説明

水栓装置

【課題】
受水部の内側壁面に付着した水が受水部の内側壁面を伝うことによる誤検知がなく、吐水させるための被検知体の動作を確実に検知して最適なタイミングで吐水を開始できる水栓装置を提供する。

【解決手段】
吐水口から吐水流を吐出する吐水部と、
前記吐水部からの吐水、止水を切替えるバルブ部と、
前記吐水口から吐出される吐水流を受水する受水部と、
放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、
前記センサ部からの検知信号に基づいて前記バルブ部の開閉を制御する制御部と、
を備え、
前記センサ部は前記受水部の壁面近傍に配置され、
前記制御部は、
前記検知信号の電圧値が、検知信号の振幅の略中心値である基準値よりも高い第1の閾値以上になった後、
第1の所定時間内に前記基準値よりも低い第2の閾値以下となったことを検知したら、
前記バルブ部を開動作させる
ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置に関し、より具体的には、手洗い場やトイレ、キッチンなどに設け
られ、マイクロ波などを利用した電波センサを用いて吐水流の吐水を制御する水栓装置に
関する。
【背景技術】
【0002】
水栓装置に配設されたセンサにより、手やその他洗浄物などの被検知体を検知し吐止水を行う技術が知られている。例えば、電波センサを受水部の下部且つ使用者側に設置し、受水部の使用者側だけに電波を放射して受水部に侵入した被検知体を検知し吐止水を行う技術がある(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2004−232282号公報
【0003】
特許文献1(特開2004−232282号公報)に開示された技術によれば、受水部の使用者側だけに電波を放射することにより、吐水部から吐出する吐水流で誤検知することなく、吐止水を行うことができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、使用者が洗面行為(手洗い、うがい、洗顔など)を行った後、電波センサが配置された受水部の内側壁面に水が付着し、その水が受水部の内側壁面を伝うことを誤検知して吐水してしまう問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる課題の認識に基づいてなされたものであり、受水部の内側壁面に付着した水が受水部の内側壁面を伝うことによる誤検知がなく、吐水させるための被検知体の動作を確実に検知して吐水を開始できる水栓装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の一態様によれば、
吐水口から吐水流を吐出する吐水部と、
前記吐水部からの吐水、止水を切替えるバルブ部と、
前記吐水口から吐出される吐水流を受水する受水部と、
放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、
前記センサ部からの検知信号に基づいて前記バルブ部の開閉を制御する制御部と、
を備え、
前記センサ部は前記受水部の壁面近傍に配置され、
前記制御部は、
前記検知信号の電圧値が、検知信号の振幅の略中心値である基準値よりも高い第1の閾値以上になった後、
第1の所定時間内に前記基準値よりも低い第2の閾値以下となったことを検知したら、
前記バルブ部を開動作させる
ことを特徴とする水栓装置が提供される。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、
吐水口から吐水流を吐出する吐水部と、
前記吐水部からの吐水、止水を切替えるバルブ部と、
前記吐水口から吐出される吐水流を受水する受水部と、
放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、
前記センサ部からの検知信号に基づいて前記バルブ部の開閉を制御する制御部と、
を備え、
前記センサ部は前記受水部の壁面近傍に配置され、
前記制御部は、
前記検知信号の電圧値が検知信号の振幅の中心値である基準値よりも低い第2の閾値以下
になった後、
第1の所定時間内に前記基準値よりも高い第1の閾値以上となったことを検知したら、
前記バルブ部を開動作させる
ことを特徴とする水栓装置が提供される。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、
吐水口から吐水流を吐出する吐水部と、
前記吐水部からの吐水、止水を切替えるバルブ部と、
前記吐水口から吐出される吐水流を受水する受水部と、
放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、
前記センサ部からの検知信号に基づいて前記バルブ部の開閉を制御する制御部と、
を備え、
前記センサ部は前記受水部の壁面近傍に配置され、
前記制御部は、
前記センサ部の検知信号から、交流成分のみを通過させるフィルタ部を備え、
前記フィルタ部を通過した検知信号に基づいて前記バルブ部を開動作させ、
前記検知信号の振幅が前記基準値よりも高い第1の閾値以上になった後、
第1の所定時間内に前記基準値よりも低い第2の閾値以下となり、
さらに、第2の所定時間内に前記基準値よりも高い第1の閾値以上になったことを検知したら、
前記バルブ部を開動作させる
ことを特徴とする水栓装置が提供される。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、
吐水口から吐水流を吐出する吐水部と、
前記吐水部からの吐水、止水を切替えるバルブ部と、
前記吐水口から吐出される吐水流を受水する受水部と、
放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、
前記センサ部からの検知信号に基づいて前記バルブ部の開閉を制御する制御部と、
を備え、
前記センサ部は前記受水部の壁面近傍に配置され、
前記制御部は、
前記センサ部の検知信号から、交流成分のみを通過させるフィルタ部を備え、
前記フィルタ部を通過した検知信号に基づいて前記バルブ部を開動作させ、
前記検知信号の振幅が前記基準値よりも低い第2の閾値以下になった後、
第1の所定時間内に前記基準値よりも高い第1の閾値以上となり、
さらに、第2の所定時間内に前記基準値よりも低い第2の閾値以下になったことを検知したら、
前記バルブ部を開動作させる
ことを特徴とする水栓装置が提供される。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、
前記センサ部は、
電波が放射される方向と、センサ部が配置された受水部壁面が、略直交になるように前記受水部に配置される
ことを特徴とする水栓装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、受水部の内側壁面に付着した水が受水部の内側壁面を伝うことによる誤検知がなく、吐水させるための被検知体の動作を確実に検知して吐水を開始できる水栓装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明にかかる自動水栓装置の実施の形態を図面により詳細に説明する。
【0013】
図1は水栓装置の第1の実施例の概観図を示した図である。
図1に示す水栓装置10は、吐水流を吐出するための吐水部1及び吐水口100と、吐水部1から吐出される水を受ける受水部2と、受水部2の内部に使用者の手、歯ブラシ、コップ、雑巾等の被検知体が侵入してきたことを検知する電波センサ3と、吐水部1からの吐止水を切替えるバルブ部4と、電波センサ3からの信号に基づいて、バルブ部4のon,offを制御する制御部5とで構成されている。
ここで、電波センサ3は、使用者が受水部2に接近する際に対面する側である前側2aに配設されており、電波ビームは吐水口100近傍に向かって受水部2内全体に放射される。
これにより、使用者の身長などにより、被検知体を吐水口100近傍に到達させようと様々な高さや角度から差し出されても確実に検知できる。
また、電波ビームは吐水部1上方に向けては放射されないように設定することができる。これにより、吐水部1の奥に設置される棚への物取りや鏡の覗き込みなどを誤検知することがない。
さらに、電波センサ3は電波ビームの励振方向が略鉛直方向になるように受水部2に設置することができる。電波センサ3が受水部2の前側2aに設置される場合、吐水させようとする被検知体は電波センサ3の上方から電波センサ3の前方へと向かうため、電波センサ3の励振方向が略鉛直方向であると、被検知体の上下の動きが検知しやすくなるため、検知信号が大きく得られるとともに、受水部2の前側2aに設置された電波センサ3近傍を横切る受水部2の横方向の拭き動作や、水栓装置10の外側近傍を横切る動作などの吐水させようとしない動作で得られる検知信号が小さくなるため、吐水させる被検知体の動作のみを精度良く検知することができる。
【0014】
図2は、電波センサ3を例示するためのブロック図である。
電波センサ3には、アンテナ112、送信部114、受信部116、ミキサ部118が設けられている。送信部114に接続されたアンテナ112からは、高周波、マイクロ波あるいはミリ波などの10kHz〜100GHzの周波数帯の電波が放射される。具体的には、アンテナ112からは、たとえば、10.525GHzの周波数を有する送信波T1が放射される。人体などの被検知体からの反射波または透過波T2は、アンテナ112を経由して受信部116に入力される。ここで、アンテナは、図2(a)に表したように送信側と受信側とを共通としてもよく、または、図2(b)に表したように、送信部114にはアンテナ112aを接続し、受信部116にはアンテナ112bを接続してもよい。
送信波の一部と受信波とは、ミキサ部118にそれぞれ入力されて合成され、たとえばドップラー効果が反映された検知信号が出力される。ミキサ部118から出力された検知信号は制御部5に向けて出力される。
【0015】
次に、制御部5について説明をする。
図3は、制御部5を例示するためのブロック図である。
図3に示すように、制御部5には、フィルタ部210、判定部230、バルブ制御部240、バルブ部4が設けられている。また、フィルタ部210には、フィルタ210aと、フィルタ210bとが設けられている。フィルタ210aは、例えば、所定の周波数帯域の検知信号を通過させるフィルタとすることができる。そして、フィルタ210bはフィルタ210aの周波数帯域よりも高い周波数帯域の検知信号を通過させるフィルタとすることができる。
なお、本実施の形態においては、被検知体の動きに対して得られた検知信号から制御を行うようにしているが、その際100Hz未満の信号を検知することにより識別を行うようにしている。
使用者が通常行う動作、例えば手の挿入や引き抜き、歩行等は100Hz未満の信号となる。そのため、100Hz未満の信号を検知することにより、一般的な人体の動作を判別することが可能となる。また、100Hz以上の高い周波数を検知すると、近傍にある蛍光灯ノイズ(100Hz、120Hz)や、通信機等で使用される通信ノイズ等から得られる検知信号をキャンセルすることが可能となる。
【0016】
ミキサ部118から出力された検知信号は、周波数の低いベースラインに周波数の高い信号が重畳した波形を有する。この高い周波数成分には、ドップラー効果に関する情報が含まれている。そのため、フィルタ部210においてドップラー効果に関する情報を含む高い周波数成分(ドップラー周波数信号)を取り出すようにしている。
【0017】
ここで、人体などの被検知体が移動すると、ドップラー効果によって反射波の波長がシフトする。ドップラー周波数ΔF(Hz)は、下記の式(1)により表すことができる。

ΔF=Fs−Fb=2×Fs×v/c …式(1)

但し、Fs:送信周波数(Hz)
Fb:反射周波数(Hz)
v:物体の移動速度(m/s)
c:光速(=300×10m/s)

電波センサ3に対して被検知体が相対的に移動すると、式(1)で表わされるように、その速度vに比例した周波数ΔFを含む検知信号が得られる。検知信号は周波数スペクトラムを有し、スペクトラムのピークに対応するピーク周波数と移動体の速度vとの間には相関関係がある。そのため、電波センサ3(ミキサ部118)から出力された検知信号の高い周波数成分をフィルタ210a、フィルタ210bを介することで所定の周波数帯域に分割し、ドップラー周波数ΔFを測定するようにすれば、速度vを求めることができる。また、各周波数帯域の移り変わりなどを見れば、速度の変化(減速/加速)を知ることができる。そして、例えば、判定部230において水栓装置を使用するための検知動作を行っていると判定された場合には、バルブ制御部240によりバルブ部4を開放して吐水を行うようにすることもできる。なお、日本においては、人体を検知する目的には10.50〜10.55Hzまたは24.05〜24.25GHzの周波数が使用できる。また、説明の便宜上、検知信号を2つの周波数帯域に分割する場合を例示したが、これに限定されるわけではない。例えば、検知信号を3つ以上の周波数帯域に分割することもできる。周波数帯域の分割数を多くすれば、被検知体の動作状況の解析をさらに詳細に行うことができる。
【0018】
また、フィルタ部210の前段に低い周波数成分を取り除くためのフィルタを設けることもできる。ミキサ部118から出力された検知信号は、周波数の低いベースラインに周波数の高い信号が重畳した波形を有する。そのため、低い周波数成分を取り除くためのフィルタを設けるようにすれば、ドップラー効果に関する情報を含む高い周波数成分(ドップラー周波数信号)のみを取り出すことができる。なお、この際のフィルタの周波数は、例えば、0.1〜5Hz程度とすることができる。
【0019】
また、被検知体が略静止したことを検知するために、直流成分を含む低い周波数帯域の検知信号を通過させるフィルタをフィルタ部210に設けることもできる。この場合、直流成分を含む低い周波数帯域の検知信号としては、例えば、直流成分(0Hz)と0Hzを越え、10Hz以下の周波数成分とを含む検知信号を例示することができる。ここで、略静止とは、静止状態のみならず、静止しようとしている直前の人体の僅かな揺らぎなどを含んだ状態を言う。
【0020】
ここでフィルタはハードウェアまたはソフトウェアにより構成させることができる。フィルタをハードウェアにより構成させたものとしては、例えば抵抗器(R)とキャパシタ(C)を構成要素として備えたものを例示することができる。そして、例えば、電波センサ3からの検知信号に対して抵抗器(R)、キャパシタ(C)で構成したハイパスフィルタ、及びローパスフィルタを組み合わせることで、必要な周波数帯を分別及び抽出するフィルタを構成することが可能である。ハードウェアによりフィルタを構成した場合には、安価で簡易的な構成のフィルタを得ることが可能となる。ただし、各電子部品(抵抗器(R)、キャパシタ(C))の抵抗値や容量値のバラツキの影響を受けて設定した周波数に変動を生じるおそれがあるので、より厳密な周波数設定を行う場合、抵抗及びキャパシタの抵抗値や容量値の持つ公差が小さいものを選択するようにすれば、設定した周波数帯域に近い値でフィルタリングを行うことが可能となる。
【0021】
フィルタをソフトウェアにより構成したものとしては、例えばマイクロコンピュータを用いた演算処理によってフィルタリングを行うディジタルフィルタを例示することができる。ディジタルフィルタを用いるようにすれば、フィルタリングする周波数を厳密に設定することができる。そのため、細かい周波数区分を行うことができるので、使用者の動作を的確に判断するのに適しているといえる。ただし、マイクロコンピュータのような演算素子を用いたフィルタリングのため、フィルタの数が多くなると演算時間が長くなる場合もある。この場合、演算時間が長くなると、バルブ部4の開閉時間が遅くなるなどの問題が発生するおそれがある。また、直流(DC)や直流(DC)近傍の周波数に対してフィルタリングを行うことが出来ないなどの問題もある。そのため、ソフトウェアにより演算処理を高速化する場合、フィルタの数を少なくしたり、演算素子の演算速度が速いものを選択したりすれば、演算処理を高速化し、詳細なフィルタリング処理を高速にて行うことが可能となる。
また、ハードウェアまたはソフトウェアにより構成されたフィルタを適宜選択するようにするか、両者を組み合わせることでフィルタ部210を構成するようにしてもよい。
以上のような回路構成により、被検知体を検知することができる。
【0022】
ここで、水栓装置10の第1実施例においては、電波センサ3は受水部2の前側2aに配置され、電波ビームが吐水口100近傍に向けて放射される。これにより、使用者が吐水させるために被検知体を到達地点(吐水口100近傍)に停止させようとする動作が、電波センサ3から放射される電波ビームの放射方向に対して略平行する方向になるため、電波センサ3から得られる検知信号から被検知体の周波数や距離の情報が精度よく検知できる。
また、このとき、電波ビームの放射方向に対して略直交する方向に被検知体の動作(横切り動作)が行われる場合がある。
たとえば、電波センサ3が配置された受水部の壁面に付着した水が受水部2内の下部に向かって伝う場合に電波センサ3の電波ビームの放射方向を横切る時が該当する。
この動作は、使用者が吐水させるための動作とは関係ないため、意図しない吐水が行われるおそれがある。
【0023】
ここで、電波センサ3の電波ビームの放射方向に対して、被検知体が略平行、または略直交する場合に、電波センサ3から得られる検知信号について順に説明する。
まず、電波ビームの放射方向に対して略平行な方向に動く被検知体(手や歯ブラシやコップなど)の吐水動作によって得られる検知信号について説明する。
図4は、水栓装置10の使用者が吐水させるために被検知体(手や歯ブラシやコップなど)を到達地点(吐水口100近傍)に停止させようとするときの一連動作を示したものである。まず、使用者は被検知体を受水部2の前側2aの上方から受水部2に進入させ、被検知体は電波センサ3の電波ビームに当たり始める(図4(a))。続いて、使用者は被検知体を到達地点(吐水口100近傍)に停止させようと減速させながら接近させる(図4(b))。その後、被検知体は到達地点(吐水口100近傍)に停止する直前に略静止状態となり、最終的に到達地点に揺らいだ状態になる。(図4(c))。
【0024】
図5は、被検知体(手や歯ブラシやコップなど)と到達地点の距離に対する速度または周波数の変化を例示するグラフ図である。使用者が被検知体を到達地点に停止させようとするとき、図4で前述したように使用者は被検知体を到達地点に減速させながら接近させ、最終的に略静止状態にさせる。
このとき、たとえば、図4(a)の状態では、図5における周波数fA(20〜30Hz程度)が得られる(A地点)。次に、図4(b)の状態では、図5におけるfAよりも小さい周波数fB(10〜20Hz程度)が得られる(B地点)。さらに、略静止状態となり、到達地点に停止する直前にfBよりも小さい周波数fC(5〜10Hz程度)(C地点)が得られる。
このように、使用者が吐水させるために被検知体を到達地点に到達させようとする動作は、減速して最終的に所定速度以下(略静止状態)になることから、制御部5は減速や所定速度以下を検知してバルブを開することで、被検知体が到達地点に到達する前の最適なタイミングで吐水を開始することができる。
【0025】
減速を検知して吐水を開始させるための制御フローとしては、たとえば、制御部5において、周波数fAを検知できる高い周波数帯域(20−30Hz程度)のフィルタと、周波数fBを検知できる低い周波数帯域(10−20Hz程度)のフィルタのように、直流成分を除いた異なる周波数帯域2つのフィルタを備え、高い周波数帯域のフィルタでfAが判定された後、低い周波数帯域のフィルタでfBが検知されたら、減速であると判定し、バルブを開動作させることができる。
また、略静止状態を検知して吐水を開始させるための制御フローとしては、たとえば、制御部5において、周波数fCを検知できる直流成分を含む低い周波数帯域(0−10Hz)のフィルタを備え、低い周波数帯域(0−10Hz)のフィルタでfCが検知されたら、略静止状態であると判定し、バルブを開動作させることができる。
これにより、使用者は被検知体を到達地点(吐水口100近傍)に差し出してから吐水口100より吐水されるまで、手を停止させて水を待つ必要がなくなるため使い勝手が良い。
【0026】
ここで、図6は、図4や図5の被検知体の一連動作において、時間と電波センサ3から得られる検知信号の電圧値の変化を例示するグラフ図である。
前述したように、吐水させる被検知体の動作は20〜30Hz程度から減速して最終的に所定速度以下(略静止状態)になるため、時系列的に変化する周波数に応じた周期で振幅する波形が得られる。
ここで、受水部2の前側2aから到達地点(ここでは吐水口100)までの距離Lを200〜300mm程度とすると、被検知体はA地点からC地点まで達する時間は0.3〜1.0s程度かかる。したがって、このとき得られる検知信号は、基準値を中心として、複数回振幅する波形となる。
なお、本明細書において基準値とは、電波センサ3から得られる検知信号におけるバイアス電圧(電波センサ3が受水部2に配置された状態において何も検知していないときに得られる一定の電圧値)、あるいは、電波センサ3から得られる検知信号からフィルタなどにより直流電圧を除去し、制御部5において印加するバイアス電圧(たとえば、最小0V、最大5Vの回路構成において印加する中心の電圧2.5Vなど)のことを指す。
【0027】
以上のように、被検知体が電波ビームの放射方向に対して略平行な方向に動く場合、電波センサ3からは、被検知体の実際の周波数と同等の周波数(周期)で基準値を中心にして上下側に大きく複数回振幅する検知信号が得られる。
【0028】
次に、電波ビームの放射方向に対して略直交な方向に動く被検知体(受水部の壁面に付着し、受水部2内の下部に向かって伝う水)によって得られる検知信号について説明する。
図7は、使用者が水栓装置10で洗浄行為を行った後などに受水部2の前側2aに付着した水が電波センサ3の放射方向を横切る場合の一連動作を示したものである。
なお、このとき、電波センサ3は前記受水部2の前方2aの壁面近傍に配置される。
なお、本明細書において壁面近傍とは、電波センサ3と壁面内側までの距離が5〜20mm程度を指す。
さらに、電波センサ3から放射される電波ビームが放射される方向と、電波センサ3が配置された受水部2の壁面が略直交になるように電波センサ3を配置することにより、被検知体が直交する動きを精度よく検知することができ、略平行動作との違いを明確に識別することができる。
このとき、まず、受水部2の前側2aに付着した水は、電波センサ3の上方で電波センサ3の電波ビームに当たり始める(図7(a))。続いて、受水部2を伝って下降し、電波ビームの放射方向の正面に来る(図7(b))。その後、電波センサ3の下方に離遠し、電波ビームからはずれる(図7(c))。
【0029】
図8は、被検知体(受水部の壁面に付着し、受水部2内の下部に向かって伝う水など)と到達地点の距離に対する速度または周波数の変化を例示するグラフ図である。
被検知体の動作によって、電波センサ3から得られる周波数は、電波センサ3の電波ビームの放射方向に対して、被検知体が進行する方向によって異なる。
ここで、電波センサ3で得られる検知信号の周波数fdは、被検知体の真の周波数をFとすると、下記の式(2)により表すことができる。

fd=Fcosθ …式(2)

但し、fd:電波センサで得られる被検知体の周波数
F :被検知体の真の周波数
θ :センサと被検知体を結ぶ直線と、被検知体の移動方向がなす角度

ここで、被検知体が電波センサ3に対して、略平行に動く場合にはθが0度程度となるため、cosθは1程度となる。
すなわち、電波センサ3からは被検知体の実際の周波数Fと同等の周波数fdで振幅する検知信号が得られる。
一方、被検知体が電波センサ3に対して略直交に動く場合には、たとえば、図7(a)の状態では、図8における周波数fE(10Hz程度)が得られる(E地点)。その後、受水部2を伝う水が電波ビームの放射方向に接近するにつれてθが大きくなるため、周波数fdは徐々に小さくなる。次に、図7(b)の状態では、θが90度程度(cosθは0程度)となるため、瞬間的に0Hzとなる(F地点)。その後、受水部2を伝う水が電波ビームの放射方向から離遠するにつれてθが小さくなるため、周波数fdは徐々に大きくなる。図7(c)の状態では、図8における周波数fG(10Hz程度)が得られる(G地点)。
【0030】
ここで、図9は、図7や図8の受水部2を伝う水の一連動作において、電波センサ3の検知信号から直流成分が含まれるフィルタを通過させた検知信号の時間と電圧値の変化を例示するグラフ図である。
前述したように、直流成分が含まれるフィルタにより、吐水させるための被検知体の略静止状態を精度よく検知することができる。
ここで、フィルタの周波数帯域は0〜10Hzとしている。
このとき、電波センサ3の上方で被検知体が電波ビームに当たり始める(図8のE地点)とき、10Hz前後の微小な電圧値が得られる。その後、電波センサ3に接近するため周波数fdは徐々に小さくなりながら、電圧値が増加し始める(H地点)。そして、電波センサ3の正面に来て(F地点)、0Hzになったときに最も大きな振幅が得られる。その後、被検知体は電波センサ3から離遠していくため、周波数fdは徐々に大きくなりながら、電圧値が減少する(J地点)。そして、被検知体が電波ビームからはずれるまで(G地点)、10Hz前後の微小な電圧値となる。
したがって、直流成分が含まれるフィルタを通過させた検知信号は、基準値を中心として、片方側だけに大きく振幅する波形となる。
【0031】
制御部5における直流成分を含むフィルタを用いた場合の制御フローを説明する。
図10は、図6と同様に、吐水させる被検知体の動作(電波センサ3に対して略平行となる動作)によって、電波センサ3から得られる検知信号を時間と電圧値で表したグラフ図である。
また、図11は、図9と同様に、受水部2を伝う水の動作(電波センサ3に対して略直交となる動作)によって、電波センサ3から得られる検知信号を時間と電圧値で表したグラフ図である。
ここで、制御部5には、基準値よりも大きい電圧値の閾値VDC1と基準値よりも小さい閾値VDC2が設定されている。閾値VDC1及びVDC2は受水部2を伝う水によって得られる検知信号が急激に増加する前や減少した後(図11におけるH地点より前やJ地点より後)で得られる振幅では越えない値に設定される。
図12は、制御部5の判定部230における判定の手順を例示するためのフローチャートである。
まず、所定の周波数(0〜10Hz)の信号の有無が判定される(S1)。
次に、電圧値VsがVs>VDC1(または、Vs<VDC2)であるかが判定される(S2)。
S2の条件が満たされたら、タイマT1(0.5s)がスタートする(S3)。
次に、タイマT1(0.5s)が経過していないかが判定される(S4)。
タイマT1が経過する前であれば、電圧値VsがVs<VDC2(または、Vs>VDC1)であるかが判定される(S5)。
S4において、タイマT1が経過している場合には、吐水させる動作ではない(受水部2を伝う水の動作である)と判定し、バルブの開動作の判定を行わない。
S5の条件が満たされた場合には、吐水させる動作であると判定し、バルブの開動作の判定を行い(S6)、制御部5はバルブ部4を開し、吐水部1からの吐水が開始される。
電波センサ3の検知信号から直流成分が含まれるフィルタを通過させた検知信号を用いる場合、上記した制御フローにより、吐水させる被検知体の動作と、受水部2を伝う水の識別ができ、受水部2を伝う水で誤検知することなく、略静止する動作を検知して吐水させることによって、被検知体が到達地点に到達(停止)する直前に最適なタイミングで吐水を開始できる。
【0032】
次に、図13は、図7や図8の受水部2を伝う水の一連動作において、電波センサ3の検知信号から直流成分が含まれないフィルタを通過させた検知信号の時間と電圧値の変化を例示するグラフ図である。
前述したように、直流成分が含まれないフィルタにより、吐水させるための被検知体の減速を精度よく検知することができる。
ここで、フィルタの周波数帯域は高い側の周波数帯域を20〜30Hz、低い側の周波数帯域を10〜20Hzとしている。高い側と低い側どちらのフィルタにおいても、図13のような振幅変化が見られる。以下、図8から詳細に説明する。
図8のセンサの上方で被検知体が電波ビームに当たり始める(E地点)とき、10Hz前後の微小な電圧値が得られる。その後、電波センサ3に接近するため周波数fdは徐々に小さくなりながら、電圧値が増加し始める(H地点)。そして、電波センサ3の正面に来て(F地点)、0Hzになったときは、周波数帯域外であるため、検知信号が得られず電圧値は0となる。したがって、その直前に電圧値は減少し始める(K地点)。電波センサ3の正面を通過した後、受水部2を伝う水は電波ビームの放射方向から離遠していくため電圧値はそのまま減少する。
その後、電波センサ3から離遠するため周波数fdは徐々に大きくなりながら、電圧値は基準値近傍に戻る(J地点)。したがって、その直前に電圧値は増加し始める(L地点)。そして、電波ビームからはずれるまで(G地点)、10Hz前後の微小な電圧値となる。
したがって、直流成分が含まれないフィルタを通過させた検知信号は、基準値を中心として、上下側に1回ずつ大きく振幅する波形となる。
【0033】
制御部5における直流成分が含まれないフィルタを用いた場合の制御フローを説明する。
図14は、図13と同様に、受水部2を伝う水の動作によって、電波センサ3から得られる検知信号を時間と電圧値で表したグラフ図である。
ここで、制御部5には、基準値よりも大きい電圧値の閾値VDC1と基準値よりも小さい閾値VDC2が設定されている。閾値VDC1及びVDC2は受水部2を伝う水によって得られる検知信号が急激に増加する前や減少した後(図11におけるH地点より前やJ地点より後)で得られる振幅では越えない値に設定される。
図15は、制御部5の判定部230における判定の手順を例示するためのフローチャートである。ここで、図15においては、減速において最終的に吐水を判断する低い側の周波数帯域を10〜20Hzにおけるフローチャートの一例を示す。
まず、所定の周波数(10〜20Hz)の信号の有無が判定される(S11)。
次に、電圧値VsがVs>VDC1(または、Vs<VDC2)であるかが判定される(S12)。
S12の条件が満たされたら、タイマT1(0.5s)がスタートする(S13)。
次に、タイマT1(0.5s)が経過していないかが判定される(S14)。
タイマT1が経過する前であれば、電圧値VsがVs<VDC2(または、Vs>VDC1)であるかが判定される(S15)。
S14において、タイマT1が経過している場合には、吐水させる動作ではない(受水部2を伝う水の動作である)と判定し、バルブの開動作の判定を行わない。
S15の条件が満たされたら、タイマT2(0.5s)がスタートする(S16)。
次に、タイマT2(0.5s)が経過していないかが判定される(S17)。
タイマT2が経過する前であれば、電圧値VsがVs<VDC2(または、Vs>VDC1)であるかが判定される(S18)。
S17において、タイマT2が経過している場合には、吐水させる動作ではない(受水部2を伝う水の動作である)と判定し、バルブの開動作の判定を行わない。
S18の条件が満たされた場合には、吐水させる動作であると判定し、バルブの開動作の判定を行い(S19)、制御部5はバルブ部4を開し、吐水部1からの吐水が開始される。
電波センサ3の検知信号から直流成分が含まれない周波数成分のみを通過させるフィルタを通過させた検知信号を用いる場合、上記した制御フローにより、吐水させる被検知体の動作と、受水部2を伝う水の識別ができ、受水部2を伝う水で誤検知することなく、減速する動作を検知して吐水させることによって、被検知体が到達地点に到達(停止)する直前に最適なタイミングで吐水を開始できる。
【0034】
以上のことから、電波センサ3から得られる検知信号から、直流成分が含まれる場合と、直流成分が含まれない場合、どちらにおいても、電波センサに略平行に動く吐水させる被検知体の動作と、電波センサに略直交に動く受水部2を伝う水の動作の違いから、それぞれに応じた制御フローで識別でき、受水部2を伝う水で誤検知することなく、吐水させる被検知体の動作において最適な早いタイミングで吐水を開始できる。
【0035】
また、上述した水栓装置10においては、到達地点を吐水口100近傍としたが、電波センサ3の正面近傍を到達地点として、電波センサ3の正面近傍に被検知体を接近させることで吐水を開始するようにしてもよい。
これにより、電波センサ3を非接触スイッチのようにして吐水を開始させることができる。
このとき、電波センサ3が受水部2の前側2aに設置されている場合には、使用者が楽な姿勢で電波センサ3近傍に手をかざすことで吐水を開始させることができる。さらには吐水部1より吐出された吐水流に対して被検知体を差し出せばよいので、吐水口100から吐出される吐水流が真下方向ではなく、受水部2の中心方向に向かって吐水流が吐出されるように設置される場合などには、まず、手をかざして吐水を開始させた後に、吐出された吐水流に対して被検知体を差し出せばよいので、被検知体を吐水口100近傍まで差出すことが困難である車イスの方などでも楽な姿勢で水栓装置10を使用することができる。
電波センサ3近傍に被検知体を接近させて吐水を開始させる場合においても、吐水させる動作は電波センサ3に対して略平行に動く動作となるため、制御部5には用いる検知信号に応じた制御フローを設定しておくことにより、受水部2を伝う水で誤検知することなく、吐水させる被検知体の動作において最適な早いタイミングで吐水を開始できる。
【0036】
また、図16に本発明の水栓装置10をキッチン水栓装置30で構成した第2の実施例の概観図を示す。
キッチン水栓装置30は、吐水口101から吐水流を吐出するための吐水部21と、吐水部21から吐出される吐水流を受ける受水部22と、受水部22の内部に使用者の手や包丁やまな板などの調理器具や食材などの被検知体が進入してきたことを検知する電波センサ23と吐水部21からの吐止水を切り替えるバルブ部24と、電波センサ23からの検知信号に基づき、バルブ部24の開閉を制御する制御部25とで構成されている。また、受水部22に隣接するように料理作業台31が備えられている。
ここで、電波センサ23は受水部22の吐水部1が配置される面や使用者が接近する面以外の側面近傍且つ料理作業台31の下方側に隠蔽された状態で設置されている。電波ビームは吐水口101近傍に向かって放射される。
【0037】
ここで、吐水させるために、料理作業台31側から吐水口101近傍へ被検知体(手や包丁など)を差し出して吐水させる場合や、料理作業台31や受水部22の前側から電波センサ3に対して被検知体をかざして吐水させる場合においても、電波センサ3から放射される電波ビームの放射方向に対して略平行となる。
一方、手や食器類や食材などを洗った後に、受水部2の壁面に飛散し、センサが配置された受水部2の壁面を伝う水の動きは、電波センサ3から放射される電波ビームの放射方向に対して略直交となる。
よって、第1実施例と同様に、電波センサ3から得られる検知信号から、直流成分が含まれる場合と、直流成分が含まれない場合、どちらにおいても、電波センサに略平行に動く吐水させる被検知体の動作と、電波センサに略直交に動く受水部2を伝う水の動作の違いから、それぞれに応じた制御フローで識別でき、受水部2を伝う水で誤検知することなく、吐水させる被検知体の動作において吐水を開始できる。このとき、前述した被検知体の減速動作や略静止を検知して吐水させることによって、被検知体が到達地点に到達(停止)する前に最適なタイミングで吐水を開始できる。
以上のように、電波センサ23を受水部22の側面の下方側に設置したキッチン水栓装置30のような構成でも、第1実施例のように前側に設置した水栓装置10の場合と同様に、
受水部2を伝う水で誤検知することなく、吐水させる被検知体の動作において吐水を開始できる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定
されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備
えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、水栓装置10やキッチン水栓装置30などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、フィルタの数、周波数帯域、接続形態なども例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、バルブ制御部240には、分別された検知信号に基づいて吐水部からの吐水の可否を判定する部分と、バルブ部4や24の開閉を制御する部分とが一体に設けられていてもよいし、両部分が別々に設けられていてもよい。例えば、1個のCPUで吐水の可否の判定とバルブ部4や24の開閉制御を行ってもよいし、複数のCPUを設けて吐水の可否の判定とバルブ部4や24の開閉制御を別のCPUで行ってもよい。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】水栓装置の第1の実施例の概観図である。
【図2】電波センサを例示するためのブロック図である。
【図3】制御部を例示するためのブロック図である。
【図4】水栓装置の使用者が吐水させるために被検知体を到達地点に停止させようとするときの一連動作を示した図である。
【図5】被検知体と到達地点の距離に対する速度または周波数の変化を例示するグラフ図である。
【図6】被検知体の一連動作において、時間と電波センサから得られる検知信号の電圧値の変化を例示するグラフ図である。
【図7】使用者が水栓装置で洗浄行為を行った後などに受水部2の前側に付着した水が電波センサの放射方向を横切る場合の一連動作を示したものである。
【図8】被検知体(受水部の壁面に付着し、受水部内の下部に向かって伝う水など)と到達地点の距離に対する速度または周波数の変化を例示するグラフ図である。
【図9】受水部を伝う水の一連動作において、電波センサの検知信号から直流成分が含まれるフィルタを通過させた検知信号の時間と電圧値の変化を例示するグラフ図である。
【図10】吐水させる被検知体の動作(電波センサに対して略平行となる動作)によって、電波センサから得られる検知信号を時間と電圧値で表したグラフ図である。
【図11】受水部を伝う水の動作(電波センサに対して略直交となる動作)によって、電波センサから得られる検知信号を時間と電圧値で表したグラフ図である。
【図12】制御部の判定部における判定の手順を例示するためのフローチャートである。
【図13】受水部を伝う水の一連動作において、電波センサの検知信号から直流成分が含まれないフィルタを通過させた検知信号の時間と電圧値の変化を例示するグラフ図である。
【図14】受水部を伝う水の動作によって、電波センサから得られる検知信号を時間と電圧値で表したグラフ図である。
【図15】制御部の判定部における判定の手順を例示するためのフローチャートである。
【図16】本発明の水栓装置をキッチン水栓装置で構成した第2の実施例の概観図である。
【符号の説明】
【0040】
1 21 吐水部
2 22 受水部
3 23 電波センサ
4 24 バルブ部
5 25 制御部
10 水栓装置
30 キッチン水栓装置
31 料理作業台
100 101 吐水口
112 アンテナ
114 送信部
116 受信部
118 ミキサ部
210 フィルタ部
230 判定部
240 バルブ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水口から吐水流を吐出する吐水部と、
前記吐水部からの吐水、止水を切替えるバルブ部と、
前記吐水口から吐出される吐水流を受水する受水部と、
放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、
前記センサ部からの検知信号に基づいて前記バルブ部の開閉を制御する制御部と、
を備え、
前記センサ部は前記受水部の壁面近傍に配置され、
前記制御部は、
前記検知信号の電圧値が、検知信号の振幅の略中心値である基準値よりも高い第1の閾値以上になった後、
第1の所定時間内に前記基準値よりも低い第2の閾値以下となったことを検知したら、
前記バルブ部を開動作させる
ことを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
吐水口から吐水流を吐出する吐水部と、
前記吐水部からの吐水、止水を切替えるバルブ部と、
前記吐水口から吐出される吐水流を受水する受水部と、
放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、
前記センサ部からの検知信号に基づいて前記バルブ部の開閉を制御する制御部と、
を備え、
前記センサ部は前記受水部の壁面近傍に配置され、
前記制御部は、
前記検知信号の電圧値が検知信号の振幅の中心値である基準値よりも低い第2の閾値以下
になった後、
第1の所定時間内に前記基準値よりも高い第1の閾値以上となったことを検知したら、
前記バルブ部を開動作させる
ことを特徴とする水栓装置。
【請求項3】
吐水口から吐水流を吐出する吐水部と、
前記吐水部からの吐水、止水を切替えるバルブ部と、
前記吐水口から吐出される吐水流を受水する受水部と、
放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、
前記センサ部からの検知信号に基づいて前記バルブ部の開閉を制御する制御部と、
を備え、
前記センサ部は前記受水部の壁面近傍に配置され、
前記制御部は、
前記センサ部の検知信号から、交流成分のみを通過させるフィルタ部を備え、
前記フィルタ部を通過した検知信号に基づいて前記バルブ部を開動作させ、
前記検知信号の振幅が前記基準値よりも高い第1の閾値以上になった後、
第1の所定時間内に前記基準値よりも低い第2の閾値以下となり、
さらに、第2の所定時間内に前記基準値よりも高い第1の閾値以上になったことを検知したら、
前記バルブ部を開動作させる
ことを特徴とする水栓装置。
【請求項4】
吐水口から吐水流を吐出する吐水部と、
前記吐水部からの吐水、止水を切替えるバルブ部と、
前記吐水口から吐出される吐水流を受水する受水部と、
放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するセンサ部と、
前記センサ部からの検知信号に基づいて前記バルブ部の開閉を制御する制御部と、
を備え、
前記センサ部は前記受水部の壁面近傍に配置され、
前記制御部は、
前記センサ部の検知信号から、交流成分のみを通過させるフィルタ部を備え、
前記フィルタ部を通過した検知信号に基づいて前記バルブ部を開動作させ、
前記検知信号の振幅が前記基準値よりも低い第2の閾値以下になった後、
第1の所定時間内に前記基準値よりも高い第1の閾値以上となり、
さらに、第2の所定時間内に前記基準値よりも低い第2の閾値以下になったことを検知したら、
前記バルブ部を開動作させる
ことを特徴とする水栓装置。
【請求項5】
前記センサ部は、
電波が放射される方向と、センサ部が配置された受水部壁面が、略直交になるように前記受水部に配置される
ことを特徴とする請求項1乃至4のいづれか1項に記載の水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−163743(P2010−163743A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4274(P2009−4274)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】