説明

水抜き部材、及び水抜き部材付き目地材

【課題】目地に配置され、施工性、耐久性及び外観に優れる水抜き部材、及び水抜き部材付き目地材を提供する。
【解決手段】建物1外壁に形成される目地内に配置される水抜き部材10、110であって、複数の平板が箱状に組み合わされて形成されるとともに該平板のうち対向する一対の平板にスリット12、12、…、13、13、…、112、112、…、113、113、…が設けられる箱体11、111と、箱体の他の対向する一対の平板の箱体の外側に配置される凸部、又は凹部を形成する連結部15、115とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓枠周りの目地に配置される水抜き部材、及び水抜き部材付き目地材に関する。詳しくは、目地に配置され、施工性、耐久性、及び外観に優れる水抜き部材、及び水抜き部材付き目地材に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に配置されるサッシ等の窓周りには、窓枠と外壁材との間隙である目地が形成される。そして、当該目地には、ここから建物内側へ雨水等が浸入することを防止、抑制するために目地材が充填される。しかし、一方、目地材により目地からの雨水の浸入は防止されたものの、他の部位から侵入し、外壁材の裏面(室内側)に達した雨水や結露による水が存する場合が少なくない。通常の外壁部分では、当該水は外壁材の裏面を伝って、建物下方に流れ落ちることで排水される。ところが、窓枠があることにより当該水はこれより下に流れ落ちることができず、このままでは水が溜まってしまうので不具合が生じる。
【0003】
そこで、窓枠と外壁材との間、特に上窓枠と外壁材との目地には当該水を排水するための手段が設けられる。特許文献1には、目地材としてシーリング、すなわち湿式の目地材に使用できる水抜き部材が開示されている。これによれば目地の室内外を貫通する排水孔を有する成形体(水抜き部材)を目地材の中に両面テープ等で固定し、その周りにシーリングを充填して目地を埋めるとともに成形体をシーリングの接着力により固定するというものである。
【0004】
また、長尺の所定の弾性を有する部材を目地内に押し込み目地を埋める形式のいわゆる乾式の目地材では、文献による開示はないが、例えばその一部を室内外方向に貫通するように切り欠いて水抜き部を形成する技術が知られている。
【特許文献1】特許第3799494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されたような水抜き部材は、湿式の目地材が前提であり、目地材が乾いたときの接着力を利用して固定している。従って、これを乾式の目地材に用いることはできず、例えば接着剤や両面テープの接着力のみで目地の中に留め置くことは、これが排水用の部材であるという観点からも耐久性に問題があった。
【0006】
また、切り欠いて排水部を形成する乾式目地材に用いられる従来の方法では、施工時に都度切り欠きを製作しなくてはならず、施工において手間がかかる等の問題があった。また、切り欠いて孔を作るので外観上も好ましくなかった。
【0007】
そこで本発明は、目地に配置され、施工性、耐久性及び外観に優れる水抜き部材、及び水抜き部材付き目地材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
請求項1に記載の発明は、建物(1)外壁に形成される目地内に配置される水抜き部材(10、110)であって、複数の平板が箱状に組み合わされて形成されるとともに該平板のうち対向する一対の平板にスリット(12、12、…、13、13、…、112、112、…、113、113、…)が設けられる箱体(11、111)と、箱体の他の対向する一対の平板の箱体の外側に配置される凸部、又は凹部を形成する連結部(15、115)とを備える水抜き部材により前記課題を解決する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水抜き部材(10、110)における箱体(11、111)の対向する一対の平板に設けられたスリット(12、12、…、13、13、…、112、112、…、113、113、…)の一方の平板のスリットと他方の平板のスリットとが千鳥状に配列されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の水抜き部材(10、110)を備える目地材(20、120)であって、水抜き部材の連結部(15、115)の凸部(15)、又は凹部(115)に挿入可能に対応する凹部(25)又は凸部(122a)である被連結部(25、122a)を備え、連結部と被連結部とが連結して目地内に配置されることを特徴とする水抜き部材付き目地材を提供することにより前記課題を解決する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の水抜き部材付き目地材(20、120)の水抜き部材(10、110)の箱体(11)のスリット(12、12、…)が設けられた平板のうちの一面と、水抜き部材が配置された以外の部分の一面とが略同一平面を形成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、水抜き部材が連結部を備えているので、目地材に差し込むことができ、これにより目地材に固定することが可能である。従って、水抜き部材の固定を湿式の目地材のようにその接着力や粘着材に頼ることがなく安定して固定することができる。一方、従来の乾式の目地材のように目地材の一部を室内外方向に水抜き部を形成するために切り欠く必要もなく利便性、及び意匠性が高い。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、一方の平板に備えられるスリットとこれに対向する他方の平板に備えられるスリットとが千鳥状に配置されているので、室外側からの風雨の吹き込みの勢いを弱めることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、上記効果を奏する水抜き部材を備える目地材であるので、上記効果を奏すると共に、水抜き部材を個別に目地に配置して施工する必要がなく、同時に施工することができるので施工性を向上させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、室外側に露出される部分が面一となるので意匠性に優れるとともに清掃も容易である。
【0017】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0019】
図1は、第一実施形態に係る本発明の水抜き部材10が具備される建物1の一部を室外側からみた図である。図2は図1にA−Aで示した線に沿った矢視垂直断面図のうち水抜き部材10の近傍に注目して示した図である。図2では紙面左が室外側、紙面右が室内側である。
建物1には、サイディング2、2、…、窓3、躯体4、4、胴縁5、台座6、水抜き部材10、10、及び目地材20、20、20を備えている。また、建物1はこの他にも建物として当然に備えられる構成を具備している。
【0020】
サイディング2、2、…は、所定の大きさを有する板状の部材で、建物1の外壁として縦横に並列される。従ってサイディング2、2、…は建物1の装飾的意義も大きく、その一面は意匠面となっており模様や凹凸が付されている。これらサイディング2、2、…は建物1の躯体4、4或いは胴縁5に直接、又は取付具を介して建物1に固定される。本発明の水抜き部材10が備えられる建物1においては通常の建物に用いられるサイディングを用いることができ、特に限定されることはない。
【0021】
窓3は、いわゆる引き違い窓である。具体的には窓3は、建物1の開口部に沿って設けられる上横枠3a、縦枠3b、3b、及び不図示の下横枠が枠状に組み合わされて形成された枠体を有している。そして該枠体の内側に引き違い障子3c、3dが見付方向に移動可能に配置される。本発明の水抜き部材10が備えられる建物1においては通常の建物に用いられる窓を用いることができ、特に限定されることはない。これには例えば引き違い式の窓に限らずスイング式に開閉する窓を挙げることができる。
【0022】
当該窓3の枠体とサイディング2、2、…との間に間隙が形成されて目地となる。本発明の水抜き部材10、10が当該目地に配置される。水抜き部材10、10は特に上横枠3aとサイディング2との間に具備される。
【0023】
躯体4は建物1の構造部材でありいわゆる柱や梁である。また、胴縁5は躯体4である柱間や梁間を渡されるように該柱や梁の室外側に並列される複数の棒材であり、躯体4とサイディング2、2、…との間に通気を確保したり、サイディング2、2、…の取り付け強度を向上させたりすることができる。これら躯体4や胴縁5は通常の建物に用いられるものを使用することができる。
【0024】
台座6は目地奥の躯体4に取り付けられる断面矩形の部材である。台座6はその室外側面に目地材20が接着される等して固定される。これにより目地材20の室内外方向の位置が決められる。台座の形状は上記目的を達成することができれば特に限定されるものではない。
【0025】
次に水抜き部材10について説明する。図3は水抜き部材10、及び目地材20の斜視図である。ここで目地材20は長さ方向(紙面左上−右下方向)は省略して短く示している。図4は水抜き部材10を示す図で図4(a)は正面図、図4(b)は背面図、図4(c)は側面図、及び図4(d)は図4(a)にB−Bで示す線に沿った矢視断面図である。ここで説明の便宜のため、水抜き部材10において図4(a)の紙面左右方向を長さ方向、同紙面上下方向を高さ方向、及び同紙面奥/手前方向を厚さ方向とする。図5は目地材20の横断面(長手方向に直交する断面)である。図5(a)は弾性体23、23が目地を埋めるために膨張が許容された場面、図5(b)は目地材20、20を目地に挿入する前の例えば流通時等において弾性体23、23の膨張が禁止された場面を示している。また、図6は水抜き部材10と目地材20、20とが組み合わされたときの斜視図である。図1〜図6を参照しつつ水抜き部材10及び目地材20について説明する。
【0026】
水抜き部材10は図3、及び図4に示したように、箱体11及び連結部である凸部15、15を備えている。箱体11は、それぞれ対向する3組の合計6つの平板が組み合わされた中空の箱状体である。ここで箱体11の高さは上記した目地の溝幅と略同一又は若干小さく形成されている。また箱体11の厚さはサイディング2、2、…よりは薄い。
【0027】
箱体11のうち該箱体11の長さ及び高さを形成する1組の対向する平板には、それぞれスリット12、12、…、及びスリット13、13、…が設けられている。スリット12、12、…、13、13、…は水抜き部材10の高さ方向に長く、水抜き部材10の長さ方向に短い矩形を有して該長さ方向に並列されている。スリット12、12、…は一方の平板に6つ、スリット13、13、…は当該一方の平板に対向する他方の平板に5つ設けられている。
【0028】
ここで図4(d)からよくわかるように、スリット12、12、…とスリット13、13、…とは、正面視(図4(a))ではスリット13、13、…が、背面視(図4(b))ではスリット12、12、…が見えないように千鳥状に配置されている。これにより水切り部材10が目地に設置されたときに室内外が一直線に直接連通することなく、少なくとも1つの平板が壁として存する構造となる。従って、室外側からの風雨の勢いを減衰させ、該風雨の勢いを維持したままスリットを介して室内側へ風雨が吹き込むことを防止することができる。
【0029】
箱体11の左右に配置される一対の平板のそれぞれからは、さらに左右方向外側に向けて板状の凸部15、15が備えられている。凸部15、15は、箱体11に比べて高さ方向及び厚さ方向の大きさが若干小さく形成されている。
【0030】
目地材20は、図3及び図5からわかるように芯材21、装飾材22、弾性体23、23、及び粘着材24を備えている。また、目地材20が目地に挿入される前の例えば流通時等において弾性体23、23の膨張が禁止されるときには、図5(b)に示したようにさらに封入板26、26が具備されている。
【0031】
芯材21は、略H字状の断面を有する長尺の棒状部材である。該H状の平行に対向する片の両端部は対向するように小さく折り曲げられるように形成されている。
【0032】
装飾材22は、略C字状の断面を有し、軟質で変形しやすい材料により形成された長尺の部材である。当該C字状である開口部に上記芯材21のH字状である対向する片のうちの一方が差し込まれ取り付けられる。従って、これにより装飾材22と芯材21とで被連結部である凹部としての環状部25が形成される。後述するように当該環状部25の内側に水抜き部材10の凸部15が差し込まれて、本発明の水抜き部材付き目地材が形成され該水抜き部材10が適切に目地内で固定される。
装飾材22は、該装飾材22が室外側に向けられて目地に挿入される。従って外観に与える影響を考慮して意匠性に優れた色彩や模様が付されている。また、装飾材22は上記のように軟質で柔軟性の高い材料で形成されているので、目地内に挿入されたときに目地内面に密着し、ここで防水性を向上させることが可能である。
【0033】
弾性体23、23は、芯材21のH字状である開口した部分のそれぞれに挿入されるように配置され、中央の片に接着等の方法で固定される。また、弾性体23、23は、例えばスポンジ状の材質により形成されており、伸縮容易で目地内に適切に広がることができる。これにより目地を通じての空気、水の移動が禁止される。当該弾性体23は、例えば流通時や施工時において目地に挿入される直前までは、図5(b)に示したように圧縮されて封入板26、26により封入されている。これにより目地に挿入される前までは弾性体23、23を小さくさせておくことができ、取り扱いが容易となる。ここで、弾性体23、23は圧縮が保持された姿勢から該圧縮の力が除去されて伸展するまでに所定の時間がかかる材料であることが好ましい。これにより、封入板26、26を取り外した後も弾性体23、23が伸展するまでの時間で目地に挿入することができるので施工が容易となる。
【0034】
粘着材24は、芯材21のH字状断面における装飾材22が取り付けられた側とは反対側の片の外側に配置される粘着性を有するものである。これには例えば両面テープ等を挙げることができる。当該粘着材24により目地材20と上記した台座6とが固定される。
【0035】
このような構成を有する水抜き部材10と目地材20、20とは図6に示したように組み合わせられ、本発明の水抜き部材付き目地材を形成する。すなわち、水抜き部材10の連結部としての凸部15、15のそれぞれが目地材20、20の被連結部としての上記環状部25、25の内側に差し込まれるように取り付けられる。このとき水抜き部材10を高さ方向、及び目地材20の2つの弾性部材23、23が上下方向となるように配置する。このように組み合わされた水抜き部材10及び目地材20、20が図1、及び図2に示したように上窓枠3aとサイディング2との間に形成された目地に挿入される。その際、水抜き部材10のスリット12、12、…が設けられた面及び目地材20の装飾材22が室外側に向けられる。このとき、スリット12、12、…が配置される平板の室外側面と、装飾材22の室外側面とが略面一となることが好ましい。これにより意匠性が向上するとともに、凹凸を減らして清掃が容易となる。
【0036】
これにより水抜き部材10の部分の目地においてスリット12、12、…及びスリット13、13、…を介して室内外方向が連通し、室内側に存する水を室外へ適切に排出することができる。また、上記のように、スリット12、12、…とスリット13、13、…とが千鳥状に配置されているので、室外側からの吹き込みの勢いを弱めることができる。
ここでさらにこの吹き込みの勢いを弱めることを目的に箱体11の内側にメッシュを挿入してもよい。
【0037】
水抜き部材10を目地材20に差し込むことにより目地材に固定することができるので、水抜き部材の固定を湿式の目地材のようにその接着力や粘着材に頼ることがなく安定して固定することができる。ただし、これは水抜き部材10を目地材20に仮止めするために粘着材を使用することを妨げるものではなく、凸部15の一部に粘着材を設けて、装飾材22の環状部25側に粘着させるようにしても良い。
一方、従来の乾式の目地材のように目地材の一部を室内外方向に水抜き部を形成するために切り欠く必要もなく利便性が高い。
【0038】
また、水抜き部材10と目地材20、20とを別々に目地に配置して施工する必要がなく、同時に施工することができるので施工性が向上する。
【0039】
以上に第一実施形態に係る水抜き部材10、及び水抜き部材付き目地材について詳しく説明したが本発明はこれに限定されるものではない。図7及び図8には変形例にかかる水抜き部材10b、10cを示した。目地材は目地材20と共通なので説明を省略する。図7(a)、図8(a)は水抜き部材10b、10cの正面図、図7(b)、図8(b)は同背面図、図7(c)、図8(c)は同右側面図、図7(d)、図8(d)は同底面図である。水抜き部材10b、10cでも水抜き部材10と同じ方向を長さ方向、高さ方向、及び厚さ方向とする。
【0040】
水抜き部材10bは、箱体11b及び連結部としての凸部15b、15bを備えている。水抜き部材10bの箱体11bは、第一実施形態で示した水抜き部材10の箱体11の構成と比べると、図7(d)からわかるように高さ方向下面の平板が備えられていない。これによりさらに水が抜け易くなる。また、箱体11bに備えられるスリット12b、12b、…、及びスリット13b、13b、…は箱体11bの最下端にまで達していることも特徴である。これによっても排水性が向上される。
【0041】
水抜き部材10cは箱体11c及び連結部としての凸部15c、15cを備えている。水抜き部材10cの箱体11cは、上記変形例である水抜き部材10bの箱体11bと同様に、図8(d)からわかるように高さ方向下面の平板が備えられていない。これにより水が抜け易くなる。また、箱体11cに備えられるスリット12c、及びスリット13c、13c、は箱体11cの最下端にまで達しているとともに、その長さ方向(紙面左右方向)が大きく形成され、その結果数が少ないことが特徴である。
【0042】
図9〜図12には第二実施形態に係る本発明の水抜き部材110を説明するための図を示した。図9は、水抜き部材110及び目地材120、120の斜視図である。図10は水抜き部材110を表す図で、図10(a)が正面図、図10(b)が背面図、図10(c)が右側面図、及び図10(d)がC−C矢視断面図である。図11は、目地材120の横断面(長手方向に直交する断面)図、図12は水抜き部材110と目地材120、120とが組み合わされたときの図である。以下図9〜図12を参照しつつ水抜き部材110及び目地材120について説明する。
【0043】
水抜き部材110は図9、及び図10に示したように、箱体111及び連結部としての凹部115、115を備えている。箱体111は、上記第一実施形態の水抜き部材10、10b、10cに備えられる箱体11、11b、11cをそのまま適用することができるので、説明を省略する。
【0044】
箱体111の左右に配置される一対の壁のそれぞれには、さらに左右方向外側に連結部としての凹部115、115が設けられている。凹部115、115は、水抜き部材110の厚さ方向に所定の間隙115bを有して平行に並べられた平板115a、115aを備えている。後述するように当該間隙115bに目地材120、120の端部が差し込まれる。
【0045】
目地材120は、図9及び図11からわかるように芯材121、装飾材122、弾性体123、123、…、及び粘着材124を備えている。
【0046】
芯材121は長尺の平板状部材で、横断面(長手方向に直交する断面)における一端には芯材121の面に直交する方向に板状の片121aが設けられている。
【0047】
装飾材122は、芯材121の横断面における片121aが設けられた側とは反対側に、片121aと平行に具備された平板である。装飾材122は、軟質で変形しやすい材料により形成されている。後述するように当該装飾材122の端部である凸部122a(図9参照)が水抜き部材110の間隙115bに差し込まれて水抜き部材110が適切に目地内で固定される。
装飾材122は、該装飾材122が室外側に向けられて目地に挿入される。従って装飾材122は外観に与える影響を考慮して意匠性に優れた色彩や模様が付されている。また、装飾材122は上記のように軟質で柔軟性の高い材料で形成されているので、目地内に挿入されたときに目地の壁面に密着し、ここで防水性を向上させることが可能である。
【0048】
弾性体123、123は、横断面において芯材121から枝状に延在する部材で、装飾材122と同様に軟質で変形しやすい材料により形成されている。これにより目地材120が目地内に挿入されたときに目地の内面に密着し、目地を通じての空気、水の移動が禁止される。
【0049】
粘着材124は、片121aの芯材121が配置される側とは反対側の面に配置される粘着性を有する部材である。これには例えば両面テープ等を挙げることができる。当該粘着材124を介して目地材120と上記した台座6とが固定される。
【0050】
また、目地材120は図9にDで示したように、水抜き部材110に差し込まれる端部に具備される被連結部である凸部122aを備えている。当該凸部122aには芯材121、弾性体123、及び粘着材124が備えられていない。これにより、当該凸部122aが水抜き部材110の間隙115bに差し込まれて水抜き部材110が適切に目地内で固定される。
【0051】
このような構成を有する水抜き部材110と目地材120、120とは図12に示したように組み合わせられることにより本発明の水抜き部材付き目地材が形成される。すなわち、水抜き部材110の連結部である凹部115、115の間隙115b、115bのそれぞれに目地材120、120の被連結部である凸部122a、122aを差し込むように取り付ける。このように組み合わされた水抜き部材110及び目地材120、120は第一実施形態の水抜き部材10、及び目地材20と同様、上窓枠3aとサイディング2との間に形成された目地に挿入される。その際、水抜き部材110のスリット112、112、…が設けられた面及び目地材120の装飾材122が室外側に向けられる。このとき、スリット112、112、…が配置される平板の室外側面と、装飾材122の室外側面とが略面一となることが好ましい。これにより意匠性が向上するとともに、凹凸を減らして清掃が容易となる。
【0052】
これにより水抜き部材110の部分の目地においてスリット112、112、…及びスリット113、113、…を介して室内外方向が連通し、室内側に存する水を室外へ適切に排出することができる。また、スリット112、112、…とスリット113、113、…とが千鳥状に配置されているので(図10参照)、室外側からの吹き込みの勢いを弱めることができる。ここでさらにこの吹き込みの勢いを弱めることを目的に箱体111の内側にメッシュを挿入してもよい。
【0053】
水抜き部材110を目地材120に差し込むことにより目地材に固定することができるので、水抜き部材の固定を湿式の目地材のようにその接着力や粘着材に頼ることがなく安定して固定することができる。ただし、これは水抜き部材110を目地材120に仮止めするために粘着材を使用することを妨げるものではなく、装飾材122の凸部122aの一部に粘着材を設けて、装飾材122を片115bに粘着させるようにしても良い。
一方、従来の乾式の目地材のように目地材の一部を室内外方向に水抜き部を形成するために切り欠く必要もなく利便性が高い。
【0054】
また、水抜き部材110と目地材120、120とを別々に目地に配置して施工する必要がなく、同時に施工することができるので施工性が向上する。
【0055】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う水抜き部材及び水抜き部材付き目地材もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第一実施形態に係る本発明の水抜き部材及び水抜き部材付き目地材が備えられた建物の窓部分に注目した室外視正面図である。
【図2】図1にA−Aで示した矢視断面図である。
【図3】水抜き部材及び目地材の斜視図である。
【図4】水抜き部材を示す図である。
【図5】目地材の横断面を示す図である。
【図6】水抜き部材と目地材とが組み合わされた場面を示す斜視図である。
【図7】1つの変形例を示す水抜き部材である。
【図8】他の変形例を示す水抜き部材である。
【図9】第二実施形態に係る本発明の水抜き部材及び水抜き部材付き目地材を示す斜視図である。
【図10】水抜き部材を示す図である。
【図11】目地材の横断面を示す図である。
【図12】水抜き部材と目地材とが組み合わされた場面を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1 建物
2 サイディング
3 窓
4 躯体
5 胴縁
6 台座
10、10b、10c 水抜き部材
11、11b、11c 箱体
12、12b、12c スリット
13、13b、13c スリット
15 凸部(連結部)
20 目地材
21 芯材
22 装飾材
23 弾性体
24 粘着材
25 環状部(凹部、被連結部)
26 封入板
110 水抜き部材
111 箱体
112 スリット
113 スリット
115 凹部(連結部)
120 目地材
121 芯材
122 装飾材
122a 凸部(被連結部)
123 弾性体
124 粘着材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物外壁に形成される目地内に配置される水抜き部材であって、
複数の平板が箱状に組み合わされて形成されるとともに該平板のうち対向する一対の平板にスリットが設けられる箱体と、
前記箱体の他の対向する一対の平板の前記箱体の外側に配置される凸部、又は凹部を形成する連結部と、を備える水抜き部材。
【請求項2】
前記箱体の前記対向する一対の平板に設けられた前記スリットの一方の平板のスリットと他方の平板のスリットとが千鳥状に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の水抜き部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水抜き部材を備える目地材であって、
前記水抜き部材の前記連結部の凸部、又は凹部に挿入可能に対応する凹部又は凸部である被連結部を備え、
前記連結部と前記被連結部とが連結して前記目地内に配置されることを特徴とする水抜き部材付き目地材。
【請求項4】
前記水抜き部材の前記箱体の前記スリットが設けられた前記平板のうちの一面と、前記水抜き部材が配置された以外の部分の一面と、が略同一平面を形成していることを特徴とする請求項3に記載の水抜き部材付き目地材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−24394(P2009−24394A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188495(P2007−188495)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(305003542)旭トステム外装株式会社 (38)
【Fターム(参考)】