説明

水栓装置

【課題】操作機構と本体機構とを個々別々に設けることが可能な水栓装置を提供する。
【解決手段】水栓装置1は、給水管112及び給湯管113が接続され、自身の内部において水及び湯を混合可能であるとともに、混合水を流出可能な本体機構2と、自身の変位により本体機構2を動作させることで、混合水の流量及び温度を調節可能な操作部32を有する操作機構3とを具備する。本体機構2は、洗面化粧台100に対して相対変位可能な駆動部22を備え、操作部32及び駆動部22間を接続し、操作部32の変位を駆動部22に伝達する伝達部4が設けられる。伝達部4の動作により駆動部22を変位させることで、混合水の流量及び温度が調節される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体等に設けられる水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水栓装置は、槽体(例えば、洗面化粧台等)に設けられており、操作部(例えば、操作レバーなど)を変位させることで、吐水部から吐水される水の流量や温度を調節できるものである。
【0003】
また、従前のシングルレバー式の水栓装置は、操作部を有する操作機構と、操作部の変位により、水、湯、又は、これらの混合水(以下、これらを「混合水」と称す)の流量及び温度を調節する本体機構とが一体化されている(例えば、特許文献1等参照)。また、当該特許文献1等のように、本体機構と吐水部とが分離されている場合には、本体機構と吐水部とを接続する流出管を通って、前記混合水が本体機構から吐水部へと至るように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−65762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、利用者の利便性を考慮すると、操作部を利用者の近傍(例えば、槽体の手前側)に配置することが好ましい。しかしながら、本体機構と操作機構とが一体化された水栓装置は、比較的大型であり、このような水栓装置を槽体の手前側に配置すると、水栓装置が、槽体の裏面から大きく突出することとなってしまう。また、内部にスペースを有する槽体であっても、槽体の手前側は一般に内部スペースが小さいため、結局のところ、水栓装置が槽体の裏面から突出することとなってしまう。従って、槽体の裏面から突出する突出部(水栓装置)の存在により、外観品質の低下を招いてしまうとともに、車椅子の利用者等が槽体に対して十分に接近できないといった事態が生じてしまうおそれがある。
【0006】
また、操作部を槽体の手前側に配置した場合には、操作機構と一体化された本体機構も槽体の手前側に配置されることとなる。従って、一般に槽体の奥側に配置される吐水部と本体機構とが離れることとなり、両者間に混合水の流れる流出管を設けるとともに、流出管を比較的長くする必要が生じる。しかしながら、流出管を設け、かつ、これを長くしてしまうと、混合水の設定温度を変更してから比較的長時間に亘って、流出管の内部に存在する、変更前の設定温度における混合水が吐水されてしまうおそれがある。すなわち、温度調節レスポンスが悪化してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、操作機構と本体機構とを個々別々に設けることができ、上記不具合の改善を図ることができる水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.給水管及び給湯管が接続され、自身の内部において前記給水管を通る水及び前記給湯管を通る湯を混合可能であるとともに、混合水を流出可能な本体機構と、
所定の取付基体に対して相対変位可能であるとともに、自身の変位により前記本体機構を動作させることで、前記混合水の流量及び温度を調節可能な操作部を有する操作機構とを具備する水栓装置であって、
前記本体機構は、前記取付基体に対して相対変位可能な駆動部を備え、
前記操作部及び前記駆動部間を接続し、前記操作部の変位を前記駆動部に伝達する伝達部を有し、当該伝達部の動作により前記駆動部を変位させることで、前記混合水の流量及び温度が調節されることを特徴とする水栓装置。
【0010】
尚、「取付基体」とあるのは、水栓装置が取付けられる対象をいい、例えば、洗面化粧台や浴槽等の槽体、槽体の近傍に設けられる構造物などを挙げることができる。
【0011】
上記手段1によれば、操作部の変位を本体機構(駆動部)に伝達する伝達部が設けられている。そのため、操作機構と本体機構とをそれぞれ個々別々に設けることができ、操作機構や本体機構の配置位置に関する自由度を向上させることができる。
【0012】
そして、これら作用効果が発揮される上記手段1によれば、槽体の手前側等に操作機構のみを配置することができ、槽体の裏面からの水栓装置の突出を抑制することができる。その結果、外観品質の低下等をより確実に防止しつつ、利用者の利便性を向上させることができる。
【0013】
また、上記手段1によれば、槽体の奥側などに本体機構を配置することで、本体機構と吐水部とを接近させたり、両者を一体化させたりすることができる。そのため、混合水の設定温度を変更してからすぐに、変更後の設定温度における混合水を吐水させることができ、良好な温度調節レスポンスを実現することができる。
【0014】
手段2.前記操作部は、
前記取付基体に対して相対回動可能に支持される操作側回動部と、
前記操作側回動部の中心軸に対して傾動可能な操作側アーム部とを備え、
前記駆動部は、
前記取付基体に対して相対回動可能に支持され、自身の回動量が調節されることで前記混合水の温度を調節可能な駆動側回動部と、
前記駆動側回動部の中心軸に対して傾動可能であり、自身の傾動量が調節されることで前記混合水の流量を調節可能な駆動側アーム部とを備え、
前記伝達部は、
前記操作側回動部及び前記駆動側回動部間を接続するとともに、前記操作側回動部の回動動作を前記駆動側回動部に伝達し、前記駆動側回動部を回動させる回動伝達部と、
前記操作側アーム部及び前記駆動側アーム部間を接続するとともに、前記操作側アーム部の傾動動作を前記駆動側アーム部に伝達し、前記駆動側アーム部を傾動させる傾動伝達部とを備えることを特徴とする手段1に記載の水栓装置。
【0015】
上記手段2によれば、回動を伝達する回動伝達部と、傾動を伝達する傾動伝達部とが個別に設けられている。すなわち、混合水の温度調節に関する動作と、混合水の流量調節に関する動作とが別々の伝達部にて本体機構に伝達されるようになっている。従って、混合水の温度や流量をより正確に調節することができる。
【0016】
手段3.前記回動伝達部は、一端側が前記操作側回動部に固定される一方で、他端側が前記駆動側回動部に固定された回動伝達ワイヤーにより構成され、
前記回動伝達ワイヤーは、筒状の回動伝達側チューブ内を押引き可能であり、
前記操作側回動部を一方の方向に回動させ、前記回動伝達側チューブ内において前記回動伝達ワイヤーを押し動作させることで、前記駆動側回動部を一方の方向に回動させ、
前記操作側回動部を他方の方向に回動させ、前記回動伝達側チューブ内において前記回動伝達ワイヤーを引き動作させることで、前記駆動側回動部を他方の方向に回動させることを特徴とする手段2に記載の水栓装置。
【0017】
上記手段3によれば、操作側回動部の回動動作を駆動側回動部に伝達するにあたって、回動伝達側チューブ内を押引き可能な1の回動伝達ワイヤーが用いられる。そのため、水栓装置の簡素化や製造コストの低減を図ることができる。また、ワイヤーを用いることで、回動伝達部の取り回しが容易なものとなる。
【0018】
手段4.前記回動伝達部は、それぞれ前記操作側回動部及び前記駆動側回動部に固定された第1回動伝達ワイヤー及び第2回動伝達ワイヤーにより構成され、
前記第1、第2回動伝達ワイヤーは、筒状の回動伝達側チューブ内を押引き可能であり、
前記操作側回動部を一方の方向に回動させ、前記回動伝達側チューブ内において前記第1回動伝達ワイヤーを引き動作させることで、前記駆動側回動部を一方の方向に回動させ、
前記操作側回動部を他方の方向に回動させ、前記回動伝達側チューブ内において前記第2回動伝達ワイヤーを引き動作させることで、前記駆動側回動部を他方の方向に回動させることを特徴とする手段2に記載の水栓装置。
【0019】
上記手段3のように、ワイヤーの押し動作により操作側回動部の回動動作を駆動側回動部へと伝達するにあたっては、ワイヤーの撓み変形等を防止することが好ましく、撓み変形等を防止するためには、ワイヤーの線径をある程度の大きさ以上とすることが好ましい。しかしながら、ワイヤーの線径を大きくした場合には、ワイヤーやこれが挿通されるチューブの剛性が比較的大きなものとなるため、回動伝達部の曲げ半径を小さくすると、前記剛性の影響によりチューブ及びワイヤー間で生じる摩擦力が大きくなり、チューブ内でワイヤーを移動させるために大きな力が必要となってしまう。その結果、操作部のスムーズな変位が阻害されてしまうおそれがある。一方で、回動伝達部の曲げ半径を大きくすると、チューブ内においてワイヤーをスムーズに移動させることができるものの、回動伝達部の取り回しが難しくなってしまう。
【0020】
また、上記手段3では、操作側回動部を一方の方向に回動させたときにワイヤーは押し動作及び引き動作のうちの一方の動作をし、操作側回動部を他方の方向に回動させたときにワイヤーは押し動作及び引き動作のうちの他方の動作をする。従って、操作側回動部の回動方向によって操作部の操作感が異なるといった事態が生じてしまうおそれがある。
【0021】
この点、上記手段4によれば、ワイヤーの押し動作ではなく、第1、第2回動伝達ワイヤーのそれぞれの引き動作(つまり、ワイヤーに座屈が生じることのない動作)により、操作側回動部の回動動作が駆動側回動部に伝達される。そのため、ワイヤーの線径を大きくする必要はなくなり、第1、第2回動伝達ワイヤーの線径を小さくすることができる。従って、回動伝達部の曲げ半径を小さくしつつ、回動伝達側チューブ内における回動伝達ワイヤーのスムーズな移動を実現することができ、その結果、回動伝達部の取り回しが容易になるとともに、操作部をスムーズに変位させることができる。
【0022】
また、操作側回動部を一方の方向に回動させたときと、操作側回動部を他方の方向に回動させたときとの双方において、ワイヤーの引き動作により操作側回動部の回動動作が駆動側回動部に伝達される。従って、操作部の操作感が、操作側回動部の回動方向によって変化してしまうといった事態をより確実に防止することができる。
【0023】
手段5.前記傾動伝達部は、一端が前記操作側アーム部に固定される一方で、他端が前記駆動側アーム部に固定された傾動伝達ワイヤーにより構成され、
前記傾動伝達ワイヤーは、筒状の傾動伝達側チューブ内を押引き可能であり、
前記操作側アーム部の動作により、前記傾動伝達側チューブ内において前記傾動伝達ワイヤーを押引きすることで前記駆動側アーム部を動作させることを特徴とする手段2乃至4のいずれかに記載の水栓装置。
【0024】
上記手段5によれば、操作側アーム部の傾動動作を駆動側アーム部に伝達するにあたって、傾動伝達側チューブ内を押引き可能な1の傾動伝達ワイヤーを用いるため、水栓装置の簡素化や製造コストの低減を図ることができる。また、ワイヤーを用いることで、傾動伝達部の取り回しが容易なものとなる。
【0025】
手段6.前記傾動伝達部は、それぞれ前記操作側アーム部及び前記駆動側アーム部に固定された第1傾動伝達ワイヤー及び第2傾動伝達ワイヤーにより構成され、
前記第1、第2傾動伝達ワイヤーは、筒状の傾動伝達側チューブ内を押引き可能であり、
前記操作側アーム部の動作により、前記傾動伝達側チューブ内において前記第1傾動伝達ワイヤー又は前記第2傾動伝達ワイヤーを引き動作させることで、前記駆動側アーム部を動作させることを特徴とする手段2乃至4のいずれかに記載の水栓装置。
【0026】
上記手段6によれば、第1、第2傾動伝達ワイヤーの引き動作(つまり、ワイヤーに座屈が生じることのない動作)により、操作側アーム部の傾動が駆動側アーム部に伝達されるため、第1、第2傾動伝達ワイヤーの線径を小さくすることができる。従って、傾動伝達部の曲げ半径を小さくしつつ、傾動伝達側チューブ内における傾動伝達ワイヤーのスムーズな移動を実現することができる。その結果、傾動伝達部の取り回しが容易になるとともに、操作部をスムーズに変位させることができる。
【0027】
また、操作部の操作感が、操作側アーム部の動作方向によって変化してしまうといった事態をより確実に防止することができる。
【0028】
手段7.前記駆動側回動部の回動半径を、前記操作側回動部の回動半径よりも大きくしたことを特徴とする手段2乃至6のいずれかに記載の水栓装置。
【0029】
尚、「駆動側回動部の回動半径」とあるのは、駆動側回動部の回動軸から、駆動側回動部のうち、その回動軸よりも外周側に位置し回動伝達部からの力を受ける部位までの距離をいう。また、「操作側回動部の回動半径」とあるのは、操作側回動部の回動軸から、操作側回動部のうち、その回動軸よりも外周側に位置し、回動伝達部に対して力を加える基点となる部位までの径方向に沿った距離をいう。
【0030】
本体機構と操作機構とが一体とされた従前の水栓装置においては、操作部の変位量に対する本体機構側の駆動部の変位量が1対1の関係にある。そのため、駆動部の変位量(すなわち、混合水の流量や温度)を微調整することが難しい。
【0031】
この点、上記手段7によれば、駆動側回動部の回動半径が、操作側回動部の回動半径よりも大きくされている。従って、操作側回動部を回動させた際に、操作側回動部の回動角度よりも駆動側回動部の回動角度が小さなものとなる。そのため、操作側回動部を大きく回動させて、駆動側回動部の動作を細かく調整することができる。その結果、駆動側回動部の回動量(回動角度)によって調節される混合水の温度を容易に微調整することができる。
【0032】
また、上記手段7によれば、操作側回動部に加える力が小さくても、駆動側回動部を十分に回動させることができる(すなわち、操作部を軽い力で動作させることができる)。従って、操作性の向上を図ることができる。
【0033】
手段8.前記駆動側回動部の回動半径を、前記操作側回動部の回動半径よりも小さくしたことを特徴とする手段2乃至6のいずれかに記載の水栓装置。
【0034】
上述の通り、本体機構と操作機構とが一体とされた水栓装置は、操作部の変位量に対する本体機構側の駆動部の変位量が1対1の関係にある。そのため、駆動部を所定量変位させるにあたって、操作部を比較的大きく変位させなくてはならない場合がある。この場合には、操作機構を配置可能な位置が、操作部の周囲にその変位範囲に対応する十分なスペースを確保可能な位置に限られてしまうこととなる。
【0035】
この点、上記手段8によれば、駆動側回動部の回動半径が、操作側回動部の回動半径よりも小さくされており、操作側回動部を回動させた際に、操作側回動部の回動角度よりも駆動側回動部の回動角度が大きなものとなるように構成されている。従って、操作側回動部の回動角度が小さくても、駆動側回動部を大きく回動させることができる。その結果、周囲にさほど大きなスペースを確保できない位置であっても、操作機構を取付けることができ、操作機構の配置位置に関する自由度を一層向上させることができる。
【0036】
手段9.前記駆動側アーム部のうちその傾動軸から前記傾動伝達部が接続される部位までの距離を、前記操作側アーム部のうちその傾動軸から前記傾動伝達部が接続される部位までの距離よりも大きくしたことを特徴とする手段2乃至8のいずれかに記載の水栓装置。
【0037】
上記手段9によれば、操作側アーム部を傾動させた際に、操作側アーム部の傾動量(傾動角度)よりも駆動側アーム部の傾動量(傾動角度)が小さなものとなるため、操作側アーム部を大きく傾動させて、駆動側アーム部の動作を細かく調節することができる。従って、駆動側アーム部の傾動量により調節される混合水の流出量を容易に微調整することができる。
【0038】
また、操作側アーム部に加える力が比較的小さくても、駆動側アーム部を十分に傾動させることができるため、操作性の向上を図ることができる。
【0039】
手段10.前記駆動側アーム部のうちその傾動軸から前記傾動伝達部が接続される部位までの距離を、前記操作側アーム部のうちその傾動軸から前記傾動伝達部が接続される部位までの距離よりも小さくしたことを特徴とする手段2乃至8のいずれかに記載の水栓装置。
【0040】
上記手段10によれば、操作側アーム部を傾動させた際に、操作側アーム部の傾動量(傾動角度)よりも駆動側アーム部の傾動量(傾動角度)が大きなものとなる。従って、操作側アーム部の傾動量が小さくても、駆動側アーム部を大きく傾動させることができる。その結果、周囲にさほど大きなスペースを確保できない位置であっても、操作機構を取付けることができ、操作機構の配置位置に関する自由度をより向上させることができる。
【0041】
手段11.前記取付基体は、前記混合水を貯水可能な貯水部を備えてなる槽体であり、
前記槽体の奥側には、前記混合水を吐水する吐水部が設けられており、
前記本体機構は、前記槽体の奥側に設けられ、前記操作機構は、前記槽体の手前側に設けられることを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の水栓装置。
【0042】
上記手段11によれば、槽体の手前側に操作機構が設けられているため、利用者の利便性を向上させることができる。
【0043】
さらに、上記手段11によれば、本体機構及び吐水部がともに槽体の奥側に設けられ、両者が接近した状態とされている。従って、混合水の設定温度を変更してからすぐに、変更後の設定温度における混合水を吐水させることができ、良好な温度調節レスポンスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】洗面化粧台に設けられた水栓装置等を示す斜視図である。
【図2】本体機構の構成を示す一部破断斜視図である。
【図3】本体機構の構成を示す斜視図である。
【図4】駆動側回動部に対する第1、第2回動伝達ワイヤーの取付状態を示す拡大底面模式図である。
【図5】操作機構の構成を示す一部破断正面図である。
【図6】操作機構の構成を示す斜視図である。
【図7】操作側回動部に対する第1、第2回動伝達ワイヤーの取付状態を示す拡大底面模式図である。
【図8】別の実施形態における回動伝達部及び傾動伝達部を示す本体機構の斜視図である。
【図9】別の実施形態における回動伝達部及び傾動伝達部を示す操作機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、水栓装置1は、取付基体としての洗面化粧台100に取付けられており、本体機構2と、操作機構3とを備えている。
【0046】
まず、水栓装置1の説明に先立って、洗面化粧台100について説明する。
【0047】
洗面化粧台100は、これに隣接する壁面(図示せず)に固定されており、凹状をなし貯水可能な貯水部101と、当該貯水部101の上端部から外周側に延びる平板状の平板部102とを備えている。また、貯水部101の下側には、足などを入れることができる下方空間103が形成されている。
【0048】
さらに、平板部102のうち、洗面化粧台100の奥側(洗面化粧台100と隣接する壁面側)に位置する部位には、貯水部101側に向けて開口する吐水口(図示せず)を有してなる吐水部104が設けられている。吐水部104には、本体機構2から流出する混合水が流れる流出管111が接続されており、前記吐水口から混合水が吐水されるようになっている。
【0049】
次いで、水栓装置1について説明する。
【0050】
本体機構2は、洗面化粧台100の奥側(吐水部104の近傍)において、所定の本体機構保持部材106により洗面化粧台100に固定されており、図2及び図3に示すように、本体部21と、駆動部22とを備えている。
【0051】
本体部21は、有底円筒状をなし、自身の底面部に、給水孔、給湯孔、及び、流出孔(それぞれ図示せず)を備えている。そして、前記給水孔に対して筒状の給水管112が接続され、前記給湯孔に対して筒状の給湯管113が接続され、前記流出孔に対して筒状の流出管111(図2及び図3においては不図示)が接続されている。また、本体部21の内部には、前記給水孔、給湯孔、及び、前記流出孔のそれぞれに連通する混合用空間(図示せず)が設けられるとともに、当該混合用空間内において給水管112を通る水と給湯管113を通る湯とが混合可能となっている。さらに、水及び湯が混合されてなる混合水、給水管112から供給された水、又は、給湯管113から供給された湯(以降、これらを便宜上「混合水」と称す)が、流出孔及び流出管111を通って吐水部104に供給されるようになっている。
【0052】
さらに、本体部21の底面部上には、前記給水孔、給湯孔、及び、流出孔に対応する3つの孔を有する板状の可動弁体(図示せず)が配置されている。可動弁体は、本体部21の内部において、回動及びスライド移動可能に構成されている。そして、可動弁体の回動量を調節することで、前記可動弁体に設けられた前記給水孔に対応する孔の前記給水孔に対するオーバーラップ量と、前記可動弁体に設けられた前記給湯孔に対応する孔の前記給湯孔に対するオーバーラップ量とが調節され、前記混合用空間に流入する水量及び湯量が調節される。その結果、混合水の温度調節がなされることとなる。また、可動弁体のスライド移動量を調節することで、前記可動弁体に設けられた前記流出孔に対応する孔の前記流出孔に対するオーバーラップ量が調節され、ひいては流出管111へと流出する混合水の流量(吐水部104からの吐水量)が調節される。尚、前記可動弁体は、駆動部22に対して直接又は間接的に連結されており、駆動部22に連動して回動及びスライド移動をするように構成されている。
【0053】
加えて、本体部21の上方側には、環状をなす駆動側回動チューブ保持部材23が固定されており、当該駆動側回動チューブ保持部材23は、洗面化粧台100に対して相対移動不能となっている。また、駆動側回動チューブ保持部材23の外周部分には、径方向外側に向けて突き出すようにしてチューブ挿設部23Aが設けられている。チューブ挿設部23Aは、筒状をなしており、その内周側に、後述する第1、第2回動伝達側チューブ431,432の他端部が挿入・固定されている。
【0054】
駆動部22は、本体部21の上方側に設けられており、駆動側回動部221と、駆動側アーム部222とを備えている。
【0055】
駆動側回動部221は、環状をなし、前記本体部21に対して相対回動可能な状態で取付けられている(すなわち、駆動側回動部221は、洗面化粧台100に対して相対回動可能に支持されている)。また、駆動側回動部221は、前記可動弁体に連結されており、自身の回動動作に伴い前記可動弁体が回動するようになっている。
【0056】
さらに、駆動側回動部221の外周面には、その周方向に沿って延びる凹状の駆動側溝部221Aが設けられている。そして、図4に示すように、後述する第1回動伝達ワイヤー411の他端側が、駆動側溝部221Aのうち、前記チューブ挿設部23Aと駆動側回動部221の回動軸X1とを通る仮想線VL1よりも一方側(図4中、上側)に巻き付けられた状態で、駆動側回動部221に固定されている。一方で、後述する第2回動伝達ワイヤー412の他端側が、駆動側溝部221Aのうち前記仮想線VL1よりも他方側(図4中、下側)に巻き付けられた状態で、駆動側回動部221に固定されている。
【0057】
本実施形態では、第1、第2回動伝達ワイヤー411,412のそれぞれの他端部が所定の取付用アタッチメント223に挿通・固定されるとともに、当該取付用アタッチメント223が、駆動側回動部221において、駆動側溝部221Aよりも内周側に形成された凹状のアタッチメント取付部221Cに固定されることで、第1、第2回動伝達ワイヤー411,412が駆動側回動部221に固定されている。尚、取付用アタッチメント223に対する第1、第2回動伝達ワイヤー411,412の挿通量を変更することで、本体機構2及び操作機構3間における第1、第2回動伝達ワイヤー411,412の長さを調整できるようになっている。
【0058】
図2に戻り、駆動側アーム部222は、棒状をなすとともに、駆動側回動部221の内周に配置されている。また、駆動側アーム部222は、自身の長手方向に沿った略中心部分に外側に膨出する傾動中心部222Aを備えている(尚、図2においては、駆動側アーム部222のうち傾動中心部222Aよりも下方側の部位を省略している)。
【0059】
加えて、本体部21の内周側には、筒状をなし、自身の内周面に前記傾動中心部222Aに対応する窪み部を有してなる駆動側アーム部支持部材(図示せず)が、本体部21に対して相対回動可能な状態で設けられている。そして、駆動側アーム部支持部材の前記窪み部に対して駆動側アーム部222の傾動中心部222Aが嵌め込まれている。これにより、駆動側アーム部222は、駆動側回動部221の中心軸に対して傾動可能となっている。
【0060】
さらに、駆動側アーム部222の上方部分には、駆動側アーム部222の傾動方向に沿って駆動側アーム部222の中心軸を挟むように、後述する第1傾動伝達ワイヤー421及び第2傾動伝達ワイヤー422のそれぞれの他端部が固定されている。
【0061】
また、図示しない駆動側アーム部222の下方側部位は、本体部21内に配置された前記可動弁体に対して連結されており、駆動側アーム部222の傾動に伴い、可動弁体がスライド移動するようになっている。そして、駆動側アーム部222の傾動量が調節されることで、前記可動弁体のスライド移動量が調節され、ひいては流出管111に流出する混合水の流量が調節されるようになっている。
【0062】
さらに、駆動側回動部221の上方には、駆動側傾動チューブ保持部材24が固定されており、駆動側傾動チューブ保持部材24は、駆動側回動部221とともに回動するように構成されている。加えて、駆動側傾動チューブ保持部材24の外周側には、駆動側アーム部222を挟むようにして、チューブ挿設部24A,24Bが設けられている。チューブ挿設部24A,24Bは、それぞれ筒状をなしており、チューブ挿設部24Aに、後述する第1傾動伝達側チューブ441の他端部が挿入・固定されている。また、チューブ挿設部24Bには、後述する第2傾動伝達側チューブ442の他端部が挿入・固定されている。
【0063】
操作機構3は、図1に示すように、洗面化粧台100の手前側に設けられており、図5及び図6に示すように、操作部保持部材31と、操作部32とを備えている。
【0064】
操作部保持部材31は、平板部102に形成された取付孔105に挿設されており、それぞれ筒状をなすフランジ部材311と、締付部材312と、操作側アーム部支持部材313とを備えている。
【0065】
フランジ部材311は、自身の上端部が径方向外側に突出する鍔状をなすとともに、当該鍔状部位よりも下方側の外周面に雄ねじ部311Aを備えている。また、締付部材312は、自身の内周面に、前記雄ねじ部311Aに螺合可能な雌ねじ部312Aを備えている。そして、前記取付孔105にフランジ部材311を挿入し、当該フランジ部材311の鍔状部位を平板部102に載置した上で、フランジ部材311の雄ねじ部311Aを締付部材312の雌ねじ部312Aに螺合し、フランジ部材311の鍔状部位と締付部材312との間で平板部102を挟むことで、フランジ部材311及び締付部材312が洗面化粧台100に対して相対移動不能な状態で取付けられている。
【0066】
操作側アーム部支持部材313は、円筒状をなし、フランジ部材311の内側に挿設されている。また、操作側アーム部支持部材313の上方側外周面は、径方向外側に膨出しており、当該膨出部位は、フランジ部材311の下端部内周から径方向内側に突出する張出部311B上に載置されている。そして、アーム部支持部材313は、自身の中心軸方向に沿って洗面化粧台100に対して相対移動不能とされる一方で、自身の中心軸を回転軸として洗面化粧台100に対して相対回動可能とされている。尚、操作側アーム部支持部材313の下端側は、後述する操作側回動部321に固定されており、操作側回動部321は、操作側アーム部支持部材313とともに回動するようになっている。
【0067】
加えて、フランジ部材311のうち平板部102よりも上方側に位置する部位の外周には、筒状をなすカバー部材35が設けられており、フランジ部材311の内周側への水の浸入抑制が図られている。
【0068】
さらに、フランジ部材311の下方側には、洗面化粧台100に対して相対移動不能な状態で、操作側回動チューブ保持部材33が固定されている。操作側回動チューブ保持部材33は、その外周部分が円筒状をなしており、前記外周部分には、径方向外側に向けて突き出すようにしてチューブ挿設部33Aが設けられている。チューブ挿設部33Aは、筒状をなしており、その内周側に、後述する第1、第2回動伝達側チューブ431,432の一端部が挿入・固定されている。
【0069】
操作部32は、前記操作部保持部材31により保持されており、操作側回動部321と、操作側アーム部322とを備えている。
【0070】
操作側回動部321は、環状をなし、上述の通り、操作側アーム部支持部材313に固定されることで、洗面化粧台100に対して相対回動可能とされている。また、操作側回動部321の外周面には、その周方向に沿って延びる凹状の操作側溝部321Aが設けられている。そして、図7に示すように、後述する第1回動伝達ワイヤー411の一端側が、操作側溝部321Aのうち、チューブ挿設部33Aと操作側回動部321の回動軸X2とを通る仮想線VL2よりも一方側(図7中、上側)に巻き付けられた状態で、操作側回動部321に固定されている。一方で、後述する第2回動伝達ワイヤー412の一端側は、操作側溝部321Aのうち前記仮想線VL2よりも他方側(図7中、下側)に巻き付けられた状態で、操作側回動部321に固定されている。
【0071】
本実施形態において、第1、第2回動伝達ワイヤー411,412のそれぞれの一端部は、他端部と同様に、所定の取付用アタッチメント323に挿通・固定されるとともに、当該取付用アタッチメント323が、操作側回動部321において、操作側溝部321Aよりも内周側に形成された凹状のアタッチメント取付部321Cに固定されることで、操作側回動部321に固定されている。尚、取付用アタッチメント323に対する第1、第2回動伝達ワイヤー411,412の挿通量を変更することで、本体機構2及び操作機構3間における第1、第2回動伝達ワイヤー411,412の長さを調整できるようになっている。
【0072】
図5に戻り、操作側アーム部322は、棒状をなすとともに、自身の長手方向に沿った略中心部分に外側に膨出する傾動中心部322Aを備えている。傾動中心部322Aは、操作側アーム部322の中心軸を含む断面において、その外形線が湾曲状に形成されており、操作側アーム部支持部材313の内周に設けられた窪み部313Aに対して嵌め込まれている。これにより、操作側アーム部322は、操作側アーム部支持部材313の中心軸ひいては操作側アーム部支持部材313に固定される操作側回動部321の中心軸に対して傾動可能となっている。尚、操作側アーム部支持部材313の内周面のうち、前記窪み部313Aよりも上方側及び下方側には、傾斜部313B,313Cが設けられており、操作側アーム部322の傾動可能範囲は、両傾斜部313B,313Cの傾斜角に応じたものとなっている。
【0073】
さらに、操作側アーム部322の下方部位には、操作側アーム部322の傾動方向に沿って操作側アーム部222の中心軸を挟むようにして、後述する第1傾動伝達ワイヤー421及び第2傾動伝達ワイヤー422のそれぞれの一端部が固定されている。そして、操作側アーム部322の傾動に伴い、第1傾動伝達ワイヤー421が引き動作し、操作側アーム部322の戻り移動に伴い、第2傾動伝達ワイヤー422が引き動作するようになっている。
【0074】
また、操作側回動部321の下方には、操作側傾動チューブ保持部材34が取付けられており、操作側駆動チューブ保持部材34は、操作側回動部321とともに回動するように構成されている。加えて、操作側傾動チューブ保持部材34の外周側には、操作側アーム部322を挟むようにして、チューブ挿設部34A,34Bが設けられている。チューブ挿設部34A,34Bは、それぞれ筒状をなしており、チューブ挿設部34Aに、後述する第1傾動伝達側チューブ441の一端部が挿入・固定され、チューブ挿設部34Bに、後述する第2傾動伝達側チューブ442の一端部が挿入・固定されている。
【0075】
加えて、操作側アーム部322の上端部には、操作レバー36が取付けられている。そして、操作レバー36を回動させることで操作側回動部321を回動させることができ、操作レバー36を傾けることで、操作側アーム部322を傾動させることができるようになっている。
【0076】
加えて、駆動部22及び操作部32間は、伝達部4により接続されており、伝達部4により、操作部32の変位が駆動部22に伝達されている。
【0077】
具体的には、伝達部4は、図3及び図6に示すように、駆動側回動部221及び操作側回動部321間を接続する回動伝達部41と、駆動側アーム部222及び操作側アーム部322間を接続する傾動伝達部42とを備えている。
【0078】
回動伝達部41は、それぞれ所定の金属からなる第1回動伝達ワイヤー411と、第2回動伝達ワイヤー412とにより構成されている。また、上述の通り、第1、第2回動伝達ワイヤー411,412の一端側は操作側回動部321に固定され、第1、第2回動伝達ワイヤー411,412の他端側は駆動側回動部221に固定されている。
【0079】
加えて、第1回動伝達ワイヤー411は、所定の樹脂等からなる筒状の第1回動伝達側チューブ431に挿通されており、第1回動伝達側チューブ431内において押引き動作可能とされている。また、第2回動伝達ワイヤー412は、所定の樹脂等からなる筒状の第2回動伝達側チューブ432に挿通されており、第2回動伝達側チューブ432内において押引き動作可能とされている。
【0080】
そして、操作レバー36の操作に伴い、操作側回動部321を一方の方向に回動させることで、第1回動伝達側チューブ431内において第1回動伝達ワイヤー411が引き動作し、駆動側回動部221ひいてはこれに連結された可動弁体が一方の方向に回動するようになっている。一方で、操作レバー36の操作に伴い、操作側回動部321を他方の方向に回動させた場合には、第2回動伝達側チューブ432内において第2回動伝達ワイヤー412が引き動作し、駆動側回動部221及び可動弁体が他方の方向に回動する。つまり、本実施形態では、両回動伝達ワイヤー411,412のそれぞれの引き動作により、駆動側回動部221及び可動弁体が回動するように構成されている。
【0081】
前記傾動伝達部42は、それぞれ所定の金属からなる第1傾動伝達ワイヤー421と、第2傾動伝達ワイヤー422とにより構成されている。また、上述の通り、第1、第2傾動伝達ワイヤー421,422の一端側は操作側アーム部322に固定され、第1、第2傾動伝達ワイヤー421,422の他端側は駆動側アーム部222に固定されている。
【0082】
加えて、第1傾動伝達ワイヤー421は、所定の樹脂等からなる筒状の第1傾動伝達側チューブ441に挿通されており、第1傾動伝達側チューブ441内において押引き動作可能とされている。一方で、第2傾動伝達ワイヤー422は、所定の樹脂等からなる筒状の第2傾動伝達側チューブ442に挿通されており、第2傾動伝達側チューブ442内において押引き動作可能とされている。
【0083】
そして、操作レバー36の操作に伴い、操作側アーム部322が傾動した際には、第1傾動伝達側チューブ441内において第1傾動伝達ワイヤー421が引き動作し、駆動側アーム部222が傾動する。一方で、操作レバー36の操作に伴い、操作側アーム部322を傾動状態から戻り移動させた場合には、第2傾動伝達側チューブ442内において第2傾動伝達ワイヤー422が引き動作し、駆動側アーム部222が戻り移動する。つまり、本実施形態では、両傾動伝達ワイヤー421,422のそれぞれの引き動作により駆動側アーム部222が動作し、その結果、前記可動弁体がスライド移動するように構成されている。
【0084】
尚、本実施形態では、上述の通り、前記チューブ431,432,441,442内における前記ワイヤー411,412,421,422の引き動作により駆動部22が動作し、チューブ431,432,441,442内におけるワイヤー411,412,421,422の押し動作は、駆動部22を動作させる上で特段機能していない。従って、押し動作により駆動部22を動作させる場合には、力をより確実に伝達するために、ワイヤーの線径を比較的大きくする必要があるが、本実施形態では、その必要はなく、ワイヤー411,412,421,422の線径が比較的小さなもの(例えば、0.3mm以上0.8mm以下)とされている。
【0085】
加えて、本実施形態では、図4及び図7に示すように、駆動側回動部221の回動半径D1が、操作側回動部321の回動半径D2とほぼ等しくなるように構成されている。
【0086】
尚、「回動半径D1」とあるのは、図4に示すように、駆動側回動部221の回動軸X1から、駆動側回動部221のうち、その回動軸X1よりも外周側に位置し回動伝達部41(第1、第2回動伝達ワイヤー411,412)からの力を受ける部位までの距離をいい、本実施形態では、駆動側回動部221に対するワイヤー411,412の巻径に相当する。
【0087】
また、「回動半径D2」とあるのは、図7に示すように、操作側回動部321の回動軸X2から、操作側回動部321のうち、その回動軸X2よりも外周側に位置し回動伝達部41(第1、第2回動伝達ワイヤー411,412)に対して力を加える基点となる部位までの距離をいい、本実施形態では、操作側側回動部321に対するワイヤー411,412の巻径に相当する。
【0088】
さらに、本実施形態では、図2及び図5に示すように、駆動側アーム部222のうちその傾動軸Y1から傾動伝達部42(第1、第2傾動伝達ワイヤー421,422)が接続される部位までの駆動側アーム部222の中心軸に沿った距離と、操作側アーム部322のうちその傾動軸Y2から傾動伝達部42が接続される部位までの操作側アーム部322の中心軸に沿った距離とがほぼ等しくなるように構成されている。
【0089】
尚、本実施形態においては、前記傾動軸Y1から駆動側アーム部222のうち第1傾動伝達ワイヤー421が接続される部位までの距離と、傾動軸Y1から駆動側アーム部222のうち第2傾動伝達ワイヤー422が接続される部位までの距離とが等しくされている。また、前記傾動軸Y2から操作側アーム部322のうち第1傾動伝達ワイヤー421が接続される部位までの距離と、傾動軸Y2から操作側アーム部322のうち第2傾動伝達ワイヤー422が接続される部位までの距離とが等しくされている。
【0090】
以上詳述したように、本実施形態によれば、操作部32の変位を本体機構2(駆動部22)に伝達する伝達部4が設けられている。そのため、操作機構3と本体機構2とをそれぞれ個々別々に設けることができ、操作機構3や本体機構2の配置位置に関する自由度を向上させることができる。
【0091】
そして、本実施形態においては、洗面化粧台100の手前側に操作機構3のみが設けられている。そのため、利用者の利便性を向上させることができるとともに、洗面化粧台100の裏面からの水栓装置1の突出を抑制することができ、外観品質の低下等を抑制することができる。
【0092】
また、洗面化粧台100の奥側に本体機構2が配置されているため、本体機構2と吐水部104とを接近させることができ、ひいては流出管111を比較的短くすることができる。その結果、混合水の設定温度を変更してからすぐに、変更後の設定温度における混合水を吐水させることができ、良好な温度調節レスポンスを実現することができる。
【0093】
さらに、回動を伝達する回動伝達部41と、傾動を伝達する傾動伝達部42とが別々に設けられている。すなわち、混合水の温度調節に関する動作と、混合水の流量調節に関する動作とが別々の伝達部41,42にて本体機構2に伝達されるようになっている。従って、混合水の温度や流量をより正確に調節することができる。
【0094】
加えて、本実施形態においては、ワイヤーの押し動作ではなく、第1、第2回動伝達ワイヤー411,412の引き動作(つまり、ワイヤー411,412に座屈が生じることのない動作)により、操作側回動部321の回動動作が駆動側回動部211に伝達され、第1、第2傾動伝達ワイヤー421,422(つまり、ワイヤー421,422に座屈が生じることのない動作)の引き動作により、操作側アーム部322の傾動動作が駆動側アーム部222に伝達される。そのため、ワイヤーの線径を大きくする必要がなくなり、上述の通り、ワイヤー411,412,421,422の線径を小さくすることができる。従って、伝達部4の曲げ半径を小さくしつつ、チューブ431,432,441,442内におけるワイヤー411,412,421,422のスムーズな移動を実現することができる。その結果、伝達部4の取り回しが容易になるとともに、操作部32をスムーズに変位させることができる。また、操作部32の操作感が、操作側回動部321の回動方向や、操作側アーム部322の動作方向によって変化してしまうといった事態をより確実に防止することができる。
【0095】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0096】
(a)上記実施形態において、駆動側傾動チューブ保持部材24は、2つのチューブ挿通部24A,24Bを備えているが、駆動側傾動チューブ保持部材24に1つのチューブ挿通部を設け、当該チューブ挿通部に対して両傾動伝達側チューブ441,442を固定することとしてもよい。この場合には、両傾動伝達ワイヤー421,422をまとめることができ、傾動伝達部42の取り回しがより容易となる。
【0097】
尚、1つのチューブ挿通部に両傾動伝達側チューブ441,442を固定する場合には、駆動側傾動チューブ保持部材24のうち駆動側アーム部222を挟んでチューブ挿通部とは反対側の部位にプーリを設け、当該プーリに両傾動伝達ワイヤー421,422の一方を架け回し、傾動側アーム部222に対して、その中心軸を挟むようにして両傾動伝達ワイヤー421,422を取付けることとしてもよい。
【0098】
また、操作側傾動チューブ保持部材34においても、チューブ挿設部を1つのみ設け、当該チューブ挿通部に対して両傾動伝達側チューブ441,442を固定することとしてもよい。この場合にも、両傾動伝達ワイヤー421,422をまとめることができ、傾動伝達部42の取り回しが容易となる。尚、操作側アーム部322に対して傾動伝達ワイヤー421,422を取付けるにあたっては、上述のようにプーリを用いることとしてもよい。
【0099】
(b)上記実施形態において、回動伝達部41は、2本の回動伝達ワイヤー411,412により構成されている。これに対して、図8及び図9に示すように、回動伝達部41を、回動伝達側チューブ433内において押引き動作可能な1の回動伝達ワイヤー413により構成してもよい。この場合には、操作側回動部321を一方の方向に回動させ、回動伝達側チューブ433内で回動伝達ワイヤー413を押し動作させることで、駆動側回動部221が一方の方向に回動し、操作側回動部321を他方の方向に回動させ、回動伝達側チューブ433内で回動伝達ワイヤー413を引き動作させることで、駆動側回動部221が他方の方向に回動するように構成される。回動伝達部41を1の回動伝達ワイヤー413により構成することで、水栓装置1の簡素化や製造コストの低減を図ることができる。
【0100】
また、傾動伝達部42を、傾動伝達側チューブ443内において押引き動作可能な1の傾動伝達ワイヤー423により構成し、操作側アーム部322の動作により、傾動伝達側チューブ443内で傾動伝達ワイヤー423が押引き動作することで、駆動側アーム部222を動作させることとしてもよい。傾動伝達部42を1の傾動伝達ワイヤー423により構成することで、水栓装置1の簡素化や製造コストの低減を図ることができる。
【0101】
(c)上記実施形態では、駆動側回動部221の回動半径D1が、操作側回動部321の回動半径D2とほぼ等しくなるように構成されているが、回動半径D1を回動半径D2よりも大きくしてもよい。この場合には、操作側回動部321を回動させた際に、操作側回動部321の回動角度よりも駆動側回動部221の回動角度が小さなものとなる。そのため、操作側回動部321を大きく回動させて、駆動側回動部221の動作を細かく調整することができる。その結果、駆動側回動部221の回動量(回動角度)によって調節される混合水の温度を容易に微調整することができる。また、操作側回動部321に加える力が小さくても、駆動側回動部221を十分に回動させることができ、操作性の向上を図ることができる。
【0102】
さらに、回動半径D1を回動半径D2よりも小さくしてもよい。この場合には、操作側回動部321を回動させた際に、操作側回動部321の回動角度よりも駆動側回動部221の回動角度が大きなものとなる。従って、操作側回動部321の回動角度が小さくても、駆動側回動部221を大きく回動させることができる。その結果、周囲にさほど大きなスペースを確保できない位置であっても、操作機構3を取付けることができ、操作機構3の配置位置に関する自由度をより向上させることができる。
【0103】
(d)上記実施形態では、駆動側アーム部222のうちその傾動軸Y1から傾動伝達部42接続される部位までの駆動側アーム部222の中心軸に沿った距離と、操作側アーム部322のうちその傾動軸Y2から傾動伝達部42が接続される部位までの操作側アーム部322の中心軸に沿った距離とがほぼ等しくなるように構成されている。これに対して、駆動側アーム部222のうちその傾動軸Y1から傾動伝達部42が接続される部位までの駆動側アーム部222の中心軸に沿った距離を、操作側アーム部322のうちその傾動軸Y2から傾動伝達部42が接続される部位までの操作側アーム部322の中心軸に沿った距離よりも大きくしてもよい。この場合には、操作側アーム部322を傾動させた際に、操作側アーム部322の傾動量(傾動角度)よりも駆動側アーム部222の傾動量(傾動角度)が小さなものとなるため、操作側アーム部322を大きく傾動させて、駆動側アーム部222の動作を細かく調節することができる。従って、駆動側アーム部222の傾動量により調節される混合水の流量を容易に微調整することができる。また、操作側アーム部322に加える力が比較的小さくても、駆動側アーム部222を十分に傾動させることができ、操作性の向上を図ることができる。
【0104】
さらに、駆動側アーム部222のうちその傾動軸Y1から傾動伝達部42が接続される部位までの駆動側アーム部222の中心軸に沿った距離を、操作側アーム部322のうちその傾動軸Y2から傾動伝達部42が接続される部位までの操作側アーム部322の中心軸に沿った距離よりも小さくしてもよい。この場合には、操作側アーム部322の傾動量が小さくても、駆動側アーム部222を大きく傾動させることができる。その結果、周囲に大きなスペースを確保できない位置であっても、操作機構3を取付けることができ、操作機構3の配置位置に関する自由度を一層高めることができる。
【0105】
(e)上記実施形態において、第1、第2回動伝達ワイヤー411,412は、その端部が取付用アタッチメント223(323)に固定された上で、当該取付用アタッチメント223(323)が駆動側回動部221(操作側回動部321)に固定されることにより、駆動側回動部221及び操作側回動部321に取付けられている。しかしながら、駆動側回動部221や操作側回動部321に対する第1、第2回動伝達ワイヤー411,412の取付手法はこれに限定されるものではなく、例えば、第1、第2回動伝達ワイヤー411,412の端部を駆動側回動部221や操作側回動部321の外周に直接固定してもよい。
【0106】
(f)上記実施形態において、水栓装置1は、取付基体としての洗面化粧台100に取付けられているが、水栓装置1の取付対象は洗面化粧台100に限られるものではなく、例えば、洗面化粧台以外の槽体(例えば、浴槽や流し台など)に水栓装置1を取付けることとしてもよい。また、槽体の近傍に設けられた構造物に操作機構3を取付け、槽体に本体機構2を取付けることとしてもよい。
【0107】
(g)上記実施形態では、本体機構2及び吐水部104間に、流出管111が設けられているが、本体機構2と吐水部104とを一体化し、流出管を介することなく、混合水を吐水部104から吐水可能としてもよい。
【0108】
(h)本体機構2の内部に、混合水の温度を感知し、前記可動弁体の位置を移動可能な感温体を設け、当該感温体の作用により混合水の温度を自動的に調節可能としてもよい。すなわち、本体機構2がサーモスタット式のものであってもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…水栓装置、2…本体機構、3…操作機構、4…伝達部、22…駆動部、32…操作部、41…回動伝達部、42…傾動伝達部、100…洗面化粧台(取付基体)、101…貯水部、111…流出管、112…給水管、113…給湯管、104…吐水部、221…駆動側回動部、222…駆動側アーム部、321…操作側回動部、322…操作側アーム部、411…第1回動伝達ワイヤー、412…第2回動伝達ワイヤー、413…回動伝達ワイヤー、421…第1傾動伝達ワイヤー、422…第2傾動伝達ワイヤー、423…傾動伝達ワイヤー、431…第1回動伝達側チューブ、432…第2回動伝達側チューブ、433…回動伝達側チューブ、441…第1傾動伝達側チューブ、442…第2傾動伝達側チューブ、443…傾動伝達側チューブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水管及び給湯管が接続され、自身の内部において前記給水管を通る水及び前記給湯管を通る湯を混合可能であるとともに、混合水を流出可能な本体機構と、
所定の取付基体に対して相対変位可能であるとともに、自身の変位により前記本体機構を動作させることで、前記混合水の流量及び温度を調節可能な操作部を有する操作機構とを具備する水栓装置であって、
前記本体機構は、前記取付基体に対して相対変位可能な駆動部を備え、
前記操作部及び前記駆動部間を接続し、前記操作部の変位を前記駆動部に伝達する伝達部を有し、当該伝達部の動作により前記駆動部を変位させることで、前記混合水の流量及び温度が調節されることを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
前記操作部は、
前記取付基体に対して相対回動可能に支持される操作側回動部と、
前記操作側回動部の中心軸に対して傾動可能な操作側アーム部とを備え、
前記駆動部は、
前記取付基体に対して相対回動可能に支持され、自身の回動量が調節されることで前記混合水の温度を調節可能な駆動側回動部と、
前記駆動側回動部の中心軸に対して傾動可能であり、自身の傾動量が調節されることで前記混合水の流量を調節可能な駆動側アーム部とを備え、
前記伝達部は、
前記操作側回動部及び前記駆動側回動部間を接続するとともに、前記操作側回動部の回動動作を前記駆動側回動部に伝達し、前記駆動側回動部を回動させる回動伝達部と、
前記操作側アーム部及び前記駆動側アーム部間を接続するとともに、前記操作側アーム部の傾動動作を前記駆動側アーム部に伝達し、前記駆動側アーム部を傾動させる傾動伝達部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の水栓装置。
【請求項3】
前記回動伝達部は、一端側が前記操作側回動部に固定される一方で、他端側が前記駆動側回動部に固定された回動伝達ワイヤーにより構成され、
前記回動伝達ワイヤーは、筒状の回動伝達側チューブ内を押引き可能であり、
前記操作側回動部を一方の方向に回動させ、前記回動伝達側チューブ内において前記回動伝達ワイヤーを押し動作させることで、前記駆動側回動部を一方の方向に回動させ、
前記操作側回動部を他方の方向に回動させ、前記回動伝達側チューブ内において前記回動伝達ワイヤーを引き動作させることで、前記駆動側回動部を他方の方向に回動させることを特徴とする請求項2に記載の水栓装置。
【請求項4】
前記回動伝達部は、それぞれ前記操作側回動部及び前記駆動側回動部に固定された第1回動伝達ワイヤー及び第2回動伝達ワイヤーにより構成され、
前記第1、第2回動伝達ワイヤーは、筒状の回動伝達側チューブ内を押引き可能であり、
前記操作側回動部を一方の方向に回動させ、前記回動伝達側チューブ内において前記第1回動伝達ワイヤーを引き動作させることで、前記駆動側回動部を一方の方向に回動させ、
前記操作側回動部を他方の方向に回動させ、前記回動伝達側チューブ内において前記第2回動伝達ワイヤーを引き動作させることで、前記駆動側回動部を他方の方向に回動させることを特徴とする請求項2に記載の水栓装置。
【請求項5】
前記傾動伝達部は、一端が前記操作側アーム部に固定される一方で、他端が前記駆動側アーム部に固定された傾動伝達ワイヤーにより構成され、
前記傾動伝達ワイヤーは、筒状の傾動伝達側チューブ内を押引き可能であり、
前記操作側アーム部の動作により、前記傾動伝達側チューブ内において前記傾動伝達ワイヤーを押引きすることで前記駆動側アーム部を動作させることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の水栓装置。
【請求項6】
前記傾動伝達部は、それぞれ前記操作側アーム部及び前記駆動側アーム部に固定された第1傾動伝達ワイヤー及び第2傾動伝達ワイヤーにより構成され、
前記第1、第2傾動伝達ワイヤーは、筒状の傾動伝達側チューブ内を押引き可能であり、
前記操作側アーム部の動作により、前記傾動伝達側チューブ内において前記第1傾動伝達ワイヤー又は前記第2傾動伝達ワイヤーを引き動作させることで、前記駆動側アーム部を動作させることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の水栓装置。
【請求項7】
前記駆動側回動部の回動半径を、前記操作側回動部の回動半径よりも大きくしたことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の水栓装置。
【請求項8】
前記駆動側回動部の回動半径を、前記操作側回動部の回動半径よりも小さくしたことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の水栓装置。
【請求項9】
前記駆動側アーム部のうちその傾動軸から前記傾動伝達部が接続される部位までの距離を、前記操作側アーム部のうちその傾動軸から前記傾動伝達部が接続される部位までの距離よりも大きくしたことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の水栓装置。
【請求項10】
前記駆動側アーム部のうちその傾動軸から前記傾動伝達部が接続される部位までの距離を、前記操作側アーム部のうちその傾動軸から前記傾動伝達部が接続される部位までの距離よりも小さくしたことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の水栓装置。
【請求項11】
前記取付基体は、前記混合水を貯水可能な貯水部を備えてなる槽体であり、
前記槽体の奥側には、前記混合水を吐水する吐水部が設けられており、
前記本体機構は、前記槽体の奥側に設けられ、前記操作機構は、前記槽体の手前側に設けられることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−108216(P2013−108216A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251501(P2011−251501)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(392028767)株式会社日本アルファ (73)
【Fターム(参考)】