酸エステル塩とアルキル硫酸エステル塩は、組成物の酸性が強い場合は、分解しやすくなるため、配合が制限される。特にpHが4.0以下の場合は、実質的に配合しないことが望ましい。
【0025】
これら陰イオン界面活性剤の塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩が好適であり、洗浄効果の点からナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましい。
【0026】
非イオン界面活性剤〔以下(c3)成分という〕としては下記一般式(4)及び一般式(5)の化合物が好ましい。
【0027】
4a−O−(R4bO)d−H (4)
〔式中、R4aは、炭素数8〜18、好ましくは10〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R4bは炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。dは平均付加モル数として3以上20未満、好ましくは4以上15以下、特に好ましくは5以上10以下の数を示す。〕
【0028】
一般式(4)の化合物において特に好ましい化合物は下記一般式(4−1)の化合物又は一般式(4−2)の化合物を挙げることができる。
4c−O(EO)g−H (4−1)
〔式中、R4cは炭素数10〜18、好ましくは10〜16の一級の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基又は二級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイドであり、gは平均付加モル数として3以上20未満である。〕
4d−O[(EO)h/(PO)i]−H (4−2)
〔式中、R4dは炭素数10〜18、好ましくは10〜16の一級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。hは平均付加モル数3〜15、iは平均付加モル数1〜5であり、hとiの合計は20未満である。EOとPOはランダム付加又はEOを付加した後、POを付加してもよく、またその逆のようなブロック付加体でもよい。〕
【0029】
【化2】

【0030】
〔式中、R6aは炭素数8〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R6bは炭素数1〜6のアルキレン基であり、Bは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−から選ばれる基である。jは0又は1の数であり、R6c、R6dは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。〕
【0031】
一般式(5)において、R6aは、好ましくは炭素数10〜14のアルキル基又はアルケニル基であり、特に好ましくはラウリル基(又はラウリン酸残基)及び/又はミリスチル基(又はミリスチン酸残基)である。Bは、好ましくは−COO−又は−CONH−であり、最も好ましくは−CONH−である。R6bの炭素数は、好ましくは2又は3であり、R6c、R6dは、好ましくはメチル基である。
【0032】
本発明では、一般式(5)中のR6aは単独のアルキル(又はアルケニル)鎖長でもよく、異なるアルキル(又はアルケニル)鎖長を有する混合アルキル基(又はアルケニル基)であってもよい。後者の場合には、ヤシ油、パーム核油から選ばれる植物油から誘導される混合アルキル(又はアルケニル)鎖長を有するものが好適である。具体的にはラウリル基(又はラウリン酸残基)/ミリスチル基(又はミリスチン酸残基)のモル比が95/5〜20/80、好ましくは90/10〜30/70であることが洗浄効果、及び泡立ち性の点から好ましい。
【0033】
その他の非イオン界面活性剤として知られている、アルキル鎖の炭素数が8〜18、平均糖縮合度が1.0〜3.0のアルキルグリコシドを挙げることができる。しかしながら、アルキルグリコシドもまた、酸性領域で加水分解しやすいため、その配合は注意を要し、特にpHが4.0以下の場合は、実質的に配合しないことが望ましい。
【0034】
両性界面活性剤〔以下(c4)成分という〕のより具体的な化合物としては、下記一般式(6)の化合物が好ましい。
【0035】
【化3】

【0036】
〔式中、R7aは炭素数9〜23のアルキル基又はアルケニル基であり、R7bは炭素数1〜6のアルキレン基である。Dは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、kは0又は1の数である。R7c、R7dは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R7eはヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5のアルキレン基である。Eは−SO3-、−OSO3-、−COO-から選ばれる基である。〕
【0037】
一般式(6)において、R7aは、好ましくは炭素数9〜15、特に9〜13のアルキル基であり、R7bは、好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基である。Dは−CONH−が好ましい。R7c、R7dはメチル基、又はヒドロキシエチル基が好ましい。Eは−SO3-、又は−COO-が好ましく、Eが−SO3-の場合にはR7eは−CH2CH(OH)CH2−が好ましく、Eが−COO-の場合にはR7eはメチレン基が好ましい。
【0038】
本発明の水性組成物においては、(b)成分の分散又は可溶化の目的から、界面活性剤成分としてはアルキル基の炭素数が10〜16、アルキル基が直鎖のジメチルアミンオキシドおよび/またはポリオキシエチレンアルキルエーテル(EO平均付加モル数が1〜10、アルキル基の炭素数が10〜16、アルキル基は直鎖または分岐鎖が好ましい。2級タイプのものでも構わない。)、(c)成分としてはアルキルジメチルアミンオキシド(炭素数が10〜16)が好ましい。また、水性組成物中の(c)成分の含有量は0.005質量%以上1質量%未満、が好ましい。
【0039】
また、本発明の水性組成物を液体洗浄剤組成物として用いる場合は、洗浄効果の点から、(c1)成分としてはオクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、(c2)成分としてはアルキルベンゼンスルホン酸塩(アルキル基の炭素数が10〜14、アルキル基は直鎖、ナトリウム塩が好ましい。)、(c3)成分としてはジメチルアミンオキシド(アルキル基の炭素数が10〜16、アルキル基は直鎖が好ましい。2級タイプのものでも構わない。)、(c4)成分としてはラウロイルアミドプロピルカルボキシベタインが好ましい。この中でも特にジメチルアミンオキシドを洗浄剤組成物中に1〜15質量%、更に1〜10質量%、特に1〜5質量%含有させることが好適である。また、液体洗浄剤組成物中の(c)成分の含有量は、1〜15質量%、更に1〜10質量%が好ましい。
【0040】
また本発明の水性組成物又は液体洗浄剤組成物は、酸性を呈するが、pH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤を用いることができる。また、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、を用いてpHを調整することができる。この中でも特に有機酸〔以下(d)成分という〕を2〜15質量%、好ましくは3〜10質量%含有することが好ましく、(d)成分としては特にクエン酸が好ましい。
【0041】
本発明の水性組成物又は液体洗浄剤組成物は(a)成分及び(b)成分、所望により(c)成分および(d)成分を水に溶解させた水溶液の形態であることが好ましく、水に存在する微量の金属成分を除去したイオン交換水や蒸留水、もしくは次亜塩素酸塩や塩素で滅菌した滅菌水などを用いることが染料の変色を防止する点から好適であり、特に鉄イオン、ニッケルイオン、銅イオンが変色に大きく影響するためこれら金属イオンの合計量を1ppm未満に低減化させた水を使用することが好ましい。
【0042】
本発明の液体洗浄剤組成物は、硬質表面用、衣料用、身体用等として用いることができ、好適には硬質表面用、特に浴室用、トイレ用、食器洗い用、台所周り用である。
【実施例】
【0043】
表1の水性組成物を調製し、以下の評価を行った。表1の組成物は硬質表面用の液体洗浄剤組成物として用いることができる。なお、表1中の「%」「ppm」はいずれも質量基準である。
【0044】
<香り立ちと香りの持続性の評価方法>
香り立ちと香りの持続性は官能評価である。香り立ちとは、試料を一定量吐出した直後に感じる香りの強さであり、香りの持続性とは、試料を一定量吐出後ある一定時間経過した時に、空間に漂う香りの強さが十分であるかどうかを意味する。香りの持続性は、水性組成物ないし洗浄剤組成物を使用して一定時間後(例えば30分後)に、どの程度の香りが漂うかの指標である。
【0045】
なお、香り立ちと香りの持続性評価は表1の組成物80gを100mlのガラス製密閉容器に入れたものを50℃の電気恒温槽に入れ静置する。2週間後に恒温槽からガラス製密閉容器を取り出し、室温に戻した後、評価に用いた。
【0046】
評価用ステンレス製ブース(間口96cm×奥行き98cm×高さ195cm;側面に評価用の開閉窓付き、ブース内温度25℃;湿度30%RH)内にプラスチック製洗面器を置き、水性組成物を洗面器内に市販のプラスチック製スポイトで2.5g吐出した。吐出して30秒後にブースの外側から、評価用の窓を開けてブース中の香りの強さ(香り立ち)について評価した。また、30分経過後に同様の方法で香りの強さ(香りの持続性)を評価した。いずれも、専門パネラー10名で以下の評価基準に従い官能評価を行った。
【0047】
香りの強さ(5段階)
0:匂わない
1:やっと感知できるにおい
2:何のにおいであるかがわかる弱いにおい
3:らくに感知できるにおい
4:強いにおい
【0048】
香り立ちと香りの持続性(3段階)
10名の評価者がブース内の香りの強さを上記に示す方法で評価し、その平均値をとって以下の基準で判定した。
(香り立ち)
○:平均値が3以上:香り立ちが良い
△:平均値が2以上3未満:香り立ちがやや良い
×:平均値が2未満:香り立ちが悪い
(香りの持続性)
○:平均値が3以上:香りの持続性が良い
△:平均値が2以上3未満:香りの持続性がやや良い
×:平均値が2未満:香りの持続性が悪い
【0049】
<色素の安定性の評価>
表1の組成物80gを100mlのガラス製密閉容器に入れたものを二つずつ用意する。各組成物の1本を10℃に、もう一方を50℃の電気恒温槽に入れ静置する。2週間後に恒温槽からガラス製密閉容器を取り出し、室温に戻した後、2本容器の色の違いを確認する。評価は肉眼で行い、以下の基準に従った。
○;両者同じ
△;少し違いがある
×;明らかに違いがある
【0050】
【表1】

【0051】
・c−1:シェル社製、Neodol 23-10
・c−2:花王(株)製、Amphitol 20N(和工)
・c−3:EOC社製、Euroxide M25
【0052】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
賦香かつ着色された水性組成物であって、(a)1級アミノ基を有する色素化合物、(b)リラール、リリアール、リグストラール、ベンズアルデヒドから1つ以上選ばれるアルデヒド系香料成分を20〜250ppm、及び水を含有し、組成物中の(b)成分以外のアルデヒド系香料成分の含有量が25ppm以下である酸性水性組成物。
【請求項2】
(a)がC.I. Acid Black 1(黒色401号)及び/又はC.I. Acid Red 33(赤色227号)である請求項1記載の水性組成物。
【請求項3】
賦香かつ着色された液体洗浄剤組成物であって、(a)1級アミノ基を有する色素、(b)リラール、リリアール、リグストラール、ベンズアルデヒドから1つ以上選ばれるアルデヒド系香料成分を20〜250ppm、(c)界面活性剤、(d)有機酸を2〜15質量%、及び水を含有し、(b)成分以外のアルデヒド系香料成分の含有量が25ppm以下である酸性液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2007−106921(P2007−106921A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300003(P2005−300003)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】