説明

水性被覆組成物

【課題】基材との密着性、防汚性、耐衝撃摩耗性に優れ、高い光沢を示す水性被覆組成物を提供する。
【解決手段】オレフィン系樹脂(A)を含有してなり、体積平均粒径が0.1乃至0.5μmであり、かつ体積平均粒径/数平均粒径の比率が1.0乃至1.5の水性分散体である水性被覆組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材との密着性、防汚性、耐衝撃摩耗性に優れ、高い光沢を示すオレフィン系樹脂の水性被覆組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスビル及び店舗等の近代化に伴い明るい室内の美観を引き立てるための床材、壁材、内装材等の光沢仕上げとしての水性塗工剤に対する要求性能は高まりつつある。このような塗工剤としては、一般に合成樹脂を有効成分とする、合成樹脂エマルション系の水性塗工剤が広く用いられている。このような水性塗工剤は、塗布後、放置乾燥するだけで塗工面に光沢が出るものであり、近年においては広く用いられている。またこのような水性塗工剤においては、基材との密着性、防汚性、耐衝撃摩耗性及び高光沢等の諸性能が要求されている。このような性能を向上させるため種々のタイプの水性塗工剤が研究、開発されている。
【0003】
上述した性能を向上させるための水性塗工剤としては、例えば、長鎖脂肪族(メタ)アクリレート系重合体からなるワックス成分とバインダー成分とからなる水性艶出し剤(特開平6−234955号公報)、分子量及びガラス転移温度を調整した2つのポリマー成分を含有するエマルションポリマーを含む被覆組成物(特開平10−204371号公報)、特定範囲のガラス転移点を有するアクリル系樹脂エマルション、特定範囲の融点を有するワックスエマルションとを含有する床用水性艶出し剤組成物(特開平10−245524号公報)、特定範囲のTgを有する2種のアクリル樹脂からなるエマルションを特定の割合で含有する床用艶出し剤組成物(特開平11−61048号公報)、及び特定範囲のTgを有する2種のアクリル樹脂、特定軟化点を有するワックスを含むエマルションを含有するフロアーポリッシュ組成物(特開2001−64592号公報)等が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に開示された水性塗工剤によれば、上記の性能についてある程度は改良されるが、上記性能が更に向上した水性塗工剤の開発が望まれている。従って、本発明の目的は、基剤との密着性、防汚性、耐衝撃摩耗性に優れ、高い光沢を示す水性被覆組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は以下の[1]〜[4]に記載した事項により特定される。
[1]オレフィン系樹脂(A)を含有してなり、体積平均粒径が0.1乃至0.5μmであり、かつ体積平均粒径/数平均粒径の比率が1.0乃至1.5であることを特徴とする水性被覆組成物。
[2]オレフィン系樹脂(A)100重量部に対して、酸変性ポリオレフィン化合物(B)及び/または脂肪酸化合物(C)0.5乃至30重量部、及びアニオン系界面活性剤(D)0.5乃至30重量部を含有することを特徴とする[1]に記載の水性被覆組成物。
[3]前記オレフィン系樹脂(A)が、酢酸ビニル成分の比率が8乃至35重量%であり、かつMFR値が50乃至500g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする[1]及び[2]に記載の水性被覆組成物。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の水性分散体に、水性アクリル系樹脂(E)、水性ウレタン系樹脂(F)、水性オレフィン系樹脂(G)からなる群から選択される水性樹脂を更に含有することを特徴とする水性被覆組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明の水性被膜組成物は、体積平均粒径及び粒径分布を規定したオレフィン系樹脂の水性分散体からなり、従来の水性塗工剤では困難であった、基材との密着性、防汚性、耐衝撃摩耗性に優れ、高い光沢を示す被膜を形成させることが可能となった。従って、本発明の水性被膜組成物は、塗工面に優れた光沢を長期間付与できるので、床材、壁材、内装材の光沢仕上げや保護に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る繊維処理剤について具体的に説明する。[語『水性』]本発明において、「水性」とは、水中に樹脂が分散している状態および/または一部が溶解している状態を意味し、「水分散」を包含する。本発明の水性被覆組成物に含有される、水性アクリル系樹脂(E)、水性ウレタン系樹脂(F)、水性オレフィン系樹脂(G)の形態としては、水系媒体中に溶解、分散した状態であれば特に制限されるものではない。
【0008】
本発明に使用されるオレフィン系樹脂(A)について説明する。本発明に使用されるオレフィン系樹脂(A)は、特に制限されるものではないが、エチレン−極性モノマー共重合体、オレフィン系エラストマーから選択される何れかの樹脂であることが好ましい。
【0009】
エチレン−極性モノマー共重合体の好ましい態様としては、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレンー(メタ)アクリル酸プロピル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸ヘキシル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体等のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−フマル酸共重合体、エチレン−クロトン酸共重合体等のエチレン−エチレン性不飽和酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン−ステアリン酸ビニル等のエチレン−ビニルエステル共重合体等を挙げることができるが、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合体が更に好ましい。
【0010】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、被膜の密着性、防汚性、耐衝撃摩耗性、耐水性、光沢等の面から、酢酸ビニル含量が8〜35重量%、特には、12〜30重量%のものが好ましく、更にASTMD 1238によるMFR(190℃)が50〜500g/10分であるものが好ましく、特に100〜300g/10分であるものが好ましい。
【0011】
本発明で用いられるオレフィン系エラストマーとしては、低結晶ないし非晶性のオレフィン系共重合体を用いることができ、所望によりジエンを含有していてもよい。X線回折法による測定される結晶化度は、50%以下、特に30%以下であることが好ましい。本発明では、スチレン−共役ジエンブロック共重合体またはその水素添加物も用いることができる。このオレフィン系共重合体を構成するオレフィンとしては、炭素原子数2〜20のα-オレフィン、好ましくは炭素原子数2〜10のα- オレフィン、さらに好ましくは炭素原子数2〜8のα-オレフィン、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどのα- オレフィンを挙げることができる。これらのα-オレフィンは、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0012】
また、上記ジエンとしては、具体的には、イソプレン、ブタジエン、ジシクロペンタジエン、1,4-ペンタジエン、2-メチル-1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、ジビニルベ
ンゼン、メチリデンノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。これらの
ジエンは、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0013】
本発明において好ましいオレフィン系共重合体としては、エチレンとα-オレフィンお
よび/またはジエンとのゴム状共重合体が好ましい。このゴム状共重合体におけるエチレンから導かれる構成単位含有量は、通常25〜95モル%であり、特に50〜95モル%であることが好ましく、エチレン以外のα-オレフィンから導かれる構成単位含有量は、
通常5〜75モル%であり、特に5〜50モル%であることが好ましい。このゴム状共重合体がジエンを含有する場合、ジエンから導かれる構成単位含有量は0.5〜10モル%であることが好ましく、この場合、エチレン以外のα-オレフィンから導かれる構成単位
含有量は4.5〜74.5モル%であることが好ましい。なお、このゴム状共重合体の組成は、13C−NMR法で測定した。
【0014】
オレフィン系共重合体としては、具体的には、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-オクテン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・1-ヘキセン共重合体、プロピレン・1-オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ブテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ブテン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・ブタジエン共重合体などが挙げられる。オレフィン系共重合体の135℃デカリン溶液中で測定される極限粘度[η]は、0.5〜2.0dl/gが好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.5dl/gである。
【0015】
スチレン−共役ジエンブロック共重合体を構成する共役ジエンとしては、たとえば、イソプレン、ブタジエンなどが挙げられる。これらの共役ジエンは、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。また、スチレン−共役ジエンブロック共重合体のブロック構成としては、スチレン−共役ジエンのジブロック共重合体、スチレン−共役ジエン−スチレンのトリブロック共重合体、またはそれ以上のブロック数を有するブロック共重合体が挙げられる。このようなスチレン−共役ジエンブロック共重合体としては、たとえば、米国特許弟3,265,765号明細書、特開昭61−192743号公報等に記載されている方法によって製造されるブロック共重合体などが挙げられる。スチレン−共役ジエンブロック共重合体、たとえばスチレン−イソプレンブロック共重合体は、具体的には、クレイトンTR−1107、1111、1112(いずれもシェル化学社製)などの商品名で市販されている。
【0016】
また、上記スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としては、たとえば、特公昭45−20504号公報、特公昭48−3555号公報等に記載されている方法によって製造される水素添加物などが挙げられる。スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物、たとえばスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物は、具体的には、クレイトンG−1652、1657(いずれもシェル化学社製)等の商品名で市販されており、また、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物は、具体的には、セプトン2002、2007(いずれも(株)クラレ製)等の商品名で市販されている。
【0017】
上記のようなスチレン−共役ジエンブロック共重合体またはその水添加物におけるスチレンから導かれる構成単位含有量は、10〜70重量%であることが好ましく、さらに好ましくは20〜50重量%である。
本発明のオレフィン系樹脂(A)を含有する水性分散体は、その粒径及び粒径分布が、塗膜形成時の光沢に大きく影響する。よって、上記水性分散体の体積平均粒径は0.1乃至0.5μmが好ましく、0.1乃至1.5μmが更に好ましい。
【0018】
また、上記水性分散体の粒径分布を表す尺度となる体積平均粒径/数平均粒径の比率は、1.0乃至1.5であることが好ましく、1.0乃至1.3であることが更に好ましい。
【0019】
前記オレフィン系樹脂(A)を水性分散体として安定化させるために、必要に応じて特定の酸変性ポリオレフィン化合物(B)および/または脂肪酸化合物(C)を用いることができる。
【0020】
本発明で用いられる酸変性ポリオレフィン化合物(B)は、オレフィン系重合体であって、ポリオレフィンの重合体鎖に結合したカルボン酸の塩の基(部分中和物ないし部分ケン化物である場合はカルボン酸基を含む)を、オレフィン系重合体1グラム当たり、−COO−基として0.05〜5ミリモル、好ましくは0.1〜4ミリモルの濃度で含むオレフィン系重合体である。
【0021】
また、酸変性ポリオレフィン化合物(B)は、たとえばα-オレフィンなどからなるポ
リオレフィンに、中和されているか、あるいは中和されていないカルボン酸基を有する単量体、および/またはケン化されているか、あるいはケン化されていないカルボン酸エステルを有する単量体を、グラフト共重合することにより得ることができる。
【0022】
酸変性ポリオレフィン化合物(B)の調製の際に用いられる酸変性前のポリオレフィンとしては、GPCにより測定される数平均分子量(Mn)が500〜10,000、好ましくは700〜5,000、さらに好ましくは1,000〜3,000の範囲にある、α-オレフィンの単独重合体または2種以上のα-オレフィンからなる共重合体が好ましい。
【0023】
上記の単独共重合体または共重合体を構成するα-オレフィンとしては、炭素原子数2
〜20のα-オレフィン、好ましくは炭素原子数2〜10のα-オレフィン、さらに好ましくは炭素原子数2〜8のα-オレフィン、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン
、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどを挙げることができる。これらのα-オレフ
ィンからなる単独重合体および共重合体の中でも、特にエチレン単独重合体が好ましい。
【0024】
上記ポリオレフィンにグラフトするグラフトモノマーは、上記した、中和されているか、あるいは中和されていないカルボン酸基を有する単量体、およびケン化されているか、あるいはケン化されていないカルボン酸エステル基を有する単量体であり、たとえば、エチレン系不飽和カルボン酸、その無水物またはそのエステルなどが挙げられる。ここで、エチレン系不飽和カルボン酸としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが挙げられる。
【0025】
エチレン系不飽和カルボン酸の無水物としては、具体的には、ナジック酸TM(エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸)、無水マレイン酸、無水シトラ
コン酸などが挙げられる。
【0026】
エチレン系不飽和カルボン酸エステルとしては、具体的には、上記エチレン系不飽和カルボン酸のメチル、エチルもしくはプロピルなどのモノエステルまたはジエステルなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いることもできるし、また2種以上組み合わせて用いることもできる。
上記のポリオレフィンに、グラフトモノマーをグラフトする方法としては、従来公知のグラフト共重合法を採用することができる。
酸変性ポリオレフィン化合物(B)は、オレフィン系樹脂(A)100重量部に対して、
0.5〜30重量部が好ましく、3〜20重量部が更に好ましい。
【0027】
本発明で使用される脂肪酸化合物(C)とは、脂肪酸、該脂肪酸の塩、該脂肪酸のエステルを意味し、本発明ではこれら化合物を単独又は組み合わせて用いることができ、本発明のオレフィン系樹脂(A)の水性分散体は、脂肪酸の塩の他に、脂肪酸及び/または脂肪酸エステルを含んでいても良い。
【0028】
本発明ではこの脂肪酸化合物(C)の炭素数は通常25〜60であり、好ましくは25〜40である。該脂肪酸としては本発明ではモンタン酸が好ましい。又該脂肪酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、鉄塩、アミン塩等が挙げられ、より好ましいのはモンタン酸のアルカリ金属塩である。
【0029】
エステルを構成するアルコール残基は、炭素数2〜30であるのが好ましく、炭素数6〜20であるのが特に好ましい。残基は直鎖状でも、分岐状でも差し支えない。炭素数が異なるものの混合物であっても良い。アルコール残基として、具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールの残基を挙げることができる。モンタン酸のエステルワックス、モンタンロウが特に好適である。脂肪酸の塩は、炭素数25〜60の脂肪酸を中和及び/または炭素数25〜60の脂肪酸エステルをケン化して得ることができる。
【0030】
脂肪酸化合物(C)を用いる場合には、オレフィン系樹脂(A)100重量部に対して、脂肪酸化合物(C)0.5〜30重量部が好ましく、3〜20重量部が更に好ましい。
酸変性ポリオレフィン化合物(B)と脂肪酸化合物(C)はそれぞれ単独で用いることも、併用することも可能である。併用する場合には、重量比として(A)/(B)+(C)=100/0.5〜30が好ましく、100/3〜20が更に好ましい。
【0031】
オレフィン系樹脂(A)の水分散性、粒径制御の面から、酸変性ポリオレフィン化合物(B)を単独で使用するのが好ましい。
本発明に用いられるアニオン系界面活性剤(D)は、特に制限されるものではないが、例えば以下のようなものを使用することができる。アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カルシウム、メラニン樹脂スルホン酸ナトリウム、特殊ポリアクリル酸塩、グルコン酸塩、オレイン酸カリウム、オレフィン・マレイン酸コポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、牛脂酸カリウム、牛脂酸ナトリウム、および金属石鹸(Zn、Al、Na、K塩)等である。特に、オレフィン系樹脂(A)の水への分散性の面から、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、牛脂酸カリウム、牛脂酸ナトリウムが好ましい。
【0032】
これらのアニオン系界面活性剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、、オレフィン系樹脂(A)の水への分散性、形成される被膜の耐水性の面から、オレフィン系樹脂(A)100部に対して、アニオン系界面活性剤(D)0.5〜30部が好ましく、2〜20部が更に好ましい。
【0033】
また、脂肪酸モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、シュガー脂肪酸部分エステル、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレングリ
セリン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等のノニオン系界面活性剤、及びアルキルアンモニウムクロライド、トリメチルアルキルアンモニウムブロマイド、アルキルピリジニウムクロライド、カゼイン等の両性界面活性剤等を使用してもよい。これらの界面活性剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
オレフィン系樹脂(A)の水性分散体への調製方法としては、特に制限されるものではないが、たとえばオレフィン系樹脂(A)、酸変性ポリオレフィン化合物(B)及び/または脂肪酸化合物(C)、アニオン系界面活性剤(D)を溶融混練し、次いで、得られた混練物に塩基性物質と水を添加してさらに溶融混練することにより、中和および/またはケン化と、オレフィン系樹脂(A)の水相への分散(転相)を行なって水性分散体を得る方法、または、予め酸変性ポリオレフィン化合物(B)/脂肪酸化合物(C)に塩基性物質と水を添加して、中和および/またはケン化し、これをオレフィン系樹脂(A)及びアニオン系界面活性剤(D)と溶融混練した後、さらに水を添加して溶融混練することにより、オレフィン系樹脂(A)の水相への転相(分散)を行なって水性分散体を得る方法が好ましい。
【0035】
本発明においては、前者の方法が簡便で、かつ、分散粒子の直径が小さく均一な水性分散体が得られるので特に好ましい。
上記の酸変性ポリオレフィン化合物(B)おける中和またはケン化の好ましい割合は、全カルボン酸またはカルボン酸エステルの100〜250%である。
【0036】
前記オレフィン系樹脂(A)の水相への転相に利用する溶融混練手段は、公知のいかなる手段でもよいが、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機などの溶融混練装置を用いる溶融混練手段が好ましい。
【0037】
上記中和およびケン化に用いる塩基性物質としては、具体的には、 ナトリウム、カリ
ウム等のアルカリ金属;
カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ヒドロキシルアミン、水酸化アンモニウム、ヒドラジン等の無機アミン;アンモニア、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アミン;酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム、酸化カリウム、過酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水素化ストロンチウム、水酸化バリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、水素化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等の、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の弱酸塩などを挙げることができる。
【0038】
特に、オレフィン系樹脂(A)の水への分散性の面から、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましく、塩基性物質により中和またはケン化されたカルボン酸基あるいはカルボン酸エステル基としては、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩が好ましい。
【0039】
本発明のオレフィン系樹脂(A)の水性分散体は、必要に応じて水性アクリル系樹脂(E)、水性ウレタン系樹脂(F)、水性オレフィン系樹脂(G)からなる群から選択される水性樹脂と混合することにより、更に優れた性能を有する水性被覆組成物を形成することが可能である。
【0040】
本発明に使用される水性アクリル系樹脂(E)は、公知の乳化重合技術により製造することができ、用いられる単量体の組成によってTgを調整することができる。上記水性アクリル系樹脂(E)の製造に用いられる単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、及び上記単量体と共重合可能な単量体等が挙げられる。
【0041】
上記水性アクリル系樹脂(E)の樹脂成分のTgは、基材との密着性、防汚性、成膜性の面から、20〜80℃が好ましく、30〜60℃が更に好ましい。
また、上記水性アクリル系樹脂(E)の樹脂成分の重量平均分子量は、防汚性、耐衝撃摩耗性の面から、1万〜20万が好ましく、7万〜15万が更に好ましい。
【0042】
本発明に使用されるウレタン系樹脂(F)を構成する成分である、多官能イソシアネート化合物としては、例えばエチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω’−ジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α、α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチレントリイソシアネート、2,6−ジ(イソシアナトメチル)フラン等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタン−ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナト−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、
【0043】
ダイマ酸ジイソシアネート、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.1.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.1.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2,5−ビスイソシアナートメチルノルボルナン、2,6−ビスイソシアナートメチルノルボルナン等の脂環族ポリイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピレンフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビベンジル−4,4’−ジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、
【0044】
ポリメリックMDI、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4−メチル−ジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアネート、フェニルイソシアナトメチルイソシアネート、フェニルイソシアナトエチルエチルイソシアネート、テトラヒドロナフチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロベンゼンジイソシアネート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、エチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−プロピレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ベンゾフェノンジイソシアネート、ジエチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ジベンゾフランジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネート、ジクロロカルバゾールジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、チオジエチルジイソシアネート、チオプロピルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、ジメチルスルフォンジイソシアネート、ジチオジメチルジイソシアネート、ジチオジエチルジイソシアネート、ジチオプロピルジイソシアネート、ジシクロヘキシルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート等の含硫脂肪族イソシアネート、ジフェニルスルフィド−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、3,3’4,4’−ジイソシアナトジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアナトメチルベンゼン)スルフィド、4、4’−メトキシベンゼンチオエチレングリコール−3,3’−ジイソシアネート等の芳香族スルフィド系イソシアネート、ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6’−ジイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、
【0045】
4,4’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’−ジイソシアネート等の脂肪族ジスルフィド系イソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、ベンジディンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、4−メチルジフェニルメタンスルホン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネートジベンジルスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジ−tert−ブチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシベンゼンエチレンジスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート等の芳香族スルホン系イソシアネート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソシアナトフェノールエステル、4−メトキシ−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソシアナトフェノールエステル等のスルホン酸エステル系イソシアネート、4,4’−ジメチルベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソシアネート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニルアニリド−4−メチル−3’−イソシアネート等の芳香族スルホン酸アミド系イソシアネート、チオフェン−2,5−ジイソシアネート、チオフェン−2,5−ジイソシアナトメチル、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアネート、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアナトメチル等の含硫複素環化合物等が挙げられる。
【0046】
またこれらのアルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等も使用できるが、上記化合物以外の多官能イソシアネート化合物を使用してもかまわない。また、これらの多官能イソシアネート化合物は、1種または2種以上の混合物で使用することもできる。
【0047】
上記化合物のうち、得られた樹脂、及びそれを塗工し被膜形成させた後の被膜の耐黄変性、熱安定性、光安定性の点、又は多官能イソシアネート化合物の入手のし易さの面から、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環族ポリイソシアネート化合物が好ましく、それらの中でもヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5−ビスイソシアナートメチルノルボルナン、2,6−ビスイソシアナートメチルノルボルナン及びこれらの誘導体が特に好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートが最も好ましい。
【0048】
多官能イソシアネート化合物と反応し得る活性水素基を、1分子中に、少なくとも2個有する活性水素化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
ポリオール化合物:エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2−メチルグリコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ジグリペロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−ジメタノール、ビシクロ[4.3.0]−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジオール、ビシクロ[4.3.0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ[5.3.1.1]ドデカノール、スピロ[3,4]オクタンジオール、1,1’−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、マルチトール、ラクチトール等の脂肪族ポリオール、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、
【0049】
キシリレングリコール、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、ビスフェノールS等の芳香族ポリオール、ジブロモネオペンチルグリコール等のハロゲン化ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリエーテルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、シリコンポリオール、フランジメタノール、更に、シュウ酸、グルタミン酸、アジピン酸、酢酸、フタル酸、イソフタル酸、サリチル酸、ピロメリット酸等の有機酸と前記ポリオールとの縮合反応生成物、前記ポリオールとエチレンオキシドや、プロピレンオキシド等アルキレンオキシドとの付加反応生成物、アルキレンポリアミンとアルキレンオキシドとの付加反応生成物、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、及びこれらのカプロラクトン変性品、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−メルカプトジフェニルスルフォン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチオメチル−トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等が挙げられる。
【0050】
この他、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ピペラジン、2ーメチルピペラジン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、α,α’−メチレンビス(2−クロルアニリン)3,3’−ジクロル−α,α’−ビフェニルアミン、m−キシレンジアミン、イソフォロンジアミン、N−メチル−3,3’−ジアミノプロピルアミン、ノルボルネンジアミン等のポリアミノ化合物、セリン、リジン、ヒスチジン等のα−アミノ酸も使用することができる。
【0051】
本発明において活性水素化合物は、分岐骨格を有さない直鎖構造の化合物を使用することが好ましく、更に、融点(Tm)が60℃以下であるようなポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオールおよびこれらの共重合体や混合物を使用することが好ましく、ポリエーテルポリオールを使用することが特に好ましい。また全活性水素化合物100重量部中、上記に挙げた活性水素化合物50重量部以上98重量部以下使用することが好ましい。これらの化合物はそれぞれ単独で、また、2種類以上混合して用いても良い。
【0052】
また、本発明に用いられる水性ウレタン系樹脂(F)を水中で安定させるためには、公知の材料、安定化技術を用いる事が出来るが、分子中にカルボキシル基、スルホニル基およびエチレンオキシド基を1種以上有していることが好ましく、カルボキシル基および/またはスルホニル基を1種以上有していることがより好ましい。
【0053】
これらの原子団を導入する構成成分としては、例えば2,2−ジメチロール乳酸、2,
2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、ポリエチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの重付加物、エチレングリコールと前記活性水素化合物との重合体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。分子中にこれらの原子団を導入することで、樹脂の機械的安定性、他成分との混和安定性が向上する傾向にある。
【0054】
上記のカルボキシル基および/またはスルホニル基含有化合物を用いる際の好ましい量は、水性ウレタン樹脂の機械的安定性の面から、水性ウレタン系樹脂の固形分換算における酸価が3〜30KOHmg/g、より好ましくは3〜25KOHmg/g、さらに好ましくは5〜20KOHmg/gの範囲内である。ここで、酸価の測定方法は例えば日本工業規格JISK5400等に開示されている。
【0055】
水性ウレタン系樹脂(F)の製造方法は、特に制限されるものではないが、例えば以下のような方法が挙げられる。
多官能イソシアネート化合物、前記活性水素化合物中における、イソシアネート基と反応し得る活性水素基を有する化合物、および前記化合物中のイソシアネート基と反応し得る活性水素基を有し、且つ分子中にカルボキシル基、スルホニル基またはエチレンオキシド基を有する少なくとも1種の化合物を、イソシアネート基が過剰になるような当量比で、適当な有機溶剤の存在下または非存在下に反応させ、分子末端にイソシアネート基を有したウレタンプレポリマーを製造する。
【0056】
その後、上記プレポリマー中にカルボキシル基及びまたはスルホニル基を有するものは、三級アミン等の中和剤により中和する。ついで、この中和プレポリマーを、鎖伸長剤含有の水溶液中に投入して反応させた後、系内に有機溶剤を含有する場合はそれを除去し、得る方法。
【0057】
上記の方法で得た未中和のウレタンプレポリマーを、中和剤を含有し、かつ鎖伸長剤をする水溶液中に投入して反応させて得る方法。
前記の方法で得た中和済みのウレタンプレポリマー中に、鎖伸長剤を有する水溶液を加え、反応させて得る方法。
【0058】
前記の方法で得た未中和のウレタンプレポリマー中に、中和剤を含有し、かつ鎖伸長剤を有する水溶液を加え、反応させて水分散液を得る方法。
本発明に用いられる中和剤としては、特に制限されるものではないが、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミンのようなアルカノールアミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピリジン、N−メチルイミダゾール、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、のような3級アミン類、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのようなアルカリ金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのような4級アンモニウム化合物が挙げられ、これらの化合物は1種、または2種以上の混合物として使用することができる。
【0059】
前記中和剤の使用量は、好ましくは前記カルボキシル基および/またはスルホニル基を有するウレタン系樹脂中のカルボキシル基およびまたはスルホニル基1当量に対し、0.5〜3当量、より好ましくは0.7〜1.5当量である。
【0060】
本発明に用いられる鎖伸長剤としては、例えば、水、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、フェ
ニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、α,α’−メチレンビス(2−クロルアニリン)、3,3’−ジクロル−α,α’−ビフェニルアミン、m−キシレンジアミン、イソフォロンジアミン、NBDA(商品名、三井化学株式会社製)、N−メチル−3,3’−ジアミノプロピルアミン、及びジエチレントリアミンとアクリレートとのアダクトまたはその加水分解生成物等のポリアミン類が適当である。
【0061】
上記水性ウレタン系樹脂を得る際に使用する溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン等が挙げられるが、溶剤の沸点が100℃以下のものであれば特に限定されるものではなく、これらの溶剤は単独で、または2種類以上の混合状態で用いることができる。溶剤の沸点が100℃を超える、すなわち水の沸点を超える溶剤の使用は、水性分散体形成後の溶液から溶剤のみを完全に留去する事が困難になり、被膜中へ高沸点溶剤が残存し物性へ影響するので、性能発現のため止むを得ず使用する場合には、水性ウレタン系樹脂(F)100重量部に対し10重量部以下で用いることが好ましい。
【0062】
また、本発明で用いられる水性ウレタン系樹脂(F)は、他の単量体、樹脂成分等の他成分と反応させることによって変性体としても使用できる。更に、本発明で用いられる水性ウレタン系樹脂(F)は、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、アクリロニトリル、ブタジエン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、イタコン酸、マレイン酸等から選択される少なくとも1種以上のモノマーを重合させた複合体としても使用できる。
【0063】
また、本発明で用いられる水性オレフィン系樹脂(G)は、前記オレフィン系樹脂(A)にて詳述したエチレン−極性モノマー共重合体および/またはオレフィン系エラストマーから選択される少なくとも1種を水性化したものである。
【0064】
水性オレフィン系樹脂(G)の調製方法としては、特に制限されるものではないが、たとえばオレフィン系樹脂(A)に対し、塩基性物質と水、及び必要に応じ、酸変性ポリオレフィン化合物(B)及び/または脂肪酸化合物(C)及び/または界面活性剤を溶融混練することにより、中和および/またはケン化と、オレフィン系樹脂(A)の水相への分散(転相)を行なって水性分散体を得る方法が好ましい。
【0065】
本発明のオレフィン系樹脂(A)の水性分散体と、水性アクリル系樹脂(E)、水性ウレタン系樹脂(F)、水性オレフィン系樹脂(G)からなる群から選択される水性樹脂の混合比率は、特に制限されるものではないが、固形分重量比率として(A)/(E)+(F)+(G)=5/95〜80/20が好ましく、15/85〜50/50が更に好ましい。
【0066】
また、本発明の水性被覆組成物には、必要に応じて、架橋剤を加えてもよい。架橋剤としては、例えば、多価金属イオンや、多価金属イオンのアンモニア及びアミン錯体(特にNH3を配位したもの)等が挙げられる。上記多価金属イオンとしては、水中に少なくとも1重量%程度の顕著な溶解性を有する酸化物、水酸化物または塩基性塩、酸性塩または中性塩の形態で組成物に添加することができる、ベリリウム、カドミウム、銅、カルシウム、マギネシウム、亜鉛、ジルコニウム、バリウム、ストロンチウム、アルミニウム、ビスマス、アンチモン、鉛、コバルト、鉄、ニッケル、または他の多価金属イオンが挙げられる。上記多価金属イオンのアンモニア錯体及びアミン錯体の形成が可能なアミンとしては、例えば、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、及びエチレンジアミン等が挙げられる。また、アルカリ性pH範囲で可溶化可能な有機酸の多価金属錯体塩も用いることができる。また、酢酸イオン、グルタミン酸イオン、ギ酸イオン、炭酸イオン、サリチル酸イオン、グルコール酸イオン、オクトン酸イオン、安息香酸イオ
ン、グルコン酸イオン、蓚酸イオン及び乳酸イオン等の陰イオンも用いられる。また配位子がグリシンまたはアラニン等の二座アミノ酸である多価金属キレートも用いられる。また、その他の架橋剤として、アルキル化メラミン等の尿素樹脂系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、ヒドラジド系架橋剤等及びこれら架橋剤を水性化したもの等が挙げられる。
【0067】
更に、本発明の水性被覆組成物には、必要に応じて、ワックス(牛脂及び豚脂等の水添硬化ロウ、ラノリン、ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、モンタン誘導ワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アマイドワックス、ポリエチレンワックスまたはそのカルボキシル変性ワックス、酸化ポリエチレンワックスまたはそのカルボキシル変性ワックス、ポリプロピレンワックスまたはそのカルボキシル変性ワックス、酸化ポリプロピレンワックスまたはそのカルボキシル変性ワックス、グリコール変性酸化ポリプロピレンワックス、エチレン−アクリル酸共重合ワックス)、アルカリ可溶性樹脂等のレベリング剤、膜形成剤、可塑剤、浸透剤、分散剤、香料、殺菌剤、殺ダニ剤、防かび剤、防腐剤、紫外線吸収剤、消泡剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、染料、顔料(たとえばチタン白、ベンガラ、フタロシアニン、カーボンブラック、パーマネントイエロー等)、充填剤(たとえば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、タルク、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、カオリン、雲母、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム等)などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。上記添加剤を添加する場合、その添加量は水性被覆組成物の固形分重量の5〜70重量%が好ましい。
【0068】
前記の全ての添加剤は、原料樹脂または原料化合物製造行程での添加、原料樹脂または原料化合物水性化行程での添加、さらに水性添加剤については同じく水性化された(A)及び/または(E)及び/または(F)及び/または(G)への添加、これら混合工程での添加、混合後の添加等の方法により添加することができ、添加剤は樹脂中に分散していても良いし、水中に溶解または分散していても良い。本発明に用いられる水としては特に制限はなく、精製水、蒸留水及び水道水を用いることができる。
【0069】
本発明の水性被覆組成物を塗工する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば浸せき塗工、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、ハイドロバーコーター、トランスファロールコーター、リバースコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、フローコーター、ロールコーター、刷毛塗りなどが挙げられ、基体の一部、もしくは全面に塗工することができる。
【0070】
本発明の水性被覆組成物から形成される被膜の乾燥温度は、室温でもかまわないが、50〜200℃で5〜600秒間加熱することもできる。
本発明の水性被覆組成物を塗工する基材としてはプラスチック、金属、紙、木材、繊維、皮革、ガラス、ゴム、セラミック、コンクリート等が挙げられ、形状は、フィルム、シート、板状、繊維状、各種成形体等が挙げられるが、特に制限されるものではない。
【0071】
本発明の水性被覆組成物を応用できる用途は、特に限定されるものではないが例えば、合板、集成材、単層積層材等の木質材料、床、壁、天井、内装タイル、煉瓦等の建築材料、及び道路舗装、橋梁の防水、補修、補強や基礎部、目地部、鋼構造物の防食等の土木材料、及び自動車の内装部品、外装部品、エンジン部品やブレーキ部品等の自動車材料、及び車両の屋根、風道、化粧板、断熱材、窓、床、ドア等の鉄道車両材料、及びアルミニウム合金、チタニウム合金、FRP等の構造材料を主とする航空、宇宙用材料、及び半導体、電池、ケーブル材料、磁性ディスクやテープ、小型モーター、圧電素子、導電材料、センサ、感光材料、端末(電話機、ファクシミリ等)用材料、銅ばり積層板材料等の電気電子材料、及び光ファイバ等の光部品を主とする通信機器材料、及びカメラ、時計、計測機器、複写機等に用いられる精密、OA機器用材料、スキー、アーチェリー、ゴルフ、テニス等のスポーツ用具材料、靴の甲材、底、しん材、ヒール、トップリフト、中敷等のはきもの材料、及び植毛加工用バインダー等の繊維植毛材料、及び紙、プラスチック、アルミニウムはく等を基材フィルムとする包装材料、及び表紙、見返し、背等の製本材料、及びピアノ、エレクトーン、電子楽器等の楽器材料、たんす、棚、机、椅子、ソファ等の家具材料、及び人工関節、人工骨や血管、皮膚の接着、縫合、歯科の矯正、補綴、保存等の領域で用いられる医療材料等が挙げられる。特に、床材、壁材、内装材等の光沢仕上げや保護に使用するのが好ましい。
【実施例】
【0072】
以下に実施例を示して本発明を説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
(製造例) オレフィン系樹脂(A)の水性分散体の製造例 1.エチレン−極性モノマー共重合体の水性分散体(A−1)の製造
エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル製
エバフレックス220、酢酸ビニル含量28重量%、MFR150g/分)100重量部、無水マレイン酸変性ポリエチレンワックス(三井化学製ハイワックス2203A、無水マレイン酸含有量3重量%)10重量部、オレイン酸カリウム10重量部とを混合し、2軸スクリュー押出機(池貝鉄工製PCM−30,L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウムの9%水溶液を160g/時間の割合で連続的に供給し、加熱温度160℃で連続的に押出した。押出された樹脂混合物を同押出機口に設置したジャケット付きスタティックミキサーで90℃まで冷却し、さらに80℃の温水中に投入し、固形分濃度40%、pH12の水性分散体(A−1)を得た。得られた水性分散体(A−1)の粒径分布をマイクロトラックUPA(ハネウェル社製)で測定したところ、体積平均粒径は0.24μm、体積平均粒径/数平均粒径の比は1.12であった。
【0073】
2.オレフィン系エラストマー樹脂の水性分散体(A−2)の製造
オレフィン系エラストマーとして、エチレン・1−ブテン共重合体(三井化学製タフマーA70090、MFR70g/分)100重量部、無水マレイン酸変性ポリエチレンワックス(三井化学製ハイワックス2203A)、オレイン酸カリウム10重量部とを混合し、二軸スクリュー押出機(池貝鉄工社製、PCM−30、L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で該押出機に供給し、該押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウムの10%水溶液を150g/時間の割合で連続的に供給し、加熱温度180℃で連続的に押出した。次いで、押出された混合物を、該押出機口に設置したジャケット付きスタティックミキサーで90℃まで冷却し、さらに80℃の温水中に投入して、固形分濃度40%、pH12の水性分散体(A−2)を得た。得られた水性分散体の粒径分布(A−2)をマイクロトラックUPAで測定したところ、体積平均粒径は0.27μm、体積平均粒径/数平均粒径の比は1.19であった。
【0074】
3.オレフィン系エラストマー樹脂の水性分散体(A−3)の製造
オレフィン系エラストマーとして、エチレン・1−ブテン共重合体(三井化学製タフマーA70090)100重量部、モンタン酸ワックス(クラリアント製リコワックス:炭素数28〜32、酸価150mgKOH/g)5重量部とを混合し、二軸スクリュー押出機(池貝鉄工社製、PCM−30、L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で該押出機に供給し、該押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウムの16%水溶液を200g/時間の割合で連続的に供給し、加熱温度180℃で連続的に押出した。次いで、押出された混合物を、該押出機口に設置したジャケット付きスタティックミキサーで90℃まで冷却し、さらに80℃の温水中に投入して、固形分濃度40%、pH11の水性分散体(A−3)を得た。得られた水性分散体(A−3)の粒径分布をマイクロトラックUPA(ハネウェル社製)で測定したところ、体積平均粒径は1.04μm、体積平均粒径/数平均粒径の比は2.48であった。
【0075】
水性アクリル系樹脂(E−1)の製造例
温度計、撹拌機、窒素導入管、冷却管、2本の滴下漏斗を備えたフラスコを用いて合成を行った。2本の滴下漏斗のうち1本に、メタクリル酸5部、メタクリル酸イソブチル25部、アクリル酸ブチル5部、メタクリル酸メチル5部、ラウリルメルカプタン0.12部、ラウリル硫酸ナトリウム0.16部及び水20部を混合し、ホモミキサーにて乳化した乳化液を入れ、もう一方の滴下漏斗には、触媒としての過硫酸アンモニウム0.2部を水20.0溶解した溶液を入れた。フラスコ内を窒素雰囲気にし、フラスコを湯浴により80℃に加温し、250rpmで攪拌しながら、2本の滴下漏斗中の溶液を4時間かけてフラスコ内に滴下して反応を行った。滴下終了後、更に1時間攪拌を行い、固形分40%、pH2の水性アクリル系樹脂(E−1)を得た。得られたアクリル系樹脂の重量平均分子量は12万、Tgは55℃であった。
【0076】
水性ウレタン系樹脂(F−1)の製造例
温度計、撹拌機、窒素導入管、冷却管を備えたフラスコに、PTG2000SN(保土ヶ谷化学工業株式会社製、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、分子量2000)を399.5部、2,2−ジメチロールブタン酸21.0部、1,4−ブタンジオール12.4部、ヘキサメチレンジイソシアネート96.3部、およびメチルエチルケトン374.0部を仕込み、窒素ガス雰囲気下90℃で6時間反応させた。その後、60℃迄冷却し、トリエチルアミン13.3部を添加し、この温度下で30分混合させた。得られたプレポリマーを0.86%ヘキサメチレンジアミン水溶液1275.7部と混合攪拌し、その後60℃で減圧下メチルエチルケトンを脱溶剤することにより、固形分30%、pH8の水性ウレタン系樹脂(F−1)を得た。
【0077】
水性オレフィン系樹脂(G−1)の製造例
エチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル製ニュクレルN2060、MFR60g/10分、メタクリル酸含有量20重量%、)275部、水725部、オレイン酸カリウム18部を1L耐圧オートクレーブへ投入し、150℃に加熱した後2時間攪拌し、固形分濃度28%、pH10の水性分散体(G−1)を得た。
【0078】
水性フロアーポリッシュの製造
前記のオレフィン系樹脂(A)の水性分散体(A−1)、(A−2)、(A−3)、水性アクリル系樹脂(E−1)、水性ウレタン系樹脂(F−1)、水性オレフィン系樹脂(G−1)、その他の成分、及び水を表1に示す配合比(固形分比)で固形分濃度20重量%となるように混合攪拌し、水性フロアーポリッシュを調製した。
【0079】
その他の成分として以下のものを使用した。水性ポリエチレン系ワックス:東邦化学工業製ハイテックE−4Bアクリル系アルカリ可溶性樹脂:ロームアンドハース社製プライマルB−644炭化フッ素系界面活性剤:大日本インキ化学工業製メガファック−812炭酸亜鉛アンモニウム:水68.1部に酸化亜鉛7.0部を分散させ、炭酸アンモニウム12.3部及び28%アンモニア水12.6部を加えて作成した水性分散液。
【0080】
フロアーポリッシュとしての評価
得られたフロアーポリッシュ組成物について、JISK3920(フロアーポリッシュ試験方法)に準じて以下の様に試験を行った。
(1)試験片の作製東リ製のホモジニアス床タイル「マチュS」(10cm×30cm)に、1回あたり0.6mlの塗布量で塗布間隔を30分として3回塗りした被膜を48時
間常温にて乾燥した。
(2)床材との密着性ポリッシュ被膜面にカッターで碁盤目状に傷を付けその上からセロハンテープ剥離試験を行い、100の碁盤目のうち残った目の数を数えた。
(3)耐ブラックヒールマーク性スネルカプセルテスターを使用して、ブラックヒールマークテストを行い、下記評価基準に従って評価を行った。
○: 汚れなし △: 少し汚れがある ×: 汚れが著しい
【0081】
(4)耐衝撃摩耗性(ASTMD3714−87)ラバーテストブロックが衝撃したフロアーポリッシュ被膜面の摩耗性を肉眼にて観察し、下記評価基準に従って評価を行った。○:被膜に全く損傷を与えていない
△:僅かに被膜が損傷を受け、削られている
×:完全に被膜が削られている
(5)光沢60°反射率を5ヶ所測定し、その性能評価を行った。
(6)重ね塗り性試験片作成時の重ね塗り後の光沢を目視観察し、下記評価基準に従って評価を行った。
○:3回重ね塗りでも光沢低下しない
△:2回重ね塗りで光沢低下する
×:1回塗りで光沢低下する
【0082】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン系樹脂(A)100重量部、酸変性ポリオレフィン化合物(B)0.5乃至30重量部、及びオレイン酸カリウム0.5乃至30重量部からなる水性分散粒子で、該水性分散粒子の体積平均粒径がマイクロトラック法に基づき0.1乃至0.5μm、かつ体積平均粒径/数平均粒径の比率が1.0乃至1.5であり、
該水性分散粒子が5〜80重量部と、水性アクリル系樹脂(E)、水性ウレタン系樹脂(F)、水性オレフィン系樹脂(G)からなる群から選択される水性樹脂が20〜95重量部とを含有する水性被覆組成物。
【請求項2】
前記オレフィン系樹脂(A)が、酢酸ビニルの単量体に由来する構成成分の割合が8乃至35重量%であり、かつ190℃のMFR値が50乃至500g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の水性被覆組成物。

【公開番号】特開2008−133479(P2008−133479A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10373(P2008−10373)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【分割の表示】特願2002−102430(P2002−102430)の分割
【原出願日】平成14年4月4日(2002.4.4)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】