水性蛍光プリント用インク、及び記録方法
【課題】 判定、測定に必要な発色性を有し、高い蛍光強度及び高堅牢性をもつ水性蛍光インク、及び該水性蛍光インクを用いたインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】 少なくとも2つ以上の蛍光色材により着色された樹脂粒子を含む水性蛍光プリント用インクにおいて、前記蛍光色材の一方の色材が、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材であり、前記蛍光色材の他方の色材が前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材であり、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち前記基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域を実質的に含むことを特徴とする水性蛍光プリント用インク。
【解決手段】 少なくとも2つ以上の蛍光色材により着色された樹脂粒子を含む水性蛍光プリント用インクにおいて、前記蛍光色材の一方の色材が、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材であり、前記蛍光色材の他方の色材が前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材であり、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち前記基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域を実質的に含むことを特徴とする水性蛍光プリント用インク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蛍光色材により着色された樹脂粒子を含むプリント用インク及びこれを用いたプリント画像における蛍光性と堅牢性を向上できるプリント用インク、さらには、このインクを用いたインクジェット記録方法に関する。さらに、具体的には、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクに対して用いられる第2蛍光色材によって着色した樹脂微粒子を用いることにより、蛍光発光特性を向上するための新規な技術思想に基づく相関技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な用途で使用可能なインクが求められており、かかる用途としては、単に美麗な有色画像を形成することに留まらず、例えば、インクに蛍光性を持たすことで、文字、数字、記号、バーコード等の情報を記録媒体に記録し、適当な波長の紫外光を照射することにより蛍光インクを有色発光させて、可視情報以外の情報(例えば、セキュリティ情報)等を付与する技術展開が提案されている。その中でも特に蛍光を発光させてその発光強度を読み取る装置を使用して真贋判定(偽造防止)情報やセキュリティ情報を読み取る方式では、その方式で用いられる基準波長(例えば、254nm)で励起させ(基準励起波長)、蛍光色材を蛍光発色させて判定や、測定に用いられている。
【0003】
例えば、電子透かしや料金別納郵便物の証印の印刷などのメーリングシステムなどにも用いられている。このメーリングシステムとしては、米国では蛍光の赤色印刷を行うことが一般的で、蛍光色素として前記公報にもあるC.I.アシッドレッド52(AR52)等の染料が用いられている。AR52を蛍光染料として例示し、蛍光染料、顔料及び顔料の分散剤としてのポリマーを含むインクが開示されている(例えば、特許文献1参照)。尚、この明細書にも記載されるように、形成された「画像の色味」を所望の色調に変える、いわゆる人間の感覚としてとらえた色調を調整するために、その色調に合わせた染料を組み合わせることは、この明細書発明よりはるか以前から設計事項として知られている。蛍光染料と高分子分散剤で分散した顔料を含むものであり、耐水性などの堅牢性は向上しているがまだ十分なものとは言えない。
【0004】
一方、蛍光染料をラテックスベースで固定化した顔料を含むインクが提案されている(例えば、特許文献2参照)。又、樹脂によるカプセル化した蛍光トナーと水溶性溶媒、補助浸透剤を含むインクが提案されている(例えば、特許文献3参照)。これらのインクは耐水性を改善したものであるが、これらのインクをメーリングシステム等において用いられる場合、これらのインクによる印字物の蛍光強度をしきい値として利用する場合、より安定した蛍光強度を発することが重要となる。しかしながら、先行技術では、より安定した蛍光強度を得ることができなかった。
【0005】
更に、熱エネルギーによってインクを飛翔させて記録を行うインクジェット記録(バブルジェット(登録商標)と称す)においては、安定したインク吐出を行うために、インク吐出のために用いる色材の各種特性を加味したものを選択しなければならない。
【特許文献1】米国特許第6,176,908号明細書
【特許文献2】特開平8−53640号公報
【特許文献3】特開平9−291246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の複数の蛍光染料や顔料を組み合わせたインクは、所望の蛍光波長(例えば、580nm〜620nm)領域の蛍光強度を向上すべく、単に組み合わせを行うものでしかない。従って、複数の蛍光染料同士の関係や、インクとしての特性、組成、あるいは、形成された画像の解析自体が、本発明の技術課題の発掘となり、根本的に「蛍光」というものを解析して、蛍光強度を複数の蛍光染料を用いた技術的方向性を提供することが本発明の主たる目的となる。
【0007】
そこで、本願発明者らは「蛍光」という現象、メカニズムを考慮することで基本的な技術追求を行い、蛍光強度を向上するためには少なくとも下記の課題の1つ(好ましくは、下記課題の複数)を解決することが重要であるとの結論に至った。
【0008】
元々、基準励起波長に対して所望の蛍光波長(例えば、580nm〜620nm)領域の蛍光を示す第1の蛍光色材だけで充分な蛍光強度を得ることができれば、他の蛍光色材(以下、第2色材と呼ぶ)を加える必要性は無い。前述したように第1の色材をAR52とした場合、単独の特性としては、0.01質量%以下でも充分な蛍光強度を示す。このような事実に対して逆転の発想を持ってして色材同士の有効な関係を持たせることは、考慮すべき事項の1つである。
【0009】
又、前述したように第1の色材をAR52とした場合、単独の特性としては、0.01質量%以下でも充分な蛍光強度を示すが、画像を形成する上で記録媒体としての紙や封筒の表面繊維に定着できずに紙内部に無駄に消費されることやインク中の第1、第2色材の量を増やすと逆に蛍光強度が低下する濃度消光といった問題も、夫々考慮すべき事項の1つである。他方、与えられるエネルギーは、基準励起波長に限られることも考慮すべき事項の1つである。
【0010】
従って、本発明の第1の課題は、蛍光色材で着色した樹脂微粒子を用いることにより、インクジェットプリントに適したものであり、且つ、従来の蛍光染料を用いたインクの場合よりも、耐水性、耐候性などの堅牢性を向上できるプリントインクを提供することである。
【0011】
本発明の第2の課題は樹脂微粒子基準励起波長の付与によって発生する第2の色材が発する蛍光発光と第1の色材の励起特性との相関に着目して、エネルギー効率を向上することで所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0012】
本発明の第3の課題は、第1の色材が呈する吸収スペクトルと基準励起波長の付与によって発生する第2の色材が発する蛍光発光とに着目してエネルギー高効率化を達成し、所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0013】
本発明の第4の課題は、色材同士の構造分析によって得られた知見、即ち、色材の会合を合理的に解決し、色材の添加量を増大できることにより、所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0014】
本発明の第5の課題は、前記第4の課題に加えて、基準励起波長の付与によって発生する第2の色材が発する蛍光発光と第1色材の所望蛍光波長を得るための励起波長特性に関与することに着目して、所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0015】
本発明の第6の課題は、複数蛍光色材を有するインク自体における特性として、より安定的に所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0016】
本発明の第7の課題は、形成される画像からの分析によって得られた知見、即ち、画像が形成される記録媒体の種類、特性に大きく左右されずに、所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0017】
本発明の第8の課題は、前記第1課題に加えて、第1の色材の励起特性と第2の色材のもつ吸収スペクトルの相関に着目して、エネルギー効率を向上することで所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0018】
尚、本発明の更なる課題や目的は、以下の説明で明らかになろう。依って、本発明は、少なくとも上記課題の1つ(好ましくは、上記課題の複数)を解決し、優れた蛍光強度と堅牢性を両立して満足するプリント用インクを提供することをその目的とする。本発明の他の目的は、このプリント用インクを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記の課題を解決する手段として、単独の蛍光色材では達成できない蛍光強度を得るために、複数の蛍光において色材同士の有効な関係を持たせることにより十分な蛍光強度得ることができ、さらにそれらの蛍光色材により着色した樹脂微粒子を用いることによりより安定な特性が得られ、且つ、耐水性や耐候性などの堅牢性がえられる新規なインクを得た。すなわち、本発明は以下のような手段によって達成される。
【0020】
1)少なくとも2つ以上の蛍光色材により着色された樹脂粒子を含むプリント用インクにおいて、前記蛍光色材の一方の色材が、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材であり、
前記蛍光色材の他方の色材が前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材であり、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち前記基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域を実質的に含むことを特徴とする水性蛍光プリント用インク。
【0021】
2)前記基準励起波長が254nmで、前記ピーク波長領域が475nm以上600nm以下であり、前記第2蛍光色材の発光波長域が、前記基準波長としての600nmを含み、450nm以上600nm以下の発光波長範囲を有している前記1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0022】
3)前記第1の蛍光色材が可視光領域に吸収スペクトルのピーク領域を有し、前記第2の蛍光色材の蛍光発光の波長領域に、該吸収スペクトルのピーク領域よりも低波長側の領域が含まれている前記1又は2に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0023】
4)基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準波長の発光を得るための励起波長域のうち、前記第1蛍光色材の吸光スペクトルにおける主たる吸収波長域を包含する波長域にある前記1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0024】
5)前記第1蛍光色材の主たる吸収波長域が500nm以上580nm以下で、前記第2蛍光色材の発光波長域は、450nm以上600nm以下の発光波長範囲を有している前記4に記載のプリント用インク。
【0025】
6)前記第2の蛍光色材が、蛍光発光団を複数有する構造の色材である前記1〜5の何れかに記載の水性蛍光プリント用インク。
【0026】
7)基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光すると共に前記基準波長の発光強度を増強するための第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えている前記1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0027】
8)前記第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準波長を得るための励起波長域にあることを特徴とする前記7に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0028】
9)基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えており、該第2蛍光色材の発光波長域が、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準波長の発光を得るための励起波長域の少なくとも一部と共通する波長域を有する前記1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0029】
10)前記第2蛍光色材が有する複数の蛍光発光団が、夫々蛍光増白のための基本構造を備えている前記1〜9の何れかに記載の水性蛍光プリント用インク。
【0030】
11)第1の蛍光色材及び第2の蛍光色材以外に、第3の色材を含んで着色されている前記1〜10何れかに記載の水性蛍光プリント用インク。
【0031】
12)前記樹脂微粒子を構成する樹脂が、少なくとも1種類の疎水性モノマーを含むモノマー成分からなる共重合体であって親水性基を含む前記1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0032】
13)前記樹脂微粒子を構成する樹脂が、少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーを含むモノマー成分からなる共重合体である前記12に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0033】
14)インク吐出口から吐出して被記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において、該インクが前記1〜13何れかに記載の水性蛍光プリント用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、判定、測定に必要な発色性を有しながら、従来技術では達成しえない高い蛍光強度と高堅牢性の両立が可能な水性蛍光インク及びインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に好ましい発明の実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
【0036】
(樹脂微粒子)
本発明で用いる「樹脂微粒子」とは、本質的に高分子で形成された微粒子状のものを示し、水性インクに用いるために表面に親水基を有し分散可能なものである。
【0037】
本発明における樹脂微粒子を構成する樹脂は、一般的に用いられるあらゆる天然又は合成高分子、あるいは本発明のために新規に開発された高分子など、いかなる樹脂成分であっても制限なく使用できる。使用できる樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、多糖類、ポリペプチド類などが挙げられる。特に、一般的に使用でき、樹脂微粒子の機能設計を簡便に行える観点から、アクリル樹脂やスチレン/アクリル樹脂が類される。
【0038】
本発明の樹脂微粒子は少なくとも1種類の疎水性モノマーを含むモノマー成分からなる共重合体樹脂であって、親水性基を含むことが好ましい。
【0039】
本発明における疎水性モノマーとは例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ベンジル等の如き(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の如きスチレン系モノマー;イタコン酸ベンジル等の如きイタコン酸エステル;マレイン酸ジメチル等の如きマレイン酸エステル;フマール酸ジメチル等の如きフマール酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0040】
前記疎水性モノマーの中でも、α位にメチル基を有し且つラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーを少なくとも含有することも、好ましい形態である。α位にメチル基を有するラジカル重合性モノマーを用いた樹脂微粒子とすることにより、特に、熱エネルギーによりインクを吐出させるサーマルインクジェット方式において、水不溶性色材を含む水性インクジェット記録用インクの吐出性が極めて良好になる。この理由は明らかでないが、α位にメチル基を有するラジカル重合性モノマーを用いた樹脂は、高温にて解重合を起こすことから、インクに熱エネルギーが加わったときにα位にメチル基を有するモノマー成分から構成された樹脂が解重合を起こし、吐出口内へのこびりつきが起こりにくくなるため、吐出性が向上すると考えられる。
【0041】
本発明における樹脂微粒子が分散可能とするための親水性基としては、カルボン酸基やスルホン酸基などのアニオン性やアミド基などのカチオン性の極性基でであっても、さらに、エチレンオキサイド基などの水中に分散性を付与できるようなノニオン性基であってもよい。
【0042】
又、本発明の別の好ましい態様の一つとしては前記樹脂微粒子を構成する樹脂が少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーかを含むモノマー成分からなる共重合体であることが好ましい。疎水性モノマーとしては上述したものが挙げられ、親水性モノマーとしては、例えば、アニオン性基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸等の如きカルボキシル基を有するモノマー及びこれらの塩、スチレンスルホン酸、スルホン酸−2−プロピルアクリルアミド、アクリル酸−2−スルホン酸エチル、メタクリル酸−2−スルホン酸エチル、ブチルアクリルアミドスルホン酸等の如きスルホン酸基を有するモノマーとこれらの塩、メタクリル酸−2−ホスホン酸エチル、アクリル酸−2−ホスホン酸エチル等の如きホスホン酸基を有するモノマー等が挙げられる。これらの中でも特に、アクリル酸及びメタクリル酸を使用することが好ましい。又、カチオン性基を有するモノマーとしてはアクリル酸アミノエチル、アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル等の如き第1級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸メチルアミノエチル、アクリル酸メチルアミノプロピル、アクリル酸エチルアミノエチル、アクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸メチルアミノエチル、メタクリル酸メチルアミノプロピル、メタクリル酸エチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル等の如き第2級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノプロピル等の如き第3級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、アクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩等の如き第4級アンモニウム基を有するモノマー、各種ビニルイミダゾール類等が挙げられる。又、ノニオン性の親水性モノマーとしては、具体的には、例えば構造内にラジカル重合性の不飽和結合と強い親水性を示すヒドロキシル基を同時に有するモノマー類がこれに当てはまる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルプロピル等がこれに分類される。この他、公知又は新規の各種オリゴマー、マクロモノマー等についても制限なく使用できる。
【0043】
本発明のおける前記樹脂微粒子の水中での分散粒径が例えば動的光散乱法にて測定可能な場合においては、好ましくはその分散粒径の平均値が10nm以上500nm以下の範囲にあることが望ましい。さらに、分散性色材の長期保存安定性の観点から、分散粒径の多分散度指数が0.2未満に抑えられることがさらに好ましい。分散粒径の平均値が500nmより大きい場合には、色材を微細に分散安定化するという本来の目的が充分達成されない場合がある。又、分散粒径の平均値が10nmより小さい場合には、樹脂微粒子としての形態を充分に維持できず、樹脂が水に溶解しやすくなるために、本発明のメリットが得られない場合がある。一方、10nm以上500nm以下の範囲にて、さらにその粒子径が色材粒子そのものよりも小さいことによって、本発明の、樹脂微粒子の固着による色材の分散安定化が効果的に発現される。
【0044】
(蛍光色材)
本発明において用いられる第1及び第2の蛍光色材としては、上記した各態様にかかる構成を満たすものが用いられ、より高い蛍光強度を満足させるためには染料が好ましい。染料としては着色樹脂微粒子の製造過程において適切なものとして、水溶性のものか水不溶性の、分散染料又は油溶性染料を適宜選択して用いる。
【0045】
具体的な水溶性染料の一例としては、例えば下記のものが挙げられる。
C.I.ベーシックレッド:1、2、9、12、13、14、17、
C.I.ベーシックバイオレット:1、3、7、10、11:1、14、
C.I.アシッドイエロー:73、184、250、
C.I.アシッドレッド:51、52、92、94、
C.I.ダイレクトイエロー:11、24、26、87、100、147、
C.I.ダイレクトオレンジ:26、29、29:1、46、
C.I.ダイレクトレッド:1、13、17、239、240、242、254、
C.I.ソルベントグリーン:7
本発明における第1及び第2の蛍光色材の使用量は第1及び第2の蛍光色材の合計量として、インク全量を基準として、0.01質量%以上、15質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以上10質量%以下が好ましい。0.01質量%以下では印字物としての蛍光強度が得られない場合があり、又15質量%以上では吐出特性に影響を与える場合がある。特に、0.01〜1質量%の範囲から選択することが更に好ましい。更に、第2の蛍光色材が第1の蛍光色材よりも多くインクに含有されていることが好ましい。
【0046】
又、上記に示した蛍光染料の中には、ある規定濃度以上になると蛍光が弱くなるといった現象を生じるものとして知られた蛍光染料が含まれており、そのような蛍光染料では、強い蛍光強度を発現させることのできる濃度領域がある。その場合には強い蛍光強度を発現させる濃度領域で使用することが好ましい。
【0047】
蛍光強度を満足させるための手段として、第1及び第2の蛍光色材が以下の(1)及び(2)の各態様であることが好ましく、この態様に見合った第1及び第2の蛍光色材の組み合わせを上記に示した色材の中から任意に選択することができる。
【0048】
該当する蛍光色材の組み合わせの好ましい一例として、第1の蛍光色材がC.I.アシッドレッド52、第2の蛍光色材が下記の構造の化合物(A)である組み合わせが挙げられる。化合物(A)の構造は下記に示す。ここで、測定用或いは、判定用に使用される基準発光波長を以下の説明では600nmとするが、この波長規定は、580nm以上620nm以下の範囲すべてでもよく、又、この範囲の任意の波長としても良い。
【0049】
まず、この第1蛍光色材であるAR52について説明すると、254nmの基準励起波長による蛍光発光は、図1に示すように、550nmから始まり、ピークが600nmで、675nm近辺までの広範囲の蛍光発光領域を持つ。つまり、単体で、ここで定める基準発光波長の600nmを発光するが、上記580nm以上620nm以下の範囲すべてでも発光する。又、第1蛍光色材であるAR52の可視光の吸収スペクトルは、図6の下側グラフで示すように、460nmから始まり、ピークが565nmで、610nmまでである
【0050】
【化1】
【0051】
以下、この組み合わせを一例として本発明にかかるプリント用インクの各態様について以下に説明する。
【0052】
(1)第1の励起波長で得られる第1の蛍光色材の主たる蛍光を得るための第1の励起波長と異なる第2の励起波長域が、第1の励起波長で得られる第2の蛍光色材の蛍光発光波長域とが重なる第1及び第2の蛍光色材。
【0053】
この関係の具体例を上記の色材を用いて説明する。図1に示すように、第1の蛍光色材としてのC.I.アシッドレッド52(AR52)は、第1の励起波長である254nmで励起を行った場合、550nm〜650nmの波長域にピーク(600nm)を有する蛍光発光を生じる。そして、この600nmの波長を含む蛍光発光を励起することのできる励起波長をその吸収スペクトルとして表すと、図2とおりである。すなわち、AR52では、第1の励起波長(254nm)を含まない第2の励起波長領域を400〜700nmに有する。この第2の励起波長領域は450nm〜620nmの範囲にあり、500〜600nmに最大吸収波長を有する。ここで、本発明における第1の蛍光色材の蛍光発光の「基準波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域」とは、AR52を第1色材として、蛍光発光の基準波長を600nmとした場合(励起基準波長:254nm)、図2に示す475nm〜600nmまでの励起スペクトルにおけるピーク領域が占める波長領域を示す。
【0054】
一方、図3に示すように、第2の蛍光色材としての後述の化合物(A)は、第1の励起波長である254nmで励起を行った場合、450nm〜650nmの波長域にピーク(510nm)を有する蛍光発光を生じる。
【0055】
第1の蛍光色材の励起波長スペクトルと、第2の蛍光色材の蛍光発光の波長領域とを対比すると図4に示すとおりであり、化合物(A)の蛍光発光の波長領域中にAR52の第2の励起波長域が含まれていることが理解できる。このように、第1の蛍光発光の最大発光強度を示す波長(600nm)に隣接する第2の励起波長域が、第2の蛍光色材の最大発光強度を示す波長を含む発光波長領域に含まれている第1及び第2の蛍光色材の組み合わせを用いることで、第1の励起波長での蛍光強度を向上させることが可能となる。
【0056】
尚、600nmでの蛍光発光を得るためのAR52の励起スペクトルと化合物(A)の吸光スペクトルを対比すると図5のようになる。そこで、第1の蛍光色材と第2の蛍光色材とでは、第1の蛍光色材の有する第2の励起波長域が位置する400nm〜700nmの範囲に第2の蛍光色材の最大吸収波長が存在しないことが好ましい。その理由としては、前述したように、第1の蛍光色材の有する第2の励起波長域で蛍光強度を向上させるために受けるエネルギーが第2の蛍光色材の吸収に奪われてしまい、蛍光強度の向上が図れないためである。
【0057】
これらの蛍光色材の組み合わせにおいて蛍光強度の増強効果が得られる理由の一つとしては、化合物(A)の蛍光発光の波長域がAR52の第2の励起波長域にあり、化合物(A)から発生した発光が更にAR52の励起にも利用されていることが考えられる。
【0058】
すなわち、蛍光性を検知する機械では、励起波長は固定されているため、目的とする蛍光発光波長が他の励起波長を有していても蛍光性の向上には成らないが、第2の蛍光色材が第1の励起波長で励起されたときに発生する蛍光発光波長領域が、第1の色材が有する励起波長領域と同じ波長領域であれば、この第2の蛍光色材からの蛍光発光が第1の色材の新たな励起波長となり、蛍光性を向上することが可能となる。
【0059】
更に、図1及び3の対比から明らかなとおり、AR52の蛍光発光の波長領域と、化合物(A)の蛍光発光の波長領域とが一部重複しており、これによってもAR52の蛍光発光の強度が向上するものと考えられる。
【0060】
尚、上記の2種の蛍光色材の組み合わせにおいては、図6に示すように第1の蛍光色材であるAR52が可視光領域に吸収スペクトルのピーク領域を有し、第2の蛍光色材である化合物(A)の蛍光発光の波長領域に、AR52の吸収スペクトルのピーク領域よりも低波長側の領域(図6においてαで示す領域)が含まれている。このような2種の蛍光色材を用いることで全体としての蛍光強度の増強が図れる。この理由としては、このαの領域が第1の蛍光色材であるAR52の第2の励起波長域と重なっていることから、第1の蛍光色材であるAR52の蛍光強度向上に寄与することができるからである。
【0061】
次に、比較として、第1の蛍光色材をAR52とし、第2の蛍光色材をC.I.アシッドイエロー73(AY73)のとした場合について説明する。
【0062】
第2の蛍光色材としてのAY73は、図10に示すように、第1の励起波長である254nmで励起を行った場合、500〜600nmの波長域にピーク(530nm)を有する蛍光発光を生じる。
【0063】
第1の蛍光色材の励起波長スペクトルと第2の蛍光色材の蛍光発光波長領域とを対比すると図11に示すとおり、AY73の蛍光発光の波長領域中にAR52の第2の励起波長領域の一部しか含まれず、蛍光強度を向上させるには不十分な領域である。
【0064】
又、600nmでの蛍光発光を得るためのAR52の励起スペクトルとAY73の吸光スペクトルを対比させると図12のようになり、第1の蛍光色材の有する励起波長域が位置する400〜700nmの範囲に第2の蛍光色材の最大吸収波長が存在するため、本発明における蛍光強度の向上手段である、第1の蛍光色材の第2の励起波長領域を有効に利用することができなくなる。
【0065】
さらに、図13に示すように、第1の蛍光色材であるAR52が可視光領域に吸収スペクトルのピーク領域を有し、第2の蛍光色材であるAY73の蛍光発光の波長領域には、AR52の吸収スペクトルのピーク領域よりも低波長側の領域がなく、第2の蛍光色材の蛍光発光が第1の蛍光色材の吸収スペクトルに吸収されてしまうことが理解できる。
【0066】
一方、AR52と化合物(A)の両方を含むインクにおける基準励起波長254nmでの蛍光スペクトルは図7に示すように、2つのピークを有するものとなる。
【0067】
更に、このインクによって得られた画像における基準励起波長254nmでの蛍光スペクトルも図8に示すように、2つのピークを有するものとなる。すなわち、2つのピークを有する蛍光染料の組み合わせによっても、濃度消光が生じ難い蛍光インクを提供することが可能となる。
【0068】
尚、本発明における蛍光発光の基準波長はインク及びそれにより形成される画像の用途によって選択できる。たとえば、AR52における蛍光発光波長(基準波長)を580、600及び620に変化させた場合のそれぞれの励起スペクトルは図9に示すようになる。そこで、本発明に従って各基準波長に隣接するピーク領域であるピーク波長領域をそれぞれ設定することができる。
【0069】
又、本発明において好適な第2の蛍光染料として化合物(A)以外にC.I.ソルベントグリーン7(SG7)が挙げられる。第1の蛍光色材にC.I.アシッドレッド52を、第2の蛍光色材にC.I.ソルベントグリーン7を用いた場合にはこの組み合わせによる、蛍光、励起、吸収の関係を図14〜図17に示した。
【0070】
更には、本発明においては調色や発色性の補充などのために、第3の色材を更に加えて着色樹脂微粒子を調製してもよい。この際、第1の蛍光色材と第2の蛍光色材によって得られる蛍光特性を極力損なわない色材を用いることが好ましい。
【0071】
(2)第1及び第2の蛍光色材の少なくとも一方は、下記に示した基本構造を有することで前記主たる蛍光の強度を増強し得るものである第1及び第2の蛍光色材の組み合わせ。
【0072】
本発明者らの検討によれば、第1及び第2の蛍光色材の少なくとも一方、好ましくは第2の蛍光色材に下記に記載の原子あるいは原子団、下記に記載の蛍光発光団の基本構造を含んでいる第1及び第2の蛍光色材の組み合わせを用いることで第1の蛍光色材における第1の励起波長での蛍光発光の強度を向上させることができる。
【0073】
特に、色材構造中に、該蛍光発光団を複数有しているものが好ましい。すなわち、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、従来の蛍光色材に比べ、構造的に大きくなり、更に立体性も強くなるため、従来の蛍光色材の様な規則性のある凝集、会合が生じにくくなるため、インク中の蛍光色材の含有量を従来の色材に比べ多くしても、蛍光強度を低下させにくいことが出来ると予想する。又、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、色材1分子中に蛍光発光団を複数有することにより、単位分子当たりの蛍光発光が強くなるため、蛍光発光強度を強くすることが出来ると予想している。又、この時、色材に直接性を有していることにより、蛍光発光に対し、更に向上すると考えられる。
【0074】
上記メカニズムにより、本発明のインクは第1の蛍光色材と第2の蛍光色材を用いて樹脂微粒子を着色することによって、蛍光強度が良好になると予想しているが、又、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材が、親水基として、水との親和性の強いスルホン酸を用いていると、水中にて着色する際には本発明の効果が更に向上する。
【0075】
又、好ましい蛍光発光団としては、上記用件を満足する者として、アミノスチルベンジスルホン酸の誘導体が好適である。
【0076】
蛍光色材の種類によっては、インク中でのその濃度を高めても、蛍光強度が増加しなくなったり、逆に蛍光強度が下がるものがある。このような蛍光色材を用いる場合には、用いることのできる濃度(インク中での含有量)の幅が狭くなったり、蛍光強度を高めるには限界が生じる。これに対して、本発明にかかる第1及び第2の色材の組み合わせでは、蛍光色材の含有量を増加させた場合に、その増加率に応じて蛍光強度を更に高めることが可能となる。
【0077】
このような本発明の蛍光色材に適用できる、蛍光増白機能を発揮できる原子団及び基を備えた蛍光発光団としては、以下に示すものを挙げることができる。ここで、本発明の蛍光色材は、吸光波長域は、可視光域でも可視光域以外でも良いが、前述した励起波長域を与える蛍光発光を行うものであるので、可視光領域に蛍光発光する色材であることが重要である。
【0078】
【化2】
【0079】
【化3】
【0080】
【化4】
(上記(1)〜(3)式中の各Zは夫々独立に、NR1R2、SR3又はOR3を表し、(2)式中のYは、H、Cl、上記Z、SR4又はOR4を表し、(3)式中のEは、Cl又はCNを表す。R1、R2、R3及びR4は各々独立に、H、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基又は置換アラルキル基、水酸基を表し、R1及びR2は、窒素原子と共に5又は6員環を形成してもよい。
【0081】
【化5】
(上記式(4)中、R5は、独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、CN、ウレイド基及びNHCOR6から選択される。R6は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基及び置換アラルキル基から選択される。式(5)中、Tは、アルキル基を示し、Wは、水素原子、CN、CONR7R8、ピリジウム基及びカルボキシル基から選択される。R7及びR8は夫々独立に、水素原子、アルキル及び置換アルキル基から選択される。mは、炭素数2〜8のアルキレン鎖を示し、式(6)中、Bは、水素原子、アルキル基及びカルボキシル基から選択される。)
尚、上記式(1)〜(6)における各置換基における具体例は基準発光とする蛍光発光性に応じて選択することができる。
【0082】
このように蛍光発光団を蛍光色材が含むことで第1蛍光色材の第1の励起波長での励起により得られる蛍光強度が増加する理由としては、先に述べた理由の他に、第1蛍光色材の第一の励起波長域での蛍光発光が良好になるからである。特に、アミノスチルベンジスルホン酸の誘導体は蛍光発光領域が広く、好ましい。
【0083】
一方、上記の構造式に示されるとおり、化合物(A)は、蛍光発光団を複数有するとともに、複数のスルホン基を有する2量体としての構造を有する。
【0084】
本発明で用いられる第2の蛍光色材としては、複数の蛍光発光団を有するものが好ましく、又、蛍光増白のための基本構造を有していることが更に好ましい。更に、第2蛍光色材が有する複数の蛍光発光団は2量体であることが好ましい。
【0085】
第2の蛍光色素の有する環状骨格の例としては、二重結合又は共役二重結合を含んだ環状構造、芳香環構造、シクロ環状構造、又は複素環状構造を有する環状骨格を挙げることができ、ベンゼン、チオフェン、ピリジン、ピロール、クマリン、インデン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキシゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾセレナゾール、ナフタレン、チオナフテン、キノリン、インドール、ナフテン、フルオレン、ジフェニレンサフファイド、フェナントレン、アントラセン、アフリジン、フェナントリジン、カルバゾール、フルオレン、ナフタセン、フルオラントレン、ピレン、キサンテン、クリセン、トリフェニレン、ペリレン、ピレン、ピセン、キナクリドン、フタロシアニン、などが挙げられる。
【0086】
より好ましい具体例としては、前述で挙げたように、ピレン、クマリン、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、イミダゾロン、ピラゾール、ベンジジン、ベンジジンスルホン、ジアミノカルバゾール、ナフタール環、ジアミノスチルベンジルスルホン酸及びこれらの誘導体から選択した少なくとも1つの構造を、前述で挙げた連結基を介して複数有する色材を挙げることができる。
【0087】
(着色樹脂微粒子)
本発明における着色された樹脂微粒子は上述した樹脂微粒子を、同様に上述した蛍光染料にて着色して用いることができる。
【0088】
本発明における樹脂微粒子の着色の方法としては幾つかの方法が考えられる。まず、簡便な方法としては上述したような樹脂微粒子を水中に分散させた後、第1の色材と第2の色材を添加して攪拌着色する方法が挙げられる。この際、樹脂微粒子の十分な着色を行うために、第1、第2の色材を水などの溶媒に十分に溶解して加えてもよい。又、攪拌条件や加熱条件の調整を適宜行うとよい。
【0089】
又、別の方法としては上述した樹脂微粒子を分散液中で膨潤させて染料による着色性を向上させる方法ある。具体的には、例えば、スチレン−アクリル共重合体の樹脂微粒子を用いる場合にはジエチレングリコール等の良溶媒の存在下で染料を添加、攪拌するとよい。この際、添加量としては10%〜200%が好ましい。又、アクリル酸などの酸モノマーを用いた共重合体を用いる場合にはpH値を調整してこよい。この際、共重合体中の酸モノマー量によって異なるが、pH9〜pH11に調整することが好ましい。
【0090】
更に、樹脂微粒子の合成時に染料を添加する方法でもよい。この際、重合方法によって、水溶性の染料、水不溶性の染料を適宜選択するとよい。
【0091】
又、必要に応じて各種添加剤、分散安定剤、分散安定助剤である界面活性剤や高分子分散安定剤などを添加してもよい。
【0092】
(着色微粒子を含んだインク)
本発明の水性インクは、以上説明した着色した樹脂微粒子を含むことを特徴とする。着色微粒子の含有量は樹脂微粒子中の上述したようなより効果的な染料濃度によって決定されるが、インク中で好ましくは0.1〜20%、より好ましくは0.3〜15%の範囲で使用される。
【0093】
(水性液媒体)
次に、上記で本発明におけるインクを構成する水性分散物以外の成分について説明する。本発明で使用する水性液媒体としては、水を主成分とすることが好ましく、又、インク中の水の含有量はインク全質量に対して、10〜95質量%、好ましくは25〜93質量%、より好ましくは40〜90質量%の範囲とすることが望ましい。本発明で使用する水としては、イオン交換水が好ましく用いられる。
【0094】
又、本発明のインクにおいては、水性液媒体として、水を単独で用いてもよいが、水に水溶性有機溶剤を併用させることによって、本発明の効果をより顕著にすることもできる。
【0095】
本発明で使用できる水溶性有機溶剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1−5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、へキシレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等のトリオール類;チオジグリコール;ビスヒドロキシエチルスルホン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル等の低級アルキルグリコールエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の低級ジアルキルグリコールエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記のごとき水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。
【0096】
これらの水溶性有機溶剤のインク中における含有量は、一般的には、インクの全質量に対して合計して50質量%以下、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%の範囲とすることが望ましい。
【0097】
これらの溶剤の中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ピロリドン、グリセリン、ポリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオールなどを用いることが好ましい。
【0098】
(その他の成分)
本発明のインク中には上記成分の他、必要に応じて、インクに所望の性能を与えるための、界面活性剤、消泡剤、表面張力調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、防腐剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、防錆剤、防カビ剤及びキレート化剤等の添加剤を配合してもよい。
【0099】
界面活性剤としては表面張力の調整や、吐出性を改善するために、ノニオン系の界面活性剤を添加してもよい。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物等が好ましい。HLBは10以上、特に12以上、さらには15以上のものが好ましい。これら界面活性剤の使用量は、吐出持続性の効果を十分に得るために、インク全質量に対し0.3質量%以上、特に0.5質量%以上、さらには0.8質量%以上であることが好ましく、又、多すぎるとインクの粘度が高くなりすぎるため、インク全質量に対し3質量%以下、特に2.5質量%以下、さらには2.0質量%以下であることが好ましい。
【0100】
又、本発明のインクの粘度は、25℃において0.7〜12cPの範囲内にあることが好ましい。インクの粘度が上記範囲内であると、インクジェット記録において正常な吐出が可能であり、又、その粘度抵抗により被記録材への浸透が早く、定着性の面からも問題がなく、好ましい。
【0101】
又、本発明に用いられるインクの表面張力は、25℃において20〜60mN/mの範囲に調整されることが好ましい。表面張力が20mN/m以上のとき、インクジェット記録において液滴が吐出した後、メニスカスを引き戻そうとする力が強いか、或は逆にメニスカスが突出した際に、引き戻す力が比較的強い為、泡を抱き込んだり、オリフィス部が濡れてヨレの原因となるといった問題が起こらない。上記の様なインクとすることにより、本発明で提案されるインクは、普通紙対応型インクジェット記録に用いられるインクとして、特に、得られる画像の耐水性、インクの保存性に優れ、且つ記録濃度、定着性、印字品位及び、固着特性の性能に優れたインクの提供が可能になる。
【0102】
以上のようにして構成される本発明の水性インクは、スタンプやペンのインクとしても用いることができるが、インクジェット記録で用いられる際に、特に効果的である。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させて液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出するインクジェット記録方法があり、それらのインクジェット記録方法に本発明の記録用インクは特に好適である。
【0103】
(記録画像)
本発明のインクジェット記録画像は、本発明の水性インクを用いて、後述するようなインクジェット記録装置にて記録媒体上に形成される。本発明における記録媒体はインクジェット記録可能などのような媒体でも制限無く用いることができる。
【0104】
(画像記録方法及び記録装置)
本発明の分散性色材、及び水性インクは、インクジェット吐出方式のヘッドにもちいられ、又、そのインクが収納されているインクタンクとしても、あるいは、その充填用のインクとしても有効である。特に、本発明は、インクジェット記録方式の中でもバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッド、記録装置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
【0105】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、インクが保持されているシートや液路に対応して配置された電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一対応し、インク内の気泡を形成出来るので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介してインクを吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことができる。
【0106】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成にも本発明は有効である。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通すると吐出孔を電気熱変換体の吐出部とする構成(特開昭59年第123670号公報等)に対しても、本発明は有効である。
【0107】
更に、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成のいずれでも良いが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0108】
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0109】
又、本発明は、適用される記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードである。
【0110】
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。尚、文中「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
【0111】
尚、吸収波長領域、最大吸収波長、及び蛍光波長領域は色材の純水希釈液での測定値を使用した。吸収波長は吸光度計を用いて、吸光度が0.5〜0.7の範囲になるように希釈液を調製したとき、色材の吸収ピークとしてベースラインより高い領域を吸収波長領域とし、ピーク値を最大吸収波長とした。又、蛍光波長は吸光度で使用した希釈液を用いて、蛍光強度が測定限界値を超えないように測定条件を設定し、第一及び第二の色材の励起波長を固定して測定した。蛍光発光波長領域は、ベースラインより高い領域とした。
【0112】
以下の実施例におけるインクは先に記載した第1及び第2の態様にかかる水性蛍光プリント用インクのいずれの構成をも満たすものである。
【実施例1】
【0113】
まず、下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌して、着色微粒子を調製した。
・C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材) 1質量部
・化合物(A)(第2の蛍光色材) 4質量部
・スチレン−アクリル共重合体エマルジョン 20質量部
・イオン交換水 75質量部
次に、得られた着色微粒子と下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合攪拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過することによりインクを調製した。ここで、着色樹脂微粒子の量は樹脂微粒子中の染料の量がインク全体に対してC.I.アシッドレッド52が0.2質量部、化合物(A)が2.0質量部になるように調整した。
・着色樹脂微粒子 5質量部
・グリセリン 7.5質量部
・エチレングリコール 5質量部
・尿素 5質量部
・アセチレノールE100 1質量部
(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物)
・イオン交換水 76.5質量部
第1及び第2の蛍光色材の蛍光発光スペクトル及び励起スペクトルは、日本分光(株)社製、蛍光測定機FP−750を用いて測定を行った。測定サンプルは水による影響を排除するため、水分を蒸発させたインクを用いた。
【0114】
第1及び第2の色材の吸収波長領域は、日立(株)社製吸光度計U−3200を用いて、染料が100000倍希釈になるように純水で希釈して測定を行った。第1の色材の吸収波長領域は450〜620nmで、最大吸収波長は565nmであった。又、第2の色材の吸収波長領域は、300〜450nmで、最大吸収波長は372nmであった。
【0115】
(比較例1)
下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過することによりインクを調製した。
・C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材) 0.25質量部
・グリセリン 7.5質量部
・エチレングリコール 5質量部
・尿素 5質量部
・アセチレノールE100 1質量部
(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物)
・イオン交換水 76.25質量部
【0116】
(比較例2)
実施例1において、着色微粒子を調製する際にC.I.アシッドレッド52のみで着色した樹脂微粒子を調製し、実施例1と同様にしてインクを調製した。このとき、着色微粒子を調製する際、まず、下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、着色微粒子を調製した。
・C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材) 1質量部
・スチレン−アクリル共重合体エマルジョン 20質量部
・イオン交換水 79質量部
【0117】
下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過することによりインクを調製した。
・着色樹脂微粒子 5質量部
・グリセリン 7.5質量部
・エチレングリコール 5質量部
・尿素 5質量部
・アセチレノールE100 1質量部
(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物)
・イオン交換水 76.5質量部
【0118】
(評価)
(1)蛍光強度
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS600(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、日本分光(株)社製の蛍光光度計(FP−750)を用いて下記の条件のもと蛍光強度を測定した。その結果を下記の基準に従って評価し、表1に示した。測定の際の条件は、励起波長を254nmとし、最大蛍光波長での蛍光強度を測定し、得られた測定蛍光強度値を、参考例1のインクの蛍光強度値を100として標準化し、下記の基準で評価した。
【0119】
◎:測定蛍光強度値が150以上
○:測定蛍光強度値が110以上150未満
△:測定蛍光強度値が110未満
【0120】
(2)発色性
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS600(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、印字記録物の濃度測定装置として、マクベスRD−918を用いて測定を行った。
【0121】
◎:印字物として目視ですぐに判読可能な0.7以上であった
○:印字物として目視で判読可能な0.5以上0.7未満であった
△:印字物として目視で判読しずらくなる0.3以上0.5未満であった
×:印字物として目視で判読不可能な0.3未満であった
【0122】
(3)堅牢性
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS700(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、24時間放置後、水道水に5分間浸漬し、印字濃度の変化をマクベスRD918を用いて、下記基準で評価した。
【0123】
◎:印字物として目視ですぐに判読可能な濃度変化が50%未満であった
○:印字物として目視で判読可能な50%以上70%未満であった
△:印字物として目視で判読不可能な70%以上であった
【0124】
【表1】
【実施例2】
【0125】
下記の要領で着色微粒子を調製し実施例1と同様にしてインクを調製した。還流管付反応容器に、イオン交換水55質量部、ラウリル硫酸ナトリウム2質量部、メチルメタクリレート35質量部、メタクリル酸ナトリウム5質量部、アシッドレッド52を1質量部、化合物(A)4質量部仕込み、混合攪拌しながら窒素気流下で70℃まで昇温し、更に、過硫酸アンモニウム0.1質量部をイオン交換水5質量部に添加し5時間攪拌して反応を完結し、着色微粒子を得た。次いで、下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過することによりインクを調製した。
・着色樹脂微粒子 5質量部
・グリセリン 7.5質量部
・エチレングリコール 5質量部
・尿素 5質量部
・アセチレノールE100 1質量部
(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物)
・イオン交換水 76.5質量部
得られたインクを実施例1と同様に評価したところ(1)〜(3)全ての項目において実施例1と同様に良好な結果だった。結果は表2に示した。
【実施例3】
【0126】
第1の蛍光色材、第2の蛍光色材に加えて、下記に示す第3の蛍光色材を加えた以外には実施例1と同様にして着色微粒子及びインクを調製した。まず、下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、着色微粒子を調製した。
・C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材) 1質量部
・化合物(A)(第2の蛍光色材) 4質量部
・C.I.アシッドレッド92(第3の色材) 2.5質量部
・スチレン−アクリル共重合体エマルジョン 20質量部
・イオン交換水 72.5質量部
【0127】
次に、得られた着色微粒子と下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合攪拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過することによりインクを調製した。ここで、着色樹脂微粒子の量は樹脂微粒子中の染料の量がインク全体に対してC.I.アシッドレッド52が0.2質量部、化合物(A)が2.0質量部になるように調整した。
・着色樹脂微粒子 5質量部
・グリセリン 7.5質量部
・エチレングリコール 5質量部
・尿素 5質量部
・アセチレノールE100 1質量部
(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物)
・イオン交換水 76.5質量部
得られたインクで実施例1と同様の評価を行い表2に示した。
【0128】
(比較例3)
第2の蛍光色材をC.I.アシッドレッド73とした以外は実施例1と同様にして及びインクを調製した。まず、下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、着色微粒子を調製した。
・C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材) 1質量部
・化合物(A)(第2の蛍光色材) 4質量部
・スチレン−アクリル共重合体エマルジョン 20質量部
・イオン交換水 75質量部
【0129】
次に、得られた着色微粒子と下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合攪拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過することによりインクを調製した。ここで、着色樹脂微粒子の量は樹脂微粒子中の染料の量がインク全体に対してアシッドレッド52が0.2質量部、化合物(A)が2.0質量部になるように調整した。
・着色樹脂微粒子 5質量部
・グリセリン 7.5質量部
・エチレングリコール 5質量部
・尿素 5質量部
・アセチレノールE100 1質量部
(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物)
・イオン交換水 76.5質量部
得られたインクで実施例1と同様の評価を行い表2に示した。
【0130】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】C.I.アシッドレッド52の励起波長が254nmでの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図2】C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルを示す図である。
【図3】化合物(A)の励起波長254nmでの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図4】C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルと化合物(A)の励起波長が254nmでの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。
【図5】C.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルと化合物(A)の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図6】化合物(A)の254nmでの蛍光スペクトルと、C.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図7】C.I.アシッドレッド52と化合物(A)の混合インクでの励起波長254nmでの蛍光スペクトルを示す図である。
【図8】C.I.アシッドレッド52と化合物(A)の混合インクでの印字物における蛍光スペクトルを示す図である。
【図9】C.I.アシッドレッド52の580、600及び620nmにおける励起スペクトルを示す図である。
【図10】C.I.アシッドイエロー73の励起波長254nmでの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図11】C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルとC.I.アシッドイエロー73の励起波長が254nmでの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。
【図12】C.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルとC.I.アシッドイエロー73の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図13】C.I.アシッドイエロー73の254nmでの蛍光スペクトルと、C.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図14】C.I.ソルベントグリーン7の励起波長254nmでの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図15】C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルとC.I.ソルベントグリーン7の励起波長が254nmでの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。
【図16】C.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルとC.I.ソルベントグリーン7の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図17】C.I.ソルベントグリーン7の254nmでの蛍光スペクトルと、C.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蛍光色材により着色された樹脂粒子を含むプリント用インク及びこれを用いたプリント画像における蛍光性と堅牢性を向上できるプリント用インク、さらには、このインクを用いたインクジェット記録方法に関する。さらに、具体的には、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクに対して用いられる第2蛍光色材によって着色した樹脂微粒子を用いることにより、蛍光発光特性を向上するための新規な技術思想に基づく相関技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な用途で使用可能なインクが求められており、かかる用途としては、単に美麗な有色画像を形成することに留まらず、例えば、インクに蛍光性を持たすことで、文字、数字、記号、バーコード等の情報を記録媒体に記録し、適当な波長の紫外光を照射することにより蛍光インクを有色発光させて、可視情報以外の情報(例えば、セキュリティ情報)等を付与する技術展開が提案されている。その中でも特に蛍光を発光させてその発光強度を読み取る装置を使用して真贋判定(偽造防止)情報やセキュリティ情報を読み取る方式では、その方式で用いられる基準波長(例えば、254nm)で励起させ(基準励起波長)、蛍光色材を蛍光発色させて判定や、測定に用いられている。
【0003】
例えば、電子透かしや料金別納郵便物の証印の印刷などのメーリングシステムなどにも用いられている。このメーリングシステムとしては、米国では蛍光の赤色印刷を行うことが一般的で、蛍光色素として前記公報にもあるC.I.アシッドレッド52(AR52)等の染料が用いられている。AR52を蛍光染料として例示し、蛍光染料、顔料及び顔料の分散剤としてのポリマーを含むインクが開示されている(例えば、特許文献1参照)。尚、この明細書にも記載されるように、形成された「画像の色味」を所望の色調に変える、いわゆる人間の感覚としてとらえた色調を調整するために、その色調に合わせた染料を組み合わせることは、この明細書発明よりはるか以前から設計事項として知られている。蛍光染料と高分子分散剤で分散した顔料を含むものであり、耐水性などの堅牢性は向上しているがまだ十分なものとは言えない。
【0004】
一方、蛍光染料をラテックスベースで固定化した顔料を含むインクが提案されている(例えば、特許文献2参照)。又、樹脂によるカプセル化した蛍光トナーと水溶性溶媒、補助浸透剤を含むインクが提案されている(例えば、特許文献3参照)。これらのインクは耐水性を改善したものであるが、これらのインクをメーリングシステム等において用いられる場合、これらのインクによる印字物の蛍光強度をしきい値として利用する場合、より安定した蛍光強度を発することが重要となる。しかしながら、先行技術では、より安定した蛍光強度を得ることができなかった。
【0005】
更に、熱エネルギーによってインクを飛翔させて記録を行うインクジェット記録(バブルジェット(登録商標)と称す)においては、安定したインク吐出を行うために、インク吐出のために用いる色材の各種特性を加味したものを選択しなければならない。
【特許文献1】米国特許第6,176,908号明細書
【特許文献2】特開平8−53640号公報
【特許文献3】特開平9−291246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の複数の蛍光染料や顔料を組み合わせたインクは、所望の蛍光波長(例えば、580nm〜620nm)領域の蛍光強度を向上すべく、単に組み合わせを行うものでしかない。従って、複数の蛍光染料同士の関係や、インクとしての特性、組成、あるいは、形成された画像の解析自体が、本発明の技術課題の発掘となり、根本的に「蛍光」というものを解析して、蛍光強度を複数の蛍光染料を用いた技術的方向性を提供することが本発明の主たる目的となる。
【0007】
そこで、本願発明者らは「蛍光」という現象、メカニズムを考慮することで基本的な技術追求を行い、蛍光強度を向上するためには少なくとも下記の課題の1つ(好ましくは、下記課題の複数)を解決することが重要であるとの結論に至った。
【0008】
元々、基準励起波長に対して所望の蛍光波長(例えば、580nm〜620nm)領域の蛍光を示す第1の蛍光色材だけで充分な蛍光強度を得ることができれば、他の蛍光色材(以下、第2色材と呼ぶ)を加える必要性は無い。前述したように第1の色材をAR52とした場合、単独の特性としては、0.01質量%以下でも充分な蛍光強度を示す。このような事実に対して逆転の発想を持ってして色材同士の有効な関係を持たせることは、考慮すべき事項の1つである。
【0009】
又、前述したように第1の色材をAR52とした場合、単独の特性としては、0.01質量%以下でも充分な蛍光強度を示すが、画像を形成する上で記録媒体としての紙や封筒の表面繊維に定着できずに紙内部に無駄に消費されることやインク中の第1、第2色材の量を増やすと逆に蛍光強度が低下する濃度消光といった問題も、夫々考慮すべき事項の1つである。他方、与えられるエネルギーは、基準励起波長に限られることも考慮すべき事項の1つである。
【0010】
従って、本発明の第1の課題は、蛍光色材で着色した樹脂微粒子を用いることにより、インクジェットプリントに適したものであり、且つ、従来の蛍光染料を用いたインクの場合よりも、耐水性、耐候性などの堅牢性を向上できるプリントインクを提供することである。
【0011】
本発明の第2の課題は樹脂微粒子基準励起波長の付与によって発生する第2の色材が発する蛍光発光と第1の色材の励起特性との相関に着目して、エネルギー効率を向上することで所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0012】
本発明の第3の課題は、第1の色材が呈する吸収スペクトルと基準励起波長の付与によって発生する第2の色材が発する蛍光発光とに着目してエネルギー高効率化を達成し、所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0013】
本発明の第4の課題は、色材同士の構造分析によって得られた知見、即ち、色材の会合を合理的に解決し、色材の添加量を増大できることにより、所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0014】
本発明の第5の課題は、前記第4の課題に加えて、基準励起波長の付与によって発生する第2の色材が発する蛍光発光と第1色材の所望蛍光波長を得るための励起波長特性に関与することに着目して、所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0015】
本発明の第6の課題は、複数蛍光色材を有するインク自体における特性として、より安定的に所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0016】
本発明の第7の課題は、形成される画像からの分析によって得られた知見、即ち、画像が形成される記録媒体の種類、特性に大きく左右されずに、所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0017】
本発明の第8の課題は、前記第1課題に加えて、第1の色材の励起特性と第2の色材のもつ吸収スペクトルの相関に着目して、エネルギー効率を向上することで所望波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0018】
尚、本発明の更なる課題や目的は、以下の説明で明らかになろう。依って、本発明は、少なくとも上記課題の1つ(好ましくは、上記課題の複数)を解決し、優れた蛍光強度と堅牢性を両立して満足するプリント用インクを提供することをその目的とする。本発明の他の目的は、このプリント用インクを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記の課題を解決する手段として、単独の蛍光色材では達成できない蛍光強度を得るために、複数の蛍光において色材同士の有効な関係を持たせることにより十分な蛍光強度得ることができ、さらにそれらの蛍光色材により着色した樹脂微粒子を用いることによりより安定な特性が得られ、且つ、耐水性や耐候性などの堅牢性がえられる新規なインクを得た。すなわち、本発明は以下のような手段によって達成される。
【0020】
1)少なくとも2つ以上の蛍光色材により着色された樹脂粒子を含むプリント用インクにおいて、前記蛍光色材の一方の色材が、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材であり、
前記蛍光色材の他方の色材が前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材であり、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち前記基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域を実質的に含むことを特徴とする水性蛍光プリント用インク。
【0021】
2)前記基準励起波長が254nmで、前記ピーク波長領域が475nm以上600nm以下であり、前記第2蛍光色材の発光波長域が、前記基準波長としての600nmを含み、450nm以上600nm以下の発光波長範囲を有している前記1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0022】
3)前記第1の蛍光色材が可視光領域に吸収スペクトルのピーク領域を有し、前記第2の蛍光色材の蛍光発光の波長領域に、該吸収スペクトルのピーク領域よりも低波長側の領域が含まれている前記1又は2に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0023】
4)基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準波長の発光を得るための励起波長域のうち、前記第1蛍光色材の吸光スペクトルにおける主たる吸収波長域を包含する波長域にある前記1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0024】
5)前記第1蛍光色材の主たる吸収波長域が500nm以上580nm以下で、前記第2蛍光色材の発光波長域は、450nm以上600nm以下の発光波長範囲を有している前記4に記載のプリント用インク。
【0025】
6)前記第2の蛍光色材が、蛍光発光団を複数有する構造の色材である前記1〜5の何れかに記載の水性蛍光プリント用インク。
【0026】
7)基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光すると共に前記基準波長の発光強度を増強するための第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えている前記1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0027】
8)前記第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準波長を得るための励起波長域にあることを特徴とする前記7に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0028】
9)基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えており、該第2蛍光色材の発光波長域が、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準波長の発光を得るための励起波長域の少なくとも一部と共通する波長域を有する前記1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0029】
10)前記第2蛍光色材が有する複数の蛍光発光団が、夫々蛍光増白のための基本構造を備えている前記1〜9の何れかに記載の水性蛍光プリント用インク。
【0030】
11)第1の蛍光色材及び第2の蛍光色材以外に、第3の色材を含んで着色されている前記1〜10何れかに記載の水性蛍光プリント用インク。
【0031】
12)前記樹脂微粒子を構成する樹脂が、少なくとも1種類の疎水性モノマーを含むモノマー成分からなる共重合体であって親水性基を含む前記1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0032】
13)前記樹脂微粒子を構成する樹脂が、少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーを含むモノマー成分からなる共重合体である前記12に記載の水性蛍光プリント用インク。
【0033】
14)インク吐出口から吐出して被記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において、該インクが前記1〜13何れかに記載の水性蛍光プリント用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、判定、測定に必要な発色性を有しながら、従来技術では達成しえない高い蛍光強度と高堅牢性の両立が可能な水性蛍光インク及びインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に好ましい発明の実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
【0036】
(樹脂微粒子)
本発明で用いる「樹脂微粒子」とは、本質的に高分子で形成された微粒子状のものを示し、水性インクに用いるために表面に親水基を有し分散可能なものである。
【0037】
本発明における樹脂微粒子を構成する樹脂は、一般的に用いられるあらゆる天然又は合成高分子、あるいは本発明のために新規に開発された高分子など、いかなる樹脂成分であっても制限なく使用できる。使用できる樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、多糖類、ポリペプチド類などが挙げられる。特に、一般的に使用でき、樹脂微粒子の機能設計を簡便に行える観点から、アクリル樹脂やスチレン/アクリル樹脂が類される。
【0038】
本発明の樹脂微粒子は少なくとも1種類の疎水性モノマーを含むモノマー成分からなる共重合体樹脂であって、親水性基を含むことが好ましい。
【0039】
本発明における疎水性モノマーとは例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ベンジル等の如き(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の如きスチレン系モノマー;イタコン酸ベンジル等の如きイタコン酸エステル;マレイン酸ジメチル等の如きマレイン酸エステル;フマール酸ジメチル等の如きフマール酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0040】
前記疎水性モノマーの中でも、α位にメチル基を有し且つラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーを少なくとも含有することも、好ましい形態である。α位にメチル基を有するラジカル重合性モノマーを用いた樹脂微粒子とすることにより、特に、熱エネルギーによりインクを吐出させるサーマルインクジェット方式において、水不溶性色材を含む水性インクジェット記録用インクの吐出性が極めて良好になる。この理由は明らかでないが、α位にメチル基を有するラジカル重合性モノマーを用いた樹脂は、高温にて解重合を起こすことから、インクに熱エネルギーが加わったときにα位にメチル基を有するモノマー成分から構成された樹脂が解重合を起こし、吐出口内へのこびりつきが起こりにくくなるため、吐出性が向上すると考えられる。
【0041】
本発明における樹脂微粒子が分散可能とするための親水性基としては、カルボン酸基やスルホン酸基などのアニオン性やアミド基などのカチオン性の極性基でであっても、さらに、エチレンオキサイド基などの水中に分散性を付与できるようなノニオン性基であってもよい。
【0042】
又、本発明の別の好ましい態様の一つとしては前記樹脂微粒子を構成する樹脂が少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーかを含むモノマー成分からなる共重合体であることが好ましい。疎水性モノマーとしては上述したものが挙げられ、親水性モノマーとしては、例えば、アニオン性基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸等の如きカルボキシル基を有するモノマー及びこれらの塩、スチレンスルホン酸、スルホン酸−2−プロピルアクリルアミド、アクリル酸−2−スルホン酸エチル、メタクリル酸−2−スルホン酸エチル、ブチルアクリルアミドスルホン酸等の如きスルホン酸基を有するモノマーとこれらの塩、メタクリル酸−2−ホスホン酸エチル、アクリル酸−2−ホスホン酸エチル等の如きホスホン酸基を有するモノマー等が挙げられる。これらの中でも特に、アクリル酸及びメタクリル酸を使用することが好ましい。又、カチオン性基を有するモノマーとしてはアクリル酸アミノエチル、アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル等の如き第1級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸メチルアミノエチル、アクリル酸メチルアミノプロピル、アクリル酸エチルアミノエチル、アクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸メチルアミノエチル、メタクリル酸メチルアミノプロピル、メタクリル酸エチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル等の如き第2級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノプロピル等の如き第3級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、アクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩等の如き第4級アンモニウム基を有するモノマー、各種ビニルイミダゾール類等が挙げられる。又、ノニオン性の親水性モノマーとしては、具体的には、例えば構造内にラジカル重合性の不飽和結合と強い親水性を示すヒドロキシル基を同時に有するモノマー類がこれに当てはまる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルプロピル等がこれに分類される。この他、公知又は新規の各種オリゴマー、マクロモノマー等についても制限なく使用できる。
【0043】
本発明のおける前記樹脂微粒子の水中での分散粒径が例えば動的光散乱法にて測定可能な場合においては、好ましくはその分散粒径の平均値が10nm以上500nm以下の範囲にあることが望ましい。さらに、分散性色材の長期保存安定性の観点から、分散粒径の多分散度指数が0.2未満に抑えられることがさらに好ましい。分散粒径の平均値が500nmより大きい場合には、色材を微細に分散安定化するという本来の目的が充分達成されない場合がある。又、分散粒径の平均値が10nmより小さい場合には、樹脂微粒子としての形態を充分に維持できず、樹脂が水に溶解しやすくなるために、本発明のメリットが得られない場合がある。一方、10nm以上500nm以下の範囲にて、さらにその粒子径が色材粒子そのものよりも小さいことによって、本発明の、樹脂微粒子の固着による色材の分散安定化が効果的に発現される。
【0044】
(蛍光色材)
本発明において用いられる第1及び第2の蛍光色材としては、上記した各態様にかかる構成を満たすものが用いられ、より高い蛍光強度を満足させるためには染料が好ましい。染料としては着色樹脂微粒子の製造過程において適切なものとして、水溶性のものか水不溶性の、分散染料又は油溶性染料を適宜選択して用いる。
【0045】
具体的な水溶性染料の一例としては、例えば下記のものが挙げられる。
C.I.ベーシックレッド:1、2、9、12、13、14、17、
C.I.ベーシックバイオレット:1、3、7、10、11:1、14、
C.I.アシッドイエロー:73、184、250、
C.I.アシッドレッド:51、52、92、94、
C.I.ダイレクトイエロー:11、24、26、87、100、147、
C.I.ダイレクトオレンジ:26、29、29:1、46、
C.I.ダイレクトレッド:1、13、17、239、240、242、254、
C.I.ソルベントグリーン:7
本発明における第1及び第2の蛍光色材の使用量は第1及び第2の蛍光色材の合計量として、インク全量を基準として、0.01質量%以上、15質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以上10質量%以下が好ましい。0.01質量%以下では印字物としての蛍光強度が得られない場合があり、又15質量%以上では吐出特性に影響を与える場合がある。特に、0.01〜1質量%の範囲から選択することが更に好ましい。更に、第2の蛍光色材が第1の蛍光色材よりも多くインクに含有されていることが好ましい。
【0046】
又、上記に示した蛍光染料の中には、ある規定濃度以上になると蛍光が弱くなるといった現象を生じるものとして知られた蛍光染料が含まれており、そのような蛍光染料では、強い蛍光強度を発現させることのできる濃度領域がある。その場合には強い蛍光強度を発現させる濃度領域で使用することが好ましい。
【0047】
蛍光強度を満足させるための手段として、第1及び第2の蛍光色材が以下の(1)及び(2)の各態様であることが好ましく、この態様に見合った第1及び第2の蛍光色材の組み合わせを上記に示した色材の中から任意に選択することができる。
【0048】
該当する蛍光色材の組み合わせの好ましい一例として、第1の蛍光色材がC.I.アシッドレッド52、第2の蛍光色材が下記の構造の化合物(A)である組み合わせが挙げられる。化合物(A)の構造は下記に示す。ここで、測定用或いは、判定用に使用される基準発光波長を以下の説明では600nmとするが、この波長規定は、580nm以上620nm以下の範囲すべてでもよく、又、この範囲の任意の波長としても良い。
【0049】
まず、この第1蛍光色材であるAR52について説明すると、254nmの基準励起波長による蛍光発光は、図1に示すように、550nmから始まり、ピークが600nmで、675nm近辺までの広範囲の蛍光発光領域を持つ。つまり、単体で、ここで定める基準発光波長の600nmを発光するが、上記580nm以上620nm以下の範囲すべてでも発光する。又、第1蛍光色材であるAR52の可視光の吸収スペクトルは、図6の下側グラフで示すように、460nmから始まり、ピークが565nmで、610nmまでである
【0050】
【化1】
【0051】
以下、この組み合わせを一例として本発明にかかるプリント用インクの各態様について以下に説明する。
【0052】
(1)第1の励起波長で得られる第1の蛍光色材の主たる蛍光を得るための第1の励起波長と異なる第2の励起波長域が、第1の励起波長で得られる第2の蛍光色材の蛍光発光波長域とが重なる第1及び第2の蛍光色材。
【0053】
この関係の具体例を上記の色材を用いて説明する。図1に示すように、第1の蛍光色材としてのC.I.アシッドレッド52(AR52)は、第1の励起波長である254nmで励起を行った場合、550nm〜650nmの波長域にピーク(600nm)を有する蛍光発光を生じる。そして、この600nmの波長を含む蛍光発光を励起することのできる励起波長をその吸収スペクトルとして表すと、図2とおりである。すなわち、AR52では、第1の励起波長(254nm)を含まない第2の励起波長領域を400〜700nmに有する。この第2の励起波長領域は450nm〜620nmの範囲にあり、500〜600nmに最大吸収波長を有する。ここで、本発明における第1の蛍光色材の蛍光発光の「基準波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域」とは、AR52を第1色材として、蛍光発光の基準波長を600nmとした場合(励起基準波長:254nm)、図2に示す475nm〜600nmまでの励起スペクトルにおけるピーク領域が占める波長領域を示す。
【0054】
一方、図3に示すように、第2の蛍光色材としての後述の化合物(A)は、第1の励起波長である254nmで励起を行った場合、450nm〜650nmの波長域にピーク(510nm)を有する蛍光発光を生じる。
【0055】
第1の蛍光色材の励起波長スペクトルと、第2の蛍光色材の蛍光発光の波長領域とを対比すると図4に示すとおりであり、化合物(A)の蛍光発光の波長領域中にAR52の第2の励起波長域が含まれていることが理解できる。このように、第1の蛍光発光の最大発光強度を示す波長(600nm)に隣接する第2の励起波長域が、第2の蛍光色材の最大発光強度を示す波長を含む発光波長領域に含まれている第1及び第2の蛍光色材の組み合わせを用いることで、第1の励起波長での蛍光強度を向上させることが可能となる。
【0056】
尚、600nmでの蛍光発光を得るためのAR52の励起スペクトルと化合物(A)の吸光スペクトルを対比すると図5のようになる。そこで、第1の蛍光色材と第2の蛍光色材とでは、第1の蛍光色材の有する第2の励起波長域が位置する400nm〜700nmの範囲に第2の蛍光色材の最大吸収波長が存在しないことが好ましい。その理由としては、前述したように、第1の蛍光色材の有する第2の励起波長域で蛍光強度を向上させるために受けるエネルギーが第2の蛍光色材の吸収に奪われてしまい、蛍光強度の向上が図れないためである。
【0057】
これらの蛍光色材の組み合わせにおいて蛍光強度の増強効果が得られる理由の一つとしては、化合物(A)の蛍光発光の波長域がAR52の第2の励起波長域にあり、化合物(A)から発生した発光が更にAR52の励起にも利用されていることが考えられる。
【0058】
すなわち、蛍光性を検知する機械では、励起波長は固定されているため、目的とする蛍光発光波長が他の励起波長を有していても蛍光性の向上には成らないが、第2の蛍光色材が第1の励起波長で励起されたときに発生する蛍光発光波長領域が、第1の色材が有する励起波長領域と同じ波長領域であれば、この第2の蛍光色材からの蛍光発光が第1の色材の新たな励起波長となり、蛍光性を向上することが可能となる。
【0059】
更に、図1及び3の対比から明らかなとおり、AR52の蛍光発光の波長領域と、化合物(A)の蛍光発光の波長領域とが一部重複しており、これによってもAR52の蛍光発光の強度が向上するものと考えられる。
【0060】
尚、上記の2種の蛍光色材の組み合わせにおいては、図6に示すように第1の蛍光色材であるAR52が可視光領域に吸収スペクトルのピーク領域を有し、第2の蛍光色材である化合物(A)の蛍光発光の波長領域に、AR52の吸収スペクトルのピーク領域よりも低波長側の領域(図6においてαで示す領域)が含まれている。このような2種の蛍光色材を用いることで全体としての蛍光強度の増強が図れる。この理由としては、このαの領域が第1の蛍光色材であるAR52の第2の励起波長域と重なっていることから、第1の蛍光色材であるAR52の蛍光強度向上に寄与することができるからである。
【0061】
次に、比較として、第1の蛍光色材をAR52とし、第2の蛍光色材をC.I.アシッドイエロー73(AY73)のとした場合について説明する。
【0062】
第2の蛍光色材としてのAY73は、図10に示すように、第1の励起波長である254nmで励起を行った場合、500〜600nmの波長域にピーク(530nm)を有する蛍光発光を生じる。
【0063】
第1の蛍光色材の励起波長スペクトルと第2の蛍光色材の蛍光発光波長領域とを対比すると図11に示すとおり、AY73の蛍光発光の波長領域中にAR52の第2の励起波長領域の一部しか含まれず、蛍光強度を向上させるには不十分な領域である。
【0064】
又、600nmでの蛍光発光を得るためのAR52の励起スペクトルとAY73の吸光スペクトルを対比させると図12のようになり、第1の蛍光色材の有する励起波長域が位置する400〜700nmの範囲に第2の蛍光色材の最大吸収波長が存在するため、本発明における蛍光強度の向上手段である、第1の蛍光色材の第2の励起波長領域を有効に利用することができなくなる。
【0065】
さらに、図13に示すように、第1の蛍光色材であるAR52が可視光領域に吸収スペクトルのピーク領域を有し、第2の蛍光色材であるAY73の蛍光発光の波長領域には、AR52の吸収スペクトルのピーク領域よりも低波長側の領域がなく、第2の蛍光色材の蛍光発光が第1の蛍光色材の吸収スペクトルに吸収されてしまうことが理解できる。
【0066】
一方、AR52と化合物(A)の両方を含むインクにおける基準励起波長254nmでの蛍光スペクトルは図7に示すように、2つのピークを有するものとなる。
【0067】
更に、このインクによって得られた画像における基準励起波長254nmでの蛍光スペクトルも図8に示すように、2つのピークを有するものとなる。すなわち、2つのピークを有する蛍光染料の組み合わせによっても、濃度消光が生じ難い蛍光インクを提供することが可能となる。
【0068】
尚、本発明における蛍光発光の基準波長はインク及びそれにより形成される画像の用途によって選択できる。たとえば、AR52における蛍光発光波長(基準波長)を580、600及び620に変化させた場合のそれぞれの励起スペクトルは図9に示すようになる。そこで、本発明に従って各基準波長に隣接するピーク領域であるピーク波長領域をそれぞれ設定することができる。
【0069】
又、本発明において好適な第2の蛍光染料として化合物(A)以外にC.I.ソルベントグリーン7(SG7)が挙げられる。第1の蛍光色材にC.I.アシッドレッド52を、第2の蛍光色材にC.I.ソルベントグリーン7を用いた場合にはこの組み合わせによる、蛍光、励起、吸収の関係を図14〜図17に示した。
【0070】
更には、本発明においては調色や発色性の補充などのために、第3の色材を更に加えて着色樹脂微粒子を調製してもよい。この際、第1の蛍光色材と第2の蛍光色材によって得られる蛍光特性を極力損なわない色材を用いることが好ましい。
【0071】
(2)第1及び第2の蛍光色材の少なくとも一方は、下記に示した基本構造を有することで前記主たる蛍光の強度を増強し得るものである第1及び第2の蛍光色材の組み合わせ。
【0072】
本発明者らの検討によれば、第1及び第2の蛍光色材の少なくとも一方、好ましくは第2の蛍光色材に下記に記載の原子あるいは原子団、下記に記載の蛍光発光団の基本構造を含んでいる第1及び第2の蛍光色材の組み合わせを用いることで第1の蛍光色材における第1の励起波長での蛍光発光の強度を向上させることができる。
【0073】
特に、色材構造中に、該蛍光発光団を複数有しているものが好ましい。すなわち、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、従来の蛍光色材に比べ、構造的に大きくなり、更に立体性も強くなるため、従来の蛍光色材の様な規則性のある凝集、会合が生じにくくなるため、インク中の蛍光色材の含有量を従来の色材に比べ多くしても、蛍光強度を低下させにくいことが出来ると予想する。又、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、色材1分子中に蛍光発光団を複数有することにより、単位分子当たりの蛍光発光が強くなるため、蛍光発光強度を強くすることが出来ると予想している。又、この時、色材に直接性を有していることにより、蛍光発光に対し、更に向上すると考えられる。
【0074】
上記メカニズムにより、本発明のインクは第1の蛍光色材と第2の蛍光色材を用いて樹脂微粒子を着色することによって、蛍光強度が良好になると予想しているが、又、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材が、親水基として、水との親和性の強いスルホン酸を用いていると、水中にて着色する際には本発明の効果が更に向上する。
【0075】
又、好ましい蛍光発光団としては、上記用件を満足する者として、アミノスチルベンジスルホン酸の誘導体が好適である。
【0076】
蛍光色材の種類によっては、インク中でのその濃度を高めても、蛍光強度が増加しなくなったり、逆に蛍光強度が下がるものがある。このような蛍光色材を用いる場合には、用いることのできる濃度(インク中での含有量)の幅が狭くなったり、蛍光強度を高めるには限界が生じる。これに対して、本発明にかかる第1及び第2の色材の組み合わせでは、蛍光色材の含有量を増加させた場合に、その増加率に応じて蛍光強度を更に高めることが可能となる。
【0077】
このような本発明の蛍光色材に適用できる、蛍光増白機能を発揮できる原子団及び基を備えた蛍光発光団としては、以下に示すものを挙げることができる。ここで、本発明の蛍光色材は、吸光波長域は、可視光域でも可視光域以外でも良いが、前述した励起波長域を与える蛍光発光を行うものであるので、可視光領域に蛍光発光する色材であることが重要である。
【0078】
【化2】
【0079】
【化3】
【0080】
【化4】
(上記(1)〜(3)式中の各Zは夫々独立に、NR1R2、SR3又はOR3を表し、(2)式中のYは、H、Cl、上記Z、SR4又はOR4を表し、(3)式中のEは、Cl又はCNを表す。R1、R2、R3及びR4は各々独立に、H、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基又は置換アラルキル基、水酸基を表し、R1及びR2は、窒素原子と共に5又は6員環を形成してもよい。
【0081】
【化5】
(上記式(4)中、R5は、独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、CN、ウレイド基及びNHCOR6から選択される。R6は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基及び置換アラルキル基から選択される。式(5)中、Tは、アルキル基を示し、Wは、水素原子、CN、CONR7R8、ピリジウム基及びカルボキシル基から選択される。R7及びR8は夫々独立に、水素原子、アルキル及び置換アルキル基から選択される。mは、炭素数2〜8のアルキレン鎖を示し、式(6)中、Bは、水素原子、アルキル基及びカルボキシル基から選択される。)
尚、上記式(1)〜(6)における各置換基における具体例は基準発光とする蛍光発光性に応じて選択することができる。
【0082】
このように蛍光発光団を蛍光色材が含むことで第1蛍光色材の第1の励起波長での励起により得られる蛍光強度が増加する理由としては、先に述べた理由の他に、第1蛍光色材の第一の励起波長域での蛍光発光が良好になるからである。特に、アミノスチルベンジスルホン酸の誘導体は蛍光発光領域が広く、好ましい。
【0083】
一方、上記の構造式に示されるとおり、化合物(A)は、蛍光発光団を複数有するとともに、複数のスルホン基を有する2量体としての構造を有する。
【0084】
本発明で用いられる第2の蛍光色材としては、複数の蛍光発光団を有するものが好ましく、又、蛍光増白のための基本構造を有していることが更に好ましい。更に、第2蛍光色材が有する複数の蛍光発光団は2量体であることが好ましい。
【0085】
第2の蛍光色素の有する環状骨格の例としては、二重結合又は共役二重結合を含んだ環状構造、芳香環構造、シクロ環状構造、又は複素環状構造を有する環状骨格を挙げることができ、ベンゼン、チオフェン、ピリジン、ピロール、クマリン、インデン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキシゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾセレナゾール、ナフタレン、チオナフテン、キノリン、インドール、ナフテン、フルオレン、ジフェニレンサフファイド、フェナントレン、アントラセン、アフリジン、フェナントリジン、カルバゾール、フルオレン、ナフタセン、フルオラントレン、ピレン、キサンテン、クリセン、トリフェニレン、ペリレン、ピレン、ピセン、キナクリドン、フタロシアニン、などが挙げられる。
【0086】
より好ましい具体例としては、前述で挙げたように、ピレン、クマリン、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、イミダゾロン、ピラゾール、ベンジジン、ベンジジンスルホン、ジアミノカルバゾール、ナフタール環、ジアミノスチルベンジルスルホン酸及びこれらの誘導体から選択した少なくとも1つの構造を、前述で挙げた連結基を介して複数有する色材を挙げることができる。
【0087】
(着色樹脂微粒子)
本発明における着色された樹脂微粒子は上述した樹脂微粒子を、同様に上述した蛍光染料にて着色して用いることができる。
【0088】
本発明における樹脂微粒子の着色の方法としては幾つかの方法が考えられる。まず、簡便な方法としては上述したような樹脂微粒子を水中に分散させた後、第1の色材と第2の色材を添加して攪拌着色する方法が挙げられる。この際、樹脂微粒子の十分な着色を行うために、第1、第2の色材を水などの溶媒に十分に溶解して加えてもよい。又、攪拌条件や加熱条件の調整を適宜行うとよい。
【0089】
又、別の方法としては上述した樹脂微粒子を分散液中で膨潤させて染料による着色性を向上させる方法ある。具体的には、例えば、スチレン−アクリル共重合体の樹脂微粒子を用いる場合にはジエチレングリコール等の良溶媒の存在下で染料を添加、攪拌するとよい。この際、添加量としては10%〜200%が好ましい。又、アクリル酸などの酸モノマーを用いた共重合体を用いる場合にはpH値を調整してこよい。この際、共重合体中の酸モノマー量によって異なるが、pH9〜pH11に調整することが好ましい。
【0090】
更に、樹脂微粒子の合成時に染料を添加する方法でもよい。この際、重合方法によって、水溶性の染料、水不溶性の染料を適宜選択するとよい。
【0091】
又、必要に応じて各種添加剤、分散安定剤、分散安定助剤である界面活性剤や高分子分散安定剤などを添加してもよい。
【0092】
(着色微粒子を含んだインク)
本発明の水性インクは、以上説明した着色した樹脂微粒子を含むことを特徴とする。着色微粒子の含有量は樹脂微粒子中の上述したようなより効果的な染料濃度によって決定されるが、インク中で好ましくは0.1〜20%、より好ましくは0.3〜15%の範囲で使用される。
【0093】
(水性液媒体)
次に、上記で本発明におけるインクを構成する水性分散物以外の成分について説明する。本発明で使用する水性液媒体としては、水を主成分とすることが好ましく、又、インク中の水の含有量はインク全質量に対して、10〜95質量%、好ましくは25〜93質量%、より好ましくは40〜90質量%の範囲とすることが望ましい。本発明で使用する水としては、イオン交換水が好ましく用いられる。
【0094】
又、本発明のインクにおいては、水性液媒体として、水を単独で用いてもよいが、水に水溶性有機溶剤を併用させることによって、本発明の効果をより顕著にすることもできる。
【0095】
本発明で使用できる水溶性有機溶剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1−5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、へキシレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等のトリオール類;チオジグリコール;ビスヒドロキシエチルスルホン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル等の低級アルキルグリコールエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の低級ジアルキルグリコールエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記のごとき水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。
【0096】
これらの水溶性有機溶剤のインク中における含有量は、一般的には、インクの全質量に対して合計して50質量%以下、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%の範囲とすることが望ましい。
【0097】
これらの溶剤の中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ピロリドン、グリセリン、ポリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオールなどを用いることが好ましい。
【0098】
(その他の成分)
本発明のインク中には上記成分の他、必要に応じて、インクに所望の性能を与えるための、界面活性剤、消泡剤、表面張力調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、防腐剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、防錆剤、防カビ剤及びキレート化剤等の添加剤を配合してもよい。
【0099】
界面活性剤としては表面張力の調整や、吐出性を改善するために、ノニオン系の界面活性剤を添加してもよい。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物等が好ましい。HLBは10以上、特に12以上、さらには15以上のものが好ましい。これら界面活性剤の使用量は、吐出持続性の効果を十分に得るために、インク全質量に対し0.3質量%以上、特に0.5質量%以上、さらには0.8質量%以上であることが好ましく、又、多すぎるとインクの粘度が高くなりすぎるため、インク全質量に対し3質量%以下、特に2.5質量%以下、さらには2.0質量%以下であることが好ましい。
【0100】
又、本発明のインクの粘度は、25℃において0.7〜12cPの範囲内にあることが好ましい。インクの粘度が上記範囲内であると、インクジェット記録において正常な吐出が可能であり、又、その粘度抵抗により被記録材への浸透が早く、定着性の面からも問題がなく、好ましい。
【0101】
又、本発明に用いられるインクの表面張力は、25℃において20〜60mN/mの範囲に調整されることが好ましい。表面張力が20mN/m以上のとき、インクジェット記録において液滴が吐出した後、メニスカスを引き戻そうとする力が強いか、或は逆にメニスカスが突出した際に、引き戻す力が比較的強い為、泡を抱き込んだり、オリフィス部が濡れてヨレの原因となるといった問題が起こらない。上記の様なインクとすることにより、本発明で提案されるインクは、普通紙対応型インクジェット記録に用いられるインクとして、特に、得られる画像の耐水性、インクの保存性に優れ、且つ記録濃度、定着性、印字品位及び、固着特性の性能に優れたインクの提供が可能になる。
【0102】
以上のようにして構成される本発明の水性インクは、スタンプやペンのインクとしても用いることができるが、インクジェット記録で用いられる際に、特に効果的である。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させて液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出するインクジェット記録方法があり、それらのインクジェット記録方法に本発明の記録用インクは特に好適である。
【0103】
(記録画像)
本発明のインクジェット記録画像は、本発明の水性インクを用いて、後述するようなインクジェット記録装置にて記録媒体上に形成される。本発明における記録媒体はインクジェット記録可能などのような媒体でも制限無く用いることができる。
【0104】
(画像記録方法及び記録装置)
本発明の分散性色材、及び水性インクは、インクジェット吐出方式のヘッドにもちいられ、又、そのインクが収納されているインクタンクとしても、あるいは、その充填用のインクとしても有効である。特に、本発明は、インクジェット記録方式の中でもバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッド、記録装置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
【0105】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、インクが保持されているシートや液路に対応して配置された電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一対応し、インク内の気泡を形成出来るので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介してインクを吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことができる。
【0106】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成にも本発明は有効である。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通すると吐出孔を電気熱変換体の吐出部とする構成(特開昭59年第123670号公報等)に対しても、本発明は有効である。
【0107】
更に、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成のいずれでも良いが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0108】
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0109】
又、本発明は、適用される記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードである。
【0110】
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。尚、文中「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
【0111】
尚、吸収波長領域、最大吸収波長、及び蛍光波長領域は色材の純水希釈液での測定値を使用した。吸収波長は吸光度計を用いて、吸光度が0.5〜0.7の範囲になるように希釈液を調製したとき、色材の吸収ピークとしてベースラインより高い領域を吸収波長領域とし、ピーク値を最大吸収波長とした。又、蛍光波長は吸光度で使用した希釈液を用いて、蛍光強度が測定限界値を超えないように測定条件を設定し、第一及び第二の色材の励起波長を固定して測定した。蛍光発光波長領域は、ベースラインより高い領域とした。
【0112】
以下の実施例におけるインクは先に記載した第1及び第2の態様にかかる水性蛍光プリント用インクのいずれの構成をも満たすものである。
【実施例1】
【0113】
まず、下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌して、着色微粒子を調製した。
・C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材) 1質量部
・化合物(A)(第2の蛍光色材) 4質量部
・スチレン−アクリル共重合体エマルジョン 20質量部
・イオン交換水 75質量部
次に、得られた着色微粒子と下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合攪拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過することによりインクを調製した。ここで、着色樹脂微粒子の量は樹脂微粒子中の染料の量がインク全体に対してC.I.アシッドレッド52が0.2質量部、化合物(A)が2.0質量部になるように調整した。
・着色樹脂微粒子 5質量部
・グリセリン 7.5質量部
・エチレングリコール 5質量部
・尿素 5質量部
・アセチレノールE100 1質量部
(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物)
・イオン交換水 76.5質量部
第1及び第2の蛍光色材の蛍光発光スペクトル及び励起スペクトルは、日本分光(株)社製、蛍光測定機FP−750を用いて測定を行った。測定サンプルは水による影響を排除するため、水分を蒸発させたインクを用いた。
【0114】
第1及び第2の色材の吸収波長領域は、日立(株)社製吸光度計U−3200を用いて、染料が100000倍希釈になるように純水で希釈して測定を行った。第1の色材の吸収波長領域は450〜620nmで、最大吸収波長は565nmであった。又、第2の色材の吸収波長領域は、300〜450nmで、最大吸収波長は372nmであった。
【0115】
(比較例1)
下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過することによりインクを調製した。
・C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材) 0.25質量部
・グリセリン 7.5質量部
・エチレングリコール 5質量部
・尿素 5質量部
・アセチレノールE100 1質量部
(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物)
・イオン交換水 76.25質量部
【0116】
(比較例2)
実施例1において、着色微粒子を調製する際にC.I.アシッドレッド52のみで着色した樹脂微粒子を調製し、実施例1と同様にしてインクを調製した。このとき、着色微粒子を調製する際、まず、下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、着色微粒子を調製した。
・C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材) 1質量部
・スチレン−アクリル共重合体エマルジョン 20質量部
・イオン交換水 79質量部
【0117】
下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過することによりインクを調製した。
・着色樹脂微粒子 5質量部
・グリセリン 7.5質量部
・エチレングリコール 5質量部
・尿素 5質量部
・アセチレノールE100 1質量部
(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物)
・イオン交換水 76.5質量部
【0118】
(評価)
(1)蛍光強度
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS600(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、日本分光(株)社製の蛍光光度計(FP−750)を用いて下記の条件のもと蛍光強度を測定した。その結果を下記の基準に従って評価し、表1に示した。測定の際の条件は、励起波長を254nmとし、最大蛍光波長での蛍光強度を測定し、得られた測定蛍光強度値を、参考例1のインクの蛍光強度値を100として標準化し、下記の基準で評価した。
【0119】
◎:測定蛍光強度値が150以上
○:測定蛍光強度値が110以上150未満
△:測定蛍光強度値が110未満
【0120】
(2)発色性
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS600(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、印字記録物の濃度測定装置として、マクベスRD−918を用いて測定を行った。
【0121】
◎:印字物として目視ですぐに判読可能な0.7以上であった
○:印字物として目視で判読可能な0.5以上0.7未満であった
△:印字物として目視で判読しずらくなる0.3以上0.5未満であった
×:印字物として目視で判読不可能な0.3未満であった
【0122】
(3)堅牢性
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS700(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、24時間放置後、水道水に5分間浸漬し、印字濃度の変化をマクベスRD918を用いて、下記基準で評価した。
【0123】
◎:印字物として目視ですぐに判読可能な濃度変化が50%未満であった
○:印字物として目視で判読可能な50%以上70%未満であった
△:印字物として目視で判読不可能な70%以上であった
【0124】
【表1】
【実施例2】
【0125】
下記の要領で着色微粒子を調製し実施例1と同様にしてインクを調製した。還流管付反応容器に、イオン交換水55質量部、ラウリル硫酸ナトリウム2質量部、メチルメタクリレート35質量部、メタクリル酸ナトリウム5質量部、アシッドレッド52を1質量部、化合物(A)4質量部仕込み、混合攪拌しながら窒素気流下で70℃まで昇温し、更に、過硫酸アンモニウム0.1質量部をイオン交換水5質量部に添加し5時間攪拌して反応を完結し、着色微粒子を得た。次いで、下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過することによりインクを調製した。
・着色樹脂微粒子 5質量部
・グリセリン 7.5質量部
・エチレングリコール 5質量部
・尿素 5質量部
・アセチレノールE100 1質量部
(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物)
・イオン交換水 76.5質量部
得られたインクを実施例1と同様に評価したところ(1)〜(3)全ての項目において実施例1と同様に良好な結果だった。結果は表2に示した。
【実施例3】
【0126】
第1の蛍光色材、第2の蛍光色材に加えて、下記に示す第3の蛍光色材を加えた以外には実施例1と同様にして着色微粒子及びインクを調製した。まず、下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、着色微粒子を調製した。
・C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材) 1質量部
・化合物(A)(第2の蛍光色材) 4質量部
・C.I.アシッドレッド92(第3の色材) 2.5質量部
・スチレン−アクリル共重合体エマルジョン 20質量部
・イオン交換水 72.5質量部
【0127】
次に、得られた着色微粒子と下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合攪拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過することによりインクを調製した。ここで、着色樹脂微粒子の量は樹脂微粒子中の染料の量がインク全体に対してC.I.アシッドレッド52が0.2質量部、化合物(A)が2.0質量部になるように調整した。
・着色樹脂微粒子 5質量部
・グリセリン 7.5質量部
・エチレングリコール 5質量部
・尿素 5質量部
・アセチレノールE100 1質量部
(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物)
・イオン交換水 76.5質量部
得られたインクで実施例1と同様の評価を行い表2に示した。
【0128】
(比較例3)
第2の蛍光色材をC.I.アシッドレッド73とした以外は実施例1と同様にして及びインクを調製した。まず、下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、着色微粒子を調製した。
・C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材) 1質量部
・化合物(A)(第2の蛍光色材) 4質量部
・スチレン−アクリル共重合体エマルジョン 20質量部
・イオン交換水 75質量部
【0129】
次に、得られた着色微粒子と下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合攪拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過することによりインクを調製した。ここで、着色樹脂微粒子の量は樹脂微粒子中の染料の量がインク全体に対してアシッドレッド52が0.2質量部、化合物(A)が2.0質量部になるように調整した。
・着色樹脂微粒子 5質量部
・グリセリン 7.5質量部
・エチレングリコール 5質量部
・尿素 5質量部
・アセチレノールE100 1質量部
(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物)
・イオン交換水 76.5質量部
得られたインクで実施例1と同様の評価を行い表2に示した。
【0130】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】C.I.アシッドレッド52の励起波長が254nmでの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図2】C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルを示す図である。
【図3】化合物(A)の励起波長254nmでの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図4】C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルと化合物(A)の励起波長が254nmでの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。
【図5】C.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルと化合物(A)の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図6】化合物(A)の254nmでの蛍光スペクトルと、C.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図7】C.I.アシッドレッド52と化合物(A)の混合インクでの励起波長254nmでの蛍光スペクトルを示す図である。
【図8】C.I.アシッドレッド52と化合物(A)の混合インクでの印字物における蛍光スペクトルを示す図である。
【図9】C.I.アシッドレッド52の580、600及び620nmにおける励起スペクトルを示す図である。
【図10】C.I.アシッドイエロー73の励起波長254nmでの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図11】C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルとC.I.アシッドイエロー73の励起波長が254nmでの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。
【図12】C.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルとC.I.アシッドイエロー73の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図13】C.I.アシッドイエロー73の254nmでの蛍光スペクトルと、C.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図14】C.I.ソルベントグリーン7の励起波長254nmでの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図15】C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルとC.I.ソルベントグリーン7の励起波長が254nmでの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。
【図16】C.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルとC.I.ソルベントグリーン7の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図17】C.I.ソルベントグリーン7の254nmでの蛍光スペクトルと、C.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つ以上の蛍光色材により着色された樹脂粒子を含む水性蛍光プリント用インクにおいて、前記蛍光色材の一方の色材が、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材であり、前記蛍光色材の他方の色材が前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材であり、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち前記基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域を実質的に含むことを特徴とする水性蛍光プリント用インク。
【請求項2】
前記基準励起波長が254nmで、前記ピーク波長領域が475nm以上600nm以下であり、前記第2蛍光色材の発光波長域が、前記基準波長としての600nmを含み、450nm以上600nm以下の発光波長範囲を有している請求項1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項3】
前記第1の蛍光色材が可視光領域に吸収スペクトルのピーク領域を有し、前記第2の蛍光色材の蛍光発光の波長領域に、該吸収スペクトルのピーク領域よりも低波長側の領域が含まれている請求項1又は2に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項4】
基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準波長の発光を得るための励起波長域のうち、前記第1蛍光色材の吸光スペクトルにおける主たる吸収波長域を包含する波長域にある請求項1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項5】
前記第1蛍光色材の主たる吸収波長域が500nm以上580nm以下で、前記第2蛍光色材の発光波長域は、450nm以上600nm以下の発光波長範囲を有している請求4に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項6】
前記第2の蛍光色材が、蛍光発光団を複数有する構造の色材である請求項1〜5の何れか1項に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項7】
基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含む水性蛍光プリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光すると共に前記基準波長の発光強度を増強するための第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えている請求項1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項8】
前記第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準波長を得るための励起波長域にある請求項7に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項9】
基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含む水性蛍光プリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えており、該第2蛍光色材の発光波長域が、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準波長の発光を得るための励起波長域の少なくとも一部と共通する波長域を有する請求項1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項10】
前記第2蛍光色材が有する複数の蛍光発光団が、夫々蛍光増白のための基本構造を備えている請求項1〜9の何れか1項に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項11】
第1の蛍光色材及び第2の蛍光色材以外に、第3の色材を含む請求項1〜10の何れか1項に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項12】
前記樹脂微粒子を構成する樹脂が、少なくとも1種類の疎水性モノマーを含むモノマー成分からなる共重合体であって、親水性基を含む請求項1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項13】
前記樹脂微粒子を構成する樹脂が、少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーを含むモノマー成分からなる共重合体である請求項12に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項14】
インク吐出口から吐出して被記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において、該インクが請求項1〜13の何れか1項に記載の水性蛍光プリント用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項1】
少なくとも2つ以上の蛍光色材により着色された樹脂粒子を含む水性蛍光プリント用インクにおいて、前記蛍光色材の一方の色材が、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材であり、前記蛍光色材の他方の色材が前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材であり、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち前記基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域を実質的に含むことを特徴とする水性蛍光プリント用インク。
【請求項2】
前記基準励起波長が254nmで、前記ピーク波長領域が475nm以上600nm以下であり、前記第2蛍光色材の発光波長域が、前記基準波長としての600nmを含み、450nm以上600nm以下の発光波長範囲を有している請求項1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項3】
前記第1の蛍光色材が可視光領域に吸収スペクトルのピーク領域を有し、前記第2の蛍光色材の蛍光発光の波長領域に、該吸収スペクトルのピーク領域よりも低波長側の領域が含まれている請求項1又は2に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項4】
基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準波長の発光を得るための励起波長域のうち、前記第1蛍光色材の吸光スペクトルにおける主たる吸収波長域を包含する波長域にある請求項1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項5】
前記第1蛍光色材の主たる吸収波長域が500nm以上580nm以下で、前記第2蛍光色材の発光波長域は、450nm以上600nm以下の発光波長範囲を有している請求4に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項6】
前記第2の蛍光色材が、蛍光発光団を複数有する構造の色材である請求項1〜5の何れか1項に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項7】
基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含む水性蛍光プリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光すると共に前記基準波長の発光強度を増強するための第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えている請求項1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項8】
前記第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準波長を得るための励起波長域にある請求項7に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項9】
基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含む水性蛍光プリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えており、該第2蛍光色材の発光波長域が、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準波長の発光を得るための励起波長域の少なくとも一部と共通する波長域を有する請求項1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項10】
前記第2蛍光色材が有する複数の蛍光発光団が、夫々蛍光増白のための基本構造を備えている請求項1〜9の何れか1項に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項11】
第1の蛍光色材及び第2の蛍光色材以外に、第3の色材を含む請求項1〜10の何れか1項に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項12】
前記樹脂微粒子を構成する樹脂が、少なくとも1種類の疎水性モノマーを含むモノマー成分からなる共重合体であって、親水性基を含む請求項1に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項13】
前記樹脂微粒子を構成する樹脂が、少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーを含むモノマー成分からなる共重合体である請求項12に記載の水性蛍光プリント用インク。
【請求項14】
インク吐出口から吐出して被記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において、該インクが請求項1〜13の何れか1項に記載の水性蛍光プリント用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−249354(P2006−249354A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70818(P2005−70818)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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