説明

水栓装置

【課題】 傾斜可能なシャワーヘッドを鉛直方向に対して傾けた状態で水を流した時の静音化と水はね防止を可能にする水栓装置を提供する。
【解決手段】 水栓装置1は、傾斜可能なシャワーヘッド20の散水部21からシンク10に水を流す。散水部に設けられた棒状水用開口部の複数の開口から流出した複数の合流前棒状水の合流した一本の棒状水23を流して、シンク底面11に着水膜24を形成する。散水部のシャワー水用開口部からシャワー水26を流す。そして、シャワーヘッドが鉛直方向に対して傾斜している場合、棒状水がシャワー水で囲まれた範囲を流れてシンク底面に着水膜24を形成している状態で、着水膜上にシャワー水を流すことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜可能なシャワーヘッドの散水部から水槽に水を流すための水栓装置にかかり、特に、システムキッチンなどに設けられる水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャワーヘッドの散水部から水槽に水を流すための水栓装置としては、たとえば、特許文献1(特開昭64−83730号公報)には、台所や洗面所などに設置してお湯を供給する給湯器が記載されている。
この給湯器には、給湯管に接続された蛇口と、この蛇口の先端にシャワー散水穴と直流逃し穴を並設したシャワーヘッドを取付けている。そして、給湯器本体からの湯を、シャワー散水穴と直流逃し穴からシャワーとして流すようにしている。
これにより、シャワー散水穴で目詰まりが発生しても、中央の直流逃し穴から水圧を逃すことができ、タンクの圧力破壊などを防止している。
【特許文献1】特開昭64−83730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の給湯器では、蛇口の先端にシャワー散水穴と直流逃し穴を並設しているが、シャワーヘッドから湯を流したときの騒音の低減や水はねを防止するための技術的対策については記載されていない。
また、傾斜可能なシャワーヘッドを鉛直方向に対して傾けた状態で水を流す点についての記載もない。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、傾斜可能なシャワーヘッドを鉛直方向に対して傾けた状態で水を流したときの静音化と水はね防止を可能にする水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明にかかる水栓装置は、傾斜可能なシャワーヘッドの散水部から水槽に水を流すための水栓装置であって、前記散水部に設けられた棒状水用開口部の複数の開口から流出した複数の合流前棒状水の合流した一本の棒状水を流して前記水槽の底面に着水膜を形成し、前記散水部に設けられ前記棒状水用開口部の周囲に配置されたシャワー水用開口部からシャワー水を流し、前記シャワーヘッドが鉛直方向に対して傾斜している場合において、前記棒状水が前記シャワー水で囲まれた範囲を流れて前記水槽底面に前記着水膜を形成している状態で、この着水膜上に前記シャワー水を流すことを可能にしている。
好ましい実施態様として、本発明にかかる水栓装置は、傾斜可能なシャワーヘッドの散水部から水槽に水を流すための水栓装置であって、前記散水部に設けられ複数の開口から流出した複数の合流前棒状水を合流させて一本の棒状水とするための棒状水用開口部と、前記散水部に設けられ前記棒状水用開口部の周囲に配置されてシャワー水を流すためのシャワー水用開口部と、前記散水部に前記水を供給するための流路を切換える切換手段とを備え、前記散水部が前記棒状水のみを流す第1の状態と、前記散水部が前記シャワー水のみを流す第2の状態と、前記シャワーヘッドが鉛直方向に対して傾斜している場合において、前記散水部により前記棒状水が前記シャワー水で囲まれた範囲を流れて前記水槽底面に前記着水膜が形成されている状態でこの着水膜上に前記シャワー水を流す第3の状態のうち、いずれか一つの状態を前記切換手段により作り出すようにしている。
また、本発明の他の実施態様にかかる水栓装置は、傾斜可能なシャワーヘッドの散水部から水槽に水を流すための水栓装置であって、前記散水部に設けられ複数の開口から流出した複数の合流前棒状水を合流させて一本の棒状水とするための棒状水用開口部と、前記散水部に設けられ前記棒状水用開口部の周囲に配置されてシャワー水を流すためのシャワー水用開口部と、前記散水部に前記水を供給するための流路を切換える切換手段とを備え、前記散水部が前記棒状水のみを流す第1の状態と、前記シャワーヘッドが鉛直方向に対して傾斜している場合において、前記散水部により前記棒状水が前記シャワー水で囲まれた範囲を流れて前記水槽底面に前記着水膜が形成されている状態でこの着水膜上に前記シャワー水を流す第3の状態のうち、いずれか一方の状態を前記切換手段により作り出すようにしている。
前記棒状水用開口部の前記複数の開口を前記散水部の中心軸線に向かって2度から8度の範囲内の所定角度傾けて形成することにより、前記開口から流出した前記複数の合流前棒状水が合流して前記一本の棒状水になるようにするのが好ましい。
前記棒状水用開口部の前記開口は、水勢が増加するように出口側がしぼられたすり鉢状に形成されているのが好ましい。
前記シャワーヘッドは、前記散水部を有するシャワーヘッド先端部を支持する支持部に対してこのシャワーヘッド先端部が回動可能で、且つこのシャワーヘッド先端部を任意の方向に向けた状態で位置決め支持可能であってもよい。
これとは別の実施態様として、前記シャワーヘッドは、前記散水部を有するシャワーヘッド先端部を、このシャワーヘッド先端部を支持する支持部から引出して任意の位置および方向に移動可能であってもよい。
前記シャワーヘッドが所定の最大傾斜角度範囲内で任意の角度に次第に傾斜する過程においても、前記棒状水が前記シャワー水で囲まれた範囲を流れる状態を維持して前記水槽底面に前記着水膜を形成し、この着水膜上に前記シャワー水を流すことが可能であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の水栓装置は、上述のように構成したので、傾斜可能なシャワーヘッドを鉛直方向に対して傾けた状態で水を流したときの静音化と水はね防止が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
下記の実施例にかかる水栓装置は、傾斜可能なシャワーヘッドの散水部から水槽に水を流すための装置である。
この水栓装置は、散水部に設けられた棒状水用開口部の複数の開口から流出した複数の合流前棒状水の合流した一本の棒状水を流して水槽の底面に着水膜を形成する。散水部に設けられ棒状水用開口部の周囲に配置されたシャワー水用開口部からシャワー水を流す。そして、シャワーヘッドが鉛直方向に対して傾斜している場合において、棒状水がシャワー水で囲まれた範囲を流れて水槽底面に着水膜を形成している状態で、この着水膜上にシャワー水を流すことが可能である。
これにより、シャワーヘッドを鉛直方向に対して傾けた状態で水を流したときの静音化と水はね防止を行うという目的を実現している。
【0008】
本実施例における水栓装置は、台所に設置されるキッチン(たとえば、複合厨房家具の一種であるシステムキッチン)に設けられてシャワーヘッドの散水部から水槽としてのシンクに水を流す。
なお、水栓装置は、洗面化粧台に設けられた場合であってもよく、この場合、シャワーヘッドの散水部から、水槽としての洗面ボールに水を流すことになる。
【実施例】
【0009】
以下、本発明にかかる実施例を図1ないし図15を参照して説明する。
図1は、本発明にかかる水栓装置が設けられたシステムキッチンの平面図、図2はシャワーヘッドの斜視図である。図3(A)はシャワーヘッドの部分断面正面図、図3(B)は図3(A)のIII−III線矢視図である。図4(A)は、シャワーヘッドの整流部材の正面断面図、図4(B)は図4(A)のIV−IV線矢視図である。
図5ないし図7は、シャワーヘッドが鉛直方向(水平面に対して直角である方向)に対して非傾斜時の実施例を示している。図5は、水栓装置で棒状水のみを流す第1の状態を示す斜視図、図6は、シャワー水のみを流す第2の状態を示す斜視図、図7は、棒状水とシャワー水の両方を流す第3の状態を示す斜視図である。
図8ないし図10は、シャワーヘッドが鉛直方向に対して傾斜している場合の実施例を示している。図8は、棒状水がシャワー水で囲まれた範囲を外れた場合の斜視図、図9は、棒状水がシャワー水で囲まれた範囲を流れる場合の斜視図、図10は、本実施例の変形例にかかるシャワーヘッド先端部を引き出した場合の斜視図で、図9相当図である。
【0010】
図1に示すように、本実施例では、台所に設置されるキッチンの一種であるシステムキッチン2に、本発明にかかる水栓装置1が設けられている。システムキッチン2は、床面上に設置されたキャビネット3を有している。キャビネット3には、各種形状,構造の複数の引出しが、引出し収納自在に設けられている。
キャビネット3は、コンロキャビネット5,一方の調理台キャビネット6,シンクキャビネット7および他方の調理台キャビネット8が順次並設された構成を有しており、ワークトップ9が、キャビネット5〜8の上部を覆って取付けられている。
【0011】
コンロキャビネット5にはコンロ4が組込まれている。一方の調理台キャビネット6の上部のワークトップ9は調理台になっている。シンクキャビネット7の上部のワークトップ9には、水栓装置1と、水槽としてのシンク10とが設けられている。他方の調理台キャビネット8には食器洗い乾燥機が取付けられ、上部のワークトップ9は調理台になっている。
このように、シンクキャビネット7には、水栓装置1,シンク10,複数の引出しなどが設けられて、単体としての厨房家具が構成されている。これと同様に、コンロキャビネット5はコンロ4,複数の引出しなどを有し、一方の調理台キャビネット6は複数の引出しなどを有し、他方の調理台キャビネット8は食器洗い乾燥機と引出しなどを有している。これにより、システムキッチン2は、単体としての厨房家具が複合した複合厨房家具を構成している。
【0012】
図2ないし図10に示すように、水栓装置1は、傾斜可能なシャワーヘッド20の散水部21からシンク10に水(たとえば、冷水または温水)を流すための装置である。なお、水栓装置1は、洗面化粧台に設けられた場合や、システムキッチン2など厨房家具に設置された浄水器に設けられた場合であってもよい。
【0013】
水栓装置1は、散水部21に設けられた棒状水用開口部22の複数(本実施例では、四つ)の開口22aから流出した複数(本実施例では、四本)の合流前棒状水23aの合流した一本の棒状水23を流して、シンク10の底面11に着水膜24を形成している。また、散水部21に設けられ棒状水用開口部22の周囲に配置されたシャワー水用開口部25から、シャワー水26を流している。
【0014】
水栓装置1は、シャワーヘッド20が鉛直方向に対して傾斜している場合には、棒状水23がシャワー水26で囲まれた範囲を流れてシンク10の底面11に着水膜24を形成している状態で、着水膜24上にシャワー水26を流すことが可能になっている。この使用状態は、図9,図10に示されている。
その結果、傾斜可能なシャワーヘッド20を鉛直方向に対して傾けた状態で水を流したときの静音化と水はね防止を実現することができる。
なお、本発明で「着水」は、流れた水がある地点(たとえば、シンク底面11,洗浄中の調理器具や食器などの表面)に達することをいう。
【0015】
水栓装置1は、棒状水用開口部22,シャワー水用開口部25および切換手段27を有している。棒状水用開口部22は、散水部21のほぼ中央部(本実施例では、中央部)に設けられ、複数(本実施例では、四つ)の開口22aから流出した複数(本実施例では、四本)の合流前棒状水23aを合流させて一本の棒状水23にすることができるようになっている。
このようにして、開口22aから流出した四本の合流前棒状水23aは合流して一本の棒状水23aになった後、この一本の棒状水23がシンク底面11に着水する。
【0016】
合流した一本の棒状水23を整った水流にするためには、合流前棒状水23aを四本または三本(好ましくは、四本)にするのが好ましい。そのために、棒状水用開口部22に、四個または三個(好ましくは、四個)の開口22aを形成している。
棒状水用開口部22から流出したときの合流前棒状水23aの数が四本(または、三本)であれば、合流して一本の棒状水23になったときにその流れが安定化するので好ましい。なお、開口22aを二個または五個以上の複数にして、各開口22aから合流前棒状水23aを流出させるようにしてもよい。
【0017】
棒状水用開口部22の開口22aを複数の小開口にすることにより、一つ一つの開口22aの開口面積を小さくしたので、シャワーヘッド20を鉛直方向に対して傾斜させた場合でも、斜めに流れる合流前棒状水23aと合流後の棒状水23の全体の放物線は、シャワー水26の放物線に近くなり、棒状水23は、常にシャワー水26で囲まれた範囲を流れることができる。
また、複数の合流前棒状水23aを合流させて一本の棒状水23にしたので、この棒状水23がシンク底面11に着水することにより、整った流れの着水膜24が形成される。
【0018】
シャワー水用開口部25は、散水部21に設けられ、棒状水用開口部22の周囲に配置されてシャワー水26を流すようになっている。切換手段27は、散水部21に水を供給するための流路を切換えて、棒状水用開口部22のみに、またはシャワー水用開口部25のみに、または棒状水用開口部22とシャワー水用開口部25の両方に、それぞれ水を流す機能を有している。
【0019】
水栓装置1は、図5に示すように散水部21が棒状水23のみを流す第1の状態と、図6に示すように散水部21がシャワー水26のみを流す第2の状態と、図7に示すように散水部21により棒状水23を流してシンク10の底面11に着水膜24が形成されている状態で、この着水膜24上にシャワー水26を流す第3の状態のうち、いずれか一つの状態を切換手段27により作り出すようにしている。
この棒状水23とシャワー水26の両方を流す第3の状態では、シャワーヘッド20が鉛直方向に対して傾斜している場合でも、散水部21により棒状水23がシャワー水26で囲まれた範囲を流れてシンク底面11に着水膜24が形成されている状態でこの着水膜24上にシャワー水26を流すことになる(図9,図10)。
【0020】
図8,図9に示すシャワーヘッド20は、散水部21を有するシャワーヘッド先端部40を支持する支持部41に対してシャワーヘッド先端部40が回動可能で、且つこのシャワーヘッド先端部40を任意の方向に向けた状態で位置決め支持可能になっている。
このようにすれば、シャワーヘッド先端部40を鉛直方向に対して傾斜させて任意の方向を向けることができ、散水部21から任意の方向に向けて水を流すことができ、洗浄作業などが容易に行える。
【0021】
一方、図10に示す変形例にかかるシャワーヘッド20は、散水部21を有するシャワーヘッド先端部40を、このシャワーヘッド先端部40を支持する支持部41から引き出して任意の位置および方向に移動可能になっている。
このようにすれば、シャワーヘッド先端部40を任意の位置まで移動させるとともに鉛直方向に対して任意の方向を向くように自在に傾斜させることができるので、洗浄作業などにおける自由度が広がり、使い勝手がよい。
なお、図8ないし図10に示すシャワーヘッド20は、このシャワーヘッド20が鉛直方向に対して非傾斜時には図5ないし図7に示す状態と同じ状態になっている。
【0022】
次に、本発明の原理を説明する。
まず、図6に示す第2の状態では、散水部21から吐出したシャワー水26は、流下しシンク10の底面11に直接衝突して着水する。その結果、水はねが発生する。
また、シンク底面11上のシャワーエリアの内方およびその周辺では、内部に空気を含んだ多数の水泡が発生して水が激しく波打ちながら滞留することにより、滞留部28が形成される。
散水部21から吐出される水の全量がシャワー水26になっているので、シャワー水26の流速が速く、またシャワー水26による水の壁が形成されている。したがって、シンク底面11でのシャワーエリア内では、水泡がこもってシャワーエリア外に出にくくなり、より一層、水や水泡が滞留して滞留部28を成長させている。
シャワー水26がシンク底面11に直接衝突するときの音や、たくさんの水泡が破裂するときの音などが合わさって、「ザーッ」という耳障りな大きな音が発生する。また、シャワー水26が周囲に飛び散って、シンク10の内周面,シンク外部の調理台およびユーザーの衣服などを濡らしてしまう。
【0023】
次に、図5に示す第1の状態で、散水部21から棒状水23のみが流れる場合には、棒状水23は、その水流が一様化して整った層流になっているので、シンク底面11に着水すると着水膜24が形成される。
棒状水23がシンク底面11に着水すると着水膜24が形成されるが、着水膜24では、水流30は、滞留することなく流れの一様化した層流となってほぼ放射状に広がって流れている。
棒状水23の着水時には水泡は発生せず、着水膜24にも水泡はほとんど含まれていない。その結果、シンク底面11に棒状水23が着水する際の音や水はねは、ほとんど発生しない。
【0024】
次に、図7に示す第3の状態(シャワーヘッド20が鉛直方向に対して非傾斜時の第3の状態)では、散水部21から棒状水23を流してシンク底面11に着水させることにより、シンク底面11には着水膜24が形成されている。
この着水膜24では、水の流れが一様で層流となった水流(整流)30が、棒状水23の着水地点Pを中心としてほぼ放射状に流れており、着水膜24には、水泡はほとんど含まれていない。
こうして、シンク底面11に着水膜24が形成されている状態で、散水部21によりシャワー水26を着水膜24上に流す。着水膜24がシンク底面11上に形成されているので、シャワー水26は、シンク底面11に直接衝突せずに着水膜24の水と合流する。
もともと着水膜24を形成する水流30は、着水地点Pを中心としてほぼ放射状に流れているので、着水膜24に着水したシャワー水26も、すぐに水流30に乗ってこの水流30と一緒になって放射状に流れる。
その結果、着水膜24に着水したシャワー水26は、シャワーエリア内に滞留することなく、着水膜24の水流30により外方に押し出される。また、シャワー水26の着水時に若干の水泡が発生した場合でも、この水泡は、シャワーエリアに滞留することなく、着水膜24の水流30により直ちにシャワーエリア外に押し出される。
このような原理により、本発明では、第3の状態における棒状水23とシャワー水26の両方の流れの過程において、音が発生したり水はねが生じたりする恐れはない。
なお、第3の状態では、シャワー水26より棒状水23の方が若干先行して吐出するようにすれば、蛇口を開けた瞬間から音の発生と水はねを防止できるので好ましい。
【0025】
ユーザーは、切換手段27を操作することにより、たとえば、棒状水23のみを流して(図5)、口の狭いペットボトルや瓶などに容易に水を入れることができる。また、調理器具や食器などを洗うのに速い流速のシャワー水26が必要な場合には、シャワー水26のみを流して(図6)、効果的な洗浄作業を行うことができる。さらに、静かな環境で水はねを防止しながら作業を行いたい場合には、棒状水23とシャワー水26の両方を流すことができる(図7)。
このように、ユーザーはその作業の内容に応じて、第1の状態,第2の状態および第3の状態のうちいずれか一つの状態を、切換手段27で自在に切換えて作り出すことができるので、水栓装置1の使い勝手がよい。
【0026】
次に、図8ないし図10に示すように、シャワーヘッド20を鉛直方向に対して傾斜させて使用する場合について説明する。
図8に示すように、シャワーヘッド20を鉛直方向に対して傾斜させると、棒状水23とシャワー水26は放物線を描いて流れるが、棒状水23が、シャワー水26で囲まれた範囲から外れてシンク底面11に着水する場合がある。この原因としては、棒状水23の流速がシャワー水26の流速と比べて遅い場合などである。
このような状態で棒状水23がシンク底面11に着水すると、着水地点Pを中心として着水膜24が形成される。
【0027】
ところが、棒状水23はシャワー水26で囲まれた範囲を外れているので、シャワー水26がシンク底面11に着水するときのシャワーエリアは、棒状水23の着水地点Pとは別の場所になっている。
その結果、シャワー水26はシンク底面11に直接衝突して着水する。すると、水はねが発生し、また、シンク底面11上のシャワーエリアの内方およびその周辺では、内部に空気を含んだ多数の水泡が発生して水が激しく波打ちながら滞留して、滞留部28が形成される。
また、シャワー水26による水の壁が形成されているので、シンク底面11でのシャワーエリア内では、水泡がこもってシャワーエリア外に出にくくなり、より一層、水や水泡が滞留して滞留部28を成長させる。そして、図6に示す第2の状態と同様に、大きな音が発生するとともに、シャワー水26が周囲に飛び散ってしまう。
また、棒状水23が流下途中でシャワー水26の水の壁を突き破って通過するので、棒状水23の流れに乱れが生じて、着水膜24の水流が乱れたり水泡が発生する恐れがある。
【0028】
これに対して、シャワーヘッド20が鉛直方向に対して傾斜している場合(図9,図10に示す第3の状態)において、散水部21により棒状水23がシャワー水26で囲まれた範囲を流れてシンク底面11に着水膜24が形成されている状態で、この着水膜24上にシャワー水26を流すようにしている。
この第3の状態では、散水部21から吐出した棒状水23は、常にシャワー水26で囲まれた範囲を流れているので、シンク底面11に着水して着水膜24が形成される。この着水膜24では、整った水流30が棒状水23の着水地点Pを中心としてほぼ放射状に流れている。この着水膜24には水泡はほとんど含まれていない。
【0029】
シャワー水26が着水膜24上に着水すると、シャワー水26は、シンク底面11に直接衝突せずに着水膜24の水と合流する。
着水膜24を形成する水流30は、着水地点Pを中心としてほぼ放射状に流れているので、着水膜24に着水したシャワー水26も、すぐに水流30に乗ってこの水流30と一緒になってほぼ放射状に流れる。
その結果、着水膜24に着水したシャワー水26は、シャワーエリア内に滞留することなく、着水膜24の水流30により外方に押し出される。また、シャワー水26の着水により若干の水泡が発生した場合でも、この水泡はシャワーエリア内に滞留することなく、着水膜24の水流30により直ちにシャワーエリア外に押し出される。
このような原理により、図9,図10に示す第3の状態における棒状水23とシャワー水26の両方の流れの過程において、音が発生したり水はねが生じたりする恐れはない。また、棒状水23は、シャワー26の壁を通過しないので、流れの整った状態のままでシンク底面11に着水することになり、着水膜24の水の流れも乱れない。
【0030】
本発明では、シャワーヘッド先端部40が所定の最大傾斜角度(たとえば、鉛直方向に対して45度)の範囲内で任意の角度に次第に傾斜する過程においても、棒状水23が、シャワー水26で囲まれた範囲を流れる状態を維持してシンク底面11に着水膜24を形成し、着水膜24上にシャワー水26を流すことが可能である。
これにより、シャワーヘッド先端部40を傾斜する操作を行っている間中も、常に静音化と水はね防止が可能である。
【0031】
本実施例の水栓装置1の変形例として、切換手段27が第1の状態と第3の状態のうちいずれか一方の状態を作り出すようにしてもよい。この変形例にかかる水栓装置は、上述と同じ構成の棒状水用開口部22とシャワー水用開口部25とを備えている。また、この水栓装置には散水部21に水を供給するための流路を切換える切換手段27が設けられている。
そして、この水栓装置は、シャワーヘッド20が鉛直方向に対して傾斜している場合において、散水部21が棒状水23のみを流す第1の状態と、散水部21により棒状水23がシャワー水26で囲まれた範囲を流れてシンク底面11に着水膜24が形成されている状態でこの着水膜24上にシャワー水26を流す第3の状態(図9,図10)のうち、いずれか一方の状態を切換手段27により作り出すようにしている。
この変形例では、散水部21でシャワー水26のみを流す第2の状態を作り出すことはできないが、第1の状態と第3の状態のうちいずれか一方の状態を作り出すことができる。したがって、第1の状態にすれば、棒状水23のみを流してペットボトルや瓶に水を入れる作業などができ、また、第3の状態にすれば、棒状水23とシャワー水26の両方を流して静音化と水はね防止が可能になる。
【0032】
本実施例にかかる第3の状態(図9,図10)において、散水部21の棒状水用開口部22から流出する一本の棒状水23の流量と、散水部21のシャワー水用開口部25から流出するシャワー水26の合計流量は、ほぼ同じであるのが好ましい。
もし仮に、棒状水23の流量が少ないと、着水膜24の厚みが薄くなって、シャワー水26の一部がシンク底面11に直接衝突する恐れがある。これとは逆に、シャワー水26の合計流量が少ないとシャワー水26の流速が遅くなって、シャワー水26で調理器具や食器などを十分に洗浄できなくなる可能性がある。
したがって、棒状水23の流量とシャワー水26の合計流量がほぼ同じであるのが好ましい。
【0033】
図2,図3に示すように、切換手段27は、シャワーヘッド20に設けられた切換スイッチ29を有している。この切換スイッチ29を操作して、上述の第1の状態ないし第3の状態(変形例の場合には、第1の状態と第3の状態)のうちいずれか一つの状態が選択されると、切換手段27は、散水部21に水を供給するための流路を切換えて、選択した状態になるようにする。
シャワーヘッド20には、第1の状態を示す第1のマークM1と、第2の状態を示す第2のマークM2と、第3の状態を示す第3のマークM3が、切換スイッチ29の操作位置に対応して表示されている。
したがって、切換スイッチ29において、第1のマークM1に対応する操作位置を押せば第1の状態が選択され、第2のマークM2に対応する操作位置を押せば第2の状態が選択され、切換スイッチ29を中間の位置に位置決めすれば、第3のマークM3に示すように第3の状態が選択される。
切換スイッチ29は、係合,嵌合など機械的なスイッチ機構により、第1のマークM1,第2のマークM2,第3のマークM3にそれぞれ対応する各位置に内部的に位置決め保持されるようになっており、また、ユーザーにとって、所望の状態に簡単に切り換えができる構造を有している。
このように、切換スイッチ29を操作すれば、第1の状態ないし第3の状態のうちの任意の状態を容易に選択することができる。また、三つのマークM1〜M3は、各状態を具体的に表すイラストになっているので、切換スイッチ29を容易に且つ間違えることなく操作することができる。
【0034】
図2ないし図10に示すように、水栓装置1は、システムキッチン2に取付けられ操作レバー12を有する本体部13と、シャワーヘッド20とを有している。操作レバー12を操作することにより、シャワーヘッド20に供給される水の水量,温度を調整することができる。
シャワーヘッド20は、本体部13に取付けられ、本体部13を中心としてそのまわりに所定の角度範囲で揺動可能である。シャワーヘッド20は、散水部21を有するシャワーヘッド先端部40と、シャワーヘッド先端部40を支持する支持部41とを有している。支持部41の根元は、本体部13に接続されている。
【0035】
散水部21には整流部材31が設けられている。この整流部材31には、棒状水用開口部22を構成する四つの開口22aと、シャワー水26を流すための複数のシャワー水用通路25aが形成されている。整流部材31は、シャワーヘッド先端部40の先端部側にねじ込み固定される。
散水部21には、シャワー水用開口部25を構成する整流板32が、整流部材31の出口側に配置されている。整流板32は、シャワー水用通路25aを覆って多数の細い貫通孔を有しており、これらの貫通孔を通った水がシャワー水26になる。
【0036】
棒状水用開口部22の四つの開口22aを、散水部21の中心軸線CLに向かって2度から8度の範囲内(好ましくは、4度から6度の範囲内)になるように所定角度θ傾けて形成することにより、開口22aから流出した四つの合流前棒状水23aが合流して一本の棒状水23になるようにしている。
開口22aの中心線CL1と散水部21の中心軸線CLとのなす角度θが小さいと、四本の合流前棒状水23aがいつまでも合流しない。一方、角度θが大きいと、合流前棒状水23a同士が衝突してしまって合流しない。
したがって、四本の合流前棒状水23aが合流して良好な棒状水23を形成するための角度θとしては、2度ないし8度が好ましい。
開口22aは、水勢が増加するように出口側が絞られたすり鉢状に形成されている。その結果、整流部材31に流入した水は、開口22a内でその流れが整えられるとともに、出口部で流速が上がるので、水流の一様化した合流前棒状水23aが開口22aから吐出される。
すなわち、すり鉢状の開口22aを流れる水は、乱流にならず流れの一様な層流のになって、出口から合流前棒状水23aとして吐出される。
【0037】
図11(A),(B),図12は変形例にかかる切換手段27aを示す図であり、図11(A),(B)は、それぞれシャワーヘッド20の正面図,平面図、図12(A)〜(D)はその動作を示す図である。
図11(A),(B)に示すように、切換手段27aは、シャワーヘッド20に設けられた切換スイッチ29aを有しており、切換スイッチ29aは、回動操作可能なレバーを有している。また、水栓装置は、水の浄化のためのカートリッジを内蔵することにより浄水の機能も有しているが、この浄水の機能を有していない場合であってもよい。
切換手段27aは、切換スイッチ29aのレバーを操作して、上述の第1の状態ないし第3の状態(または、変形例の場合には、第1の状態と第3の状態)のうちいずれか一つの状態、または浄水の状態が選択されると、切換手段27aは、この選択した状態になるように流路を切換えることができる。
切換手段27aの表示部45には、透明な窓があり、選択した状態がこの窓の中に表示されるようになっている。たとえば、レバーを操作して図12(A)の状態にすれば棒状水のみを流す第1の状態となり、図12(B)の状態にすれば棒状水とシャワー水の両方を流す第3の状態となり、図12(C)の状態にすればシャワー水のみを流す第2の状態となり、図12(D)の状態にすれば浄水を行う状態になる。
このように、切換スイッチ29aに回動操作可能なレバーを設けてレバーのストロークを大きくしたので、切換スイッチ29aで選択可能な数を多く(この変形例では、四つ)することができる。
【0038】
水栓装置1は、シャワーヘッド先端部40をその一部品として最初から備えている場合が一般的であるが、変形例として、シャワーヘッド先端部40を独立部品(すなわち、部品であるが単独で流通可能な商品)として支持部41に取付け可能にしてもよい。
このように、シャワーヘッド先端部40を独立部品とすれば、既存の水栓装置1において、シャワーヘッド先端部のみを本発明のシャワーヘッド先端部40に取替えれば、本発明の作用効果を発揮する。こうすれば、水栓装置1全体の取替えが不要になるので、改造工事が不要になり、システムキッチン2自体の構造を改造する必要もない。
【0039】
独立部品として扱う場合のシャワーヘッド先端部40は、シャワーヘッド20の散水部21からシンク10に水を流すための水栓装置1に使用されるシャワーヘッド先端部である。シャワーヘッド先端部40は散水部21を有し、独立部品としてシャワーヘッド20の支持部41に取付け可能である。
この場合、シャワーヘッド先端部40は、棒状水用開口部22の複数の開口22aから流出した複数の合流前棒状水23aの合流した一本の棒状水23を流してシンク底面11に着水膜24を形成し、シャワー水用開口部25からシャワー水26を流し、シャワーヘッド先端部40が鉛直方向に対して傾斜している場合において、棒状水23がシャワー水26で囲まれた範囲を流れてシンク底面11に着水膜24を形成している状態で、この着水膜24上にシャワー水26を流すことが可能である。これにより、上述の水栓装置1と同じ作用効果を奏する。
【0040】
このように、シャワーヘッド先端部40を独立部品として扱う場合、シャワーヘッド先端部40は、上述の実施例と同様に、棒状水用開口部22とシャワー水用開口部25と切換手段27とを備え、第1の状態ないし第3の状態のうちいずれか一つの状態(または、第1の状態と第3の状態のうちいずれか一方の状態)を、切換手段27により作り出すようにしている。これにより、前記実施例,変形例と同じ作用効果を奏する。
【0041】
次に、水栓装置における着水音や洗浄性に関する実験結果について、図13ないし図15を参照して説明する。
図13は、本実験における測定条件を示す説明図である。図13に示すように、システムキッチン2には本発明の水栓装置1が設けられ、人Mがシンク10の前に立っている状態で測定した。各寸法および距離は図13に示す通りであり、試験条件は下記の通りである。
【0042】
・試験室 :試験室内の音場は拡散性が得られる。
・試験室の壁:コンクリート壁またはモルタル壁
・試験室の暗騒音:34dB(A)
・水栓装置1:図2ないし図9に示す構成。
・シンク10:裏面には防音材を貼り付け。
・シンク10の排水口部:吸水性のスポンジを置く。
・着水位置:シンク10の中心位置
・人M(対象像):30代ないし50代の女性とする。
・人Mの立ち位置:
前後方向;システムキッチン2の前縁から100mm
横方向 ;シンク10の中央
・測定箇所:人Mの耳の高さ位置(1548mm)
【0043】
図14は、水栓装置1の着水音を示すグラフであり、横軸は時間,縦軸は着水音をそれぞれ示している。図14中の曲線Bは、水栓装置1の散水部21がシャワー水26のみを流す第2の状態のときの測定箇所における着水音を示している。
曲線Cは、散水部21により棒状水23を流してシンク10の底面11に着水膜24が形成されている状態で、この着水膜24上にシャワー水26を流す第3の状態のときの、測定箇所における着水音を示している。
シャワー水26のみを流す第2の状態では、曲線Bに示すように、着水音の平均は60dBであった。これに対して、散水部21により棒状水23とシャワー水26の両方を流す第3の状態にすれば、曲線Cに示すように、着水音の平均値は43dBまで大きく低下して、静音化を実現できることが分かる。
【0044】
図15は、洗浄性に関する比較データを示す説明図である。
図15に示すように、シャワー水26のみを流す第2の状態では、シャワー水26の流速が速いので、汚れ,泡切れなどに関しては、棒状水23とシャワー水26の両方を流す第3の状態より洗浄性は優れている。ところが、水はねが起こって衣服が濡れる場合がある。
これに対して、棒状水23とシャワー水26の両方を流す第3の状態では、汚れや泡切れの洗浄性に関しては第2の状態より劣るが、水はね防止に関しては、食器,特に鍋などを洗っても水はねが起こらず衣服が濡れることはない。
したがって、水栓装置1を使用して行う作業の内容に応じて、第2の状態と第3の状態を使い分け、さらには棒状水23のみを流す第1の状態も使い分ければ、常に最適な状態で水栓装置1を使用することができる。
【0045】
このように、本発明では、ペットボトルや瓶などに水を入れるときは棒状水23のみを流すことができ、調理器具や食器などを洗う際に広い面積に勢いよく水を当てたい場合には、シャワー水26のみを流すことができ、音を静かにして水はねを防止したいときには棒状水23とシャワー水26の両方を流すことができる。
散水部21から流す水の状態を切換手段27で自在に且つ容易に切換えることができるので、水栓装置1はユーザーにとって使い勝手がよい。
【0046】
以上、本発明の実施例(変形例を含む)を説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形,付加などが可能である。
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、システムキッチンや洗面化粧台などの水槽にシャワーヘッドの散水部から水を流すための水栓装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1ないし図15は本発明の実施例を示す図で、図1は、本発明の水栓装置が設けられたシステムキッチンの平面図である。
【図2】シャワーヘッドの斜視図である。
【図3】図3(A)はシャワーヘッドの部分断面正面図、図3(B)は、図3(A)のIII−III線矢視図である。
【図4】図4(A)はシャワーヘッドの整流部材の正面断面図、図4(B)は図4(A)のIV−IV線矢視図である。
【図5】水栓装置で棒状水のみを流す第1の状態を示す斜視図である。
【図6】シャワー水のみを流す第2の状態を示す斜視図である。
【図7】棒状水とシャワー水の両方を流す第3の状態を示す斜視図である。
【図8】棒状水がシャワー水で囲まれた範囲を外れた場合の斜視図である。
【図9】棒状水がシャワー水で囲まれた範囲を流れる場合の斜視図である。
【図10】本実施例の変形例にかかるシャワーヘッド先端部を引き出した場合の斜視図で、図9相当図である。
【図11】図11(A),(B)は、変形例にかかる切換手段を有するシャワーヘッドの正面図,平面図である。
【図12】図11に示す切換手段の動作を示す図である。
【図13】本実験における測定条件を示す説明図である。
【図14】着水音を示すグラフである。
【図15】洗浄性に関する比較データを示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 水栓装置
10 シンク(水槽)
11 底面
20 シャワーヘッド
21 散水部
22 棒状水用開口部
22a 開口
23 棒状水
23a 合流前棒状水
24 着水膜
25 シャワー水用開口部
26 シャワー水
27,27a 切換手段
40 シャワーヘッド先端部
41 支持部
CL 中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜可能なシャワーヘッドの散水部から水槽に水を流すための水栓装置であって、
前記散水部に設けられた棒状水用開口部の複数の開口から流出した複数の合流前棒状水の合流した一本の棒状水を流して前記水槽の底面に着水膜を形成し、
前記散水部に設けられ前記棒状水用開口部の周囲に配置されたシャワー水用開口部からシャワー水を流し、
前記シャワーヘッドが鉛直方向に対して傾斜している場合において、前記棒状水が前記シャワー水で囲まれた範囲を流れて前記水槽底面に前記着水膜を形成している状態で、この着水膜上に前記シャワー水を流すことが可能なことを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
傾斜可能なシャワーヘッドの散水部から水槽に水を流すための水栓装置であって、
前記散水部に設けられ複数の開口から流出した複数の合流前棒状水を合流させて一本の棒状水とするための棒状水用開口部と、
前記散水部に設けられ前記棒状水用開口部の周囲に配置されてシャワー水を流すためのシャワー水用開口部と、
前記散水部に前記水を供給するための流路を切換える切換手段とを備え、
前記散水部が前記棒状水のみを流す第1の状態と、前記散水部が前記シャワー水のみを流す第2の状態と、前記シャワーヘッドが鉛直方向に対して傾斜している場合において、前記散水部により前記棒状水が前記シャワー水で囲まれた範囲を流れて前記水槽底面に前記着水膜が形成されている状態でこの着水膜上に前記シャワー水を流す第3の状態のうち、いずれか一つの状態を前記切換手段により作り出すようにしたことを特徴とする水栓装置。
【請求項3】
傾斜可能なシャワーヘッドの散水部から水槽に水を流すための水栓装置であって、
前記散水部に設けられ複数の開口から流出した複数の合流前棒状水を合流させて一本の棒状水とするための棒状水用開口部と、
前記散水部に設けられ前記棒状水用開口部の周囲に配置されてシャワー水を流すためのシャワー水用開口部と、
前記散水部に前記水を供給するための流路を切換える切換手段とを備え、
前記散水部が前記棒状水のみを流す第1の状態と、前記シャワーヘッドが鉛直方向に対して傾斜している場合において、前記散水部により前記棒状水が前記シャワー水で囲まれた範囲を流れて前記水槽底面に前記着水膜が形成されている状態でこの着水膜上に前記シャワー水を流す第3の状態のうち、いずれか一方の状態を前記切換手段により作り出すようにしたことを特徴とする水栓装置。
【請求項4】
請求項1,2または3に記載の水栓装置であって、
前記棒状水用開口部の前記複数の開口を前記散水部の中心軸線に向かって2度から8度の範囲内の所定角度傾けて形成することにより、前記開口から流出した前記複数の合流前棒状水が合流して前記一本の棒状水になるようにしたことを特徴とする水栓装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかの項に記載の水栓装置であって、前記棒状水用開口部の前記開口は、水勢が増加するように出口側がしぼられたすり鉢状に形成されていることを特徴とする水栓装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかの項に記載の水栓装置であって、
前記シャワーヘッドは、前記散水部を有するシャワーヘッド先端部を支持する支持部に対してこのシャワーヘッド先端部が回動可能で、且つこのシャワーヘッド先端部を任意の方向に向けた状態で位置決め支持可能であることを特徴とする水栓装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかの項に記載の水栓装置であって、前記シャワーヘッドは、前記散水部を有するシャワーヘッド先端部を、このシャワーヘッド先端部を支持する支持部から引出して任意の位置および方向に移動可能であることを特徴とする水栓装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかの項に記載の水栓装置であって、
前記シャワーヘッドが所定の最大傾斜角度範囲内で任意の角度に次第に傾斜する過程においても、前記棒状水が前記シャワー水で囲まれた範囲を流れる状態を維持して前記水槽底面に前記着水膜を形成し、この着水膜上に前記シャワー水を流すことが可能であることを特徴とする水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−188830(P2006−188830A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382142(P2004−382142)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000104973)クリナップ株式会社 (341)
【Fターム(参考)】